JPH09168387A - 新規なヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体およびその製造方法 - Google Patents

新規なヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体およびその製造方法

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JPH09168387A
JPH09168387A JP8229871A JP22987196A JPH09168387A JP H09168387 A JPH09168387 A JP H09168387A JP 8229871 A JP8229871 A JP 8229871A JP 22987196 A JP22987196 A JP 22987196A JP H09168387 A JPH09168387 A JP H09168387A
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ステファン・ピィー・アンダーソン
Deborah L Higgins
デボラ・エル・ヒギンズ
Adair J Hotchkiss
アデァー・ジェイ・ホッチキス
Cara B Marks
カラ・ビィー・マークス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター変
異体の製造方法を提供する。 【解決手段】 フィンガードメインの一部分が除去され
てフィブリン結合能が減少した変異体は、184位グリ
コシル化部位、1本鎖から2本鎖への開裂部位、および
/またはクリングル2ドメインにおける205−215
位の推定リジン結合部位が分子改変されることにより、
減少したフィブリン結合能を回復する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、ヒト組織プラスミノーゲンアク
チベーター(t-PA)の具体的な新規変異体、それを製造
する方法、および予想外の改良された薬物動態および薬
学的性質を有する医薬的に活性な主成分を製造するため
の、そのような変異体を利用する方法およびその組成
物、ならびにt-PAおよびその各種の変異体の薬物動態
および薬学的性質を調整(調節)する方法に関するもので
ある。さらに具体的には、本発明は、t-PAのフィブリ
ン結合性を調整する手段および方法、最も好ましくはt-
PA本体の他のドメインに、ある種の修飾を受けた結
果、フィブリン結合性が抑制されていることが見いださ
れたような場合にその結合性を増大させるための手段お
よび方法に関するものである。
【0002】ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター
は、インビボにおけるその高いフィブリン特異性と強力
な血餅溶解能のおかげで、心筋梗塞などの心疾患を並外
れて処置することができると示されている、特に重要か
つ強力な新規生物学的医薬物質として確定され、記載さ
れている。
【0003】ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター
は多くの科学雑誌および特許出願の標的となっている。
その存在は幾つかの研究グループに属す多くの研究者を
刺激したが、最初は、コーレン[Collen、1980年6月11日
の最初の出願に基づく1981年12月16日公開の欧州特許出
願公開第41766号]らにより、天然起源の実質的に純粋な
単離物として同定され、要件としてのプラスミノーゲン
アクチベーター活性がインビボにおいて試験された。さ
らに、リッケン(Rijken)らの対応する科学雑誌、J.Bio
l.Chem.256,7035(1981)も参照のこと。
【0004】その後、ヒト組織プラスミノーゲンアクチ
ベーターは、組換えDNA技術が使用されて独特の環境
下で大量のt-PAを得ることに成功し、その研究に基づ
きDNA配列および推定アミノ酸配列が明らかにされて
完全に同定および特性化がなされた。この実績は、科学
文献[ペニカ(Pennica)らのNature 301,214(1983)]およ
び欧州特許出願公開第93619号(1982年5月5日の最初の出
願に基づき、1983年11月9日に公開)に報告されている。
【0005】多くの他の研究者が、基本的にこの後者の
開示を使用することにより組換えDNA技術によってt-
PA分子を調製できるようになり、それに基づく報告を
行っている。これらの研究者の中には、この基本的な構
造の将来可能な変異体を公に開示している者もあるが、
彼らは、生物学的または薬物動態的効果が全体として変
動し得る誘導体を、机上論として予測しているに過ぎな
い。これらの大部分の開示事項は、実際の生物学的また
は薬物動態的な全体の効果に関して予言的であり、不確
かなものである。
【0006】最初のt-PAの組換え工学的生産に続き、
分子特性の確定および生物学的効果の確認という研究所
における類似した試みが、科学文献および各種の特許出
願の両方に現実に報告されている。これらすべては、ヒ
ト組織プラスミノーゲンアクチベーターにおける生物学
に基づく種々の最終目的に応じ、その商業的可能性を完
全に探求し、開発するために、その基本構造を修飾しよ
うという試みに沿った研究が好まれる傾向にあったよう
である。
【0007】このような研究および開示事項に部分的に
基づけば、ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターの
分子は、トリプシン、キモトリプシン、プラスミノーゲ
ン、プロトロンビン、フィブロネクチンおよび表皮性成
長因子などの他の種々のタンパク質中に同定される相同
的(ホモローガス)な、またはそうでなくてもそれらに類
似した構造に照らして規定される5つのドメイン(アミ
ノ酸配列の並び)を含有していることは、現在では明ら
かであると思われる。これらのドメインは、ヒト組織プ
ラスミノーゲンアクチベーターのアミノ酸のN-末端か
ら開始して、(1)アミノ酸1から約44を包含するもの
として種々規定されるフィンガー領域(F)、(2)アミノ
酸約45からアミノ酸91にまで伸長するものとして種
々規定される成長因子領域(G)[EGFとの相同性に基
づく]、(3)アミノ酸約92から約173にまで伸長す
るものとして種々規定されるクリングル1(K1)、(4)
アミノ酸約180から約261にまで伸長するものとし
て種々規定されるクリングル2(K2)、および(5)アミ
ノ酸約264からt-PA分子のC-末端にまで伸長する
ものとして一般に規定される、いわゆるセリンプロテア
ーゼドメイン(P)、と命名されている。これらのドメイ
ンは一般に互いに隣接して配置しているか、または短い
「リンカー」領域によって分割され、その推定された成熟
型の1から527アミノ酸全体のアミノ酸配列を占めて
いる。
【0008】各ドメインは、ある種の特定活性に関与す
るものとして種々記載されており、つまり、フィンガー
ドメインは、フィブリンとの高い結合親和性に必須の、
またはその親和性にとって少なくも主要な重要性を持つ
配列を含有しているものとして種々記載されている(こ
の活性は、ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターが
フィブリン豊富な血栓の病巣における血餅の溶解に対し
て顕す高い特異性にとって重要であると考えられてい
る)。同様に、成長因子様領域は、少なくともウロキナ
ーゼに関しては細胞表面結合活性に関係している。クリ
ングル2領域も、フィブリン結合性、およびt-PAの活
性を刺激するフィブリンの刺激能に強く関係している。
セリンプロテアーゼドメインは、プラスミノーゲンを活
性化する活性のためによく働くt-PA分子のドメイン(w
orkhorse domain)であるという異議のない一致した意見
を持たれているようである。
【0009】フィンガー領域に戻るが、この領域はN-
末端の1−44アミノ酸にわたるものとして一般に見な
され、種々の研究者はこのドメインのセグメントを欠
失、またはその一部を欠失させた突然変異体または変異
体を生産しようとしていることに、注意すべきである。
【0010】N-連結グリコシル化部位は、t-PA分子
内の117、184、218および448アミノ酸部位
に存在している。218アミノ酸部位はグリコシル化さ
れない。117アミノ酸のグリコシル化部位は、高いマ
ンノース型であると特性化されており、他の2つの部位
はいわゆる複合オリゴサッカライド構造を呈している。
t-PA分子をグリコシル化を行うことのできる宿主細胞
から誘導させた場合、117および448部位は常にグ
リコシル化されているようであるが、184部位は本分
子の約50%でグリコシル化されると考えられる。この
184部位のグリコシル化/非グリコシル化現象は、S
DS-PAGE分析によって証明されており、それによ
れば1つは184グリコシル化分子に関連し、他方は1
84非グリコシル化分子に関連する2つのバンドを認め
ることのできる(これらはいわゆるI型およびII型t-PA
と呼ばれる)。この部分的グリコシル化のパターンは、
2つのクリングル構造間にある立体配座的(コンホーメ
ーション的)に保護された部位に184部位が配置して
いる結果であると考えられる。
【0011】科学的に注目されている第3の場所は、ア
ミノ酸275から約279として規定される領域内にあ
る、いわゆるタンパク分解的開裂部位、より詳細には天
然分子の275および276アミノ酸の間のバンドであ
る。タンパク分解的崩壊を受け難くなるように、この部
位に突然変異を起こさせれば、生物学的および商業的に
何等かの利点を有すると考えられる、単一鎖すなわち1
本鎖形態を維持した分子が作成される。
【0012】上記の規定されたドメイン、グリコシル化
部位、および1本鎖/2本鎖開裂部位はすべて、特定の
潜在的生物学的活性成分を有するものとして記載され、
規定されている。たとえば、フィンガードメインの実質
的部分またはそのすべてを除去すれば、得られた分子の
全体としてのクリアランス速度は低下するが、フィブリ
ン結合特性が実質的に減じられた分子が得られることに
なる。
【0013】天然分子を修飾して1本鎖が2本鎖に開裂
する部位を破壊すると、若干改変された生物活性と、よ
り良好な安定性とを有しており、同時にフィブリン結合
性およびフィブリン刺激が2本鎖t-PAと比較して増大
している分子が得られる。
【0014】グリコシル化部位を改変、具体的には11
7アミノ酸を改変すると、改変された半減期パターンお
よび/またはフィブリン結合特性を付加的に表す場合の
ある、溶解性に影響を受けた分子が常に得られるようで
ある。
【0015】ヒト組織プラスミノーゲンアクチベータ
ー、および具体的には種々改変されたその誘導体または
変異体(たとえば、1987年9月2日公開の欧州特許出願公
開第234,051号を参照のこと)が備えるべき所望の効果
が、そのような改変種がクリアランス速度(clearance r
ate)を劇的に減少させるという驚くべき発見を除いた、
高いフィブリン特異性および結合性である場合、フィン
ガー領域を改変してはならないことが、当該技術から教
示されている。そしてまた、フィブリン結合性およびフ
ィブリン特異性が商業的に意義があるとすれば、研究者
の間で認識されている目標は、高いフィブリン結合活性
を有するとされるヒトプラスミノーゲンアクチベーター
の変異体または誘導体を、天然の物質に付随している他
のすべての所望の生物学的および薬物動態的性質を改変
することなく製造しようとするものである。しかし、こ
のようなヒトプラスミノーゲンアクチベーターの変異体
または誘導体を製造するための研究方針は、当業界の現
存する技術からでは全く明らかでない。たとえば、1987
年8月12日公開の欧州特許出願公開第231,624号を参照の
こと。
【0016】認識される改良されたフィブリン分解性の
ために、t-PA本来の分子を改変すべきか否か、および
そのような改変場所については、未だ未確定であること
が、比較的最近の特許公開で強調されている[1987年8月
13日公開のWO 87/04722]。この公報は、t-PAの潜在的
変異体の精巧に作り上げた紙製のモザイクを反映してい
る。この公開公報は3つの領域、すなわちアミノN-末
端、グリコシル化部位および1本鎖開裂部位に言及して
いるが、実際にt-PA種を製造した証拠はなく、生物活
性または他のデータも開示されていない。さらに、この
公開公報は、得られたタンパク質が天然のヒトt-PAと
比較して改良されたフィブリン分解性プロフィルを有す
ると単に「予想」しているのみであり、そのことが定性
的または定量的に何を意味しているかについては特に言
及されていない。実際、一般に議論の的となり得る多く
の変異体は、より低いフィブリン分解活性を示す場合が
ある。このように、それは、実験したいと思わせる比較
的複雑なモザイクとしての役割を果たしているに過ぎな
