JP3081238B2 - フィブリン特異性を有する組織プラスミノーゲンアクチベーター - Google Patents

フィブリン特異性を有する組織プラスミノーゲンアクチベーター

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明は、組織プラスミノーゲンアクチベーターのプ
ロテアーゼドメイン内のアミノ酸が欠失されているなど
の改変された構造を有する特殊な組織プラスミノーゲン
アクチベーター(t−PA)変異体であって、その改変に
よりフィブリン(又は血漿凝塊)に対する当該変異体の
特異性が野生型(wt)t−PAのそれよりも高くなってい
る変異体に関する。
発明の背景及び関連分野の説明 プラスミノーゲンアクチベーターは、チモーゲン(酵
素前駆体)であるプラスミノーゲンを(Arg561−Val562
における開裂によって)活性化させて、フィブリンなど
の種々のタンパク質を分解するセリンプロテイナーゼで
あるプラスミンを生成させる酵素である。研究されてい
るプラスミノーゲンアクチベーターの中には、細菌タン
パク質であるストレプトキナーゼ、腎及び他の部位にて
合成され、初めは尿から抽出された酵素であるウロキノ
ーゼ、及び血管壁を裏うちする細胞から産生される酵素
であるヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−
PA)がある。
これらプラスミノーゲンアクチベーターそれぞれの作
用機序は異なっている:ストレプトキナーゼはプラスミ
ノーゲン又はプラスミンと複合体を形成してプラスミノ
ーゲン活性化活性を生じるものであり、ウロキナーゼは
プラスミノーゲンを直接開裂するものであり、t−PA、
フィブリン及びプラスミノーゲンはそれらすべてが相互
作用して最大活性を産するものである。
t−PAは、その高いフィブリン特異性及びインビボに
おける強力な凝塊(血餅)溶解能のおかげで、心筋梗塞
などの血管疾患を処置するうえで並外れた成果を示す、
特に重要かつ強力な新規な生物学的医薬物質として認定
され、記載されている。
t−PAの存在は幾つかの科学者グループによる多くの研
究を刺激したが、最初は、コランら[Collen、1988年6
月21日発行の米国特許第4,752,603号]により、天然起
源の実質的に純粋な単離物として同定され、必須のプラ
スミノーゲンアクチベーター活性がインビボにおいて試
験された。さらに、リッケン(Rijken)らのJ.Biol.Che
m.256,7035(1981)も参照のこと。
その後、t−PAは、組換えDNA技術を使用して隔離さ
れた環境下に大量のt−PAを得ることに成功し、その研
究に基づきDNA配列及び推定アミノ酸配列が明らかにさ
れ、完全な同定及び特性化がなされた。この実績は、ペ
ニカ(Pennica)らのNature301,214(1983)によって、
及び1988年8月23日発行の米国特許第4,766,075号にお
いて報告されている。
これらの文献に基づけば、t−PA分子は、トリプシ
ン、キモトリプシン、プラスミノーゲン、プロトロンビ
ン、フィブロネクチン及び表皮性成長因子(EGF)など
の他の種々のタンパク質中にて同定される、相同的な又
はそうでなくてもそれらに類似した構造に照らして規定
される5つのドメインを含有していることは、現在では
明らかであると思われる。これらのドメインは、t−PA
のアミノ酸のN−末端から開始して、(1)アミノ酸1
から約44を包含するものとして種々規定されるフィンガ
ー領域(F)、(2)アミノ酸約45からアミノ酸約91に
まで伸長するものとして種々規定される成長因子領域
(G)[EGFとの相同性に基づく]、(3)アミノ酸約9
2から約173にまで伸長するものとして規定されるクリン
グル1(K1)、(4)アミノ酸約180から約261にまで伸
長するものとして規定されるクリングル2(K2)、及び
(5)アミノ酸約264からt−PA分子のC−末端にまで
伸長するものとして一般に規定される、いわゆるセリン
プロテアーゼドメイン(P)、を命名されている。これ
らのドメインは一般に互いに隣接して位置しているか、
又は短い「リンカー」領域によって分割され、その推定
のt−PA成熟型の1から527アミノ酸の全体のアミノ酸
配列を占めている。
上記各ドメインは、生物学的意義を有するある種の特
異的性質に関与するものとして種々記載されている。フ
ィンガードメインは、フィブリンとの高い結合親和性に
とって少なくとも主要な重要性を持つ配列を含有してい
るものとして記載されている(この活性は、t−PAがフ
ィブリンに富む血栓の病巣において、凝塊の溶解に際し
て表す高い特異性にとって重要であると考えられる)。
また、成長因子様領域は、細胞表面結合活性に関係して
いる。クリングル2領域も、フィブリン結合性及び、t
−PAの活性を刺激するフィブリンの刺激能に強く関係し
ている。セリンプロテアーゼドメインはプラスミンを産
するためのプラスミノーゲンの酵素学的開裂に関与して
いる。
天然の2本鎖t−PAを血餅溶解物質として使用するこ
とが非常に有益であり、また欧州特許公開第112,122号
にて報告されている天然の1本鎖プロt−PAが有益であ
るとしても、それら天然のタンパク質がすべての状況下
において最適なt−PAとは限らないと考えられる。従っ
て、t−PAの特異性を増大させた幾つかの変異体が掲示
され、又は誘導されている。これらの変異体のある種の
ものは、より長い半減期又はより短いクリアランス(消
失)を有する薬物が好ましいような、例えば深部静脈血
栓及び続発性の梗塞被害部の再灌流を処置する場合、又
は1本鎖の薬物が好ましい場合に、天然のt−PAを使用
することに伴う欠点に指向したものである。
例えば、フィンガードメインのすべて、又はその大部
分を除去した場合、得られた本体の全体としてのクリア
ランス速度はたとえ減少したとしても、それにより実質
的にフィブリン結合特性が減少された分子となってしま
う。1989年1月12日公開のWO89/00197号を参照のこと。
EPO特許公開第199,574号には、275、276及び277位の
タンパク質分解的な開裂部位のアミノ酸置換を施した変
異体が記載されている。275位がアルギニン以外のアミ
ノ酸となっているt−PA変異体として優先的には特徴付
けられるこれらの変異体は、1本鎖又は2本鎖いずれか
の形態で存在し得る天然のt−PAとは異なって、275位
のプロテアーゼ開裂に対して耐性であるためインビボに
おいて2本鎖型に代謝的に変換されないことから、プロ
テアーゼ耐性の1本鎖t−PA変異体と呼ばれる。この型
はフィブリン結合性及びフィブリン刺激性が2本鎖t−
PAと比較して増大されていると同時に比較的安定である
ことから、生物学的及び商業的な何らかの利点を有して
いると考えられる。さらに、フィブリンと相互作用でき
る1つのドメイン及びウロキナーゼのプロテアーゼドメ
インを含有しているプラスミノーゲンアクチベーターが
記載されており、1つの態様は2本鎖ウロキナーゼへの
変換を受け難くなるように変換されたウロキナーゼであ
る。1988年7月14日公開のWO88/05081号を参照のこと。
t−PAのプロテアーゼ開裂部位の改変に関連したさら
なる特許文献としては、例えばEPO特許第241,209号、19
86年11月12日公開のEP第201,153号、1987年8月19日公
開のEP第233,013号、1988年11月23日公開のEP第292,009
号、1988年12月7日公開のEP第293,936号、及び1988年1
2月7日公開のEP第293,934号、及びWO88/10119号が挙げ
られるので、それらを参照のこと。
117−119、184−186、及び448−450位のグリコシル化
突然変異体は、その炭水化物のモル%が減少するに連れ
て、より高い比活性を示した。1987年7月1日公開のEP
O公開第227,462号を参照のこと。この特許出願はさらに
フィブリン/フィブリン分解産物の検定の使用を開示
し、t−PA分子の272−280位を改変でき、又はそのC−
末端から25個のアミノ酸を欠失させることができると教
示している。さらに、DNAの改変によってN−グリコシ
ル化部位は選択的に除去されているが、残りのO−結合
炭水化物は含有している、Asn119、Alal86及びAsn450を
有するt−PA突然変異体は、インビトロ溶解性試験にお
いてメラノーマ(黒色腫)t−PAの約2倍も強力である
ことが見いだされた。1987年6月10日公開のEPO公開第2
25,286号参照。
t−PAの449位のアミノ酸をアルギニン以外のアミノ
酸と置換してグリコシル化部位を改変させること、さら
にArg275の改変、又は−3から91領域の欠失も教示され
ている。1987年8月13日公開のWO87/04722号参照のこ
と。t−PAの448位のアミノ酸置換はグリコシル化を除
去するために望ましいと記載されている。1988年12月28
日公開のEPO公開第297,066号を参照のこと。448−450位
の改変とN−末端の1−82アミノ酸の欠失とを組み合わ
せることが1989年1月12日公開のWO89/00191号に開示さ
れている。さらに、ウロキナーゼは、グリコシル化を防
止するためにAsp302−Ser303−Thr304の領域が改変され
た。1989年1月18日公開のEPO公開第299,706号を参照の
