JPH09180244A - 2層光ディスクのピックアップ装置 - Google Patents

2層光ディスクのピックアップ装置

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JPH09180244A
JPH09180244A JP7349839A JP34983995A JPH09180244A JP H09180244 A JPH09180244 A JP H09180244A JP 7349839 A JP7349839 A JP 7349839A JP 34983995 A JP34983995 A JP 34983995A JP H09180244 A JPH09180244 A JP H09180244A
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JP
Japan
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light
critical
reflected light
sensor
reflected
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JP7349839A
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Inventor
Yasuo Hachi
羽地  泰雄
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合焦時の迷走光を大幅に減少させてクロスト
ーク成分を抑制することができる2層光ディスクのピッ
クアップ装置を提供する。 【解決手段】 2つの記録面1,2が所定の間隔を隔て
て形成された光ディスクDKに対して、読出レーザ光L
Aの光入射側からフォーカス点を移動させることにより
前記2つの記録面の内、いずれか一方の面にフォーカス
を合わせてこの面からの反射光をシリンドリカルレンズ
7に透過させた後に読取センサ8に入射させて選択的に
読み出すようにした2層光ディスクのピックアップ装置
において、前記2つの記録面からの反射光の光軸に対す
る角度が異なることに対応させて削減すべき反射光が臨
界角以上となるような臨界傾斜面を有する1つ以上の透
過光学素子19を前記シリンドリカルレンズと前記読取
センサとの間に設けるように構成する。これにより、非
再生記録面からの反射光(迷走光)を部分的に或いは全
部遮断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2層光ディスクの
ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディスク状の基板上に第1の記録
面と第2の記録面を薄膜状に形成し、これにディスク片
側面からディスク2枚分の情報を読み取れるようにした
2層光ディスクが開発されてきた。ディスク記録面の情
報の読み取りは、読み取り光のフォーカス点をディスク
厚み方向に僅かに移動させていずれかの記録面に選択的
にフォーカスし、これにより記録面の情報を選択的に読
み出すようになっている。ここで2層光ディスクの再生
時の読取レーザ光の動きについて説明すると、図14に
おいて2層光ディスクDKは、読取レーザ光LAの入射
側に位置する第1の記録面(以下0面と称す)1とこの
反射側に位置する第2の記録面(以下1面と称す)2を
有し、両面1、2に情報が記録されている。
【0003】0面1側から読取レーザ光LAを入射し、
フォーカス点をいずれかの面に移動することにより情報
を再生する。0面1は反射率が30%程度の半透明膜で
あり、スパッタにより付けられる。半透明膜の透過率は
68%、ロス分となる吸収が2%程度である。半透明膜
は金属、または誘電体膜である。0面1と1面2との間
の中間層MLは例えばポリカーボネート材料よりなり、
40μm程度の厚さである。ここでは吸収が10%程度
であり、その上にピットが成形されている。1面2には
97%程度の反射率の金属膜が蒸着される。この金属膜
として、例えばアルミニウムがスパッタで付けられてい
る。
【0004】0面1の再生時、光学ピックアップの読取
スポットが0面1上に合焦される。この面での情報ピッ
トによる反射光は30%であり、68%が透過する。こ
のレーザ光束は1面2上に大きな径のスポットで当た
る。1面2は焦点が合っていないため大きなスポットサ
イズとなり、単純な反射面として作用し、1面での光量
は61(=68×(1−0.1))%である。1面2で
は97%の光が反射されるので、結局、59(=61×
0.97)%が戻る。この戻り光がポリカーボネートで