い(それ以上のものでない)。
【0017】本発明の根本的な目的は、フィブリン結合
活性が調整されたt-PA変異体の製造、同定および特性
化、ならびにそれらを行う方法および手段である。その
最も好ましい態様として本発明は、フィブリン結合性に
関与するものとして同定されているt-PA変異体のドメ
インを介してt-PA変異体に増大したフィブリン結合性
を施すことを目的とするものであり、具体的には、全体
としてフィブリン分解活性に関連する、半減期および/
またはクリアランス速度などの他の特性を増強させるた
めにt-PA分子に種々の修飾を施したことにより、天然
のt-PAと比較してフィブリン結合性が低くなったと考
えられるt-PA変異体に関するものである。
【0018】このように本発明は、調整されたフィブリ
ン結合性を有するt-PA変異体を目的とするものであ
り、さらに例えばそれをコードしているDNA単離物、
その単離物とハイブリダイズするDNA、そのようなD
NAを有するクローニングベクター、その機能的な発現
ベクター、そのようなベクターでトランスフェクトされ
た宿主、周囲の培地中に分泌される発現産物としてt−
PA変異体を顕著に産生することのできる培養物など、
その製造法に関連するあらゆる組換え手段、およびこの
ようなすべてを実施することを包含する方法を目的とす
るものである。本発明はさらに、このようなt-PA変異
体の有効量を含有する医薬組成物、およびこのような組
成物をヒトに投与する方法を目的としている。
【0019】また、本発明は、本明細書に記載のt-PA
変異体を使用する種々の方法を目的とする。このような
態様の1つとして、本発明は、天然t-PAと比較して調
整されたフィブリン結合性を示すヒトt-PA変異体を製
造し、該t-PA変異体を治療学的に有効な濃縮物として
含有する医薬的に許容され得る組成物を製造し、そして
該組成物を患者に投与することを特徴とする、患者にお
ける血管疾患の処置方法を提供するものである。
【0020】このような態様の別のものとして、本発明
は、ある種の修飾t-PAからなるt-PA変異体を入手
し、該変異型のフィブリン結合性を天然t-PAのそれと
比較し、そのようにして得られた、天然t-PAと比較し
て調整されたフィブリン結合性を示す変異型t-PAを選
択することを特徴とする、天然t-PAと比較してフィブ
リン結合性が調整されている変異型ヒトt-PAタンパク
質を得る方法を提供するものである。
【0021】本発明の全体としての効果は、天然t-PA
に独特のフィブリン分解性物質としての所望の特性、す
なわちフィブリン結合性およびフィブリン刺激性を回復
させることにあり、具体的には、他の所望の諸性質を付
与するために天然t-PAを他の面について修飾したこと
により、上記の性質が欠失されたと認められる場合にお
ける、そのような修復である。すなわち、例えば、フィ
ンガードメインおよび/または成長ドメインおよび/ま
たはクリングル1ドメインのすべてまたは一部を除去す
ることにより、たとえば天然t-PAと比較して増大した
半減期および減少したクリアランス速度などの所望の性
質を有する変異体が得られる。しかし、これらの変異体
は結局、t-PA独特のフィブリン分解活性にとって実質
的に必須の性質であるフィブリン結合性が減少されるこ
とになる。本発明の1つの態様は、天然のt-PAと比較
し、全体として増強された性質、たとえば天然t-PAに
類似したフィブリン結合性、および天然t-PAと比較し
て増大した半減期/減少したクリアランス速度を有する
変異体を提供することにより、フィブリン分解活性を修
復することにある。
【0022】より詳細には、本発明は、天然t-PAと比
較して調整されたフィブリン結合性を示すヒトt-PA変
異体を提供する方法を目的とするものである。
【0023】他の態様では、本発明は、フィブリン結合
性に関与しているドメインの少なくとも一部分を機能的
に除去することにより修飾されているが、天然t-PAに
匹敵するフィブリン結合性に修復されているヒト組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)変異体を目的と
するものである。
【0024】本発明は、184グリコシル化部位、1本
鎖から2本鎖への開裂部位および/またはクリングル2
推定リジン結合部位における分子改変と共に、それ自身
実質的にフィブリン結合活性を減少させるフィンガード
メインにおける大部分の改変を行うことにより、天然の
組織プラスミノーゲンアクチベーターに基本的な生物学
的および薬学的性質または特性を驚くほどに保持してお
り、かつ高いフィブリン結合性が実質的に修復されてい
るヒトプラスミノーゲンアクチベーターの変異体が得ら
れること、を証明した、特定の成功を収めた研究を特に
基礎としている発明である。本発明の結果物は、アミノ
酸配列が全体としては実質的に天然物質と異なっている
が、商業的方面の開発において天然物質と競合できる程
に、かつ本質的にその所望のフィブリン分解性を保持し
ている分子である。
【0025】この態様として本発明は、フィンガードメ
インの少なくとも一部分を欠いており、184アミノ酸
を取り巻くグリコシル化部位におけるグリコシル化能を
欠いており、そして275および276アミノ酸を取り
巻く部位におけるタンパク分解的開裂に対する耐性を有
しており、および/またはクリングル2の推定リジン結
合部位におけるアミノ酸修飾を有しているヒトプラスミ
ノーゲンアクチベーター変異体を提供するものである。
具体的には、この態様は、例えば次のような新規なt-P
A変異体種によって明示される:184位にアスパラギ
ン酸(D184と呼ぶ)および275位にグルタミン酸
(E275と呼ぶ)を有していることある、アミノ酸1〜
44を欠いている分子(デス1-44と呼ぶ)であって、
本明細書ではデス1-44D184E275t-PAおよ
びデス1-44E275t-PAという簡略法によって全
体を命名することができる種、ならびに例えば1-44
アミノ酸を欠き(デス1-44と呼ぶ)、および275位
にグルタミン酸を有し、および210-3アミノ酸部位
にRARRを有する分子であって、本明細書においては
デス1-44R210A211R212R213E27
5t-PAと命名される種。
【0026】本発明のt-PA変異体をこのような簡略命
名法によって命名するため、数字は、推定の成熟t-PA
[EPA 093619]の527アミノ酸配列に沿ったアミノ酸残
基/位置を表していることに留意すべきである。アミノ
酸の特定には以下のようなアルファベットの1文字を使
用しており: Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン Thr T スレオニン Leu L ロイシン Ser S セリン Tyr Y チロシン Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン Pro P プロリン His H ヒスチジン Gly G グリシン Lys K リジン Ala A アラニン Arg R アルギニン Cys C システイン Trp W トリプトファン Val V バリン Gln Q グルタミン Met M メチオニン Asn N アスパラギン そして、このような1文字の後にある番号はアミノ酸の
位置を表しており、したがって例えばD184は、18
4位にアスパラギン酸を有している変異体を意味してい
る。
【0027】さらに具体的に好ましい本発明の態様とし
ては以下のものを挙げることができる:フィンガードメ
インの少なくとも一部分を欠いているt-PA変異体、例
えばデス1-44、および/またはアミノ酸領域275
から279に修飾を施した、275/6開裂部位の開裂
に対して耐性になっている、例えばE275およびE2
75I277、およびこのようにしてさらに例示すれ
ば、デス1-44E275、デス1-44E275I27
7、ならびに以下に例示するような分子内の種々の他の
領域が修飾されていることある上記すべてのもの: −1 例えばアミノ酸約205-215領域、特に21
0-3におけるクリングル2修飾、および/または −2 アミノ酸約244-255、特に252またはそ
の部位、および/または −3 アミノ酸約233-242、特に236-8、およ
び/または −4 既知のまたは新たに導入されたグリコシル化部
位、例えば184アミノ酸、および/または −5 天然t-PA、または天然t-PAと比較して減少し
たフィブリン結合性を示すが、他の幾つかの増大された
生物学的特性は基本的に影響を受けていないままのその
変異体、と比較して増大したフィブリン結合性によって
同定され得るt-PA変異体が得られる他の修飾。
【0028】上記の変異体の具体例を以下に記載する:
デス1-44E275t-PA、デス1-44D184E2
75t-PA、デス1-44S184E275t-PA、デ
ス1-44K213E275t-PA、デス1-44R21
0A211R212R213E275t-PA(既述して
いるように、これは特に好ましい種である)、テ゛ス 1-44R252E275t-PA、デス1-44K21
0E275t-PA、デス1-44R210H211Q2
12K213E275t-PA、およびさらにI277修
飾、およびそれらの組合わせおよび入れ換えを有する上
記すべての種、例えば1-44R212R252E27
5t-PAなど。
【0029】さらなる態様には、無傷のフィンガードメ
イン(の部分)(例えば1-44アミノ酸)を有するか、ま
たは有さない、および/または成長因子ドメイン(また
はその部分)を欠いている(例えばデス約44−84)、
および/またはクリングル1ドメイン(またはその部分)
を欠いている(例えばデス約92-179)、および/ま
たはクリングル2ドメイン(またはその部分)を欠いてい
る(例えばデス約174-261)t-PA変異体を挙げる
ことができ、これらはすべて天然のt-PAと比較して有
意にクリアランス速度が改変されている場合があり、ま
た上述した好ましい変異体、例えばE275、E275
I277、Q275I277などと組み合わせた前記の
すべてのものがある。さらに、t-PAのフィブリン結合
性は調整することができ、最も好ましくは、t-PAの推
定リガンド結合ポケットの反対の端における陽性または
陰性に帯電したアミノ酸残基を適当に置換することによ
って、修復または増大させることができる。
【0030】したがって、本発明の好ましい変異体には
さらに以下のものがある: デス1-44D184R210A211R212R21
3R252E275 t-PA デス92-179D184R210A211R212R
213R252E275t-PAデス44-8DD184
R210A211R212R213R252E275 t
-PA、 またはそのN184およびS184同族体。
【0031】本発明をより具体的に実施するために使用
することができる方法の詳細な説明、および現時点にお
いて実施し得る最良の方法と考えられる詳細について、
以下、さらに説明する。しかし、これらは本発明の範囲
を限定するものと解してはならず、むしろ本発明の範囲
は、現在の請求の範囲の法的構成によってのみ支配され
るものである。
【0032】A.定義/一般的方法 1.部位-特異的突然変異 本明細書に沿ってt-PA変異体を製造するに当たって
は、好ましくは、t-PAタンパク質の初期に調製された
変異型または非変異型誘導体をコードしているDNAに
部位-特異的突然変異を行う。部位-特異的突然変異によ
れば、十分な大きさのプライマー配列を得るため、所望
の突然変異のDNA配列をコードしている特定のオリゴ
ヌクレオチド配列および十分な数の隣接ヌクレオチドを
使用することによって、t-PA変異体を製造することが
でき、そうすれば欠失接合部の両側に安定な二重ラセン
(duplex)を形成させるための配列複雑性が回避(トラバ
ース)される。通常は、約20-25長のヌクレオチドの
プライマーが好ましく、配列の接合部の両側における約
5-10残基を改変する。部位-特異的突然変異の技法
は、アデルマン(Adelman)らのDNA 2,183(1983)などの刊
行物によって例示されているように、一般には当業界周
知である。この技法は通常、1本鎖および2本鎖の両形
態で存在するファージベクターを使用することは理解さ
れているとおりである。部位-特異的および突然変異誘
発に有用である代表的なベクターにはM13ファージな
どのベクターがあり、これは例えばメッシング(Messin
g)らの第3回クリーブランドにおける、巨大分子および
組換えDNAについてのシンポジウム[Third Cleveland
Symposium on Macromolecules and Recombinant DNA、
ウオルトン(A.Walton)編, エルセビア(Elsevier), アム
ステルダム(1981)]に開示されている。これらのファー
ジは市販されており容易に入手でき、それらの使用法は
一般に当業者には周知である。あるいは、1本鎖DNA
