JPH09176076A - 2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法 - Google Patents

2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法

Info

Publication number
JPH09176076A
JPH09176076A JP35264195A JP35264195A JPH09176076A JP H09176076 A JPH09176076 A JP H09176076A JP 35264195 A JP35264195 A JP 35264195A JP 35264195 A JP35264195 A JP 35264195A JP H09176076 A JPH09176076 A JP H09176076A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
hydroxypropanal
methyl
hydroformylation
phosphite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35264195A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiro Omatsu
俊宏 尾松
Takashi Onishi
孝志 大西
Noriaki Yoshimura
典昭 吉村
Yasuo Tokito
康雄 時任
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP35264195A priority Critical patent/JPH09176076A/ja
Publication of JPH09176076A publication Critical patent/JPH09176076A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/49Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reaction with carbon monoxide

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Furan Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (a)ロジウム化合物、(b)エレクトロニ
ックパラメーターが2080〜2090cm-1でありか
つステリックパラメーターが135〜190°である一
般式(1) P(OR1 )(OR2 )(OR3 ) (1) (式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ炭素数7以上の置
換アリール基を表す)で示されるトリス(置換アリー
ル)ホスファイト、および一般式(2) 【化1】 (式中A1 およびA2 はそれぞれアリール基を表し、R
4およびR5 はそれぞれアリール基または炭素数4以上
の飽和炭化水素基を表し、Zは炭素数2〜10の2価の
飽和脂肪族炭化水素基を表す)で示される2座リン配位
子の存在下にアリルアルコールを水素および一酸化炭素
と反応させる。 【効果】 2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールお
よび2−ヒドロキシテトラヒドロフランを同時に製造す
ることができる。2−メチル−3−ヒドロキシプロパナ
ールへの選択率が高く、反応速度の大きな工業的に有利
な方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2−メチル−3−
ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒ
ドロフランを同時に製造する方法に関する。本発明によ
って得られる2−メチル−3−ヒドロキシプロパナール
は還元することによりポリエステルなどの高分子化合物
の原料となる2−メチル−1,3−プロパンジオールに
誘導される。また、本発明によって得られる2−ヒドロ
キシテトラヒドロフランは、例えば、2,3−ジヒドロ
フラン、ポリエステルの原料やテトラヒドロフランの原
料として有用な1,4−ブタンジオールなどの種々の化
合物の原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】アリルアルコールをヒドロホルミル化し
て2−ヒドロキシテトラヒドロフランおよび2−メチル
−3−ヒドロキシプロパナールを得ることは公知であ
る。[例えば、J.Org.Chem.、45巻、21
32頁(1980年);Journal of Mol
ecular Catalysis、40巻、129頁
(1987年)またはFalbe著“New Synt
hesis with Carbon Monoxid
e”,Springer Verlag:Berlin
(1980年)、106−111頁などを参照]
【0003】アリルアルコールのヒドロホルミル化の反
応条件については多くの研究がなされているが、従来
は、ヒドロホルミル化生成物より誘導される1,4−ブ
タンジオールの有用性が特に注目されていたため、その
前駆体である2−ヒドロキシテトラヒドロフランを有利
