JP3126381B2 - 減少されたクリアランスを有する組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体 - Google Patents
減少されたクリアランスを有する組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体Info
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Description
ー(t−PA)変異体、その変異体を製造するための方
法、並びにその変異体を医薬組成物中に利用する方法及
びその組成物に関する。より詳細には、本発明は、野生
型t−PAと比較して減少したクリアランス速度を有する
変異体を導く、少なくともt−PAのクリングル−1又は
クリングル−2ドメイン内に置換などの改変アミノ酸配
列を有しているt−PA変異体に関する。
ンのアミノ酸561及び562残基間のペプチド結合を開裂さ
せ、それをプラスミンに変換する酵素である。プラスミ
ンはフィブリンなどの種々のタンパク質を分解する活性
セリンプロテイナーゼである。幾つかのプラスミノーゲ
ンアクチベーターが同定されており、その中には、スト
レプトキナーゼ(細菌タンパク質)、ウロキナーゼ(腎
及び他の部位にて合成され、初めは尿から抽出され
た)、及びt−PAと命名されているヒト組織プラスミノ
ーゲンアクチベーター(血管壁を裏うちする細胞から産
生される)がある。
用機序は幾分異なっている。ストレプトキナーゼはプラ
スミノーゲン又はプラスミンと複合体を形成してプラス
ミノーゲン活性化活性を生じるものであり、ウロキナー
ゼはプラミノーゲンを直接開裂し、t−PAは最適な活性
のためにフィブリン及びプラスミノーゲンの両者と相互
作用するものである。
おける強力な凝塊(血餅)溶解能のおかげで、心筋梗塞
などの血管疾患を処置するための重要な新規生物学的医
薬物質として認定されている。
1988年6月21日発行の米国特許番号第4,752,603号によ
って、天然起源から初めて調製され、インビボ活性につ
いて試験された[さらに、リッケン(Rijken)らのJ.Bi
ol.Chem.256,7035(1981)も参照のこと]。ペニカ(Pe
nnica)ら[Nature 301,214(1983)]は、t−PAのDNA
配列を決定し、このDNA配列からアミノ酸配列を推定し
た[1988年8月23日発行の米国特許番号第4,766,075号
を参照のこと]。
に潜在的N−連結グリコシル化部位を有している。高度
マンノースオリゴサッカライドは117位に存在し、複合
オリゴサッカライドは184位及び448位に存在している。
117及び448部位は常にリコシル化されているようである
が、184部位はt−PA分子の約50%がグリコシル化され
ていると考えられる。184位のこの部分的なグリコシル
化パターンはt−PA分子の暴露されていない領域にこの
184部位が位置していることに由来すると思われる。184
位がグリコシル化されているt−PA分子はI型t−PAと
呼ばれ、184位がグリコシル化されていない分子はII型
t−PAと呼ばれる。天然のt−PAにおいて218位がグリ
コシル化されていることは見いだされていない。
を有することが突き止められた。各ドメインは、トリプ
シン、キモトリプシン、プラスミノーゲン、プロトロン
ビン、フィブロネクチン及び表皮性成長因子(EGF)な
どの他のタンパク質中における相同的又は機能的領域に
照らして規定されている。これらのドメインは、t−PA
のアミノ酸のN−末端から言って、アミノ酸1から約44
までのフィンガー(F)ドメイン、アミノ酸約45から91
までの成長因子(G)ドメイン[EGFとの相同性に基づ
く]、アミノ酸約92−173のクリンブル−1(K1)ドメ
イン、アミノ酸約180から261までのクリングル−2(K
2)ドメイン、及びアミノ酸約264から527位のアミノ酸
のC−末端までのセリンプロテアーゼ(P)ドメイン、
と命名されている。これらのドメインは本質的に互いに
隣接して位置しており、幾つかは短い「リンカー」領域
によって連結されている場合もある。このリンカー領域
は成熟ポリペプチドのアミノ酸の総数を527に導いてい
るが、3つの付加的な残基(Gly−Ala−Arg)がそのア
ミノ末端に見いだされる場合があり、これはおそらく分
子の不完全な前駆体プロセッシングに由来するものであ
ろう。
質をt−PA分子に付与していると考えられる。フィンガ
ードメインは、フィブリンに対するt−PAの高い結合親
和性にとって重要であると考えられる。この活性は、t
−PAがフィブリンに富む血栓の病巣において凝塊の溶解
に際して示す高い特異性にとって重要なようである。ク
リングル−1及びクリングル−2ドメインもフィブリン
結合性及び、t−PAの活性を刺激するフィブリンの刺激
能に関係しているようである。セリンプロテアーゼドメ
インは、プラスミノーゲンをプラスミンに変換させるt
−PAの酵素活性に関与している。t−PA分子は275位及
び276位間(このセリンプロテアーゼドメイン内に位置
している)で開裂され、2鎖形態の分子となることが多
い。
場合、約6分又はそれ以下の血漿中半減期を有する。こ
の6分の半減期は、例えば心筋梗塞または肺塞栓症など
の致死性の疾患に対して急性の攻撃的治療を施すような
特定の場合には望ましい。この非常に危険な状況下、制
御できない出血傾向を引き起こす可能性が有意にあり、
又は認識できない患者はt−PAで処置することができ
る。このような出血が起こった場合は、薬物投与を中止
すれば、その原因となるt−PAレベルは急速に下降す
る。従って、このような患者を比較的短い生存形態のt
−PAで処置することは好ましい。
るとしても、天然に存在するこのタンパク質の形態がす
べての状況下で最適なt−PA物質を代表しているとは考
えられない。ある場合、例えば深部静脈血栓症を処置す
る場合、再灌流(reperfusion)を行って心筋梗塞を処
置する場合、肺塞栓症を処置する場合、又はボーラス注
入を使用して処置する場合などには、より長い半減期及
び/又は減少されたクリアランスを有するt−PA分子が
望ましい。野生型t−PA分子の幾つかの変異体は半減期
を増大させ、又はクリアランス速度(消失速度)を減少
させることを企図して創製されている。
1つの方法は、この分子から個々のアミノ酸、部分的ド
メイン、又は完全なドメインを欠失させることである。
例えば、米国特許第4,935,237号(1990年6月19日発
行)に記載されているようにt−PAのフィンガードメイ
ンの一部又はそのすべてを除去すると、その分子のクリ
アランス速度は減少するが、それによりフィブリン結合
特性が実質的に減少してしまう。ブラウン(Browne)ら
[J.Biol.Chem.263:1599−1602(1988)]はアミノ酸57
及び81間の領域を除去し、それにより得られる変異体が
比較的ゆるやかな血漿からのクリアランスを有すること
を見いだした。コラン(Collen)ら[Bolld,71:216(19
88)]はアミノ酸6−86(フィンガー及び成長ドメイン
の一部)を欠失させ、野生型t−PAが5分の半減期であ
るのに対して、得られた突然変異体がウサギにおいて15
分の半減期を有することを見いだした。同様に、カイラ
ン(Kaylan)ら[J.Biol.Chem.,263:3971(1988)]は
アミノ酸1−89を欠失させ、野生型t−PAが約2分であ
るのに対して、この突然変異体のマウスにおける半減期
が約15分であることを見いだした。Cambierら[J.Cardi
ovasc.Pharmacol.,11:468(1988)]はフィンガー及び
成長因子ドメインが欠失され、3つのアスパラギングリ
コシル化部位が完全に破壊された変異体を構築した。こ
の変異体はイヌで試験した場合、野生型t−PAよりも長
い半減期を有することが見いだされた。成長因子ドメイ
ン又はフィンガードメインのみが欠失された変異体もウ
サギ、モルモット及びラットにおいてクリアランス速度
が減少していることが証明された[Higgins及びBennet
t,Ann.Rev.Pharmacol.toxical.,30:91(1990)及びそこ
の引用文献]。
告されている。EPO特許公開第241,208号を参照のこと
(アミノ酸51−87の欠失、及びアミノ酸51−173の欠
失)。さらに、成熟した天然t−PAのアミノ酸領域67−
69につき、1つ又はそれ以上のアミノ酸を欠失又は置換
させることによるその修飾を開示しているEPO特許公開
第240,334号も参照のこと。
るもう1つの手段は、t−PA分子を別の分子と複合化す
ることである。例えば、t−PA−ポリエチレン−グリコ
ールコンジュゲート体は、EPO第304,311号(1989年2月
22日公開)に報告されているように、t−PAのクリアラ
ンス速度を増大させると報告された。t−PAに対するモ
ノクローナル抗体は、その活性を減少させることなくt
−PAのインビボにおける機能的な半減期を増大させると
報告された(1989年11月2日公開のEPO第339,505号を参
照のこと)。
期を増大させたり、そのクリアランス速度を減少させる
それらの能力について評価された。変異体R275E(天然
の成熟t−PAにおける275位のアルギニンがグルタミン
酸と置換されている)は、霊長動物及びウサギにおいて
試験した場合、野生型t−PAよりも約2倍遅いクリアラ
ンス速度を有していることが示された[HotchkissらのT
hromb.Hemost.,58:491(1987)]。成熟した天然t−PA
のアミノ酸63−72の領域における置換、及び特に67位及
び68位の置換は、t−PAの血漿中半減期を増大させると
報告されている[1989年12月28日公開のWO 89/1268
1]。
部位を非グリコシル代部位に変換する点に焦点を合わせ
ている。ホッチキス(Hotchkiss)ら[Thromb.Hemost.,
60:255(1988)]はt−PA分子からオリゴサッカライド
残基を選択的に除去し、ウサギにおいて試験した場合、
それらの残基の除去によりt−PAのクリアランス速度が
減少することを証明した。エンド−β−N−アセキルグ
ルコサミニダーゼH(Endo−H)酵素を使用して117位
の高度マンノースオリゴサッカライドを除去すると、約
2倍に減少したクリアランス速度が得られた。過ヨウ素
酸ナトリウムを使用して殆どすべてのオリゴサッカライ
ド残基を酸化すると、野生型t−PAと比較して約3倍低
いクリアランス速度となった。これらの研究者は、117
位のグリコシル化を防止するため、t−PA変異体N117Q
(天然の成熟t−PAの117位のアスパラギンがグルタミ
ンと置換している)も創製した。この変異体のクリアラ
ンス速度は野生型t−PAよりも低かった。1987年9月23
日公開のEP 238,304、及び1987年6月1日公開のEP 22
7,462も参照のこと。
アランスを有するt−PA変異体を製造するための別のア
プローチは、t−PA分子にグリコシル化部位を付加する
ことである。このアプローチの例示として、60、64、6
5、66、67、78、79、80、81、及び82位を適当なアミノ
酸と置換し、これらの残基のうち幾つかの残基又はその
近くの残基にグリコシル化部位を有する分子を創製する
ことが挙げられる(1989年11月30日公開のWO 89/11531
を参照のこと)。さらに、例えばアミノ酸103位又はそ
の近くにグリコシル化部位を有しているグリコシル化変
異体も製造することができる。
ンス速度が減少したt−PA変異体を創製できるが、多く
の場合、その分子の活性、溶解性及び/又はフィブリン
結合特異性は減じられている。即ち、既知のt−PA変異
体は最適な特性を有していない。従って、本発明の目的
は、生物活性、溶解性及び/又はフィブリン溶解性を実
質的に保持している、クリアランス速度が減少されたt
