JPH09177866A - 防振装置の製造方法及び防振装置 - Google Patents

防振装置の製造方法及び防振装置

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JPH09177866A
JPH09177866A JP34372695A JP34372695A JPH09177866A JP H09177866 A JPH09177866 A JP H09177866A JP 34372695 A JP34372695 A JP 34372695A JP 34372695 A JP34372695 A JP 34372695A JP H09177866 A JPH09177866 A JP H09177866A
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liquid chamber
elastic body
vibration
liquid
bracket
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JP34372695A
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Hiroshi Kojima
宏 小島
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラケットの成形前に液室内に液体を充填し
て鋼性を高める。 【解決手段】 弾性体18と隔離金具20との間は加硫
接着されて連結される。隔離金具20及び弾性体18の
凹部18Aにより空間部24が形成され、ダイヤフラム
30でこの空間部24を封止することで、空間部24内
に液室32が形成される。さらに仕切部材34及びダイ
ヤフラム30が液室32を覆うキャップ28により固着
される。液室32内に液体が充填された後、弾性体18
の下側に合成樹脂材料製の支持円筒16が成形されて配
置され、支持円筒16の内周面と弾性体18の外周面と
が接着される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動発生部からの
振動の伝達を防止する防振装置及びこのような防振装置
を製造する際に適用される防振装置の製造方法に関し、
振動を発生する部材を支持する自動車、建設機械、一般
産業用機械などのマウント類及びこれらマウント類の製
造に適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、車両の振動発生部となるエンジ
ンと振動受け部となる車体との間には、エンジンマウン
トとしての防振装置が配設されていて、エンジンが発生
する振動をこの防振装置が吸収し、車体側に伝達される
のを阻止するような構造となっている。
【0003】すなわち、この防振装置としては、防振装
置の内部に弾性体及び一対の液室を設けると共に、オリ
フィスとなる制限通路でこれらの液室を互いに連通した
ものが知られている。そして、搭載されたエンジンが作
動して振動が発生した場合には、弾性体の制振機能及
び、これら液室を連通するオリフィス内の液体の粘性抵
抗等で振動を吸収し、振動の伝達を阻止するようになっ
ている。
【0004】一方、部品点数の削減、組立工数の低減に
よるコストダウン及び、軽量化等の要請が近年強くな
り、防振装置の部品の樹脂化が検討されるようになっ
た。この為、弾性体の外周側に配置されて車体側或いは
エンジン側に連結される取付部材を樹脂化して、取付部
材を樹脂製のブラケットに置き換える構造が、新たに考
えられるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで樹脂製のブラケ
ットを有した防振装置を製造する方法として、まず、空
洞状態の液室及びこの液室と一体とされた弾性体を樹脂
を成形する為の成形型に入れ、成形型内に樹脂材料を射
出することで液室及び弾性体の外周側に樹脂製のブラケ
ットを作り、成形型より取り出した後に、液室内に液体
を注入する方法が、考えられる。
【0006】しかし、このような方法では、ブラケット
の成形に際して、内部に液室用の空間が存在していて剛