10%吸収されて、53(=59×(1−0.1))%
となる。この光の内、16(=53×0.3)%が0面
1で反射され、37(=53×0.7)%の内の36
(=37×0.98)%が透過光となり、0面1を通じ
て反射される。
【0005】このような2層光ディスクDKを再生して
いるときの読取スポットと不要な反射光の反射の状態を
図15及び図16に示す。尚、各図の下部にはセンサ部
分に当たるレーザ光の拡大平面図を併記してある。0面
1の読み出しを図15に示し、1面2の読み出しを図1
6に示す。光源の半導体レーザLDから読出レーザ光L
Aが放射される。偏光はTEとして、偏光の方向がレー
ザチップの長手方向にあり、発散光束では発散角の狭い
方がその方向である。対物レンズ3の瞳端で十分な強度
を得られるようにP偏光を反射する偏光ビームスプリッ
タ4で反射された光束はコリメータレンズ5で集光され
る。ここで、対物レンズ3の焦点距離をf1とし、開口
数NAを0.52とする。
【0006】また、コリメータレンズ5の焦点距離をf
cとする。光束はコリメータレンズ5で平行光に変換さ
れた後に、λ/4板6で円偏光にされた後に対物レンズ
3に入射され、波長とNAで決まる微小なスポットに集
光されて読取面、すなわち図15では0面1に合焦され
る。このスポットは0面1上の情報ピットをトレース
し、回折によって強度変調を受けて読み出される。反射
光は入射光と逆の方向をたどり対物レンズ3で平行光と
なる。この光はλ/4板6で直線偏光のS偏光となり、
コリメータレンズ5で集光され、偏光ビームスプリッタ
4では透過し、検出光学系に導かれる。検出光学系はシ
リンドリカルレンズ7と4分割の読取センサ8よりな
り、フォーカス検出方式は非点収差法である。シリンド
リカルレンズ5の集光作用を受ける光軸をX軸とし、こ
れに直交した軸をY軸とする。
【0007】シリンドリカルレンズは、周知のように単
一方向(Y軸)にのみレンズとして働き、もう一方の方
向(X軸)には何も作用しない。シリンドリカルレンズ
7のX軸はトラック方向に対して45°傾いている。4
分割の読取センサ8はトラックの方向に分割線8Aが平
行となるように置かれている。偏光面も同様である。Y
軸方向で集光された光束とX軸方向でコリメータレンズ
5で集光された光束の外径が同じとなる光軸上に読取セ
ンサ8が置かれる。センサ上の読取スポット9の径はd
sであり、広い検出範囲を得るためにセンサ寸法Dの半
分の大きさに設定される。
【0008】図15では0面1に合焦させてピットの情
報を読み出しているとき、センサ8上の読取スポット9
はセンサ8の寸法Dの半分の直径の円形のスポットとな
っている。0面1を読み出しているときの1面2の反射
光10は0面1と1面2の間隔の2倍の位置に反射光源
11があるように反射される。この反射光源11の位置
は実像を結ぶ配置であり、対物レンズ3の有限位置に像
を結ぶように反射される。この反射光10がコリメータ
レンズ5とシリンドリカルレンズ7で集光される位置1
4は、0面1からの反射光12の集光点13より光軸上
で手前であり、この結果、センサ8上には大きな楕円形
のスポット15となって当たる。この楕円形のスポット
15の面積に対してのセンサ8の面積の比がクロストー
クになる。
【0009】図16においては1面2を情報読取面とし
ているので、0面1は上記とは逆に対物レンズ3に近接
した状態となる。このため0面1の反射光12は虚像と
なり、対物レンズ3で発散する反射光12となる。この
光束はコリメータレンズ5とシリンドリカルレンズ7で
集光されるが、0面の反射光の集光点13は1面2の反
射光10の集光点14より光軸上にて遠方となり、セン
サ8には集束の途中で当たることになる。この場合はセ
ンサ位置では0面の反射光12が楕円形のスポット9を
形成し、1面の反射光10が読取スポット15を形成
し、前記と同様に両者の面積の比でクロストークとな
る。尚、図中、16はシリンドリカルレンズ7の集光作
用のない側の集光点である。
【0010】図17には、上記シリンドリカルレンズ7
の集光作用が示されており、このレンズ7より離れるに
従って、集光スポットの長軸がX方向の楕円形から円形
に移行し(この場所がセンサ位置となる)、更に離れる
に従って長軸がY方向への楕円形に変化している。この
光軸上に配置される4分割読取センサ8上には、図18
に示すようにフォーカス状態に応じて円形スポット(合
焦)や楕円形スポット(オフフォーカス)が表われ、中
心に対して対向配置される対の分割エレメント間の差信
号を比較器17で得ることにより、フォーカス誤差信号
を検出している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この非点収
