JP2928798B2 - プラスミノーゲンアクチベーターの変異体およびその製造方法 - Google Patents

プラスミノーゲンアクチベーターの変異体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、プラスミノーゲンアクチベーターの特定の
変異体、それを製造する方法、および予想外の改良され
た治療学的および物理化学的特徴、特に改良された循環
半減期とクリアランス速度を有する医薬的に活性な組成
物を製造するための、そのような変異体を利用する方法
およびそのような組成物に関する。
プラスミノーゲンアクチベーターは、酵素前駆体(チ
モーゲン)プラスミノーゲンを活性化し、フィブリンな
どの種々のタンパク質を分解するセリンプロテイナーゼ
のプラスミンを(Arg561−Val562部位での開裂によっ
て)生成される酵素である。研究されているプラスミノ
ーゲンアクチベーターの中には細菌性タンパク質である
ストレプトキナーゼ、腎およびその他の場所で合成さ
れ、普通は尿から排出される酵素であるウロキナーゼ、
および細胞内層の血管壁から産生される酵素であるヒト
組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)があ
る。
これらプラスミノーゲンアクチベーターの作用機序は
それぞれ異なっており、ストレプトキナーセはプラスミ
ノーゲンと複合体を形成してプラスミン活性を生じさ
せ、ウロキナーゼはプラスミノーゲンを直接開裂し、そ
してt−PAはフィブリンおおびプラスミノーゲンと3成
分の複合体を形成して血餅の存在する場所でプラスミノ
ーゲン活性を誘導する。
t−PAは、その高いフィブリン特異性とインビボにお
ける強力な血餅溶解能のおかげで、心筋梗塞などの心疾
患を並外れて処置できると示されている、特に重要かつ
強力な新たな生物学的医薬物質として同定され、記載さ
れている。
t−PAは多くの科学雑誌および特許出願公報の標的と
なっている。その存在は幾つかの研究グループを刺激
し、多くの情報が提供されてきたが、最初は、コーレン
[Collen、1981年12月16日公開の欧州特許出願公開第4
1,766号]らにより、天然起源から実質的に純粋な単離
物として同定され、要件としてのプラスミノーゲンアク
チベーター活性がインビボにおいて試験された。さら
に、対応する科学雑誌であるリッケン(Rijken)らのJ.
Biol.Chem.,256:7035(1981)も参照のこと。
その後、組換えDNA技術が使用されて独特の環境下で
大量のt−PAを得ることに成功し、その研究に基づきDN
A配列および推定アミノ酸配列が明らかにされ、t−PA
の完全な同定および特性化がなされた。この研究は、ペ
ニカ(Pennica)らのNature,301:214(1983)、および1
983年11月9日公開の欧州特許出願公開第93,619号に報
告されている。
多くの他の研究者が、基本的にこの後者の開示を利用
することにより組換えDNA技術によってt−PA分子を調
製できるようになり、それに基づく報告を行っている。
これらの研究者の中には、この基本的な構造の将来可能
な変異体を公に開示している者もあるが、彼らは、生物
学的または薬物動態的効果が全体として変動し得る誘導
体を、机上論として単に予測しているに過ぎない。これ
らの開示事項は大部分、実際の生物学的または薬物動態
的な全体の効果に関して予言的であり、不確かなもので
ある。
最初のt−PAの組換え工学的な生産に引き続いて、そ
の分子特性の確定および生物学的効果と確認という研究
所における類似した試みが、科学文献および各種の特許
出願の両方に現実に報告されている。これらすべては、
生物学に基づく種々の最終目的に応じ、t−PAの商業的
可能性を完全に探究し、開発するために、その基本構造
を修飾しようという試みに沿った研究が好まれる傾向に
あるようである。
このような研究および開示事項に部分的に基づけば、
t−PAの分子は、トリプシン、キモトリプシン、プラス
ミノーゲン、プロトロンビン、フィブロネクチンおよび
表皮性成長因子(EGF)などの他の種々のタンパク質中
に同定される相同的(ホモローガス)な、またはそうで
なくてもそれらに類似した構造に照らして規定される5
つのドメイン(アミノ酸配列の並び)を含有しているこ
とは、現在では明らかであると思われる。これらのドメ
インは、t−PAのアミノ酸配列のN−末端から開始し
て、(1)アミノ酸1から約44を包含するものとして種
々規定されるフィンガー領域(F)、(2)アミノ酸約
45からアミノ酸91にまで伸長するものとして種々規定さ
れる成長因子領域(G)[EGFとの相同性に基づく]、
(3)アミノ酸約92からアミノ酸約173にまで伸長する
ものとして種々規定されるクリングル1(K1)、(4)
アミノ酸約180から約261にまで伸長するものとして種々
規定されるクリングル2(K2)、および(5)アミノ酸
約264からt−PA分子のC−末端にまで伸長するものと
して一般に規定される、いわゆるセリンプロテアーゼド
メイン(P)、と命名されている。これらのドメインは
一般に、互いに隣接して配置しているか、または短い
「リンカー」領域によって分割され、推定された成熟型
のt−PAの1から527アミノ酸全体のアミノ酸配列を占
めている。
各ドメインは、ある種の比活性に関与するものとして
種々記載されている。フィンガードメインは、フィブリ
ンとの高い結合親和性にとって少なくも主要な重要性を
持つ配列を含有しているものとして種々記載されている
(この活性は、t−PAがフィブリン豊富な血栓の病巣に
おける血餅の溶解に対して顕す高い特異性にとって重要
であると考えられている)。成長因子様領域も、同様
に、好くなくともウロキナーゼに関しては細胞表面結合
活性に関係している。クリングル2領域も、フィブリン
結合性、およびt−PAの活性を刺激するフィブリンの刺
激能に強く関係している。セリンプロテアーゼドメイン
は、プラスミノーゲンを活性化するためのt−PA活性に
関与している。
可能性あるN−連結グリコシル化部位は、天然の成熟
t−PAについて番号付けすれば分子内の117、184、218
および448アミノ酸部位に存在している。218アミノ酸部
位は天然t−PAではグリコシル化されていない。117ア
ミノ酸におけるグリコシル化部位は、高いマンノース型
であると特性化され、他の2つの部位はいわゆる複合オ
リゴサッカライド構造を呈している。t−PA分子をグリ
コシル化可能な宿主細胞から誘導させた場合、117およ
び448部位は常にグリコシル化されるようであるが、184
部位は分子の約50%がグリコシル化されると考えられ
る。
この184部位のグリコシル化/非グリコシル化現象
は、SDS−PAGE分析によって証明されており、それによ
れば1つは184位のグリコシル化分子に関連し、他方は1
84位の非グリコシル化分子に関連する2つのバンドを認
めることができる。これらのバンドはそれぞれt−PAの
I型およびII型と命名されている。この部分的なグリコ
シル化パターンは、184部位がt−PAタンパク質内の立
体配座的(コンホーメーション的)に保護された部位に
配置している結果であると考えられる。
科学的に注目されている他の場所は、アミノ酸275か
ら約279として規定される領域内にある、いわゆるタン
パク分解的開裂部位、より具体的には天然分子の275お
よび276アミノ酸間の結合である。タンパク分解的に崩
壊され難くなるようにこの部位に突然変異を起こさせれ
ば、生物学的および商業的に何等かの利点を有すると考
えられる、単一鎖すなわち1本鎖形態を維持した分子が
創製される。
既述のように、もう1つのプラスミノーゲンアクチベ
ーターであるウロキナーゼは、ヒトの尿およびヒト腎細
胞培養液から精製され[グンツラー(Gunzler)らのHop
pe−Seyler′s Z.Physiol.Chem.,363:1155−1165(198
2)、およびステフェンス(Steffens)らのHoppe Seyle
r′s Z.Physiol.Chem.,363:1043−1058(1982)]、組
換え的に製造されている[EPO公開第154,272号およびホ
ーメス(Holmes)らのBiotechnology,3:923−929(198
5)]。
ウロキナーゼは411個のアミノ酸を含有しており、そ
れはN−末端リーダー配列を伴って産生されてプロウロ
キナーゼの生産を導びき、それが成熟期に開裂されて製
造される。プロウロキナーゼは逆にピラスミンにより開
裂され、2つのウロキナーゼ種になる:分子量54,000ダ
ルトンのものと分子量33,000ダルトンのものである。