を得るために、1本鎖ファージの複製起点を含有するプ
ラスミドベクター[ベイラ(Veira)らのMeth.Enzymol. 15
3,3(1987)]を使用することもできる。
【0033】一般に、本発明にしたがった部位-特異的
突然変異は、組織プラスミノーゲンアクチベーターをコ
ードしているDNA配列をその配列内に含有する1本鎖
ベクターをまず入手することにより実施する。所望の突
然変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを、
一般には合成的に、例えばクレア[Crea,Proc.Natl.Aca
d.Sci.,U.S.A.75,5765(1978)]らの方法によって調製す
る。次いで、このプライマーを1本鎖のt-PA配列含有
ベクターとアニーリングし、E.coli(大腸菌)ポリメラ
ーゼIクレノーフラグメントなどのDNAポリメラーゼ
酵素反応に供することにより、突然変異を含有する鎖
(ストランド)の合成を行う。このようにして、一方の鎖
が元の非突然変異配列をコードしており、他方の鎖が所
望の突然変異を有しているヘテロ二重ラセンを形成させ
る。次いで、このヘテロ二重ラセンベクターを使用し、
JM101細胞などの適当な細胞を形質転換することに
より、突然変異された配列の並びを有する組換えベクタ
ーを含有したクローンを選択する。
【0034】このようなクローンを選択した後、t-PA
の産生に適当なベクター、一般には適当な真核生物宿主
の形質転換に使用することのできるタイプの発現ベクタ
ー内に、得られた突然変異t-PA領域を移動させ、配置
させればよい。本発明においては、長期に安定なt-PA
産生体を調製するために好ましい細胞は、CHO細胞ま
たは293細胞である。しかし、本発明はCHO生産に
限定されるものではなく、具体的に、試験目的として該
酵素を一時的にのみ生産させたい場合などは、多くの他
のタイプの細胞を使用することができることが分かって
いる。例えば、以下には、293細胞[グラハム(Graha
m)らのJ.Gen.Virol.36,59(1977)]を使用する一時的系を
記載しているが、これは分析用のt-PA変異体を生産す
るための簡便な系を提供するものである。
【0035】2.宿主細胞培養およびベクター CHO発現は結局はt-PA生産のために好ましいが、本
明細書に記載のベクターおよび方法は、原核生物および
真核生物という広範な範囲にわたる宿主細胞で使用する
のに適している。
【0036】一般に、DNA配列の最初のクローニング
および本発明に有用なベクターの構築には原核生物が好
ましいのは当然である。例えば、E.coli K12 株2
94(ATCC No.31446)は特に有用である。他
の使用することができる微生物株には、E.coli Bおよ
びE.coli X1776(ATCC No.31537)など
のE.coli 株がある。当然ながら、これらの例示した株
は限定的なものではなく、単なる説明のためのものであ
る。
【0037】発現のためにも原核生物を使用することが
できる。上記の株、およびE.coliW3110(F-、ラ
ムダ-、原栄養株、ATCC No.27325)、バシラ
ス・ズブチリス(Bacillus subtilus)などのバシラス
属、およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella ty
phimurium)またはセラチア・マルセサンス(Serratia ma
rcesans)などの他の腸内細菌属、および種々のシュード
モナス種を使用することができる。
【0038】一般には、これらの宿主細胞と共に、その
宿主細胞と適合する種由来のレプリコンおよび制御配列
を含有するプラスミドベクターを使用する。そのベクタ
ーは普通は、複製部位、および形質転換された細胞内に
おいて表現型の選択性を付与することのできるマーキン
グ配列を含有する。例えば、E.coli は、E.coli 種由
来のプラスミドであるpBR322によって通常形質転
換される[例えばボリバー(Bolivar)らのGene 2,95(197
7)を参照のこと]。pBR322はアンピシリンおよびテ
トラサイクリン耐性を付与する遺伝子を含有しており、
したがって形質転換された細胞を同定するための容易な
手段を提供するものである。pBR322プラスミド、
または他の微生物プラスミドもしくはファージはさら
に、自身のタンパク質を発現するためにその微生物が使
用することのできるプロモーターを含有していなければ
ならず、または含有するように修飾しなければならな
い。
【0039】組換えDNAの構築で最も普通に使用され
るプロモーターには、β−ラクターゼ(ペニシリナーゼ)
およびラクトースプロモーター系[チェンジ(Chang)らの
Nature 375,615(1978)、イタクラ(Itakura)らのScience
198,1056(1977);(ゴーデル(Goeddel)らのNature 281,
544(1979))]、およびトリプトファン(trp)プロモーター
系ゴーデルらのNucleic Acids Res.8,4057(1980);EPO
出願公開第0036776号がある。これらは最も普通に使用
されるものであるが、他の微生物プロモーターも発見さ
れており、使用され、それらのヌクレオチド配列に関す
る詳細が開示され、当業者ならば、それらをプラスミド
ベクターに機能的に連結することができる[例えば、シ
ーベンリスト(Siebenlist)らのCell 20,269(1980)を参
照]。
【0040】原核生物に加えて、酵母などの真核微生物
培養物を使用することもできる。サッカロマイセス・セ
レビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、または普通の
パン酵母が真核微生物の中でも最も普通に使用されてい
るが、他の多くの株も普通に利用することができる。サ
ッカロマイセスにおいて発現させるためには通常、例え
ばプラスミドYRp7が使用される[スチンコム(Stinchc
omb)らのNature 282,39(1979)、キングスマン(Kingsma
n)らのGene 7,141(1979)、シェンパー(Tschemper)らのG
ene 10,157(1980)]。このプラスミドは、トリプトファ
ン環境下での増殖能を欠いている酵母の突然変異株に選
択マーカーを付与するtrp1遺伝子を既に含有している
[例えば、ATCC No.44076またはPEP4-1
(ジョーンズ(Jones)のGenetics 85,12(1977))]。次い
で、酵母宿主細胞ゲノムの特性としてtrp1欠損が存在
することにより、トリプトファン不存在下における増殖
によって形質転換を検出するために有効な環境が提供さ
れる。
【0041】酵母ベクターにおける適当なプロモーター
配列には、3-ホスホグリセレートキナーゼにかかるプ
ロモーター[ヒッツェマン(Hitzeman)らのJ.Biol.Chem.2
55,2073(1980)]、またはエノラーゼ、グリセルアルデヒ
ド-3-ホスフェート脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピル
ビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
グルコース-6-ホスフェートイソメラーゼ、3-ホスホ
グリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセ
ホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラ
ーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の解糖系酵素[ヘ
ス(Hess)らのJ.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968)、ホーラン
ド(Holland)らのBiochemistry 17,4900(1978)]にかかる
プロモーターがある。適当な発現プラスミドを構築する
に当たっては、これらの遺伝子に付随する終止配列も、
発現させようとする配列の3'側で発現ベクターに連結
させ、mRNAのポリアデニル化および終止を行わせ
る。増殖条件によって制御される転写という付加的な利
点を有している他のプロモーターには、アルコール脱水
素酵素2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒
素代謝に関与する分解酵素、および上記のグリセルアル
デヒド-3-ホスフェート脱水素酵素、およびマルトース
とガラクトースの利用に関与する酵素、にかかるプロモ
ーター領域がある。酵母適合性のプロモーター、複製起
点および終止配列を含有するプラスミドベクターが適当
である。
【0042】微生物に加えて、多細胞生物由来の細胞培
養物も宿主として使用することができる。具体的には、
脊椎動物または非脊椎動物のいずれであっても、このよ
うな細胞培養物を使用することができる。しかし、脊椎
動物細胞への関心が高まっており、培養物(組織培養物)
中における脊椎動物細胞の増殖は最近では常法になって
来ている[Tissue Culture、アカデミック・プレス、ク
ルスら(Kruse and Patterson)編集]。このような有用な
宿主セルラインとしては例えば、VEROおよびHeLa
細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)セルライ
ン、およびW138、BHK、COS-7、293およ
びMDCKセルラインが挙げられる。このような細胞の
ための発現ベクターは通常、(要すれば)複製起点、発現
すべき遺伝子の前に位置するプロモーターを、必須のリ
ボゾーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニ
ル化部位、および転写終止配列と共に含有している。
【0043】哺乳動物細胞を使用するには、ウイルス物
質によって発現ベクター上の制御機能を付与することが
多い。例えば、普通使用されるプロモーターは、ポリオ
ーマ、アデノウイルス2、および最も頻繁にはサルウイ
ルス40(SV40)から誘導される。SV40ウイルス
における初期および後期プロモーターは、両者共にSV
40ウイルスの複製起点をも含有するフラグメントとし
て該ウイルスから容易に入手されるので、特に有用であ
る[フィールズ(Fiers)らのNature 273,113(1978)]。ま
た、このウイルスの複製起点内に位置するHindIII部位
からBglI部位に伸長する約250bp配列を含有してい
る限りは、それよりも小さく、または大きなSV40フ
ラグメントを使用することもできる。さらに、所望の遺
伝子配列に通常伴われたプロモーターまたは制御配列
も、そのような制御配列が宿主細胞系に受け入れられる
限りは利用することができ、それは望ましいことが多
い。
【0044】複製起点を付与するには、SV40または
他のウイルス(例えば、ポリオーマ、アデノ、VSV、
BPV)起源から誘導され得るような外来性の起点を含
有するようベクターを構築するか、または宿主細胞の染
色体における複製メカニズムに拠ればよい。後者の場
合、ベクターが宿主細胞の染色体に組み込まれれば、十
分である場合が多い。
【0045】変異型t-PAおよびDHFRタンパク質の
両方をコードしているDNA配列を含有する本発明のベ
クターによってトランスフェクトするための、好ましい
宿主細胞を選択するに当たっては、使用するDHFRタ
ンパク質のタイプに応じて宿主を選択するのが適当であ
る。野生型DHFRタンパク質を使用する場合、DHF
Rに欠損がある宿主細胞を選択することが好ましく、そ
れによりヒポキサンチン、グリシンおよびチミジンを欠
く選択培地中でトランスフェクションを成功させるため
のマーカーとして、DHFRをコードしている配列が使
用できるようにする。この場合の適当な宿主細胞は、ウ
ルローブおよびチャシン(Urlaub and Chasin)のProc.Na
tl.Acad.Sci.,U.S.A.77,4216(1980)に記載されているよ
うに調製され、増殖される、DHFR活性を欠くチャイ
ニーズハムスター卵巣(CHO)セルラインである。
【0046】他方、メトトレキサート(MTX)に対する
低い結合親和性を有するDHFRタンパク質を制御配列
として使用する場合、必ずしもDHFR欠損細胞を使用
する必要はない。突然変異DHFRはメトトレキサート
に対して耐性であるので、宿主細胞自身がメトトレキサ
ートに感受性である限り、MTX-含有培地を選択手段
として使用することができる。MTXを吸収することの
できる殆どの真核生物細胞がメトトレキサートに感受性
であるようである。このような有用なセルラインの1例
としてCHOライン、CHO-K1(ATCC No.CC
L61)が挙げられる。