こと。しかし、グリコシル化部位の改変、特に117位ア
ミノ酸の改変は、改変された循環半減期のパターン及び
/又はフィブリン結合特性を付加的に招来する場合のあ
る、溶解性に影響を受けた分子を常に与えるようであ
る。1987年9月23日公開のEPO公開第238,304号を参照の
こと。
t−PAの成長因子ドメインを除去した場合は、ファン
・ゾンネベルド(A.J.van Zonneveld)らのThrombos.Ha
emostas.,54(1)4(1985)に報告されているよう
に、得られる突然変異体は依然として活性であり、フィ
ブリンと結合する。また、成長因子ドメインに種々の欠
失を施した場合については次の特許文献に報告されてい
る。EPO公開第207,589号(51及び87間の置換及び欠
失)、EPO公開第241,209号(デス51−87)、EPO公開第2
41,208号(デス51−87及びデス51−173)、PCT87/04722
(N−末端1−91のすべて又はその一部の欠失)、EPO
公開第231,624号(成長因子ドメインすべての欠失)、
及びEPO公開第242,836号及び日本国特許出願公開第62−
269688号(成長因子ドメインのすべて又はどこかの欠
失)を参照のこと。
t−PAの最初のクリングルドメイン及び成長因子ドメ
インの両領域を改変することができ、そうすれば循環半
減期が増大されるとさらに示されている。1987年10月14
日公開のEPO特許公開第241,208号を参照のこと。アミノ
酸51及び87間の領域をまとめてt−PAから除去すれば、
血漿からのクリアランスがよりゆるやかな変異体を得る
ことができる[ブローン(Browne)らのJ.Biol.Chem.26
3:1599−1602(1988)]。また、t−PAは、特定のアミ
ノ酸残基を除去するか、又は1つもしくはそれ以上のア
ミノ酸を別のアミノ酸と置換することによって、不都合
な生物学的効果をもたらさずに、天然の成熟t−PAの67
−69アミノ酸領域を修飾することができる。1987年10月
7日公開のEPO特許公開第240,334号を参照のこと。さら
に、1989年12月28日公開のWO89/12681には、野生型t−
PAの63−72間の残基、特に66及び67位の残基の置換が記
載されている。
また、273−527アミノ酸を包含するt−PAの領域を使
用したt−PA/ウロキナーゼのハイブリッド(雑種)も
開示されている。1988年11月9日公開のEPO第290,118号
を参照のこと。
プロテアーゼドメインに改変を有するヒトt−PAのセ
ルピン耐性突然変異体、例えばd296−302 t−PA、R304S
t−PA、及びR304E t−PAがマジソン(Madison)らのNa
ture339:721−724(1989)に開示されている。さらに、
この同じ発行物のダグマー・リンゲ(Dagmar Ringe)に
よる添付の論説も参照のこと。
プラスミノーゲンアクチベーター及びその第2世代の
誘導体の一般的な説明はハリス(Harris)のProtein En
gineering,:449−458(1987)に見いだすことができ
る。t−PA変異体についての他の概論は、Pannekoekら
のFibrinolysis,:123−132(1988)及びRossらのAnnu
al Reports in Medicinal Chemistry,23巻,12章(198
8)などに記載されている。
フィブノーゲン刺激(又は血漿−刺激)活性よりもフ
ィブリン刺激(又は血漿凝塊−刺激)活性が野生型t−
PAと比較して高いt−PA分子、即ちフィブリン(又は血
漿凝塊)特異的であるため、全身ではなくてその凝塊の
部位においてのみ作用するt−PA分子が得られることが
望ましいであろう。
従って、本発明の目的は、改善された治療学的及び薬
学的性質を有するフィブリン特異的なt−PA分子を提供
することにある。
本発明の他の目的は、凝塊の部位でのみ作用する血餅
溶解物質であって、他のこのような物質よりも高いレベ
ルで有用である物質の使用を可能とする処置を提供する
ことである。
これらの目的及び他の目的は当業者には明らかであろ
う。
本発明の要約 本発明の上記の目的は、対応する野生型t−PAの466
位から470位をまたぐアミノ酸が欠失されていることを
特徴としている、フィブリン特異性又は血漿凝塊特異性
を有するヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(t
−PA)変異体を得ることによって達成される。
本発明の他の目的は、この変異体をコードしているDN
A配列及び複製可能なベクター、並びに該ベクターによ
って形質転換された宿主細胞を提供することである。
本発明のさらなる態様は、本発明の変異体の治療学的
有効量を製薬的に許容され得る単体と共に含有してな
る、血管状態又は血管疾患を処置するための組成物を目
的としている。本発明はさらに、本発明の変異体の治療
学的有効量を製薬的に許容され得る担体と共に含有して
なる、フィブリンの沈着又は接着形成もしくは再形成を
予防するための組成物をも目的としている。
また、本発明は別の態様として、上記の本発明の適当
な組成物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とす
る、哺乳動物の血管状態又は疾患を処置するための方法
を提供する。
本発明はまた、潜在的なフィブリン又は接着形成のあ
る哺乳動物におけるその部位に上記の本発明組成物の有
効量を投与することを特徴とする、フィブリン沈着又は
接着形成もしくは再形成を予防するための方法に関す
る。
本発明を実施すれば、よりフィブリン(又は血漿凝
塊)特異的であるために、非改変t−PAよりも凝塊の部
位に優先的に作用するt−PA分子が得られる。
図面の簡単な説明 第1図は、5つのドメイン、ジスルフィド結合、及び
t−PA分子が2本鎖分子に切り取られる活性化部位、の
各位置を示したt−PAの一次構造を表している。
好ましい態様の詳細な説明 A.定義 本明細書で使用している[ヒト組織プラスミノーゲン
アクチベーター」、[ヒトt−PA」及び「t−PA」なる
用語は、プラスミノーゲンをプラスミンに変換できるプ
ロテアーゼドメインと、フィブリン結合に関与している
と考えられているN−末端領域とからなる2つの機能領
域を有しているヒト外因性(組織型)プラスミノーゲン
アクチベーターを意味する。従って、これらの3つの用
語は、上記の機能ドメインを配列全体の一部として含有
しているポリペプチドを包含するものである。t−PA
は、例えばt−PA供給源本来のプロテアーゼ部分及び他
のt−PAの部分を含有する生物活性型として組換え細胞
培養系によって適切に生産される。配列全体におけるア
ミノ酸(群)の変動によって示されるように、個体間毎
に天然のアレル変異体が存在し、また生じることは理解
されよう。
本明細書で使用している[野生型t−PA」なる用語
は、米国特許第4,766,075号(前掲)にて報告されてい
るcDNAによってコードされているt−PAを意味する。こ
のようなコードされているt−PAは、293又は294細胞、
チャイニーズハムスター卵巣細胞などの組換え発現系又
は天然起源由来のt−PA分子である。
「フィブリン特異性」なる表現は、S−2251検定にお
ける(1本鎖又は2本鎖いずれかの形態での)フィブリ
ノーゲン依存性の特異的活性に対するフィブリン依存性
の特異的活性の比率が、野生型t−PAのそれよりも高い
突然変異体の活性を意味し、好ましくは少なくとも1.5
倍の比率である。
「血漿凝塊特異性」なる表現は、S−2251検定におけ
る(1本鎖又は2本鎖いずれかの形態での)血漿依存性
の特異的活性に対する血漿凝塊依存性の特異的活性の比
率が、野生型t−PAよりも高い突然変異体の活性を意味
し、好ましくは少なくとも1.5の比率である。
本明細書で使用している「一時的な発現系」とは、t
−PA変異体をコードしているDNA配列を一時的に、即ち
安定には起こり得ない態様で発現するt−PA変異体をコ
ードするベクターによってトランスフェクトされた細胞
を含有している細胞培養を意味する。このような細胞
は、一時的な発現を起こし得ると考えられる。
B.一般的な方法 1.アミノ酸配列変異体 本発明の変異体について論じるには、t−PAの一次構
造を示している第1図を引用して行う。
第1図では、丸印内の文字は1文字アミノ酸コードで
あり、鎖間の連結線はジスルフィド架橋を示しており、
白抜きの丸印はグリコシル化部位を示しており、そして
F、CF、K1、K2及びSPなる略語はそれぞれ、フィンガ
ー、成長因子、クリングル1、クリングル2及びセリン
プロテアーゼドメインを表している。
本明細書に記載しているt−PA変異体を簡略命名法に
よって命名するため、数字は、推定の成熟t−PA[EPA
公開第93,619号]のアミノ酸配列に沿ったアミノ酸残基
/位置を表していることに留意されたい。アミノ酸の特
定には以下のようなアミノ酸の1文字アルファベットを