ウロキナーゼは3つの同定可能なドメインを有してい
る:すなわち、5位から49位までを包含する成長因子ド
メイン、50位から136位までを含むクリングルドメイ
ン、および159位から411位までを包含するセリンプロテ
アーゼドメインである。プロウロキナーゼも同様に、こ
れら3つのドメインから構成される。グンツラーらを参
照(前掲)。ウロキナーゼ内における酵素学的に活性な
アミノ酸残基は204位、255位および356位に位置してお
り、N−連結グリコシル化部位はAsn302に存在する。
ウロキナーゼは、大量に使用した場合、凝集の崩壊と
フィブリン分解因子の活性化を招来し、出血傾向に導
く。これとは対照的に、EPO公開第139,447号およびJ.Bi
ol.Chem.260:12377(1985)に記載されている、ヒトウ
ロキナーゼの前駆体であるプロウロキナーゼは、実質的
な出血を誘発させることなく、血栓を溶解する[Cell S
truc.Func.,10:151(1985)]。
プラスミノーゲンアクチベーターおよび第二世代のそ
の誘導体に関しては、ハリス(Harris)のProtein Engi
neering,1:449−458(1987)に概説されている。
天然のt−PAは、治療学的有効量で患者に投与した場
合、通常約6分またはそれ以下の血漿半減期を示す。プ
ロウロキナーゼも同様の半減期を有する。このような半
減期は、例えば心筋梗塞または肺塞栓症などの致死性の
疾患に対して急性の攻撃的治療を施すような特定の場合
には望ましい。この高い危険性を伴う状況下では、制御
できない出血傾向を引き起こす重要な、または認識でき
ない可能性を有する患者を処置してしまう場合がある。
このような出血が起こった場合は、薬物投与を中止すれ
ば、その原因となるt−PAレベルは速いクリアランス速
度によって即座に消失されよう。
しかし、他の状況下、例えば再灌流(reperfusion)
を行って心筋梗塞を処置する場合、望ましい治療計画は
攻撃性の低い、長時間(4から12時間)にわたるもので
ある。長い半減期型のt−PAは、生命が脅かされている
ような状況にない患者ではさらに望ましく、効率的かつ
簡便な処置と考えることができる。さらに、より長い半
減期のt−PAはボーラス投与用の剤として望ましいであ
ろう。例えば、救急車の職員は一般に注入の資格をもっ
ていないので、より大きな半減期を有するt−PA様物質
を使用するのは非常に望ましいであろう。
t−PAにおける上記の規定されたドメインおよびグリ
コシル化部位のすべて、および1本鎖/2本鎖開裂部位
は、特定の潜在的生物学的活性成分を有するものとして
記載されている。例えば、フィンガードメインの実質的
部分またはそのすべてを除去すれば、フィブリン結合特
性が実質的に減じられているが、代わって得られた分子
の全体としてのクリアランス速度は低下している分子が
得られることになる。
天然分子を修飾して1本鎖から2本鎖への開裂部位を
破壊すると、若干改変された生物活性と、より良好な安
定性とを有しており、同時にフィブリン結合性とフィブ
リン刺激性とが2本鎖t−PAと比較して増大している分
子が得られる。
117−119、184−186および448−450におけるグリコイ
ル化突然変異体は、炭水化物のモル%が現象するに連れ
て、より高い比活性を示した。EPO公開第227,462号を参
照のこと。さらにDNA修飾によってN−フリコシル化部
位は選択的に除去されているが残りのO−連結炭水化物
は含有している、Asn119、Ala186およびAsn450のt−PA
突然変異体は、インビトロ溶解性試験においてメラノー
マ(黒色腫)t−PAの約2倍も強力であることが見いだ
された。EPO公開第225,286号参照。
しかし、グリコシル化部位を改変、特に117アミノ酸
を改変した場合、改変された循環半減期のパターンおよ
び/またはフィブリン結合特性を付加的に招来する場合
のある、溶解性に影響を受けた分子が常に得られるよう
である。
t−PAの成長因子ドメインを除去した場合は、ファン
・ゾンネベルド(A.J.van Zonneveld)らのThrombos.Ha
emostas.,54(1)4(1985)に報告されているよう
に、得られた突然変異体は依然活性であり、フィブリン
と結合する。また、成長因子ドメインに種々の欠損を施
した場合については特許文献に報告されている。EPO公
開第241,209号(デス51−87)、EPO公開第241,208号
(デス51−87およびデス51−173)、PCT87/04722(N−
末端1−91のすべてまたはその一部を除去)、EPO公開
第231,624号(成長因子ドメインすべての除去)、およ
びEPO公開第242,836号および日本国特許出願公開第62−
269688号(成長因子ドメインのいずれかまたはすべての
除去)を参照のこと。
t−PAの最初のクリングルドメインおよび成長因子ド
メインに修飾を施すことで、循環半減期を増大させるこ
とができる。1987年10月14日公開のEPO特許公開第241,2
08号を参照のこと。アミノ酸51および87間の領域をまと
めてt−PAから除去すれば、血漿からのクリアランスが
よりゆるやかな変異体を得ることができる[ブローン
(Browne)らのJ.Biol.Chem.263:1599−1602(198
8)]。さらに、t−PAは、特定のアミノ酸残基を除去
するか、または1つもしくはそれ以上のアミノ酸を別の
アミノ酸と置換することによって、逆の生物学的効果を
伴わずに、成熟した天然t−PAの67−69アミノ領域を修
飾することができる。1987年10月7日公開のEPO特許公
開第240,334号を参照のこと。さらに、ヒトプロウロキ
ナーゼタンパク質の表皮性成長因子ドメインのすべてま
たはその一部を除去するか、1つもしくはそれ以上の別
のアミノ酸残基と置換した場合、得られた変異体は血中
半減期が増大している。1988年1月20日公開のEPO特許
公開第253,241号を参照のこと。
当該技術分野においては、天然のプラスミノーゲンア
クチベーター分子以上に改善された薬物動態特性のプラ
スミノーゲンアクチベーター分子を付与するよう修飾す
ることのできる、該分子内における特定の部位を確定す
ることが現在の継続的な要求である。このような変異体
分子は、心臓血管疾患、および血管の血栓塞栓性閉塞に
起因する他の多くの臨床状態を処置する上で医療科学的
に重要である新規な代替法を提供することになろう。
このように、本発明の目的の1つは、改善された治療
学的および医薬的性質を示す血餅−溶解性物質を必要す
る患者にプラスミノーゲンアクチベーター分子を提供す
ることである。
本発明の他の目的は、現在入手可能な血餅−溶解性物
質と比較してより長い半減期およびより遅い血漿からの
クリアランス速度を有するプラスミノーゲンアクチベー
ター分子を提供することである。
また、本発明は、天然t−PAと比較してより長い循環
半減期およびより長い血漿からのクリアランス速度を有
する血餅−溶解性物質を使用することのできる状態、例
えば深静脈血栓または末梢動脈血栓(末梢血管疾患)な
どの疾患を処置することを目的としている。
これらおよびその他の目的は当業者には明白であろ
う。
これらの目的は、フィブリン溶解活性を示し、かつ対
応する天然プラスミノーゲンアクチベーターではグリコ
シル化されていない1つまたはそれ以上の領域がグリコ
シル化されているプラスミノーゲンアクチベーターのア
ミノ酸配列変異体が得られたことによって達成される。
1つの好ましい態様では、このようなグリコシル化
は、式:Asn−X−SerまたはAsn−X−Tyr[式中、Xは
プロリン以外のアミノ酸である]で示されるトリペプチ
ド配列を含有する変異体の部位で行われる。
もう1つの態様では、プラスミノーゲンアクチベータ
ーはその成長因子ドメイン内がグリコシル化されてい
る。
さらに他の態様では、プラスミノーゲンアクチベータ
ーはt−PAであり、t−PAの天然アミノ酸配列にしたが
って番号付けした場合のその67位におけるチロシン残基
が、アスパラギン、セリンまたはスレオニンなどのグリ
コシル化することのできる他のアミノ酸(好ましくはア
スパラギン)と置換しているものである。
本発明はその他の態様として、上記の変異体をコード
しているDNA配列、形質転換宿主細胞内でそのDNA配列を
発現することのできる複製可能な発現ベクター、および
そのベクターによって形質転換されている微生物および
細胞培養物を提供するものである。
さらに、本発明は、医薬的に許容され得る担体と一緒
になって本明細書に記載の変異体を治療学的有効量で含
有してなる、血管疾患または症状を処置するための組成
物を提供するものである。
さらにもう1つの態様として、本発明は、本発明の変