に製造することを目標とした研究に精力が注がれ、2−
メチル−3−ヒドロキシプロパナールの選択率を極力低
く抑えるための反応条件の開発が行われてきた。[例え
ば、特公昭56−5372号公報、特開平4−1695
79号公報、特開平5−331156号公報などを参
照]
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アリルアルコールのヒ
ドロホルミル化反応は、安価にかつ容易に入手できる化
合物を原料として用いることから、2−メチル−3−ヒ
ドロキシプロパナールへの選択率を高める反応条件を開
発できれば、2−メチル−3−ヒドロキシプロパナール
を工業的に製造するうえで有用性の高い反応となる。か
かる観点から上記の従来法を検討してみると、例えば、
特公昭56−5372号公報に開示された方法では、2
−メチル−3−ヒドロキシプロパナールへの選択率は1
3%程度である(実施例参照)。
【0005】またJ.Org.Chem.、45巻、2
132頁(1980年)には種々の配位子を用い、種々
の反応条件下にアリルアルコールのヒドロホルミル化反
応を実施した結果が記載されているが、2−メチル−3
−ヒドロキシプロパナールへの選択率は40%を越える
には至っていない。そして同公報に記載された反応条件
のうち2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールへの選
択率が比較的高くなる反応条件を採用しても、著しく反
応速度が小さく、高濃度のロジウム触媒を用いなければ
工業的に実施し得るに足る反応速度が達成できない。し
かしながら、ロジウム化合物は極めて高価な貴金属であ
るので、コスト的に許容される範囲内の濃度でしか使え
ないという制約が工業的にはあり、高濃度での使用は望
ましくない。
【0006】また、特開平5−331156号公報に
は、比較例5において2−メチル−3−ヒドロキシプロ
パナールへの選択率が64%となる例が記載されている
が、この場合、ロジウム化合物を反応液1リットルあた
り1ミリモル以上の高濃度で使用することが必要であ
る。また、この例では、反応液中の原料濃度が20容量
%と低く容積効率が悪いうえ、5時間で52%の転化率
であり、反応速度が十分に大きいとはいえない。
【0007】してみれば、従来知られている、アリルア
ルコールのヒドロホルミル化方法は、2−メチル−3−
ヒドロキシプロパナールを工業的に製造する上で有利な
方法とはいい難い。しかして、本発明は、アリルアルコ
ールをヒドロホルミル化して、2−メチル−3−ヒドロ
キシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフ
ランを同時に製造する方法であって、2−メチル−3−
ヒドロキシプロパナールへの選択率が高く、反応速度の
大きな工業的に有利な方法を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
課題は、 (a)ロジウム化合物、(b)エレクトロニックパ
ラメーターが2080〜2090cm-1でありかつステ
リックパラメーターが135〜190°である一般式
(1) P(OR1 )(OR2 )(OR3 ) (1) (式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ炭素数7以上の置
換アリール基を表す)で示されるトリス(置換アリー
ル)ホスファイト、および
【0009】一般式(2)
【化2】
【0010】(式中、A1 およびA2 はそれぞれアリー
ル基を表し、R4 およびR5 はそれぞれアリール基また
は炭素数4以上の飽和炭化水素基を表し、Zは炭素数2
〜10の2価の飽和脂肪族炭化水素基を表す)で示され
る2座リン配位子の存在下にアリルアルコールを水素お
よび一酸化炭素と反応させることを特徴とする2−メチ
ル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシ
テトラヒドロフランの製造方法を提供することによって
解決される。
【0011】本発明において用いられるロジウム化合物
としては、ヒドロホルミル化触媒能を有するかまたはヒ
ドロホルミル化反応条件下にヒドロホルミル化触媒能を
有するように変化する任意のロジウム化合物が使用でき
る。かかるロジウム化合物の具体例としては、例えば、
Rh4 (CO)12、Rh6 (CO)16、Rh(aca
c)(CO)2 、酸化ロジウム、ロジウムアセチルアセ
トナート、酢酸ロジウム、硝酸ロジウム、塩化ロジウ
ム、ヨウ化ロジウム、臭化ロジウムなどが挙げられる。
上記のロジウム化合物は、極めて高活性な触媒能を有し
ている。このため、本発明にあっては、ロジウム化合物
は反応液1リットルあたり0.001〜0.1ミリモル
といった低い濃度範囲で使用すれば十分である。
【0012】本発明において用いられるトリス(置換ア
リール)ホスファイトは、エレクトロニックパラメータ
ーが2080〜2090cm-1であり、かつステリック
パラメーターが135〜190°であることが必要であ
る。トリス(置換アリール)ホスファイトとしてエレク
トロニックパラメーターまたはステリックパラメーター
がこの範囲外にあるものを使用すると、アリルアルコー
ルのヒドロホルミル化反応において、2−メチル−3−
ヒドロキシプロパナールへの40%以上という高い選択
率と大きな反応速度を同時に達成することはできない。
【0013】なお、上記2種のパラメーターは、文献