性が低くなるので、射出圧によって液室が変形すること
があった。
【0007】一方、上記の製造方法では、ブラケットの
成形後に液体を液室に注入することになるが、この場
合、液体の注入用の注入口を液室の外枠に予め設けるこ
とが必要となる。この為、ブラケットの成形に際して、
この注入口の周辺部分を塞がないように開口部を設けな
ければならない。つまり、この注入口を確保する為の型
構造が成形型に求められ、より高精度な構造が成形型に
要求されるが、これは成形型の構造上、困難な要求であ
った。
【0008】また、液体の液室への注入後には、注入口
を封止する為のシール部材が外部に露出することになる
ので、このシール部材のシール性が問題となる。さら
に、注入口に液体を注入する為に、前述のようにブラケ
ットにも開口部が必要となるが、この開口部に応力集中
して樹脂製のブラケットの強度が低下する虞があった。
【0009】本発明は、上記事実を考慮し、ブラケット
の成形前に液室内に液体を充填することによって上記欠
点を解決した防振装置の製造方向及び防振装置を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1による防振装置
の製造方法は、振動発生部と振動受け部との間に配置さ
れて振動を吸収する防振装置を製造する際に適用される
防振装置の製造方法であって、弾性変形し得る弾性体及
び、液体が充填される液室を弾性体とで構成する液室構
成部材を作製し、次に液室内に液体を充填し、さらに樹
脂を成形する成形型に弾性体及び液室構成部材を入れ
て、樹脂製のブラケットを弾性体及び液室構成部材と一
体的になるように成形した、ことを特徴とした。
【0011】請求項2による防振装置は、振動発生部及
び振動受け部の一方に連結される取付部材と、振動発生
部及び振動受け部の他方に連結される樹脂製のブラケッ
トと、取付部材とブラケットとの間を繋ぐように取付部
材とブラケットとの間に配設され且つ弾性変形し得る弾
性体と、液体が充填される液室を弾性体とで構成する液
室構成部材と、液室へ液体を注入するのに用いられる注
入口を封止し且つ液室構成部材のブラケットに覆われる
部分に設けられるシール部材と、を有することを特徴と
した。
【0012】請求項1に係る防振装置の製造方法の作用
を以下に説明する。まず、弾性変形し得る弾性体及び、
液体が充填される液室を弾性体とで構成する液室構成部
材を作製し、次に液室内に液体を充填し、さらに樹脂を
成形する成形型に弾性体及び液室構成部材を入れて、樹
脂製のブラケットを弾性体及び液室構成部材と一体的に
なるように成形することにより、振動発生部と振動受け
部との間に配置されて振動を吸収する防振装置が製造さ
れる。
【0013】従って、予め液室内に非圧縮性の液体を充
填してからブラケットを成形するので、液室が射出圧に
より変形ぜす、例えば弾性体の内側に液室が配置されて
いた場合でも、弾性体及び液室が射出圧により変形しな
いことになる。
【0014】一方、液体の液室への充填後にブラケット
を成形するので、液体の注入口をもブラケットとなる樹
脂材料で被覆することができ、液体を注入した後の注入
口を封止するシール部材が、防振装置の外部に露出しな
くなって、液室のシール性が向上する。
【0015】さらに、ブラケットの成形に際して、樹脂
材料で注入口の部分を覆うことができるので、ブラケッ
トに切欠状の開口部を設ける必要がなくなる。この為、
応力集中が発生しないようになって、ブラケットの強度
が向上する。また、ブラケットに開口部を設ける必要が
なくなるのに伴って、樹脂成形用の成形型を高精度化す
る必要もなくなる。
【0016】請求項2に係る防振装置の作用を以下に説
明する。弾性体が取付部材とブラケットとの間を連結
し、振動発生部に取付部材あるいはブラケットが連結さ
れている為、振動発生部側から振動が取付部材あるいは
ブラケットに伝達されると、弾性体が変形し、結果とし
て弾性体の変形により振動が減衰して、ブラケットある
いは取付部材に連結される振動受け部側に振動が伝達さ
れ難くなる。
【0017】さらに、弾性体の変形に伴って、液体の圧
力変化、液体流動の粘性抵抗等が液室内の液体に生じ、
これらに基づく減衰作用で防振効果を向上することがで
きる。