【0047】細胞培養物から満足のいく量のヒトt-PA
が生産される。しかし、ある第2のコード化配列を使用
して純化すれば、さらに生産レベルを向上させることが
できる。この第2のコード化配列は、メトトレキサート
などの外部的に制御されたパラメーターによって影響を
受けるジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を含有してお
り、したがってMTX濃度の制御によって発現を制御す
ることができる。
【0048】3.使用し得る代表的な方法 強靭な細胞膜バリアーの無い細胞を宿主細胞として使用
する場合は、グラハム(Graham)およびフォン・デル(Van
der)編のVirology 52,546(1978)に記載されているリン
酸カルシウム沈降法によってトランスフェクションを行
う。しかし、核注入(核インジェクション)またはプロト
プラスト融合法などのDNAを細胞に導入するための他
の方法も使用することができる。
【0049】原核生物細胞、または実際に細胞壁構築物
を含有する細胞を使用する場合、トランスフェクション
の好ましい方法は、コーエン(Cohen)らのProc.Natl.Aca
d.Sci.,U.S.A.69,2110(1972)に記載されているような、
カルシウムを使用するカルシウム処置である。
【0050】所望のコード化および制御配列を含有する
適当なベクターの構築には、標準的な連結法を使用す
る。単離したプラスミドまたはDNAフラグメントを開
裂し、仕立て、必要なプラスミドを得るのに望ましい形
態に再連結する。
【0051】開裂は、適当な緩衝液中において制限酵素
(または酵素群)で処理することによって行う。一般に
は、緩衝溶液約20μl中、酵素1単位と共に、プラス
ミドまたはDNAフラグメント約1μgを使用する(個
々の酵素に対応する適当な緩衝液および基質の量は、取
り扱い説明書に指示されている)。37℃において約1
時間インキュベートする。インキュベート後、フェノー
ルおよびクロロホルムによってタンパク質を除去し、次
いでエタノールによる沈殿によって、その水性フラクシ
ョンから核酸を回収する。
【0052】平滑末端が必要な場合は、15℃におい
て、ポリメラーゼI(クレノー)10単位で15分間処理
し、フェノール-クロロホルム抽出し、次いでエタノー
ル沈殿すればよい。
【0053】開裂させたフラグメントのサイズ分離は、
6%ポリアクリルアミドゲルを使用して行う[ゴーデル
(Goeddel)らのNucleic Acids Res. 8,4057(1980)]。
【0054】約等モル量の所望の成分を連結するために
は、正しい適合が行われるよう仕立てた適当な末端を、
DNA0.5μg当たりT4DNAリガーゼ約10単位
で処理する(開裂させたベクターを成分として使用する
場合は、細菌アルカリホスファターゼで前処理して開裂
ベクターの再連結を防止するのが有用であろう)。
【0055】上述のように、t-PA変異体は特異的突然
変異の方法によって好ましく生産される。本発明を実施
する上で有用である突然変異体は、所望の欠失接合部の
DNA配列をコードしている特定のオリゴヌクレオチド
配列、および十分な数の隣接ヌクレオチドを使用するこ
とによって最も容易に作成することができ、それにより
充分な大きさの配列が得られ、欠失接合部の両側に安定
な二重ラセンを作成するための配列複雑性が回避され
る。
【0056】構築されたプラスミドが正しい配列である
ことを確認するための分析には通常、連結混合物(ライ
ゲーション混合物)により、E.coli K12 株294
(ATCC 31446)または他の適当なE.coli 株を
形質転換し、その場に適当であるアンピシリンまたはテ
トラサイクリン耐性によって、成功した形質転換体を選
択する。得られた形質転換体からプラスミドを調製し、
メッシング(Messing)らのNucleic Acids Res. 9,309(19
81)の方法またはマキサム(Maxam)らのMethods of Enzym
ology 65,499(1980)の方法に基づく制限マッピングおよ
び/またはDNA配列決定法によって分析する。
【0057】DNAを哺乳動物細胞宿主に導入し、安定
なトランスフェクト体のための培地中で選択した後、宿
主細胞培養物を、DHFR活性の競合インヒビターであ
るMTX約20-500,000nM濃度の存在下に増殖
させ、それによりDHFRタンパク質をコードしている
配列の増幅を行う。当然ながら、この有効濃度の範囲
は、DHFR遺伝子の本質、タンパク質、宿主の特性に
非常に左右される。明らかに一般に規定される上限およ
び下限は、確認することができない。他の葉酸同族体ま
たはDHFRを阻害する他の化合物、における適当な濃
縮物も使用することができる。しかし、MTXが簡便で
あり、容易に入手でき、有効である。
【0058】B.t-PAの比較変異体の製造 以下に、プラスミドpCVSVPA-N44 D22の構
築を、プラスミドp1154の調製の説明と共に詳細に
説明する。
【0059】同様に、プラスミドpPADHFR-6 2
C9の調製の説明と共に、部位特異的突然変異の実験に
ついても詳細に説明する。
【0060】以下に記載のオリゴヌクレオチドを使用す
る部位特異的突然変異によって、デス44-84の成長
因子ドメイン欠失、デス92-179のクリングル1ド
メイン欠失、およびデス174-261のクリングル2
ドメイン欠失も作成し(下記参照):
【化1】 (上記デルタ印は、欠失させた配列の部位を示している)
(図3参照)、これらを使用し、t-PAのコード化配列の
バルクを含有する1.4kb BglII/ApaIフラグメント
(1本鎖のベクター形態)で突然変異を起こさせる以外
は、以下のようなデス1-44の構築に類似した方法に
よって発現プラスミドを調製した。さらに、デス1-4
4構築と類似した方法によって、デス44-84および
デス92-179突然変異物も基本的にBglII/ScaI
フラグメント上に単離し、0.63kb ScaI/ApaIフ
ラグメント上のGlu275突然変異物およびt-PA C-
末端コード化配列と結合し、それにより以下に記載のよ
うなp1154に類似したプラスミドを作成した。
【0061】C.本発明のt-PA変異体の組換え的生産
のための発現ベクターの調製および利用 1.プラスミドの構築 a.プラスミドp1154 1)プラスミドpPADHFR-6 プラスミドpPADHFR-6(pETPFRとも呼ぶ)
を、例えば欧州特許出願公開第93619号(前掲)に記載の
ように調製した。模式図的な詳細は図1を参照のこと。
さらに付言すれば、このプラスミド自身、およびCHO
細胞におけるトランスフェクト体としてのこのプラスミ
ドは、それぞれATCC No.40403およびGRL
9606の下、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレ
クション[米国、メリーランド、ロックビル]に寄託され
ている(寄託日:1987年12月15日)。
【0062】2)プラスミドpCVSVPA-N44 D
22 プラスミドpPADHFR-6(前掲)をStuIおよびEco
RIで消化し、アミノ酸203までのt-PAプレ配列を
コードしている配列を含有する826塩基対のフラグメ
ントを遊離させる。このフラグメントを、SmaI/Eco
RIで消化した、複製形態のM13ファージベクターで
あるM13mplORFのベクターフラグメント[例えば、
メッシングらの巨大分子組換えDNAに関する第3回ク
リーブランドシンポジウム、A.Walton編、アムステルダ
ム、エリセビア(1981)を参照のこと]と連結させた。し
たがって、この中間プラスミド、pPA-N44intA
は、部位特異的欠失突然変異によってアミノ酸1-44
のコドンが除去されるはずのt-PA遺伝子の部分を含有
するM13ファージの複製形態であった。
【0063】この突然変異を行うため、クレア(Crea)ら
のProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.75,5765(1978)に記載の
ホスホトリエステル法などの方法によって、オリゴヌク
レオチドプライマーを調製した。デス(1-44)の突然
変異体を調製するために使用したプライマーは、以下の
プレ配列を有していた:
【化2】
【0064】このプライマーの10個の5'ヌクレオチ
ドは−3から−1アミノ酸のプレ配列(gly-ala-arg)を
コードしており、17個の3'ヌクレオチドは、アミノ
酸45から49(SER-VAL-PRO-VAL-LYS)
をコードしていることは、理解されよう。BglII部位を
保持させるため、セリン-45としては「TCT」コドン
を使用していることに注意願いたい。
【0065】この合成オリゴヌクレオチド約200mg
を、T4ポリヌクレオチドキナーゼ約8Uを含有する5
0mM トリス-HClpH7.5、10mM MgCl2、10m
Mジチオトレイトール、1mM ATP30μl中、37
℃で30分間、リン酸化した。得られたリン酸化プライ
マー100μgを含有する10mM トリス−HClpH
7.5、10mM MgCl2、1mM ジチオトレイトール約
40μl中で、ヘテロ二重ラセンを形成させるため、1
本鎖pPA-N44intA約50ngを95℃に加熱(10
分間)し、ゆっくりと室温にまで冷却させ(30分間)、
次いで4℃に冷却した。2mM ATP、各0.25mM
のdGTP、dCTP、dATP、dTTP、E.coli ポリ
メラーゼI大きい(クレノー)フラグメント5U、および
T4DNAリガーゼ400Uを含有するリガーゼ緩衝液
約10μlを添加することによって、プライマー延長を
開始させた。15℃において1時間反応させた後、得ら
れた混合物を使用してJM101細胞を形質転換した。
【0066】形質転換は、すべての連結混合物(ライゲ
ーション混合物)を受容性JM101細胞200μlと混
合し、次いで氷上で30分、および37℃で5分間イン
キュベートすることによって行った。次いで、55℃の
2YTトップ寒天3.5mlを、ファージ飽和細胞200
μl、IPTG(200mM)10μlおよびXガル50μl
と混合し、添加後、得られた細胞を、薬物を何等含ま
ず、2YTを含有するペトリ皿上にプレートした。
【0067】無色のプラークを取り上げ、2YT培地1
00μlを含有するマイクロタイター皿に移した。この
接種したマイクロタイターの液を、2YTトップ寒天8
ml中、JM101細胞600μlの芝を重層した直径1
5cmの1B寒天平板の上にスタンプし、37℃で一晩イ
ンキュベートした。生成したプラークを、ニトロセルロ
ースディスクに1分間物理的に接触させ、それに移し
た。得られたニトロセルロースディスクを0.5M Na
OH、1.5M NaClで3分間処理し、3M NaCl-
0.5M トリス-HClpH7.5で15分間2回洗浄し、
次いで2X SSCで15分間洗浄した。プレハイブリ
ダイゼーション混合物(ミックス)は、10mM トリス-p
H7.5、5mM EDTA、0.9M NaCl、1×デン
ハート(Denhardt)0.5パーセントNP40、100μ
M ATP、1mM ピロリン酸ナトリウム、1mM リン
酸ナトリウムおよび50μg/mlE.coli tRNAを含有
している。1×デンハートのそれは、1リットル当たり
フィコール(Ficoll)200mg、ポリビニルピロリドン
200mg、ウシ血清アルブミン(BSA;フラクション
V)200mgを含有している。得られたディスクを真空
下で90分間、80℃で焼いた(bake)。次いで、そのデ
ィスクをペトリ皿中でプレハイブリダイゼーション液6
mlと共に3時間インキュベートした後、5×106cpmに
標識したプライマーを添加し、一晩ハイブリダイズし
た。そのディスクを、49℃において0.4XSSCで
選択的に洗浄し、そして風乾した後、X-線フィルムに
照射した。陽性にハイブリダイズしたクローンをさらに
ジデオキシ配列決定法によって分析した[アルデマン(前
掲)を参照]。これらの陽性コロニーから、適切な欠失部
を含有する組換えプラスミドを選択し、それをpPA-N
44intAデルタと命名した。
【0068】適切な発現という関係からM13ファージ
由来の突然変異遺伝子配列をDHFR含有発現ベクター
中に置換させるため、プラスミドpPADHFR-6をB
glII/KpnIで別々に消化することによりDHFR遺伝
子をコードしている大きなフラグメントを単離し、また
BstXI/KpnIで消化することにより天然t-PAの3'
末端(アミノ酸45-527)をコードしている2240
塩基のフラグメントを単離した。N44を担う400塩
基フラグメント(デス1-44)突然変異体をpPA-N4
4intAデルタからBglII/BstXIによる消化によって
単離し、pPADHFR-6から誘導した上記2つのフラ
グメントと互いに連結した。したがって、この連結反応
による生成物(CVSVPA-N44 D22と命名)は、