[C.A.Tolman、ケミカル・レビュー(Che
m.Rev.)、第177巻(1977年)、313
頁]の記載に従って定義された値であって、エレクトロ
ニックパラメーターとはジクロルメタン中で測定された
Ni(CO)3 L(Lはリン配位子)のCOのA1赤外
吸収スペクトルの振動数で定義されるものであり、また
ステリックパラメーターとはリン原子の中心から2.2
8オングストロームの位置でリンに結合している基の最
も外側にある原子のファンデルワールス半径を囲むよう
に描いた円錐の頂角で定義されるものである。
【0014】また、本発明で使用するトリス(置換アリ
ール)ホスファイトの構造を表す上記一般式(1)にお
けるR1 、R2 およびR3 はそれぞれ炭素数7以上の置
換アリール基を表す。R1 、R2 およびR3 の炭素数の
上限については特に制限はない。また、かかる置換アリ
ール基における置換基は、ヒドロホルミル化反応を阻害
しない限りいかなる置換基であってもよい。
【0015】このようなトリス(置換アリール)ホスフ
ァイトの具体例としては、例えば、トリス(2−メチル
フェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジメチルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(2−イソプロピルフェ
ニル)ホスファイト、トリス(2−フェニルフェニル)
ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト、トリス(2−t−ブチル−5−メチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト、ジ(2−メチルフェニル)(2
−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2−t−ブ
チルフェニル)(2−メチルフェニル)ホスファイトま
たはこれらの混合物などが挙げられるが、なかでもトリ
ス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイトまたはこれらの混合物が本発明を工業的に実施す
る上で好ましい。
【0016】トリス(置換アリール)ホスファイトの使
用量は、ヒドロホルミル化反応の選択率および反応速度
の観点から、反応液1リットルあたり0.1〜20ミリ
モルの濃度範囲となる量であることが好ましく、1〜1
0ミリモルの濃度範囲となる量であることがより好まし
い。
【0017】また、本発明で用いる2リン配位子の構造
を示す上記の一般式(2)において、A1 、A2 、R4
およびR5 が表すアリール基としては、例えば、フェニ
ル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げら
れ、R4 およびR5 が表す炭素数4以上の、飽和炭化水
素基としては、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ
る。
【0018】そして、上記一般式(2)においてZが表
す炭素数2〜10の2価の飽和脂肪族炭化水素基として
は、例えば、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレ
ン基、ペンタメチレン基、および次の式
【0019】
【化3】
【0020】等で表されるアルキレン基;1,4−シク
ロヘキシレン基等のシクロアルキレン基などが挙げられ
る。
【0021】ここで、式(2)で表される2座リン配位
子の具体例を示せば、例えば、次のものが挙げられる。
【0022】
【化4】
【0023】これらの中でも、入手の容易さ、化学的安
定性などの点から、本発明で使用する2座リン配位子と
しては、下記のジホスフィノアルカンが好ましい。
【0024】
【化5】
【0025】式(2)で示される2座リン配位子の使用
量は、ヒドロホルミル化反応の反応速度の観点から、ロ
ジウム化合物1モルに対して2モル倍以下の濃度範囲と
することが好ましく、ロジウム化合物1モルに対して
0.2モル倍以上の濃度範囲とすることがより好まし
い。
【0026】本発明におけるヒドロホルミル化の反応温
度は、ヒドロホルミル化反応の反応速度および選択性の
観点から、130℃以下であることが好ましく、30〜
110℃の範囲内であることがより好ましい。反応に用
いられる水素と一酸化炭素の混合ガスにおいて、水素/
一酸化炭素のモル比は入りガス組成として通常1/2〜
5/1の範囲から選ばれる。また、反応圧力は、ヒドロ
ホルミル化反応の選択性の観点から一般に50気圧以上
の範囲から選ばれる。反応圧力に上限はないが約100
気圧の圧力があれば本発明の目的を達成するには十分で
ある。反応は攪拌型反応槽または気泡塔型反応槽など公
知の反応槽中で、連続方式またはバッチ方式で行うこと
ができる。
【0027】本反応は原料がアルコールであり生成物が
アルデヒドであることから生成物の一部がアセタール化
することがあるが、第3級アミンを反応系に添加するこ
とにより、かかるアセタール化を抑制することができ
る。使用する第3級アミンの濃度は、反応液1リットル
あたり20ミリモル以下とすることが好ましい。かかる
第3級アミンの具体例としては、例えば、トリエチルア
ミン、トリブチルアミン、トリ−n−オクチルアミンな
どの脂肪族アルキル第3級アミン類;N,N,N´,N