【0018】また、液室へ液体を注入するのに用いられ
る注入口を封止するシール部材が、液室を弾性体とで構
成する液室構成部材のブラケットに覆われる部分に、設
けられている。
【0019】従って、請求項1と同様に、予め液室内に
非圧縮性の液体を充填してからブラケットを成形するこ
とができるので、液室が射出圧により変形せず、例えば
弾性体の内側に液室が配置されていた場合でも、弾性体
及び液室が射出圧により変形しないことになる。
【0020】一方、液体を注入した後の注入口を封止す
るシール部材が、防振装置の外部に露出しなくなるの
で、液室のシール性が向上する。
【0021】さらに、ブラケットの成形に際して、樹脂
材料で注入口の部分を覆うので、ブラケットに開口部を
設ける必要がなくなる。この為、応力集中が発生しない
ようになって、ブラケットの強度が向上する。また、ブ
ラケットに開口部を設ける必要がなくなるのに伴って、
樹脂成形用の成形型を高精度化する必要もなくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明に係る防振装置の製造方法
及び防振装置の第1の実施の形態を図1から図3に示
し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
【0023】本実施の形態により製造された防振装置1
0を表す図1に示すように、この防振装置10の上部側
を形成する頂板12の上部には、エンジン(図示せず)
にこの頂板12を図示しないナットの螺合により連結し
て固着する為のボルト14が突出している。そして、こ
れら頂板12及びボルト14が取付部材を構成してい
る。
【0024】この頂板12には、円筒形状をしたゴム製
の弾性体18の上部が加硫接着されている。そして、こ
の弾性体18の下部中央には、凹部18Aが設けられて
いる。
【0025】また、弾性体18の下側には、円管状に形
成された合成樹脂材料製のブラケットである支持円筒1
6が弾性体18の下部を囲むように配置されている。
【0026】この支持円筒16の下部は外方に突出した
フランジ部16Aにより構成されており、このフランジ
部16Aには、一対のカラー22が埋め込まれている。
この為、これらのカラー22にそれぞれ車体側から突出
する図示しないボルトが螺合されることによって、車体
側に支持円筒16が連結されるようになっている。
【0027】このフランジ部16Aの内周部から直角に
筒状の筒部16Bが立設されており、この筒部16Bの
上部に、上側が大径とされるようなテーパ状に形成され
たテーパ部16Cが連続して形成されている。
【0028】また、テーパ部16Cから筒部16Bの中
程にかけての支持円筒16の内周面には、弾性体18の
外周面が接着されていて、接着により弾性体18に支持
円筒16が連結された状態となっている。
【0029】支持円筒16の内周側には、薄鋼板を円筒
状に形成した隔離金具20が、支持円筒16の内周面に
沿うように配置されており、隔離金具20の上部側は、
一段細く形成されて弾性体18の下部を内側より覆って
いる。そして、これら弾性体18と隔離金具20との間
は加硫接着されて連結されている。
【0030】一方、隔離金具20の下部寄りの部分は外
周側に屈曲されて突出されていて、この突出された突出
部20Aの先端が、支持円筒16内にインサート成形さ
れて埋設されている。この為、この隔離金具20が確実
に支持円筒16に固着されることになる。そして、突出
部20Aより下側部分は、突出部20Aより上側の隔離
金具20の部分より大径に形成された抜け止め部20B
とされている。
【0031】他方、支持円筒16の内周側に配置された
円筒状の隔離金具20及び弾性体18の凹部18Aによ
り、凹状の空間である空間部24が形成され、突出部2
0Aの下面へ外周端が当接されているゴム製のダイヤフ
ラム30でこの空間部24を封止することにより、空間
部24内に配置される液室32が形成され、液体が封入
されている。この為、リング状の抜け止め部20Bの内
周側に形成される開口が空間部24の一端側となる開放
端となり、隔離金具20が支持円筒16と液室32内の
液体とを隔離する。
【0032】そして、この液室32内には、例えば金属