差検出系は、情報面の合焦位置からのズレを検出するた
めのコリメータレンズとシリンドリカルレンズからなる
誤差検出系であり、このフォーカス検出特性が重要であ
る。この検出カーブは図19に示すようにディスク変位
とフォーカス誤差信号との関係を示す曲線として表わさ
れ、S字曲線と言われる。この曲線においては、検出感
度特性とS字間口18が重要であり、コリメータレン
ズ、シリンドリカルレンズとセンサ寸法、センサ上のス
ポットサイズを設定してこの特性が得られるように決め
る。
【0012】安定なサーボ動作をさせるためには、広い
S字間口と高い検出特性が必要である。S字間口はフォ
ーカス引き込み時と通常動作時において、サーボの安定
性から広い方が望ましく、通常は8〜10μm程度の間
口が得られるように設計される。2層光ディスクを再生
する時は、情報読取面でない面が反射面となって光を反
射し、これが迷走光となって再生信号やフォーカス信号
に妨害を与える。この反射光の強度をクロストークで表
す。また、2層光ディスクを再生するときは、光学系の
横倍率(M)と読取センサの寸法(D)において条件が
あり、D/M=8〜12μmを満たすような設計が必要
とされている。
【0013】これは再生していない記録面からの反射光
がセンサに入射するクロストーク(信号成分及びフォー
カス信号成分)を一定値以下にするための条件からきて
いる。しかし、これに合致した光学系を構成するとフォ
ーカス検出系の検出倍率も影響され、結局、S字曲線の
間口18が狭くなってしまう。非点収差法のフォーカス
検出系で間口の値を決定しているのは上記D/Mの範囲
条件とオーバーラップし、クロストークの条件を満たす
ように構成すると非点収差法の検出S字間口が狭くな
る。
【0014】フォーカスサーボ系のS字検出間口が狭く
なると以下の問題がある。すなわち、初期ドライブの立
ち上げ時、対物レンズのディスク面ふれに追従して動作
させるサーボの引き込み動作のフォーカスサーチ動作
で、引き込み時のサーボ応答のオーバーシュートを小さ
くする必要がある。これは、オーバーシュートが大きい
とS字間口内でブレーキがかかって情報面に追従の動作
に入らないで、間口を越えてしまい引き込み動作に失敗
してしまうからである。サーボの追従性をよくするには
ループゲインを高くすればよいが高すぎるとオーバーシ
ュートが発生し易くなる。
【0015】また、通常の引き込み動作中ではフォーカ
ス残留誤差が小さくなければならず、例えば外部振動が
加わったとき外部からの加速度とディスク面の振れの両
方に対して十分なループゲインが必要である。ループゲ
インが不足している時や、大きな衝撃を受けたりした時
は、残留誤差が大きくなりS字間口が小さいと、ロック
が外れ易くなる。また、大きな面振れディスクに対して
のサーボ動作、アクセス動作時のトラック横断信号によ
る誤差信号外乱での動作など、外乱に対してもS字間口
が少ないとロックが外れてしまうことになる。ロックが
外れると再生動作が途切れるために不都合が発生する。
【0016】このようにS字間口が狭いことはサーボ動
作を不安定にさせる原因となり問題である。この点を具
体的数値を参照して更に詳しく説明する。図20は非点
収差検出系で2層光ディスクを再生したときの反射光量
(クロストーク)と非点収差系S字間口、D/Mの関係
を示すグラフであり、図21はセンサ上の非再生光と再
生光スポット(読取光)との関係を示す図である。非点
収差検出系でスポットサイズをパラメータとした場合の
S字間口とクロストーク、D/M(センサ寸法と横倍
率)の関係を2種類のパラメータの異なる光学系の例を
グラフで示す。コリメータレンズとシリンドリカルレン
ズよりなる合成焦点距離f2を大きくした場合と小さく
した場合について計算した。
【0017】図中、実線は合成焦点距離f2が35mm
であって大きい場合を示し、この時、コリメータレンズ
とシリンドリカルレンズ間の距離は20mmである。破
線は合成焦点距離f2が26.84mmであって小さい
場合を示し、この時、コリメータレンズとシリンドリカ
ルレンズ間の距離は20.92mmである。標準再生機
では、再生信号特性を重視する観点から上述のようにD
/Mを8〜12μmと規定している。このときはクロス
トークは3〜6%程度で問題がないと考えられる。しか
しながら、グラフで示すようにこの規格を満たすことが
可能なときは、D/M=12μmにおいて、スポット径
dsが20×2μm程度と小さくなっており、S字間口
も5.4μm程度となって上記した範囲よりも狭くなっ
ている。同様に別の光学系でもD/M=12において、
スポット径dsは27.2×2μmφでS字間口は5.
