JPH09170635A - 筒型マウント装置およびその製造方法 - Google Patents

筒型マウント装置およびその製造方法

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JPH09170635A
JPH09170635A JP33013195A JP33013195A JPH09170635A JP H09170635 A JPH09170635 A JP H09170635A JP 33013195 A JP33013195 A JP 33013195A JP 33013195 A JP33013195 A JP 33013195A JP H09170635 A JPH09170635 A JP H09170635A
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良二 神田
Mutsuhiro Hirasawa
睦弘 平沢
Hideki Nishimura
英己 西村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂製ブラケットを備えた筒型マウント
装置において、部材の大型化等を伴うことなくブラケッ
トの耐入力荷重強度を向上せしめること。 【解決手段】 ブラケット12に組み付けられる本体ゴ
ム弾性体18におけるマウント装着孔14への取付面に
補強金具30を固着すると共に、この補強金具30の外
周面に取付ゴム層32を設けて、該取付ゴム層32の外
周面をブラケット12のマウント装着孔14の内周面に
接着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車用エンジンマウント等に
用いられる筒型マウント装置に係り、特に合成樹脂製の
ブラケットを備えた筒型マウント装置に関するものであ
る。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装されて、それら両部材を防振連結するマウント装置
の一種として、防振連結される一方の部材に取り付けら
れるブラケットにマウント装着孔を設けて、防振連結さ
れる他方の部材に取り付けられる軸部材を、かかるマウ
ント装着孔に内挿配置すると共に、これら軸部材とブラ
ケットを本体ゴム弾性体を介して弾性的に連結せしめた
構造の筒型マウント装置が知られており、自動車用エン
ジンマウントやデフマウント,サスペンションブッシュ
等に用いられている。
【0003】また、近年では、軽量化や低コスト化等を
目的として、実開平6−76731号公報等に記載され
ているように、合成樹脂製のブラケットを採用すること
が検討されている。ところが、本体ゴム弾性体の外周面
を、直接に、合成樹脂製のブラケットにおけるマウント
装着孔の内周面に固着すると、軸部材とブラケットの間
への荷重入力時に、本体ゴム弾性体とブラケットの間に
局部的な集中荷重が作用し易いために、十分なブラケッ
ト強度を確保しようとするとブラケットの大型化が避け
られないという問題があった。しかも、本体ゴム弾性体
に大きな変形が惹起された際に、本体ゴム弾性体とブラ
ケットとの取付面間に隙間等が生ずるおそれがあり、本
体ゴム弾性体とブラケットの固着強度を十分に得ること
が難しいという問題もあった。
【0004】なお、このような問題に対処するために、
本体ゴム弾性体の外周面に金属プレートを加硫接着し、
該金属プレートを介して、本体ゴム弾性体を合成樹脂製
のブラケットのマウント装着孔に固着せしめることも考
えられるが、このような構造では、金属と合成樹脂の接
着強度を安定して得ることが難しいことに加えて、金属
と合成樹脂の熱膨張差に起因して、金属プレートとブラ
ケットの接着面が分離し、ガタ等が発生して耐久性が低
下するおそれがあるために、必ずしも有効な方策ではな
い。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、部材の大型化等を伴うことなくブラケット
の耐入力荷重強度を有利に確保することのできる、合成
樹脂製ブラケットを備えた筒型マウント装置を提供する
ことにある。
【0006】また、本発明は、本体ゴム弾性体とブラケ
ットの固着強度を有利に且つ優れた耐久性をもって確保