−PA変異体を製造することである。これらの特性のいず
れか1つ又はその組合わせを有するクリアランス速度が
減少されたt−PA変異体が生産できれば、t−PAの治療
上の価値及び効能が改善される。本発明のさらなる目的
は、効能又は製薬的利用性が改善されたt−PA変異体を
製造することである。
と比較して減少されたクリアランス速度を有するt−PA
変異体を提供することである。
位、238位及び240位に改変を有するt−PAアミノ酸配列
変異体であって、生物学的活性を示し、野生型t−PAと
比較して減少されたクリアランス速度を有する変異体を
提供するものである。
6位、238位及び240位の改変は置換であり、それらの置
換されるアミノ酸はアラニン、グリシン、セリン又はス
レオニンと置き換えるのが好ましい。最も好ましい態様
では、それらをアラニンと置換するか、又は特定の部位
をグリシンと置換する。
位及び240位、又は95位、236位、238位及び240位、又は
94生、95位、236位、238位及び240位などの1つ以上の
部位でt−PA変異体を改変する。この改変はアミノ酸置
換が好ましく、より好ましくはアラニン、グリシン、セ
リン又はスレオニンと置き換え、最も好ましくはアラニ
ンと置き換えるか、又は特定の部位をグリシンと置き換
える。
位、238位及び240位、又は94位、236位、238位及び240
位、又は95位、236位、238位及び240位、又は94位、95
位、236位、238位及び240位が置換された上述のt−PA
変異体について、さらにその103位及び/又は117位が改
変されたものであり、その改変は103位をアスパラギン
でアミノ酸置換し、117位をアラニン又はセリンで、又
は好ましはグルタミンでアミノ酸置換するのが好まし
い。
DNA配列、このDNA配列を形質転換宿主細胞において発現
できる複製可能な発現ベクター、及び形質転換された宿
主細胞を提供する。
体の治療学的有効量を製薬的に許容され得る担体と共に
含有してなる、血管状態又は血管疾患を処置するための
組成物を提供する。
体の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺
乳動物の血管状態又は疾患を処置するための方法を提供
する。
効量を製薬的に許容され得る担体と共に含有してなる、
フィブリン沈着又は接着形成もしくは再形成を予防する
ための組成物を提供する。
のある哺乳動物におけるその部位に本発明t−PA変異体
の有効量を投与することを特徴とする、フィブリン沈着
又は接着形成もしくは再形成を予防するための哺乳動物
の処置方法を提供する。
している。このアミノ酸はアミノ末端から開始して番号
付けしている。5つのドメイン、ジスルフィド架橋、及
びt−PA分子が2本鎖分子に切り取られる活性化部位、
の各位置を示している。
のである。ヒトt−PAのcDNAをHind III及びBal Iで消
化し、それを真核生物発現ベクターpRK7のHind III及び
Sma I部位間に挿入した。
−PA変異体の残存量(血液1ml当たりの毎分の1000カウ
ントで測定)を時間(分)に対してプロットしたもので
ある。放射線標識化t−PA変異体は通常タンパク質1ナ
ノグラム当たり1000cpmであった。検定した各変異体は
野生型t−PAと同様に明示している。
ミノーゲンアクチベーター」なる用語は、プラスミノー
ゲンをプラスミンに変換できるプロテアーゼドメイン
と、フィブリン結合性に関与していると考えられるN−
末端領域とからなる2つの機能領域を有するヒト外因性
(組織型)プラスミノーゲンアクチベーターを意味す
る。従って、これらの用語は、上記の機能ドメインをポ
リペプチドのアミノ酸配列の一部として含有している該
ポリペプチドを包含する。生物学的に活性な形態のt−
PAは、この分子の上記2つの機能領域及びt−PAの供給
源本来のそれら以外のt−PAの他の部分を含有する形態
として組換え細胞培養系によって生産することができ
る。各個体のt−PAのアミノ酸配列における1つ又はそ
れ以上のアミノ酸の相違によって示されるように、個体
間毎に自然のままのアレル変異体が存在し、また生じる
ことは理解されよう。
の配列ヒトt−PA、即ち1988年8月23日発行の米国特許
番号第4,766,075にて報告されているcDNAによってコー
ドされているt−PAを意味する。このt−PA分子のアミ
ノ酸部位の番号又は位置は米国特許番号第4,766,075号
(前掲)に従って決められる。t−PAは天然起源から得
ることができ、ヒトなどの種々の動物の相当するタンパ
ク質が包含される。さらに、t−PAは、例えばチャイニ
ーズハムスター卵巣(CHO細胞)又はヒト腎胚293細胞な
どの組換え発現系から入手することもできる。
然に存在するL−α−アミノ酸を意味する。この定義
は、ノルロイシン、オルニチン、及びホモシステインを
包含するものである。アミノ酸は、以下の1文字又は3
文字命名法によって特定される: Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン Thr T スレオニン Leu L ロイシン Ser S セリン Tyr Y チロシン Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン Pro P プロリン His H ヒスチジン Gly G グリシン Lys K リジン Ala A アラニン Arg R アルギニン Cys C システイン Trp W トリプトファン Val V バリン Gln Q グルタミン Met M メチオニン Asn N アスパラギン これらのアミノ酸は化学組成及びそれらの側鎖の性質
に応じて分類することができる。これらのアミノ酸は、
帯電及び非帯電アミノ酸と大きく2つのグループに分類
される。これらのグループはそれぞれサブグループに分
割され、アミノ酸はさらに厳密に分類できる: I.帯電アミノ酸 酸性残基:アスパラギン酸、グルタミン酸 塩基性残基:リジン、アルギニン、ヒスチジン II.非帯電アミノ酸 親水性残基:セリン、スレオニン、アスパラギン、グ
ルタミン 脂肪族残基:グリシン、アラニン、バリン、ロイシ
ン、イソロイシン 非極性残基:システイン、メチオニン、プロリン 芳香族残基:フェニルアラニン、チロシン、トリプト
ファン 「改変」、「アミノ酸配列改変」、「変異体」及び
「アミノ酸配列変異体」なる用語は、アミノ酸配列が天
然t−PAと比較して何等かの相違点を有しているt−PA
分子を意味する。普通、変異体は天然t−PAと少なくと
も80%の相同性を有しているが、天然t−PAとは少なく
とも約90%相同的であるのが好ましい。本発明の範囲内
にあるt−PAのアミノ酸配列変異体は特定の位置に置
換、欠失、及び/又は挿入を有している。これらの位置
は、t−PAのクリアランス速度を調整するうえで影響を
与えるものとして本発明者らが同定した。
も1つのアミノ酸残基が除去され、その同じ部位に別の
アミノ酸が挿入されているものである。この置換は、分
子内のアミノ酸1つだけを置換させる場合は1つでよ
く、あるいは分子内の2つ又はそれ以上のアミノ酸を置
換する場合は多数であってもよい。
有意に異なる側鎖で置換すれば、t−PA分子の活性を実
質的に変動させることができる。このタイプの置換は、
この分子の置換領域のポリペプチド骨格の構造及び/又
は電荷又はハイドロホビシティーに影響を与えると期待
できる。
は構造が類似している側鎖でアミノ酸を置換すれば、穏
やかに変動させることができよう。このタイプの置換は
保存的置換と呼ばれるが、この分子の置換領域のポリペ
プチド骨格の構造又は電荷又はハイドロホビシティーの
いずれかを実質的に変化させると期待できる。
あるアミノ酸のすぐ隣に1つ又はそれ以上のアミノ酸が
挿入されたものである。「アミノ酸のすぐ隣に」とは、
アミノ酸のα−カルボキシ又はα−アミノ官能基のいず
れかに連結することを意味する。この挿入はアミノ酸1
つ又はそれ以上であってもよい。普通、挿入は1つ又は
2つの保存性アミノ酸から構成される。電荷及び/又は
構造が挿入部位に隣接するアミノ酸と類似しているアミ
ノ酸は保存的と規定される。別に、本発明は、挿入部位
に隣接するアミノ酸とは実質的に異なる電荷及び/又は
構造を有するアミノ酸の挿入も包含している。
アミノ酸が除去されているものである。普通、欠失変異
体は、t−PA分子の特定の部位にある1つ又は2つのア
ミノ酸が欠失されている。
全体で使用している命名法を次に説明する。t−PAのポ
リペプチド鎖の特定のアミノ酸の位置は数字で特定して
いる。この数字は、1988年8月23日発行の米国特許番号
第4,766,075号に記載されている成熟野生型ヒトt−PA
ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸位置を意味す
る。t−PA変異体の実際の残基番号はその分子の欠失又
は挿入によって上記のような番号の並びではないが、本
明細書では、t−PA変異体内の同様に位置した残基もこ
れらの数字によって命名している。これは例えば、部位
特異的な欠失又は挿入変異体に存在する。アミノ酸の特
定には1文字コードを使用している。置換アミノ酸は、
野生型アミノ酸のポリペプチド鎖の位置を示す数字の左
側に野生型アミノ酸を特定し、そしてその数字の右側に
置換されたアミノ酸を特定することで命名している。
をアラニン(A)と置き換えた場合は、E94Aと命名され
る。94位のグルタミン酸(E)をアラニンと置き換え、
95位のアスパラギン酸(D)をアラニンと置き換えた場
合は、E94A,D95Aと示すことができる。欠失変異体は、
包括的な欠失のいずれかの端のアミノ酸残基及び位置を
示し、示したアミノ酸の左側にキリシヤ文字「Δ」を配
置することによって特定される。例えば、アミノ酸100
−101の欠失を含有するt−PA変異体はΔY100−R101
[ここにY及びRはそれぞれアミノ酸チロシン及びアル
ギニンを示す]と示される。1つのアミノ酸、例えばY1
00が欠失される場合は、ΔY100と示される。挿入t−PA
変異体は、挿入されたアミノ酸の回りを括弧「[]」で
くくり、挿入のいずれかの側のアミノ酸位置を示すこと
によって挿入の位置を示して命名される。例えば、94位
のグルタミン酸と95位のアスパラギン酸との間にアミノ
酸アラニン(A)及びバリン(V)が挿入される場合
は、E94[A,V]D95と示される。読み易くするために、
カンマ「,」を使用し、1つの分子に存在する多重突然
変異を分離して表し、また幾つかのt−PA変異体分子を
同時に挙げる場合には、セミコロン「;」を使用して、
構築された個々のt−PA変異体分子を分離して表す。
は、t−PA分子が血流から除去される速度を意味する。
クリアランスは天然のt−PAについて測定され、その結
果、減少されたクリアランスとは天然t−PAよりもゆっ
くりとt−PA変異体が消失することを意味し、増大した
クリアランスとは天然t−PAよりも速くt−PA変異体が
消失することを意味する。
及び「活性な」なる用語は、血漿凝塊又はフィブリンの
存在下のS−2251検定、S−2288検定、血漿凝塊溶解検
定又は他の適当な検定で測定した場合に、t−PA分子が
プラスミノーゲンをプラスミンに変換できるその変換能
を意味する。t−PA分子はその1又は2本鎖形態で検定
でき、それらの検定は、フィブリン、フィブリノーゲ
ン、血漿及び/又は血漿凝塊などの活性の有効な調整物
質の存在又は不存在下に行うことができる。
ードする核酸」なる用語は、デオキシリボ核酸に沿った
デオキシリボヌクレオチドの順序又は配列を意味する。
これらデオキシリボヌクレオチドの順序によって、ポリ
ペプチド鎖に沿ったアミノ酸の順序が決められる。従っ
て、DNA配列はアミノ酸配列をコードしている。
る用語は、外来DNA片を挿入することのできた、通常は
2本鎖であるDNA片を意味する。外来DNAは異種DNAと規
定され、これは宿主細胞内に天然では見いだされないDN