材料で形成された仕切部材34が隔離金具20の内周面
に嵌合されて配置されていて、液室32を主液室32A
と副液室32Bとに二分して区画している。
【0033】この仕切部材34の外周面となる外周端部
34Aの下端部は外側に突出しており、この部分が突出
部20Aへ当接されている。さらに、仕切部材34及び
ダイヤフラム30が、液室32を覆う蓋部材であるキャ
ップ28により突出部20Aへ一体的に押しつけられつ
つ固着されている。
【0034】このキャップ28は、円盤状に形成され且
つ外周端がリング状に屈曲されたフランジ部28Aを有
しており、抜け止め部20Bの内周面にこのフランジ部
28Aの外周端を嵌合させて、キャップ28を空間部2
4の開放端に設置している。この空間部24の開放端に
キヤップ28が設置された状態で、抜け止め部20Bの
先端側を全周にわたって折り曲げて内周方向に抜け止め
部20Bの先端側を突出することにより、抜け止め部2
0Bがキャップ28を係止してキャップ28の抜け止め
をする。
【0035】従って、キャップ28が隔離金具20の一
端側である下端側に係止された状態で、空間部24の開
放端を閉鎖するようにキャップ28が支持円筒16に取
り付けられて、液室32を覆うことになる。
【0036】さらに、ダイヤフラム30とキャップ28
との間は空気室44とされてダイヤフラム30の変形を
可能としている。
【0037】以上より、これら隔離金具20、キャップ
28、ダイヤフラム30及び仕切部材34等が、液室3
2を弾性体18とで構成する液室構成部材とされる。
【0038】一方、仕切部材34の外周端部34Aの内
側には、外周端部34Aに沿いほぼ一周にわたって溝状
に形成された溝部36が設けられている。この溝部36
の一端部には、主液室32Aと溝部36内とを連通する
小孔38が形成され、他端部には、副液室32Bと溝部
36内とを連通する小孔40が形成されている。従っ
て、隔離金具20の内周面により塞がれたこの溝部36
及び小孔38、40が主液室32Aと副液室32Bとの
間を連通するオリフィス42を構成することとなる。
【0039】次に、本実施の形態の防振装置10の製造
方法を説明する。ます、頂板12及び隔離金具20を作
製し、これら頂板12及び隔離金具20を加硫用のモー
ルド(図示せず)内に入れて、弾性体18を加硫し、図
2に示すように、頂板12及び隔離金具20に弾性体1
8を加硫接着する。さらに、キャップ28、ダイヤフラ
ム30及び仕切部材34を別途作製しておくことにす
る。
【0040】そして、液体中において、液室32を二分
する仕切部材34を空間部24の開放端から挿入し、さ
らに、液室32の内壁の一部を構成することになるダイ
ヤフラム30により液室32を封止する。最後に、キャ
ップ28のフランジ部28Aを隔離金具20の抜け止め
部20Bに嵌合させ、抜け止め部20Bを図2の二点鎖
線で示すように内側に屈曲させるようにかしめること
で、キャップ28により空間部24の開放端を閉鎖し、
図3に示すように液室32内に液体が充填された状態に
する。但し、上記のように液体中で組立てなくとも、液
室32内に単に液体を注入してから組立てても良い。
【0041】さらに、この弾性体18及び隔離金具20
の支持円筒16との間の接着の為に必要な箇所に、接着
剤の塗布等の接着処理を施すことにする。
【0042】この後、キャップ28により空間部24の
開放端が閉鎖されて液体が液室32内に充填されて状態
の隔離金具20及び弾性体18と、カラー22と、を樹
脂成形用の成形型(図示せず)内に充填し、溶融した樹
脂材料を射出成形する。
【0043】この結果、図1に示すように、支持円筒1
6が弾性体18に接着されて連結されると共に、隔離金
具20の突出部20Aが支持円筒16内に埋設された状
態として、樹脂製の支持円筒16が、弾性体18及び隔
離金具20と一体的になるようにインサート成形され
る。
【0044】尚、この樹脂成形の際の熱は瞬間200℃
以上になり、弾性体18の周辺でも150℃を越す可能
性がある為、エチレングリコールの濃度が80%以上の
液体を液室32内に充填することによって、液体のキャ
ビテーションを防ぐこととした。
【0045】以上より、予め液室32内に非圧縮性の液