使用している: Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン Thr T スレオニン Leu L ロイシン Ser S セリン Try Y チロシン Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン Pro P プロリン His H ヒスチジン Gly G グリシン Lys K リジン Ala A アラニン Arg R アルギニン Cys C システイン Trp W トリプトファン Val V バリン Gln Q グルタミン Met M メチオニン Asn N アスパラギン 欠失型変異体の命名は、文字d、次いで欠失の開始位
置の数字から欠失の終止位置までの数字(なお、この位
置は野生型の成熟t−PAに基づく)から構成される。本
明細書における置換型変異体の命名は、文字、その後の
数字、その後の文字から構成される。最初の文字(最も
左側)は野生型の成熟t−PAにおけるアミノ酸を示す。
その後の数字は、そのアミノ酸の置換が行われたアミノ
酸の位置を示し、第2の文字(右側)は野生型アミノ酸
を置換するのに使用したアミノ酸を示している。挿入型
変異体の命名は、文字i、次いで野生型成熟t−PA内に
おける挿入開始前の残基の位置を示す数字、次いで挿入
が施されたすべてを示す1つ又はそれ以上の大文字から
構成される。多重突然変異は、読み易さの点から表記中
にカンマにより分離して表す。
この命名法を例示すれば以下のようになる:本明細書
において、野生型の成熟t−PAから466位から470位のア
ミノ酸を欠失させた欠失型変異体は、d466−470と命名
される。野生型t−PAの305位のフェニルアラニンがヒ
スチジン残基と置き換わっている置換型変異体は、F305
Hと命名される。連続した296−299位のKHRRがAAAAと置
き換わっている多重置換を有する置換型変異体は、K296
A,H297A,R298A,R299Aと命名される。システイン及びバ
リンが野生型t−PAの305位の後に挿入されている挿入
型変異体は、i305CVと命名される。「t−PA」なる表記
は各突然変異の後ろに位置する。
本発明のt−PA変異体は466−470位の欠失に加えて、
1つ又はそれ以上のプロテアーゼドメイン部位を天然配
列から改変させることもでき、それにより1990年3月22
日公開のPCT公開WO90/02798号に記載されているような
チモーゲンの性質及び/又はフィブリン(又は血漿凝
塊)特異性の性質を現すようにすることができる。従っ
て、本発明の変異体はチモーゲンの性質(zymogenic pr
operties)を有することができ、かつフィブリン(又は
血餅凝塊)特異的であり得る。改変されたプロテアーゼ
ドメインの小さな領域は帯電されたアミノ酸側鎖を有す
るものとして同定することができ、その領域及び/又は
それと隣接する領域は、t−PAとその種々の活性に影響
を与えかねない他の物質との相互作用に関与することが
できる。
1990年3月22日公開のPCT公開WO90/02798号に記載さ
れている方法によって、チモーゲニシティー(zymogeni
city)又はフィブリン−特異的活性について試験するた
めに同定される領域は、対応する野生型t−PAの残基番
号267、283−287、296−299、303−304、322、326−32
7、331−332、339−342、347−351、353−356、360−36
2、364−366、369−371、378−383、387−392、400−40
5、408、410、416−418、426−430、432−434、440、44
5−449、449−453、460−462、471−472、477、487−48
9、505−506、513、519−523、及び523−526である。
466−470位の欠失に加えて、これらの領域又はそのサ
ブユニットの1つ又はそれ以上を改変させ、所望の生物
学的性質又は性質群が得られたか否かを決定することが
できる。帯電した残基(Arg、Asp、His、Lys及びGlu)
は、Cunningham及びWellsのScience244:1081−1085(19
89)に記載されているアラニン−スキャニング突然変異
法として知られている手法により適切に同定され、それ
を中性又は負に帯電したアミノ酸と置換すれば、細胞内
外の周囲の水性環境とアミノ酸との相互作用が影響を受
ける。
このような変異体を例示すれば、対応する野生型t−
PAの267、283+287、296−299、303−304、331−332、3
39+342、347−349+351、364−366、408、410、416−4
18、426−427+429−430、432−434、440、445+449、4
49+453、460+462、及び/又は477位にアミノ酸置換が
施されたものを挙げることができる。ここに、「+」は
明示した位置でのみの置換を表し、「−」は明示したす
べての位置での置換を表す。
アラニン−スキャニング突然変異では、t−PA分子に
反対の電荷を付与するアミノ酸ではなく、野生型t−PA
の対応するアミノ酸の電荷を中和するアミノ酸を置換す
るのが好ましい。疎水性である本質的に帯電していな
い、又は反対に帯電したアミノ酸を使用することがで
き、アラニン、グリシン、セリン、スレオニン、アスパ
ラギン、グルタミン、バリン、ロイシン、イソロイシ
ン、フェニルアラニン又はチロシンなどが好ましい。こ
れらの中では、バリン、ロイシン及びイソロイシンなど
の比較的大きなアミノ酸よりも、アラニン、セリン及び
スレオニンなどの小さなアミノ酸が好ましい。アスパラ
ギン酸又はグルタミン酸などの帯電したアミノ酸はあま
り好ましくない。
置換するために使用されるアミノ酸の中でより好まし
いものは、アラニン、セリン、スレオニン、アスパラギ
ン、グルタミン、フェニルアラニン、又はチロシンのい
ずれかであり、アラニン、セリン又はスレオニンがさら
に好ましい。アラニンはβ−炭素以外の側鎖が排除され
ており、野生型t−PA分子の主鎖のコンホーメーション
を変化させ難いので、アラニンは上記の目的には最も好
ましいアミノ酸である。さらに、アラニンは埋没された
位置及び暴露された位置の両方に高い頻度で見いだされ
る[Creighton,T.E.のThe Proteins(W.H.Freeman & C
o.編,N.Y.);Chothia,C.(1976)J.Mol.Biol.,150:
1]。
これらの置換の中で最も好ましいものは、野生型t−
PAの296−299位に存在する各残基の代わりにアラニン残
基を置換させたもの、即ちK296A,H297A,R298A,R299A t
−PA、野生型t−PAの416−418位を置換させたもの、即
ちK416A,H417A,E418A、野生型t−PAの426−427及び429
−430位を置換させたもの、即ちE426A,R427A,K429A,E43
0A、野生型t−PAの339及び342位を置換させたもの、即
ちR339A,R342A、及び野生型t−PAの432及び434位を置
換させたもの、即ちH432A,R434Aである。従って、好ま
しい二重突然変異t−PA分子は、K296A,H297A,R298A,R2
99A,d466−470 t−PA、K416A,H417A,E418A,d466−470 t
−PA、E426A,R427A,K429A,E430A,d466−470 t−PA、R33
9A,R342A,d466−470 t−PA、H432A,R434A,d466−470 t
−PA、及びそれらの組合わせであり、E426A,R427A,K429
A,E430A,d466−470 t−PAが特に好ましい。
チモーゲン活性又はフィブリン−特異的活性を示すこ
とのできる任意の挿入型変異体は、296、297、298及び
/又は299位のアミノ酸の後ろに1つ又はそれ以上のア
ミノ酸が挿入されたものである。好ましいものは、466
−470位の欠失に加えて、チロシン、アスパラギン、リ
ジン、アルギニン又はグルタミンのいずれかから構成さ
れる挿入を有しているプロテアーゼドメイン変異体であ
る。
また、本発明の変異体は、変異体分子のある種の性質
を改善するために、1本鎖型のt−PAが2本鎖型へ開裂
するのを妨害せず、又はその他本発明のプロテアーゼド
メインの欠失によって分子に付与されるフィブリン又は
血漿凝塊特異性を変化させない変化である限り、その本
来の配列の他の領域の残基に置換、欠失又は挿入を任意
に含有することができる。これらの他のドメインにおけ
る好ましい改変について以下に説明する。
例えば、本発明の変異体は、少なくともフィンガード
メイン、成長因子ドメイン、及び/又はクリングル1ド
メインの部分が欠けているものが適当であり、及び/又
は117又は184アミノ酸の回りのグリコシル化部位におけ
るグリコシル化の可能性が排除されているものも適当で
あり、またクリングル1又は2の推定のリジン結合部位
にアミノ酸の修飾を含有するのが適当である。
さらに、t−PAのフィブリン結合性を調節することが
でき、最も好ましくは、t−PAのクリングル2ドメイン
の推定のリガンド結合ポケットの反対側のエッジにおけ
る正又は負に帯電したアミノ酸残基を適切に置換するこ
とにより、t−PAのフィブリン結合性を復元又は増大さ
せることができる。本発明の変異体は以下でさらに説明
する部位−特異的突然変異又は排除/連結手法によって
一般に調製される。
このような変異体の特記すべきものを例示すれば、ア
ミノ酸1−44を欠いている分子(d1−44と呼ぶ)、及び
184位にアスパラギン酸を有する分子(N184Dと呼ぶ)が
ある。アミノ酸1−44を欠く変異体はより詳細にはWO89