Aである。このベクターを使用し、外来即ち異種DNAを適
当な宿主細胞に輸送する。ベクターは宿主細胞内に入っ
たなら、宿主の染色体DNAとは独立して複製することが
でき、ベクター及びその挿入された(外来)DNAの幾つ
かのコピーが創製される。さらに、このベクターは、外
来DNAをポリペプチドに翻訳させる必須要素を含有して
いる。外来DNAによってコードされているポリペプチド
の多くの分子はこのようにして迅速に合成することがで
きる。
DNAを細胞に導入することを意味する。この細胞は「宿
主細胞」と呼ばれ、原核生物又は真核生物細胞のいずれ
でもよい。通常の原核生物宿主細胞としては大腸菌の種
々の株が挙げられる。通常の真核生物宿主細胞は、チャ
イニーズハムスター卵巣細胞又はヒト腎胚293細胞など
の哺乳動物である。導入されるDNAは通常、挿入されたD
NA片を含有するベクターの形態にある。導入DNA配列は
宿主細胞と同じ種又は宿主細胞とは異なる種由来のいず
れでもよく、又はある種の外来及びある種の異種DNAを
含有する雑種DNA配列であってもよい。
t−PAのクリアランス速度を調節することができる。そ
の変化はアミノ酸の挿入、欠失及び/又は置換のいずれ
でもよい。好ましくは、この変化はt−PA分子の1つ又
はそれ以上の領域内の少なくとも1つのアミノ酸置換に
よるものである。置換させるアミノ酸(群)を選択する
ための適当な手法は、Cunningham及びWells[Science 2
44:1081(1989)]によって開示されているアラニン−
スキャニング突然変異法のそれである。この手法では、
帯電した側鎖を有する1つ又はそれ以上のアミノ酸を、
非帯電側鎖を有するアミノ酸と置換する。このような変
化は、周囲の水性環境とポリペプチドとの相互作用に影
響を与えると考えられる。
するアミノ酸は、野生型t−PAの周囲のアミノ酸の電荷
を中和するものである。疎水性、脂肪族、芳香族、又は
非−極性アミノ酸を使用できる。これらの中では、バリ
ン、ロイシン及びイソロイシンなどの比較的大きな側鎖
を有するものよりも、アラニン、セリン及びスレオニン
などの小さな側鎖を有するアミノ酸が好ましい。置換す
るために使用されるアミノ酸としては、グリシン、アラ
ニン、セリン、スレオニン、グルタミン、アスパラギン
が好ましい。最も好ましい置換のためのアミノ酸はアラ
ニンであり、あるいは特定の部位ではアスパラギン、グ
リシン又はグルタミンである。アラニンはβ−炭素以外
の側鎖が排除されており、従って野生型t−PA分子の三
次元コンホーメーションを変化させ難いので、アラニン
がこの目的には最も好ましいアミノ酸である。さらに、
アラニンはタンパク質の埋設された領域及び暴露された
領域の両方に高い頻度で見いだされる[Chothia,J.Mol.
Biol.,150:1(1976)]。
れた典型的な変異体は、野生型t−PAのアミノ酸配列の
クリングル−1ドメイン又はクリングル−2ドメインの
いずれかに少なくとも1つの改変(アミノ酸置換、欠失
及び/又は挿入)を有している。変異体はさらに、野生
型配列の他のドメインに、t−PA分子の性質を強化する
さらなる改変を含有することができる。例えば、これら
の付加的な改変はt−PA変異体のフィブリイン結合特異
性、比活性、及び/又はチモーゲニシティー(zymogeni
city)を増大させるうえで役立ち得るものである。
又は236位、238位及び240位のアミノ酸、又はこれらの
部位の混合アミノ酸を、好ましくはアラニン又はグリシ
ンで置換する。これらの分子はそれぞれ、他のアミノ酸
の置換、欠失又は挿入をも含有することができ、好まし
くは103位のステレオニンをアスパラギンと置換し、及
び/又は117位のアスパラギンをアラニン又はセリン
と、又は好ましくはグルタミンと置換することもでき
る。本発明の代表的なt−PA変異体は、E94A;D95A;D95
G;E94A,D95A;D236A,D238A,K240A;E94A,D95A,N117Q;E94
A,D95A,D236A,D238A,K240A;T103N,D236A,D238A,K240A;
及びN117Q,D236A,D238A,K240Aなどである。
せて、増大したフィブリン特異性又はチモーゲニシティ
ーなどのさらなる所望の性質を付与することができる。
これらの位置は例えば、アミノ酸92から179の欠失、ア
ミノ酸174−261領域の欠失、184位などのグリコシル化
部位の修飾、及び/又はアミノ酸244−255領域の修飾な
どである。修飾のために重要な他の位置はプロテアーゼ
ドメイン全体にわたって配置しており、それには例え
ば、275位(1987年8月19日公開のEPO 233,013、及び19
87年8月13日公開のWO 87/04722を参照)、277位(1988
年12月28日公開のEPO 297,066、及び1986年11月12日公
開のEPO 201,153を参照),及び1990年3月22日公開のW
O 90/02798に開示されている296−299などがある。
生型t−PAをコードするDNA配列を突然変異させること
によって構築される。一般には、そのDNAの特定の領域
又は部位を突然変異誘発のために標的化するが、これを
行うための一般的方法は部位特異的突然変異誘発と呼ば
れる。この突然変異は、制限エンドヌクレアーゼ(特定
の部位でDNAを開列する)、ヌクレアーゼ(DNAを分解す
る)、及び/又はポリメラーゼ(DNAを合成する)など
のDNAを改変する酵素を使用して行う。
せれば、サムブルック(Sambrook)らの15.3項[Molecu
lar Cloning,A Laboratory Manual,2版,Cold Spring Ha
rbar Laboratory Press,ニューヨーク(1989)]に記載
されているように、欠失を生じさせることができる。こ
の方法を使用するためには、外来DNAをプラスミドベク
ターに挿入するのが好ましい。外来(挿入)DNA及びベ
クターDNAの両者の制限地図は利用可能でなければなら
ず、又は外来DNA及びベクターDNAの配列が知られていな
ければならない。外来DNAは、ベクターには存在しない
唯一の制限部位を有していなければならない。次いで、
適当な制限エンドヌクレアーゼをその酵素の製造元が教
示している条件下で使用し、これらの唯一の制限部位間
で消化し、外来DNAに欠失を施す。使用する制限酵素が
平滑末端又は適合する末端を生じさせるなら、バクテリ
オファージT4 DNAリガーゼなどのリガーゼを使用し、AT
P及びサムブルックら(前掲)の1.68項に記載されてい
るリガーゼ緩衝液の存在下に16℃で1−4時間得られた
混合物をインキュベートすることにより、それらの末端
は直接に連結させることができる。これらの末端が適合
しない場合は、消化DNAの突出した1本鎖末端を充填す
るために4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸が必
要であるDNAポリメラーゼIのクレノー断片又はバクテ
リオファージT4 DNAポリメラーゼを使用し、まずそれら
を平滑末端とする。あるいは、これらの末端は、DNAの
突出した1本鎖を切断(カッティング・バック)するこ
とにより共に機能するヌクレアーゼS1又はヤエナリ・ヌ
クレアーゼ(mung−bean nuclease)などのヌクレアー
ゼを使用して平滑末端にすることもできる。次いで、得
られたDNAをリガーゼを用いて再連結する。これにより
得られた分子がt−PA欠失変異体である。
の15.3項に記載されているように、挿入変異体を構築す
ることができる。唯一の制限部位(群)において外来DN
Aを消化した後、オリゴヌクレオチドを、外来DNAが切断
された部位に連結する。このオリゴヌクレオチドは、挿
入する所望のアミノ酸をコードするように設計し、また
直接に連結できるように、消化した外来DNAの末端と適
合している5′及び3′末端をさらに有している。
換変異体を製造するための好ましい方法である。これ
は、本発明の欠失及び挿入変異体を簡便に製造するため
にも使用できる。この手法は、アデルマン(Adelman)
らによって開示されているように[DNA 2,183(198
3)]、当業界に周知である。
オチドを使用し、t−PA分子の2つ又はそれ以上のヌク
レオチドを挿入、欠失又は置換する。最適なオリゴヌク
レオチドは、突然変異をコードするヌクレオチドのいず
れかの側のヌクレオチドと完璧に適合する12から15のヌ
クレオチドを有している。これにより、オリゴヌクレオ
チドが1本鎖DNA鋳型分子と適切にハイブリダイズする
ようになる。このオリゴヌクレオチドは、クレア(Cre
a)ら[Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.75,5765(1978)]
に記載されている手法などの当業界周知の手法によって
容易に合成することができる。DNA鋳型分子は、その野
生型cDNA t−PA挿入体を有するベクターの1本鎖形態で
ある。この1本鎖の鋳型は、バクテリオファージM13ベ
クター(市販されているM13mp18及びM13mp19が適当であ
る)、又はベイラ(Veira)ら[Meth.Enzymol.153,3(1
987)]に記載されている1本鎖ファージ複製起点を含
有するそれらのベクターのいずれかから誘導されるベク
ターによって作成することができるのみである。従っ
て、突然変異しようとするcDNA t−PAは、1本鎖の鋳型
を創製するためにこれらのベクターの1つに挿入しなけ
ればならない。1本鎖の鋳型の生産はサムブルックら
(前掲)の4.21−4.41項に記載されている。
リダイゼーションの条件下で1本鎖DNAの鋳型分子とア
ニーリングする。次いで、DNAポリマー化酵素、通常は
大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIのクレノー断片を
加える。この酵素は、突然変異を有するDNA鎖を合成す
るためにプライマーとしてオリゴヌクレオチドを使用す
る。従って、DNAの1つの鎖がベクターに挿入される野
生型t−PAをコードしており、第2のDNAの鎖が同じベ
クターに挿入された突然変異形態のt−PAをコードして
いるヘテロ二重ラセン分子が形成される。次いで、この
ヘテロ二重ラセン分子を適当な宿主細胞、通常はE.coli
JM101などの原核生物に形質転換する。得られた細胞を
増殖させた後、それをアガロース平板にプレートし、32
−Pで放射線標識したオリゴヌクレオチドプライマーを
使用してスクリーニングし、突然変異t−PAを含有する
コロニーを同定する。そのようなコロニーを選択し、t
−PA分子に突然変異が存在しているかを確認するため、
DNAの配列を決定する。
幾つかの方法の中の1つの方法によって生成させること
ができる。ポリペプチド鎖中に数個のアミノ酸を近接し
て一緒に配置させる場合は、それら所望のアミノ酸置換
のすべてをコードする1つのオリゴヌクレオチドを使用
して同時に突然変異することができる。しかし、アミノ
酸が互いに若干距離をおいて位置している場合(例え
ば、10アミノ酸以上で分割されている場合)は、所望の
変化をすべてコードしている単一のオリゴヌクレオチド
を生成させるのは比較的困難である。その場合は代わり
に、2つの代替方法のいずれかを使用すればよい。第1
方法では、置換させる各アミノ酸のオリゴヌクレオチド
を別々に創製する。次いで、それらのオリゴヌクレオチ
ドを1本鎖鋳型DNAに同時にアニーリングすれば、この
鋳型から合成された第2のDNA鎖は所望のアミノ酸置換
をすべてコードすることになる。別の方法は、2つ又は
それ以上の突然変異誘発工程によって所望の突然変異体
を生産することに関する。第1工程は単一突然変異体に
ついて記載しているとおりの方法である:野生型t−PA
DNAを鋳型として使用し、第1の所望のアミノ酸置換
(群)をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型とア
