【発明の詳細な説明】
本発明の目的は、生物学的活性を示し、野生型t−PAと比較して減少されたク
リアランス速度を有するt−PA変異体を提供することである。
より詳細には、本発明は、94位又は95位、又は236位、238位及び24
0位に改変を有するt−PAアミノ酸配列変異体であって、生物学的活性を示し
、野生型t−PAと比較して減少されたクリアランス速度を有する変異体を提供
するものである。
他の好ましい態様では、94位又は95位の改変、又は236位、238位及び
240位の改変は置換であり、それらの置換されるアミノ酸はアラニン、グリシ
ン、セリン又はスレオニンと置き換えるのが好ましい。最も好ましい態様では、
それらをアラニンと置換するか、又は特定の部位をグリシンと置換する。
他の態様では、94位及び95位、又は94位、236位、238位及び240
位、又は95位、236位、238位及び240位、又は94位、95位、23
6位、238位及び240位などの1つ以上の部位でt−PA変異体を改変する
。
この改変はアミノ酸置換が好ましく、より好ましくはアラニン、グリシン、セリ
ン又はスレオニンと置き換え、最も好ましくはアラニンと置き換えるが、又は特
定の部位をグリシンと置き換える。
他の態様は、94位又は95位又はその両者、又は236位、238位及び24
0位、又は94位、236位、238位及び240位、又は95位、236位、
238位及び240位、又は94位、95位、236位、238位及び240位
が置換された上述のt−PA変異体について、さらにその103位及び/又は1
17位が改変されたものであり、その改変は103位をアスパラギンでアミノ酸
置換し、117位をアラニン又はセリンで、又は好ましくはグルタミンでアミノ
酸置換するのが好ましい。
他の態様として、本発明は上記の変異体をコードするDNA配列、このDNA配
列を形質転換宿主細胞において発現できる複製可能な発現ベクター、及び形質転
換された宿主細胞を提供する。
また別の態様として、本発明は、本発明のt−PA変異体の治療学的有効量を製
薬的に許容され得る担体と共に含有してなる、血管状態又は血管疾患を処置する
ための組成物を提供する。
本発明はさらに別の態様として、本発明のt−PA変異体の有効量を哺乳動物に
投与することを特徴とする、哺乳動物の血管状態又は疾患を処置するための方法
を提供する。
また、本発明は、本発明のt−PA変異体の治療学的有効Iを製薬的に許容され
得る担体と共に含有してなる、フィブリン沈着又は接着形成もしくは再形成を予
防するための組成物を提供する。
さらに、本発明は、潜在的なフィブリン又は接着形成のある哺乳動物におけるそ
の部位に本発明t−PA変異体の有効量を投与することを特徴とする、フィブリ
ン沈着又は接着形成もしくは再形成を予防するための哺乳動物の処置方法を提供
する。
図面の簡単な説明
第1図は、ヒトt−PAの成熟形態のアミノ酸配列を示している。このアミノ酸
はアミノ末端から開始して番号付けしている。5つのドメイン、ジスルフィド架
橋、及びt−P、A分子が2本鎖分子に切り取られる活性化部位、の各位置を示
している。
第2図は、pRK、t−PAの構築を模式図として表したものである。ヒトt−
pAのcDNAをHindm及びBa1Iで消化し、それを真核生物発現ベクタ
ーpRK7のHindm及びSmaI部位間に挿入した。
第3図は、マウスの血流中に残存する放射線標識化t−PA変異体の残存量(血
液1ml当たりの毎分の1000カウントで測定)を時間(分)に対してプロッ
トしたものである。放射線標識化t−PA変異体は通常タンパク質1ナノグラム
当たり11000cpであった。検定した各変異体は野生型t−PAと同様に明
示している。
rt−PAJ、rヒトt−PAJ、及び「ヒト組織プラスミノーゲンアクチベー
ター」なる用語は、プラスミノーゲンをプラスミンに変換できるプロテアーゼド
メインと、フィブリン結合性に関与していると考えられるN−末端領域とからな
る2つの機能領域を有するヒト外因性(組織型)プラスミノーゲンアクチベータ
ーを意味する。従って、これらの用語は、上記の機能ドメインをポリペプチドの
アミノ酸配列の一部として含有している該ポリペプチドを包含する。生物学的に
活性な形態のt−PAは、この分子の上記2つの機能領域及びt−PAの供給源
本来のそれら以外のt−PAの他の部分を含有する形態として組換え細胞培養系
によって生産することができる。各個体のt−PAのアミノ酸配列における1つ
又はそれ以上のアミノ酸の相違によって示されるように、個体間毎に自然のまま
のアレル変異体が存在し、また生じることは理解されよう。
「野生型t−PAJ及び「天然t−PAJなる用語は天然の配列ヒトt−PA、
即ち1988年8月23日発行の米国特許番号第4.766、075号にて報告
されているcDNAによってコードされているt−PAを意味する。このt−P
A分子のアミノ酸部位の番号又は位置は米国特許番号第4.766、075号(
前掲)に従って決められる。t−PAは天然起源から得ることができ、ヒトなど
の種々の動物の相当するタンパク質が包含される。さらに、t−PAは、例えば
チャイニーズハムスター卵巣(CH○細胞)又はヒト腎肝293細胞などの組換
え発現系から入手することもできる。
「アミノ酸」及び「アミノ酸群」なる用語はすべて天然に存在するし一α−アミ
ノ酸を意味する。この定義は、ノルロイシン、オルニチン、及びポモノスティン
を包含するものである。アミノ酸は、以下の1文字又は3文字命名法によって特
定される
Asp D アスパラギン酸 11eI イソロイノンThr T スレオニン
Leu L ロイシンSer S セリン Tyr Y チロシンGlu E
グルタミン酸 Phe F フェニルアラニンPro P プロリン His
HヒスチジンG1y G グリシジ Lys K リジンAla A アラニ
ン Arg RアルギニンCys Cシスティン Trp W トリプトファン
Val V バリン Gln Q グルタミンMet M メチオニン Asn
N アスパラギンこれらのアミノ酸は化学組成及びそれらの側鎖の性質に応じ
て分類することができる。これらのアミノ酸は、帯電及び非帯電アミノ酸と大き
く2つのグループに分類される。これらのグループはそれぞれサブグループに分
割され、アミノ酸はさらに厳密に分類できる。
「改変」、「アミノ酸配列改変」、「変異体」及び「アミノ酸配列変異体」なる
用語は、アミノ酸配列が天然t−PAと比較して何等かの相違点を有している1
−PA分子を意味する。普通、変異体は天然t−PAと少な(とも80%の相同
性を有しているが、天然t−PAとは少なくとも約90%相同的であるのが好ま
しい。
本発明の範囲内にあるt−PAのアミノ酸配列変異体は特定の位置に置換、欠失
、及び/又は挿入を有している。これらの位置は、t−PAのクリアランス速度
を調整するうえで影響を与えるものとして本発明者らが同定した。
置換t−PA変異体は、天然のt−PA配列中の少な(とも1つのアミノ酸残基
が除去され、その同じ部位に別のアミノ酸が挿入されているものである。この置
換は、分子内のアミノ酸1つだけを置換させる場合は1つでよく、あるいは分子
内の2つ又はそれ以上のアミノ酸を置換する場合は多数であってもよい。
あるアミノ酸を電荷及び/又は構造が元のアミノ酸と有意に異なる側鎖で置換す
れば、t−PA分子の活性を実質的に変動させることができる。このタイプの置
換は、この分子の置換領域のポリペプチド骨格の構造及び/又は電荷又は/)イ
ドロホビシティーに影響を与えると期待できる。
t−PA分子の活性は、元の分子の側鎖と電荷及び/又は構造が類似している側
鎖でアミノ酸を置換すれば、穏やかに変動させることができよう。このタイプの
置換は保存的置換と呼ばれるが、この分子の置換領域のポリペプチド骨格の構造
又は電荷又はハイドロホビシティーのいずれかを実質的に変化させると期待でき
る。
挿入t−PA変異体は、元のt−PA分子の特定の位置にあるアミノ酸のすぐ隣
に1つ又はそれ以上のアミノ酸が挿入されたものである。「アミノ酸のすぐ隣に
」とは、アミノ酸のα−カルボキシ又はα−アミノ官能基のいずれかに連結する
ことを意味する。この挿入はアミノ酸1つ又はそれ以上であってもよい。普通、
挿入は1つ又は2つの保存性アミノ酸から構成される。電荷及び/又は構造が挿
入部位に隣接するアミノ酸と類似しているアミノ酸は保存的と規定される。別に
、本発明は、挿入部位に隣接するアミノ酸とは実質的に異なる電荷及び/又は構
造を有するアミノ酸の挿入も包含している。
欠失変異体は、天然t−PA分子の1つ又はそれ以上のアミノ酸が除去されてい
るものである。普通、欠失変異体は、t−PA分子の特定の部位にある1つ又は
2つのアミノ酸が欠失されている。
t−PAアミノ酸配列変異体を説明するために本明細書全体で使用している命名
法を次に説明する。t−PAのポリペプチド鎖の特定のアミノ酸の位置は数字で
特定している。この数字は、1988年8月23日発行の米国特許番号第4.7
66、075号に記載されている成熟野生型ヒht−PAポリペプチドのアミノ
酸配列のアミノ酸位置を意味する。t−PA変異体の実際の残基番号はその分子
の欠失又は挿入によって上記のような番号の並びではないが、本明細書では、t
−PA変異体内の同様に位置した残基もこれらの数字によって命名している。こ
れは例えば、部位特異的な欠失又は挿入変異体に存在する。アミノ酸の特定には
1文字コードを使用している。置換アミノ酸は、野生型アミノ酸のポリペプチド
鎖の位置を示す数字の左側に野生型アミノ酸を特定し、そしてその数字の右側に
置換されたアミノ酸を特定することで命名している。
例えば、t−P、Aの94位のアミノ酸グルタミン酸(E)をアラニン(A)と
置き換えた場合は、E94Aと命名される。94位のグルタミン酸(E)をアラ
ニンと置き換え、95位のアスパラギン酸(D)をアラニンと置き換えた場合は
、E94A。
D95Aと示すことができる。欠失変異体は、包括的な欠失のいずれかの端のア
ミノ酸残基及び位置を示し、示したアミノ酸の左側にギリシャ文字「△」を配置
することによって特定される。例えば、アミノ酸100−101の欠失を含有す
るt−PA変異体は△Y100−RIOI [ここにY及びRはそれぞれアミノ
酸チロシン及びアルギニンを示すコと示される。1つのアミノ酸、例えばYlo
oが欠失される場合は、△Y100と示される。挿入t−PA変異体は、挿入さ
れたアミノ酸の回りを括弧「「コ」でくくり、挿入のいずれかの側のアミノ酸位
置を示すことによって挿入の位1を示して命名される。例えば、94位のグルタ
ミン酸と95位のアスパラギン酸との間にアミノ酸アラニン(A)及びバリン(
V)が挿入される場合は、E94[A、V]D95と示される。読み易くするた