4μm程度となって上記した範囲よりも狭い。
【0018】S字間口が狭い場合の問題点は、前述の通
りである。また、センサ上のスポット径が小さい場合
は、調整が厳しくなることと、信頼性(温度で光学系が
縮んだり伸びたりしたときの許容範囲)に問題がでる。
また、センサは分割センサとなるため分離帯の寸法が小
さくなって分離帯に要求される特性(感度、クロストー
ク)が厳しくなる。このように、クロストークを抑制し
つつS字間口を十分に大きくし、且つD/Mも所定の範
囲内に設定するのは非常に困難であった。本発明は、以
上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創
案されたものであり、その目的は、合焦時の迷走光を大
幅に減少させてクロストーク成分を抑制することができ
る2層光ディスクのピックアップ装置を提供することに
ある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、2つの記録面が所定の間隔を隔てて形成
された光ディスクに対して、読出レーザ光の光入射側か
らフォーカス点を移動させることにより前記2つの記録
面の内、いずれか一方の面にフォーカスを合わせてこの
面からの反射光をシリンドリカルレンズに透過させた後
に読取センサに入射させて選択的に読み出すようにした
2層光ディスクのピックアップ装置において、前記2つ
の記録面からの反射光の光軸に対する角度が異なること
に対応させて削減すべき反射光が臨界角以上となるよう
な臨界傾斜面を有する1つ以上の透過光学素子を前記シ
リンドリカルレンズと前記読取センサとの間に設けるよ
うに構成したものである。
【0020】以上のように構成することにより、2つの
記録面から情報を読み出して再生する場合には、読出レ
ーザ光の光入射側からフォーカス点を移動させて、2つ
の面の内、読み出したい記録面上にフォーカス点を合わ
せる。記録面からの反射光はシリンドリカルレンズを通
過した後、このレンズ作用で集光されて読取センサに入
射する。ここで読出レーザ光は、読み出したい記録面の
みならず、これと僅かな間隔を隔てて形成されている他
方の記録面からも反射されるが、両反射光が透過光学素
子を通過する際に、この臨界傾斜面の作用により再生を
望まない他方の記録面からの反射光(迷走光)の全部、
或いは一部を全反射させることができるので、この迷走
光が読取センサに入射することを部分的に或いは完全に
なくすことが可能となる。
【0021】従って、クロストーク成分を大幅に抑制す
ることができる。この場合、光入射側に位置する記録面
(0面)の情報を再生する場合には、他方の記録面(1
面)からの反射光(迷走光)は第1の臨界傾斜面で全て
全反射される。この第1の臨界傾斜面が光軸となす角度
は、素子の屈折率が1.52の時、略49°に設定する
のが好ましい。また、光入射側とは反対側に位置する記
録面(1面)の情報を再生する場合には、他方の記録面
(0面)からの反射光(迷走光)は第2の臨界傾斜面で
部分的に全反射される。この第2の臨界傾斜面が光軸と
なす角度は、同じく素子の屈折率が1.52の時、略4
4.98°に設定するのが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るピックアッ
プ装置の一実施例を添付図面に基づいて説明する。図1
は本発明のピックアップ装置を示す構成図、図2は図1
に示す装置に用いる透過光学素子を示す斜視図、図3は
図2に示す素子のI−I線矢視断面図である。尚、図1
5及び図16に示す従来装置と同一部分については同一
符号を付す。
【0023】図1は、光入射側に位置する記録面(0
面)の情報を再生する時のレーザ光の状態を示してい
る。図中、LDは読取レーザ光LAを出力する半導体レ
ーザであり、4は上記レーザ光LAの成分の内、一方の
成分、例えばP偏光成分を90°方向を変えて反射し、
他方のS偏光成分を透過する偏光ビームスプリッタであ
る。5は上記反射光を平行光線にするコリメータレンズ
であり、6はこの平行光線を円偏光に変換するλ/4板