異体を含有する前記の組成物を患者に投与することを特
徴とする、患者における血管疾患または症状の処置方法
を提供するものである。
本発明は、天然分子では通常グリコシル化されていな
いプラスミノーゲンアクチベーターの部位がグリコシル
化されることにより、天然物質と比較して延長した循環
半減期とより遅いクリアランス速度とを示す変異体が得
られることを証明した、特定の成功を収めた研究を特に
基礎としている発明である。本発明の結果物は、アミノ
酸配列が全体としては実質径に天然物質と異なっている
が、商業的方面の開発において天然物質と競合できる程
に、またはその代替物質としての薬物動態的性質を有す
る分子である。
第1図は、哺乳動物細胞および酵母から産生されたタ
ンパク質のN−連結グリコシル化のポターンを表示する
ものであり、図中、SAはシアル酸を、galはガラクトー
スを、manはマンノースを、GlcNaCはN−アセチルグリ
コサミンを、そしてAsnはアスパラギンをそれぞれ表し
ている。
第2図は、5つのドメイン、ジスルフィド架橋および
グリコシル化部位の位置を示しているt−PAの1次構造
である。
第3図は、3つのドメイン、ジスルフィド架橋および
グリコシル化部位の位置を示しているウロキナーゼの1
次構造である。
第4a図、第4b図および第5a図、第5b図は、pCISt−PA
を調製するための適当な方法を説明し、その主要な制限
部位を幾つか併せて記載している模式図である。
第6図はp7−1Hを調製するための適当な方法を説明
し、その主要な制限部位も幾つか併せて記載している模
式図である。
第7図は、天然の比活性に対する百分率(%)として
表している、rt−PAおよびグリコシル化されているN67t
−PAのインビトロ血餅溶解の結果およびS−2251の結果
を示すものである。結果は、幾つかの独立した観察事項
(血餅溶解、4つの測定値;S−2251、2つの測定値)の
平均である。すべては、293細胞において一時的に発現
された物質由来であり、ELISAによって定量した。
第8図は、t−PA濃度10ng/mlにおけるrt−PAおよび
グリコシル化されているN67t−PAのフィブリン結合性を
示している。両者共に293細胞で一時的に発現させた。
第9A−9C図は、還元し、カルボキシメチル化したrt−
PA、N67t−PA、およびN−グリカナーゼ処理(脱グリコ
シル化)N67t−PAのトリプシン・マッピング分析におけ
る逆相HPLCプロフィルをそれぞれ示すものである。すべ
て、293細胞で一時的に発現させた。
第10図は、rt−PA、デス1−44t−PA、デス1−44E27
5t−PA、デス1−44E275D184、およびグリコシル化N67t
−PAのウサギにおける薬物動態プロフィルを示すもので
ある(N67t−PAを除いてすべて、安定なCHOセルライン
から発現された)。N67物質は293細胞における一時的な
発現により入手した。
好ましい態様の詳細な説明 A.定義 本明細書で使用している「プラスミノーゲンアクチベ
ーター」なる用語は、プラスミノーゲンをプラスミンに
変換できるタンパク質を意味する。このようなプラスミ
ノーゲンアクチベーターには例えば、あらゆる種由来
の、好ましくはヒト由来の組織型プラスミノーゲンアク
チベーター、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ;ストレ
プトキナーゼなどがある。これらプラスミノーゲンアク
チベーターは、例えば組換え細胞培養系によって生物活
性型で産生させることができる。配列全体におけるアミ
ノ酸(群)の相違から証明されるように、個体間毎に天
然のアレル変異体が存在し、生じていることは理解され
よう。
「対応する天然のプラスミノーゲンアクチベーターで
はグリコシル化されていない1つまたはそれ以上の領域
がグリコシル化されている」なる表現は、N−またはO
−連結の別は問わず、酵母または哺乳動物宿主という由
来を問わず、また複雑な高マンノースまたは雑種構造の
いかんにかかわらず、天然分子では実際にまたは潜在的
にもグリコシル化されない領域に起こっているグリコシ
ル化を意味する。このような実際または潜在的な位置
は、t−PAおよびウロキナーゼについてそれぞれ第1図
および第2図に丸印で示している。したがって、例えば
t−PA分子内にはN−グリコシド連結の可能性ある部位
は4つあるが(Asn117、Asn184、Asn218およびAsn44
8)、天然のt−PAは実際には3つの部位(117、184、
(分子の50%)および448)しかグリコシル化されてい
ない。t−PAにおけるAsn218−Pro−Ser部位はグリコシ
ル化の可能性ある部位であるが、その配列にはプロリン
が存在しているので、哺乳動物細胞では、炭水化物結合
に利用されない[ポール(G.Pohl)らのBiochemistry,2
33701(1984)を参照]。ウロキナーゼでは、グリコシ
ル化は302位に起こる。
本明細書で使用している「成長因子ドメイン」なる用
語は、ヒトおよび/またはネズミ表皮性成長因子と構造
的にホモローガス(相同的)なプラスミノーゲンアクチ
ベーターの領域を意味する[例えば、バニャイ(Banya
i)らのFEBS Lett.,163:37(1983)を参照]。t−PA内
では、この領域はアミノ酸約44から約91にまでわたる。
プロウロキナーゼでは、この領域は約N−末端セリンか
ら約49番目のアミノ酸残基スレオニンにまでわたる。そ
して、ウロキナーゼでは、約5から約49にこの領域がわ
たっている。t−PAにおけるこのドメインの大部分(51
−86残基)をコードしているDNAおよび50−87残基を部
分的にコードしているDNAは、単一のエクソンに含有さ
れている[ネイ(Ny)らのProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.
A.,81:5355(1984)]。
本明細書で使用している「ヒト組織プラスミノーゲン
アクチベーター」、「ヒトt−PA」および「t−PA」な
る用語は、プラスミノーゲンをプラスミンに変換するこ
とのできるプロテアーゼドメイン、およびフィブリン結
合性に関与していると考えられているグリングル含有ド
メインから構成される2つの機能的領域を含有するヒト
外因性(組織型)プラスミノーゲンアクチベーターを規
定するものである。したがって、これら3つの用語に
は、配列全体の一部としてこれらの機能的なドメインを
含有するポリペプチドが含有される。
t−PAにおける「2本鎖開裂部位」は少なくとも275
位のアルギニン残基を含有している。しあし、275位の
幾つかの残基内のまたはそれに隣接している種々のアミ
ノ酸も、プラスミノーゲンアクチベーターをその2本鎖
型に変換させる酵素によって認識されるドメインの一部
であると考えられる。したがって、275位以外のそのド
メイン内の位置のアミノ酸を置換することにより、2本
鎖型への変換に耐性である突然変異プラスミノーゲンア
クチベーターを得ることができるであろう。
特定の態様では、「1本鎖プラスミノーゲンアクチベ
ーター突然変異体」とは、2本鎖型への変換に耐性であ
るプラスミノーゲンアクチベーターである。その特徴
は、2本鎖活性部位における単一または多重アミノ酸の
置換である。修飾されれば、このような活性部位は酵素
学的に認識されず、したがって通常プラスミノーゲンア
クチベーターをその2本鎖型に変換する酵素によっては
加水分解されない。このような突然変異体の注目に値す
る例としては、275から279領域内に修飾を施すことによ
って、例えば275位にグリシンまたはグルタミン酸など
のアルギニン以外のアミノ酸を有する、および275位に
グルタミン酸および277位にイソロイシンを有する、275
/276開裂部位の開裂に対して耐性である分子(それぞれ
G275,E275、おおびE275I277と命名される)が挙げられ
る。これらの1本鎖突然変異体は欧州特許出願第199574
号(1986年10月29日)により詳細に記載されている。
B.一般的方法 1.グリコシル化 プラスミノーゲンアクチベーターのアミノ酸配列変異
体は、O−またはN−連結を介してグリコシル化するこ
とができ、そして天然分子では通常はグリコシル化され
ていない少なくとも1つのアミノ酸配列を含有していな
ければならない。
N−連結グリコシル化を考えた場合、変異体における
グルコシル化部位は、式: アスパラギン−X−セリンまたはアスパラギン−X−
スレオニン [式中、アスパラギンはアクセプターであり、Xはグリ
コシル化を妨げるプロリンを除く、遺伝学的にコードさ
れた20個のアミノ酸のいずれかである] で示されるトリペプチド配列である。ストラック(D.K.