めに、カンマ「、」を使用し、1つの分子に存在する多重突然変異を分離して表
し、また幾つかのt−PA変異体分子を同時に挙げる場合には、セミコロン「、
」を使用して、構築された個々のt−PA変異体分子を分離して表す。
「クリアランス速度」及び「クリアランス」なる用語は、t−PA分子が血流か
ら除去される速度を意味する。クリアランスは天然のt−PAについて測定され
、その結果、減少されたクリアランスとは天然t−PAよりもゆっくりとt−P
A変異体が消失することを意味し、増大したクリアランスとは天然t−PAより
も速<1−PA変異体が消失することを意味する。
「生物学的活性」、「生物学的に活性」、「活性」、及び「活性な」なる用語は
、血漿凝塊又はフィブリンの存在下のS−2251検定、S−2288検定、血
漿凝塊溶解検定又は他の適当な検定で測定した場合に、t−PA分子がプラスミ
ノーゲンをプラスミンに変換できるその変換能を意味する。t−PA分子はその
1又は2本鎖形態で検定でき、それらの検定は、フィブリン、フィブリノーゲン
、血漿及び/又は血漿凝塊などの活性の有効な調整物質の存在又は不存在下に行
うことができる。
「コードするDNA配列」、「コードするDNAJ及び「コードする核酸」なる
用語は、デオキシリボ核酸に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序又は配列を
意味する。これらデオキシリボヌクレオチドの順序によって、ポリペプチド鎖に
沿ったアミノ酸の順序が決められる。従って、DNA配列はアミノ酸配列をコー
ドしている。
「複製可能な発現ベクター」及び「発現ベクター」なる用語は、外来DNA片を
挿入することのできた、通常は2本鎖であるDNA片を意味する。外来DNAは
異種DNAと規定され、これは宿主細胞内に天然では見いだされないDNAであ
る。このベクターを使用し、外来即ち異種DNAを適当な宿主細胞に輸送する。
ベクターは宿主細胞内に入ったなら、宿主の染色体DNAとは独立して複製する
ことができ、ベクター及びその挿入された(外来)DNAの幾つかのコピーが創
製される。さらに、このベクターは、外来DNAをポリペプチドに翻訳させる必
須要素を含有している。外来DNAによってコードされているポリペプチドの多
くの分子はこのようにして迅速に合成することができる。
「形質転換宿主細胞」及び「形質転換」なる用語は、DNAを細胞に導入するこ
とを意味する。この細胞は「宿主細胞」と呼ばれ、原核生物又は真核生物細胞の
いずれでもよい。通常の原核生物宿主細胞としては大腸菌の種々の株が挙げられ
る。通常の真核生物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞又はヒト腎肝
293細胞などの哺乳動物である。導入されるDNAは通常、挿入されたDNA
片を含有するベクターの形態にある。導入DNA配列は宿主細胞と同じ種又は宿
主細胞とは異なる種由来のいずれでもよく、又はある種の外来及びある種の異種
DNAを含有する雑種DNA配列であってもよい。
t−PA分子のアミノ酸配列を変化させることにより、t−PAのクリアランス
速度を調節することができる。その変化はアミノ酸の挿入、欠失及び/又は置換
のいずれでもよい。好ましくは、この変化はt−PA分子の1つ又はそれ以上の
領域内の少なくとも1つのアミノ酸置換によるものである。置換させるアミノ酸
(群)を選択するための適当な手法は、Cunningham及びYells
[5cience 244+1081(1989)コによって開示されているア
ラニン−スキャニング突然変異法のそれである。この手法では、帯電した側鎖を
有する1つ又はそれ以上のアミノ酸を、非帯電側鎖を有するアミノ酸と置換する
。このような変化は、周囲の水性環境とポリペプチドとの相互作用に影響を与え
ると考えられる。
アラニン−スキャニング突然変異法では、置換に使用するアミノ酸は、野生型t
−PAの周囲のアミノ酸の電荷を中和するものである。疎水性、脂肪族、芳香族
、又は非−極性アミノ酸を使用できる。これらの中では、バリン、ロイシン及び
イソロイシンなどの比較的大きな側鎖を有するものよりも、アラニン、セリン及
びスレオニンなどの小さな側鎖を有するアミノ酸が好ましい。置換するために使
用されるアミノ酸としては、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、グルタ
ミン、アスパラギンが好ましい。最も好ましい置換のためのアミノ酸はアラニン
であり、あるいは特定の部位ではアスパラギン、グリノン又はグルタミンである
。
アラニンはβ−炭素以外の側鎖が排除されており、従って野生型t−PA分子の
三次元コンホーメーンヨンを変化させ難いので、アラニンがこの目的には最も好
ましいアミノ酸である。さらに、アラニンはタンパク質の埋没された領域及び!
露された領域の両方に高い頻度で見いだされる[Chothia、 J、Mo1
.Biol、、150:1(1976)コ。
クリアランスが減少され、及び/又は半減期が増大された典型的な変異体は、野
生型t−PAのアミノ酸配列のクリングル−1ドメイン又はクリングル−2ドメ
インのいずれかに少なくとも1つの改変(アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入)
を有している。変異体はさらに、野生型配列の他のドメインに、t−PA分子の
性質を強化するさらなる改変を含有することができる。例えば、これらの付加的
な改変はt−PA変異体のフィブリン結合特異性、比活性、及び/又はチモーゲ
ニシティ−(zymogenicity)を増大させるうえで役立ち得るもので
ある。
1つの好ましい態様では、94位又は95位のアミノ酸、又は236位、238
位及び240位のアミノ酸、又はこれらの部位の混合アミノ酸を、好ましくはア
ラニン又はグリシンで置換する。これらの分子はそれぞれ、他のアミノ酸の置換
、欠失又は挿入をも含有することができ、好ましくは103位のスレオニンをア
スパラギンと置換し、及び/又は117位のアスパラギンをアラニン又はセリン
と、又は好ましくはグルタミンと置換することもできる。本発明の代表的なt−
PA変異体は、E94A;D95A:D95G;E94A、D95A:D236
A、D238A、に240A;E94A、D95A、N117Q;E94A、、
D95A、D236A、D238A、に240A;T103N、I)236A、
D238A、に24OA+及びN117Q、D236A、D238A、’に24
OAなどである。
さらに、本発明の分子は特定の部位を置換又は欠失させて、増大したフィブリン
特異性又はチモーゲニンティーなどのさらなる所望の性質を付与することができ
る。これらの位置は例えば、アミノ酸92から179の欠失、アミノ酸174−
261領域の欠失、184位などのグリコノル化部位の修飾、及び/又はアミノ
酸244−255領域の修飾などである。修飾のために重要な他の位!はプロテ
アーゼドメイン全体にわたって配置しており、それには例えば、275位(19
87年8月19日公開)EPo 233.013、及び1987年8月13日公
開のw○87104722を参照)、277位(1988年12月28B公開c
v E P O297,066、及び1986年11月12日公開(7) E
P O201,153ヲ参照)、及び1990年3月22日公開のW○9010
2798iニー開示すれている296−299などがある。
B、変異体の構築
本発明のt−PAアミノ酸配列変異体は好ましくは、野生型t−PAをコードす
るDNA配列を突然変異させることによって構築される。一般には、そのDNA
の特定の領域又は部位を突然変異誘発のために標的化するが、これを行うための
一般的方法は部位特異的突然変異誘発と呼ばれる。この突然変異は、制限エンド
ヌクレアーゼ(特定の部位でDNAを開裂する)、ヌクレアーゼ(DNAを分解
する)、及び/又はポリメラーゼ(1)NAを合成する)などのDNAを改変す
る酵素を使用DNAを制限エンドヌクレアーゼて消化した後、連結させれば、サ
ムプルツク(Sambrook)らの153項[11o1ecular Clo
ning、 A Laboratory Manual、 2版、 CB
1dSpring Harbar Laboratory Press、ニュー
ヨーク(1989)]に記載されているように、欠失を生じさせることがてきる
。この方法を使用するためには、外来DNAをプラスミドベクターに挿入するの
が好ましい。外来(挿入)DNA及びベクターDNAの両者の制限地図は利用可
能でなければならず、又は外来DNA及びベクターDNAの配列が知られていな
ければならない。外来DNAは、ベクターには存在しない唯一の制限部位を有し
ていなければならない。次いて、適当な制限エンドマクレアーセをその酵素の製
造元が教示している条件下で使用し、これらの唯一の制限部位間で消化し、外来
DNAに欠失を施す。使用する制限酵素が平滑末端又は適合する末端を生じさせ
るなら、バクテリオファージT4 DNAリカーセなどのリガーゼを使用し、A
TP及びサムプルツクら(前掲)の168項に記載されているりカーセ緩衝液の
存在下に16℃で1−4時間得られた混合物をインキュベートすることにより、
それらの末端は直接に連結させることができる。これらの末端が適合しない場合
は、消化DNAの突出した1本鎖末端を充填するために4つのデオキシリボヌク
レオチド三リン酸が必要であるDNAポリメラーゼrのクレノー断片又はバクテ
リオファージT4 DNAポリメラーゼを使用し、まずそれらを平滑末端とする
。あるいは、これらの末端は、DNAの突出した1本鎖を切断(カッティング・
バック)することにより共に機能するヌクレアーゼS1又はヤエナリ・ヌクレア
ーゼ(mung−bean nuclease)などのヌクレアーゼを使用して
平滑末端にすることもできる。次いで、得られたDNAをリガーゼを用いて再連
結する。これにより得られた分子がt−PA欠失変異体である。
同様の操作計画を使用すれば、サムプルツクら(前掲)の15.3項に記載され
ているように、挿入変異体を構築することができる。唯一の制限部位(群)にお
いて外来DNAを消化した後、オリゴヌクレオチドを、外来DNAが切断された
部位に連結する。このオリゴヌクレオチドは、挿入する所望のアミノ酸をコード
するように設計し、また直接に連結できるように、消化した外来DNAの末端と
適合している5°及び3′末端をさらに有している。
2 オリゴヌクレオチド−媒介性突然変異誘発オリゴヌクレオチド特異的突然変
異誘発は本発明の置換変異体を製造するための好ましい方法である。これは、本
発明の欠失及び挿入変異体を簡便に製造するためにも使用できる。この手法は、
アデルマン(Adelman)らによって開示されているように[DNA 2.
