JP2001279361A - V基固溶体型水素吸蔵合金 - Google Patents

V基固溶体型水素吸蔵合金

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篤人 松川
Tsutomu Iwamura
努 岩村
Yoshimoto Odakawa
良基 小田川
Akira Fukuno
亮 福野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Vの含有量に関わらず、プラトー領域を平坦
化することができる水素吸蔵合金を提供する。 【解決手段】 一般式VTiCr(ただし、原子
比x、y、zは、0<x≦60、1.0≦z/y≦2.
0、x+y+z=100とする。)で表せる体心立方構
造を有する相を主相とするV基固溶体型水素吸蔵合金で
あって、かつ、Cが、1.0wt%以内の範囲で含まれる
V基固溶体型水素吸蔵合金とする。これにより、TiC
相が析出すると共に主相の組成分布が均一になる。さら
に、熱処理を併用することにより、水素吸蔵量が低下す
ることなく、プラトー領域を平坦化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル−水素2
次電池、水素貯蔵用合金として使用した場合に、良好な
水素吸放出特性を満足させることが可能なV基固溶体型
水素吸蔵合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金は、電子技術の発展に伴
い、パソコン、携帯電話、電動工具用の電池材料として
使用されている。また、自動車業界においても、地球規
模の環境保護の必要性から低公害、クリーンエネルギー
の電気自動車用電池の電極として使用されている。さら
に、電池用の電極の素材としてだけではなく、熱エネル
ギー変換システムや水素貯蔵システム用として利用され
つつある。水素吸蔵合金に求められる特性は、水素吸蔵
合金自体が吸蔵できる水素量が絶対的に大きいこと、水
素を可逆的に安定して吸蔵放出できることである。これ
らの特性を向上させるために、組成、結晶構造、製造方
法について多面的に検討されている。水素吸蔵合金は、
その結晶構造からAB型、AB型(Laves
型)、AB型、A型(b.c.c.合金)が知
られており、現在、実用化されている水素吸蔵合金はミ
ッシュメタル系AB型水素吸蔵合金が主流である。
【0003】しかし、この系の合金は水素吸放出量が、
1.4wt%程度と低く、この系に代わる水素吸放出量の
大きい他の系の合金開発が期待されている。その中で
も、b.c.c.結晶構造を有するV基固溶体型水素吸
蔵合金は水素吸放出量が非常に大きく、原料資源的にも
豊富であることから水素の輸送、及び貯蔵用として幅広
く利用されていくことが期待されている。さらに、V
は、単金属として唯一常温、常圧付近で大量の水素を吸
蔵放出できる金属として知られており、このVの特性を
活用した水素吸蔵合金の開発が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これまでもV基合金を
利用した水素吸蔵合金が開発されてきた。例えば、特公
昭59−38293号公報では、V−Ti−Cr系の水
素吸蔵合金が提案されている。また、特開平11−21
650号公報には、このV系合金にC(炭素)を含む軽
元素を添加した水素吸蔵合金が提案されており、さら
に、特開平10−317075号公報には、V−Ti−
Ni系合金にTiCを含む高融点化合物の微粉末を添加
する水素吸蔵合金が提案されている。しかし、これら提
案されている水素吸蔵合金は、高水素吸放出特性を有し
ているが、実用可能なプラトー領域が平坦ではなく、水
素吸蔵合金の高水素吸放出特性を十分に生かし切れてい
ないという問題点がある。一方、特開平11−1068
59号公報には、V−Ti−Cr系合金に第4元素を添
加してプラトー領域の平坦化を試みている。しかし、著
しく効果を上げているとはとは言い難いという問題点が
ある。以上のように、これまでのV基水素吸蔵合金で
は、電池あるいは水素貯蔵用として有効に利用するため
に必要な一つの特性である、プラトー領域の平坦性が得
られていない。
【0005】そこで、本発明は、上記のような問題点に
鑑みてなされるものであり、Vの含有量に関わらず、プ
ラトー領域を平坦化することができる水素吸蔵合金を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、 一般式VTi
(ただし、原子比x、y、zは、0<x≦60、
1.0≦z/y≦2.0、x+y+z=100とす
る。)で表せる体心立方構造を有する相を主相とするV
基固溶体型水素吸蔵合金であって、かつ、 Cが、1.