/00197号(前掲)に説明されている。
上記の変異体はすべて、フィブリン(又は血漿凝塊)
特異的な性質について本明細書にて説明している基準を
満足するならば、その分子の他の種々の領域に改変を施
すのは任意である。このような改変としては例えば以下
のものがある: 1.クリングル1改変、例えば約92から179の欠失、及び
/又は 2.クリングル2改変、例えば約174−261の欠失、又はア
ミノ酸約205−215、特に210−213の領域の改変、及び/
又は 3.アミノ酸約244−255、特に252又はその部位、及び/
又は 4.アミノ酸約233−242、特に236−238、及び/又は 5.アミノ酸117又は184などの既知のグリコシル化部位、
及び/又は 6.1989年11月30日公開のPCT公開WO89/11531に記載され
ているような潜在的なグリコシル化部位の付加。手短に
説明すれば、潜在的なN−又はO−結合グリコシル化部
位はt−PA分子に、例えばその成長因子ドメイン内、好
ましくはt−PA分子の半減期を改変するために67位のチ
ロシンをアスパラギン残基と置き換えた67−69位に導入
する。
これらの改変の多くはクリアランス速度及びフィブリ
ン結合性を天然t−PAと比較して顕著に改変させる。当
業者ならば適当な検定によって、個々の場合において望
ましい各変異体の最適な性質は何であるのか、を決定す
ることができるであろう。
上記の配列変化を行うための天然のt−PA分子の適当
なアミノ酸(群)の欠失、変化、又は挿入の改変は、例
えば以下に説明する部位−特異的突然変異又は関連する
タンパク質をコードするDNA中への適切な配列の連結な
ど、当業者に既知のあらゆる手段によって行われる。
2.部位−特異的突然変異 本明細書に沿ってt−PA変異体を製造するに当たって
は好ましくは、既に調製されたt−PAタンパク質の変異
型又は非変異型誘導体をコードしているDNAに部位−特
異的突然変異を行う。部位−特異的突然変異によれば、
所望の突然変異のDNA配列と、横切られる接合部の両側
に安定な二重ラセンを形成するに十分な大きさ及び配列
複雑性を備えたプライマー配列を得るために十分な数の
隣接ヌクレオチドとをコードしている特定のオリゴヌク
レオチド配列を使用することによって、t−PA変異体を
製造することができる。通常は、改変される配列の接合
部の両側に約5−10残基を有する約20−25長のヌクレオ
チドのプライマーが好ましい。部位−特異的突然変異の
技法は、アデルマン(Adelman)らのDNA,183(1983)
などの刊行物によって例示されているように、一般に当
業界周知である。
部位−特異的突然変異の手法では通常、1本鎖及び2
本鎖の両形態で存在するファージベクターが使用される
ことは理解されているとおりである。部位−特異的突然
変異に有用である代表的なベクターはM13ファージなど
のベクターであり、これは例えばメッシング(Messin
g)らの巨大分子および組換えDNAについてのクリーブラ
ンドにおける第3回シンポジウム[Third Cleveland Sy
mposium on Macromolecules and Recombinant DNA、ウ
オルトン(A.Walton)編,エルセビア(Elsevier),ア
ムステルダム(1981)]において開示されている。これ
らのファージは市販されており容易に入手でき、それら
の使用法は一般に当業者には周知である。あるいは、1
本鎖DNAを得るために、1本鎖ファージの複製起点を含
有するプラスミドベクター[ベイラ(Veira)らのMeth.
Enzymol.153,3(1987)]を使用することもできる。
一般に、本発明に従った部位−特異的突然変異は、適
切なt−PAをコードしているDNA配列をその配列内に含
有する1本鎖ベクターをまず入手することにより行う。
所望の突然変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライ
マーは一般には合成により、例えばクレアらの方法[Cr
ea,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.75,5765(1978)]に従
って調製する。次いで、このプライマーを1本鎖のt−
PA配列を含有するベクターとアニーリングし、E.coli
(大腸菌)ポリメラーゼIクレノーフラグメントなどの
DNAポリメラーゼ酵素反応に供することにより、突然変
異を含有する鎖(ストランド)の合成を行う。このよう
にして、一方の鎖が元の非突然変異配列をコードしてお
り、他方の鎖が所望の突然変異を有しているヘテロ二重
ラセンを形成させる。次ぎに、このヘテロ二重ラセンベ
クターを使用してJM101細胞などの適当な細胞を形質転
換し、そして32P標識化突然変異プライマーからなる放
射活性プローブとのハイブリダイゼーションにより、突
然変異された配列の並びを有する組換えベクターを含有
しているクローンを選択する。
このようなクローンを選択した後、t−PAの産生に適
当なベクター、一般には適当な真核生物宿主の形質転換
に使用することのできるタイプの発現ベクター内に、得
られた突然変異t−PA領域を移動させ、配置させればよ
い。本発明において長期に安定なt−PA産生体を調製す
るために好ましい細胞は、チャイニーズハムスター卵巣
(CHO)細胞又は293細胞[GrahamらのJ.Gen.Virol.,36:
59(1977)に記載されているヒト腎細胞]である。しか
し、本発明はCHO生産に限定されるものではなく、該酵
素を一時的にのみ生産させたい試験目的として具体的な
場合などは、多くの他のタイプの細胞が適切に使用され
ることが分かっている。例えば、以下には、293細胞を
使用する一時的系を記載しているが、これは分析用のt
−PA変異体を生産するための簡便な系を提供するもので
ある。
3.開裂/連結法 t−PAをコードしているDNA配列に突然変異を作成す
るための別の方法は、t−PAをコードしているDNAを制
限酵素により適当な場所で開裂し、適切に開裂されたDN
Aを回収し、所望のアミノ酸配列をコードしているオリ
ゴヌクレオチド及び、平滑末端を有するポリリンカーな
どのフランキング領域を合成し(あるいは、ポリリンカ
ーを使用する代わりに、t−PAをコードするDNAの開裂
にも使用される制限酵素を使用して合成オリゴヌクレオ
チドを消化し、それにより粘着末端を作成する)、そし
て得られた合成DNAをt−PAをコードする構造遺伝子の
残りの部分内に連結することを包含する。
4.宿主細胞培養及びベクター チャイニーズハムスター卵巣(CHO)における発現は
基本的にはt−PA生産のために好ましいが、本明細書に
記載しているベクター及び方法は、広範な真核生物の範
囲にわたる宿主細胞に好適に使用される。
一般に、DNA配列の最初のクローニング及び本発明に
有用なベクターの構築には原核生物が好ましいのは当然
である。例えば、E.coli(大腸菌)K12株294(ATCC No.
31,446)及びE.coli株W3110(ATCC No.27,325)は特に
有用である。他の適当な微生物株には、E.coli B及びE.
coli X1776(ATCC No.31,537)などのE.coli株がある。
当然ながら、これらの例示した株は限定的なものではな
く、単なる説明のためのものである。
原核生物は発現のためにも有用である。上記の株の
他、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)及
び、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimu
rium)又はセラチア・マルセサンス(Serratia marcesa
ns)、及び種々のシュードモナス(Pseudomonas)種な
どの他の腸内細菌も発現のための有用な宿主として例示
される。
一般には、これらの宿主細胞と共に、その宿主細胞と
適合する種由来のレプリコンおよび制御配列を含有する
プラスミドベクターを使用する。そのベクターは普通
は、複製部位、及び形質転換された細胞内において表現
型の選択性を付与することのできるマーキング配列を含
有する。例えば、大腸菌(E.coli)は、E.coli種由来の
プラスミドであるpBR322によって通常形質転換される
[例えばボリバー(Bolivar)らのGene,95(1977)を
参照のこと]。pBR322はアンピシリン及びテトラサイク
リン耐性を付与する遺伝子を含有しているので、それに
より形質転換された細胞を同定するための容易な手段を
提供する。pBR322プラスミド、又は他の微生物プラスミ
ドもしくはファージはさらに、自身のタンパク質を発現
するためにその微生物が使用することのできるプロモー
ターを含有していなければならず、又は含有するように
修飾しなければならない。
組換えDNAの構築で最も普通に使用されるプロモータ
ーには、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及びラク
トースプロモーター系[チェンジ(Chang)らのNature3
75,615(1978)、イタクラ(Itakura)らのScience198,
1056(1977);(ゴーデル(Goeddel)らのNature281,5
44(1979))]、並びにトリプトファン(trp)プロモ