ニーリングし、次いでヘテロ二重ラセンDNA分子を生成
させる。第2の突然変異誘発工程は、突然変異誘発の第
1工程で調製した突然変異DNAを鋳型として使用する。
従って、この鋳型は既に1つ又はそれ以上の突然変異を
含有している。次いで、付加的な所望のアミノ酸置換
(群)をコードしているオリゴヌクレオチドをこの鋳型
とアニーリングすると、得られるDNAの鎖は、第1及び
第2工程の突然変異誘発の両者に由来する突然変異を新
たにコードしている。この得られたDNAは、第3の突然
変異誘発工程、などにおいて鋳型として使用することが
できる。
発現させるため、このDNAをベクターから切り取り、真
核節物宿主細胞発現にとって適切な発現ベクターに挿入
する。長期の安定なt−PA生産のためには、チャイニー
ズハムスター卵巣(CHO)細胞が好ましい。しかし、本
発明はCHO細胞におけるt−PA変異体の発現に限定され
るものでなく、特に、実験目的にt−PA変異体を一時的
にしか発現させる必要がない場合などは、多くの他の細
胞型が使用できることが知られている。
が好ましい。原核生物は、DNAの迅速な大量生産、部位
特異的突然変異に使用される1本鎖DNAの鋳型の生産、
多くの突然変異体の同時スクリーニング、及び生成され
る突然変異体のDNAの配列決定にとって特に有用であ
る。適当な原核生物宿主細胞には、E.coli(大腸菌)K1
2株294(ATCC No.31,446)、E.coli株W3110(ATCC No.2
7,325)、E.coli X1776(ATCC No.31,537)、及びE.col
i Bなどがある。しかし、HB101、JM101、NM522、NM53
8、NM539などのE.coliの他の多くの株、並びに他の多く
の原核生物の種及び属も同様に使用することができる。
できる。上記に挙げたE.coli株の他、バシラス・ズブチ
リス(Bacillus subtilis)などのバシラス属、サルモ
ネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)又は
セラチア・マルセサンス(Serratia marcesanes)など
の他の腸内細菌、及び種々のシュードモナス(Pseudomo
nas)種などもすべて宿主として使用できる。
プリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターと
共に使用する。そのベクターは通常、複製部位、形質転
換された細胞内において表現型の選択性を付与できるマ
ーカー遺伝子、1つ又はそれ以上のプロモーター、及び
外来遺伝子を挿入するための幾つかの制限部位を含有す
るポリリンカー領域を含有する。E.coliを形質転換する
ために通常使用されるプラスミドには例えば、pBR322、
pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、及びブルースクリプト
(Bluescript)M13などがあり、これらはすべてサムブ
ルックら(前掲)の1.12−1.20項に記載されている。し
かし、多くの他の適切なベクターも同様に利用可能であ
る。これらのベクターはアンピシリン及び/又はテトラ
サイクリン耐性をコードする遺伝子を含有しており、そ
れによりこれらのベクターによって形質転換された細胞
はそれらの抗生物質の存在下に増殖させることが可能と
なる。
ーとしては、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及び
ラクトースプロモーター系[チェンジ(Chang)らのNat
ure 375,615(1978);イタクラ(Itakura)らのScienc
e 198,1056(1977);ゴーデル(Goeddel)らのNature
281,544(1979)]、並びにトリプトファン(trp)プロ
モーター系[ゴーデルらのNucleic Acids Res.8,4057
(1980);EPO出願公開第36,776号]、並びにアルカリホ
スファターゼ系が挙げられる。これらは最も普通に使用
されるものであるが、他の微生物プロモーターも利用さ
れており、それらのヌクレオチド配列に関する詳細が開
示され、当業者ならば、それらをプラスミドベクターに
機構的に連結することができる[シーベンリスト(Sieb
enlist)らのCell 20,269(1980)を参照]。
きる。パン酵母、サッカロマイセス・セレビシアエ(Sa
ccharomyces cerevisiae)が普通に使用される真核微生
物であるが、他の幾つかの株も利用することができる。
サッカロマイセスにおける発現ベクターとしては、プラ
スミドYRp7が普通に使用される[スチンクコム(Stinch
comb)らのNature 282:39(1979);キングスマン(Kin
gsman)らのGene 7:141(1979);シェンパー(Tschem
per)らのGene 10:157(1980)]。このプラスミドは、
トリプトファン環境下での増殖能を欠いている酵母の突
然変異株、例えばATCC No.44,076株又はPEP4−1株
[(ジョーンズ(Jones)のGenetics,85:12(197
7))]に選択マーカーを付与できるtrp1遺伝子を含有
している。酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてtrp1欠損が
存在するので、トリプトファンの不存在下で増殖させれ
ば、形質転換を検出するために有効な環境が提供され
る。
3−ホスホグリセレートキナーゼのプロモーター[ヒッ
ツェマン(Hitzeman)らのJ.Biol.Chem.255:2073(198
0)]、又はエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リ
ン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカボキ
シラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−
リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムター
ゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセホスフェートイソメ
ラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグルコキナ
ーゼなどの他の解糖系酵素[ヘス(Hess)らのJ.Adv.En
zyme Reg.7:149(1968);ホーランド(Holland)らの
Biochemistry 17,4900(1978)]のプロモーターがあ
る。適当な発現プラスミドを構築するに当たっては、こ
れらの遺伝子に付随する終止配列も、発現させようとす
る配列の3′側で発現ベクターに連結させ、mRNAのポリ
アデニル欠及び終止機能を付与する。発育条件によって
転写が制御されるという付加的な利点を有している他の
プロモーターには、アルコール脱水素酵素2、イソチト
クロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関与する分
解酵素、及び上記のグリセルアルデヒド−3−リン酸脱
水素酵素及びマルトースとガラクトースの利用に関与す
る酵素、にかかるプロモーター領域がある。酵母に適合
するプロモーター、複製起点及び終止配列を含有するプ
ラスミドベクターが好適である。
養も宿主として使用することができる。脊椎動物又は無
脊椎動物培養のいずれの由来であっても許容できるが、
脊椎動物細胞培養、特に哺乳動物培養が好ましい。適当
なセルラインとしては例えば、SV40によって形質転換さ
れたサル腎CV1ライン[COS−7、ATCC CRL 1651];ヒ
ト腎胚ライン293S[Grahamら,J.Gen.Virol.,36:59(197
7)];幼若ハムスター腎細胞[BHK,ATCC CCL 10];チ
ャイニーズハムスター卵巣細胞[Urlab and Chasin,Pro
c.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.77:4216(1980)];マウス・
スルトリ細胞(mouse sertoli)[TM4,Mather,Biol.Rep
rod.,23:243(1980)];サル腎細胞[CVI−76,ATCC CC
L 70];アフリカミドリザル腎細胞[VERO−76,ATCC CR
L 1587];ヒト子宮癌細胞[HELA,ATCC CCL 2];イヌ
腎細胞[MDCK,ATCC CCL 34];バッファロー・ラット肝
細胞[BRL 3A,ATCC CRL 1442];ヒト肺細胞[W138,ATC
C CCL 75];ヒト肝細胞[Hep G2,HB 8065];マウス哺
乳動物腫瘍細胞[MMT 060562,ATCC CCL 51];ラット肝
癌細胞[HTC,MI.54,ボウマン(Baumann)らのJ.Cell Bi
ol.,85:1(1980)];及びTRI細胞[MatherらのAnnals
N.Y.Acad.Sci.,388:44(1982)]が挙げられる。これら
の細胞のための発現ベクターは普通、(要すれば)複製
起点、発現すべき遺伝子の前に位置するプロモーター、
リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニ
ル化部位、及び転写ターミネーター部位のDNA配列を含
有している。
ウイルス起源のものが多い。これらウイルスプロモータ
ーはポリオーマウイルス、アデノウイルス2、及び最も
頻繁にはアカゲザルウイルス40(SV40)から誘導され
る。SV40ウイルスは初期及び後期プロモーターと呼ばれ
る2つのプロモーターを含有する。これらのプロモータ
ーは共にウイルスの複製起点をも含有する1つのDNA断
片として該ウイルスから容易に入手されるので、特に有
用である[フィールズ(Fiers)らのNature,273:113(1
978)]。また、このウイルスの複製起点内に位置するH
ind III部位からBgl I部位に伸長する約250bp配列を含
有する限りは、それよりも小さい、又は大きなSV40 DNA
断片を使用することもできる。
適合する限りは、外来遺伝子に天然で伴われているプロ
モーター(同種プロモーター)を使用することができ
る。
ーマ、アデノ、VSV、BPV)などの外因性供給源から入手
することができ、それをクローニングベクターに挿入す
ればよい。あるいは、複製起点は宿主細胞の染色体にお
ける複製メカニズムによって付与することができる。外
来遺伝子を含有するベクターが宿主細胞の染色体に組み
込まれるなら、後者で十分である場合が多い。
いく量で生産される。しかし、第2のコード化配列を使
用すれば、さらに生産レベルを向上させることができ
る。この第2のコード化配列は通常、ジヒドロ葉酸還元
酵素(DHFR)を含有している。野生型のDHFRは正常では
化学物質メトトレキサート(MTX)によって阻害され
る。細胞内のDHFR発現レベルは、培養する宿主細胞にMT
Xのある量を加えることで変動する。DHFRを第2の配列
として特に有用とするさらなる性質は、それが形質転換
細胞を同定するための選択マーカーとして使用できるこ
とである。
びMTX−耐性DHFRの2つの型が利用できる。個々の宿主
細胞に使用するDHFRの型は、宿主細胞がDHFR欠損である
か否か(例えば、非常に低いレベルでDHFRを内生的に産
生するか、又は機能的DHFRを全く産生しないか)によっ
て決定される。ウルローブ及びチャシン(Urlaub及びCh
asin)と[Proc.Natl.Acad,Sci.,U.S.A.77:4216(198
0)]に記載されているCHOセルラインなどのDHFR欠損セ
ルラインを野生型DHFRコード化配列で形質転換する。形
質転換された後では、これらのDHFR欠損セルラインは機