することのできる、合成樹脂製ブラケットを備えた筒型
マウント装置を提供することも、目的とする。
【0007】
【解決手段】かかる課題を解決するために、本発明の特
徴とするところは、合成樹脂製のブラケットに設けられ
たマウント装着孔に軸部材を内挿配置すると共に、それ
ら軸部材とブラケットを本体ゴム弾性体を介して弾性的
に連結せしめた筒型マウント装置において、前記本体ゴ
ム弾性体の外周面に補強金具を固着すると共に、該補強
金具の外周面に取付ゴム層を接着して、該取付ゴム層の
外周面を前記ブラケットのマウント装着孔の内周面に接
着したことにある。
【0008】このような本発明に従う構造とされた筒型
マウント装置においては、本体ゴム弾性体の外周面に配
設された補強金具によって、本体ゴム弾性体に惹起され
る局部的な応力が分散されてブラケットに伝達されるこ
とから、ブラケットに対する集中的な作用荷重が軽減乃
至は防止されて、ブラケットの耐入力荷重強度が有利に
確保されるのである。
【0009】また、かかる筒型マウント装置において
は、本体ゴム弾性体の外周面に固着された補強金具が、
取付ゴム層を介して、ブラケットに接着されていること
から、補強金具を直接に合成樹脂製ブラケットに接着す
る場合に比して、補強金具をブラケットに対して強固に
固着することが出来、それによって、本体ゴム弾性体を
ブラケットに対して大きな固着強度と優れた耐久性をも
って取り付けることが出来るのである。
【0010】すなわち、補強金具と合成樹脂製ブラケッ
トの間に取付ゴム層を介在せしめて、補強金具と合成樹
脂製ブラケットの固着強度を、補強金具と取付ゴム層の
接着強度と取付ゴム層と合成樹脂製ブラケットの接着強
度によって得るようにして、十分な接着強度を得ること
が難しい金属と合成樹脂の接着面を無くしたことから、
補強金具を合成樹脂製ブラケットに対して容易に且つ強
固に固着することが出来るのである。
【0011】しかも、補強金具と合成樹脂製ブラケット
の熱膨張差に起因して、それら両部材間に作用する力
も、それら両部材間に介在せしめられた取付ゴム層によ
って吸収されて、接着面への悪影響が軽減され、ガタ等
の発生が防止されることから、補強金具とブラケットの
固着部分において一層優れた耐久性が発揮されるのであ
る。
【0012】本発明において、本体ゴム弾性体の外周面
に対する補強金具の固着構造は、特に限定されるもので
なく、本体ゴム弾性体の加硫成形後に適当な接着剤を用
いて補強金具を接着したり、本体ゴム弾性体の外周面に
接着した適当な取付部材に対して補強金具をかしめ等で
嵌着固定したりすること等も可能であるが、好ましく
は、補強金具が本体ゴム弾性体の外周面に対して加硫接
着せしめられ、それによって、補強金具を本体ゴム弾性
体に対して容易に且つ強固に固着することが出来る。
【0013】また、本発明において採用されるブラケッ
トは、少なくともマウント装着孔を有していれば良く、
具体的形状や構造は何等限定されるものでない。例え
ば、所定のマウント装着部材に嵌着される円筒形外周面
を有するものや、マウント装着部材に取り付けるための
ボルト挿通孔等を備えた脚部を有するものなどが採用さ
れ得る。
【0014】また、本発明において採用される取付ゴム
層の厚さは、特に限定されるものでないが、好ましく
は、0.8mm〜2.5mm程度に設定される。即ち、特に
このような取付ゴム層の厚さを採用することによって、
本体ゴム弾性体によるマウントばね特性への大きな影響
を伴うことなく、上述の如き効果を有効に奏し得る取付
ゴム層を、良好なる成形性をもって形成することが出来
るのである。
【0015】さらに、本発明においては、請求項2に記
載されているように、補強金具の軸方向両側に、ブラケ
ットにおけるマウント装着孔の開口端面を覆うフランジ
部を一体形成することも可能であり、それによって、ブ
ラケットの部材強度の向上が図られて、ブラケットの軸
方向端面への他部材の当接等に起因するブラケットの損
傷等が効果的に防止される。
【0016】また、取付ゴム層は、適当な材質で本体ゴ
ム弾性体と別形成して補強金具に接着すること等も可能
であるが、本体ゴム弾性体と一体形成することにより容
易に形成することが出来、特に、請求項3に記載されて
いるように、本体ゴム弾性体と取付ゴム層を一体形成し