1-44アミノ酸をコードしているコドンが除去されて
いる点を除いて、親のプラスミドpPADHFR-6の複
製物(コピー)であった。その透視画法的な詳細は図2を
参照のこと。
【0069】3)プラスミドpPADHFR-6 2C9 プラスミドpPADHFR-6(pETPFRとも呼ばれ
る)およびpA25E10から、ヒトt-PAのDNAを得
た。これら2つのt-PAプラスミドの調製法は、欧州特
許出願公開第093619号(前掲)に記載されている。
【0070】プラスミドpA25E10は、t-PA遺伝
子の最後の508アミノ酸をコードしている配列、およ
び3'非翻訳領域の772塩基対を含有している。この
プラスミドをSacIおよびBglIIで消化し、744塩基
対のフラグメントを得、それを既述のような常法によっ
て単離した。このフラグメントは、411から527ま
でのt-PAアミノ酸をコードしているコドンを含有して
おり、また3'非翻訳領域の部分を包含している。
【0071】プラスミドpPADHFR-6は、t-PAの
構造遺伝子全体、および3'非翻訳領域の部分を含有し
ている。このプラスミドをSacIおよびBglIIで消化
し、1,230塩基対のフラグメントを得、それを単離
した。このフラグメントは、成熟型のt-PAの最初の4
10アミノ酸をコードしているコドンを含有している。
【0072】これらのフラグメントを常法により互いに
連結させ、BglIIで消化した。成熟型のt-PA配列全体
と3'非翻訳領域の部分とをコードしているコドンを含
有する1,974塩基対のフラグメントを単離した。2
本鎖のM13mp8(メッシング、前掲)をBamHIで消化
し、BglII消化t-PAとアニーリングしてM13mp8P
ABglIIを作成した。E.coli JM101細胞(ATC
C No.33876)をこの2本鎖の複製形態のM13mp
8PABglIIで形質転換した。1本鎖および2本鎖(R
F)形態のM13mp8PABglIIは、このファージに感
染されたE.coliJM101細胞から単離することがで
きる。t-PAの部位-特異的突然変異には、1本鎖型の
ものを使用した。
【0073】部位特異的突然変異によってヒトt-PAの
構造遺伝子を修飾し、適当な種々の位置にアミノ酸置換
を有するt-PAを発現させた。合成オリゴヌクレオチド
は、クレアのE.coli(前掲)の固相ホスホトリエステル
法などの方法によって調製した。このような部位特異的
突然変異のために調製し、使用した合成プライマーの中
には、以下のものがあった:
【化3】
【0074】以下に記載の操作法を使用し、合成プライ
マーの突然変異配列を含有する種々のt-PAクローンを
作成した。使用した一般的方法はアデルマン(前掲)のそ
れである。例えば、上記のプライマーを使用することに
より、3M13RF2C9を作成した。突然変異t-PA
遺伝子由来の精製M13 RF DNAをE.coli JM1
01細胞から調製した。次いで、突然変異t-PA DN
A配列を含有するDNAフラグメントを使用し、突然変
異t-PAのための発現ベクターを構築した。
【0075】合成オリゴヌクレオチド50ngを、T4
ポリヌクレオチドキナーゼ8Uを含有する50mM トリ
ス-HClpH7.5、10mM MgCl2、10mM ジチオ
トレイトール、1mM ATP10μl中、37℃で30
分間、リン酸化した。プローブとして使用するため、A
TPの替わりに60mCi[γ32-P]-ATP(3000
μCi/mmol)を使用する以外は上記のようにして、リン
酸化し、約50−60×106cpm/400ngの24-mer
を得た。ヘテロ二重ラセンを生成させるため、リン酸化
したプライマー10ngおよびEcoRI-消化M13mp8
PABglIIRFの大きなフラグメント50ngを含有す
る10mM トリス-HClpH7.5、10mM MgCl2
1mM ジチオトレイトール40μl中において、1本鎖
M13mp8PABglII10ngを95℃に加熱(10分
間)し、ゆっくりと室温にまで冷却させた(30分間)。
2mM ATP、各0.25mM のdGTP、dTTP、dC
TP、およびdATP、E.coli ポリメラーゼI大きな
フラグメント5U、およびT4DNAリガーゼ400U
を含有するリガーゼ緩衝液10μlを添加することによ
って、プライマー延長を開始させた。12℃において1
時間反応させた後、得られた混合物を使用してJM10
1細胞を形質転換した。
【0076】形質転換は、ライゲーション混合物10μ
lを受容性JM101細胞200μlと混合し、次いで氷
上で30分、および37℃で5分間インキュベートする
ことによって行った。次いで、55℃の2YTトップ寒
天3.5mlを、飽和JM101細胞200μl、IPTG
(200mM)10μlおよびXガル50μlと混合し、形
質転換細胞の添加後、薬物を何等含まず、LBを含有す
る9cmペトリ皿上にプレートした。
【0077】無色のプラークを取り上げ、2YT培地1
00μlを含有するマイクロタイター皿に移した。この
接種したマイクロタイターの液を、2YTトップ寒天8
ml中、JM101細胞600μlの芝を重層した直径1
5cmのLB寒天平板上にスタンプし、37℃で一晩イン
キュベートした。1分間物理的に接触させて、生成した
プラークをニトロセルロースディスクに移した。得られ
たニトロセルロースディスクを0.5M NaOH、1.5
M NaClで3分間処理し、3M NaCl-0.5M トリ
ス-HClpH7.5で15分間2回洗浄し、次いで2X
SSCで15分間洗浄した。プレハイブリダイゼーショ
ン混合物(ミックス)は、10mM トリス pH7.5、5m
M EDTA、0.9M NaCl、1×デンハート(Denhar
dt)0.5パーセントNP40、100μM ATP、1m
M ピロリン酸ナトリウム、1mMリン酸ナトリウムおよ
び50μg/mlE.coli tRNAを含有している。1×デ
ンハートのそれは、1リットル当たりフィコール(Ficol
l)200mg、ポリビニルピロリドン200mg、ウシ血
清アルブミン(BSA;フラクションV)200mgを含有
している。得られたディスクを真空下で90分間、80
℃で焼いた(bake)。次いで、そのディスクをペトリ皿中
でプレハイブリダイゼーション液6mlと共に3時間イン
キュベートした後、5×106cpmに標識したプライマー
を添加し、一晩ハイブリダイズした。そのディスクを、
49℃において0.4X SSCで選択的に洗浄し、そし
て風乾した後、X-線フィルムに照射した。陽性にハイ
ブリダイズしたクローンをさらにジデオキシ配列決定法
によって分析した[アルデマン(前掲)を参照]。
【0078】BglIIおよびBstEIIでpPADHFR-6
を消化することにより生成される大きなフラグメントを
単離し、フラグメント1と命名されるベクターフラグメ
ントを得た。pPADHFR-6をBglIIおよびBstXIで
消化して得られる400塩基対のt-PAフラグメントを
単離することにより、フラグメント2と命名されるフラ
グメントを得た。突然変異t-PAクローン(前掲)由来の
RF DNAをBstXIおよびBstEIIで消化することに
より、所望の突然変異を含有する1,141塩基対t-P
Aフラグメント(フラグメント3)を得た。フラグメント
1および2をそれぞれフラグメント3と連結させた。得
られたDNA混合物を使用し、E.coliを形質転換し
た。形質転換体各々から、それぞれ真核生物発現ベクタ
ー、例えばpPADHFR-6 2C9を得た。
【0079】4)p1154の最終的構築 プラスミドpETPFRを制限酵素BglIIおよびApaI
で消化し、得られたフラグメントをアガロースゲル電気
泳動によって分画化した。t-PAプレプロコード化領
域、SV40初期プロモーター、β−ラクタマーゼ、お
よびDHFR遺伝子を含有する6.0kb フラグメントを
そのゲルから切除し、電気溶離(electroelut)した。
【0080】プラスミドpCVSVPA-N44 D22
をBglIIおよびScaIで消化し、得られたフラグメント
をアクリルアミドゲル電気泳動によって分画化し、そし
て0.63kb フラグメント(t-PAの成長因子、クリン
グル1およびクリングル2(部分的)ドメインにかかるコ
ード化配列である)を含有するバンドを切除し、電気溶
離した。
【0081】プラスミドpPADHFR-6 2C9をSc
aIおよびApaIで消化し、クリングル2(部分的)およ
びプロテアーゼ(Glu275突然変異を含有)ドメインの
コード化配列を含有する0.63kb フラグメントをアク
リルアミドゲル電気泳動によって精製し、電気溶離し
た。
【0082】このようにして単離した3つの精製フラグ
メントを、T4DNAリガーゼおよびrATPの存在下
にインキュベートし、1-44残基が欠失し(フィンガー
ドメイン欠失)、Arg275-->Glu突然変異が組み込
まれたt-PA分子をコードしている配列(1本鎖突然変
異体)を含有するプラスミドp1154を調製した。図3
参照。
【0083】b.プラスミドp652 ファージf1 RFI DNA[ジンダー(Zinder)らのMicr
obiol.Rev.49,101(1985)]をRsaIおよびAhaIIIで消化
し、DNA複製の+鎖起点を含有する0.4kbフラグメ
ントを単離した。BamHIリンカーをこのフラグメント
と連結させ、次いでBamHI消化を行い、BamHI粘着
末端を生成させた。次いで、これをプラスミドpBR3
22[ボリバー(Bolivar)らのGene 2,95(1977)]のBamH
I部位に挿入し、プラスミドpBRfloriを得た。プラス
ミドpBRfloriをBamHIで消化し、E.coli DNAポ
リメラーゼIのクレノーフラグメントおよびデオキシヌ
クレオシド三リン酸で処理し、平滑末端を生成させ、f
1+鎖起点を含有する0.4kb フラグメントを単離し
た。次いで、これをpBR322のPvuII部位に挿入
し、プラスミドp652を作成した。図4を参照のこ
と。
【0084】c.プラスミドp1060 1)プラスミドpCISt-PA サイトメガロウイルスのエンハンサーおよびプロモータ
ー、サイトメガロウイルスのスプライス・ドナー部位お
よびイントロン、Ig可変領域スプライス・アクセプタ
ー部位、t-PAをコードしているcDNA[ペニカ(Penni
ca)らのNature301,214(1983)]、ならびに肝炎表面抗原
のポリアデニル化および転写終止部位を含有するpCI
Ht-PAベクターをまず始めに構築した:
【0085】サイトメガロウイルスのエンハンサー[ボ
シャート(Boshart)らのCell 41,520(1985)]およびプロ
モーター[トムソン(Thomsen)らのProc.Natl.Acad.Sci.,
U.S.A.86,659(1984)]、サイトメガロウイルスのスプラ
イス・ドナー部位およびイントロンの部分[スターンベ
ルグ(Sternberg)らのJ.of Virol.49 190(1984)]、Ig可
変領域イントロンおよびスプライス・アクセプター部
位、第VIII因子をコードしているcDNAおよびSV4
0ポリアデニル化部位を含有するpF8CISベクター
を構築した。この構築法の3つの部分を以下に詳細に説
明する。
【0086】1.この最終ベクターのアンピシリン耐性
マーカーおよび複製起点を、プラスミドpML[ルスキー
(Lusky)らのNature 293,79(1981)]の変異体である、出
発プラスミドpUC13pMLから誘導した。pUC13
[ベイラ(Veira)らのGene 19,259(1982)]のポリリンカー
をpMLのEcoRIおよびHindIII部位に移すことによ
ってpUC13pMLを構築した。別の出発プラスミドで
あるpUC8CMVはCMVエンハンサー、プロモータ
ーおよびスプライス・ドナー配列の供給源であった。p
UC8CMVは、CMVエンハンサー、プロモーターお
よびスプライス・ドナー配列にかかる1から732のヌ
クレオチドをpUC8の平滑化PstIおよびSphI部位
に挿入することによって構築した(ベイラら、前掲)。こ
の粘着BamHI末端に、合成BamHI-HindIIIリンカ
ー[ニュー・イングランド・バイオラブス(New England
Biolabs)から市販されている]を連結し、HindIII部位
を作成した。この連結の後、HindIII-HincII消化を行
った。この消化により、CMVエンハンサー、プロモー
ターおよびスプライス・ドナー部位を含有する約800
bp のフラグメントを得た。ゲル単離した後、この80
0bp フラグメントをpUC13pMLの2900bp 片に
連結した。pF8CISの構築に必要とされるこのフラ
グメントは、上記の中間プラスミドをSalIおよびHin
dIIIで消化することによって得た。この3123bp 片
は、アンピシリンについての耐性マーカー、pUC13p
ML由来の複製起点ならびにエンハンサー、プロモータ
ーおよびスプライス・ドナー部位を包含するCMVに関
