JPH09177365A - 鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の構造物に於ける鋼板ダンパーの取着構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震時の制震対策として、柱、梁架構内のＲ
Ｃ造の垂れ壁と腰壁を、鋼板ダンパーで接合することが
行われるが従来のようにアンカー筋、ベースプレートを
型枠で施工することなく、鉄骨工事と同時に鋼板ダンパ
ーが取着できて、施工が簡素化され、鋼板ダンパーに作
用する剪断力も有効にＲＣ壁に伝達する鋼板ダンパーの
取着構造を提供する。 【解決手段】 上下階の鉄骨梁に直接平鋼を取着し、該
平鋼にガセットプレートを溶接し、該上下のガセットプ
レート間に鋼板ダンパーを鉄骨工事時に取着し、前記平
鋼とガセットプレートをＲＣ造の垂れ壁、腰壁に埋蔵す
る構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】制震装置の一つである鋼板ダ
ンパー（ハニカム形状を有する鋼板ダンパー）を鉄骨造
（以下Ｓ造という）又は鉄骨鉄筋コンクリート造（以下
ＳＲＣ造という）の構造物に取着する構造に関する。

【０００２】

【従来技術及び発明の解決しようとする課題】柱と梁か
らなる架構構造物で、地震時の振動エネルギを吸収して
制震効果を得るために、長方形の軟鋼製板に横方向にハ
ニカム形状の開口を複数個設けた鋼板ハニカムダンパー
を垂れ壁と腰壁の間に設置することが屡々行われる。地
震時にハニカムダンパーが、剪断力を受けると、ハニカ
ムダンパーは弾塑性変形を起こし振動エネルギを吸収す
ることができる。

【０００３】従来ＳＲＣ造の構造物に、鋼板ダンパーを
取着する場合は、上階のＳＲＣ造の梁からＲＣ造の垂れ
壁を設け、下階のＳＲＣ造の梁からＲＣ造の腰壁を設
け、該垂れ壁と腰壁にそれぞれアンカー筋でベースプレ
ートを固定し、それぞれの該ベースプレートにガセット
プレートを溶接し、前記二枚のガセットプレートの間に
鋼板ダンパーを取着していた。

【０００４】従って、鋼板ダンパーを取着するのは最後
の工程となり、ＲＣ造の垂れ壁、腰壁を施工する段階
で、アンカー筋、ベースプレートを設置し型枠を設けな
ければならなかった。一般にアンカー筋、ペースプレー
ト等は重量が重く困難な作業であった。

【０００５】そこで、上階と下階の鉄骨梁に直接鋼板ダ
ンパーを取着する平鋼を取り付けることによって、鉄骨
工事と同時に鋼板ダンパーを取着することができ、かつ
効率よく鋼板ダンパーに作用する剪断力をＲＣ造の垂れ
壁、腰壁に伝達する構造を提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】鉄骨造又は鉄骨鉄筋コン
クリート造の構造物に於ける鋼板ダンパーの取着構造で
あり、上階の鉄骨梁に平鋼を固着し、該平鋼の先端にガ
セットプレートを溶接し、前記平鋼とガセットプレート
を埋設して垂れ壁を設け、下階の鉄骨梁に平鋼を固着
し、該平鋼の先端にガセットプレートを溶接し、前記平
鋼とガセットプレートを埋設して腰壁を設け、前記上階
からのガセットプレートと下階からのガセットプレート
の間に鋼板ダンパーを取着してなることを特徴とした鉄
骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の構造物に於ける鋼板
ダンパーの取着構造を主旨とする。

【０００７】上階のＳ造の梁又はＳＣＲ造に内包されて
いる鉄骨梁から平鋼を２本吊下し鋼板ダンパー取着用の
ガセットプレートを平鋼の先端に溶接する。同様に下階
の梁に２本の平鋼を固定して立設し、平鋼の端部にガセ
ットプレートを溶接する。上下両ガセットプレート同志
を鋼板ダンパーで接合する。

【０００８】このような構造にすることにより、鋼板ダ
ンパーは鉄骨工事の際に取着することができる。

【０００９】また鋼板ダンパー取着用のガセットプレー
トは、梁に直接アンカーされているので、ベースプレー
ト、アンカー筋等従来必要とした部材は不要となる。

【００１０】従って、重量物を扱う困難な作業から解放
される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下実施例を図面によって説明す
る。

【００１２】図１は本発明の鋼板ダンパー取着構造架構
の立面図である。

【００１３】ＳＲＣ造の柱１と梁２の架構に於いて、Ｓ
ＲＣ造に内包されたＳ造の上階の梁２ａから吊下するよ
うに、下階の梁２ａからは立設するように、平鋼３、３
を溶接し、その端部にそれぞれガセットプレート４、４
を溶接し、該ガセットプレート４、４の間に鋼板ダンパ
ー５を取着した例である。