183(1983)]、当業界に周知である。
一般に、少なくとも25長ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを使用し、t−P
へ分子の2つ又はそれ以上のヌクレオチドを挿入、欠失又は置換する。最適なオ
リゴヌクレオチドは、突然変異をコードするヌクレオチドのいずれかの側のヌク
レオチドと完璧に適合する12から15のヌクレオチドを有している。これによ
り、オリゴヌクレオチドが1本鎖DNA鋳型分子と適切にハイブリダイズするよ
うになる。このオリゴヌクレオチドは、フレア(Crea)ら[Proc、 N
atl、 Acad、 Sci、 、 US、 A、 75.5765(197
8)]に記載されている手法などの当業界周知の手法によって容易に合成するこ
とができる。DNA鋳型分子は、その野生型cDNA t−PA挿入体を有する
ベクターの1本鎖形態である。この1本鎖の鋳型は、バクテリオファージM13
ベクター(市販されているM13mp18及びM13mp19が適当である)、
又はベイラ(Veira)ら[Meth、Enzyyaol、 153.3(1
987)コに記載されている1本鎖−77一ノ複製起点を含有するそれらのベク
ターのいずれかから誘導されるベクターによって作成することができるのみであ
る。従って、突然変異しようとするcDNA、t−PAは、1本鎖の鋳型を創製
するためにこれらのベクターの1つ1m挿入りなければならない。1本鎖の鋳型
の生産はサムプルツクら(前掲)の4. 21−441項に記載されている。
野生型t−PAを突然変異するためには、適当なハイブリダイゼーションの条件
下で1本鎖DNAの鋳型分子とアニーリングする。次いで、DNAポリマー化酵
素、通常は大腸菌(E、coli)DNAポリメラーゼエのクレノー断片を加え
る。この酵素は、突然変異を有するDNA鎖を合成するためにプライマーとして
オリゴヌクレオチドを使用する。従って、DNAの1つの鎖がベクターに挿入さ
れる野生型t−PAをコードしており、第2のDNAの鎖が同じベクターに挿入
された突然変異形態のt−PAをコードしているヘテロ二重うセン分子が形成さ
れる。次いで、このへテロ二重ラセン分子を適当な宿主細胞、通常はE、col
i JMl 01などの原核生物に形質転換する。得られた細胞を増殖させた後
、それをアガロース平板にプレー1−L、32−Pて放射線標識したオリゴヌク
レオチドプライマーを使用してスクリーニングし、突然変異t−PAを含存する
コロニーを同定する。そのようなコロニーを選択し、t−PA分子に突然変異が
存在しているかを確認するため、DNAの配列を決定する。
1つ以上のアミノ酸が置換されている突然変異体は、幾つかの方法の中の1つの
方法によって生成させることができる。ポリペプチド鎖中に数個のアミノ酸を近
接して一緒に配置させる場合は、それら所望のアミノ酸置換のすべてをコードす
る1つのオリゴヌクレオチドを使用して同時に突然変異することができる。しか
し、アミノ酸が互いに若干距離をおいて位置している場合(例えば、10アミノ
酸以上で分割されている場合)は、所望の変化をすべてコードしている単一のオ
リゴヌクレオチドを生成させるのは比較的困難である。その場合は代わりに、2
つの代替方法のいずれかを使用すればよい。第1方法では、置換させる各アミノ
酸のオリゴヌクレオチドを別々に創製する。次いで、それらのオリゴヌクレオチ
ドを1本鎖鋳型DNAに同時にアニーリングすれば、この鋳型から合成された第
2のDNA鎖は所望のアミノ酸置換をすべてコードすることになる。別の方法は
、2つ又はそれ以上の突然変異誘発工程によって所望の突然変異体を生産するこ
とに関する。第1工程は単一突然変異体について記載しているとおりの方法であ
る・ 野生型t−PA DNAを鋳型として使用し、第1の所望のアミノ酸置換
(群)をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型とアニーリングし、次いでヘ
テロ二重ラセンDNA分子を生成させる。第2の突然変異誘発工程は、突然変異
誘発の第1工程で調製した突然変異DNAを鋳型として使用する。従って、この
鋳型は既に1つ又はそれ以上の突然変異を含有している。次いで、付加的な所望
のアミノ酸置換(群)をコードしているオリゴヌクレオチドをこの鋳型とアニー
リングすると、得られるDNAの鎖は、第1及び第2工程の突然変異誘発の両者
に由来する突然変異を新たにコードしている。この得られたDNAは、第3の突
然変異誘発工程、などにおいて鋳型として使用することができる。
t−PA変異体をコードするDNAをポリペプチドとして発現させるため、この
DNAをベクターから切り取り、真核生物宿主細胞発現にとって適切な発現ベク
ターに挿入する。長期の安定なt−PA生産のためには、チャイニーズハムスタ
ー卵巣(CH○)細胞が好ましい。しかし、本発明はCHO細胞におけるt−P
A変異体の発現に限定されるものでなく、特に、実験目的にt−PA変異体を一
時的にしか発現させる必要がない場合などは、多くの他の細胞型が使用できるこ
とが知られている。
C宿主細胞培養及びベクタ一
本発明の最初のクローニング工程にとっては原核生物が好ましい。原核生物は、
DNAの迅速な大量生産、部位特異的突然変異に使用される1本鎖DNAの鋳型
の生産、多くの突然変異体の同時スクリーニング、及び生成される突然変異体の
DNAの配列決定にとって特に有用である。適当な原核生物宿主細胞には、E、
co]1(大腸菌)K12株294 (ATCCNo、 31.446)、E、
coli株W3110 (ATCCNo、 27.325)、E、 coli
X 1776 (ATCCNo、 31.537)、及びE、coli Bなど
がある。
しかし、HBlol、JMlol、NM522、NM538、NM539などの
E、coliの他の多くの株、並びに他の多くの原核生物の種及び属も同様に使
用することができる。
原核生物はD N A配列の発現のためにも宿主として使用できる。上記に挙げ
たE、coH株の他、パンラス・ズブチリス(Baci]lus 5ubtil
is)などのバフラス属、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella
typhimurium)又はセラチア・マルセサンス(Serratia
marcesans)などの他の腸内細菌、及び種々のシュードモナス(Pse
udomonas)種などもすべて宿主として使用できる。
これらの宿主は、その宿生細胞と適合する種由来のレプリコン及び制御配列を含
有するプラスミドベクターと共に使用する。そのベクターは通常、複製部位、形
質転換された細胞内において表現型の選択性を付与できるマーカー遺伝子、]つ
又はそれ以上のプロモーター、及び外来遺伝子を挿入するための幾つかの制限部
位を含有するポリリンカー領域を含有する。E、coliを形質転換するために
通常使用されるプラスミドには例えば、pBR322、pUc18、pUc19
、ptJc 118、pUc119、及びブルースクリプト(B]uescri
pt)M 13などがあり、二わらはすべてサムプルツクら(前掲)の1.12
−1.20項に記載されティる。しかし、多くの他の適切なベクターも同様に利
用可能である。これらのベクターはアンピシリン及び/又はテトラサイクリン耐
性をコードする遺伝子を含有しており、それによりこれらのベクターによって形
質転換された細胞はそれらの抗生物質の存在下に増殖させることが可能となる。
原核生物ベクターに最も普通に使用されるプロモーターとしては、β−ラクタマ
ーゼ(ベニンリナーゼ)及びラクトースプロモーター系[チェンジ((hang
)らのNaター系EゴーデルらのNucleic Ac1ds Res、 8.