体を充填してから支持円筒16を成形するので、液室3
2が射出圧により変形せず、本実施の形態のように弾性
体18の内側に液室32が配置されていた場合でも、弾
性体18及び液室32が射出圧により変形しないことに
なる。
【0046】この後、このように組立が完了された防振
装置10を車両内に設置する。次に、本実施の形態に係
る防振装置10の動作を説明する。
【0047】頂板12に搭載されるエンジンが作動する
と、エンジンの振動が頂板12を介して弾性体18に伝
達される。弾性体18は吸振主体として作用し、弾性体
18の変形に伴った内部摩擦に基づく制振機能によって
振動を吸収することができる。さらに、弾性体18の変
形によって主液室32Aが拡縮すると共に副液室32B
側のダイヤフラム30が変形して、主液室32A及び副
液室32B内の液体がオリフィス42を通って相互に流
通し、オリフィス空間に生ずる液体の圧力変化、液体流
動の粘性抵抗等に基づく減衰作用で防振効果を向上する
ことができる。
【0048】さらに、仕切部材34及びダイヤフラム3
0が液室32に配置される際、キャップ28が、隔離金
具20の下端側に形成された抜け止め部20Bに係止さ
れた状態で、空間部24の開放端を閉鎖するので、この
キャップ28が、仕切部材34及びダイヤフラム30な
どを確実に固定しつつ液室32をシールできる。
【0049】また、本実施の形態によれば、支持円筒1
6にインサート成形で埋設された隔離金具20の下端側
に、抜け止め部20Bを設けたので、樹脂材料の支持円
筒16によって圧縮、引張りの強度を保つことができ、
より強固にキャップ28が支持円筒16に固定されるこ
とになる。
【0050】以上より、合成樹脂材料製の支持円筒16
を採用して、防振装置10の製造コストを低減すると共
に防振装置10を軽量化することができる。
【0051】次に、本発明に係る防振装置の製造方法及
び防振装置の第2の実施の形態を図4から図10に示
し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
【0052】図4に示すように、本実施の形態の防振装
置110は、合成樹脂により一体的に成形された外筒一
体型のブラケット112を備えており、振動受け部とし
ての自動車の車体(図示せず)側に、ブラケット112
の一方に突出した腕112Aに固定された埋込みナット
113を用いて、このブラケット112がねじ止められ
ている。従って、ブラケット112が車体に連結される
ことになる。
【0053】図4及び図5に示すように、このブラケッ
ト112の内側には、円管状に形成された取付部材であ
る内筒金具114がブラケット112の軸線と平行とな
るように配置されており、内筒金具114に図示しない
ボルトがねじ込まれることにより、内筒金具114と振
動発生部となるエンジン(図示せず)とが連結されるこ
ととなる。
【0054】これら内筒金具114とブラケット112
との間には、ゴム製の弾性体116が配設されている。
【0055】図6及び図7に示すように、この弾性体1
16は内筒金具114の外周面に加硫接着された円柱状
とされており、軸方向中間部であって内筒金具114の
下側には、凹部118が形成されている。内筒金具11
4を挟んで凹部118の反対側には、軸方向に貫通する
断面が円弧状の貫通孔120が形成されており、この防
振装置110の主振動方向である上下方向に内筒金具1
14が変位し易くなっている。
【0056】弾性体116の外周側の軸方向中間部に
は、周方向に沿って延びる溝122が形成されている。
この溝122の一端は前記凹部118に連結され、他端
は内筒金具114を挟んで溝122の一端と反対側の位
置に形成された小凹部124に連結されている。小凹部
124と前記貫通孔120との間の弾性体116は、薄
肉の弾性膜としてのダイヤフラム126となっている。
【0057】さらに、図7に示すように、弾性体116
の軸方向中間部には、弾性体116の周方向に沿って延
びる幅広の浅溝128が形成されている。この浅溝12
8には、凹部118、溝122及び小凹部124を弾性
体116の外周面に沿って覆う、図8に示すような円管
状の液室構成部材としての樹脂流れ込み防止カバー13
0が、弾性体116の軸方向から挿入されて、嵌装され