Struck)およびレンナーツ(W.J.Lennarz)のThe Bioch
emistry of Glycoproteins and Proteoglycans,レンナ
ーツ編,プレノーン・プレス,1980,35頁;マーシャル
(R.D.Marshall)のBiochem.Soc.Symp.,40:17(197
4)、およびウィンツラー(Winzler,R.J.)のHormonal
Proteins and Peptides(リー(Li,C.I.)編)1−15頁
(アカデミック・プレス,ニューヨーク,1973)を参照
のこと。本明細書に記載のアミノ酸配列変異体は、適切
な部位(群)に適当なアミノ酸(群)を挿入するか、ま
たは適切な部位(群)のアミノ酸(群)を適当なアミノ
酸と置換してグリコシル化を行うことによって、修飾さ
れている。
O−連結グリコシル化を使用する場合は、O−グリコ
シド連結は動作細胞では、N−アセチルガラクトサミ
ン、ガラクトースまたはキシロースと、数種のヒドロキ
シアミノ酸の中の1つ、最も普通にはセリンまたはスレ
オニンで起こるが、さらにある場合には、分子の適当な
領域内に位置する5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒ
ドロキシリジン残基との間でも起こる。
哺乳動物によって産生されるタンパク質のグリコシル
化パタンーンは、The Plasma Proteins:Structure,Func
tion and Genetic Control,プットナン(F.W.Putnam)
編,2版,4巻(アカデミック・プレス,ニューヨーク,198
4),271−315頁に詳細に記載されている。この章では、
アスパラギン連結オリゴサッカライドが論じられてお
り、これはその文献の中で、複合体、高マンノース(hi
gh mannose)および雑種構造と命名される少なくとも3
つのグループ、ならびにO−グルコシル的に連結したオ
リゴサッカライドに細分類されている。
グリコシドのタンパク質への化学的および/または酵
素学的カップリングは、例えばアプリン(Aplin)およ
びリストン(Wriston)のCRC Crit.Rev.Biochem.,259−
306頁(1981)に記載されているように、種々の活性化
された基を使用して行うことができる。この化学的カッ
プリング法の利点は、それが比較的単純であり、天然に
おけるO−およびN−連結グルコシル化に要求される複
雑な酵素学的機構を必要としない点である。使用するカ
ップリング法の態様に応じて、糖(群)を、(a)アル
ギニンまたはヒスチジン、(b)グルタミン酸またはア
スパラギン酸などの遊離カルボキシ基、(c)システイ
ンなどの遊離スルフィドリル基、(d)セリン、スレオ
ニンまたはヒドロキシプロリンなどの遊離ヒドロキシ
基、(e)フェニルアラニン、チロシンまたはトリプト
ファンなどの芳香性残基、または(f)グルタミンのア
ミド基と結合させればよい。これらの方法は、1987年9
月11日公開のPCT WO87/05330により詳細に記載されてい
る。
酵母から産生されるタンパク質のフリコシル化のパタ
ーンはタンナー(Tanner)およびレール(Lehle)のBio
chim.Biophys.Acta,906(1):81−99(1987)およびク
クルチンスカ(Kukuruzinska)らのAnnu.Rev.Biochem.,
56:915−944(1987)に詳細に記載されている。
さらに、第1図には、哺乳動物細胞および酵母から産
生されるタンパク質のN−連結グリコシル化の両パター
ンを比較して示している。
2.アミノ酸配列変異体 本明細書に記載の変異体について論じるために、t−
PAおよびヒトウロキナーゼの一次構造をそれぞれ示した
第2図および第3図を引用して行う。
第2図では、丸印内の文字は1文字アミノ酸コードで
あり、両鎖間の連結線はジスルフィド架橋を示してお
り、白抜きの丸印はグリコシル化部位を示しており、そ
してF、GF、K1、K2およびSPなる略語はそれぞれ、フィ
ンガー、成長因子、クリングル1、クリングル2および
セリンプロテアーゼドメインを表している。
第3図では、丸印内の文字は1文字アミノ酸コードで
あり、両鎖間の連結線はジスルフィド架橋を、白抜きの
丸印はグリコシル化部位を、そしてGF、KおよびSPなる
略語はそれぞれ成長因子、クリングルおよびセリンプロ
テアーゼドメインを示している。
本明細書に記載しているプラスミノーゲンアクチベー
ター変異体を簡略命名法によって命名するため、数字
は、推定の成熟t−PA[EPA公開第93,619号]、成熟ヒ
トウロキナーゼおよびプロウロキナーゼのアミノ酸配列
に沿ったアミノ酸残基/位置を表していることに留意さ
れたい。アミノ酸の特定には以下のようなアルファベッ
トの1文字を使用している: このような1文字の後にある数字はアミノ酸の位置を
表しており、したがって例えばD184は、184位にアスパ
ラギン酸を有している変異体を意味している。
本発明の目的に適うグリコシル化部位(群)は、対応
する天然タンパク質において既にグリコシル化されてお
らず、またはその可能性のない分子内のあらゆる部位
(群)でよいのであるが、外部にさらされている分子位
置内の部位であることが好ましい。このような領域とし
ては、例えばt−PAの(成長因子ドメイン内の)57位か
ら61位、63位から69位、および78位から82位のアミノ酸
位置が挙げられる。これらの領域はそれぞれ、アペラ
(Appella)らのFEBS Letters,231:1−4(1988)の第
2図に示された1型成長因子ドメインのA、BおよびC
ループに相当する。したがって、O−連結グリコシル化
のためには、これらの領域内の1つまたはそれ以上のア
ミノ酸をセリン、スレオニンまたは5−ヒドロキシリジ
ン残基と置換またはそれらを付加する。
これらの領域を使用するN−連結グルコシル化に適し
た代表的変異体には、S60t−PA、S17ウロキナーゼ、T60
t−PA、T17ウロキナーゼ、N64S66t−PA、N64T66t−PA、
S−24ウロキナーゼ、T24ウロキナーゼ、N65S67t−PA、
N65T67t−PA、N23S25ウロキナーゼ、N23T25ウロキナー
ゼ、N67t−PA、N67T69t−PA、N25ウロキナーゼ、N25T27
ウロキナーゼ、N78S80t−PA、N78T80t−PA、N36S38ウロ
キナーゼ、N36T38ウロキナーゼ、N79S81t−PA、N79T81t
−PA、N37T39ウロキナーゼ、N37T39ウロキナーゼ、N80S
82t−PA、N80T82t−PA、N38S40ウロキナーゼ、N38T40ウ
ロキナーゼ、または例えばS60N65T67t−PAもしくは、S6
0N78S80t−PAなどの、1つのループと他のループとの組
合わせ物がある(ここに、ウロキナーゼはヒトウロキナ
ーゼを意味し、ヒトプロウロキナーゼをも包含する)。
1つの好ましい態様は、N−連結グリコシル化部位が
t−PAの67位から69位、ならびにヒトウロキナーゼおよ
びヒトプロウロキナーゼの25位から27位におけるチロシ
ン−フェニルアラニン−セリンのトリペプチド配列の場
合である。
本明細書に記載のプラスミノーゲンアクチベーター変
異体は、天然の配列における1つまたはそれ以上の部位
が修飾されていることにより天然分子では通常グリコシ
ル化されない部位がグリコシル化されていることに加
え、さらに天然配列におけるその他の領域に残基の置
換、欠失または挿入を含み該分子の特定の性質が改良さ
れていることもある。
例えば、本発明のt−PA変異体には、少なくともフィ
ンガードメインの部分を欠き、および/または184アミ
ノ酸の回りのグリコシル化部位におけるグリコシル化能
を欠いているものがあり、また275および276アミノ酸の
回りの部位にタンパク分解的開裂に対して耐性を示し、
および/またはグリングル2の推定リジン結合部位にア
ミノ酸修飾を有するものもある。
さらに、t−PAのフィブリン結合性は調整することが
でき、最も好ましいものは、t−PAの推定リガンド結合
性ポケットの反対の端における陽性または陰性に帯電す
るアミノ酸残基を適当に置換することによって、フィブ
リン結合性を修復または増大させることである。本発明
の変異体は一般に、以下で詳細に説明する部位−特異的
突然変異まはた切除/連結法によって調製される。
このようなt−PA変異体を特別に例示すれば、アミノ
酸1−44を欠いている分子(デス1−44と命名)、184
位にアスパラギン酸を有している分子(D184と命名)、
および1本鎖プラスミノーゲン突然変異体が挙げられ
る。アミノ酸1−44を欠く変異体は同時係属中の米国特
許出願第68,448号(前掲)により完全に記載されてい
る。
上記のt−PA変異体はすべて、本分子内の種々の他領
域が修飾されていてもよい。例えば、 1 クリングル1の修飾、例えば約92から179の欠失、
および/または 2 クリングル2の修飾、例えばアミノ酸約205−215領
域、特に210−213における修飾、および/または 3 アミノ酸約244−255、特に252またはその部位、お