て補強金具に加硫接着せしめることにより、本体ゴム弾
性体と取付ゴム層を補強金具に対して容易に且つ強固に
固着することが出来る。
【0017】さらに、本発明において、補強金具は、本
体ゴム弾性体をブラケットに直接に接着する必要がない
ように、本体ゴム弾性体の外周面におけるブラケットへ
の固着面の略全面に亘って配設されていれば良く、必ず
しも本体ゴム弾性体の外周面の全体を覆うように配設す
る必要はない。
【0018】例えば、請求項4に記載されているよう
に、軸部材とブラケットのマウント装着孔との間に、周
方向に略半周に亘って広がって軸方向に貫通する空所が
設けられており、本体ゴム弾性体における該空所形成部
分とは反対側の略半周に亘る外周面において、本体ゴム
弾性体がブラケットに固着される場合には、かかる空所
形成部分を除く、該空所形成部分とは反対側の略半周に
亘る外周面に対して、補強金具を固着せしめることが望
ましい。このような構造の筒型マウント装置において
は、空所の形成によって、本体ゴム弾性体における引張
応力の発生を軽減乃至は防止することが出来ると共に、
筒状の補強金具を用いる必要がないことから、補強金具
をプレス成形等で容易に形成することが出来るといった
利点がある。
【0019】また、本発明においては、請求項5に記載
されているように、本体ゴム弾性体の外周面に開口する
ポケット部を設けると共に、該本体ゴム弾性体に筒状の
補強金具を外挿して該ポケット部を覆蓋することによ
り、内部に非圧縮性流体が封入された流体室を形成する
ことも可能であり、それによって、内部に封入された流
体の流動作用に基づく防振効果を利用することが可能と
なる。なお、ポケット部開口の補強金具によるシール性
を十分に確保するためには、本体ゴム弾性体の外周面に
シールスリーブを固着せしめて、該シールスリーブに補
強金具を外嵌固定し、シールスリーブと補強金具の嵌着
面間でシール性を得るようにした構造等を採用すること
が有効である。
【0020】さらに、本発明は、合成樹脂製のブラケッ
トに設けられたマウント装着孔に軸部材を内挿配置する
と共に、それら軸部材とブラケットを本体ゴム弾性体を
介して弾性的に連結せしめた筒型マウント装置の製造方
法であって、(a)前記軸部材が取り付けられた前記本
体ゴム弾性体の外周面に補強金具が固着されると共に、
該補強金具の外周面に取付ゴム層が接着されたマウント
本体を準備する工程と、(b)該マウント本体における
前記取付ゴム層の外周面に接着剤を塗布して接着剤層を
形成する工程と、(c)該マウント本体を成形型にセッ
トし、該成形型に樹脂材料を充填することにより、前記
ブラケットを形成すると共に、前記マウント本体の取付
ゴム層を、該ブラケットの前記マウント装着孔に対し
て、前記接着剤層を介して接着せしめる工程とを、有す
る筒型マウント装置の製造方法をも、特徴とする。
【0021】なお、取付ゴム層の外周面に接着剤層を形
成する接着剤としては、例えば、特公平7−55510
号公報等に開示されているようなクロロスルホン化ポリ
エチレン系の接着剤が好適に用いられ、より好ましく
は、マウント本体を加熱して接着剤層を活性化した状態
においてブラケット用成形型にセットし、加熱溶融した
樹脂材料を成形キャビティに充填することによって、取
付ゴム層とブラケットの接着が有利に為され得る。
【0022】このような本発明方法に従えば、ブラケッ
トの成形と同時に、取付ゴム層をブラケットに接着せし
めて、マウント本体をブラケットに組み付けることがで
きることから、請求項1に記載された本発明に係る筒型
マウント装置を、容易に製造することが出来ると共に、
ブラケット成形時の樹脂充填圧で取付ゴム層に圧縮力を
加えたり、補強金具を変形させて本体ゴム弾性体に予圧
縮を及ぼすことも可能となるのである。
【0023】なお、本発明に係る筒型マウント装置の製
造方法は、このような方法に限定されるものではなく、
例えば、マウント本体とブラケットを別途形成し、マウ
ント本体の取付ゴム層およびブラケットのマウント装着
孔の少なくとも何れかに接着剤を塗布した後に、マウン
ト本体をブラケットのマウント装着孔に圧入して組み付
けること等も可能である。
【0024】
【発明の実施の形態・実施例】以下、本発明を更に具体
的に明らかにするために、本発明の実施例について、図