ている。この樹脂流れ込み防止カバー130は、金属の
丸パイプを所定長さに切断して形成したものであり、軸
線に沿った割り131が図4に示すように形成されてお
り、内側から押し広げることによって挿入を容易にして
いる。なお、挿入後には、樹脂流れ込み防止カバー13
0は弾性復帰して弾性体116に密着し、ブラケット1
12と弾性体116との間の接合面に介在されて配置さ
れることになる。
【0058】すなわち、このように樹脂流れ込み防止カ
バー130が配置されているので、樹脂流れ込み防止カ
バー130の外周面及び、樹脂流れ込み防止カバー13
0で覆われていない部分の弾性体116の外周面が、こ
れら外周面の外周側に位置するブラケット112の内周
面に、接着されることになる。
【0059】一方、凹部118、溝122及び小凹部1
24に対して弾性体116の軸方向両側部分の浅溝12
8内には、樹脂流れ込み防止カバー130の内周面との
間のシール性を高めるために、図6及び図7に示すよう
に周方向に連続する小突起132が、形成されている。
【0060】図4及び図5に示すように、凹部118は
樹脂流れ込み防止カバー130に封止されて受圧液室と
しての主液室134を構成し、溝状の隙間である溝12
2は樹脂流れ込み防止カバー130に閉塞されて制限通
路としてのオリフィス136を構成し、小凹部124は
樹脂流れ込み防止カバー130に閉塞されて副液室13
8を構成している。従って、このオリフィス136が、
主液室134とこの主液室134に対して内筒金具11
4の周方向隔てた位置に設けられた副液室138との間
を連通することとなる。
【0061】また、これら主液室134、オリフィス1
36及び副液室138の内部には、液体が封入されてい
る。この液体は、樹脂流れ込み防止カバー130を貫通
する注入口142から注入されるようになっており、注
入後にシール部材であるリベット144で封止されてい
る。
【0062】次に、本実施の形態に係る防振装置110
の製造方法を説明する。この防振装置110の組立に際
しては、まず、液体が充填される主液室134及び副液
室138を弾性体116とで構成する樹脂流れ込み防止
カバー130を作製する。そして、弾性変形し得る弾性
体116を内筒金具114の回りに加硫接着して、図6
及び図7に示すような状態にする。
【0063】次に、浅溝128に樹脂流れ込み防止カバ
ー130を弾性体116の軸方向から挿入して、図9に
示すような樹脂流れ込み防止カバー130を弾性体11
6に装着した状態にする。なお、弾性体116は弾性変
形可能であるので、樹脂流れ込み防止カバー130の挿
入は容易である。
【0064】その後、注入口142より内部に所定の液
体を注入し、リベット144にて封止して図10に示す
ように主液室134及び副液室138内に液体が充填さ
れた状態にする。但し、上記のように液体を注入しなく
とも、液体中において、樹脂流れ込み防止カバー130
を弾性体116に装着することにより、液体を充填して
も良い。
【0065】さらに、この弾性体116及び樹脂流れ込
み防止カバー130のブラケット112との間の接着の
為に必要な箇所に、接着剤の塗布等の接着処理を施すこ
とにする。
【0066】次に、樹脂流れ込み防止カバー130を嵌
装した弾性体116及び埋込みナット113を、ブラケ
ット成形用の成形型(図示せず)内の所定位置に装填
し、型締めした状態で溶融した樹脂材料を成形型内に射
出する。これにより、リベット144で封止された液体
の注入口142が樹脂材料で被覆されつつ、弾性体11
6及び樹脂流れ込み防止カバー130の外周部に樹脂材
料が接着されて、弾性体116及び樹脂流れ込み防止カ
バー130と一体化したブラケット112が成形され、
防振装置110の組立が完了することになる。
【0067】尚、この樹脂成形の際の熱は、第1の実施
の形態と同様に、瞬間200℃以上になり、弾性体11
6の周辺でも150℃を越す可能性がある為、エチレン
グリコールの濃度が80%以上の液体を液室134、1
38内に充填することによって、液体のキャビテーショ
ンを防ぐこととした。
【0068】以上より、予め液室134、138内に非
圧縮性の液体を充填してからブラケット112を成形す