ーター系[ゴーデールらのNucleic Acids Res.,4057
(1980);EPO出願公開第36,776号]、並びにアルカリホ
スファターゼ系がある。これらは最も普通に使用される
ものであるが、他の微生物プロモーターも発見されてお
り、利用され、それらのヌクレオチド配列に関する詳細
が開示され、当業者ならば、それらをプラスミドベクタ
ーに機能的に連結することができる[例えば、シーベン
リスト(Siebenlist)らのCell20,269(1980)を参
照]。
原核生物に加えて、本発明では酵母などの真核生物微
生物も適当に使用される。サッカロマイセス・セレビシ
アエ(Saccharomyces cerevisiae)、又は普通のパン酵
母が真核生物微生物の中でも最も普通に使用されるが、
他の多くの株も普通に利用することができる。例えば、
サッカロマイセスにおいて発現させるためには、プラス
ミドYRp7が普通に使用される[スチンクコム(Stinchco
mb)らのNature282:39(1979);キングスマン(Kingsm
an)らのGene:141(1979);シェンパー(Tschempe
r)らのGene10:157(1980)]。このプラスミドは、ト
リプトファン環境下での増殖能を欠いている酵母の突然
変異株に選択マーカーを付与するtrp1遺伝子を既に含有
している[例えば、ATCC No.44,076またはPEP4−1(ジ
ョーンズ(Jones)のGenetics,85:12(1977))]。一
方、この酵母宿主細胞のゲノムの特徴はtrp1欠損の存在
であるので、トリプトファンの不存在下で増殖させれ
ば、形質転換を検出するために有効な環境が提供され
る。
酵母ベクターにおける適当なプロモーター配列には、
3−ホスホグリセレートキナーゼにかかるプロモーター
[ヒッツェマン(Hitzeman)らのJ.Biol.Chem.255:2073
(1980)]、又はエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3
−リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカ
ルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース
−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセレートム
ターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセホスフェートイ
ソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグリコ
キナーゼなどの他の解糖系酵素[ヘス(Hess)らのJ.Ad
v.Enzyme Reg.:149(1968)、ホーランド(Holland)
らのBiochemistry17,4900(1978)]にかかるプロモー
ターがある。適当な発現プラスミドを構築するに当たっ
ては、これらの遺伝子に付随する終止配列も、発現させ
ようとする配列の3′側で発現ベクターに連結させ、mR
NAのポリアデニル化及び終止を付与する。増殖条件によ
って転写が制御されるという付加的な利点を有している
他のプロモーターには、アルコール脱水素酵素2、イソ
チトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関与す
る分解酵素、及び上記のグリセルアルデヒド−3−リン
酸脱水素酵素及びマルトースとガラクトースの利用に関
与する酵素、にかかるプロモーター領域がある。酵母に
適合するプロモーター、複製起点及び終止配列を含有す
るプラスミドベクターが好適である。
微生物に加えて、多細胞生物由来の細胞培養も宿主と
して使用することができる。原理的には、脊椎動物又は
無脊椎動物培養のいずれの由来であっても、このような
細胞培養として使用してもよい。しかし、脊椎動物の細
胞への関心が高まっており、培養(組織培養)中におけ
る脊椎動物細胞の増殖は最近では常法になって来ている
[Tissue Culture、アカデミック・プレス、クルスら
(Kruse and Patterson)編集(1973)]。このような
有用な宿主セルラインとしては例えば、VERO及びHeLa細
胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)セルライン、
並びにW138、BHK、COS−7、293及びMDCKセルラインが
挙げられる。このような細胞のための発現ベクターは通
常、(要すれば)複製起点、必須のリボソーム結合部位
を伴った、発現すべき遺伝子の前に位置するプロモータ
ー、RNAスプライス部位、ポルアデニル化部位及び転写
ターミネーター配列を含有している。
哺乳動物細胞にて使用する場合、ウイルス材料によっ
て発現ベクター上に制御機能を付与することが多い。例
えば、普通使用されるプロモーターは、ポリオーマ、ア
デノウイルス2、および最も頻繁にはアカゲザルウイル
ス40(SV40)から誘導する。SV40ウイルスの初期及び後
期プロモーターは、両者共にSV40ウイルスの複製起点を
も含有するフラグメントとして該ウイルスから容易に入
手されるので、特に有用である[フィールズ(Fiers)
らのNature,273:113(1978)]。また、このウイルスの
複製起点内に位置するHind III部位からBgl I部位に伸
長する約250bp配列を含有する限りは、それよりも小さ
い、又は大きなSV40フラグメントを使用することもでき
る。さらに、所望の遺伝子配列に正常であれば伴われて
いるプロモーター又は制御配列も、そのような制御配列
が宿主細胞系に受け入れられる限りは利用することがで
き、それは望ましいことが多い。
複製起点を付与するには、ベクターの構築に当たり、
SV40または他のウイルス(例えば、ポリオーマ、アデ
ノ、VSV、BPV)起源から誘導できるような外来性の起点
を含有するようなベクターを構築するか、又は宿主細胞
の染色体における複製メカニズムにより付与するのが通
常である。ベクターが宿主細胞の染色体に組み込まれる
なら、後者が十分である場合が多い。
ヒトt−PAは細胞培養によって満足のいく量で生産さ
れる。しかし、第2のコード化配列を使用して純化すれ
ば、さらに生産レベルを向上させることができる。この
第2のコード化配列は、メトトレキサートなどの外部的
に制御されたパラメーターによって影響を受けるジヒド
ロ葉酸還元酵素(DHFR)を含有しており、従ってメトト
レキセート(MTX)濃度をコントロールすることによっ
て発現を制御することができる。
変異型t−PA及びDHFRタンパク質の両者をコードしてい
るDNA配列を含有する本発明のベクターによってトラン
スフェクトするために好ましい宿主細胞を選択するに当
たっては、使用するDHFRタンパク質のタイプを考慮する
のが適当である。野生型DHFRタンパク質を使用する場
合、DHFRに欠損がある宿主細胞を選択することが好まし
く、それによりヒポキサンチン、グリシン及びチミジン
を欠く選択培地中でのトランスフェクションを成功させ
るようなマーカーとして、DHFRをコードしている配列が
使用できるようになる。この場合の適当な宿主細胞は、
ウルローブおよびチャシン(Urlaub and Chasin)のPro
c.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.77:4216(1980)に記載されて
いるように調製され、増殖される、DHFR活性を欠くチャ
イニーズハムスター卵巣(CHO)セルラインである。
他方、メトトレキセート(MTX)に対する低い結合親
和性を有するDHFRタンパク質を制御配列として使用する
場合は、必ずしもDHFR欠損細胞を使用する必要はない。
突然変異DHFRはメトトレキセートに対して耐性であるの
で、宿主細胞自身がメトトレキセートに感受性である限
り、MTX−含有培地を選択手段として使用することがで
きる。MTXを吸収できる殆どの真核生物細胞がメトトレ
キセートに感受性であるようである。このような有用な
セルラインの例としてはCHOライン、CHO−K1(ATCC No.
CCL61)が挙げられる。
5.使用し得る代表的なクローニング及び発現方法 哺乳動物細胞を宿主細胞として使用する場合は、グラ
ハム(Graham)及びフォン・デル(Van der)編のVirol
ogy52,546(1978)に記載されているリン酸カルシウム
沈降法によってトランスフェクションを行うのが一般的
である。しかし、核注入(核インジェクション)、エレ
クトロポレーション又はプロトプラスト融合法などのDN
Aを細胞に導入するための他の方法も適切に使用でき
る。
酵母を宿主として使用する場合は、ハイネン(Hinne
n)のProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,75:1929−1933(197
8)によって教示されているように、ポリエチレングリ
コールを使用してトランスフェクションを行うのが一般
的である。
原核生物細胞、又は実質的な細胞壁構築物を含有する
細胞を使用する場合の好ましいトランスフェクション方
法は、コーエン(Cohen)らのProc.Natl.Acad.Sci.,U.