´−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N,
N´,N´−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパ
ン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,4−ジア
ミノブタンなどのアルキル置換第3級ジアミン類;N,
N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン
などの第3級アルカノールアミン類;N−メチルピペリ
ジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンな
どの脂環式第3級アミン類;ピリジン、ピコリンなどの
環状不飽和第3級アミン類などが挙げられる。
【0028】本発明におけるヒドロホルミル化反応は、
溶媒の不存在下に実施してもよいし、反応系中で不活性
な溶媒の存在下に実施してもよい。溶媒としては、例え
ば、エタノール、ブタノール、エチレングリコール等の
アルコール類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の飽和
脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ク
メン、プソイドクメン、エチルベンゼン等の芳香族炭化
水素類;酢酸エチル、フタル酸ジオクチル等のエステル
類およびテトラヒドロフラン等のエーテル類などを挙げ
ることができる。なお、溶媒の使用、不使用は、反応の
実施条件、生産コスト等を考慮して適宜決定される。
【0029】ヒドロホルミル化反応生成物である2−メ
チル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキ
シテトラヒドロフランは、反応混合物から生成物を抽出
分離する方法などの公知の手法により触媒と分離するこ
とができる。なお、ヒドロホルミル化によって得られた
反応混合物をそのまま次の反応、例えば水素添加反応な
どの原料として使用しても構わない。
【0030】ヒドロホルミル化反応生成物を触媒と分離
する場合には、非水性有機溶媒を反応溶媒としてヒドロ
ホルミル化反応を実施し、得られた反応混合物から水を
抽出溶媒として生成物を抽出分離することが好ましい。
この際、ロジウム化合物、式(1)で示されるトリス
(置換アリール)ホスファイト、式(2)で示される2
座リン配位子からなる触媒成分と非水性有機溶媒からな
る有機層の少なくとも一部は、所望により再びヒドロホ
ルミル化工程に循環される。
【0031】上記の非水性有機溶媒とは水と混和せず、
反応系中で不活性である有機溶媒のことをいい、その具
体例としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の飽和脂
肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメ
ン、プソイドクメン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素類;クロロベンゼン、ジブロモナフタレン、クロロホ
ルム等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。非水性
有機溶媒の使用量は、生成物の抽出分離の際の水層と有
機層の分液に要する時間および生産コストの観点から、
ヒドロホルミル化反応溶液中20〜80容量%の範囲内
であることが好ましく、40〜70容量%であることが
より好ましい。
【0032】生成物の抽出を行う際に使用する水の量
は、ヒドロホルミル化生成物の抽出回収率の観点から、
通常、反応混合物に対して20容量%以上となる量であ
る。水の使用量には上限はないが、あまりに多量の水を
使用すると水層中のヒドロホルミル化生成物の濃度が著
しく低下してしまい、以後の操作に支障をきたす場合が
ある。従って水の使用量は、反応混合物に対して約30
0容量%となる量を上限とするのが工業的には有利であ
る。
【0033】抽出を行う温度は特に制限されないが、2
0℃以上とすることが好ましい。また、生成物の抽出の
際に触媒成分が水層に溶出しにくくなるようにできれ
ば、触媒のロスを減少させることができ、工業的により
有利である。かかる観点から、式(2)で示される2座
リン配位子の使用量をロジウム化合物に対して少なくと
も0.7モル倍とすることが望ましい。
【0034】さらに、水による生成物の抽出の際に、一
般式(1)で示されるトリス(置換アリール)ホスファ
イトが加水分解を受けにくいようにすることも本発明を
工業的に実施する上で重要であるが、一般式(1)にお
けるR1 、R2 、R3 の炭素数が多いほどトリス(置換
アリール)ホスファイトは加水分解を受けにくくなる傾
向にある。
【0035】上記の方法によって分離された、2−メチ
ル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシ
テトラヒドロフランを含有する水層からは、減圧下に水
を蒸発させるなどの方法によって、生成物を単離するこ
とができる。なお水層はそのまま水素添加反応などに供
することもできる。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はかかる実施例によりなんら制限されるも
のではない。