面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0025】先ず、図1及び図2には、本発明の第一の
実施例としての自動車用エンジンマウント10が示され
ている。このエンジンマウント10は、ブラケット12
のマウント装着孔14に対して軸部材としての内筒金具
16が挿通配置されると共に、それら内筒金具16とブ
ラケット12が本体ゴム弾性体18によって弾性的に連
結された構造を有している。そして、かかるエンジンマ
ウント10は、内筒金具16およびブラケット12が、
パワーユニットおよび車体の各何れか一方に取り付けら
れることにより、パワーユニットを車体に対して防振支
持せしめるようになっている。なお、そのような装着状
態下では、本体ゴム弾性体18に対して、パワーユニッ
トによる載荷重が及ぼされることとなる。
【0026】より詳細には、ブラケット12は、繊維補
強されたポリアミド樹脂等の合成樹脂材料によって形成
されており、略厚肉板状の基板部20と、該基板部20
の一方の面上に突出して一体形成された略半円筒状乃至
はトンネル状の筒体部22とを有している。そして、こ
の筒体部22の内孔によってマウント装着孔14が構成
されている。
【0027】また、基板部20の幅方向両側は、筒体部
22から外方に所定長さで張り出しており、これら各張
出部分26に複数の固着金具28が埋設されている。そ
して、各固着金具28に挿通されるボルト等によって、
ブラケット12が、図示しないパワーユニット側または
車体側に取り付けられるようになっている。
【0028】さらに、ブラケット12におけるマウント
装着孔14には、内筒金具16が挿通配置されている。
この内筒金具16は、ブラケット12の筒体部22より
も僅かに軸方向長さが長い小径の円筒形状を有してお
り、マウント装着孔14の中空部分に位置して、筒体部
22の軸方向と略平行に配設されている。
【0029】そして、これら内筒金具16とブラケット
12の筒体部22の間に、本体ゴム弾性体18が介装さ
れて、マウント装着孔14に収容配置されている。この
本体ゴム弾性体18は、ブラケット装着孔14の内周面
形状に略対応した外周面形状を有しており、ブラケット
12の基板部20側には、内筒金具16とブラケット1
2の間を周方向に略半周に亘って延びて軸方向に貫通す
る空所29が設けられている。
【0030】また、ゴム弾性体18において、空所29
の形成部分とは反対側の略半周に亘る半円状の外周面に
は、補強金具としての薄肉の金属プレート30が加硫接
着されている。この金属プレート30は、薄板材をプレ
ス加工で湾曲させること等によって形成されて、全体と
して下方に開口する略半円断面の溝形状を有しており、
ブラケット12における筒体部22の半円状部内径より
も僅かに小さな外径寸法の断面半円形状とされている。
【0031】更にまた、この金属プレート30の外周面
には、その略全面を覆うように薄肉の取付ゴム層32が
形成されている。特に本実施例では、取付ゴム層32
が、本体ゴム弾性体18と一体形成されており、これら
取付ゴム層32と本体ゴム弾性体18が、金属プレート
30の内外周面に対して加硫接着されている。なお、金
属プレート30には、複数の連通孔34が表裏に貫通し
て設けられており、これらの連通孔34を通じて、本体
ゴム弾性体18と取付ゴム層32が一体的に接続されて
いる。
【0032】そして、この取付ゴム層32の外周面が、
ブラケット12のマウント装着孔14の内周面に対して
接着されることにより、本体ゴム弾性体18が、その外
周面側においてブラケット12に対して取り付けられて
いるのであり、それによって、内筒金具16が、ブラケ
ット12に対して、本体ゴム弾性体18を介して弾性的
に連結されている。
【0033】なお、本実施例では、内筒金具16がブラ
ケット12の基板部20側から離隔する方向(図1中、
上方向)に変位するように、内筒金具16とブラケット
12の間にパワーユニットによる載荷重が及ぼされるよ
うになっており、その際、空所29によって、本体ゴム
弾性体18における引張応力の発生が軽減乃至は防止さ
れるようになっている。また、本体ゴム弾性体18に
は、内筒金具16を挟んだ径方向で空所29に対向位置
する部分に、軸方向に貫通するスリット38が設けられ