S.A.69,2110(1972)に記載されているようなカルシウ
ムを使用するカルシウム処置、又はより最近のエレクト
ロポレーションである。
所望のコード化配列及び制御配列を含有する適当なベ
クターの構築には、標準的な連結法を使用する。単離し
たプラスミド又はDNA断片を開裂し、仕立て、そして望
ましい形態に再連結し、必要なプラスミドを形成させ
る。
開裂は、適当な緩衝液中にて制限酵素(又は酵素群)
で処理して行う。一般には、緩衝溶液約20μ中、酵素
約1単位と共にプラスミド又はDNA断片約1μgを使用
する(個々の制限酵素についての適当な緩衝液及び基質
の量は、その製造元が特定している)。37℃での約1時
間のインキュベートが実行できる。インキュベートした
後、フェノール及びクロロホルム抽出によってタンパク
質を除去し、次いでエタノール沈殿によってその水性画
分から核酸を回収する。
平滑末端が必要な場合は、DNAポリメラーゼI(クレ
ノー)のクレノー断片10単位によって15℃で15分間処理
し、フェノール−クロロホルム抽出し、次いでエタノー
ル沈殿すればよい。
開裂させた断片のサイズ分離は、6%ポリアクリルア
ミドゲルを使用して行う[ゴーデル(Goeddel)らのNuc
leic Acids Res.,4057(1980)]。
連結するためには、正しく適合するように仕立てた適
当な末端を有する所望の成分約等モル量を、DNA0.5μg
当たりT4DNAリガーゼ約10単位で処理する(開裂させた
ベクターを成分として使用する場合は、細菌アルカリホ
スファターゼで前処理して開裂ベクターの再連結を防止
するのが有用である場合がある)。
上述のように、t−PA変異体は特異的突然変異法によ
って生産するのが好ましい。本発明を実施する上で有用
である突然変異体は、横切ろうとする(トラバースしよ
うとする)突然変異部位の両側に安定な二重ラセンを形
成するに充分な大きさと配列複雑性を有する配列を提供
するために充分な数の隣接ヌクレオチド、及び所望の突
然変異のDNA配列をコードしている特定のオリゴヌクレ
オチド配列、を使用することによって最も容易に作成す
ることができる。
構築されたプラスミドが正しい配列であることを確認
するための分析には通常、連結混合物(ライゲーション
混合物)により、E.coli K12株294(ATCC31,446)又は
他の適当なE.coli株を形質転換し、その場に適当である
アンピシリン又はテトラサイクリン耐性によって、成功
している形質転換体を選択する。得られた形質転換体か
らプラスミドを調製し、メッシング(Messing)らのNuc
leic Acids Res.,:309(1981)の方法またはマキサム
(Maxam)らのMethods of Enzymology,65:499(1980)
の方法に基づく制限マッピング及び/又はDNA配列決定
法によって分析する。
DNAを哺乳動物細胞宿主に導入し、安定なトランスフ
ェクト体のための培地中で選択した後、宿主細胞培養
を、DHFR活性の競合的インヒビターであるMTX約200−50
0nM濃度の存在下で増殖させ、それによりDHFRタンパク
質をコードしている配列の増幅を行う。当然ながら、MT
Xの有効濃度の範囲は、DHFR遺伝子及びタンパク質の本
質、及び宿主の特性に非常に左右される。一般に規定さ
れる上限及び下限は明瞭には確認することができない。
他の葉酸同族体又はDHFRを阻害する他の化合物も適当な
濃度で使用することができる。しかし、MTXが簡便であ
り、容易に入手でき、かつ有効である。
以下に記載する実施例を平易にするため、頻繁に出て
くるある種の方法は略した用語で表している。
「プラスミド」は、小文字のpの後ろにアルファベッ
トの名称を付して表している。本発明における出発プラ
スミドは市販されているか、制限無く公に入手可能とな
っており、又はそのような入手可能なプラスミドから文
献開示の方法によって構築することができる。さらに、
他の同等なプラスミドも当業界周知であり、当業者には
明らかである。
DNAの「消化」とは、DNA内のある特定の場所でのみ働
く酵素によってそのDNAを触媒的に開裂することを意味
する。このような酵素は制限酵素と呼ばれ、各々が特異
的な各部位は制限部位と呼ばれている。本明細書で使用
している種々の制限酵素は市販されており、酵素の供給
元で確立されているそれぞれの反応条件、補因子及び他
の要件を使用した。制限酵素は通常、大文字の後ろに各
制限酵素が得られる普通の微生物を表す他の文字を付
し、次に個々の酵素を示す番号を付けて命名される。一
般に、プラスミド又はDNA断片約1μgを緩衝溶液約20
μ中、酵素約2単位と共に使用する。特定の制限酵素
にとって適当な緩衝液および基質の量は製造会社によっ
て特定されている。37℃では約1時間のインキュベート
時間が普通使用されるが、製造元の取り扱い説明書に従
って変動させることができる。インキュベートした後、
フェノール及びクロロホルムによる抽出によってタンパ
ク質を除去し、次いでエタノール沈殿によって、消化さ
れた核酸を水性画分から回収する。別のDNA断片が制限
部位に挿入するのを妨げかねない「環化」又は閉じたル
ープをDNA断片の2つの制限開裂末端が形成することか
ら護るために、制限酵素による消化を、細菌アルカリホ
スファターゼによる5′末端のリン酸の加水分解後に行
うことがたまにある。しかし、特に明記しない限りは、
プラスミドの消化後には5′末端の脱リン酸化は行なっ
ていない。脱リン酸化のための操作法および試薬は既知
である[マニアチス(T.Maniatis)らのMolecular Clon
ing:A Laboratory Manual,(コールド・スプリング・ハ
ーバー・ラボラトリー;ニューヨーク,1982),133−134
頁]。
特定のDNAの断片を制限消化物から「回収」または
「単離」するとは、ポリアクリルアミド又はアガロース
ゲルを使用して電気泳動法により消化物を分離し、目的
とする断片を既知の分子量のマーカーDNA断片の移動度
と比較してその同定を行い、所望の断片を含有するゲル
切片を取り出し、そしてDNAからゲルを分離することを
意味する。この操作法は一般に既知である。例えば、ロ
ーン(R.Lawn)らのNucleic Acids Res.:6103−6114
(1981)、及びゴーデル(D.Goeddel)らのNucleic Aci
ds Res.:4057(1980)を参照のこと。
「サザーン分析」とは、既知の標識化オリゴヌクレオ
チド又はDNA断片とハイブリダイズすることにより、消
化物またはDNA含有組成物中にあるDNA配列の存在を確か
める方法である。本明細書では、特に明記しない限り、
サザーン分析とは、サザーン(E.Southern)のJ.Mol.Bi
ol.98:503−517(1975)に記載のように、1%アガロー
スにより消化物を分離し、変性させ、ニトロセルロース
に移動させ、そしてT.マニアチスらのCell15:687−701
(1978)に記載されているようにハイブリダイズするこ
とを意味する。
「形質転換」とは、DNAが染色体外要素または染色体
成分として複製できるようにそのDNAを生物に導入する
ことを意味する。特に明記していなければ、本明細書に
記載のE.coliの形質転換方法は、マンデル(Mandel)ら
のJ.Mol.Biol.53:154(1970)のCaCl2法である。
「連結」とは、2つの2本鎖核酸断片間にホスホジエ
ステル結合を生成させる工程を意味する[T.マニアチス
ら(前掲)、146頁]。特に明記しない限り、連結しよ
うとするDNA断片の約等モル量(0.5μg)に対してT4 D
NAリガーゼ(リガーゼ)10単位を使用し、既知の緩衝液
及び条件によって連結を行うことができる。
DNAを形質転換体から「調製する」とは、DNAを微生物
培養物から単離することを意味する。特に明記しない限
り、マニアチスらの前掲90頁に記載のアルカリ/SDS法を
使用することができる。
「オリゴヌクレオチド」は、既知の方法によって化学
的に合成され、次いでポリアクリルアミドゲルで精製さ
れた、短い長さの1本鎖または2本鎖ポリデオキシヌク
レオチドである。
C.精製 t−PA変異体は分泌タンパク質として培養培地から回
収されるのが好ましいが、分泌シグナルが無くて直接発
現される場合は宿主細胞溶解物から回収することもでき
る。t−PA変異体がヒト起源の細胞以外の組換え細胞に
て発現される場合、ヒト起源のタンパク質は完全に排除
されている。しかし、タンパク質として実質的に均質な
調製物を得るためには、t−PA変異体を組換え細胞タン
パク質から精製する必要がある。第1の工程として、培
養培地又は溶解物を遠心し、個々の微粒子からなる細胞
残骸を除去する。
次いで、例えば免疫アフィニティーもしくはイオン交
換カラムによる分画化、エタノール沈殿、逆相HPLC、DE
AEなどの陽イオン交換樹脂もしくはシリカによるクロマ
トグラフィー、等電点クロマトグラフィー、SDS−PAG
E、硫安沈殿、又は例えばセファデックスG−75を使用
するゲル電気泳動によって、得られた変異体を、混入し
た可溶性タンパク質から精製する。フェニルメチルスル
ホニル・フルオライド(PMSF)などのt−PA活性を妨害
しないプロテアーゼインヒビターも、精製工程の間のタ
ンパク質分解的分解を阻害するために有用であり、また
偶発的な混入物の発育を予防するために抗体を含有させ
ることもできる。当業者ならば、天然のt−PAにとって
適切な精製方法には組換え細胞培養における発現の際の
t−PA又はその変異体の性質の変化を原因とする改変が
必要となる場合のあることは理解されよう。
好ましい態様では、t−PA変異体が分泌され、得られ
た上清を抗−t−PAヤギポリクローナルA6抗体とカップ
リングさせたガラスビーズのPBS−前ならしカラムに通
し、そのカラムを緩衝液で平衡化し、次いでt−PA変異
体を溶出させる。
D.医薬組成物 本発明のt−PA産物を医薬的に許容され得る担体ビヒ
クルとの混合物中で混合することにより、本発明の化合
物を既知の方法によって製剤化すれば、医薬的に有用な
組成物を製造することができる。適当な担体ビヒクル及
び他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含
んだその製剤は、例えばオスロー(Oslo)ら編のReming
ton's Pharmaceutical Sciences16版、1980[マック・
パブリッシングCo.]に記載されている。このような組
成物は通常、宿主に効果的に投与するのに適した医薬的
に許容され得る組成物に調製されるように適量のビヒク
ルと共に、本発明の変異体を有効量で、例えば約0.5か
ら約5mg/mlで含有している。本発明のt−PA変異体は、
心臓血管の疾患又は症状の患者に非経口的に、又はその
有効型が血流に供給されるような他の方法で投与するこ
とができる。
本発明を実施する上で使用される変異型t−PA産物を
臨床投与するのに特に適している組成物には、例えば滅
菌水溶液剤、または凍結乾燥タンパク質などの滅菌水和
性の粉末剤などがある。この製剤中にはさらに、医薬的
に許容され得る塩を適量、一般には製剤の等張性を変化
させるのに十分な量で含有させるのが概して望ましい。
アルギニン塩基及びリン酸などのpH調節剤も、適当なp
H、一般には5.5−7.5を維持するのに十分な量で通常は
含有させる。さらに、水性製剤の貯蔵寿命又は安定性を
改善するため、グリセロールなどの物質もさらに含有さ
せるのが望ましい場合がある。この場合、変異型t−PA
製剤は、非経口投与、特に静脈内投与するに好適となる
ように調製する。
本発明の医薬組成物の投与量及び望ましい薬物濃度
は、目的とする個々の用途に応じて変化し得る。例え
ば、深部静脈血栓又は末梢血管疾患の処置に当たって
は、約0.05から約0.2mg/kgオーダーの「ボーラス」投与
が通常好ましく、その後は、血中レベルがほぼ一定に、
好ましくは約3μg/mlのオーダーが維持されるよう約0.