よび/または 4 アミノ酸約233−242、特に236−238、および/また
は 5 アミノ酸184などの既知のグリコシル化部位。
67位にアスパラギンを有する上記変異体の具体例を以
下に記載する:デス1−44N67D184G275t−PA、デス1−
44N67D184E275t−PA、デス1−44N67G275t−PA、デス1
−44N67E275t−PA、デス1−44N67Q275I277t−PA、デス
1−44N67D184E275I277t−PA、デス1−44N67E275I277t
−PA、デス1−44N67R210A211R212R213E275t−PA、デス
1−44N67R210A211R212R213E275I277t−PA、デス1−44
N67K213E275t−PA、デス1−44N67K213E275I277t−PA、
デス1−44N67R252E275t−PA、デス1−44N67R252E275I
277t−PA、デス1−44N67K210E275t−PA、デス1−44N6
7K210E275I277t−PA、デス1−44N67R210H211Q212K213E
275t−PA、デス1−44N67R210H211Q212K213E275I277t−
PA、デス1−44N67D184R210A211R212R213R252E275t−P
A、デス1−44N67D184R210A211R212R213R252E275I277t
−PA、N67−デス92−179D184R210A211R212R213R252E275
t−PA、またはそれらのN184およびS184同族体、および
それらの組合わせ物。
これら多くの修飾により、天然のt−PAと比較して有
意にクリアランス速度およびフィブリン結合性を改変す
ることができる。当業者ならば、適当な検定法によっ
て、個々の場合に望まれる、各変異体の最高の性質が何
であるのかを決定することができよう。
当業界で知られているあらゆる手段、例えば以下に記
載するような、部位特異的突然変異、または適当な配設
を関連タンパク質をコードしているDNAに連結する手段
によって、天然分子内の適当なアミノ酸(群)を変化ま
たは挿入する修飾を施して上記のような様々な配列を得
ることができる。
3.部位−特異的突然変異 本明細書に沿ってt−PA変異体を製造するに当たって
は、好ましくは、t−PAタンパク質の初期に調製された
変異型または非変異型誘導体をコードしているDNAに部
位−特異的突然変異を施す。部位−特異的突然変異によ
れば、回避しようとする(トラバースしようとする)突
然変異部位の両側に安定な二重ラセン(duplex)を形成
するに充分な大きさおよび配列複雑性を有する配列とな
る、所望の突然変異のDNA配列をコードしている特定の
オリゴヌクレオチド配列、および十分な数の隣接ヌクレ
オチドを使用することによって、t−PA変異体を製造す
ることができる。通常は、約20−25長のヌクレオチドの
プライマーが好ましく、その配列の接合部の両側におけ
る約5−10の残基が改変される。部位−特異的突然変異
の技法は、アデルマン(Adelman)らのDNA2:183(198
3)などの刊行物によって例示されているように、一般
には当業界周知である。
この部位−特異的突然変異技法は通常、1本鎖および
2本鎖の両形態で存在するファージベクターを使用する
ことは理解されているとおりである。部位−特異的突然
変異に有用である代表的なベクターにはM13ファージな
どのベクターがあり、これは例えばメッシング(Messin
g)らの第3回クリーブランドにおける、巨大分子およ
び組換えDNAについてのシンポジウム[Third Cleveland
Symposium on Macromolecules and Recombinant DNA、
ウオルトン(A.Walton)編,エルセビア(Elsevier),
アムステルダム(1981)]に開示されている。これらの
ファージは市販されており容易に入手でき、それらの使
用法は一般に当業者には周知である。あるいは、1本鎖
DNAを得るために、1本鎖ファージの複製起点を含有す
るプラスミドベクター[エイラ(Veira)らのMeth.Enzy
mol.153:3(1987)]を使用することもできる。
一般に、本発明にしたがった部位−特異的突然変異
は、適切なプラスミノーゲンアクチベーターをコードし
ているDNA配列をその配列内に含有する1本鎖ベクター
をまず入手することにより実施する。所望の突然変異配
列を有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般には
合成的に、例えばクレア[Crea,Proc.Natl.Acad.Sci.,
U.S.A.75:5765(1978)]らの方法によって調製する。
次いで、このプライマーを1本鎖のt−PA配列含有ベク
ターとアニーリングし、E.coli(大腸菌)ポリメラーゼ
IクレノーフラグメントなどのDNAポリメラーゼ酵素反
応に供することにより、突然変異を含有する鎖(ストラ
ンド)の合成を行う。このようにして、一方の鎖が元の
非突然変異配列をコードしており、他方の鎖が所望の突
然変異を有しているヘテロ二重ラセン(heteroduplex)
を形成させる。次いで、このヘテロ二重ラセンベクター
を使用し、JM101細胞などの適当な細胞を形質転換する
ことにより、突然変異配列の並びを有する組換えベクタ
ーを含有したクローンを選択する。
このようなクローンを選択した後、t−PAの産生に適
したベクター、一般には適当な真核生物宿主の形質転換
に使用することのできるタイプの発現ベクター内に、得
られた突然変異t−PA領域を移動させ、配置させる。本
発明においては、長期に安定なt−PA産生体を調製する
ための好ましい細胞は、CHO細胞または293細胞[グラハ
ム(Graham)らのJ.Gen.Virol.,36:59(1977)に記載さ
れているイト腎細胞]である。しかし、本発明のCHO生
産に限定されるものではなく、特に、試験目的として該
酸素を一時的にだけ生産させたい場合などは、多くの他
のタイプの細胞を使用することができることが分かって
いる。例えば、293細胞を使用する一時的系を以下に記
載しているが、これは分析用のt−PA変異体を生産する
ための簡便な系を提供するものである。
4.開裂/連結法 プラスミノーゲンアクチベーターをコードしているDN
A配列に突然変異を作成して新たなグリコシル化部位を
導入する別の方法は、プラスミノーゲンアクチベーター
をコードしているDNAを制限酵素により適当な場所で開
裂し、適切に開裂されたDNAを回収し、グリコシル化の
ために望ましいアミノ酸配列をコードしているオリゴヌ
クレオチドを合成し、そして平滑末端を有するポリリン
カーなどの領域をフランキングし(あるいは、ポリリン
カーを使用する代わりに、該アクチベーター−コード化
DNAの開裂にも使用される制限酵素を使用して合成オリ
ゴヌクレオチドを消化し、それにより粘着末端を作成す
る)、最後に得られた合成DNAをプラスミノーゲン−コ
ード化構造遺伝子の残りの部分内に連結することを包含
している。
5.宿主細胞培養およびベクター チャイニーズハムスター卵巣(CHO)における発現は
結局はt−PA生産のために好ましいが、本明細書に記載
しているベクターおよび方法は、タンパク質のグリコシ
ル化を行う真核生物という広範な範囲にわたる宿主細胞
に好適に使用される。
一般に、DNA配列の最初のクローニングおよび本発明
に有用なベクターの構築には原核生物が好ましいのは当
然である。例えば、E.coli(大腸菌)K12株294(ATCC N
o.31,446)は特に有用である。他の使用することができ
る微生物株には、E.coli BおよびE.coli X1776(ATCC N
o.31<537)などのE.coli株がある。当然ながら、これ
らの例示した株は限定的なものではなく、単なる説明の
ためのものである。
発現のためには、酵母および哺乳動物細胞培養物など
の真核生物宿主を使用する。サッカロマイセス・セレビ
シアエ(Saccharomyces cerevisiae)、または普通のパ
ン酵母が真核微生物の中でも最も普通に使用されている
が、他の多くの株も普通に利用することができる。サッ
カロマイセスにおいて発現させるためには通常、例えば
プラスミドYRp7が使用される[スチンクコム(Stinchco
mb)らのNature282:39(1979)、キングスマン(Kingsm
an)らのGene7:141(1979)、シェンパー(Tschemper)
らのGene10:157(1980)]。このプラスミドは、トリプ
トファン環境下での増殖能を欠いている酵母の突然変異
体株に選択マーカーを付与するtrp1遺伝子を既に含有し
ている[例えば、ATCC No.44,076またはPEP4−1(ジョ
ーンズ(Jones)のGenetics,85:12(1977))]。一
方、この酵母宿主細胞のゲノムの特徴はtrp1欠損の存在
であるので、トリプトファン不存在下で増殖させれば、
形質転換を検出するために有効な環境が提供される。