ており、本体ゴム弾性体18のばね特性が調節されてい
る。
【0034】また、本実施例では、金属プレート30の
軸方向両側において、径方向外方に向かって広がるフラ
ンジ状部36が一体形成されている。そして、これらの
フランジ状部36,36が、ブラケット12の筒体部2
2の軸方向端面に対して、薄肉の取付ゴム層32を介し
て重ね合わされており、それによって、筒体部22の軸
方向端面を覆う保護カバーが構成されている。
【0035】ここにおいて、取付ゴム層32のブラケッ
ト12への接着は、例えば、内筒金具16と金属プレー
ト30を有する本体ゴム弾性体18および取付ゴム層3
2の一体加硫成形品であるマウント本体を製作した後、
その取付ゴム層32の外周面に適当な接着剤を塗布する
こと等によって接着剤層を形成し、更に、マウント本体
をブラケット12の成形型にセットせしめて、接着剤層
の外周側に形成された成形キャビティに加熱溶融した合
成樹脂材料を充填してブラケット12を成形することに
よって、ブラケット12の形成と同時に有利に為され得
る。なお、接着剤としては、クロロスルホン化ポリエチ
レンを主成分とする加硫接着剤が好適に用いられ、取付
ゴム層32の外周面上に接着剤層を形成した後、マウン
ト本体をオーブン等で加熱して加硫接着剤を活性化した
状態下で、加硫接着剤層の外周側でブラケット12を成
形することによって、取付ゴム層32とブラケット12
とをより強固に接着することが出来る。
【0036】上述の如き構造とされたエンジンマウント
10においては、本体ゴム弾性体18のブラケット12
に対する取付面の略全面に亘って金属プレート30が配
設されており、内筒金具16とブラケット12の間に荷
重が入力された際、本体ゴム弾性体18に惹起される応
力が、この金属プレート30によって広い範囲に分散さ
れてブラケット12に伝達されることから、ブラケット
12に対する局部的な荷重作用が防止されて、エンジン
マウント10の耐入力荷重強度が有利に確保されるので
ある。
【0037】また、かかるエンジンマウント10におい
ては、金属プレート30が、取付ゴム層32を介して、
合成樹脂製のブラケット12に接着されていることか
ら、金属プレート30を直接にブラケット12に接着す
る場合に比して、大きな接着強度を容易に且つ安定して
得ることができる。しかも、金属プレート30とブラケ
ット12の熱膨張差等に起因する隙間の発生も、取付ゴ
ム層32によって吸収されることから、金属プレート3
0とブラケット12の間における接着剥離やガタの発生
等が一層効果的に防止され得、優れた耐久性が発揮され
るのである。
【0038】更にまた、本実施例のエンジンマウント1
0においては、ブラケット12の筒体部22における軸
方向端面が、金属プレート30に一体形成されたフラン
ジ状部36によって保護されていることから、パワーユ
ニット側がマウント軸方向に変位して筒体部22の軸方
向端面に当接した場合等においても、ブラケット12の
損傷が防止されるといった利点があり、そのようなブラ
ケット12の損傷防止が、特別な部品の増加等を伴うこ
となく効果的に達成され得るのである。
【0039】なお、このようなフランジ状部36による
筒体部22の保護カバー構造は、必ずしも採用する必要
はなく、本発明においては、例えば図3に示されている
ように、フランジ状部を有しない金属プレート30を採
用することも可能である。図3においては、理解を容易
とするために、第一実施例と対応する部材および部位に
対して、それぞれ、図中に、第一実施例と同一の符号を
付しておく。
【0040】次に、図4及び図5には、本発明の第二の
実施例としてのエンジンマウント40が示されている。
このエンジンマウント40は、合成樹脂製のブラケット
42のマウント装着孔44に対して、内部に非圧縮性流
体が封入された筒型マウント本体46が組み付けられて
おり、この筒型マウント本体46の内筒金具48および
ブラケット42が、パワーユニットおよび車体の各何れ
か一方に取り付けられることにより、パワーユニットを
車体に対して防振支持せしめるようになっている。
【0041】ここにおいて、ブラケット42は、略厚肉
板状の基板部50と、該基板部50の一方の面上に突出
して一体形成された略円筒形状の筒体部52とを有して