【００１４】図２は図１のＡ−Ａ断面でＳ造の梁２ａに
Ｌ型鋼６を溶接し、平鋼３をボルト締結したＳ造の梁２
ａと平鋼３との納まりを示す図である。

【００１５】図３は、図１のＢ部の詳細図で、平鋼３、
３の端部にガセットプレート４、４を溶接し、ガセット
プレート４、４同志を鋼板ダンパー５で接合した図であ
る。

【００１６】鋼板ダンパー５に生ずる剪断力はガセット
プレート４、４に溶接されたシアーキープレート７によ
り、ＲＣ造の垂れ壁８、腰壁９に伝達される。なおシア
ーキープレート７はスタッド等に置き換えてもよい。

【００１７】図４は、平鋼３をハの字に配置した例を示
す図である。平鋼３をハの字と逆ハの字に配置すること
によって、平鋼が傾斜している分だけ、鋼板ダンパー５
に作用する剪断力は、一部軸力として、平鋼３が負担す
ることができる。従って壁の配筋が従来構造より少なく
てすむ。この場合、平鋼３は座屈の虞れがあるが、ＲＣ
の壁が座屈に抵抗する役割を果たす。

【００１８】図５は、図４のＣ−Ｃ断面であり、梁２ａ
と平鋼３の納まりを示し、垂れ壁８、腰壁９が梁２の中
央に位置する場合の図である。平鋼３はＳ造の梁２ａに
Ｌ型鋼等を介して直接ボルト締結することができるの
で、ＲＣの垂れ壁８、腰壁９はＳＲＣ造の梁の幅の範囲
で、その位置は偏ってもよい。

【００１９】図６は、Ｓ造の梁２ａに平鋼３をハの字に
配置した例を示す図であり、垂れ壁８、腰壁９はプレキ
ャスト板１０に置き換えることができる。この場合は、
予めプレキャスト板１０に平鋼３、ガセットプレート４
を埋設しておき、Ｓ造の梁２ａと平鋼３の接合は直接溶
接するか、あるいは従来のプレキャスト板１０を取着す
る全ての方法に従ってアンカーすることができる。

【００２０】

【発明の効果】鋼板ダンパー取着用のガセットプレート
は平鋼によって、直接Ｓ造の梁にアンカーされ平鋼が平
行に溶接される場合はシアーキープレート等によって、
鋼板ダンパーに作用する剪断力は有効にＲＣ造の壁に伝
達される。平鋼をハの字に取着した場合は、平鋼が斜め
に傾斜するため鋼板ダンパーに作用する剪断力の一部を
平鋼の軸力としてＲＣ壁に伝達し、ＲＣ壁は座屈に対す
る抵抗に有効である。

【００２１】また本発明の構造によれば、鉄骨工事と同
時に鋼板ダンパーが取着され、従来のようにアンカー筋
とかベースプレート等の重量のある金物やそれを包む型
枠工事も不要となり施工が簡素化される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鋼板ダンパー取着構造架構の立面図で
ある。

【図２】図１のＡ−Ａ断面でＳ造の梁にＬ型鋼を溶接
し、平鋼をボルト締結したＳ造の梁と平鋼との納まりを
示す図である。

【図３】図１のＢ部の詳細図で、平鋼の端部にガセット
プレートを溶接し、ガセットプレート同志を鋼板ダンパ
ーで接合した図である。

【図４】平鋼をハの字に配置した例を示す図である。

【図５】図４のＣ−Ｃ断面であり、梁と平鋼の納まりを
示し、垂れ壁、腰壁が梁の中央に位置する場合の図であ
る。

【図６】Ｓ造の梁に平鋼をハの字に配置した例を示す図
である。

【符号の説明】

１・・・柱、２・・・梁、２ａ・・・Ｓ造の梁、３・・
・平鋼、４・・・ガセットプレート、５・・・鋼板ダン
パー、６・・・Ｌ型鋼、７・・・シアーキープレート、
８・・・垂れ壁、９・・・腰壁、１０・・・プレキャス
ト板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 國末 晃寛 東京都港区元赤坂１丁目２番７号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 石鎚 貴志 大阪府大阪市西区阿波座１丁目３番15号 鹿島建設株式会社関西支店内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の構
   造物に於ける鋼板ダンパーの取着構造であり、上階の鉄
   骨梁に平鋼を固着し、該平鋼の先端にガセットプレート
   を溶接し、前記平鋼とガセットプレートを埋設して垂れ
   壁を設け、下階の鉄骨梁に平鋼を固着し、該平鋼の先端
   にガセットプレートを溶接し、前記平鋼とガセットプレ
   ートを埋設して腰壁を設け、前記上階からのガセットプ
   レートと下階からのガセットプレートの間に鋼板ダンパ
   ーを取着してなることを特徴とした鉄骨造又は鉄骨鉄筋
   コンクリート造の構造物に於ける鋼板ダンパーの取着構
   造。