【0037】実施例1 ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積300
mlの電磁攪拌式オートクレーブにジカルボニルアセチ
ルアセトナートロジウム1.29mg(0.005ミリ
モル)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト[エレクトロニックパラメーター:ν=20
85.6cm-1、ステリックパラメーター:θ=175
°]323mg(0.5ミリモル)、ビス(ジフェニル
ホスフィノ)ブタン1.36mg(0.0032ミリモ
ル)およびアリルアルコール100mlを空気に触れな
いようにして仕込み、オートクレーブ内を水素/一酸化
炭素=1/1の混合ガスで100気圧に保った。オフガ
スを10リットル/hで流しながら1000rpmで攪
拌を開始し、オートクレーブ内の温度を20分かけて1
10℃に上げた。この状態で4時間反応させ、ガスクロ
マトグラフィーにて分析したところ、原料であるアリル
アルコールの転換率は97モル%、ヒドロホルミル化選
択率は94モル%、2−メチル−3−ヒドロキシプロパ
ナールのヒドロホルミル化生成物中に占める割合は43
モル%であった。
【0038】比較例1 トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト323mgに代えてトリフェニルホスフィン[エレク
トロニックパラメーター:ν=2068.9cm-1、ス
テリックパラメーター:θ=145°]131mg
(0.5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様
の操作によりアリルアルコールのヒドロホルミル化反応
を実施したところ、原料の転換率は17モル%、ヒドロ
ホルミル化選択率は96モル%、2−メチル−3−ヒド
ロキシプロパナールのヒドロホルミル化生成物中に占め
る割合は22モル%であった。
【0039】比較例2 ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン1.36mgを使
用しないこと以外は実施例1と同様の操作によりアリル
アルコールのヒドロホルミル化反応を実施した。110
℃で2時間反応させた時点における原料の転換率は24
モル%、4時間反応させた時点での原料の転換率は26
モル%であって、実質的に反応が停止していた。
【0040】実施例2 ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積300
mlの電磁攪拌式オートクレーブにジカルボニルアセチ
ルアセトナートロジウム0.85mg(0.0033ミ
リモル)、トリス(2−t−ブチル−5−メチルフェニ
ル)ホスファイト[エレクトロニックパラメーター:ν
=2085.6cm-1、ステリックパラメーター:θ=
175°]260mg(0.5ミリモル)、ビス(ジフ
ェニルホスフィノ)ブタン1.12mg(0.0026
4ミリモル)およびアリルアルコール100mlを空気
に触れないようにして仕込み、オートクレーブ内を水素
/一酸化炭素=2/1の混合ガスで90気圧に保った。
オフガスを30リットル/hで流しながら1000rp
mで攪拌を開始し、オートクレーブ内の温度を20分か
けて100℃に上げた。この状態で10時間反応させ、
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料の転
換率は90モル%、ヒドロホルミル化選択率は93モル
%、2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールのヒドロ
ホルミル化生成物中に占める割合は48モル%であっ
た。
【0041】実施例3 ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積300
mlの電磁攪拌式オートクレーブにジカルボニルアセチ
ルアセトナートロジウム2.06mg(0.008ミリ
モル)、トリス(2−t−ブチル−5−メチルフェニ
ル)ホスファイト260mg(0.5ミリモル)、ビス
(ジフェニルホスフィノ)ブタン2.556mg(0.
006ミリモル)およびアリルアルコール100mlを
空気に触れないようにして仕込み、オートクレーブ内を
水素/一酸化炭素=2/1の混合ガスで90気圧に保っ
た。オフガスを50リットル/hで流しながら1000
rpmで攪拌を開始し、オートクレーブ内の温度を15
分かけて85℃に上げた。この状態から5時間かけてオ
ートクレーブ内の温度を95℃まで昇温しながら反応さ
せ、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料
の転換率は95モル%、ヒドロホルミル化選択率は93
モル%、2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールのヒ
ドロホルミル化生成物中に占める割合は55モル%であ
った。
【0042】実施例4 ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積300
mlの電磁攪拌式オートクレーブにジカルボニルアセチ
ルアセトナートロジウム2.06mg(0.008ミリ
モル)、トリス(2−t−ブチル−5−メチルフェニ
ル)ホスファイト260mg(0.5ミリモル)、ビス
(ジフェニルホスフィノ)ブタン2.556mg(0.