いる。そして、この筒体部52における円形断面の内孔
によってマウント装着孔44が構成されている。また、
基板部50の幅方向両側は、筒体部52から外方に所定
長さで張り出しており、これら各張出部分56と筒体部
52の間に跨がって補強リブ58が設けられていると共
に、各張出部分56に複数の固着金具60が埋設せしめ
られ、各固着金具60に挿通されるボルト等によって、
ブラケット42が、図示しないパワーユニット側または
車体側に取り付けられるようになっている。
【0042】一方、筒型マウント本体46は、内筒金具
48と補強金具としての外筒金具62が、互いに径方向
に所定距離を隔てて、且つ僅かに偏心して配設されてい
ると共に、かかる内筒金具48と外筒金具62が、それ
らの間に介装された本体ゴム弾性体64によって連結さ
れており、外筒金具62がブラケット42のマウント装
着孔44に取り付けられることによって、ブラケット4
2に組み付けられている。なお、車両への装着時には、
パワーユニットの載荷重入力にて本体ゴム弾性体64が
弾性変形することにより、内筒金具48と外筒金具62
が略同軸的に位置せしめられることとなる。
【0043】より詳細には、内筒金具48は小径円筒形
状を有しており、軸方向中央部分には、ストッパ金具6
3が径方向外方に突出して固着されている。また、内筒
金具48の径方向外方には、シールスリーブ66が、所
定距離を隔てて、且つ僅かに偏心して配設されている。
このシールスリーブ66は、薄肉の略円筒形状を有して
おり、内筒金具48に対する偏心方向で対向位置する径
方向両側部分に、第一の窓部68と第二の窓部70が設
けられていると共に、第二の窓部70の周方向中央部分
には、径方向内方に突出して第二の窓部70の軸方向両
側縁部間に跨がって延びるストッパ部72が一体的に形
成されている。また、第一の窓部68と第二の窓部70
の周方向両側の端縁部間には、それぞれ、周方向に延び
る凹溝74が設けられている。
【0044】そして、これら内筒金具48とシールスリ
ーブ66の間に、全体として略厚肉円筒形状を有する本
体ゴム弾性体64が介装されており、内筒金具48とシ
ールスリーブ66が、本体ゴム弾性体64の内外周面に
対してそれぞれ加硫接着されている。また、本体ゴム弾
性体64には、内筒金具16を挟んだ径方向両側におい
て、第一の窓部68を通じて外周面に開口する第一のポ
ケット部76と、第二の窓部70を通じて外周面に開口
する第二のポケット部78が設けられている。更に、第
二のポケット部78の底壁部は、本体ゴム弾性体64に
形成されたスリット80によって薄肉化されて変形容易
な可撓性膜82とされている。また、第一のポケット部
76の底部中央には、ストッパ金具63が突出位置せし
められて緩衝ゴム84で被覆されている一方、第二のポ
ケット部78の底部中央には、ストッパ部72の外周面
上にストッパゴム86が突出形成されている。
【0045】さらに、内筒金具48やシールスリーブ6
6等を有する本体ゴム弾性体64の一体加硫成形品に対
して、外筒金具62が外挿されて、圧入や絞り加工等に
よってシールスリーブ66に嵌着固定されている。この
外筒金具62は、ブラケット42のマウント装着孔44
の内径よりも僅かに小さな外径寸法を有する薄肉の円筒
形状を呈しており、その内周面が、略全面に亘って薄肉
のシールゴム層88で覆われていると共に、その外周面
が、略全面に亘って薄肉の取付ゴム層90で覆われてい
る。即ち、外筒金具62の内外周面には、シールゴム層
88と取付ゴム層90が一体加硫接着されているのであ
る。
【0046】そして、外筒金具62がシールスリーブ6
6に外嵌されて、それらの間でシールゴム層88が挟圧
されることにより、第一のポケット部76と第二のポケ
ット部78が流体密に覆蓋されて、それぞれ内部に水や
アルキレングリコール等の所定の非圧縮性流体が封入さ
れた受圧室92と平衡室94が形成されていると共に、
凹溝74,74が覆蓋されて、それら受圧室92と平衡
室94を相互に連通するオリフィス通路96,96が形
成されている。
【0047】すなわち、このような構造とされた筒型マ
ウント本体46にあっては、内筒金具48と外筒金具6
2の間に、受圧室92と平衡室94が対向位置する径方
向の振動が入力された際、壁部の一部が本体ゴム弾性体