である。3は所定の焦点距離f1を有し、所定の開口数
NAを有する対物レンズであり、2層光ディスクDKの
いずれかの記録面1、2に焦点を結ぶ。
【0024】7はシリンドリカルレンズであり、単一方
向(Y軸)にのみレンズとして働き、もう一方の方向
(X軸)には何も作用しない(図17参照)。図1に示
すシリンドリカルレンズ7に対してはレンズ作用方向が
Y軸となり、非レンズ作用方向がX軸となる。尚、この
レンズの横に、レンズの方向と、X、Y軸との関係を併
記してある。8は4分割になされた読取センサである。
上記シリンドリカルレンズ7のX軸はトラック方向に対
して45°傾いている点及び4分割の上記読取センサ8
はトラックの方向に分割線が平行となるように置かれる
点は、図15及び図16にて説明した通りである。
【0025】そして、このシリンドリカルレンズ7と読
取センサ8との間の光軸OL上に、より詳しくは0面再
生時における0面反射光のシリンドリカルレンズによる
集光点と1面反射光のシリンドリカルレンズによる集光
点との間の光軸OL上に、本発明の特徴とする2個の透
過光学素子19−1、19−2が配置されており、光の
集光状態が再生面の反射光と非再生面の反射光で異なる
ことを利用して両者を分離し得るようになっている。具
体的には、これらの透過光学素子19−1、19−2
は、図2及び図3に示すように光軸OLに沿って所定の
間隔を隔てて配列された2枚の平板状のプリズムとして
構成されており、各素子19−1、19−2のセンサ側
面の中央部には、臨界反射面の作用をさせるために、光
軸OLを中心として内側へ四角錐状に傾斜して窪ませた
臨界凹部20A、20Bが形成されている。シリンドリ
カルレンズ側に位置する光学素子19−1の臨界凹部2
0Aは完全な四角錐状となってこの凹部に臨む傾斜素子
面が第1の臨界傾斜面21Aとなる。また、センサ側に
位置する光学素子19−2の臨界凹部20Bは、先端が
平坦になされた四角錐状となってこの凹部に臨む傾斜素
子面が第2の臨界傾斜面21Bとなり、最深部が平坦面
21Cになっている。
【0026】四角形の各光学素子19−1、19−2の
1辺の長さL1は、光束が最大径となる時よりも大きく
設定し、例えば800μm以上とし、左側の光学素子1
9−1の厚さW1を600μm程度、右側の光学素子1
9−2の厚さW2を631μm程度、平坦面までの厚さ
W3を600μm程度にそれぞれ設定する。また、左側
の光学素子19−1の臨界傾斜面21Aの1辺の長さL
2は100μm程度、右側の光学素子19−2の中心の
平坦面の1辺の長さL3は長さL2より少し大きい13
8μm程度、この臨界傾斜面21Bの1辺の長さL4を
200μm程度にそれぞれ設定する。そして、上記それ
ぞれの臨界傾斜面21A、21Bで不要な迷走光を全反
射させる。これらの光学素子19−1、19−2の屈折
率n1=1.52と仮定すると、41°で全反射が生ず
るので第1の臨界傾斜面21Aが光軸OLとなす角度θ
1は略49°に設定されており、第2の臨界傾斜面21
Bが光軸OLとなす角度θ2は略45°である。これに
より光入射側に位置する記録面(0面)1の情報を再生
する時には他方の記録面(1面)2からの反射光(迷走
光)を第1の臨界傾斜面21Aで全て全反射すると共
に、光入射側に対して反対側に位置する記録面(1面)
2の情報を再生する時には他方の記録面(0面)1から
の反射光(迷走光)を第2の臨界傾斜面21Bで部分的
に全反射するようになっている。尚、迷走光の除去原理
については後述する。
【0027】また、四角形の透過光学素子19−1、1
9−2の配置方向は、いずれかの辺が、シリンドリカル
レンズ7のX方向、或いはY方向と平行になるように配
置する。ここで屈折率がn1である媒体と屈折率がn2
である媒体間を光が通る時には偏光方向に依存した反
射、透過が生じ、特に、臨界角では入射光が全反射し、
透過光がなくなる。この状態を図4に示す。図中、実線
で示す曲線はn1=1.5、n2=1.0の時の入射角
と反射率の関係を示し、一点鎖線で示す曲線はn=1.