るので、液室134、138が射出圧により変形せず、
本実施の形態のように弾性体116の内側に液室13
4、138が配置されていた場合でも、弾性体116及
び液室134、138が射出圧により変形しないことに
なる。
【0069】一方、液体の液室134、138内への充
填後にブラケット112を成形するので、液体の注入口
142をもブラケット112となる樹脂材料で被覆する
ことができ、液体を注入した後の注入口142を封止す
るリベット144が、防振装置の外部に露出しなくなっ
て、液室134、138のシール性が向上する。
【0070】さらに、ブラケット112の成形に際し
て、樹脂材料で注入口142の部分を覆うことができる
ので、ブラケット112に切欠状の開口部を設ける必要
がなくなる。この為、この部分に応力集中が発生しない
ようになって、ブラケット112の強度が向上する。ま
た、ブラケット112に開口部を設ける必要がなくなる
のに伴って、樹脂成形用の成形型を高精度なものとする
必要もなくなる。
【0071】そして、このようにして完成された防振装
置110のブラケット112を自動車の車体側にねじ止
めして連結し、また、内筒金具114をボルトを介して
エンジンに連結する。この防振装置110の車体への組
み込みに際して、エンジンの荷重による力が内筒金具1
14に加わる為、内筒金具114はブラケット112と
ほぼ同軸となる。
【0072】次に、本実施の形態に係る防振装置110
の作用を説明する。エンジン側から振動が内筒金具11
4に伝達されると、弾性体116が変形し、弾性体11
6の変形により振動が減衰する。また、この弾性体11
6の変形に伴って主液室134が拡縮して、オリフィス
136内の液体に圧力変化が生じ、弾性体116の変形
だけでなく液体の圧力変化及び粘性抵抗等により振動が
減衰されて、車体側に振動が伝達され難くなる。
【0073】一方、本実施の形態に係る防振装置110
の製造に際して、ブラケット112が樹脂材料で一体的
に成形されるので、防振装置110の軽量化が図れると
共にブラケット及び外筒をプレス加工等で加工する必要
がなくなって、加工工程が簡略化され、製造コストの低
減が図れる。
【0074】また、液室134、138内へ液体を注入
するのに用いられる注入口142を封止するリベット1
44が、液室134、138を弾性体116とで構成す
る樹脂流れ込み防止カバー130のブラケット112に
覆われる部分に、設けられている。
【0075】従って、前述のように、弾性体116及び
液室134、138が射出圧により変形しないだけでな
く、リベット144が防振装置の外部に露出しなくなる
ので、液室134、138のシール性が向上する。
【0076】さらに、ブラケット112の成形に際し
て、樹脂材料で注入口142の部分を覆うこととなるの
で、ブラケット112に開口部を設ける必要がなくな
る。この為、応力集中が発生しないようになって、ブラ
ケット112の強度が向上する。また、ブラケット11
2に開口部を設ける必要がなくなるのに伴って、樹脂成
形用の成形型を高精度なものとする必要もなくなる。
【0077】次に、本発明に係る防振装置の製造方法及
び防振装置の第3の実施の形態を図11に示し、この図
に基づき本実施の形態を説明する。尚、第2の実施の形
態において説明した部材と同一の部材には同一の符号を
付し、重複した説明を省略する。
【0078】図11に示すように、本実施の形態の防振
装置110は、第2の実施の形態とほぼ同様の構成とな
っているが、ブラケット112をねじ止めて車体に連結
する為の腕112Bが防振装置110の両側に突出して
おり、それぞれ一個づつの埋込みナット113が両方の
腕112Bに固定されている。
【0079】従って、ブラケット112が一対のナット
113により車体に連結されると言う相違を有するもの
の、第2の実施の形態と同様の作用を奏することにな
る。
【0080】尚、上記第1の実施の形態において、振動
発生部であるエンジンに取付部材となる頂板12側を連
結し、振動受け部である自動車等の車両の車体に樹脂製
のブラケットとなる支持円筒16側を連結するような構
成としたが、この逆の構成としてもよい。さらに、上記
第2及び第3の実施の形態において、振動発生部となる