64で構成されて内圧変動が惹起される受圧室92と、
壁部の一部が可撓性膜82で構成されて容積変化が許容
される平衡室94の間で、相対的な内圧変動が生ぜしめ
られて、オリフィス通路96,96を通じての流体流動
が惹起されるのであり、以て、かかる流体の共振作用等
の流動作用に基づいて、所定の防振効果が発揮されるこ
ととなる。また、過大な振動荷重の入力時には、ストッ
パ金具63とストッパゴム86の外筒金具62への当接
によって、内筒金具48と外筒金具62の相対的変位量
乃至は本体ゴム弾性体64の変形量が制限されることと
なる。
【0048】そうして、このような筒型マウント本体4
6は、前記第一の実施例と同様、例えば、取付ゴム層9
0の外周面に適当な接着剤を塗布すること等によって接
着剤層を形成した後、ブラケット42の成形型にセット
せしめて、接着剤層の外周側に形成された成形キャビテ
ィに加熱溶融した合成樹脂材料を充填してブラケット4
2を成形することにより、該筒型マウント本体46の外
周面がブラケット42の筒体部52に接着せしめられ
て、ブラケット42のマウント装着孔44内に固定的に
組み付けられるのであり、それによって、目的とするエ
ンジンマウント40とされる。なお、筒体部52の軸方
向両側の開口周縁部には、径方向内方に突出する環状突
部98が一体形成されており、これらの環状突部98,
98が、筒型マウント本体46の外筒金具62およびシ
ールスリーブ66の軸方向端面に当接されることによっ
て、ブラケット42の筒型マウント本体46に対する軸
方向保持力が確保されている。
【0049】すなわち、このような構造とされた本実施
例のエンジンマウント40においても、前記第一の実施
例のエンジンマウントと同様な効果が、何れも有効に発
揮されるのであり、特に、第一及び第二のポケット部7
6,78を閉塞する外筒金具62を補強金具として用い
たことにより、補強金具として特別な部材を用いる必要
がなく、構造が簡単で製造が容易であるといった利点が
ある。
【0050】また、本実施例では、補強金具が円筒形状
の外筒金具62によって構成されていることから、外筒
金具62の外側に形成された成形キャビティに樹脂材料
を充填してブラケット42を形成する際、樹脂材料の充
填圧を外筒金具62に及ぼして、外筒金具62をシール
スリーブ66に圧着せしめたり、更に本体ゴム弾性体6
4に予圧縮を加えたりすることも、可能である。
【0051】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、か
かる具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0052】例えば、本体ゴム弾性体の外周面における
ブラケットへの固着面が、周方向に複数箇所に分割され
て存在する場合には、それらの各固着面上に位置するよ
うに、複数に分割された補強金具を本体ゴム弾性体に固
着せしめるようにしても良い。
【0053】また、ブラケットのマウント装着孔の形状
は、マウント配設スペースや入力荷重等を考慮して本体
ゴム弾性体の外周面形状等に応じて決定されるものであ
り、例示の如き半円筒形状や円筒形状の他、矩形筒形状
等各種の形状が適宜に採用可能である。
【0054】加えて、前記実施例では、本発明を自動車
用エンジンマウントに適用したものの具体例を示した
が、本発明は、その他、自動車用ボデーマウントやデフ
マウント,ブッシュ等、或いは自動車以外の各種筒型マ
ウント装置に対して、適用可能であることは、言うまで
もない。
【0055】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0056】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた筒型マウント装置においては、本体
ゴム弾性体に惹起される応力が補強金具によって広い範
囲に分散されてブラケットに伝達され、ブラケットに対
する局部的な荷重作用が防止されることから、ブラケッ
トの大型化等を伴うことなく、ブラケット延いては筒型
マウント装置の耐入力荷重強度が有利に確保されるので
ある。
【0057】しかも、本体ゴム弾性体の外周面に固着さ
れた補強金具が、取付ゴム層を介して、ブラケットに接
着されていることから、取付ゴム層の接着作用および弾