0、n2=1.5の時の入射角と反射率の関係を示す。
図5にn1=1.52、n2=1.0として入射角度4
0°近傍の拡大図を示す。尚、図中P、Sの記号は、P
偏光及びS偏光に対する反射率を示す。
【0028】このグラフによれば、n1=1.52、n
2=1.0の時にS偏光及びP偏光ともに入射角度が4
1°の時に屈折角が90°となって全反射しており、こ
れが臨界角となっている。このような条件を前提とし
て、迷走光が具体的に全部或いは部分的に除去される点
について説明する。
【0029】(1)0面再生時(図15においてセンサ
8とシリンドリカルレンズ7の集光作用がない軸の集光
点16との間の距離が+△の時) 図6(A)は0面1の情報を再生する時の反射光の状態
をY軸に沿って切断した時の図であり、図6(B)はそ
れをX軸に沿って切断した時の図である。尚、光軸OL
方向をZ方向としている。図中、左端にシリンドリカル
レンズ7が位置されており、ここを通ったS偏光の反射
光が透過光学素子19−1、19−2を通って読取セン
サ8に至る状態を示している。尚、反射光の進行状態は
上下対象なので、ここでは上側半分のみを記し、下側半
分の記載は省略している。図中、14は1面からの反射
光の集光点を示す。
【0030】図15も参照すると、0面を再生している
時は、1面の反射光10は0面の反射光の集光点よりも
レンズ側で集光する。従って、図6において1面の反射
光の角度は、光軸OLよりも上方で見ると正の角度θ3
でセンサ8に入射する。尚、角度は、光軸と反射光との
なす狭角を、光軸より反時計回りに測定した時の正と
し、反時計回りに測定した時を負とする。0面1の反射
光は、シリンドリカルレンズ7で集光されて光軸OLを
横切ってセンサ8に入射する。この時の角度θ4は負の
角度である。このように0面1を再生する時には、両反
射光の角度に正、負の差があるため、これを利用して両
者を分離する。
【0031】いま、シリンドリカルレンズ7とセンサ8
との間に透過光学素子19−1を挿入する。尚、ここで
は、他方の光学素子19−2については、この中央部の
平坦なところが関係することから光学的作用がなく、そ
の作用を省略して光学素子19−1についての作用を説
明する。また、偏向の方向は臨界傾斜面に対して、垂直
方向と水平方向の中間方向にあるため、屈折率は図5に
示す反射率特性のP,S曲線の平均値の特性となる。こ
こで素子19−1の第1の臨界傾斜面21Aの光軸OL
に対する傾斜角度θ1を前述のように49°に設定する
と、光軸OLに対して0°の光線は、第1の臨界傾斜面
21Aに対する入射角が41°となって全反射してしま
う。この時の状態は、図7に拡大して示されている。
尚、図7及び図8には、第1及び第2の臨界傾斜面21
A、21Bを結合した状態で示している。光軸OLより
センサに対する角度θ3が正である方向に離れた反射光
は第1の臨界傾斜面21Aに対する入射角度が更に大き
くなるので全て全反射となる。すなわち、角度θ3が正
の時(1面の反射光の全て)には全反射となる。図8は
この時の光束の状態を模式的に示しており、角度θ3が
正となる反射光で第1の臨界傾斜面21Aに入射してい
る光は全て全反射されてセンサに届いていない(図中、
全反射された光は斜線で示されている)。しかし、0面
の反射光で、例えば合焦時、集光点13に集光する光束
のうちで光軸に近く、角度が少ない光線も臨界傾斜面2
1Aによって90°に近い屈折角で出射するため、この
光線はセンサ8に入射しない。この分、0面の反射光の
中心部が欠落する。これを少なくするために臨界傾斜面
21Aの大きさは、前述のように制限されることにな
る。
【0032】0面1からの反射光は、第1の臨界傾斜面
21Aより上の平坦部を透過する。ここで、図9に示す
ようにフォーカスが合焦の時には、0面からの反射光は
センサ中心部に円形のスポット23となって入射するが
(図9(B))、+d或いは−dの距離だけ外れてオフ
フォーカスとなっていると、スポット24は、楕円形状
となる(図9(A))、図9(C))。また、センサ8
の周囲には、透過光学素子19−1,19−2を設けな
い時には楕円形の迷走光25が入射するが、本発明のよ
うに上記光学素子19−1,19−2を介在させること
によりこの迷走光25の内、太枠で四角にした部分(図
9(B))を全反射させて排除することができ、センサ
にクロストークが生ずることはない。
【0033】(2)1面再生時 図10(A)は1面2の情報を再生する時の反射光の状
態をY軸に沿って切断した時の図であり、図10(B)
はそれをX軸に沿って切断した時の図である。ここで
は、図6(A),(B)における他方の透過光学素子1
9−1は光学的作用をしないことからその記載は省略し
てある。図16も参照すると、この場合は0面1は合焦
点よりも、手前に点光源があるような光反射面となる。
従って、センサ8側において0面の反射光12の焦光点