能的なDHFRを発現し、ヒポキサンチン、グリシン及びチ
ミジン栄養素を欠く培養培地中で増殖することができ
る。形質転換されていない細胞はこの培地中では生存し
ない。
を内生的に産生する宿主細胞中にある形質転換宿主細胞
を選択する手段として使用できる。CHO−K1(ATCC No.C
CL 61)はこの特性を有しており、従ってこの目的にと
って有用なセルラインである。細胞培養培地にMTXを添
加すれば、MTX耐性DHFRをコードするDNFで形質転換され
た細胞のみを発育させることができる。形質転換されて
いない細胞はこの培地中で生存することはできない。
は、そのアミノ酸配列の一部として内生のシグナル配列
を含有している。この配列は小細胞及びゴルジ装置を介
して細胞からタンパク質を輸出させる。このシグナル配
列は通常タンパク質のアミノ酸末端に位置しており、約
13から約36のアミノ酸長の範囲にある。実際の配列はタ
ンパク質毎に異なっているが、既知のすべての真核生物
シグナル配列は、そのシグナル配列の中心付近に高い疎
水性強度の10−15アミノ酸(通常はロイシン、イソロイ
シン、アラニン、バリン及びフェニルアラニンに豊富で
ある)及び少なくとも1つの正に帯電した残基を含有し
ている。このシグナル配列は、タンパク質が小胞体に移
動する際に小胞体上に存在するシグナルペプチダーゼに
よって開裂されるので、分泌形態のタンパク質からは除
去されているのが正常である。そのシグナル配列が依然
として結合しているタンパク質は、「プレタンパク質」
又はタンパク質の非成熟型と呼ばれることが多い。
るアミノ末端シグナル配列を含有しているわけでない。
オバルブミンなどのある種のタンパク質は、タンパク質
の内部領域に位置するシグナル配列を含有している。こ
の配列は移動時に正常では開裂されない。
パク質にシグナル配列を連結させることにより分泌させ
ることができる。これは、シグナル配列をコードするDN
Aを、タンパク質をコードするDNAの5′末端に連結し、
次いでこの融合タンパク質を適当な宿主細胞において発
現させることにより、容易に実施することができる。シ
グナル配列をコードするDNAは、シグナル配列を有する
タンパク質をコードする遺伝子から制限断片として入手
できる。従って、本発明を実施するために利用する宿主
細胞の型に応じて、原核生物、酵母、及び真核生物シグ
ナル配列を本発明では使用できる。遺伝子のシグナル配
列部分をコードするDNAは適当な制限エンドヌクレアー
ゼを使用して切除され、次いでそれを分泌させようとす
るタンパク質、即ちt−PAをコードするDNAに連結す
る。
主細胞シグナルペプチダーゼによって認識される結果、
シグナル配列の開裂及びタンパク質の分泌が起こること
が要件となる。幾つかの真核生物遺伝子のシグナル配列
部分をコードするDNA及びアミノ酸配列は既知であり
[例えば、ヒト成長因子、プロインスリン、及びプロア
ルブミン(StryerのBiochemistry,W.H.freeman and Com
pany,ニューヨーク(1988),769頁を参照)]、これら
は適当な真核生物宿主細胞においてシグナル配列として
使用することができる。例えば、酸ホスファターゼ[Ar
imaらのNuc.Acids Res.,11:1657(1983)]、α−因
子、アルカリホスファターゼ及びインベルターゼなどの
酵母シグナル配列は、酵母宿主細胞から分泌させるため
に使用できる。例えば、LamB又はOmpF[WongらのGene 6
8:193 1988]、MalE、PhoA、又はβ−ラクタマーゼをコ
ードする遺伝子、並びに他の遺伝子由来の原核生物シグ
ナル配列は、原核生物細胞から培養培地にタンパク質を
向かわせるのに使用できる。
にシグナル配列を付与する別の手法は、シグナル配列を
コードするDNAを化学的に合成することである。この方
法では、選択したシグナル配列をコードするオリゴヌク
レオチドの両鎖を化学的に合成し、次いで互いにアニー
リングさせて二重ラセンを形成させる。次に、得られた
2本鎖オリゴヌクレオチドを、タンパク質をコードする
DNAの5′末端に連結させる。
と共にコードしているDNAを含有する構築物を適当な発
現ベクターに連結すればよい。この発現ベクターを適当
な宿主細胞に形質転換し、目的のタンパク質を発現さ
せ、分泌させる。
い他の宿主細胞の培養物は、グラハム(Graham)及びフ
ォン・デル(Van der Eb)[Virology 52,546(197
8)]に最初に開示され、サムブルックら(前掲)の16.
32−16.37項にて改変を施されたリン酸カルシウム法に
よって普通は形質転換される。しかし、ポリブデン(Po
lybrene)[Kawai及びNishizawa,Mol.Cell.Biol.,4:11
72(1984)]、プロトプラスト融合[Schaffner,Proc.N
atl.Acad.Sci.,U.S.A.77:2163(1980)]、エレクトロ
ポレーション[Neumannら,EMBO J.,1:841(1982)]、
及び核への直接的なマイクロインジェクション[Capecc
hi,Cell,22:479(1980)]などの、DNAを細胞に導入す
るための他の方法も使用できる。
ad.Sci.,U.S.A.,75:1929−1933(1978)によって教示さ
れているように、ポリエチレングリコール法によって形
質転換するのが一般的である。
換するには、サムブルックら(前掲)の1.82項に記載さ
れている塩化カルシウム法によって行うのが好ましい。
また、これらの細胞を形質転換するにはエレクトロポレ
ーションも使用できる。
DNA及び目的の外来DNAを含有する適当なベクターの構築
には、標準的な組替えDNA手法を使用する。単離したプ
ラスミド及びDNA断片を開裂し、仕立て、そして特定の
順序で互いに連結し、所望のベクターを生成させる。
は酵素群を使用して行う。一般には、緩衝溶液約20μ
中、適当な制限酵素約1−2単位と共に、プラスミド又
はDNA断片約0.2−1μgを使用する(適当な緩衝液、DN
A濃度、及びインキュベート時間及び温度は、その制限
酵素の製造元によって特定されている)。一般には、37
℃での約1又は2時間のインキュベート時間が適当であ
るが、酵素の中にはそれよりも高い温度が必要であるも
のがある。インキュベートした後に、フェノール及びク
ロロホルムの混液で消化溶液を抽出することによって酵
素及び他の夾雑物を除去し、次いでエタノール沈殿によ
ってその水性画分からDNAを回収する。
ためには、それらDNA断片の末端は互いに適合していな
ければならない。ある場合には、エンドヌクレアーゼ消
化後に末端は直接適合になる。しかし、エンドヌクレア
ーゼ消化によって普通に生成される粘着末端を連結適合
性にするために、それをまず平滑末端に変換する必要の
ある場合がある。平滑末端にするためには、4つのデオ
キシヌクレオチド三リン酸の存在下、DNAポリメラーゼ
Iのクレノー断片(クレノー)10単位と共に少なくとも
15分間、15℃において適当な緩衝液中で得られたDNAを
処理する。次いで、それをフェノール−クロロホルム抽
出し、エタノール沈殿して精製する。
ズ分離し、選択することができる。DNAはアガロース又
はポリアクリルアミドマトリックスのいずれかによって
電気泳動できる。マトリックスの選択は、分離しようと
するDNA断片のサイズ(大きさ)に左右される。電気泳
動した後に、電気溶離(electroelution)によってDNA
をマトリックスから抽出するか、あるいは低融解アガロ
ースをマトリックスとして使用した場合は、サムブルッ
クら(前掲)の6.30−6.33項に記載されているようにし
てアガロースを融解し、それからDNAを抽出する。
で消化しておき、それぞれの断片の連結末端を適合させ
ておく)は、等モル量で溶液中に存在させる。この溶液
はATP、リガーゼ緩衝液及びリガーゼ、例えばDNA0.5μ
g当たりT4DNAリガーゼ約10単位をさらに含有してい
る。DNA断片をベクターに連結する場合は、適当な制限
エンドヌクレアーゼ(群)によってベクターを切断して
まず線状化し、次いで細菌アルカリホスファターゼ又は
子牛腸内アルカリホスファターゼのいずれかでリン酸化
する。この操作によって、開裂したベクターが連結工程
の際に自己連結するのを防止できる。
ーを適当な宿主細胞、最も普通にはE.coli K12株294(A
TCC番号31,446)又は別の適当なe.coli株などの原核生
物に形質転換する。形質転換された細胞は、抗生物質、
普通はテトラサイクリン(tet)又はアンピシリン(am
p)と増殖させることにより、ベクター内のtet及び/又
はamp耐性遺伝子のおかげでそれらに対して耐性になっ
ているものが選択される。連結混合物によって真核生物
宿主細胞を形質転換した場合は、形質転換細胞は上述の
DHFR/MTX系によって選択できる。形質転換細胞は培養物
中で増殖させ、次いでプラスミドDNA(プラスミドは、
目的の外来遺伝子に連結されたベクターを意味する)を
単離する。このプアスミドDNAは次に、制限マッピング
及び/又はDNA配列決定によって分析する。DNAの配列決
定は、メッシング(Messing)らのNucleic Acids Res.,
9:309(1981)の方法又はマキサム(Maxam)らのMetho
ds of Enzymology,65499(1980)の方法のいずれかによ
って分析される。
の宿主細胞培養をMTX約200−500nM濃度の存在下で増殖
させ、それによりDHFRタンパク質をコードしている配列
の増幅を行う。MTXの有効な濃度範囲は、DHFR遺伝子及
びタンパク質の本質、及び宿主の特性に非常に左右され
る。一般に規定される上限及び下限は明瞭には確認する
ことができない。他の葉酸同族体又はDHFRを阻害する他
の化合物も適当な濃度で使用することができる。しか
し、MTXが簡便であり、容易に利用でき、かつ有効であ
る。
の方法を使用して生成される突然変異誘発の手段によっ
て製造するのが好ましい。この方法では、所望の突然変
異の配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド及び、
そのオリゴヌクレオチドがDNAの鋳型と安定にハイブリ
ダイズできるほどに十分な数の隣接ヌクレオチド、を合
成し、使用することが必要である。
混合物中で混合することにより、本発明の化合物は医薬
的に有用な組成物を調製するための既知の方法によって
製剤化することができる。適当な担体及び製剤化法は、
オスロー(Oslo)ら編のRemington's Pharmaceutical S
ciences 16版、1980[マック・パブリッシングCo.]に
記載されている。このような組成物は通常、患者に効果
的に投与するのに適した医薬的に許容され得る組成物が
調製されるように適量のビヒクルと共に、本発明のt−
PA変異体を有効量で、例えば約0.5から約5mg/mlで含有
している。本発明のt−PA変異体は、心臓血管の疾患又
は症状の患者に非経口的に、又はその有効な型な血流に
供給されるような他の方法によって投与することができ
る。
投与するのに特に適している組成物には、例えば滅菌水
溶液剤、又は凍結乾燥タンパク質などの滅菌水和性の粉
末剤などがある。このような製剤中にはさらに、医薬的
に許容され得る塩を適量使用し、製剤の等張性を変化さ
せるのが通常である。アルギニン塩基などの緩衝剤も、
適当なpH、一般にはpH5.5−7.5を維持するに適当な濃度
でリン酸と共に含有させるのが通常である。さらに、貯
蔵寿命を維持、長引かせるために、グリセリンなどの化
合物も含有させることができる。
は、目的とする個々の用途に応じて変化し得る。例え
ば、深部静脈血栓又は末梢血管疾患の処置に当たって
は、約0.05から約0.2mg/kgオーダーの「ボーラス」投与
が通常好ましく、その後は、血中レベルがほぼ一定に、
好ましくは約3μg/mlのオーダーが維持されるよう約0.