する制御配列を含有していた。
【0087】2.Ig可変領域イントロンおよびスプラ
イス・アクセプター配列は、合成オリゴマーを使用して
構築した。IgGイントロンおよびスプライス・アクセ
プター部位にかかる以下の配列を有する99-merおよび
30-merを、化学的に合成した[ボスウェル(Bothwell)
らのCell 24,625(1981)]:
【化4】
【0088】DNAポリメラーゼI(クレノーフラグメ
ント)により、合成した片を充填し、2本鎖フラグメン
トを作成した[ワーテル(Wartell)らのGene 9,307(198
0)]。次いで、PstIおよびHindIIIで2回消化した。
この合成リンカーをpUC13(ベイラら、前掲)のPst
IおよびHindIII部位にクローンした。この合成オリゴ
ヌクレオチドを含有するクローン(これをpUCIg.10
と命名する)をPstIで消化した。PstI-ClaIリンカ
ーを使用して、ClaI部位をこのフラグメントに付加し
た。HindIIIで消化した後、IgイントロンおよびIg可
変領域スプライス・アクセプターの部分を含有する11
8bp 片をゲル単離した。
【0089】3.本構築手順の第3番目は、肝炎表面抗
原の3'末端をSV40初期領域のポリアデニル化部位
および転写終止部位と置き換えることである。SV40
配列を含有するpUC.SV40ベクターをpUC8のBa
mHI部位[ベリラら、前掲]に挿入し、次いでpUC.S
V40をEcoRIおよびHpaIで消化した。SV40ポ
リアデニル化部位のみを含有する143bp フラグメン
トをこの消化物からゲル単離した。pSVE.8clD[欧
州特許出願公開第160457号]の消化後、さらに2つのフ
ラグメントをゲル単離した。EcoRIおよびClaI消化
によって生成される4.8kb フラグメントは、SV40
-DHFR転写単位、pMLの複製起点およびアンピシリ
ン耐性マーカーを含有している。ClaIおよびHpaI消
化後に得られる7.5kb フラグメントは、第VIII因子の
cDNAを含有している。スリー・パート連結(three-pa
rt ligation)により、pSVE.8c24Dが得られる。
この中間プラスミドをClaIおよびSalIで消化するこ
とにより、SV40ポリアデニル化および転写終止部
位、次にSV40 DHFR転写単位を有する第VIII因
子のcDNAを含有する9611bp フラグメントを得
た。
【0090】pF8CISを得るための最終的スリー・
パート連結では、a)複製起点、アンピシリン耐性マー
カーおよびCMVエンハンサー、プロモーターおよびス
プライス・ドナーを含有する3123bp SalI-HindI
IIフラグメント、b)Igイントロンおよびスプライス・
アクセプターを含有する118bp HindIII-ClaIフラ
グメント、ならびにc)第VIII因子のcDNA、SV40
ポリアデニル化部位およびSV40 DHFR転写単位
を含有する9611bp ClaI-SalIフラグメントを使
用した。
【0091】次に、中間プラスミドpCla t-PAおよび
プラスミドpF8CIS(上述)からプラスミドpCIH t
-PAを構築した:
【0092】まず始めにt-PA cDNAをpMLにクロ
ーンし、その遺伝子の5'末端をClaI部位とした。こ
れを行うため、pSVpa-DHFR(あるいは、pETPF
Rとも称する、前掲)由来の3238bp HindIIIフラグ
メントをpMLのHindIII部位に挿入した[ラスキー(Lus
ky)ら、前掲]。ClaI部位に接して並ぶ(juxtaposed)c
DNAの5'末端を有するクローンについて、コロニー
をスクリーニングした。得られた中間プラスミドをpC
LAt-PAと命名した。3'ポリアデニル化領域が後続
するt-PA cDNAを2870bp のClaI-KpnIフラ
グメントとして単離した。このフラグメントをpF8C
ISの5146bp フラグメントと連結した。CISベ
クターのこのClaI-KpnIフラグメントは、pML由来
の5'制御領域、SV40-DHFR転写単位、アンピシ
リン耐性遺伝子および複製起点を提示した。図5および
図6参照。
【0093】t-PAの発現レベルは、それ自体一般に既
知であり上述した方法にしたがって、CHOおよび29
3細胞をpCIHt-PAでトランスフェクトすることに
よって得られた。例えば、トランスフェクトされた29
3細胞由来の培地を検定することにより、pCIH t-P
Aが420ng/mlでt-PAを産生したことが証明され
た。
【0094】サイトメガロウイルスのエンハンサーおよ
びプロモーター、サイトメガロウイルスのスプライス・
ドナー部位およびイントロン、Ig可変領域のスプライ
ス・アクセプター部位、t-PAをコードしているcDN
AならびにpSV40ポリアデニル化配列を含有するpC
ISt-PAベクターを最後に構築した:
【0095】この構築のための出発ベクターはpCIHt
-PAおよびpF8CIS(上述)であった。この後者のベ
クターは、pCIHt-PAと同じ5'制御を有している
が、第VIII因子のcDNAおよびSV40ポリアデニル
化部位を含有している。SacIIを使用し、t-PA cDN
Aの3'を開裂した。得られた3'突出部をT4ポリメラ
ーゼによって平滑末端化した。次いで、pCIHt-PA
をClaIで切断した。この部位は、CMVイントロン性
配列とIg可変領域イントロンとに開裂するキメラ性イ
ントロンを分割している。このClaI処理物から287
0bp フラグメントをゲル単離した。SV40ポリアデ
ニル化部位、DHFR、転写制御、細菌性複製起点およ
びampr遺伝子、ならびにCMVエンハンサーおよびプロ
モーターおよびスプライス・ドナーをpF8CISから
単離した。これらの要素を、2525bp Sal-BamHI
フラグメントおよび3113bp HpaI-Salフラグメン
トとしてフラグメント内に分離した。KpnI(平滑)-Cl
aIフラグメントを、HpaI-SalフラグメントおよびS
alからBamHIフラグメントとスリー・パート連結する
ことにより、pCISt-PAを得、これを、pCIHt-P
Aプラスミドについて上述したようにCHOおよび29
3の両細胞において発現させて、それぞれt-PAを55
および3000ng/mlで得た。図7および図8参照の
こと。
【0096】2)p1060の最終的構築 プラスミドpCIS t-PAをKpnIで消化し、E.coli
DNAポリメラーゼIクレノーフラグメントおよびデオ
キシリボヌクレオシド三リン酸で処理することにより、
平滑末端を作成し、分子内連結によって再環状化させ
た。この処理によりKpnI部位が破壊され、pCIS t-
PA △Kpnと命名されるプラスミドが得られた。プラ
スミドpCIH t-PA △KpnをSalIおよびSstIIで
消化し、4.6kb フラグメントを単離した。さらにプラ
スミドpCISt-PAをPstIおよびSstIIで消化し、
1.4kb フラグメントを単離した。プラスミドp652
をPstIおよびSalIで消化し、3.4kb フラグメント
を単離した。これら3つのフラグメントをスリー・ウエ
イ連結(three-way ligation)によって結合し、プラスミ
ドp1060を作成した。図9参照のこと。
【0097】d.プラスミドp1179 プラスミドp1060をBglII(部分)およびApaIで消
化し、アガロースゲル電気泳動および電気溶離によって
8.0kb フラグメントを精製した。同様に、プラスミド
p1154をBglIIおよびApaIで消化し、1.3kb フ
ラグメントを単離した。これら2つのフラグメントをT
4 DNAリガーゼおよびrATPを使用して結合させ、
プラスミドp1179を得た。図10参照。プラスミドp
1179は、CMVプロモーターの制御下にあるデス
(1-44)/Glu275t-PA突然変異体(デス1-44E
275 t-PA)、ならびにβ-ラクタマーゼ遺伝子、D
HFR遺伝子およびDNA複製のf1起点を含有してい
た。このデス1-44E275t-PAのコード化領域の
配列は、図11〜図14に示している。
【0098】2.突然変異実験 a.鋳型の調製 プラスミドp1179をCaCl2-媒介性形質転換によっ
てE.coli 株JM101(ATCC No.33876)に
導入した。次いで、ベリアらのMeth.Enzymol.153,3(198
7)に記載のように、これらの細胞をヘルパーウイルスM
13K07で感染させ、1本鎖p1179DNAを調製
した。簡単に説明すれば、2YTブロス中、形質転換細
胞の飽和培養物0.3mlに109−1010pfuのM13K
07を加え、得られた混合物を37℃で15分間インキ
ュベートした。50μg/mlカルベニシリン(carbenicil
lin)を含有する新鮮な2YTブロス1.5mlを加え、培
養物を37℃で16時間穏やかに振盪させた。細胞をペ
レット化した後、ファージおよびパッケージング化プラ
スミドDNAを採取し、アンダーソン(Anderson)のNuc
l.Acids.Res. 9,3015(1981)に記載のように1本鎖DN
Aを調製した。
【0099】b.部位特異的インビトロ突然変異 プラークハイブリダイゼーションではなく、コロニーハ
イブリダイゼーションによって突然変異体を同定する以
外は、ゾラー(Zoller)らのMeth.Enzymol. 100,468(198
3)に実質的に記載されているオリゴデオキシリボヌクレ
オチドを使用し、p1179の突然変異を行った。ジデ
オキシヌクレオチド鎖成長停止法を使用し、1本鎖プラ
スミドDNAを直接DNA配列決定することにより、突
然変異を確認した[サンガー(Sanger)らのProc.Natl.Aca
d.Sci.,U.S.A.74,5463(1977)]。
【0100】c.プラスミド、突然変異体およびプライ
マー 上述の方法(具体的には2b部を参照のこと)により、下
記右欄に示すプラスミドを使用し、中欄に記載する修飾
を有しているプラスミド(下記左欄)を得た。
【化5】
【0101】3.発現および精製 a.プラスミドの調製 50μg/mlカルベニシリンを含有するLBブロス50
0ml中で、形質転換した細胞を飽和状態にまで増殖させ
た。遠心により細胞をペレット化し、50mlmM グルコ
ース、10mM EDTA、25mM トリス-HCl(pH
8.0)40ml中に再懸濁した。この懸濁液に1%ドデシ
ル硫酸ナトリウム、0.1M 水酸化ナトリウム60mlを
加え、得られた混合物を25℃で2分間インキュベート
し、次いで0℃で10分間インキュベートした。これ
に、4M 酢酸、3M 酢酸ナトリウム52mlを加え、得
られた混合物を0℃で30分間インキュベートした。次
いで、20,000rpmで20分間遠心し、得られた上清
を2容量の100%冷エタノールと混合し、遠心によっ
て得られた沈澱物を採取した。プラスミドDNAおよび
RNAを含有するペレットを乾燥させ、100mM トリ
ス(pH8.0)、10mM EDTA、1μg/mlRNase
Aに再溶解した。遠心により清澄化した後、臭化エチジ
ウム中0.5mg/mlに調節し、同重量の塩化セシウムを
加えた。次いで、得られたDNAをベックマンVTI6
5ローターにより遠心にかけた(18℃、55,000rp
m、16時間)。側面注射によりDNAバンドを採取し、
n-ブタノールで抽出して臭化エチジウムを除去し、水で
希釈し、エタノールにより沈澱させた。DNAを10m
M トリス(pH8.0)、1mM EDTA中に再溶解し、
終濃度1mg/mlとした。
【0102】b.トランスフェクションおよび発現 293細胞を全面成長させた。t-PAプラスミドDNA
(例えば、上記のようにして調製したp1179およびそ
の誘導体)10μgをVA RNA遺伝子をコードしてい
るDNA[チンマッパヤ(Thimmappaya)らのCell 31,543
(1982)]1μgと混合し、1mM トリス-HCl、0.1m
M EDTA、0.227M CaCl2500μl中に溶解
した。これに50mM HEPES(pH7.35)、28
0mM NaCl、1.5mM NaPO500μlを加え(旋
回(ボルテックス)下に滴加した)、25℃で20分間沈
澱を生成させた。次いで、懸濁した沈澱物を細胞(10
0mMプレート中)に加え、インキュベーター中に4時間
放置した。次いで、培地を吸引除去し、リン酸緩衝化食
塩水中20%グリセロール2mlを30秒間で加えた。得
られた細胞を血清不含の培地10mlで2回洗浄した後、
新鮮な培地を加え、細胞を5日間インキュベートした。
【0103】t-PA変異体を発現する安定なCHOセル
ラインを作成するため、t-PAのコード化配列のバルク
を含有するBglII/ApaIフラグメント(図9および図1
0)をpPADHFR.6由来の6.5kb BglII/ApaIフ
ラグメント(図3)と連結させた。次いで、得られたプラ
スミドをCHO細胞に導入し、メトトレキサート含有培
地中で選択することにより、コード化配列を増幅させ、