1から約0.2mg/kgの投与を行うのが好ましい。
しかし、一般に灌流が行えない場面である緊急医療に
関連して使用するためには、及び処置する疾患が一般に
危険性を孕む場合(塞栓症、心筋梗塞)には、若干多め
の初期投与量、例えば約0.3mg/kgオーダーの静脈内ボー
ラス投与が通常好ましい。
例えば、本発明のt−PA変異体は、心臓血管の疾患又
は症状に罹患した患者に非経口的に投与すればよい。投
与量及び投与速度は、他の心臓血管薬、血栓溶解薬が臨
床試験で通常使用されているものと同等又は高い場合が
あり、例えば心筋梗塞、肺塞栓症などに罹患したヒト患
者では、約1−2mg/kg体重で1.5−12時間かけて静脈内
又は動脈内投与を行えばよい。本発明の変異体は野生型
のt−PAよりも副作用が少ないので、より高用量でも寛
容であり得、従ってより迅速かつより完全に凝塊溶解す
ることができる。
適当な投与剤形の1例として、50mg t−PA、アルギニ
ン、リン酸、及びポリソルベート80を含有するバイアル
を滅菌水50mlにより注射用に再構成し、それを適量の0.
9%塩化ナトリウム注射液と混合することが挙げられ
る。
本発明のt−PA変異体はフィブリン沈着又は接着の形
成もしくは再形成を防止するためにも有用である。この
用途の1態様は、1989年1月12日公開のPCT公開WO89/00
049に記載されている。一般には、このような処置は、
可能性あるフィブリン又は接着形成の部位に治療学的有
効量のt−PA変異体がおよそ3日から2週間にわたって
持続的に放出されるような難溶性の形態で含有される組
成物をその部位に局所投与することを包含する。t−PA
変異体は通常、手術、感染、外傷又は炎症後に形成され
る接着又はフィブリン沈着を予防するに充分な投与量で
投与する。その量は普通、0.02mg/gのゲルから25mg/gの
ゲルであり、0.20mg/gから約2.5mg/gのゲルが好まし
く、最も好ましくは0.25mg/gから約1.0mg/gのゲルであ
る。
接着形成を予防するためにt−PAを通常製剤化させる
ビヒクルは、可能性ある接着形成の部位にt−PA酵素を
配置させるための半固形の粘液質の製薬的に不活性な担
体である。このような担体には、長鎖の炭化水素又は植
物油及び、飽和及び不飽和脂肪酸グリセリドの混合物又
は修飾された飽和及び不飽和脂肪酸グリセリドの混合物
から構成されるワックスなどがある。例えば、ワセリン
又は半合成グリセリドなどの半固形ビヒクル、グリセリ
ンなどのポリヒドロキシ溶媒、長鎖炭化水素、生体侵食
性ポリマー(bioerodable polymers)、又はリポソーム
などが挙げられる。
以下に、本発明を実施する上で現在知られている最も
最良の方法を説明するために実施例を挙げるが、これは
本発明の限定を意図するものではない。
実施例1 1.pRK7−t−PAの構築 t−PA突然変異体を作成するためのベクターとしてプ
ラスミドpRK7を使用した。pRK7は、Cla I及びHind III
間のポリリンカー領域内のエンドヌクレアーゼ制限部位
の順序が逆である以外はpRK5(1989年3月15日公開のEP
公開番号第307,247号)と同一である。このベクターに
挿入するためのt−PA cDNA[ペニカ(Pennica)らのNa
ture301:214(1983)]を、制限エンドヌクレアーゼHin
d III(ATG開始コドンの5′側48塩基対を切断する)及
び制限エンドヌクレアーゼBal I(TGA終止コドンの下流
276塩基対を切断する)で切断することにより調製し
た。このcDNAを、標準的な連結法[SambrookらのMolecu
lar Cloning,A Laboratory Manual,2版(Cold Spring H
arbar Laboratory Press,ニューヨーク,1989)]により
Hind III及びSma Iで前もって切断しておいたpRK7に連
結した。得られた構築物をpRK7−t−PAと命名した。
2.pRK7−t−PAの部位特異的突然変異 アメシャン・コーポレーション(Amersham Corporati
on)から入手されるキット(カタログ番号RPN1253)を
使用し、テイラー(Taylor)らのNucl.Acids.Res.,13:8
765(1985)の方法によってt−PA cDNAの部位特異的突
然変異を行った。所望の突然変異を生成させるため、所
望のアミノ酸欠損をコードする配列を有するオリゴヌク
レオチドを合成し、それをプライマーとして使用した。
このオリゴヌクレオチドを、標準的な手法[VieraらのM
eth.Enz.,143:3(1987)]により調製した1本鎖pRK7−
t−PAとアニーリングさせた。
デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキシリボグア
ノシン(dGTP)、及びデオキシリボチミジン(dTTP)の
3つのデオキシリボヌクレオチドの混合物を、上記キッ
トの製造元から供されているそのキット中のdCTP(aS)
と呼ばれる改変チオ−デオキシリボシトシンと混合し、
それをオリゴヌクレオチドとアニーリングさせた1本鎖
pRK7−t−PAに加えた。
この混合物にDNAポリメラーゼを加えると、欠損した
塩基以外はpRK7−t−PAと同一のDNAの鎖が生成した。
さらに、この新たなDNAの鎖はdCTPの代わりに、それが
制限エンドヌクレアーゼ消化されることから保護するの
に役立つdCTP(aS)を含有していた。得られた2本鎖ヘ
テロ二重鎖の鋳型の鎖に適当な制限酵素により切れ目
(ニック)を作成した後、その鋳型の鎖を、突然変異オ
リゴマーを含有している領域を通過するようExo IIIヌ
クレアーゼによって消化した。次いで、この反応を停止
させ、部分的にしか1本鎖でない分子を残した。次に、
4つすべてのデオキシリボヌクレオチド3リン酸、AT
P、及びDNAリガーゼの存在下にDNAポリメラーゼによ
り、完全な2本鎖DNAのヘテロ二重鎖分子を形成させ
た。
以下のオリゴヌクレオチドを調製し、P466、Q467、A4
68、N469及びL470の所望の欠失を有するpRK7−t−PA分
子を作成するためのプライマーとして使用した: 3.細菌形質転換及びDNA調製 上記のプロトコールを使用して作成した突然変異t−
PA構築物を、コンピーテントな細胞を調製し、形質転換
するための標準的なCaCl2法[Sambrookら,前掲]を使
用し、E.coli宿主株MM294tonAに導入した。Tn10トラン
スポゾンをtonA遺伝子に挿入した後、不正確に切除する
ことにより、MM294tonA(これはT1ファージに耐性であ
る)を調製した。この遺伝子をトランスポゾン挿入突然
変異[KlecknerらのJ.Mol.Biol.,116:125−159(197
7)]を使用し、E.coli宿主MM294(ATTC No.31,446)に
挿入した。
Sambrookら(前掲)の標準的なミニプレプ法を使用
し、細菌形質転換体のコロニーそれぞれからDNAを抽出
した。得られたプラスミドをセファクリルCL6Bスピンカ
ラムに通してさらに精製し、次いで配列決定並びに制限
エンドヌクレアーゼ消化及びアガロースゲル電気泳動に
よって分析した。
4.ヒト胚腎293細胞のトランスフェクト(小規模) 293細胞を6ウエル平板にて70%全面成長まで増殖さ
せた。t−PAのプラスミドDNA突然変異体2.5μgを1mM
トリス−HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl2(150μ)中
に溶解した。これに、50mM HEPES緩衝液(pH7.35)、28
0mM NaCl、1.5mM NaPO4(150μ)を加え(旋回下に滴
加)、25℃で10分間沈殿物を形成せしめた。次いで、得
られた沈殿物を懸濁させ、それを6ウエル平板の各ウエ
ル中の細胞に加え、インキュベーター中に4時間放置し
た。次いで、培地を吸引除去し、PBS中20%のグリセリ
ン1mlを30秒間で加えた。細胞をまず血清不含培地3ml
で、次いで同培地1mlで洗浄することを2回行った。次
に、新たな培地3mlを加え、得られた細胞を5日間イン
キュベートした。次いで、培地を採取し、検定した。
1本鎖t−PAが必要な場合は、細胞の増殖期にプラス
ミノーゲン枯渇血清を使用する以外は上記のようにして
操作する。
5.生物学的検定 A.t−PAの定量 野生型t−PAに対して調製したポリクローナル抗体を
使用し、ELISAによって、細胞培養上清中に存在するt
−PAの量を測定した。得られたt−PAは均質であること
が判明した。
B.S−2288検定 S−2288検定を使用し、1本鎖及び2本鎖両形態の本
発明突然変異体のタンパク質分解活性を測定した。この
検定は、t−PAのタンパク質分解活性のための直接的な
検定法である;t−PAはS−2288基質の小ペプチドとパラ
ニトロアニリド発色団との間の結合を開裂させる。
野生型rt−PAを細胞培養培地で希釈して標準曲線試料
を調製する。この標準曲線試料及びrt−PA突然変異体試
料をマイクロタイター平板のウエルに加えた。この検定
法を使用して2本鎖rt−PAの活性を測定する場合は、ヒ