13は、再生面である1面2の反射光10の焦光点14
よりも遠方に位置することになる。従って、この場合に
は前述の0面再生時のように反射光の角度に正、負の差
が存在するわけではないので、ここでは、光軸OLから
の高さによって反射光に角度差があることを利用して、
迷走光を全てではなく、部分的に除去する。この場合、
再生面である1面の反射光であってセンサに入射する光
線に対しては何ら影響を与えることなく0面の反射光を
効率よく遮断することが必要である。
【0034】図10(A),(B)において、フォーカ
ス検出特性で十と−のS字曲線のピーク、間口の両端で
の再生面の反射光束を+d、−dとして移動範囲を示
す。不要な迷走光の遮断が間口を制限することにならな
いようにこの±dの最外光束をたどる。また、S字曲線
を検出する時に不要光束の遮断がアンバランスになる
と、オフセットの発生となるため、いずれの方向でもバ
ランスするような遮断が必要である。上述のように±に
反射面が移動したときのS字特性でS字間口の最大、最
小変位でのスポット径は以下のようになる。すなわち、
変位量が+4.6μmの時は、X=64.6μm,Y=
0.6μmとなり、変位量が−5.25μmの時は、X
=1.2μm,Y=75.7μmとなり、ともに楕円形
状である。このスポットが形成される範囲はできるだ
け、けられないようにしないと不要光の除去対策に伴っ
てS字特性が劣化するマイナス要因となってしまう。こ
のような観点から、少しかけるくらいの領域までを遮光
範囲とする。センサの寸法を140μmとしてセンサの
対角寸法は100μm、これの60%を遮光するとして
考える。これは略60μmが最大パターンの寸法である
こと意味する。このような観点から迷走光の除去方式を
設定する。図10(A)においてセンサ8のY方向にお
いて、センサ寸法の例えば60%の光線を遮断する境界
線26を引いて、これと平坦面21Cとの交点Pを求め
る。符号21Bは、P点を通る傾斜面である。
【0035】これより外側の光束を臨界角で反射させる
ように角度を設定する。センサ8の最外部に入射する光
線の角度をα11からα22とする。臨界角での反射部
は60%の設定で決める。各αは以下のように定められ
る。 tanα11=0.06/1.422(60μm/1.
422mm)より2.416° tanα12=0.1/1.422より4.022° tanα21=0.06/3.287より1.0457
° tanα22=0.1/3.287より1.742° これらの内で最も大きな角度はα12である。このα1
2の角度で入射する光線が臨界角となるように第2の臨
界傾斜面21Bの角度を設定する。すると、これよりも
内側の他の光線の第2の臨界傾斜面21Bに対する入射
角度は全て臨界角41°よりも大きくなるため、全反射
となる。この時の状態は先の図7に示されており、α1
2は本実施例では4.022°であり、結局、第2の臨
界傾斜面21Bと光軸OLとのなす角度θ2は44.9
8°に設定するのがよい。この場合、X軸方向はけられ
が出るためプリズムをできるだけセンサに近いところに
配置する。このような角度の傾斜面とすることにより、
センサ外周部に入射する非再生面(0面)からの反射光
である迷走光を大幅に遮断することができ、従来装置の
場合と比較してクロストークを40%以上小さくするこ
とが可能となる。
【0036】図11はこの時の光束の状態を模式的に示
しており、第2の臨界傾斜面21Bに入射する0面の反
射光は全て全反射されているが、第1の臨界傾斜面21
Bに入射する0面の反射光はこれを透過してセンサに入
射しており、結果的に部分的に迷走光が除去されてい
る。また、図12(A)〜(C)はセンサに入射する光
束を平面的に示す図であり、図中、斜線部分は0面から
の迷走光を除去した部分であり、センサ中心部には四角
形状に迷走光が入射することは避けられないが、センサ
周縁部の迷走光は確実に遮断されている。
【0037】上記実施例では、2つの透過光学素子19
−1,19−2の辺をX方向或いはY方向に平行となる
ように配置した場合の説明であるが、これを光軸を中心
として45°回転させた状態で配置してもよい。この時
の臨界傾斜面は2面のみであり、また、偏光方向に対し
て図5中のPの曲線だけを用いることができる。この時
のセンサに入射する反射光の状態を図13に示す。図1
3(A)に示すような0面再生時には、1面からの反射
光(迷走光)は全て遮断できるのに対して、図13
(B)に示すように1面再生時には、0面からの反射光
(迷走光)はセンサ中心部に四角形状に入射することは
避けられないが、センサ周辺部の迷走光は図5のPの曲
線の特性で遮断することができ、この場合にも共にクロ
ストークを大幅に抑制することができる。
【0038】尚、本実施例では、反射光の臨界角を41
°に設定したが、これは遮断すべき迷走光の波長や透過
光学素子の材質の屈折率に依存して変化するものであ