4057(1980) ; E P O出願公開第36.776号]、並びにア
ルカリホスファターゼ系が挙げられる。これらは最も普通に使用されるものであ
るが、他の微生物プロモーターも利用されており、それらのヌクレオチド配列に
関する詳細が開示され、当業者ならば、それらをプラスミドベクターに機能的に
連結することができる[シーベンリスト(Siebenlist)らのCe1l
20゜269(1980)を参照]。
2、真核微生物
本発明を実施するには酵母などの真核微生物が使用できる。パン酵母、サツカロ
マイセス・セレビ/アエ(Saccharomyces cerevisiae
)が普通に使用される真核微生物であるが、他の幾つかの株も利用することがで
きる。サツカロマイセスにおける発現ベクターとしては、プラスミドYRp7が
普通に使用される[スチンクコム(Stinchcomb)らのNature
282:39(1979) ;キンゲスマン(Kingsman)らのGene
7:141(1979) ; ンエンパー(Tschemper)らのGen
e 10:157(1980)]。このププラストは、トリプトファン環境下で
の増殖能を欠いている酵母の突然変異株、例えばATCCNo、 44.076
株又はPEP4−1株[(ジョーンズ(Jones)のGenetics、 8
5:12(1977))]に選択マーカーを付与できるtrpl遺伝子を含有し
ている。酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてtrp l欠損が存在するので、トリ
プトファンの不存在下で増殖させれば、形質転換を検出するために有効な環境が
提供される。
酵母ベクターにおける適当なプロモーター配列には、3−ホスホグリセレートキ
ナーゼのプロモーター[ヒ・ソ゛ンエマン(Hitzeman)らのJ、 Bi
ol、 Cheffi、 255二2073(1980)]、又はエノラーゼ、
グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカ
ルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラー
ゼ、3−ホスホグリセレートムターセ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセホスフエ
ートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーセ及びグルコキナーゼなどの他
の解糖系酵素[ヘス(Bess)らのJ、^dv、 Enzyme Reg、
7:149(196g) :ホーランド()IOlland)らのBioche
mistry 17.4900(1978)]のプロモーターがある。適当な発
現プラスミドを構築するに当たっては、これらの遺伝子に付随する終止配列も、
発現させようとする配列の3′側で発現ベクターに連結させ、mRNAのポリア
デニル化及び終止機能を付与する。発育条件によって転写が制御されるという付
加的な利点を有している他のプロモーターには、アルコール脱水素酵素2、イソ
チトクロームC1酸ホスフアターゼ、窒素代謝に関与する分解酵素、及び上記の
グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素及びマルトースとガラクトースの利
用に関与する酵素、にががるプロモーター領域がある。酵母に適合するプロモー
ター、複製起点及び終止配列を含有するプラスミドベクターが好適でことができ
る。を椎動物又は無を椎動物培養のいずれの由来であっても許容できるが、を椎
動物細胞培養、特に哺乳動物培養が好ましい。適当なセルラインとしては例えば
、SV40によって形質転換されたサル腎Cv1ライン[COS −7、ATC
CCI?L 1651] ;ヒト腎肝ライン293 S EGrahamら、
J、GenJirol、、36:59(1977)コ、幼若ハムスター腎細胞[
BHK、 ATCCCCL 10] ;チャイニーズハムスター卵巣細胞[Ur
lab and Chasin、 Proc、Natl^cad、 Sci、
、 U、 S、 A、 77:4216(19W0)] :マウ
ス・スルトリ細胞(mouse 5ertoli)[TM4. Mather、
Biol、Reprod、、23:243(1980)] ;サル腎細胞[C
VI−76、ATCCCCL 701 ;アフリカミドリザル腎細胞[VERO
−76、ATCCCRL 1587コ、ヒト子宮癌細胞[HELA、ATCCC
CL 2コ、イヌ腎細胞EMD CK、 ATCCCCL 34E ;バッファ
ロー・ラット肝細胞[BRL 3A、 ATCCCRL 1442] ;ヒト肺
細胞[W 138 、 ATCCCCL 75] :ヒト肝細胞[Hep G2
゜[IB 8065] ;マウス哺乳動物腫瘍細胞[MMT 060562.
ATCCCCL 51] ;ラット肝癌細胞[HTc、Ml、54. ボウ?
ン(Baumann)らのJ、 Ce1l Bias、、 、 85:1(19
80)] :及びTRI細胞[MatherらのAnnals N、 Y、 A
cad、 Sci、 、 383:44(1982)]力導げられる。
これらの細胞のための発現ベクターは普通、(要すれば)複製起点、発現すべき
遺伝子の前に位置するプロモーター、リポソーム結合部位、RNAスプライス部
位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネータ一部位のDNA配列を含有し7
ている。
哺乳動物発現ベクターに使用されるプロモーターは、ウィルス起源のものが多い
。これらウィルスプロモーターはポリオーマウィルス、アデノウィルス2、及び
最も頻繁にはアカゲザルウイルス40(SV40)から誘導される。SV40ウ
ィルスは初期及び後期プロモーターと呼ばれる2つのプロモーターを含有する。
これらのプロモーターは共にウィルスの複製起点をも含有する1つのDNA断片
として該ウィルスから容易に入手されるので、特に有用である[フィールズ(F
ierS)らのNature、γυ113(197g)]。また、このウィルス
の複製起点内に位置するHindm部位からBglr部位に伸長する約250b
p配列を含有する限りは、それよりも小さい、又は大きなSV40 DNA断片
を使用することもできる。
さらに、形質転換のために選択する宿主セルラインと適合する限りは、外来遺伝
子に天然で伴われているプロモーター(同種プロモーター)を使用することがで
きる。
複製起点は、SV40又は他のウィルス(例えば、ポリオーマ、アデノ、VSV
、BPV)などの外因性供給源から入手することができ、それをクローニングベ
クターに挿入すればよい。あるいは、複製起点は宿主細胞の染色体における複製
メカニズムによって付与することができる。外来遺伝子を含有するベクターが宿
主細胞の染色体に組み込まれるなら、後者で十分である場合が多い。
ヒトt−PAは形質転換された細胞培養によって満足のいく量で生産される。し
かし、第2のコード化配列を使用すれば、さらに生産レベルを同上させることが
できる。この第2のコード化配列は通常、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を
含有している。野生型のDHFRは正常では化学物質メトトレキサート(MTX
)によって阻害される。細胞内のDHFR発現レベルは、培養する宿主細胞にM
TXのある量を加えることで変動する。DHFRを東2の配列として特に有用と
するさらなる性質は、それが形質転換細胞を同定するための選択マーカーとして
使用できることである。
DHFRを第2の配列として使用するには、野生型DHFR及びMTX−耐性D
HFRの2つの型が利用できる。個々の宿生細胞に使用するDHFRの型は、宿
生細胞がDHFR欠損であるか否か(例えば、非常に低いレベルでDHFRを内
生的に産生ずるか、又は機能的DHFRを全く産生じないか)によって決定され
る。ウルローブ及びチャシン(Urlaub及びChasin)の[Proc、
Natl、 Acad、 Sci、 、 U、 SA、 77:4216(1
980)]に記載されているCH○セルラインなどのDHFRHF上ルラインを
野生型DHFRコード化配列で形質転換する。形質転換された後では、これらの
DHFRHF上ルラインは機能的なりHFRを発現し、ヒポキサンチン、グ+7
ノン及びチミンン栄養素を欠く培養培地中で増殖することができる。形質転換さ
れていない細胞はこの培地中では生存しない。
MTX耐性型のDHFRは、MTX感受性の機能的DHFRの正常量を内生的に
産生ずる宿主細胞中にある形質転換宿主細胞を選択する手段として使用てきる。
CH○〜K 1 (ATCCNo、 CCL 61)はこの特性を有しており、
従ってこの目的にとって有用なセルラインである。細胞培養培地にMTXを添加
すれば、MTX耐性DHPRをコードするDNAで形質転換された細胞のみを発
育させることができる。
形質転換されていない細胞はこの培地中で生存することはできない。
4 a後玉
細胞から普通分泌される多くの真核生物タンパク質は、そのアミノ酸配列の一部
として内生のシグナル配列を含有している。この配列は小胞体及びゴルノ装置を
介して細胞からタンパク質を輸出させる。このシグナル配列は通常タンパク質の
アミノ末端に位置しており、約13から約36のアミノ成長の範囲にある。実際
の配Jljはタンパク質層に異なっているが、既知のすべての真核生物シグナル
配列は、そのシグナル配列の中心付近に高い疎水性強度の10−15アミノ酸(
通常はロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン及びフェニルアラニンに豊富
である)及び少なくとも1つの正に帯電した残基を含有している。このシグナル
配列は、タンパク質が小胞体に移動する際に小胞体上に存在するシグナルペプチ
ダーゼによって開裂されるので、分泌形態のタンパク質からは除去されているの
が正常である。そのシグナル配列が依然として結合しているタンパク質は、「プ
レタンパク質」又はタンパク質の非成熟型と呼ばれることが多い。
しかし、分泌されるタンパク質のすべてが、開裂されるアミン末端シグナル配列
を含有しているわけでない。オバルブミンなどのある種のタンパク質は、タンパ
ク質の内部領域に位置するシグナル配列を含有している。この配列は移動時に正
常では開裂されない。
細胞質中に通常見いだされるタンパク質は、そのタンパク質にシグナル配列を連
結させることにより分泌させることができる。これは、シグナル配列をコードす
るDNAを、タンパク質をコードするDNAの5°末端に連結し、次いでこの融
合タンパク質を適当な宿主細胞において発現させることにより、容易に実施する
ことができる。シグナル配列をコードするDNAは、シグナル配列を有するタン
パク質をコードする遺伝子から制限断片として入手できる。従って、本発明を実
施するために利用する宿主細胞の型に応じて、原核生物、酵母、及び真核生物シ
グナル配列を本発明では使用できる。遺伝子のシグナル配列部分をコードするD
NAは適当な制限エンドヌクレアーゼを使用して切除され、次いでそれを分泌さ
せようとするタンパク質、即ちt−PAをコードするDNAに連結する。
機能的なシグナル配列の選択には、/グナル配列が宿主細胞シグナルペプチダー
ゼによって認識される結果、シグナル配列の開裂及びタンパク質の分泌が起こる
ことが要件となる。幾つかの真核生物遺伝子のシグナル配列部分をコードするD
NA及びアミノ酸配列は既知であり[例えば、ヒト成長因子、プロインスリン、
及びプロアルブミン(StryerのBiochemistry、 f、H,F
reeman and Company、 ニューヨーク(1988)、 76
9頁を参照)コ、これらは適当な真核生物宿主細胞においてシグナル配列として
使用することができる。例えば、酸ホスファターゼ[ArimaらのNuc。