0wt%以内の範囲で含まれるV基固溶体型水素吸蔵合金
である。請求項2に記載の発明は、 請求項1に記載
のV基固溶体型水素吸蔵合金であって、 TiC相が含
まれるV基固溶体型水素吸蔵合金である。請求項3に記
載の発明は、 請求項1又は2に記載のV基固溶体型
水素吸蔵合金であって、 1,000〜1,500℃で
熱処理するV基固溶体型水素吸蔵合金である。請求項4
に記載の発明は、 請求項3に記載のV基固溶体型水
素吸蔵合金であって、 放出プラトーの傾斜Sfの値
が、1.0以下であるV基固溶体型水素吸蔵合金であ
る。ただし、放出プラトーの傾斜Sfは、Sf=d(l
nPd)/d(H/M)[Pd:圧力−組成等温線上で
の解離圧、H/M:水素対金属の原子数の比]とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明は、一般式VTiCr(ただ
し、原子比x、y、zは、0<x≦60、1.0≦z/
y≦2.0、x+y+z=100とする。)で表せる体
心立方構造(b.c.c.結晶構造)を有するV基固溶
体型合金を主相とするV基固溶体型水素吸蔵合金であ
る。金属元素が、水素ガスを吸蔵するのは、水素ガスが
水素原子となって、金属元素による結晶格子中に侵入又
は固溶して侵入型水素化物を形成するからである。金属
元素の結晶構造としては、充填率の高い面心立方構造
(f.c.c.結晶構造)や最密六方構造(h.c.
p.結晶構造)よりも、充填率が低く、結晶格子内に水
素原子が占有できる空間が多数ある体心立方構造(b.
c.c.結晶構造)がよい。
【0008】V、Crは単独でb.c.c.結晶構造を
とり、また、Tiも高温で、b.c.c.結晶構造を有
している。さらに、V、Cr、Tiは、周期表上第4周
期に属し、遷移金属として原子量が小さい方である。ま
た、Ti−Cr系の2元系合金は、温度や組成により複
雑な結晶構造をとるが、VはCr、β−Tiに対して全
率固溶体を形成し、かつTi−Cr2元系にVを添加す
ることにより広い範囲でb.c.c.結晶構造の固溶体
を安定的に形成させることができる。さらに、Vは、上
述したように、単金属として唯一常温、常圧付近で大量
の水素を吸蔵放出できる金属である。したがって、V−
Ti−Cr系V基固溶体型水素吸蔵合金を用いることに
より、水素ガスの吸放出の反応性が高く、かつ水素吸放
出量の大きいb.c.c.結晶構造を有する単相の固溶
体型水素吸蔵合金を容易に得ることができる。このV基
固溶体型水素吸蔵合金の中で、Vは、とくに、凝固速度
を小さくしても、Vを含有することによりb.c.c.
結晶構造にすることができ、安定したb.c.c.結晶
構造の固溶体を形成することに寄与する。ただし、V
は、高価なのでできるだけ少量にすることが好ましく、
Vの含有量の原子比xは、多くとも60以下とする。さ
らに、好ましくは30以下がよい。
【0009】V−Ti−Cr系V基固溶体型水素吸蔵合
金においては、Crはb.c.c.結晶構造の格子寸法
を小さくし、Tiは、これを大きくする。したがって、
プラトー圧を制御するためには、CrとTiの比率z/
yを適正化する必要がある。例えば、ニッケル−水素2
次電池用としては、40℃における放出プラトー圧は、
10−2〜10−1MPa程度が好ましく、水素貯蔵用
合金としては、10 〜10MPa程度が好まし
い。そこで、プラトー圧を10−2〜10MPaに制
御するために、1≦z/y≦2とする。
【0010】ここでは、製造上不可避な不純物などを含
むものであってもよい。また、本発明のV基固溶体型水
素吸蔵合金は、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、
Zn、Mo、Ag、Hf、W、Si、N、P及びBで構
成される群の中から選択される1種又は2種以上の元素
を、0.5〜10at%の範囲で含有するものであっても
よい。これらは、Ti、V、Crのいずれかと置換し、
格子定数を変化させてプラトー圧を調整するのに効果的
な元素であり、好ましくは、第3、4、5周期に属する
金属元素がよい。これは、Ti等が第4周期に属してお
り、同一周期ないしその前後がよいからである。さら
に、周期表上で近い族に属することが好ましい。このた
めに、第4周期のMn、Fe、Co、Niと第5周期で
Ti等と同一族のNb、Moが好ましく、特に、Mn、
NbとMoが好ましい。これらの金属元素は単体でb.