り、これに応じて素子の臨界傾斜面の角度θ1、θ2を
再設計するのは勿論である。また、ここでは、1面再生
時には、0面からの迷走光を60%カットするように設
定したが、再生光のスポット光を遮断しない範囲内なら
ば、この数値に限定されないのは勿論である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のピックア
ップ装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮す
ることができる。シリンドリカルレンズと読取センサと
の間に所定の臨界傾斜面を有する透過光学素子を設けて
非再生面からの迷走光を部分的に或いは完全に遮断する
ようにしたので、S字間口やD/Mを劣化させることな
くクロストークの発生を大幅に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピックアップ装置を示す構成図であ
る。
【図2】図1に示す装置に用いる透過光学素子を示す斜
視図である。
【図3】図2に示す素子のI−I線矢視断面図である。
【図4】光の入射角と反射角との関係を示すグラフであ
る。
【図5】n1=1.52、n2=1.0の時の入射角4
0°近傍の拡大図である。
【図6】0面の情報を再生する時の反射光の状態を示す
図である。
【図7】図6中の臨界傾斜面を示す部分拡大図である。
【図8】0面の情報を再生する時の迷走光の遮断状態を
示す図である。
【図9】0面の情報を再生する時に読取センサに入射す
る入射光の状態を示す平面図である。
【図10】1面の情報を再生する時の反射光の状態を示
す図である。
【図11】1面の情報を再生する時の迷走光の遮断状態
を示す図である。
【図12】1面の情報を再生する時に読取センサに入射
する入射光の状態を示す平面図である。
【図13】透過光学素子を45°回転させて設けた時に
読取センサへ入射する入射光の状態を示す図である。
【図14】2層光ディスクの再生時の読取レーザ光の経
路を示す図である。
【図15】従来のピックアップ装置による0面再生時の
レーザ光の状態を示す図である。
【図16】従来のピックアップ装置による1面再生時の
レーザ光の状態を示す図である。
【図17】シリンドリカルレンズの動作を説明するため
の説明図である。
【図18】読取センサの動作を説明するための説明図で
ある。
【図19】S字曲線を示すグラフである。
【図20】センサ上のスポット半径と各パラメータとの
関係を示すグラフである。
【図21】読取センサに入射する反射光の状態を示す平
面図である。
【符号の説明】 1…第1の記録面(0面)、2…第2の記録面(1
面)、3…対物レンズ、4…偏光ビームスプリッタ、7
…シリンドリカルレンズ、8…読取センサ、19−1,
19−2…透過光学素子、21…臨界傾斜斜面、21A
…第1の臨界傾斜面、21B…第2の臨界傾斜面、DK
…2層光ディスク、LA…読取レーザ光、OL…光軸。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの記録面が所定の間隔を隔てて形成
    された光ディスクに対して、読出レーザ光の光入射側か
    らフォーカス点を移動させることにより前記2つの記録
    面の内、いずれか一方の面にフォーカスを合わせてこの
    面からの反射光をシリンドリカルレンズに透過させた後
    に読取センサに入射させて選択的に読み出すようにした
    2層光ディスクのピックアップ装置において、前記2つ
    の記録面からの反射光の光軸に対する角度が異なること
    に対応させて削減すべき反射光が臨界角以上となるよう
    な臨界傾斜面を有する1つ以上の透過光学素子を前記シ
    リンドリカルレンズと前記読取センサとの間に設けるよ
    うに構成したことを特徴とする2層光ディスクのピック
    アップ装置。
  2. 【請求項2】 前記臨界傾斜面は、光入射側に位置する
    記録面を再生する時に他方の記録面からの迷走光を全て
    全反射する第1の臨界傾斜面と、光入射側からは遠い位
    置にある記録面を再生する時に他方の記録面からの迷走
    光を部分的に全反射する第2の臨界傾斜面とよりなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の2層光ディスクのピック
    アップ装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の臨界傾斜面と前記光軸とのな
    す角度は前記透過光学素子の屈折率が1.52程度の時
    には略49°であり、前記第2の臨界傾斜面と前記光軸
    とのなす角度は略45°であることを特徴とする請求項
    2記載の2層光ディスクのピックアップ装置。
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