ターゼなどの酵母シグナル配列は、酵母宿主細胞から分泌させるために使用でき
る。例えば、LamB又はOmpF [longらのGene 68:1931
988コ、MalE、PhoA。
又はβ−ラクタマーゼをコードする遺伝子、並びに他の遺伝子由来の原核生物シ
グナル配列は、原核生物細胞から培養培地にタンパク質を向かわせるのに使用で
きる。
目的のタンパク質が分泌できるようにするためにそれにソゲナル配列を付与する
別の手法は、シグナル配列をコードするDNAを化学的に合成することである。
この方法では、選択したシグナル配列をコードするオリゴヌクレオチドの両鏡を
化学的に合成し、次いで互いにアニーリングさせて二重ラセンを形成させる。次
に、得られた2本鎖オリゴヌクレオチドを、タンパク質をコードするDNAの5
゛末端に連結させる。
次いで、タンパク質をそれに連結されたシグナル配列と共にコードしているDN
Aを含有する構築物を適当な発現ベクターに連結すればよい。この発現ベクター
を適当な宿主細胞に形質転換し、目的のタンパク質を発現させ、分泌させる。
D 形質転換方法
哺乳動物宿主細胞及び頑強な細胞膜障壁を有していない他の宿主細胞の培養物は
、グラハム(Graham)及びフォノ・デル(Van der Eb)[Vi
rologY 52.546(197g)コに最初に開示され、サムプルツクら
(前掲)の16.32−16.37項にて改変を施されたリン酸カルシウム法に
よって普通は形質転換される。しかし、ポリブチン(Polybrene)[K
awai及びN15hizava、 Mo1. Ce11. Biol、 、
4:1172(1984)n、プロト
プラスト融合[5chaffner、 Proc、 Natl、 Acad、
Sci、 、 U、 S、 A、 77:2163(198O)]、エニレ
に導入するための他の方法も使用できる。
酵母宿主細胞は、ハイ不ン(Hinnen)のProc、 Natl^cad、
Sci、 、 U、 S、 A、 、 75 :1929|1
933(1978)によって教示されているように、ポリエチレングリコール法
によって形質転換するのが一般的である。
原核生物細胞又は頑強な細胞壁を有する細胞を形質転換するには、サムプルツク
ら(前掲)の1.82項に記載されている塩化カルシウム法によって行うのが好
ましい。また、これらの細胞を形質転換するにはエレクトロポレーションも使用
複製配列、調節配列、表現型選択遺伝子をコードするDNA及び目的の外来DN
Aを含有する適当なベクターの構築には、標準的な組換えDNA手法を使用する
。単離したプラスミド及びDNA断片を開裂し、仕立て、そして特定の順序で互
いに連結し、所望のベクターを生成させる。
DNAの開裂は、適当な緩衝液中にて適当な制限酵素又は酵素群を使用して行う
。一般には、緩衝溶液約20μβ中、適当な制限酵素約1−2単位と共に、プラ
スミド又はDNA断片約0.2−1μgを使用する(適当な緩衝液、DNA濃度
、及びインキュベート時間及び温度は、その制限酵素の製造元によって特定され
ている)。一般には、37℃での約1又は2時間のインキュベート時間が適当で
あるが、酵素の中にはそれよりも高い温度が必要であるものがある。インキュベ
ートした後に、フェノール及びクロロホルムの混液で消化溶液を抽出することに
よって酵素及び他の夾雑物を除去し、次いでエタノール沈殿によってその水性画
分からDNAを回収する。
DNA断片を共に連結して機能的ベクターを形成させるためには、それらDNA
断片の末端は互いに適合していなければならない。ある場合には、エンドヌクレ
アーゼ消化後に末端は直接適合になる。しかし、エンドヌクレアーゼ消化によっ
て普通に生成される粘着末端を連結適合性にするために、それをまず平滑末端に
変換する必要のある場合がある。平滑末端にするためには、4つのデオキシヌク
レオチド三リン酸の存在下、DNAポリメラーゼIのクレノー断片(クレノー)
10単位と共に少なくとも15分間、15℃において適当な緩衝液中で得られた
DNAを処理する。次いで、それをフェノール−クロロホルム抽出し、エタノー
ル沈殿して精製する。
開裂させたDN、A断片は、DNAゲル電気泳動によってサイズ分離し、選択す
ることができる。DNAはアガロース又はポリアクリルアミドマトリックスのい
ずれかによって電気泳動できる。マトリックスの選択は、分離しようとするDN
A断片のサイズ(大きさ)に左右される。電気泳動じた後に、電気溶離(ele
ctroelution)によってDNAをマトリックスから抽出するか、ある
いは低融解アガロースをマトリックスとして使用した場合は、サムプルツクら(
前掲)の6. 30−633項に記載されているようにしてアガロースを融解し
、それからDNAを抽出する。
互いに連結させようとするDNA断片(適当な制限酵素で消化しておき、それぞ
れの断片の連結末端を適合させておく)は、等モル量で溶液中に存在させる。
この溶液はATP、リガーゼ緩衝液及びリガーゼ、例えばDNA0.5μg当た
りT 4 D N Aリガーゼ約10単位をさらに含有している。DNA断片を
ベクターに連結する場合は、適当な制限エンドヌクレアーゼ(群)によってベク
ターを切断してまず線状化し、次いで細菌アルカリホスファターゼ又は子牛腸内
アルカリホスファターゼのいずれかでリン酸化する。この操作によって、開裂し
たベクターが連結工程の際に自己連結するのを防止できる。
連結した後に、新たに外来遺伝子が挿入されたベクターを適当な宿主細胞、最も
普通にはE、coli K 12株294 (ATCC番号31.446)又は
別の適当なE、coli株などの原核生物に形質転換する。形質転換された細胞
は、抗生物質、普通はテトラサイクリン(teO又はアンピンリン(amp)と
増殖させることにより、ベクター内のtet及び/又はamp耐性遺伝子のおか
げでそれらに対して耐性になっているものが選択される。連結混合物によって真
核生物宿生細胞を形質転換した場合は、形質転換細胞は上述のDHFR/MTX
系によって選択できる。形質転換細胞は培養物中で増殖さ也次いでプラスミドD
NA(プラスミドは、目的の外来遺伝子に連結されたベクターを意味する)を単
離する。このプラスミドDNAは次に、制限マツピング及び/又はDNA配列決
定によって分析する。DNAの配列決定は、メッノング(liessing)ら
のNucleic Ac1ds Res、、9:309(1981)の方法又は
マキサム(Maxam)らのMethods of Enzymology、
6.5:499(1980)の方法のいずれかによって分析される。
哺乳動物宿主細胞をDNAで安定に形質転換した後、その宿主細胞培養をMTX
約200−500nM濃度の存在下で増殖させ、それによりDHFRタンパク質
をコードしている配列の増幅を行う。MTXの有効な濃度範囲は、DHFR遺伝
子及びタンパク質の本質、及び宿主の特性に非常に左右される。一般に規定され
る上限及び下限は明瞭には確認することができない。他の葉酸同族体又はDHF
Rを阻害する他の化合物も適当な濃度で使用することができる。しかし、MTX
が簡便であり、容易に利用てき、かつ有効である。
上述のように、t−PA変異体は、部位特異的突然変異の方法を使用して生成さ
れる突然変異誘発の手段によって製造するのが好ましい。この方法では、所望の
突然変異の配列をコートする特定のオリゴヌクレオチド及び、そのオリゴヌクレ
オチドがDNAの鋳型と安定にハイブリダイズできるほどに十分な数の隣接ヌク
レオチド、を合成し、使用することが必要である。
F 医薬組成物
本発明のt−PA産物を医薬的に許容され得る担体との混合物中で混合すること
により、本発明の化合物は医薬的に有用な組成物を調製するための既知の方法に
よって製剤化することができる。適当な担体及び製剤化法は、オスロー(Osl
o)ら編のRemington’ s Pharmaceutical 5ci
ences 16版、1980[フック0パブリツンングCo、 ]に記載され
ている。このような組成物は通常、患者に効果的に投与するのに適した医薬的に
許容され得る組成物が調製されるように適量のビヒクルと共に、本発明のt−P
A変異体を有効量で、例えば約0,5から約5xghlで含有している。本発明
のt−PA変異体は、心臓血管の疾患又は症状の患者に非経口的に、又はその有
効な型が血流に供給されるような他の方法によって投与することができる。
本発明を実施する上て使用されるt−PA変異体を臨床投与するのに特に適して
いる組成物には、例えば滅菌水溶液剤、又は凍結乾燥タンパク質などの滅菌永和
性の粉末剤などがある。このような製剤中にはさらに、医薬的に許容され得る塩
を適量使用し、製剤の等張性を変化させるのが通常である。アルギニン塩基など
の緩衝剤も、適当なpH,一般にはpH5,5−7,5を維持するに適当な濃度
でリン酸と共に含有させるのが通常である。さらに、貯蔵寿命を維持、長引かせ
るために、グリセリンなどの化合物も含有させることができる。
本発明の医薬組成物の投与量及び望ましい薬物濃度は、目的とする個々の用途に
応じて変化し得る。例えば、深部静脈血栓又は末梢血管疾患の処置に当たっては
、約0.05から約0.2mg/kgオーダーの「ポーラス」投与が通常好まし
く、その後は、血中レベルがほぼ一定に、好ましくは約3μg/ffi fのオ
ーダーが維持されるよう約0. 1から約0.2mg/kgの投与を行うのが好
ましい。
しかし、一般に潅流(infusion)が行えない場面である緊急医療に関連
して使用するためには、及び処置する疾患が一般に危険性を孕む場合(塞栓症、
心筋梗塞)には、多めの初期投与量、例えば約Q 、3 m g /kgオーダ
ーの静脈内ホーラス投与が通常望ましい。
例えば、本発明のt−PA変異体は、心臓血管の疾患又は症状に罹患した也者に
非経口的に投与するのが適切である。投与量及び投与速度は、他の心臓血管薬、
血栓溶解薬が臨床試験で通常使用されているものと同等又は高い場合があり、例
えば心筋梗塞、肺塞栓症などに罹患したヒト患者では、約1−2mg/kg体重
で1.5−12時間かけて静脈内又は動脈内投与を行えばよい。
適当な投与剤形の1例として、50+g t−PA、アルギニン、リン酸、及び
ポリソルベート80を含有するバイアルを滅菌水50諺lにより注射用に再構成
し、それを適量の09%塩化ナトリウム注射液と混合することが挙げられる。
本発明のt−PA変異体はフィブリン沈着又は接着の形成もしくは再形成を防止
するためにも有用である。この用途の1態様は、1989年1月4日公開のEP
O297゜860に記載されている。一般には、このような処置のタイプは、可
能性あるフィブリン又は接着形成の部位に治療学的有効量のt−PA変異体がお
よそ3日から2週間にわたって持続的に放出されるような難溶性の形態で含有さ
れる組成物をその部位に局所投与することを包含する。t−PA変異体は通常、
手術、感染、外傷又は炎症後に形成される接着又はフィブリン沈着を予防するに
充分な投与量で投与する。その量は普通、0.02mg/gのゲルから25mg
/gのゲルであり、0.20+g/gから約25冨g/gのゲルが好ましく、最
も好ましくは025mg/gから約1.0mg/gのゲルである。
接着形成及び/又はフィブリン沈着を防止するために使用する各t−PA変異体
は、可能性ある接着形成の部位にt−PA酵素を配置させるための半固形の粘液
質の製薬的に不活性な担体中で製剤化するのが普通である。このような担体には
、長鎖の炭化水素又は植物油及び、飽和及び不飽和脂肪酸グリセリドの混合物又
は修飾された飽和及び不飽和脂肪酸グリセリドの混合物から構成されるワックス
などがある。例えば、ワセリン又は半合成グリセリドなどの半固形ビヒクル、グ
リセリンなどのポリヒドロキシ溶媒、長鎖炭化水素、生体侵食性ポリマー(bi
oerodable polymers)、又はリポソームなどが挙げられる。
本発明のt−PA変異体の減少されたクリアランス速度は、迅速な静脈内注射、