エンジン側に内筒金具114を連結し、振動受け部とな
る車体側にブラケット112を連結するような構成とし
たが、この逆の構成としても良い。
【0081】尚、上記実施の形態において、支持円筒1
6及びブラケット112に用いられる樹脂材料の種類と
しては、ポリアミド樹脂、ABS、ポリアセタール、ポ
リカーボネート及びポリイミド等の樹脂材料が考えられ
るが、これらの材料に限定されるものではない。
【0082】また、上記第2の実施の形態において、注
入口142をリベット144で封止するようにしたが、
この替わりにネジを用いてねじ止めしても良い。
【0083】他方、実施の形態において、自動車等の車
両に搭載されるエンジンの防振を目的としたが、本発明
の防振装置は例えば車両のボディマウント等、あるいは
車両以外の他の用途にも用いられることはいうまでもな
く、また、ブラケット及び弾性体等の形状、寸法なども
実施の形態のものに限定されるものではない。
【0084】
【発明の効果】本発明の防振装置の製造方法及び防振装
置は、以上のようにブラケットの成形前に液室内に液体
を充填することによって、種々の決定を解決できること
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る防振装置を示
す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る防振装置の分
解断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る防振装置の組
立を説明する断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る防振装置を示
す断面図である。
【図5】図4に示す防振装置の5−5線断面図である。
【図6】組み込み前の弾性体及び内筒金具が一体となっ
た部材を示す軸線に直角な断面図である。
【図7】組み込み前の弾性体及び内筒金具が一体となっ
た部材の側面図である。
【図8】樹脂流れ込み防止カバーの側面図である。
【図9】弾性体及び内筒金具が一体となった部材に樹脂
流れ込み防止カバーを組付けた状態の側面図である。
【図10】樹脂流れ込み防止カバーを組付けた弾性体に
液体が充填された状態の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る防振装置を
示す断面図である。
【符号の説明】
10 防振装置 12 頂板 16 支持円筒 18 弾性体 20 隔離金具 28 キャップ 30 ダイヤフラム 32 液室 34 仕切部材 110 防振装置 112 ブラケット 114 内筒金具 116 弾性体 130 樹脂流れ込み防止カバー 134 主液室 138 副液室 142 注入口 144 リベット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動発生部と振動受け部との間に配置さ
    れて振動を吸収する防振装置を製造する際に適用される
    防振装置の製造方法であって、 弾性変形し得る弾性体及び、液体が充填される液室を弾
    性体とで構成する液室構成部材を作製し、 次に液室内に液体を充填し、 さらに樹脂を成形する成形型に弾性体及び液室構成部材
    を入れて、樹脂製のブラケットを弾性体及び液室構成部
    材と一体的になるように成形した、 ことを特徴とした防振装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 振動発生部及び振動受け部の一方に連結
    される取付部材と、 振動発生部及び振動受け部の他方に連結される樹脂製の
    ブラケットと、 取付部材とブラケットとの間を繋ぐように取付部材とブ
    ラケットとの間に配設され且つ弾性変形し得る弾性体
    と、 液体が充填される液室を弾性体とで構成する液室構成部
    材と、 液室へ液体を注入するのに用いられる注入口を封止し且
    つ液室構成部材のブラケットに覆われる部分に設けられ
    るシール部材と、 を有することを特徴とした防振装置。
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