1から約0.2mg/kgの投与を行うのが好ましい。
る緊急医療に関連して使用するためには、及び処置する
疾患が一般に危険性を孕む場合(塞栓症、心筋梗塞)に
は、多めの初期投与量、例えば約0.3mg/kgオーダーの静
脈内ボーラス投与が通常望ましい。
は症状に罹患した患者に非経口的に投与するのが適切で
ある。投与量及び投与速度は、他の心臓血管薬、血栓溶
解薬が臨床試験で通常使用されているものと同等又は高
い場合があり、例えば心筋梗塞、肺塞栓症などに罹患し
たヒト患者では、約1−2mg/kg体重で1.5−12時間かけ
て静脈内又は動脈内投与を行えばよい。
ン、リン酸、及びポリソルベート80を含有するバイアル
を滅菌水50mlにより注射用に再構成し、それを適量の0.
9%塩化ナトリウム注射液と混合することが挙げられ
る。
成もしくは再形成を防止するためにも有用である。この
用途の1態様は、1989年1月4日公開のEPO 297,860に
記載されている。一般には、このよな処置のタイプは、
可能性あるフィブリン又は接着形成の部位に治療学的有
効量のt−PA変異体がおよそ3日から2週間にわたって
持続的に放出されるような難溶性の形態で含有される組
成物をその部位に局所投与することを包含する。t−PA
変異体は通常、手術、感染、外傷又は炎症後に形成され
る接着又はフィブリン沈着を予防するに充分な投与量で
投与する。その量は普通、0.02mg/gのゲルから25mg/gの
ゲルであり、0.20mg/gから約2.5mg/gのゲルが好まし
く、最も好ましくは0.25mg/gから約1.0mg/gのゲルであ
る。
使用する各t−PA変異体は、可能性ある接着形成の部位
にt−PA酵素を配置させるための半固形の粘液質の製薬
的に不活性な担体中で製剤化するのが普通である。この
ような担体には、長鎖の炭化水素又は植物油及び、飽和
及び不飽和脂肪酸グリセリドの混合物又は修飾された飽
和及び不飽和脂肪族グリセリドの混合物から構成される
ワックスなどがある。例えば、ワセリン又は半合成グリ
セリドなどの半固形ビヒクル、グリセリンなどのポリヒ
ドロキシ溶媒、長鎖炭化水素、生体侵食性ポリマー(bi
oerodable polymers)、又はリポソームなどが挙げられ
る。
は、迅速な静脈内注射、例えば特にボーラス投与に適す
るように改変できる。これは、t−Paの投与方法を単純
にし、それにより例えば診療補助者が看護する救急車な
どの、医療設備が限定されている状況下においてt−PA
が使用できるようになる。さらに、これらt−PA変異体
のクリアランス速度が延長されることにより、急性血栓
溶解後の再閉塞を回避するために必須となる場合のある
低量初期投与量が投与できるようになり、及び/又は低
量延長両方が可能となり、又は末梢血管閉塞の場合に必
須となる場合のある血栓溶解の延長を行うことができ
る。
している特定の方法を以下に説明する。
トの名称を付して表している。本発明における出発プラ
スミドは市販されているか、制限無く公に入手可能とな
っており、又はそのような入手可能なプラスミドから文
献開示の方法によって構築することができる。さらに、
他の同等のプラスミドも当業界既知であり、当業者には
明らかである。
ある特定の場所でのみ働く酵素によってそのDNAを触媒
的に開裂することを意味する。このような酵素は制限エ
ンドヌクレアーゼと呼ばれ、DNA配列に沿った各酵素が
開裂する部位は制限部位と呼ばれる。本明細書で使用し
ている制限酵素は市販されており、その供給元から提示
されている教示に従って使用した。制限酵素は、大文字
の後ろに各制限酵素が得られる微生物を表す2又は3つ
の小文字を付して命名される。これらの文字は、次に個
々の酵素を示す1又はそれ以上のローマ数字を後続す
る。一般に、プラスミド又はDNA断片約1μgを緩衝溶
液約20μ中、酵素約2単位と共に使用する。個々の制
限酵素にとって適当な緩衝液、基質濃度、インキュベー
ト温度、及びインキュベート時間は製造会社によって特
定されている。インキュベートした後、フェノール−ク
ロロホルム溶液による抽出によってDNAから酵素及び他
の夾雑物を除去し、エタノール沈殿によって、消化され
たDNAを水性画分から回収する。制限酵素による消化の
後には、細菌アルカリホスファターゼ又は子牛腸内アル
カリホスファターゼで処理する。これは、別のDNA断片
が制限部位に挿入するのを妨げかねない「環化」又は閉
じたループの形成からDNA断片の2つの制限開裂末端を
護るためのものである。しかし、特に明記しない限り
は、プラスミドの消化後には5′末端の脱リン酸化は行
わない。脱リン酸化のためのこれらの操作法及び試薬は
サムブルックら(前掲)の1.60−1.61項及び3.38−3.39
項に記載されている。
離」するとは、ポリアクリルアミド又はアガロースゲル
を使用して電気泳動法により、得られたDNA断片を分離
し、目的とする断片を既知の分子量のマーカーDNA断片
の移動度と比較してその同定を行い、所望の断片を含有
するゲル切片を取り出し、そしてDNAからゲルを分離す
ることを意味する。この操作法は一般に既知である。例
えば、ローン(R.Lawn)らのNucleic Acids Res.9:610
3−6114(1981)、及びゴーデル(D.Goeddel)らのNucl
eic Acids Res.8:4057(1980)を参照のこと。
チド又はDNA断片とハイブリダイズすることにより、消
化物またはDNA含有組成物中のDNA配列の存在を確かめる
方法である。サザーン分析とは、アガロースゲル上にて
消化DNAを分離し、そのDNAを変性させ、そしてサザーン
(E.Southern)のJ.Mol.Biol.98:503−517(1975)に記
載され、サムブルックら(前掲)の9.31−9.57項に改変
された方法により、そのゲル由来のDNAをニトロセルロ
ース又はナイロン膜に移動させることを意味する。
成分として複製できるようにそのDNAを生物に導入るこ
とを意味する。形質転換するために使用する方法は、宿
主細胞が真核生物であるか、又は原核生物であるかによ
って変わる。原核生物を形質転換する方法はサムブルッ
クら(前掲)の1.82項に記載されている塩化カルシウム
法である。真核生物は、サムブルック(前掲)らの16.3
2−16.37項に記載されているリン酸カルシウム法によっ
て形質転換される。
中、リガーゼ酵素を使用して、2つの2本鎖DNA断片間
にホスホジエステル結合を生成させる工程を意味する。
よって結合されているデオキシリボヌクレオチドの短い
長さの1本鎖又は2本鎖配列を意味する。このオリゴヌ
クレオチドは既知の方法によって化学的に合成され、ポ
リアクリルアミドゲル上にて精製される。
最良の方法を説明するために実施例を挙げるが、これは
本発明の限定を意図するものではない。
ニン−スキャニング突然変異誘発(ALA−スキャン)と
して知られている方法を使用し、本発明のt−PA変異体
を構築した。この方法は、帯電したアミノ酸側鎖を含有
するt−PA分子の小さな領域を同定することを包含す
る。1つの理論にとらわれないが、電荷のクラスターを
含有するこれらの領域、又はその隣接隣接、又はその両
者のいずれかはt−PA分子とその基質及び活性を調整で
きる他の種々の化合物との相互作用に関与していると考
えられる。各領域における帯電アミノ酸の幾つか(即
ち、Arg、Asp、His、Leu及びGlu)をアラニンと置換
し、t−PA分子のクリアランス速度全体に対するその特
定領域の重要性を評価した。
ラスミドpRK7を使用した。pRK7は、Cla I及びHind III
間のポリリンカー領域内のエンドヌクレアーゼ制限部位
の順序が逆である以外はpRK5(1989年3月15日公開のEP
公開番号第307,247号)と同一である。このベクターに
挿入するためのt−PA cDNA[ペニカ(Pennica)らのNa
ture 301:214(1983)]を、制限エンドヌクレアーゼHi
nd III(ATG開始コドンの5′側496塩基対を切断する)
及び制限エンドヌクレアーゼBal I(TGA終止コドンの顆
粒276塩基対を切断する)で切断することにより調製し
た。このcDNAを、サムブルック(Sambrook)ら(前掲)
の1.68−1.69項に記載されている標準的な連結法を使用
し、Hind III及びSma Iで前もって切断しておいたpRK7
に連結した。得られた構築物をpRK.t−PAと命名した。
tion)から入手されるキット(カタログ番号RPN1253)
を使用し、テイラー(Taylor)らのNucl.Acids.Res.,1
3:8765(1985)の方法によってt−PA cDNAの部位特異
的突然変異を行った。所望の突然変異を生成させるた
め、所望のアミノ酸置換をコードする配列を有するオリ
ゴヌクレオチドを合成し、それをプライマーとして使用
した。このオリゴヌクレオチドを、標準的な手法[Vier
aらのMeth.Enz.,143:3(1987)]により調製した1本鎖
pRK−t−PAとアニーリングさせた。
ノシン(dGTP)、及びデオキシリボチミジン(dTTP)の
3つのデオキシリボヌクレオチドの混合物を、上記キッ
トの製造元から供されているそのキット中のdCTP(aS)
と呼ばれる改変チオ−デオキシリボシトシンと混合し、
それをオリゴヌクレオチドとアニーリングさせた1本鎖
pRK7−t−PAに加えた。
した塩基以外はpRK7−t−PAと同一のDNAの鎖が生成し
た。さらに、この新たなDNAの鎖はdCTPの代わりに、そ
れが制限エンドヌクレアーゼ消化されことから保護する
のに役立つdCTP(aS)を含有していた。得られた2本鎖
ヘテロ二重鎖の鋳型の鎖に適当な制限酵素により切れ目
(ニック)を作成した後、その鋳型の鎖を、突然変異オ
リゴマーを含有している領域を通過するようExo IIIヌ
クレアーゼによって消化した。次いで、この反応を停止
させ、部分的にしか1本鎖でない分子を残した。次に、
4つすべてのデオキシリボヌクレオチド3リン酸、AT
P、及びDNAリガーゼの存在下にDNAポリメラーゼによ
り、完全な2本鎖DNAのヘテロ二重鎖分子を形成させ
た。
し、上記のALA−スキャン法を使用して、これも表Aに
挙げているpRK7−t−PA変異体を作成するためのプライ
マーとして使用した: 星印は、本発明を例示する変異体を示している。変異
体、E94A,D95A及びD236A,D238A,K240Aは1つ以上のアミ
ノ酸置換を含有しているので、実際上、多重突然変異体
であるが、それらはただ1つのオリゴヌクレオチドを使
用して生成させた。これは、置換アミノ酸がそれぞれポ
リペプチド鎖上で近接して位置しているので可能であっ
た。
突然変異体をさらに製造した。以下に説明するこれらの