それによりt-PA変異体を過剰に発現させた。
【0104】c.精製 抗-t-PAヤギポリクローナルA6抗体(それ自体は常法
によって調製した)をカップリングさせた制御化ガラス
ビーズのカラム(1mlベッド容量)にならし培地(conditi
oned medium)を通すことによって、t-PA生成物を精製
した。培地を入れる前に、カラムをリン酸緩衝化食塩水
で平衡化させ、入れた後は、カラムを0.1M トリス-
HClpH7.5、1M NaClで平衡化させた。t-PA
は、0.1M酢酸、0.15M NaCl、0.02M アル
ギニン(pH2.0)で溶出させ、得られた分画をトリス-
塩基で素早く中和した。プールする前に、分画を0.0
1%Tween80に調節した。ある場合には、抗-t-PA
ヤギポリクローナル抗体カラムで最終的に精製する前
に、t-PA変異体をリジン-セファロースで精製した。
【0105】D.生物学的および薬物動態検定 1.t-PAの定量 天然のt-PA配列に標準化したELISAによって、タ
ンパク質濃度を常法とおり測定した[EPA 93619(前掲)参
照のこと]。タンパク質の純度および均質性は、レムリ
(Laemmli)のNature 227,680(1970)の緩衝系を使用し
た、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下、ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動(PAGE-SDS)によって分析し
た。通常は、7-17%グラジエントゲルを使用し、モ
リッセイ(Morrissey)のAnal.Biochem.117,307(1981)の
銀-染色法によりタンパク質を視覚化した。
【0106】2.血餅溶解 t-PA変異体のフィブリン溶解能を検定するに当たり、
カールセン(Carlsen)らのAnal.Biochem.168,428(1988)
の方法にしたがい、飽和濃度のプラスミノーゲンの存在
下に行った。インビトロ血餅溶解検定は、マイクロ遠心
分析器を使用する比濁分析により、組織プラスミノーゲ
ンアクチベーターの活性を測定するものである。トロン
ビンおよびt-PA試験試料の混合物をフィブリノーゲン
およびプラスミノーゲンの混合物中に遠心することによ
り、血餅形成を開始させ、その後に血餅溶解を開始し
た。得られた吸光度と時間とのプロフィルを分析し、検
定の終点を決定した。t-PA変異体の活性を、rt-PA
の標準曲線(EPA 093619)と比較した。この検定の全体に
わたって使用する緩衝液は、0.01%(v/v)Tween80
および0.01%(w/v)アジ化ナトリウムを含有する0.
06M リン酸ナトリウムpH7.4であった。ヒトトロ
ンビンは濃度33単位/mlであった。フィブリノーゲン
(2.0mg/ml凝固し得るタンパク質)を湿氷上で冷し、
フィブロネクチンを沈殿させ、次いで重力濾過した。G
lu-プラスミノーゲンは濃度1mg/mlであった。分析器
の容器内温度は37℃に設定する。充填器は、標準曲線
にかかる試料としてのrt-PA20μl(-500ng/ml
から1.5μg/ml)、または標準曲線の範囲内で溶解を
起こす濃度の変異型rt-PA20μl、第2の試薬として
のトロンビン20μl、および第1の試薬としてのフィ
ブリノーゲン:プラスミノーゲン50:1(v/v)混合物
200μlが分散するよう設定する。5分間のインキュ
ベート時間、340-nm-フィルターおよび90-間隔の
判読によって、吸光度/時間プログラムを行った。
【0107】3.フィブリン結合性 フィブリン結合性に関する方法は、リーケン(Rijken)ら
のJ.Biol.Chem.257,2920(1982)に記載されている方法の
改変法である。試験するt-PA試料を、0.05M トリ
ス(pH7.4)、0.12M NaCl、0.01%Tween8
0、1mg/mlヒト血清アルブミン、および種々の濃度の
プラスミノーゲン不含のフィブリン(0、0.05、0.
1、0.25および0.5mg/ml)を含有する溶液に加え
る。この反応混合物の最終容量は1mlであった。得られ
た試料を37℃で5分間インキュベートした後、トロン
ビン1単位を加えた。次いで、得られた試料を37℃で
1時間インキュベートした。生成した血餅を遠心によっ
て除去し、未結合のままの上清中t-PAの量をELIS
Aによって測定した。結合したt-PA変異体 対フィブ
リン(フィブリノーゲン)濃度の%としてデータをプロッ
トした。
【0108】4.薬物動態 a.目的 125 I-標識したrt-PAとt-PA変異体とのターミナル
半減期(terminal half-lives)およびクリアランス(消失
度)を比較するための試験である。
【0109】b.方法 20匹のウサギを無作為に4つの処置グループに分け
た:rt-PA、デス1-44t-PA、デス1-44E27
5t-PA、およびデス1-44D184E275t-P
A。これらのタンパク質を125Iで約10μCi/kgま
で標識し、標識化タンパク質の非特異的吸着を減少させ
るため0.1mg/kg rt-PAと混合した。TCAを沈
殿し得る125I-タンパク質の線量は、名目上5μCi/k
gであった。
【0110】各ウサギは両耳にヘパリン・ロックを有す
るカテーテルを有していた。薬物を1つのカテーテル中
IVボーラスとして投与し、次いで食塩水を流し込んだ。
反対の耳から全血試料を採取した。血液試料1mlを以下
の時点に入手した:0(投与前)、および投与後2、5、
15、30、45、60、75、90、120、15
0、および180分。食塩水を使用して、各時間毎にカ
テーテルを洗い(フラッシュし)、血液容量と置き換え
た。採取した血液試料を、4.2mM EDTAおよび1m
M PPACKを含有する1.5mlエッペンドルフ遠心管
に注いだ。各遠心管は遠心するまで氷上で維持した。遠
心後、血漿を素早く除去し、エッペンドルフ遠心管に入
れ、試験が終わるまで氷上で保存した。各血漿試料10
0μl中のタンパク質をトリクロロ酢酸で沈降させた。
各沈降物のガンマ放射線をカウントすることにより、タ
ンパク質に結合した125Iを定量した。得られた結果は
CPM/試料100μl基準であるので、各データ解析
毎にCPM/mlに変換した。
【0111】c.データ解析 血中濃度-時間曲線下面積(AUC)操作を使用する台形
法によって、各ウサギのAUCを2から180分で電算
機計算した。クリアランスは、等式CL=投与量/AU
Cから計算した。rt-PAと比較した各タンパク質のク
リアランスは、以下のようである。 比 較 クリアランス率 デス1-44t-PA 0.12 デス1-44E275t-PA 0.11 デス1-44D184E275t-PA 0.38 d.まとめ
【0112】上記125I-標識化タンパク質にかかるター
ミナル半減期の順番は以下のようである: rt-PA、
デス1-44t-PA、デス1-44E275t-PA、デス
1-44D184E275t-PA。実際の半減期の値を
決定するには、非標識化タンパク質を使用して薬物動態
試験を行わなければならない。125I-標識化デス1-4
4t-PAおよびデス1-44E275t-PAのクリアラ
ンスは同等であり、125I-標識化rt-PAにより得られ
た値の約1/9であった。3重突然変異体であるデス1
-44D184E275t-PAのクリアランスは、他の
突然変異体のそれよりも3倍高く、125I-rt-PAより
も約2.5倍低かった。
【0113】E.医薬組成物 本発明の化合物は、本発明ヒト組織型プラスミノーゲン
アクチベーター産物を医薬的に許容され得る担体ビヒク
ルとの混合物中で混合することにより、医薬的に有用な
組成物を製造するための既知の方法によって製剤化する
ことができる。適当なビヒクル、および他のヒトタンパ
ク質、例えばヒト血清アルブミンを含んだそれらの製剤
は、例えばマーチン(E.W.Martin)によるRemingron's Ph
armaceutical Sciencesに記載されている。このような
組成物は、ヒトに効果的に投与するのに適した医薬的に
許容され得る組成物に調製されるよう、有効量のタンパ
ク質を適量のビヒクルと共に含有しているものである。
【0114】例えば、本発明のヒト組織型プラスミノー
ゲンアクチベーターは、心臓血管の疾患および症状に罹
患した患者に非経口的に投与することができる。投与量
および投与速度は、他の心臓血管薬、血栓溶解薬が臨床
試験で通常使用されてるものと同様であり得、例えば心
筋梗塞、肺塞栓症などに罹患した患者では、約1-2mg
/kg体重で、1.5-12時間かけて静脈内または動脈
内投与を行う。
【0115】適当な投与剤形の1例としては、ヒト組織
型プラスミノーゲンアクチベーター50mg、アルギニ
ン、リン酸およびポリソルベート80を含有するバイア
ルを滅菌水50mlにより注射用に再構成し、それを適量
の0.9%塩化ナトリウム注射液と混合することが挙げ
られる。
【0116】半減期が延長され、または短縮されたヒト
組織型プラスミノーゲンアクチベーターは、急速静脈内
注射、特に例えばボーラスとして適当であり得る。これ
は、複雑な投与操作を行う必要性を減少させるであろう
し、例えば人員が診療補助者である救急車内におけるよ
うに、限定された医療器具により対処する上で、t-PA
を使用する機会を増大させ得るものである。延長された
半減期を有するヒト組織型プラスミノーゲンアクチベー
ターによればさらに、より安全かつ低い初期投与量で行
うことができ、45分またはそれ以上、血栓溶解に活性
である有効なプラスミンレベルを維持させることができ
るであろう。そして、より長い半減期のヒト組織型プラ
スミノーゲンアクチベーターは、成功した急性血栓溶解
に続く閉塞の再発を回避するのに必須である場合がある
低容量の長期療法、または末梢の血管が閉塞した場合に
必要であり得る長期血栓溶解、にとって有用であり得
る。短縮された半減期のヒト組織型プラスミノーゲンア
クチベーターは、短期間有効レベルのプラスミンを提供
するので、ある特定の患者には望ましいタイプの血栓溶
解療法である場合がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、プラスミドpETPFR(pPADH
FR-6)の製造方法を説明し、その部分的な制限地図を
示す模式図である。
【図2】 図2は、プラスミドpCVSVPA-N44D
22の製造方法を説明し、その部分的な制限地図を示す
模式図である。
【図3】 図3は、プラスミドp1154の製造方法を
説明し、その部分的な制限地図を示す模式図である。
【図4】 図4は、プラスミドp652の製造方法を説
明し、その部分的な制限地図を示す模式図である。
【図5】 図5は、プラスミドpCISt-PAの製造方
法を説明し、その部分的な制限地図を示す模式図であ
る。
【図6】 図6は、プラスミドpCISt-PAの製造方
法を説明し、その部分的な制限地図を示す模式図であ
る。
【図7】 図7は、プラスミドpCISt-PAの製造方
法を説明し、その部分的な制限地図を示す模式図であ
る。
【図8】 図8は、プラスミドpCISt-PAの製造方
法を説明し、その部分的な制限地図を示す模式図であ
る。
【図9】 図9は、プラスミドp1060の製造方法を
説明し、その部分的な制限地図を示す模式図である。
【図10】 図10は、プラスミドp1179の製造方
法を説明し、その部分的な制限地図を示す模式図であ
る。
【図11】 図11は、プラスミドp1179によって
コードされているデス1-44E275t-PA突然変異
体の配列式である。
【図12】 図12は、プラスミドp1179によって
コードされているデス1-44E275t-PA突然変異
体の配列式である。
【図13】 図13は、プラスミドp1179によって
コードされているデス1-44E275t-PA突然変異
体の配列式である。
【図14】 図14は、プラスミドp1179によって
コードされているデス1-44E275t-PA突然変異
体の配列式である。
【図15】 図15は、種々のドメイン欠失突然変異
体、すなわち成長因子欠失のデス44-84(d-GF)、
クリングル1欠失のデス92-179(d-K1)、クリン
グル2欠失のデス174-261(d-K2)、および対照
としての天然t-PA(rt-PA)の、ウサギにおける薬物
動態プロフィルを示すグラフである。
【図16】 図16は、フィンガー欠失デス1-44な
どの種々のドメイン欠失突然変異体(第10図参照)にお
けるフィブリン結合性を、フィブリン(フィブリノーゲ
ン)濃度に対する結合率(%)で表したグラフである。
【図17】 図17は、t-PA濃度30ng/mlにおける
以下の分子のフィブリン結合性を示すグラフである:2
本鎖天然t-PA、デス1-44E275、デス1-44K
210E275、デス1-44R252E275、デス
1-44D184E275、デス1-44N238E27
5、デス1-44R210A211R212R213E