酵母ベクターにおける適当なプロモーター配列には、
3−ホスホグリセレートキナーゼにかかるプロモーター
[ヒッツェマン(Hitzeman)らのJ.Biol.Chem.255:2073
(1980)]、またはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−
3−ホスフェート脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビ
ン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グ
ルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホ
グリセレートムターゼ、ポルビン酸キナーゼ、トリオセ
ホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラ
ーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の解糖系酵素[ヘ
ス(Hess)らのJ.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968)、ホー
ランド(Holland)らのBiochemistry17,4900(1978)]
にかかるプロモーターがある。適当な発現プラスミドを
構築するに当たっては、これらの遺伝子に付随する終止
配列も、発現させようとする配列の3′側で発現ベクタ
ーに連結させ、mRNAのポリアデニル化および終止を行わ
せる。増殖条件によって転写が制御されるという付加的
な利点を有している他のプロモーターには、アルコール
脱水素酵素2、イソチトクロームC、酸ホスファター
ゼ、窒素代謝に関与する分解酵素、および上記のグリセ
ルアルデヒド−3−ホスフェート脱水素酵素、およびマ
ルトースとガラクトースの利用に関与する酵素、にかか
るプロモーター領域がある。酵母適合性のプロモータ
ー、複製起点および終止配列を含有するプラスミドベク
ターが好適である。
真核微生物に加えて、多細胞生物由来の細胞培養物も
宿主として使用することができる。基本的には、脊椎動
物または無脊椎動物のいずれであっても、このような細
胞培養物として使用してもよい。しかし、脊椎動物細胞
への関心が高まっており、、培養物(組織培養物)中に
おける脊椎動物細胞の増殖は最近では常法になって来て
いる[Tissue Culture、アカデミック・プレス、クルス
ら(Kruse and Patterson)編集(1973)]。このよう
な有用な宿主セルラインとしては例えば、VEROおよびHe
La細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)セルライ
ン、およびW138、BHK、COS−7、293およびMDCKセルラ
インが挙げられる。このような細胞のための発現ベクタ
ーは通常、(要すれば)複製起点、発現すべき遺伝子の
前に位置するプロモーターを、必須のリボソーム結合部
位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および
転写ターミネーター配列と共に含有している。
哺乳動物細胞で使用する場合、ウイルス材料によって
発現ベクター上に制限機能を付与することが多い。例え
ば、普通使用させるプロモーターは、ポリオーマ、アデ
ノウイルス2、および最も頻繁にはサルウイルス40(SV
40)から誘導する。SV40ウイルスにおける初期および後
期プロモーターは、両者共にSV40ウイルスの複製起点を
も含有するフラグメントとして該ウイルスから容易に入
手されるので、特に有用である[フィールズ(Fiers)
らのNature,273:113(1978)]。また、このウイルスの
複製起点内に位置するH ind III部位からBgl I部位に伸
長する約250bp配列を含有している限りは、それよりも
小さく、または大きなSV40フラグメントを使用すること
もできる。さらに、所望の遺伝子配列に正常には伴われ
ているプロモーターまたは制御配列も、そのような制御
配列が宿主細胞系に受け入れられる限りは利用すること
ができ、それは望ましいことが多い。
複製起点を付与するには、ベクターの構築に当たり、
SV40または他のウイルス(例えば、ポリオーマ、アデ
ノ、VSV、BPV)起源から誘導され得るような外来性の起
点を含有させるか、または宿主細胞の染色体における複
製メカニズムにより付与すればよい。後者の場合、ベク
ターが宿主細胞の染色体に組み込まれれば十分である場
合が多い。
変異型t−PAおよびDHFRタンパク質の両方をコードし
ているDNA配列を含有する本発明のベクターによってト
ランスフェクトするための、好ましい宿主細胞を選択す
るに当たっては、使用するDHFRタンパク質のタイプに応
じて宿主を選択するのが適当である。野生型DHFRタンパ
ク質を使用する場合、DHFRに欠損がある宿主細胞を選択
することが好ましく、それによりヒポキサンチン、グリ
シンおよびチミジンを欠く選択培地中でのフォランスフ
ェクションを成功させるようなマーカーとして、DHFRを
コードしている配列が使用できるようにする。この場合
の適当な宿主細胞は、ウルローブおよびチャシン(Urla
ub and Chasin)のPeoc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.77:4216
(1980)に記載されているように調製され、増殖され
る、DHFR活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CH
O)セルラインである。
他方、メトトレキサート(MTX)に対する低い結合親
和性を有するDHFRタンパク質を制御配列として使用する
場合、必ずしもDHFR欠損細胞を使用する必要はない。突
然変異DHFRはメトトレキサートに対して耐性であるの
で、宿主細胞自身がメトトレキサートに感受性である限
り、MTX−含有培地を選択手段として使用することがで
きる。MTXを吸収することのできる殆どの真核生物細胞
がメトトレキサートに感受性であるようである。このよ
うな有用なセルラインの例としてはCHOライン、CHO−K1
(ATCC No.CCL61)が挙げられる。
細胞培養物から満足のいく量のヒトt−PAが生産され
る。しかし、ある第2のコード化配列を使用して純化す
れば、さらに生産レベルを向上させることができる。こ
の第2のコード化配列は、メトトレキサートなどの外部
的に制御されたパラメーターによって影響を受けるジヒ
ドロ葉酸還元酵素(DHFR)を含有しており、したがって
メトトレキサート(MTX)濃度をコントロールすること
によって発現を制御することができる。
例えば、酵母宿主は、発現されるタンパク質に結合す
る糖の数と糖のタイプが哺乳動物宿主と異なってグリコ
シル化されるので、グリコシル化にとって最も良好な宿
主の選別は、所望のグリコシル化の型に左右される。
6.使用し得る代表的なクローニングおよび発現の方法 強靱な細胞膜バリアーの無い細胞を宿主細胞として使
用する場合は、グラハム(Graham)およびフェン・デル
(Van der)編のVirology52:546(1978)に記載されて
いるリン酸カルシウム沈降法によってトランスフェクシ
ョンを行う。しかし、核注入(核インジェクション)ま
たはプロトプラスト融合法などのDNAを細胞に導入する
ための他の方法も使用することができる。
原核生物細胞、または実質的な細胞壁構築物を含有す
る細胞を使用する場合、トランスフェクションの好まし
い方法は、コーエン(Cohen)らのProc.Natl.Acad.Sc
i.,U.S.A.69,2110(1972)に記載されているような、カ
ルシウムを使用するカルシウム処置である。
所望のコード化配列および制御配列を含有する適当な
ベクターの構築には、標準的な連結法を使用する。単離
したプラスミドまたはDNAフラグントを開裂し、仕立
て、必要なプラスミドを得るのに望ましい形態に再連結
する。
開裂は、適当な緩衝液中において制限酵素(または酵
素群)で処理して行う。一般には、緩衝溶液約20μl
中、酵素約1単位と共にプラスミドまたはDNAフラグメ
ント約1μgを使用する(個々の制限酵素に対して適当
な緩衝液および基質の量は、その製造会社によって特定
されている)。37℃で約1時間インキュベートする。イ
ンキュベートした後、フェノールおよびクロロホルム抽
出によってタンパク質を除去し、次いでエタノール沈殿
によって、その水性画分から核酸を回収する。
平滑末端が必要な場合は、15℃においてポリメラーゼ
I(クレノー)10単位で15分間処理し、フェノール−ク
ロロホルム抽出し、次いでエタノール沈殿すればよい。
開裂させたフラグメントのサイズ分離は、6%ポリア
クリルアミドゲルを使用して行う[ゴーデル(Goedde
l)らのNucleic Acids Res.8,4057(1980)]。
約等モル量の所望の成分を連結するためには、正しく
適合するように仕立てた適当な末端をDNA0.5μg当たり