突然変異体では、鋳型DNAは野生型t−PA(pRK,t−PA)
ではない。その代わりに使用した鋳型は、少なくとも単
一突然変異を含有するもの、即ち上記の単一突然変異体
を構築するうえで産生されるDNAであった。鋳型として
使用するDNA、及び各多重突然変異体にさらに作成され
る突然変異を生成させるために使用するオリゴヌクレオ
チドを以下の表Bに列記する。各オリゴヌクレオチドの
DNA配列は上記の表Aに示したものである: III.細菌形質転換及びDNA調製 コンピーテントな細胞を調製し、形質転換するための
標準的なCaCl2法[Sambrookら(前掲)の1.76−1.84
項]を使用し、上記のプロトコールを使用して作成した
突然変異t−PA構築物をE.coli宿主株MM294tonAに導入
した。Tn10トランスポゾンをtonA遺伝子に挿入した後、
不正確に切除することにより、E.coli株MM294tonA(こ
れはT1ファージに耐性である)を調製した。次いで、こ
の遺伝子をトランスポゾン挿入突然変異[Klecknerらの
J.Mol.Biol.,116:125−159(1977)]を使用し、E.coli
宿主MM294(ATTC No.31,446)に挿入した。
標準的なミニプレプ法を使用し、細菌形質転換体のコロ
ニーそれぞれからDNAを抽出した。得られたプラスミド
をセファクリルCL6Bスピンカラムに通してさらに精製
し、次いでDNA配列決定並びに制限エンドヌクレアーゼ
消化及びアガロースゲル電気泳動によって分析した。
で増殖させた。t−PA突然変異体をコードするプラスミ
ド2.5μgを1mMトリス−HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl
2(150μ)中に溶解した。これに、50mM HEPES緩衝液
(pH7.35)、280mM NaCl、1.5mM NaPO4(150μ)を加
え(旋回下に滴加)、25℃で10分間沈殿物を形成せしめ
た。次いで、得られた懸濁沈殿物を6ウエル平板の各ウ
エル中の細胞に加え、インキュベーター中に4時間放置
した。次いで、培地を吸引除去し、PBS(リン酸緩衝化
食塩水)中20%のグリセリン1mlを加えた。細胞をまず
血清不含培地3mlで、次いで同培地1mlで洗浄することで
2回洗浄した。次に、新たな培地3mlを加え、細胞を5
日間インキュベートした。次いで、培地を採取し、検定
した。
プラスミノーゲン枯渇血清を使用する以外は上記のよう
に行う。
使用し、ELISA(酵素結合免疫吸着検定)法によって、
細胞培養上清中に存在するt−PAの濃度を測定した。以
下で説明する各検定に使用したt−PA量はこのELISA法
の結果に基づいている。
体のタンパク質分解活性を測定した。この検定は、t−
PAのタンパク質分解活性のための直接的な検定法であ
る;t−PAはこの小ペプチドとパラニトロアニリド発色団
との間の結合を開裂させる。
して標準曲線試料を調製する。この標準曲線試料及びrt
−PA突然変異体試料をマイクロタイター平板のウエルに
加えた。この検定法を使用して2本鎖rt−PAの活性を測
定するので、ヒトプラスミンとのインキュベーション工
程を操作中に包含させる。ヒトプラスミン(KabiVitru
m)は終濃度0.13CU(カゼイン単位)/mlまで加えた。試
料を室温で90分間インキュベートした。
ビター単位)/mg]を終濃度72μg/mlまで加えてプラス
ミン活性を阻害し、得られた試料を室温で15分間インキ
ュベートした。S−2288の2.16mM溶液を0.1Mトリス、0.
106mM NaCl、0.02%アジ化ナトリウム、pH8.4を用いて
1.45mMにまで希釈し、この溶液100μをマイクロタイ
ター平板の各ウエルに加えた(各ウエルにおける最終容
量は200μであった)。405nmにおいて発色をモニター
した。それぞれの標準及び試料についての吸光度対時間
の曲線勾配を測定した。標準曲線は、rt−PA標品につい
てのrt−PA濃度の関数として、吸光度対時間の曲線勾配
をプロットすることで作成した。次いで、突然変異体の
相対活性濃度を標準曲線から測定した。各突然変異体の
活性濃度をrt−PA ELISAにて得られた突然変異体につい
ての濃度で除し、得られた比活性を、1.0値と帰属され
る野生型T−PAに相対させて表した。
法では、プラスミノーゲンをt−PAの作用によりプラス
ミンに変換させるが、そのプラスミンがS−2251基質を
開裂してパラニトロアニリド発色団を放出するものであ
る。次いで、この発色団の発色を経時的に測定する。
線試料を調製した。その試料をプラスミン−セファロー
スと共にインキュベートすることにより、試料を2本鎖
に変換した。プラスミン−セファロースは、ヒトプラス
ミン(KabiVitrum)約20.8CUを臭化シアン活性化セファ
ロース(ファルマシア)1mlとカップリングさせて調製
した。このプラスミン−セファロース(5%スラリー50
μ)を試料150μと共に室温で90分間撹拌させなが
らインキュベートした。インキュベートの後、得られた
樹脂を遠心によって除去し、試料10μをマイクロタイ
ター平板のウエルに加えた。
に加えた。ヒトGlu−プラスミノーゲン(5.3μM)28μ
、プラスミノーゲン不含のヒトフィブリノーゲン(10
μM)10μ、3mM S−2251(KabiVitrum)30μ、及
びPBS62μから構成される混合物(130μ)を加え、
各ウエル中の反応を開始させた。405nmにおいて発色を
モニターし、492nmの参考波長における吸光度を各時点
の吸光度から差し引いた。吸光度対時間の二乗の曲線勾
配を標準及び突然変異体試料について測定した。標準曲
線は、rt−PA標品についてのrt−PA濃度の関数として、
吸光度対時間の二乗の曲線勾配をプロットすることによ
り作成した。突然変異体の相対比活性は、S−2288検定
について記載したようにして測定した。
ィブリン刺激S−2251検定について記載しているように
して行った。
使用する1本鎖rt−PAから2本鎖rt−PAへの変換をフィ
ブリン−刺激S−2251検定について記載しているように
して行った。ヒトトロンビン(31μg/ml溶液10μ)を
マイクロタイター平板の各ウエルに加えた。標準及び突
然変異体試料(40μ)をその平板に加え、酸クエン酸
デキトローストヒト血漿90μ及び9.1mM S−2251(Kab
iVitrum)10μの混合物100μを加え、反応を開始さ
せた。405nmにおいて発色をモニターし、492nmの参考波
長における吸光度を各時点の吸光度から差し引いた。得
られたデータの分析は、フィブリン刺激S−2251検定に
ついて記載したようにして行った。
第1表に示すが、ここでは星印が本発明の突然変異体を
表している。残りの突然変異体は従来から開示されてい
たものであり、これらは比較のために表に加えたもので
ある。
t−PAと同等の、又はそれ以上の活性を有していること
を示している。
る本発明の単一突然変異体が野生型と同様の活性を有す
ることが示されている。多重突然変異体であるE94A,D95
A,N117Q、及びN117Q,D236A,D238A,K240Aは野生型t−PA
よりも実質的に活性が高い。この活性は驚べきことに、
単一突然変異体のいずれよりも高いことが見いだされ
た。
明の単一突然変異体の殆どの活性は野生型t−PAと同等
であることが見いだされた。予期せずに、2つの多重突
然変異体、E94A,D95A,N117Q及びN117Q,D236A,D238A,K24
0Aは単一突然変異体よりも実質的に高いことが見いださ
れた。
殆どが野生型t−PAに匹敵する活性を有していることが
見いだされた。
スミン−セファロースを使用し、t−PA変異体のすべて
の試料を1本鎖から2本鎖形態に変換した。
化カルシウム10mlをマイクロタイター平板ウエルに加え
た。次いで、各ウエルに、遠心し0.45マイクロン濾過し
たヒトクエン酸処理血漿プールを加えた。その内容物を
完全に混合し、血漿凝塊を形成させた。rt−PAの標準試
料及び検定すべきt−PA変異体を、それらの終濃度の2
倍(18−800nm/ml)にまで検定緩衝液で希釈した。希釈
緩衝液は0.1M NaCl、0.03M重炭酸ナトリウム(実験の開
始直前に新たに加える)、4mM KCl、1mM塩化カルシウ
ム、1mM二塩基性リン酸ナトリウム、0.3mM塩化マグネシ
ウム、0.4mM硫酸マグネシウム、20mM HEPES[4−[2
−ヒドロキシエチル]−1−ピペラジンエタンスルホン
酸]、及び0.01%ポリソルベート80、pH7.4を含有して
いる。次いで、各標品又は変異体を1容量の血漿プール
と混合した。この混合物100μ全体を、周囲温度で6
−8時間放置して血餅を生じさせた後の血漿凝塊の上に
重層した。次いで、各平板の光学密度を405nmにて読み
とった。次いで、その平板を37℃で約15時間インキュベ
ートし、光学密度の測定を繰り返した。各ウエルについ
て、0から15時間までの光学密度値の差異を引き算によ
って計算した。標品では、光学密度を標品の濃度のlog
の関数としてプロットした。この標準曲線から未知量を
内挿した。同じく処理した野生型t−PA対照に標準化し
た。標準曲線は4つのパラメーター適合プログラを使用
して決定した。使用した平板解読装置は、SLT−ラボラ
トリーズのEAR340AT型であった(オーストリア)。
本発明の変異体を示している。
PAに匹敵する活性、及びN117Qよりも良好な活性を有し
ている。E94A,D95A,N117Q、及びT103N,D236A,D238A,K24
0Aなどの特定の多重変異体における凝塊溶解活性は、野
生型に匹敵している。
中に残存する放射活性量を経時的にモニターすること
で、クリアランスを測定した。125−I−標識化t−PA
を製造するには、以下に説明する幾つかの工程が必要で
あった。
は、D−Tyr−Pro−Arg−クロロメチルケトン試薬[YPR
ck,ビーチャム・バイオサイエンス,Inc.,フィラデルフ
ィア,PAから入手した]を125−Iで標識化することであ
る。この試薬は、t−PAと不可逆的に結合し、t−PAの
自己不活化基質(suicide substrate)として作用す
る。従って、t−PA分子は、このYPRckによって形成さ
れる共有結合を介して間接的にヨウ素化される。
(1962)]に記載されている方法を基礎とする方法を使
用し、クロラミンT触媒ヨウ素化により放射線標識す
る。通常の反応では、1Mトリス−HCl pH7.5(50μ)
を、栓付き反応容器中のヨウ化ナトリウム−125[4ミ
リキューリー,1.8nmol](40μ)に加える。この反応
物に、12mM塩酸中、100μg/mlの保存溶液として調製し