例えば特にポーラス投与に適するように改変できる。これは、t−PAの投与方
法を単純にし、それにより例えば診療補助者が看護する救急車などの、医療設備
が限定されている状況下においてt−PAが使用できるようになる。さらに、こ
れらt−PA変異体のクリアランス速度が延長されることにより、急性血栓溶解
後の再閉塞を回避するために必須となる場合のある低量初期投与量が投与できる
ようになり、及び/又は低量延長療法が可能となり、又は末梢血管閉塞の場合に
必須となる場合のある血栓溶解の延長を行うことができる。
以下に記載する実施例を平易にするため、普通に使用している特定の方法を以下
に説明する。
「プラスミド」は、小文字のpの後ろにアルファベットの名称を付して表してい
る。本発明における出発プラスミドは市販されているか、制限部(公に入手可能
となっており、又はそのような入手可能なプラスミドから文献開示の方法によっ
て構築することができる。さらに、他の同等のプラスミドも当業界既知であり、
当業者には明らかである。
DNAの「消化」、「切断」又は「開裂」とは、DNA内のある特定の場所での
み働く酵素によってそのDNAを触媒的に開裂することを意味する。このような
酵素は制限エンドヌクレアーゼと呼ばれ、DNA配列に沿った各酵素が開裂する
部位は制限部位と呼ばれる。本明細書で使用している制限酵素は市販されており
、その供給元から提示されている教示に従って使用した。制限酵素は、大文字の
後ろに各制限酵素が得られる微生物を表す2又は3つの小文字を付して命名され
る。これらの文字は、次に個々の酵素を示す1又はそれ以上のローマ数字を後続
する。一般に、プラスミド又はDNA断片約1μgを緩衝溶液約20μβ中、酵
素約2単位と共に使用する。個々の制限酵素にとって適当な緩衝液、基質濃度、
インキュベート温度、及びインキュベート時間は製造会社によって特定されてい
る。インキュベートした後、フェノール−クロロホルム溶液による抽出によって
DNAから酵素及び他の夾雑物を除去し、エタノール沈殿によって、消化された
DNAを水性画分から回収する。制限酵素による消化の後には、細菌アルカリホ
スファターゼ又は子牛腸内アルカリホスファターゼで処理する。これは、別のD
NA断片が制限部位に挿入するのを妨げかねない「環化」又は閉じたループの形
成からDNA断片の2つの制限開裂末端を護るためのものである。しかし、特に
明記しない限りは、プラスミドの消化後には5′末端の脱リン酸化は行わない。
脱リン酸化のためのこれらの操作法及び試薬はサムプルツクら(前掲)の160
=161項及び3.38−3.39項に記載されている。
特定のDNA断片を制限消化物から「回収」または「単離」するとは、ポリアク
リルアミド又はアガロースゲルを使用して電気泳動法により、得られたDNA断
片を分離し、目的とする断片を既知の分子量のマーカーDNA断片の移動度と比
較してその同定を行い、所望の断片を含有するゲル切片を取り出し、そしてDN
Aからゲルを分離することを意味する。この操作法は一般に既知である。例え「
サザーン分析」とは、既知の標識化オリゴヌクレオチド又はDNA断片とハイブ
リダイズすることにより、消化物またはDNA含有組成物中のDNA配列の存在
を確かめる方法である。サザーン分析とは、アガロースゲル上にて消化DNAを
分離し、そのDNAを変性させ、そしてサザーン(E、 5outhern)の
J、 Mo1. Biol、98:503−517(1975)に記載され、サ
ムプルツクら(前掲)の9.31−9.57項に改変された方法により、そのゲ
ル由来のDNAをニトロセルロース又はナイロン膜に移動させることを意味する
。
「形質転換」とは、DNAが染色体外要素または染色体成分として複製できるよ
うにそのDNAを生物に導入することを意味する。形質転換するために使用する
方法は、宿主細胞が真核生物であるか、又は原核生物であるかによって変わる。
原核生物を形質転換する方法はサムプルツクら(前掲)の1.82項に記載され
ている塩化カルシウム法である。真核生物は、サムプルツク(前掲)らの16.
32−16.37項に記載されているリン酸カルシウム法によって形質転換さ
れる。
「連結」とは、ATPをも含有している適当な緩衝液中、リガーゼ酵素を使用し
て、2つの2本鎖DNA断片間にホスホジエステル結合を生成させる工程を意味
する。
「オリゴヌクレオチド」は、ホスホンエステル結合によって結合されているデオ
キシリボヌクレオチドの短い長さの1本鎖又は2末鎖配列を意味する。このオリ
ゴヌクレオチドは既知の方法によって化学的に合成され、ポリアクリルアミドゲ
ル上にて精製される。
以下に、本発明を実施する上で現在知られている最も最良の方法を説明するため
に実施例を挙げるが、これは本発明の限定を意図するものではない。
実施例I
Cunningham及びYells(前掲)に記載されているアラニン−スキ
ャニング突然変異誘発(ALA−スキャン)として知られている方法を使用し、
本発明のt−PA変異体を構築した。この方法は、帯電したアミノ酸側鎖を含有
するt−FA分子の小さな領域を同定することを包含する。1つの理論にとられ
れないが、電荷のクラスターを含有するこれらの領域、又はその隣接隣接、又は
その両者のいずれがはt−PA分子とその基質及びその活性を調整できる他の種
々の化合物との相互作用に関与していると考えられる。各領域における帯電アミ
ノ酸の幾つか(即ち、Arg、 AspSHis、 Leu及びG lu)をア
ラニンと置換し、t−PA分子のクリアランス速度全体に対するその特定領域の
重要性を評価した。
した。pRK7は、C1al及びHindlII間のポリリンカー領域内のエン
ドヌクレアーゼ制限部位の順序が逆である以外はp RK 5 (1989年3
月15日公開のEP公開番号第307.247号)と同一である。このベクター
に挿入するためのt−PA cDNA[ペニカ(Pennica)らのNatu
re 301:2]4(1983)]を、制限エンドヌクレアーゼHindm(
ATG開始コドンの5′側496塩基対を切断する)及び制限エンドヌクレアー
ゼBa1l(TGA終止コドンの下流276塩基対を切断する)で切断すること
により調製した。このcDNAを、サムプルツク(Sambrook)ら(前掲
)の168−1.69項に記載されている標準的な連結法を使用し、Hindm
及び5IIlaIで前もって切断しておいたpRK7に連結した。得られた構築
物をpRK、t−PAとアメルシャン・コーポレーション(Amersham
Corporation)から入手されるキット(カタログ番号RPN 125
3)を使用し、ティラー(Taylor)らのNucl、 Ac1dsRes、
、 13:8765(1985)の方法によってt−PA cDNAの部位特
異的突然変異を行った。所望の突然変異を生成させるため、所望のアミノ酸置換
をコードする配列を有するオリゴヌクレオチドを合成し、それをプライマーとし
て使用した。このオリゴヌクレオチドを、標準的な手法[VieraらのMet
h、 Enz、 、シ柊:3(1987):lにより調製した1末鎖pRK7−
t−PAとアニーリングさせた。
デオキシリボアデノシン(clATP)、デオキシリボグアノンン(dGTP)
、及びデオキシリボチミジン(dTTP)の3つのデオキシリボヌクレオチドの
混合物を、上記キットの製造元から供されているそのキット中のdCTP(aS
)と呼ばれる改変チオーデオキシリポシトンンと混合し、それをオリゴヌクレオ
チドとアニーリングさせた1末鎖pRK7−t−PAに加えた。
この混合物にDNAポリメラーゼを加えると、突然変異した塩基以外はpRK7
−t−PAと同一のDNAの鎖が生成した。さらに、この新たなりNAの鎖はd
CTPの代わりに、それが制限エンドヌクレアーゼ消化されることから保護する
のに役立つdCTP(aS)を含有していた。得られた2本鎖へテロ二重鎖の鋳
型の鎖に適当な制限酵素により切れ目にツク)を作成した後、その鋳型の鎖を、
突然変異オリゴマーを含有している領域を通過するようExamヌクレアーゼに
よって消化した。次いで、この反応を停止させ、部分的にしか1本鎖でない分子
を残した。次に、4つすべてのチオキンリボヌクレオチド3リン酸、ATP、及
びDNAリガーゼの存在下にDNAポリメラーゼにより、完全な2本鎖DNAの
へテロ二重鎖分子を形成させた。
以下の表Aに挙げているオリゴヌクレオチドを合成し、上記のALA−スキャン
法を使用して、これも表Aに挙げているpRK7−t−PA変異体を作成するた
めのプライマーとして使用した・
本D95G 5’ GATGCCCTGGCCCTCGTAGCACGT 3’
木E94^、D95A 5’ GATGCCCTGGGCCGCGTAGCAC
GT 3“本D236A、D238A、に240^ 5° GGCACCAGG
GCGCGGCAGCCCCAGCAGGATTCCG 3’71.03N 5
“ TGTGCTCCAATTGCCCCTGTAGCT 3’N117Q 5
” CAACGCGCTGCTT丁GCCAGTTGGT 3’星印は、本発明
を例示する変異体を示している。変異体、E94A、D95A及びD236A、
D238A、、に24OAは1つ以上のアミノ酸置換を含有しているので、実際
上、多重突然変異体であるが、それらはただ1つのオリゴヌクレオチドを使用し
て生成させた。これは、置換アミノ酸がそれぞれポリペプチド鎖上で近接して位
置しているので可能であった。
上記の産生体を若干改変させ、本発明を例示する多重突然変異体をさらに製造し
た。以下に説明するこれらの突然変異体では、鋳型DNAは野生型t−PA(p
RK、t−PA)ではない。その代わりに使用した鋳型は、少なくとも単一突然
変異を含有するもの、即ち上記の単一突然変異体を構築するうえで産生されるD
NAてあった。鋳型として使用するDNA、及び各多重突然変異体にさらに作成
される突然変異を生成させるために使用するオリゴヌクレオチドを以下の表Bに
列記する。各オリゴヌクレオチドのDNA配列は上記の表Aに示したものである
・*E94A、 D95A、 T103N E94A、 D95A T103N
*E94A、 D95A、 N117Q E94A、 D95A N117Q本
E94人、D95A、D236A、 D238^、に240A D236A、D
238A、に240A E94A、E95AT103N、 N117Q T10
3N N117Q零T103N、D236A、D238A、に240A T10
3N D236A、D238A、に240A零N117Q、D236A、D23
8A、に240A N117Q D236A、D238A、に240^星印は、
本発明を例示する変異体を示している。
■ 細菌形質転換及びDNA調製
コンビ−テントな細胞をvR製し、形質転換するための標準的なCaCl2法[
5aIIlbrookら(前掲)の176〜184項]を使用し、上記のプロト
コールを使用して作成した突然変異t−PA構築物をE、coli宿主株MM
294 tonAに導入した。
Tnlol−ランスポゾンをtonA遺伝子に挿入した後、不正確に切除するこ
とにより、E、coli株MM 294 tonA (これはT1ファーンに耐
性である)を調製した。
次いで、この遺伝子をトランスポゾン挿入突然変異[KlecknerらのJ、
1io1. Biol、 、 1耳125−159(1977)コを使用し、
E、coli宿主MM294(^TTCNo、 31.446)に挿入した。
Sambrookら(前掲)の1.25−1.31項に記載されている標準的な
ミニプレブ法を使用し、細菌形質転換体のコロニーそれぞれからDNAを抽出し
た。得られたプラスミドをセファクリルCL6Bスピンカラムに通してさらに精
製し、次いでDNA配列決定並びに制限エンドヌクレアーゼ消化及びアガロース
ケル電気泳動によって分析した。
■、真核生物細胞の形質転換
ヒト腎肝293細胞を6ウエル平板にて70%全面成長まで増殖させた。t−P
A突然変異体をコードするプラスミド25μgを1mM トリス−HCL 0.