275。結果は、幾つかの独立した観察値(括弧内は回
数)の平均で示している(天然のものを除きすべて、29
3細胞において一時的に発現させた)。
【図18】 図18は、t-PA濃度100ng/mlにおけ
る以下に記載の分子のフィブリン結合性を示すグラフで
ある:デス1-44E275、デス1-44K210E2
75、デス1-44K213E275、デス1-44R2
52E275、デス1-44D184E275、デス1-
44N238E275、デス1-44R210A211
R212R213E275。結果は、幾つかの独立した
観察値(括弧内は回数)の平均で示している。(すべて、
293細胞において一時的に発現された物質由来であっ
た)
【図19】 図19は、t-PA濃度500ng/mlにおける
以下の分子のフィブリン結合性を示すグラフである:2
本鎖デス1-44、デス1-44E275、デス1-44
K210E275、デス1-44K213E275、デ
ス1-44D184E275。結果は、幾つかの独立し
た観察値(括弧内は回数)の平均で示している。(天然お
よびデス1-44を除きすべて、293細胞において一
時的に発現された物質由来であった)
【図20】 図20は、t-PA濃度100ng/mlにおけ
る以下の分子のフィブリン結合性を示すグラフである:
rt-PA、2本鎖天然rt-PA、デス1-44E275、
およびデス1-44D184E275。すべての分子は
安定なCHOセルラインから産生された。
【図21】 図21は、天然の比活性に対する百分率
(%)として表している、以下に記載の分子におけるイン
ビトロ血餅溶解の結果を示すグラフである:デス1-4
4、デス1-44E275、デス1-44S184,E2
75、デス1-44E253E275、デス1-44D1
84E275、デス1-44N238E275、デス1-
44R252E275、デス1-44K210E27
5、デス1-44K213E275、デス1-44R21
0A211R212R213E275、デス1-44R
210Q211Q212K2123E275。結果は、
幾つかの独立した観察値(括弧内は回数)の平均で示して
いる。(デス1-44を除きすべて、293細胞において
一時的に発現された物質由来であり、ELISAによっ
て定量した)
【図22】 図22は、天然の比活性に対する百分率
(%)として表している、以下に記載の分子におけるイ
ンビトロ血餅溶解の結果を示すグラフである:rt-P
A、デス1-44、デス1-44E275、デス1-44
D184E275。すべての分子は安定なCHOセルラ
インから産生された。
【図23】 図23は、以下の分子のウサギにおける薬
物動態プロフィルを示すグラフである(すべて安定なC
HOセルラインから産生):天然t-PA(rt-PA)、デス
1-44(N44)、デス1-44E275(N44-EI
K)、デス1-44D184E275(N44-EIL-D
184)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アデァー・ジェイ・ホッチキス アメリカ合衆国カリフォルニア94037、ハ ーフ・ムーン・ベイ,パーム・ビーチ・ア ベニュー230番 (72)発明者 カラ・ビィー・マークス アメリカ合衆国カリフォルニア94117、サ ン・フランシスコ,ページ・ストリート 971番

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 少なくともフィンガードメインの
    一部分が機能的に除去されてフィブリン結合能が減少す
    るよう修飾されたt-PAからなるt-PA変異体を得、 (b) 工程(a)にしたがって得られたt-PA変異体をさ
    らに修飾して、184位グリコシル化部位、1本鎖から
    2本鎖への開裂部位、および/またはクリングル2ドメ
    インにおける205−215位の推定リジン結合部位、
    における分子改変を有している第2のt-PA変異体を製
    造し、 (c) 該第2のt-PA変異体のフィブリン結合性を天然
    t-PAのそれと比較し、そして (d) 工程(a)の変異体と比較して回復されたフィブリ
    ン結合性を示す第2のt-PA変異体を選択する、ことを
    特徴とする、ヒトt-PA変異体を得るための方法。
  2. 【請求項2】 工程(b)の第2のt-PA変異体がアミノ
    酸275位と276位の間および/または277位と2
    78位の間における酵素的開裂に対して耐性である請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 工程(b)の第2のt-PA変異体がアミノ
    酸275位と276位の間および/または277位と2
    78位の間における酵素的開裂に対して耐性であり、さ
    らにアミノ酸184位における機能的な炭水化物構造を
    欠いている請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 工程(b)の第2のt-PA変異体がアミノ
    酸275位と276位の間および/または277位27
    8位の間における酵素的開裂に対して耐性であり、さら
    にアミノ酸210から213領域が天然t-PAと比較し
    て修飾されている請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 該第2のt-PA変異体産物が、デス1-
    44E275t-PA、デス1-44D184E275t-
    PA、デス1-44S184E275t-PA、デス1-4
    4R210A211R212R213E275t-PA、
    デス1-44R252E275t-PA、デス1-44K2
    10E275t-PA、およびデス1-44K213E2
    75t-PAの中から選ばれる、請求項1から請求項4ま
    でのいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 該第2のt-PA変異体が、 (a) 該変異体をコードしている組換えベクターを調製
    し、 (b) 得られた組換えプラスミドを適当な宿主内で発現
    させ、 (c) 発現されたt-PA変異体を採取する工程からなる
    方法によって得られる請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 組換えベクターが細菌ベクターであり、
    宿主が細菌宿主である請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 組換えベクターが真核生物ベクターであ
    り、宿主が真核生物宿主である請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 宿主がCHO細胞である請求項8に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 (a) 少なくともフィンガードメイン
    の一部分が機能的に除去されてフィブリン結合能が減少
    するよう修飾されたt-PAからなるt-PA変異体を得、 (b) 工程(a)にしたがって得られたt-PA変異体をさ
    らに修飾して、184位グリコシル化部位、1本鎖から
    2本鎖への開裂部位、および/またはクリングル2ドメ
    インにおける205−215位の推定リジン結合部位、
    における分子改変を有している第2のt-PA変異体を製
    造し、 (c) 該第2のt-PA変異体のフィブリン結合性を天然
    t-PAのそれと比較し、 (d) 工程(a)の変異体と比較して回復されたフィブ
    リン結合性を示す第2のt-PA変異体を選択し、そして (e) 選択した第2のt-PA変異体を治療学的に有効な
    濃度で含有する、医薬的に許容される組成物を製造する
    こと、を特徴とする、t-PA変異体を含有する医薬組成
    物を製造する方法。
  11. 【請求項11】 工程(d)の該第2の変異体が天然t-P
    Aと同様のフィブリン結合性を有している請求項10に
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 該第2の変異体が天然t-PAよりも長
    い血漿半減期を有し、および/または天然t-PAよりも
    遅いクリアランス速度を有している請求項10に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 該第2のt-PA変異体がアミノ酸18
    4位における機能的な炭水化物構造を欠いており、アミ
    ノ酸275位と276位の間および/または277位と
    278位の間における酵素的開裂に対して耐性である請
    求項10に記載の方法。
  14. 【請求項14】 該第1のt-PA変異体がアミノ酸1-
    44を欠いている請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 該第2のt-PA変異体産物が、デス1
    -44E275t-PA、デス1-44D184E275t-
    PA、デス1-44S184E275t-PA、デス1-4
    4R210A211R212R213E275t-PA、
    デス1-44R252E275t-PA、デス1-44K2
    10E275t-PA、およびデス1-44K213E2
    75t-PAの中から選ばれる、請求項10から14まで
    のいずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 該第2のt-PA変異体が、 (a) 該変異体をコードしている組換えベクターを調製
    し、 (b) 得られた組換えプラスミドを適当な宿主内で発現
    させ、 (c) 発現されたt-PA変異体を採取する工程からなる
    方法によって得られる請求項10に記載の方法。
  17. 【請求項17】 組換えベクターが細菌ベクターであ
    り、宿主が細菌宿主である請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 組換えベクターが真核生物ベクターで
    あり、宿主が真核生物宿主である請求項17に記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 宿主がCHO細胞である請求項18に
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 フィブリン結合能を減少させる少なく
    ともフィンガードメインの一部分の機能的な除去を包含
    する第1の修飾、ならびに1本鎖から2本鎖への開裂部
    位における酵素的開裂に対する耐性を有し、184位に
    おける機能的な炭水化物構造を欠いており、および/ま
    たはクリングル2ドメインにおける205−215位の
    推定リジン結合部位での分子改変を有するt-PA変異体
    を与えるさらなる修飾、を有しているt-PA変異体であ
    って、Gドメインが欠失されている場合、K1ドメイン
    は存在している該t-PA変異体。
  21. 【請求項21】 天然t-PAと比較して、1)244-2
    55アミノ酸領域、または2)233-242アミノ酸領
    域内がさらに修飾されている請求項20に記載のt-PA
    変異体。
  22. 【請求項22】 デス1-44E275t-PA、デス1-
    44D184E275t-PA、デス1-44S184E
    275t-PA、デス1-44K213E275t-PA、
    デス1-44R210A211R212R213E27
    5t-PA、デス1-44R252E275t-PA、およ
    びデス1-44K210E275t-PAの中から選ばれ
    る請求項20に記載のt-PA変異体。
  23. 【請求項23】 クリングル2ドメインにおける推定リ
    ジン結合部位での分子改変が、アミノ酸210−213
    位での改変である請求項20に記載のt-PA変異体。
JP8229871A 1988-03-21 1996-08-30 新規なヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体およびその製造方法 Pending JPH09168387A (ja)

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US07/170,510 US5094953A (en) 1988-03-21 1988-03-21 Human tissue plasminogen activator variants
US170510 1993-12-20

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