ておいたYPRck試薬(0.83μg、1.8nmol)8.3μを加
える。得られた混合物は、ヨウ化ナトリウム及びYPRck
の1:1の化学量論混合物であった。0.1Mリン酸ナトリウ
ム(pH7.5)中、1mg/mlクロラミンT(12.5μ)を添
加し、ヨウ素化反応を開始させた。60秒後、0.1Mリン酸
ナトリウム(pH7.5)中、1mg/mlメタ重亜硫酸ナトリウ
ム25μを添加し、ヨウ素化反応を停止させた。各添加
の後にこの反応容器を旋回させた。YPRckのヨウ素化の
直後に、0.01%Tween−20を含有するPBS2mlをその反応
容器に加え、旋回させて放射活性標識物を希釈した。本
発明のt−PA変異体をコードするDNAによって6日前に
形質転換しておいた293細胞から、細胞培養上清を採取
した。これらの細胞は変異体t−PAタンパク質を活動的
に分泌しており、その細胞培養培地は通常、約1μg/ml
のt−PAを含有している。希釈したYPRck−125−I試薬
20μを細胞培養上清900μに加えた。この混合物を2
5℃で1時間インキュベートし、次いで0.003%Tween−2
0を含有するPBS中、0.1%ゼラチンで前もって平衡化し
ておいたセファデックスG−25カラムに適用した。各カ
ラムから画分1mlを採取し、各画分の試料をトリクロロ
酢酸沈殿させて測定すると、通常は4番目の画分が、放
射活性結合した総タンパク質の85%を含有していた。
のマウスにおけるクリアランスを計算した。各変異体の
評価には、それぞれ4匹のマウスを使用した。YPRck−
標識化t−PA変異体を濃度1百万cpm/mlにまで希釈し
た。各マウスの尾に、0.5%BSA及び0.01%Tween20を含
有するPBSの溶液中、YPRck−標識化t−PA100μを注
射した。マウスからの採血は尾から対で行った。第1の
対は最初の注射の後1、4、10、20及び30分後に採血し
た。第2の対は最初の注射の後2、7、15、25及び40分
後に採血した。血液70μを10%トリクロロ酢酸(TC
A)中で沈殿させた。ガンマ・シンチレーションカンタ
ーを使用し、TCA沈殿物質をカウントし、第3図に示す
ようにグラフ上に代表的結果をプロットした。次いで、
各マウスについての曲線下面積(AUC)を計算した。次
ぎに、式:クリアランス=投与量/AUC を使用し、クリ
アランス速度を計算した。t−PA変異体を投与したマウ
スの血液から得られたクリアランス速度を野生型t−PA
のそれに標準化した(野生型t−PAのクリアランス速度
を変異体のクリアランス速度で割る)。
を上記の第2表に示している。例示した本発明のt−PA
変異体は、野生型t−PAのそれよりも低いクリアランス
率を有している。このことは、本発明の変異体が野生型
t−PAと比較して減少されたクリアランスを有している
ことを示している。二重及び三重変異体の中には単一変
異体よりも低いクリアランス率を有しているものがあっ
た。突然変異変異体、T103N,D236A,D238A,K240A;N117Q,
D236A,D238A,K240A;E94A,D95A,T103N;及びE94A,D95A,N1
17Qはすべて、それらの位置のいずれの単一突然変異体
よりも低いクリアランス率を有していた。
示す。
使用)は実質的に記述のようにして入手し、試験した。
番号付した残基のみを挙げているが、これはアラニンで
置換したアミノ酸を意味している。
ト腎胚ライン293C細胞[GrahamらのJ.Gen.Virol.36:59
(1977)]に、又は安定な発現のためにCHO−K1セルラ
イン(ATCC番号CL61)にトランスフェクトした(第3表
の2欄に示している)。すべての試料は精製調製物とし
ての「PURIF」と明示していない限り、非精製細胞培養
上清として試験した。
て調製したポリクローナル抗体を使用するELISA(酵素
連結免疫吸着検定)法によって測定した。このクリアラ
ンス検定に使用した各t−PA変異体の量は、このELISA
法の結果に基づくものである(第3表の3欄に示してい
る)。ELISAの値はμg/mlとして表している。
Rckによってクリアランス試験を行った。第3表の4欄
に示しているマイクロキューリー/マイクログラム(μ
Ci/μg)のデータは、t−PA変異体の無傷の活性部位
の数を表示するものである。
るインビボ薬物動態検定の結果を示している。各t−PA
変異体のクリアランスを野生型t−PAのクリアランスで
割り、それを率として表した。薬物動態クリアランスの
値が低ければ低い程、半減期が長いことを意味する。
Claims (36)
- 【請求項1】生物学的活性を示し、野生型t−PAと比較
して減少されたクリアランスを有する94位又は95位、又
は236位、238位及び240位(これらの位置は野生型t−P
Aの位置番号に従う)にアミノ酸置換を有するt−PAの
アミノ酸配列変異体であって、E94A,D95A;D95A,R101A;D
236A,D238A,K240A;およびE94V,D95G変異体とは異なる変
異体。 - 【請求項2】94位がグルタミン酸以外のアミノ酸によっ
て置換されている請求項1に記載の変異体。 - 【請求項3】94位がアラニン又はグリシンによって置換
されている請求項2に記載の変異体。 - 【請求項4】95位がアスパラギン酸以外のアミノ酸によ
って置換されている請求項1に記載の変異体。 - 【請求項5】95位がアラニン又はグリシンによって置換
されている請求項4に記載の変異体。 - 【請求項6】236位がアスパラギン酸以外のアミノ酸に
よって置換され、238位がアスパラギン酸以外のアミノ
酸によって置換され、そして240位がリジン以外のアミ
ノ酸によって置換されている請求項1に記載の変異体。 - 【請求項7】236位がアラニン又はグリシンによって置
換され、238位がアラニン又はグリシンによって置換さ
れ、そして240位がアラニン又はグリシンによって置換
されている請求項6に記載の変異体。 - 【請求項8】94位がグルタミン酸以外のアミノ酸によっ
て置換され、95位がアスパラギン酸以外のアミノ酸によ
って置換されている請求項1に記載の変異体。 - 【請求項9】94位がアラニン又はグリシンによって置換
され、95位がアラニン又はグリシンによって置換されて
いる請求項8に記載の変異体。 - 【請求項10】103位がアスパラギンによってさらに置
換されている請求項2に記載の変異体。 - 【請求項11】117位がアスパラギン以外のアミノ酸に
よってさらに置換されている請求項2に記載の変異体。 - 【請求項12】117位がアラニン、グルタミン又はセリ
ンによってさらに置換されている請求項2に記載の変異
体。 - 【請求項13】103位がアスパラギンによってさらに置
換されている請求項4に記載の変異体。 - 【請求項14】117位がアスパラギン以外のアミノ酸に
よってさらに置換されている請求項4に記載の変異体。 - 【請求項15】117位がアラニン、グルタミン、又はセ
リンによってさらに置換されている請求項4に記載の変
異体。 - 【請求項16】117位がアスパラギン以外のアミノ酸に
よってさらに置換されている請求項6に記載の変異体。 - 【請求項17】117位がアラニン、グルタミン、又はセ
リンによってさらに置換されている請求項6に記載の変
異体。 - 【請求項18】103位がアスパラギンによってさらに置
換されている請求項6に記載の変異体。 - 【請求項19】94位がアラニン又はグリシンによってさ
らに置換されている請求項17または18に記載の変異体。 - 【請求項20】95位がアラニン又はグリシンによってさ
らに置換されている請求項17または18に記載の変異体。 - 【請求項21】94位がアラニン又はグリシンによって、
及び95位がアラニン又はグリシンによってさらに置換さ
れている請求項17または18に記載の変異体。 - 【請求項22】236位がアラニン又はグリシンによっ
て、238位がアラニン又はグリシンによって、そして240
位がアラニン又はグリシンによってさらに置換されてい
る請求項9に記載の変異体。 - 【請求項23】103位がアスパラギンによって、そして1
17位がグルタミンによってさらに置換されている請求項
9に記載の変異体。 - 【請求項24】117位がアラニン、グルタミン、又はセ
リンによってさらに置換されている請求項9に記載の変
異体。 - 【請求項25】103位がアスパラギンによってさらに置
換されている請求項9に記載の変異体。 - 【請求項26】請求項1から25までのいずれかに記載の
変異体をコードしているDNA配列分子。 - 【請求項27】形質転換宿主細胞において請求項26に記
載のDNA配列分子を発現できる複製可能な発現ベクタ
ー。 - 【請求項28】請求項27に記載のベクターによって形質
転換された宿主細胞。 - 【請求項29】真核生物細胞である請求項28に記載の宿
主細胞。 - 【請求項30】哺乳動物細胞である請求項29に記載の宿
主細胞。 - 【請求項31】ヒト腎胚293細胞である請求項30に記載
の宿主細胞。 - 【請求項32】請求項1から25までのいずれかに記載の
t−PAのアミノ酸配列変異体の治療学的有効量を製薬的
に許容され得る担体と共に含有する、血栓溶解を必要と
する血管状態又は疾患を処置するための医薬組成物。 - 【請求項33】哺乳動物における、血栓溶解を必要とす
る血管状態又は疾患を処置するための医薬の製造におけ
る請求項1から25までのいずれかに記載の変異体の使用
方法。 - 【請求項34】請求項1から25までのいずれかに記載の
t−PAのアミノ酸変異体の治療学的有効量を製薬的に許
容され得る担体と共に含有する、フィブリン沈着もしく
は接着の形成又は再形成を予防するための組成物。 - 【請求項35】哺乳動物の可能性あるフィブリン又は接
着形成部位に投与するための哺乳動物におけるフィブリ
ン沈着もしくは接着形成又は再形成を処置または予防す
るための医薬の製造における請求項1から25までのいず
れかに記載の変異体の使用方法。 - 【請求項36】生物学的活性を示し、野生型t−PAと比
較して減少されたクリアランスを有しているt−PAのア
ミノ酸配列変異体を製造するための方法であって、 (a) 野生型t−PAの位置番号に従う位置として94位
又は95位、又は236生、238位及び240位に改変を有する
t−PA変異体を入手し、 (b) 得られたt−PA変異体のクリアランス速度を野
生型t−PAのそれと比較し、 (c) 野生型t−PAに対して減少されたクリアランス
を有するt−PA変異体を選択すること を特徴とする方法。
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