c.c.結晶構造となり、かつ、Ti、V、Crと置換
しやすいため、安定したb.c.c.結晶構造となりや
すいからである。
【0011】さらに、本発明のV基固溶体型水素吸蔵合
金は、Cが、1.0wt%以内の範囲で含まれている。C
は、Tiに対する反応性が、V、Crと比較して、非常
に高く炭化物TiCを形成しやすい。さらに、形成され
るTiCは、融点が非常に高く(3,257℃)、合金
化の際に原料融液から最初に析出し凝固核となるため
に、結晶粒の粗大化による主成分組成の偏析が抑えら
れ、主相の組成が均一になる。Cの替わりにTiCを添
加しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
一般に、圧力−組成等温線(以下、「PCT線」と記
す。)におけるプラトー領域の傾斜の主な原因は、合金
組織の不均一と考えられている。従って、Cを添加し、
TiCを析出させることで、結果的にV−Ti−Cr系
水素吸蔵合金の組成を均一にしてプラトー領域を平坦化
することができる。
【0012】また、本発明のV基固溶体型水素吸蔵合金
は、1,000〜1,500℃で熱処理されるものであ
る。この熱処理で、本発明のCを1wt%以下含むV基固
溶体型水素吸蔵合金の組成をさらに均質化し、次の式で
定義される、PCT線における放出プラトーの傾斜Sf
の値は1.0以下にまで低下する。 Sf=d(lnPd)/d(H/M) ここで、PdはPCT線上での解離圧とし、H/Mはそ
の圧力での水素対金属の原子数の比とする。水素吸蔵合
金は、温度と圧力を変化させることで、水素ガスを吸蔵
したり、放出したりする。プラトー領域が平坦であれ
ば、温度と圧力により吸放出される水素ガスのコントロ
ールが容易になり、特に放出プラトーの傾斜Sfの値が
1.0以下になると、非常に小さな温度又は圧力変化
で、放出される水素ガス量が大きくなり、有効に利用で
きる水素ガス量を増加させることができる。熱処理温度
が1,000℃未満では、組成を均一にするのに長時間
を要し実用的でない。また、熱処理温度が1,500℃
を越えると合金が溶融するために偏析が生じ、組成の均
質化効果がなくなる。このように熱処理するには、電
気、赤外線、レーザ光等のいずれでも加熱することがで
きる。なお、熱処理は非酸化性雰囲気で行うことが好ま
しい。非酸化性雰囲気とは、真空雰囲気、アルゴン、窒
素ガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス雰囲気等をい
い、金属の酸化を防止する。
【0013】本発明のV基固溶体型水素吸蔵合金の応用
例の一つに二次電池が挙げられる。ニッケル−水素2次
電池は、正極、セパレータ、電解液、負極により構成さ
れており、本発明のV基固溶体型水素吸蔵合金は、負極
の構成材料として用いられる。この負極は、少なくとも
水素吸蔵合金粉末と結着用樹脂によって構成されてい
る。これらを混練して粘稠なペースト状にし、金属板等
の上にスクレーパ又はワイヤバーで250μm以下の厚
さのシートに成形し、このシートを、所定の大きさに切
り出して負極として用いることができる。
【0014】
【実施例】本発明のV基固溶体型水素吸蔵合金に関する
好適な実施例を以下に示す。合金は、V(純度99.9
%)、Ti(純度99.5%)、Cr(純度99.99
%)、さらに、これに添加するC(純度99.9%)を
所定の組成比になるように秤量する。これらを、アーク
溶解炉で溶解する。その際、合金の偏析を防止して均質
化を図るために、インゴットを上下反転させて4回溶解
する。作製したインゴットを1,000〜1,500℃
(合金の融点以下の温度)で、1分〜20時間、真空中
又は不活性ガス中で熱処理する。その後、アルゴン又は
窒素雰囲気下ののグローボックス中で、1mm程度に粗
粉砕する。 次に、水素ガス雰囲気における圧力−組成等
温線(PCT線)の測定を行う。測定は、JIS H
7201に従い、ジーベルツ法(容量法)にて行う。活
性化処理は、特に、必要なく測定温度で脱気処理するだ