トプラスミンとのインキュベーション工程を操作中に包
含させる。ヒトプラスミン(KabiVitrum)は終濃度0.13
CU(カゼイン単位)/mlまで加えた。試料を室温で90分
間インキュベートした。1本鎖形態の試料を検定するた
めには、PBSとプラスミン溶液を置き換え、90分のイン
キュベーションを省略する。
アプロチニン[シグマ、約14TIU(トリプシンインヒ
ビター単位)/mg]を終濃度72μg/mlまで加えてプラス
ミン活性を阻害し、得られた試料を室温で15分間インキ
ュベートした。S−2288(KabiVitrum)の2.16mM溶液を
0.1Mトリス、0.106mM NaCl、0.02%アジ化ナトリウム、
pH8.4を用いて1.45mMにまで希釈し、この溶液100μを
マイクロタイター平板の各ウエルに加えた(各ウエルに
おける最終容量は200μであった)。405nmにおいて発
色をモニターした。それぞれの標準及び試料についての
吸光度 対 時間の曲線の勾配を測定した。標準曲線
は、rt−PA標品についてのrt−PA濃度の関数としての吸
光度 対 時間曲線の勾配をプロットすることで作成し
た。次いで、突然変異体の相対活性濃度を標準曲線から
測定した。突然変異体の活性濃度をrt−PA ELSAにて得
られた突然変異についての濃度で除し、得られた比活性
を、1.0値と帰属される野生型t−PAに相対させて表し
た。
C.S−2251検定 この検定はt−PA活性の間接検定法である。この検定
法では、プラスミノーゲンをt−PAの作用によりプラス
ミンに変換させるが、そのプラスミンがS−2251基質を
開裂してパラニトロアニリド発色団を放出するものであ
る。次いで、この発色団の発色を経時的に測定する。
1.フィブリン刺激S−2251検定 S−2288検定について記載しているようにして標準曲
線試料を調製した。2本鎖検定の検定では、試料をプラ
スミン−セファロースと共にインキュベートする。プラ
スミン−セファロースは、ヒトプラスミン(KabiVitru
m)約20.8CUを臭化シアン活性化セファロース(ファル
マシア)1mlとカップリングさせて調製した。このプラ
スミン−セファロース(5%スラリー50μ)を試料15
0μと共に室温で90分間撹拌させながらインキュベー
トした。インキュベートの後、得られた樹脂を遠心によ
って除去し、試料10μをマイクロタイター平板のウエ
ルに加えた。
1本鎖形態の検定では、細胞培養培地50μを樹脂の
代わりに加え、インキュベート工程を省いた。ヒトトロ
ンビン(42単位/ml溶液10μ)をウエルに加えた。ヒ
トGlu−プラスミノーゲン(5.3μM)28μ、プラスミ
ノーゲン不含のヒトフィブリノーゲン(10μM)、3mM
S−2251(KabiVitrum)30μ、及びPBS62μから構成
される混合物(130μ)を加え、ウエル中の反応を開
始させた。405nmにおいて発色モニターし、492nmの参考
波長における吸光度を各時点の吸光度から差し引いた。
吸光度対時間の二乗曲線の勾配を標準及び突然変異体試
料について測定した。標準曲線は、rt−PA標品について
のrt−PA濃度の関数としての吸光度対時間の二乗曲線の
勾配をプロットすることにより作成した。突然変異の相
対比活性は、S−2288検定について記載したようにして
測定した。
2.フィブリノーゲン刺激S−2251検定 この検定は、PBSをトロンビンと置き換える以外はフ
ィブリン刺激S−2251検定について記載しているように
行った。
3.血漿凝塊S−2251検定 標準曲線試料の調製及び、プラスミン−セファロース
を使用する1本鎖rt−PAから2本鎖rt−PAへの変換をフ
ィブリン−刺激S−2251検定について記載しているよう
に行った。ヒトトロンビン(31μg/ml溶液10μ)をマ
イクロタイター平板の各ウエルに加えた。標準及び突然
変異体試料(40μ)をその平板に加え、酸クエン酸デ
キストロースヒト血漿90μ及び9.1mM S−2251(KabiV
itrum)10μの混合物100μを加え、反応を開始させ
た。405nmにおいて発色をモニターし、492nmの参考波長
における吸光度を各時点の吸光度から差し引いた。得ら
れたデータの分析は、フィブリン刺激S−2251検定につ
いて記載したようにして行った。
4.血漿S−2251検定 この検定は、PBSをトロンビンと置き換える以外は血
漿凝塊S−2251検定について記載しているようにして行
った。
6.結果 フィブリン依存性及び血漿凝塊依存性検定を使用し、
欠失突然変異体を、そのチモーゲン特性及びフィブリン
特異性について検定した。得られた結果を以下の第1表
に示す。これらの値は、1本差S−2251フィブリン刺激
検定及び血漿凝塊−刺激検定以外は2つの測定値の平均
であり、これらは1回の測定値である。
上記の結果は、d466−470 t−PA変異体がプラスミノ
ーゲン活性化において野生型t−PAよりも約10倍高いフ
ィブリン特異性及び9倍高い血漿凝塊特異性を有してい
ることを示している。この分子はチモーゲニックでな
い。
配 列 表 (1)一般的情報 (i) 特許出願人:ジェネンテク,インコーポレイテ
ッド (ii) 発明の名称:フィブリン特異性を有する組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター (iii) 配列の数:2 (iv) 連絡先: (A) 名宛人:ジェネンテク,インコーポレイテッド (B) 通り:ポイント・サン・ブルーノ・ブールバー
ド460番 (C) 市:サウス・サン・フランシスコ (D) 州:カルフォルニア (E) 国:アメリカ合衆国 (F) ZIP:94080 (v) コンピューター解読書式 (A) 媒体型:5.25インチ,360Kbフロッピーディスク (B) コンピューター:IBM PC適合 (C) オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−DOS (D) ソフトウエア:Patin(ジェネンテク) (vi) 本出願のデータ: (A) 出願番号:PCT/US91/01025 (B) 出願日:1991年2月14日 (C) 分類: (vii) 優先権主張出願のデータ: (A) 出願番号:07/486,657 (B) 出願日:1990年3月1日 (viii) 弁理士/代理人情報 (A) 氏名:ハサク,ジャネット・イー (B) 登録番号:28,616 (C) 参照/整理番号:454P2 (ix) 電話連絡先情報 (A) 電話番号:415/266−1896 (B) ファックス番号:415/952−9881 (C) テレックス:910/371−7168 (2) 配列番号1の情報 (i) 配列の特徴: (A) 長さ:30塩基 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:1本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号1:P466Q467A468N469L470のプラ
イマー CTGGCAGGCG TCGTGCCCGC CGCTCCGAGT30 (2) 配列番号2の情報 (i) 配列の特徴: (A) 長さ:527アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゾラー,マーク・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア94115、 サン・フランシスコ、ナンバー・9、パ シフィック・アベニュー2410番 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/64 C12N 15/09 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対応する野生型t−PAの466から470位に連
    なるアミノ酸が欠失している、フィブリン特異性又は血
    漿凝塊特異性を示すことのできるヒト組織プラスミノー
    ゲンアクチベーター(t−PA)変異体。
  2. 【請求項2】野生型ヒトt−PAの296−299位(両端を含
    む)内のアミノ酸残基が置換されている請求項1に記載
    の変異体。
  3. 【請求項3】野生型ヒトt−PAの296−299位(両端を含
    む)内の少なくとも2つの残基が置換されている請求項
    2に記載の変異体。
  4. 【請求項4】置換がアラニン残基との置換である請求項
    3に記載の変異体。
  5. 【請求項5】野生型ヒトt−PAのアミノ酸残基1〜44が
    欠失している請求項1に記載の変異体。
  6. 【請求項6】アミノ酸184又は117位における機能的な炭
    水化物構造を欠いている請求項1に記載の変異体。
  7. 【請求項7】野生型ヒトt−PAの67位にアスパラギンを
    含有する請求項1に記載の変異体。
  8. 【請求項8】野生型ヒトt−PAのアミノ酸92−179(両
    端を含む)が欠失している請求項1に記載の変異体。
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