006ミリモル)、アリルアルコール50mlおよびト
ルエン50mlを空気に触れないようにして仕込み、オ
ートクレーブ内を水素/一酸化炭素=2/1の混合ガス
で100気圧に保った。オフガスを30リットル/hで
流しながら1000rpmで攪拌を開始し、オートクレ
ーブ内の温度を15分かけて85℃に上げた。この状態
から5時間かけてオートクレーブ内の温度を95℃まで
昇温しながら反応させ、ガスクロマトグラフィーにて分
析したところ、原料の転換率は96モル%、ヒドロホル
ミル化選択率は94モル%、2−メチル−3−ヒドロキ
シプロパナールのヒドロホルミル化生成物中に占める割
合は55モル%であった。
【0043】得られた反応液に水50gを添加し2分間
良く振って混合し、静置した。分離した有機層を空気に
触れないようにして取り出し、アリルアルコール50m
lを添加し、再び内容積300mlの電磁攪拌式オート
クレーブに空気に触れないようにして仕込み、オートク
レーブ内を水素/一酸化炭素=2/1の混合ガスで10
0気圧に保った。オフガスを30リットル/hで流しな
がら1000rpmで攪拌を開始し、オートクレーブ内
の温度を15分かけて85℃に上げた。この状態から5
時間かけてオートクレーブ内の温度を95℃まで昇温し
ながら反応させ、ガスクロマトグラフィーにて分析した
ところ、原料の転換率は91モル%、ヒドロホルミル化
選択率は94モル%、2−メチル−3−ヒドロキシプロ
パナールのヒドロホルミル化生成物中に占める割合は5
5モル%であった。
【0044】実施例5 ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積300
mlの電磁攪拌式オートクレーブにジカルボニルアセチ
ルアセトナートロジウム2.06mg(0.008ミリ
モル)、トリス(2−t−ブチル−5−メチルフェニ
ル)ホスファイト260mg(0.5ミリモル)、ビス
(ジフェニルホスフィノ)ブタン2.556mg(0.
006ミリモル)、トリエタノールアミン29.8mg
(0.2ミリモル)およびアリルアルコール100ml
を空気に触れないようにして仕込み、オートクレーブ内
を水素/一酸化炭素=2/1の混合ガスで90気圧に保
った。オフガスを30リットル/hで流しながら100
0rpmで攪拌を開始し、オートクレーブ内の温度を1
5分かけて60℃に上げた。この状態から18時間かけ
てオートクレーブ内の温度を90℃まで昇温しながら反
応させ、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、
原料の転換率は100モル%、ヒドロホルミル化選択率
は94モル%、2−メチル−3−ヒドロキシプロパナー
ルのヒドロホルミル化生成物中に占める割合は56モル
%であった。
【0045】参考例 実施例5で得られた反応液に水100g添加し、さらに
トルエン30gを添加して2分間よく振って混合し、静
置した後、水層を分離した。得られた水層は以下の手順
により全量を水素添加反応に供した。すなわちガス導入
口およびサンプリング口を備えた内容積500mlの電
磁攪拌式オートクレーブに、得られた水層とラネーニッ
ケル6g(水中、50%懸濁物)を空気に触れないよう
にして仕込み、オートクレーブ内を水素ガスで50気圧
に保った。オフガスを30リットル/hで流しながら1
000rpmで攪拌を開始し、オートクレーブ内の温度
を15分かけて60℃に上げた。この状態から5時間か
けてオートクレーブ内の温度を110℃まで昇温しなが
ら反応させ、ガスクロマトグラフィーにて分析したとこ
ろ、原料の転換率は100モル%であり、プロパノール
(アリルアルコールの水添物)6.3g、2−メチル−
1,3−プロパンジオール61gおよび1,4−ブタン
ジオール48.3gが生成していることが分かった。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、アリルアルコールをヒ
ドロホルミル化して、2−メチル−3−ヒドロキシプロ
パナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランを同
時に製造する方法であって、2−メチル−3−ヒドロキ
シプロパナールへの選択率が高く、反応速度の大きな工
業的に有利な方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07F 9/145 9450−4H C07F 9/50 9/50 C07B 61/00 300 // C07B 61/00 300 C07D 307/32 Z (72)発明者 時任 康雄 東京都中央区日本橋2−3−10 株式会社 クラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ロジウム化合物、(b)エレクトロニ
    ックパラメーターが2080〜2090cm-1でありか
    つステリックパラメーターが135〜190°である一
    般式(1) P(OR1 )(OR2 )(OR3 ) (1) (式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ炭素数7以上の置
    換アリール基を表す)で示されるトリス(置換アリー
    ル)ホスファイト、および一般式(2) 【化1】 (式中、A1 およびA2 はそれぞれアリール基を表し、
    4 およびR5 はそれぞれアリール基または炭素数4以
    上の飽和炭化水素基を表し、Zは炭素数2〜10の2価
    の飽和脂肪族炭化水素基を表す)で示される2座リン配
    位子の存在下にアリルアルコールを水素および一酸化炭
    素と反応させることを特徴とする2−メチル−3−ヒド
    ロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロ
    フランの製造方法。
  2. 【請求項2】 非水性有機溶媒を反応溶媒として用い、
    反応溶液中のヒドロホルミル化生成物を水で抽出するこ
    とにより触媒とヒドロホルミル化生成物の分離を行な
    い、得られた有機層の少なくとも一部を再びヒドロホル
    ミル化工程に循環することを特徴とする請求項1に記載
    の2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−
    ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法。