けで十分である。測定は40℃で、真空原点法(10
−1Pa)にて3回行う。また、元素の定量分析は、熱
処理前後の試料を樹脂埋めした後バフ研磨を施して鏡面
状態になったものに、導電性を持たせるために真空蒸着
法により金を表面に蒸着させ、EDS(エネルギー分散
型X線分光)により行った。
【0015】最初に、添加したCの歩留まりを評価し
た。その結果を表1に示す。表1は、C添加量とそのと
きのC含有量の分析値である。ここで、水素吸蔵合金の
組成は、以下すべてV30Ti29Cr41である。 <表1:Cの添加量とそのときのC含有量の分析値>
【表1】 ここで、鋳造品とは、作製したインゴットを粗粉砕した
ものであり、熱処理品は作製したインゴットを1,20
0℃で、2時間処理し粗粉砕したものである。実施例1
と2及び比較例1ないし4で、歩留まりは、ほぼ90%
前後であり、Cが添加量にしたがって含有されているこ
とが分かる。
【0016】つぎに、C含有量に対する水素吸蔵量の結
果を示す。表2に、C含有量に対する水素吸蔵量を、図
1に、鋳造品の実施例1及び比較例1、2の測定2回目
のPCT線を、図2に、熱処理品の実施例2及び比較例
3、4の測定2回目のPCT線を示す。 <表2:C含有量に対する水素吸蔵量>
【表2】 鋳造品の実施例1及び比較例1、2を比較すると、C含
有量が1wt%以下であれば、水素吸蔵量がほとんど低下
しないが、C含有量が1wt%を超えると急激に低下して
いることが分かる。熱処理品である実施例2及び比較例
3、4についても同様の傾向がある。
【0017】次に、表3は、C含有量に対するPCT特
性のうち放出プラトー圧と放出プラトーの傾斜Sfの値
の測定結果である。 <表3:C含有量に対する放出プラトー圧と放出プラト
ーの傾斜Sfの値>
【表3】 鋳造品の実施例1及び比較例1、2を比較すると、C含
有量が大きくなるに従って、放出プラトー圧が高くなっ
ているが、これはTiCの形成により主相のTi含有量
が減少したためである。放出プラトーの傾斜Sfの値に
関しては、実施例1が最も小さく、Cを含まない比較例
1やC含有量が1wt%を超える比較例2では大きくなっ
ている。次に、熱処理品の実施例2及び比較例3、4を
比較すると、鋳造品と同様の傾向があるが、放出プラト
ーの傾斜Sfの値は鋳造品よりさらに小さくなり、Cを
1wt%以内含み、熱処理を施した実施例2では1.0以
下の極めて小さい値になっている。以上の結果から、C
を1wt%以内含むことで、水素吸蔵量を低下させること
なく、放出プラトーの傾斜Sfの値が小さくなること、
及び、熱処理を併用することで放出プラトーの傾斜Sf
の値が1.0以下にまで小さくなることが分かる。
【0018】次に、本発明のV基固溶体型水素吸蔵合金
のTiC相の効果について評価する。図3に、XRDに
よる分析結果を示す。鋳造品、熱処理品共に、C添加量
が大きくなると、TiCのシグナルが大きくなってい
る。また、C添加量が大きくなるほど、V−Ti−Cr
系合金の主相のb.c.c.結晶構造のスペクトルが高
角側にシフトしている。これは、TiCの形成により主
相におけるTi量が減少したためである。図4は、SE
M−EDS(エネルギー分散型X線分光)により、Cの
有無及び熱処理によるTiの分布の変化を調査したもの
である。図4中(a)はCを含有しない鋳造品、(b)
は、Cを含有しない熱処理品、(c)はCを含有する鋳
造品、(d)はCを含有する熱処理品である。C含有量
は0.87wt%で、熱処理温度は1,200℃、保持時
間は2時間である。(a)は、Cを含有せず熱処理もさ
れていない鋳造品であるが、Tiの分布にバラツキがあ
る。一方、(b)はこれに熱処理を行ったものである
が、Tiが均一に分散していることが分かる。V、Cr
に関しても同様の分散状況が確認されている。本発明の
(c)では、Cを含有することにより、Ti−rich
な相が析出しており、これはXRD(X線回折)により
TiCであることが確認されている。このとき、TiC