T4DNAリガーゼ約10単位で処理する(開裂されたベクタ
ーを成分として使用する場合は、最近アルカリホスファ
ターゼで前処理して開裂ベクターの再連結を防止するの
が有用であるかもしれない)。
上述のように、t−PA変異体は特異的当然変異法によ
って生産するのが好ましい。本発明を実施する上で有用
である突然変異体は、横切ろうとする(トラバースしよ
うとする)突然変異部位の両側に安定な二重ラセンを形
成するに充分な大きなおよび配列複雑性を有する配列と
なる、所望の突然変異のDNA配列をコードしている特定
のオリゴヌクレオチド配列、および十分な数の隣接ヌク
レオチドを使用することによって最も容易に作成するこ
とができる。
構築されたプラスミドが正しい配列であることを確認
するための分析には通常、連結混合物(ライゲーション
混合物)により、E.coli K12株294(ATCC 31,446)また
は他の適当なE.coli株を形質転換し、その場に適当であ
るアンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によって、
成功している形質転換体を選択する。得られた形質転換
体からプラスミドを調製し、メッシング(Messing)ら
のNucleic Acids Res.,9:309(1981)の方法またはマキ
サム(Maxam)らのMethods of Enzymology,65:499(198
0)の方法に基づく制限マッピングおよび/またはDNA配
列決定法によって分析する。
DNAを哺乳動物細胞宿主に導入し、安定なトランスフ
ェクト体のための培地中で選択した後、宿主細胞培養物
を、DHFR活性の競合的インヒビターであるメトトレキサ
ート約20,000−500,000nM濃度の存在下で増殖させ、そ
れによりDHFRタンパク質をコードしている配列の増幅を
行う。当然ながら、メトトレキサートの有効濃度の範囲
は、DHFR遺伝子の本質、タンパク質、宿主の特性に非常
に左右される。明らかに一般に規定される上限および下
限は確認することができない。他の葉酸同族体またはDH
FRを阻害する他の化合物も適当な濃度で使用することが
できる。しかし、MTXが簡便であり、容易に入手でき、
かつ有効である。
以下に記載の実施例を平易にするため、頻繁に出てく
るある種の方法は速記的熟語で表す。
「プラスミド」は、小文字のpの後ろにアルファベッ
トの名称を付して表す。本発明における出発プラスミド
は市販されて、制限無く公に入手可能となっており、ま
た文献開示の方法によってこのような入手可能なプラス
ミドから構築することができる。さらに、他の同等なプ
ラスミドも当業界周知であり、当業者には明白である。
DNAの「消化」とは、DNA内のある特定の場所でのみ働
く酵素でそのDNAを触媒的に開裂することを意味する。
このような酵素は制限酵素と呼ばれ、それが特異的な各
部位は制限部位と呼ばれている。本明細書で使用してい
る種々の制限酵素は市販されており、酵素の供給元で確
立されているそれぞれの反応条件、補因子および他の要
件を使用した。制限酵素は通常、大文字の後ろに各制限
酵素が普通得られる微生物を表す他の文字を付し、次に
個々の酵素を示す番号を付けて命名される。一般に、プ
ラスミドまたはDNAフラグメント約1μgを緩衝溶液約2
0μl中、酵素約2単位と共に使用する。特定の制限酵
素にとって適当な緩衝液および基質の量は製造会社によ
って特定されている。37℃では約1時間のインキュベー
ト時間が普通使用されるが、製造元の取り扱い説明書に
よって変動させることができる。インキュベートした
後、フェノールおよびクロロホルム抽出によってタンパ
ク質を除去し、次いでエタノール沈殿によって、消化さ
れた核酸を水性画分から回収する。制限酵素による消化
は、DNAフラグメントの2つの制限開裂末端が、もう1
つのDNAフラグメントが制限部位に挿入するのを妨げ得
る「環状化」または閉じたループを形成することから護
るために、5′末端のリン酸を細菌アルカリホスファタ
ーゼによる加水分解と共に行うことがたまにある。しか
し、特に明記しない限りは、プラスミドの消化後には
5′末端の脱リン酸化は行なっていない。脱リン酸化の
ための操作法および試薬は既知である[マニアチス(T.
Maniatis)らのMolecular Cloning:A Laboratory Manua
l,(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー;
ニューヨーク,1982),133−134頁]。
特定のDNAフラグメントを制限消化物から「回収」ま
たは「単離」するとは、ポリアクリルアミドまたはアガ
ロースゲルを使用して電気泳動法により消化物を分離
し、目的とするフラグメントを既知の分子量のマーカー
DNAフラグメントの移動度と比較してその同定を行い、
所望のフラグメントを含有するゲル切片を取り出し、そ
してDNAからゲルを分離することを意味する。この操作
法は一般に知られている。例えば、ローン(R.Lawn)ら
のNucleic Adids Res.9:6103−6114(1981)、およびゴ
ーデル(D.Goeddel)らのNucleic Acids Res,8:4057(1
980)を参照のこと。
「サザーン分析」とは、既知の標識化オリゴヌクレオ
チドまたはDNAフラグメントとハイブリダイズすること
により、消化物またはDNA含有組成物中にあるDNA配列の
存在を確かめる方法である。本明細書では、特に明記し
ない限り、サザーン分析とは、サザーン(E.Southern)
のJ.Mol.Biol.98:503−517(1975)に記載のように、1
%アガロースにより消化物を分離し、変性させ、ニトロ
セルロースに移動させ、そしてT.マニアチスらのCell1
5:687−701(1978)に記載されているようにハイブリダ
イズすうことを意味する。
「形質転換」とは、DNAを染色体外要素または染色体
成分として複製できるようにそのDNAを生物に導入する
ことを意味する。特に明記していなければ、本明細書に
記載のE.coliの形質転換方法は、マンデル(Mandel)ら
のJ.Mol.Biol.53:154(1970)のCaCl2法である。
「連結」とは、2つの2本鎖核酸フラグメント間にホ
スホジエステル結合を生成させる工程を意味する[T.マ
ニアチスらの前掲、146頁]。特に明記しない限り、連
結しようとするDNAフラグメントの約等モル量(0.5μ
g)に対してT4 DNAリガーゼ(リガーゼ)10単位を使用
し、既知の緩衝液および条件によって、連結を行うこと
ができる。
DNAを形質転換体から「調製する」とは、DNAを微生物
培養物から単離することを意味する。特に明記しない限
り、マニアチスらの前掲90頁のアルカリ/SDS法を使用す
ることができる。
「オリゴヌクレオチド」は、既知の方法によって化学
的に合成され、次いでポリアクリルアミドゲルで精製さ
れた、短い長さの1本鎖または2本鎖ポリデオキシヌク
レオチドである。
C.医薬組成物 本発明のプラスミノーゲンアクチベーター産物を医薬
的に許容され得る担体ビヒクルとの混合物中に混合する
ことにより、本発明の化合物は、医薬的に有用な組成物
を製造するための既知の方法によって製剤化することが
できる。適当なビヒクルおよび他のヒトタンパク質、例
えばヒト血清アルブミンを含んだそれらの製剤は、例え
ばオスロー(Oslo)ら編のRemington′s Pharmaceutica
l Sciences16版、1980[マック・パブリッシングCo.]
に記載されている。このような組成物は、宿主に効果的
に投与するのに適した医薬的に許容され得る組成物に調
製されるように適量のビヒクルと共に、本発明の変異体
を有効量で、例えば約0.5から約5mg/mlで含有してい
る。本発明のプラスミノーゲンアクチベーター変異体
は、心臓血管疾患または症状に罹患した対象に非経口的
に、またはその有効型が血流に供給されるような他の方
法で投与することができる。
本発明を実施する上で使用される変異型プラスミノー
ゲンアクチベーター産物を臨床投与するのに特に適して
いる組成物には、例えば滅菌水溶液剤、または凍結乾燥
タンパク質などの滅菌水和性の粉末剤などがある。この
製剤中にはさらに、医薬的に許容され得る塩を適量、一
般には製剤の等張性を変化させるに十分な量で含有させ
るのが概して望ましい。アルギニン塩基、およびリン酸
などのpH調節物質も、適当なpH、一般には5.5−7.5を維
持する十分な量で通常含有させる。さらに、水性製剤の
貯蔵寿命または安定性を改善するため、グリセロールな
どの物質もさらに含有させるのが望ましい場合がある。
この場合、変異型t−PA製剤は、非経口投与、特に静脈
内投与するに好適となるように調製する。
本発明の医薬組成物の投与量および望ましい薬物濃度
は、目的とする個々の用途に応じて変動し得る。例え
ば、深静脈血栓または末梢血管疾患の処置に当たって
は、約0.05から約0.3mg/kgオーダーの「ボーラス」投与
が通常好ましく、その後は、血中レベルをほぼ一定に、
好ましくは約3μg/mlのオーダーが維持されるよう約0.