JP35264195A 1995-12-28 1995-12-28 2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法 Pending JPH09176076A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35264195A JPH09176076A (ja) 1995-12-28 1995-12-28 2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35264195A JPH09176076A (ja) 1995-12-28 1995-12-28 2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09176076A true JPH09176076A (ja) 1997-07-08

Family

ID=18425440

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35264195A Pending JPH09176076A (ja) 1995-12-28 1995-12-28 2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09176076A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002088365A1 (fr) * 2001-04-25 2002-11-07 Kaneka Corporation Procede de production de coenzyme q¿10?
JP2007320944A (ja) * 2006-06-05 2007-12-13 Kuraray Co Ltd 2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの製造方法
FR2993557A1 (fr) * 2012-07-23 2014-01-24 Arkema France Synthese de methyl propane diol a partir d'alcool allylique

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002088365A1 (fr) * 2001-04-25 2002-11-07 Kaneka Corporation Procede de production de coenzyme q¿10?
JP2007320944A (ja) * 2006-06-05 2007-12-13 Kuraray Co Ltd 2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの製造方法
FR2993557A1 (fr) * 2012-07-23 2014-01-24 Arkema France Synthese de methyl propane diol a partir d'alcool allylique
WO2014016491A1 (fr) 2012-07-23 2014-01-30 Arkema France Synthese de methyl propane diol a partir d'alcool allylique

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS5935378B2 (ja) 乳酸の製造方法
JPH09176076A (ja) 2−メチル−3−ヒドロキシプロパナールおよび2−ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法
US20050222452A1 (en) Process for preparing dioxy-functionalized propane compounds
JP2002535321A (ja) ホルミルテトラヒドロフラン及びその水和物の混合物水溶液の製造
US7538061B2 (en) One-step production of 1,3-propanediol from ethylene oxide and syngas with a cobalt-iron catalyst
JP3419503B2 (ja) 2−ホルミル−1,4−ブタンジオールの製造方法
JPH06279344A (ja) ヒドロキシブチルアルデヒド類の製法
JPH0819028B2 (ja) ヒドロホルミル化方法
JP4578592B2 (ja) 3−ホルミルテトラヒドロフランの製造方法
JPH06279345A (ja) ヒドロキシブチルアルデヒドの製法
JP2656257B2 (ja) ビニル化合物のヒドロホルミル化法
JP4290229B2 (ja) 2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフランの製造方法
JP6835403B2 (ja) ジアルデヒド化合物の製造方法
JP3828161B2 (ja) 不飽和アセタールのヒドロホルミル化方法
US11613510B2 (en) Methylcyclohexane as allyl alcohol hydroformylation solvent
JPS58185534A (ja) アルデヒドの製造法
JPH08295683A (ja) 3−ホルミルテトラヒドロフランの製造法
JPH0720978B2 (ja) ホスホニウム塩ならびにその製造方法
JPH0317039A (ja) アルデヒドの製造法
JPH06199730A (ja) ヒドロキシブチルアルデヒド類の製造方法
WO2022066596A1 (en) Co-feeding ethylene with allyl alcohol in hydroformylation to make 1,4-butanediol and n-propanol
JPH06107586A (ja) 1,4−ブタンジアールモノアセタールの製造方法
US20070197834A1 (en) Bisphosphite and process for producing aldehyde compound with the bisphosphite
JPH06234759A (ja) 1,4−ブタンジアールモノアセタールの製造方法
JPH06166653A (ja) ヒドロキシブチルアルデヒドの製造方法