相を除く主相の部分では、Tiが均一に分散している。
これは、高融点のTiCが析出するとこれが凝固核とな
り、主相が均一に結晶化するために、結晶粒の粗大化に
よる組成の偏析が抑えられるためと考えられる。さら
に、(d)ではTiCの析出と共に、均一に分散した主
成分組成が、熱処理によりさらに均質化されている。こ
のことから、本発明のV基固溶体型水素吸蔵合金では、
組成の均一性が放出プラトーの傾斜Sfの値を低下させ
ていることが分かる。
【0019】さらに、表4に、実施例1、2及び比較例
1ないし4の水素吸蔵合金の主相の結晶構造と格子定数
を示す。 <表4:主相の結晶構造と格子定数>
【表4】 C含有量が大きくなるに従って、V−Ti−Cr系合金
の主相のb.c.c.結晶構造の格子定数は小さくなっ
ている。これは、添加したCがTiCを形成すること
で、主相のTi含有量が低下したためである。このこと
は、TiCの添加では格子定数が変化しないことにより
確認している。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のV−Ti
−Crからなる体心立方構造を有するV基固溶体型水素
吸蔵合金では、Cの適量添加により、TiC相を析出さ
せ、さらに、熱処理を併用することにより、水素吸蔵量
を低下させることなく、プラトー領域を平坦化すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳造品の実施例1及び比較例1、2の測定2回
目のPCT線である。
【図2】熱処理品の実施例2及び比較例3、4の測定2
回目のPCT線である。
【図3】XRDによる分析結果を示すチャートである。
【図4】SEM−EDS(エネルギー分散型X線分光)
によるC添加及び熱処理による元素分布状況を示す写真
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 4/38 H01M 4/38 A (72)発明者 小田川 良基 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 福野 亮 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5H050 AA08 BA14 CA03 CB16 DA09 EA08 GA02 HA01 HA14 HA15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式VTiCr(ただし、原子
    比x、y、zは、0<x≦60、1.0≦z/y≦2.
    0、x+y+z=100とする。)で表せる体心立方構
    造を有する相を主相とするV基固溶体型水素吸蔵合金で
    あって、かつ、 Cが、1.0wt%以内の範囲で含まれることを特徴とす
    るV基固溶体型水素吸蔵合金。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のV基固溶体型水素吸蔵
    合金であって、 TiC相が含まれることを特徴とするV基固溶体型水素
    吸蔵合金。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のV基固溶体型水
    素吸蔵合金であって、 1,000〜1,500℃で熱処理することを特徴とす
    るV基固溶体型水素吸蔵合金。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のV基固溶体型水素吸蔵
    合金であって、 放出プラトーの傾斜Sfの値が、1.0以下であること
    を特徴とするV基固溶体型水素吸蔵合金。ただし、放出
    プラトーの傾斜Sfは、Sf=d(lnPd)/d(H
    /M)[Pd:圧力−組成等温線上での解離圧、H/
    M:水素対金属の原子数の比]とする。
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