1mM EDTA、0.227M CaC/2(150μf)中に溶解した。こ
れに、50mM HEPES緩衝液(pH7,35)、280mM NaCL
1.5mM NaPO4(150μI)を加え(旋回下に滴加)、25℃で10
分間沈殿物を形成せしめた。次いで、得られた懸濁沈殿物を6ウエル平板の各ウ
ェル中の細胞に加え、インキュベーター中に4時間放置した。次いで、培地を吸
引除去し、PBS(リン酸緩衝化食塩水)中20%のグリセリン1mlを加えた
。細胞をまず血清不含培地3mlで、次いで同培地14fで洗浄することで2回
洗浄した。次に、新たな培地3mlを加え、細胞を5日間インキュベートした。
次いで、培地を採取し、検定した。
1末鎖t−PAが必要な場合の操作は、細胞の増殖期にプラスミノーゲン枯渇血
清を使用する以外は上記のように行う。
野生型t−PAに対して調製したポリクローナル抗体を使用し、ELISA(酵
素結合免疫吸着検定)法によって、細胞培養上清中に存在するt−PAの濃度を
測定した。以下で説明する各検定に使用したt−PA量はこのELI SA法の
結果に基づいている。
B、S−2288検定
S−2288検定を使用し、2本鎖形態の本発明突然変異体のタンパク質分解活
性を測定した。この検定は、t−PAのタンパク質分解活性のための直接的な検
定法である; t−FAはこの小ペプチドとパラニトロアニリド発色団との間の
結合を開裂させる。
野生型組換えt−PA(rt−PA)を細胞培養培地で希釈して標準曲線試料を
調製する。この標準曲線試料及びrt−PA突然変異体試料をマイクロタイター
平板のウェルに加えた。この検定法を使用して2末鎖rt−PAの活性を測定す
るので、ヒトプラスミンとのインキ;ベーンヨン工程を操作中に包含させる。ヒ
トプラスミン(KabiVitrum)は終濃度0.13CU(カゼイン単位)
Illまで加えた。試料を室温で90分間インキュベートした。
アプロチニン[ングマ、約14TIU(トリプシンインヒビタ一単位)/mg]
を終濃度72μg7tlまで加えてプラスミン活性を阻害し、得られた試料を室
温で15分間インキュベートした。S−2288の2.16mM溶液をOIM
トリス、0.106n+M NaC1,0,02%アジ化ナトリウム、pH8,
4を用いて1.45mMにまで希釈し、この溶液100μlをマイクロタイター
平板の各ウェルに加えた(各ウェルにおける最終容量は200μlであった)。
405nmにおいて発色をモニターした。それぞれの標準及び試料についての吸
光度対時間の曲線勾配を測定した。標準曲線は、rt−PA標品についてのrt
−PA濃度の関数として、吸光度対時間の曲線勾配をプロットすることで作成し
た。次いで、突然変異体の相対活性濃度を標準曲線から測定した。各突然変異体
の活性濃度をrt−PA ELISAにて得られた突然変異体についての濃度で
除し、得られた比活性を、10値と帰属される野生型t−PAに相対させて表し
た。
C,S−2251検定
この検定はt−PA活性の間接検定法である。この検定法では、プラスミノーゲ
ンをt−FAの作用によりプラスミンに変換させるが、そのプラスミンがS−2
251基質を開裂してバラニトロアニリド発色団を放出するものである。次いで
、この発色団の発色を経時的に測定する。
1、フィブリン刺激S−2251検定
S−2288検定について記載しているようにして標準曲線試料を調製した。
その試料をプラスミン−セファロースと共にインキュベートすることにより、試
料を2本鎖に変換した。プラスミン−セファロースは、ヒトプラスミン(Kab
iVitrum)約20.8CUを臭化シアン活性化セファロース(ファルマシ
ア月11とカップリングさせて調製した。このプラスミン−セファロース(5%
スラリー50μl)を試料150μlと共に室温で90分間撹拌させながらイン
キュベートした。
インキュベートの後、得られた樹脂を遠心によって除去し、試料lOμlをマイ
クロタイター平板のウェルに加えた。
ヒトトロンビン(42単位/厘l溶液10μI)を各ウェルに加えた。ヒトGl
u−プラスミノーゲン(5,3μM)28μ11プラスミノーゲン不含のヒトフ
ィブリノーゲン(10μM)1011L 3IIM S−2251(KabjV
itrum)30 Ill、及びPBS62μlから構成される混合物(130
μl)を加え、各ウェル中の反応を開始させた。405nfflにおいて発色を
モニターL/、492r+mの参考波長における吸光度を各時点の吸光度から差
し引いた。吸光度対時間の二乗の曲線勾配を標準及び突然変異体試料について測
定した。標準曲線は、rt−PA標品についてのrt−PA濃度の関数として、
吸光度対時間の二乗の曲線勾配をプロットすることにより作成した。突然変異体
の相対比活性は、S−2288検定について記載したようにして測定した。
2 フィブリノーゲン刺激S−2251検定この検定は、PBSをトロンビンと
置き換える以外はフィブリン刺激S−2251検定について記載しているように
して行った。
3、血漿凝塊S−2251検定
標準曲線試料の調製及び、プラスミン−セファ0−スを使用する1末鎖rt−P
Aから2末鎖rt−P Aへの変換をフィブリン−刺激S−2251検定につい
て記載しているようにして行った。ヒトトロンビン(31Ng/翼l溶液10μ
r)をマイクロタイター平板の各ウェルに加えた。標準及び突然変異体試料(4
0μl)をその平板に加え、酸クエン酸デキストロースヒト血漿90μ!及び9
,1mM 5−2251 (KabiVitrum) 10 μlの混合物10
01!を加え、反応を開始させた。4Q5nmにおいて発色をモニターし、49
2nmの参考波長における吸光度を各時点の吸光度から差し引いた。得られたデ
ータの分析は、フィブリン刺激S−2251検定について記載したようにして行
った。
上記のB及び0項に記載している検定の結果を以下の第1表に示すが、ここでは
星印が本発明の突然変異体を表している。残りの突然変異体は従来から開示され
ていたものであり、これらは比較のために表に加えたものである。
S−2288検定の結果は、本発明の例示変異体が野生型t−PAと同等の、又
はそれ以上の活性を有していることを示している。
フィブリン刺激S−2251検定では、第1表に示している本発明の単一突然変
異体が野生型と同様の活性を有することが示されている。多重突然変異体である
E94A、D95A、N117Q、及びN117Q、D236A、D238A、
に240Aは野生型t−PAよりも実質的に活性が高い。この活性は驚くべきこ
とに、単一突然変異体のいずれよりも高いことが見いだされた。
フィブリノーゲン刺激S−2251検定の結果から、本発明の単一突然変異体の
殆どの活性は野生型t−PAと同等であることが見いだされた。予期せずに、2
つの多重突然変異体、E94A、D95A、N117Q及びN117Q、D23
6A、D238A、に24OAは単一突然変異体よりも実質的に高いことが見い
だされた。
血漿凝塊S−2251検定により、本発明の突然変異体の殆どが野生型t−PA
に匹敵する活性を有していることが見いだされた。
第1表
32251 52251 5225]、52288t−P A変異体 (mWi
i壇) (フィブリンのみ) (フィブリノーゲン) !2野生型 1.0 1
.0 1.0 1.0*E94A O,900,790,740,78*D95
A 1.07 0.87 0.85 0.98*E94A、D95A O,91
0,860,830,917103N O,670,800,470,93N1
17Q 1.10 1,07 1.62 1.01本D236A、D238^、
に24OA 1,01 0.87 0,83 0.97木E94A、D95A、
T103N O,630,820,521,09*E94A、D95^、N11
7Q ・ 1.2ff 1.51 2,25 1.25木E94A、D95A、
D236A、D238A、に24OA O,671,060,401,95T1
03N、N117Q 1.12 1,21 1,13 1.19木丁103N、
D236A、D238A、に240A O,640,660,521,12木N
117Q、D236A、D238^、に24OA 1,23 1,24 1.5
5 1.31本D95G O,991,361,150,95D、血漿凝塊溶解
検定
上述のフィブリン刺激S−2251検定にて説明したプラスミン−セファロース
を使用し、t−PA変異体のすべての試料を1本鎖から2本鎖形態に変換した。
血漿凝塊溶解検定は以下のようにして行った・ 015M塩化カルシウム10■
lをマイクロタイター平板ウェルに加えた。次いで、各ウェルに、遠心し045
マイクロン濾過したヒトクエン酸処理血漿プールを加えた。その内容物を完全に
混合し、血漿凝塊を形成させた。rt−PAの標準試料及び検定すべきt−PA
変異体を、それらの終濃度の2倍(18−800ng/W)にまで検定緩衝液で
希釈した。希釈緩衝液は0.1M NaC1,0,03M重炭酸ナトリウム(実
験の開始直前に新たに加える)、4mMK(J’、1mM塩化カルシウム、1m
M二塩基性リン酸ナトリウム、0.3mM塩化マグネシウム、0.4mM硫酸マ
グネシウム、20mM HEPES[4−[2−ヒドロキシェチルコー1−ピペ
ラジンエタンスルホン酸〕、及び0.01%ポリソルベート80.pH7,4を