性変形作用によって、補強金具をブラケットに対して強
固に固着することが出来ると共に、補強金具とブラケッ
トの固着部位におけるガタ等が防止されて優れた耐久性
が発揮されるのである。
【0058】また、本発明方法に従えば、ブラケットの
成形と同時に、マウント本体をブラケットに組み付けて
固着せしめることが出来るのであり、本発明に従う構造
とされた筒型マウント装置を容易に製作することが可能
となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例としてのエンジンマウン
トを示す横断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの縦断面図で
ある。
【図3】図1に示されたエンジンマウントの他の実施形
態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第二の実施例としてのエンジンマウン
トを示す横断面図である。
【図5】図4に示されたエンジンマウントの縦断面図で
ある。
【符号の説明】
10,40 エンジンマウント 12,42 ブラケット 14,44 マウント装着孔 16,48 内筒金具 18,64 本体ゴム弾性体 30 金属プレート 32 取付ゴム層 46 筒型マウント本体 62 外筒金具 90 取付ゴム層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂製のブラケットに設けられたマ
    ウント装着孔に軸部材を内挿配置すると共に、それら軸
    部材とブラケットを本体ゴム弾性体を介して弾性的に連
    結せしめた筒型マウント装置において、 前記本体ゴム弾性体の外周面に補強金具を固着すると共
    に、該補強金具の外周面に取付ゴム層を接着して、該取
    付ゴム層の外周面を前記ブラケットのマウント装着孔の
    内周面に接着したことを特徴とする筒型マウント装置。
  2. 【請求項2】 前記補強金具の軸方向両側に、前記ブラ
    ケットにおけるマウント装着孔の開口端面を覆うフラン
    ジ部が一体形成されている請求項1に記載の筒型マウン
    ト装置。
  3. 【請求項3】 前記本体ゴム弾性体の外周面に前記補強
    金具が加硫接着されていると共に、前記取付ゴム層が該
    本体ゴム弾性体と一体形成されて該補強金具に加硫接着
    されている請求項1又は2に記載の筒型マウント装置。
  4. 【請求項4】 前記軸部材と前記ブラケットのマウント
    装着孔との間に、周方向に略半周に亘って広がって軸方
    向に貫通する空所が設けられており、前記本体ゴム弾性
    体における該空所形成部分とは反対側の略半周に亘る外
    周面に、前記補強金具が固着されている請求項1乃至3
    の何れかに記載の筒型マウント装置。
  5. 【請求項5】 前記本体ゴム弾性体の外周面に開口する
    ポケット部を設けると共に、該本体ゴム弾性体に筒状の
    前記補強金具を外挿して該ポケット部を覆蓋することに
    より、内部に非圧縮性流体が封入された流体室が形成さ
    れている請求項1又は2に記載の筒型マウント装置。
  6. 【請求項6】 合成樹脂製のブラケットに設けられたマ
    ウント装着孔に軸部材を内挿配置すると共に、それら軸
    部材とブラケットを本体ゴム弾性体を介して弾性的に連
    結せしめた筒型マウント装置の製造方法であって、 前記軸部材が固着された前記本体ゴム弾性体の外周面に
    補強金具を固着すると共に、該補強金具の外周面に取付
    ゴム層を接着したマウント本体を準備する工程と、 該マウント本体における前記取付ゴム層の外周面に接着
    剤を塗布して接着剤層を形成する工程と、 該マウント本体を成形型にセットし、該成形型に樹脂材
    料を充填することにより、前記ブラケットを形成すると
    共に、前記マウント本体の取付ゴム層を、該ブラケット
    の前記マウント装着孔に対して、前記接着剤層を介して
    接着せしめる工程とを、有することを特徴する筒型マウ
    ント装置の製造方法。
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