含有している。
次いで、各標品又は変異体を1容量の血漿プールと混合した。この混合物100
μl全体を、周囲温度で6−8時間放置して血餅を生じさせた後の血漿凝塊の上
に重層した。次いで、各平板の光学密度を405止にて読みとった。次いで、そ
の平板を37℃で約15時間インキュベートし、光学密度の測定を繰り返した。
各ウェルについて、0から15時間までの光学密度値の差異を引き算によって計
算した。標品では、光学密度を標品の濃度のlogの関数としてプロットした。
この標準曲線から未知量を内挿した。同じく処理した野生型t−PA対照に標準
化した。標準曲線は4つのパラメーター適合プログラムを使用して決定した。使
用した平板解読装置は、5LT−ラボラトリーズのEAR340AT型であった
(オーストリアン。
得られた結果を以下の第2表に示すが、表中、1印は本発明の変異体を示してい
る。
第2表
クリアランス 血漿中
t−PA変異体 速度 凝塊溶解
野生型 1.0 1.0
本E94八 〇、61 0.82
*D95A 0.38 0.97
*E94^、 D95A O,340,747103N O,360,82
N117Q O,440,66
本D236A、D238A、に24OA 0.45 0.55本E94^、D9
5A、T103N O,170,57*E94A、 D95^、 N117Q
0.23 0.70*E94A、 D95A、 D236A、 D238^、
K240^ 0.56 0.40T103N、 N117Q O,270,86
木T103N、D236^、D238A、に24OA 0.26 0.91零N
117Q、D236A、D238A、に24OA O,340,45*095G
O,37N/^
N/Aは、このデータが入手できなかったことを示している。
本発明の単一変異体は、この検定において野生型t−PAに匹敵する活性、及び
N117Qよりも良好な活性を有している。 E94A、D95A、N117Q
。
及びT103N、D236A、D238A、に24OAなどの特定の多重変異体
における凝塊溶解活性は、野生型に匹敵している。
■、クリアランス速度検定
マウスに125−I−標識化t−PAを注入し、その血流中に残存する放射活性
量を経時的にモニターすることで、クリアランスを測定した。125−1−標識
化t−PAを製造するには、以下に説明する幾つかの工程が必要であった。
A、 t−PA変異体の放射線標識化
放射線標識化t−PA変異体を製造するための第1工程は、D−Tyr−Pro
−Arg−クロロメチルケトン試薬[YPRck、ビーチャム・バイオサイエン
ス、 Inc、。
フィラデルフィア、PAから入手したコを125−Iで標識化することである。
この試薬は、t−FAと不可逆的に結合し、t−PAの自己不活化基質(sui
cide 5ubstrate)として作用する。従って、t−PA分子は、こ
のYPRckによって形成される共有結合を介して間接的にヨウ素化される。
YPRck試薬は、Hunter及びGreenwood[Nature 19
4:495(1962)]に記載されている方法を基礎とする方法を使用し、ク
ロラミンT触媒ヨウ素化により放射線標識する。通常の反応では、1Mトリス−
HC/pH7,5(50μl)を、栓付き反応容器中のヨウ化ナトリウム−12
5[4ミリキユーリー、1. 8nIlall(40μI)に加える。この反応
物に、12mM塩酸中、100μg/IIlの保存溶液として調製しておいたY
PRck試薬(0,83ug、1゜8nmol)8. 3 u j!を加える。
得られた混合物は、ヨウ化ナトリウム及びYPRckの1:1の化学量論混合物
であった。領 1Mリン酸ナトリウム(pH7,5)中、lag/mI!クロラ
ミンT(12゜5μl)を添加し、ヨウ素化反応を開始させた。60秒後、04
1Mリン酸ナトリウム(pH7,5)中、lag/mfメタ重亜硫酸ナトリウム
25μlを添加し、ヨウ素化反応を停止させた。各添加の後にこの反応容器を旋
回させた。YPRckのヨウ素化の[1i[後に、0.01%Tween−20
を含有するPB82mlをその反応容器に加え、旋回させて放射活性標識物を希
釈した。本発明のt−PA変異体をコードするDNAによって6日前に形質転換
しておいた293細胞から、細胞培養上清を採取した。これらの細胞は変異体t
−PAタンパク質を活動的に分泌しており、その細胞培養培地は通常、約1μg
klのt−PAを含有している。希釈したYPRck−125−I試薬20μl
を細胞培養上清900μlに加えた。この混合物を25℃で1時間インキュベー
トし、次いで0.003%7 veen −20を含有するPBS中、01%ゼ
ラチンで前もって平衡化しておいたセファデックスG−25カラムに適用した。
各カラムから画分1mlを採取し、各画分の試料をトリクロロ酢酸沈殿させて測
定すると、通常は4番目の画分が、放射活性結合した総タンパク質の85%を含
有していた。
B 薬物動態検定
以下の検定法を使用し、YPRck−標識化t−PA変異体のマウスにおけるク
リアランスを計算した。各変異体の評価には、それぞれ4匹のマウスを使用した
。
YPRck−標識化t−PA変異体を濃度1百万cpm/mfにまで希釈した。
各マウスの尾に、05%BSA及び0.01%TWeen 20を含有するPB
Sの溶液中、YPRck−標識化t−PA100μEを注射した。マウスからの
採血は尾から対で行った。第1の対は最初の注射の後1.4.10,20及び3
0分後に採血した。
第2の対は最初の注射の後2.7.15.25及び40分後に採血した。血液7
0μlを10%トリクロロ酢酸(TCA)中で沈殿させた。ガンマ・シンチレー
ションカウンターを使用し、TCA沈殿物質をカウントし、第3図に示すように
グラフ上に代表的結果をプロットした。次いで、各マウスについての曲線下面積
(AUC)を計算した。次ぎに、式・ クリアランス=投与量/AUG を使用
し、クリアランス速度を計算した。t−PA変異体を投与したマウスの血液から
得られたクリアランス速度を野生型t−PAのそれに標準化した(野生型t−P
Aのクリアランス速度を変異体のクリアランス速度で割る)。
この検定の結果をクリアランス率として表し、それらを上記の第2表に示してい
る・例示した本発明のt−PA変異体は、野生型t−FAのそれよりも低いクリ
アランス率を有している。このことは、本発明の変異体が野生型t−PAと比較
して減少されたクリアランスを有していることを示している。二重及び三重変異
体の中には単一変異体よりも低いクリアランス率を有しているものがあった。突
然変異変異体、T103N、D236A、D238A、に240A;N117Q
、D236A、D238A、に240A;E94A、D95A、T103N;及
びE94A。
D95A、N117Qはすべて、それらの位置のいずれの単一突然変異体よりも
低いクリアランス率を有していた。
さらなるクリアランス速度の結果を以下の第3表に示す。
第3表の1欄に示したt−PA変異体(標準的な命名法を使用)は実質的に既述
のようにして入手し、試験した。番号性した残基のみを挙げているが、これはア
ラニンで置換したアミノ酸を意味している。
各変異体をコードするDNAを、一時的発現のためにヒト腎肝ライン293c細
胞[GrahamらのJ、GenJirol、 36:59(1977)]に、
又は安定な発現のためにCHO−Klセルライン(ATCC番号CL 61)に
トランスフェクトした(第3表の2欄に示している)。すべての試料は精製調製
物としてのrPURIFJと明示していない限り、非精製細胞培養土清として試
験した。
t−PAの細胞培養上清中濃度を、野生型t−PAに対して調製したポリクロー
ナル抗体を使用するELT SA(酵素連結免疫吸着検定)法によって測定した
。このクリアランス検定に使用した各t−PA変異体の量は、このELISA法
の結果に基づくものである(第3表の3欄に示している)。ELISAの値はμ
g / m lとして表している。
t−PA変異体の放射線標識化試料を用いて、+zs■−YPRckによってク
リアランス試験を行った。第3表の4欄に示しているマイクロキューリー/マイ
クログラム(μCi/μg)のデータは、t−PA変異体の無傷の活性部位の数
を表示するものである。
5欄は、標準化クリアランスで表した、マウスにおけるインビボ薬物動態検定の
結果を示している。各t−PA変異体のクリアランスを野生型t−PAのクリア
ランスで割り、それを率として表した。薬物動態クリアランスの値が低ければ低
い程、半減期が長いことを意味する。
第3表(続き)
血中t −p A fcpm/mll
要 約 書
野生型t−PAと比較して減少されたクリアランスを有する生物学的に活性な組
織プラスミノーゲンアクチベータ−(t−PA)、例えばt−PA分子の少なく
ともクリングル−1及び/又はクリングル−2ドメイン(群)に1つ又はそれ以
上のアミノ酸の改変を有している変異体を製造するものである。この変異体をコ
ードするDNA配列、並びにそのDNA配列を含有する発現ベクター及びその発
現ベクターによって形質転換された宿主細胞も製造できる。本発明の変異体は、
血管疾患又は症状を処置し、あるいは哺乳動物におけるフィブリン沈着もしくは
接着の形成又は再形成を予防するために医薬調製物中にて使用することができる
。
国際調査報告
国際調査報告