1から約0.2mg/kgの投与を行うのが好ましい。
しかし、一般に灌流が行えない場面である緊急医療に
関連して使用するためには、および処置する疾患が一般
に危険性を孕む場合(塞栓症、心筋梗塞)、若干多めの
初期投与量、例えば約0.3mg/kgオーダーの静脈内ボーラ
ス投与が通常好ましい。
例えば、本発明のプラスミノーゲンアクチベーター変
異体は、心臓血管の疾患または症状に罹患した患者に非
経口的に投与すればよい。投与量および投与速度は、他
の心臓血管薬、血栓溶解薬が臨床試験で通常使用されて
いるものと同様であり得、例えば心筋梗塞、肺塞栓症な
どに罹患したヒト患者では、約1−2mg/kg体重で、1.5
−12時間かけて静脈内または動脈内投与を行えばよい。
適当な投与剤形の1例としては、t−PA 50mg、アル
ギニン、リン酸、およびポリソルベート80を含有するバ
イアルを滅菌水50mlにより注射用に再構成し、それを適
量の0.9%塩化ナトリウム注射液と混合することが挙げ
られる。
半減期が延長された本発明のプラスミノーゲンアクチ
ベーター変異体は、急速静脈内注射用剤、特に例えばボ
ーラスとして適当であり得る。これは、複雑な投与操作
を行う必要性を減少させるであろうし、例えば人員が診
療補助者である救急車内におけるように、限定された医
療器具により対処する上で、プラスミノーゲンアクチベ
ーターを使用する機会を増大させ得るものである。延長
された半減期を有する本発明のプラスミノーゲンアクチ
ベーター変異体によれば、さらに少ない、より安全な初
期投与量が可能となり、45分またはそれ以上、血栓溶解
に活性である有効な血漿レベルを維持させることができ
よう。そして、より長い半減期の本発明の変異体は、成
功した急性血栓溶解に続く閉塞の再発を回避するのに必
須であり得る低容量の長期療法、または末梢の血管が閉
塞した場合に必要であり得る長期血栓溶解、にとっても
有用であろう。
以下に、本発明の実施する上で現在知られている最も
最良の方法を説明するために実施例を挙げるが、これは
本発明の限定を意図するものではない。
実施例1 A.本発明のt−PA変異体の組換え的生産のための発現ベ
クターの調製およびその利用 1.プラスミドp7−1Hの構築 a)プラスミドpCISt−PA プラスミドpCISt−PAを例えば1986年10月29日公開のE
PO公開199,475号(前掲)に記載のように調製した。要
約すれば、サイトメガロウイルスのエンハンサーおよび
プロモーター、サイトメガロウイルスのスプライス・ド
ナー部位およびイントロン、Ig可変領域スプライス・ア
クセプター部位、t−PAをコードしているcDNA[ペニカ
(Pennica)らのNature301:214(1983)]ならびに肝炎
表面抗原のポリアデニル化および転写終止部位を含有す
るpCIHt−PAベクターをまず始めに構築した: サイトメガロウイルスのエンハンサー[ボシャート
(Boshart)らのCell41:520(1985)]およびプロモー
ター[トムソン(Thomsen)らのProc.Natl.Acad.Sci.,
U.S.A.81:659(1984)]、サイトメガロウイルスのスプ
ライス・ドナー部位およびイトロンの部分[ステルンベ
ルグ(Sternberg)らのJ.of Virol.49:190(1984)]、
Ig可変領域イントロンおよびスプライス・アクセプター
部位、第VIII因子をコードしているcDNAおよびSV40ポリ
アデニル化部位を含有するpF8CISベクターを構築した。
この構築法の3つの手順を以下に詳細に説明する。
1.この最終ベクターのアンピシリン耐性マーカーおよび
複製起点を、プラスミドpML[ルスキー(Lusky)らのNa
ture293:79(1981)]の変異体である、出発プラスミド
pUC13pMLから誘導した。pUC13pMLは、pUC13[ベイラ(V
eira)らのGene19:259(1982)]のポリリンカーをpML
のEcoRIおよびHindIII部位に移すことによって構築し
た。別の出発プラスミドであるpUC8CMVはCMVエンハンサ
ー、プロモーターおよびスプライス・ドナー配列の供給
源であった。pUC8CMVは、CMVエンハンサー、プロモータ
ーおよびスプライス・ドナー配列にかかる1から732の
ヌクレオチドをpUC8の平滑化PstIおよびSphI部位に挿入
することによって構築した(ベイラら、前掲)。粘着性
のBamH I末端に、合成BamH I−HindIIIリンカー[ニュ
ー・イングランド・バイオラブス(New England Biolab
s)から市販されている]を連結し、HindIII部位を作成
した。この連結の後、HindIII−HincII消化を行った。
この消化により、CMVエンハンサー、プロモーターおよ
びスプランス・ドナー部位を含有している約800bpのフ
ラグメントを得た。ゲル単離した後、この800bpフラグ
メントをpUC13pMLの2900bp片に連結した。pF8CISの構築
に必要とされるこのフラグメントは、上記の中間プラス
ミドをSalIおよびHindIIIで消化することによって得ら
れた。この3123bp片は、アンピシリンについての耐性マ
ーカー、pUC13pML由来の複製起点ならびにエンハンサ
ー、プロモーターおよびスプライス・ドナー部位など
の、CMVに関する制御配列を含有していた。
2.Ig可変領域イントロンおよびスプライス・アクセプタ
ー配列は、合成オリゴマーを使用して構築した。IgGイ
ントロンおよびスプライス・アクセプター部位にかかる
以下の配列を有する99−merおよび30−merを、化学的に
合成した[ボスウェル(Bothwell)らのCell24:625(19
81)]: DNAポリメラーゼI(クレノーフラグメント)によ
り、合成した片を充填し、2本鎖フラグメントを作成し
た[ワーテル(Wartell)らのGene9:307(1980)]。次
いで、PstIおよびHindIIIの2重消化を行った。この合
成リンカーをpUC13(ベイラら、前掲)のPstIおよびHin
dIII部位にクローンした。合成オリゴヌクレオチドを含
有するクローン(これをpUCIg.10と命名する)をPstIで
消化した。PstI−ClaIリンカーを使用して、ClaI部位を
このフラグメントに付加した。HindIIIで消化した後、I
gイントロンおよびIg可変領域スプライス・アクセプタ
ーの部分を含有する118bp片をゲル単離した。
3.本構築手順の第3番目は、肝炎表面抗原の3′末端を
SV40初期領域のポリアデニル化部位および転写終止部位
と置き換えることである。SV40配列を含有するpUC.SV40
ベクターをpUC8のBamH I部位[ベリラら、前掲に記載さ
れている]に挿入し、次いでpUC.SV40をEcoR IおよびHp
aIで消化した。SV40ポリアデニル化部位のみを含有する
143bpフラグメントをこの消化物からゲル単離した。pSV
E.8clD[EPO公開第160,457号]の消化後、さらに2つの
フラグメントをゲル単離した。EcoR IおよびClaI消化に
よって生成される4.8kbフラグメントは、SV40−DHFR転
写単位、pMLの複製起点およびアンピシリン耐性マーカ
ーを含有している。ClaIおよびHpaI消化後に得られる7.
5kbフラグメントは、第VIII因子のcDNAを含有してい
る。スリー・パート連結(three−part ligation)によ
り、pSVE.8c24Dが得られる。この中間プラスミドをClaI
およびSalIで消化することにより、SV40ポリアデニル化
および転写終止部位、次にSV40 DHFR転写単位を有す
る、第VIII因子のcDNAを含有する9611bpフラグメントを
得た。
pF8CISを得るための最終的スリー・パート連結では、
a)複製起点、アンピシリン耐性マーカー、およびCMV
エンハンサー、プロモーターおよびスプライス・ドナー
を含有する3123bp SalI−HindIIIフラグメント、b)Ig
イントロンおよびスプライス・アクセプターを含有する
118bp HindIII−ClaIフラグメント、ならびにc)第VII
I因子のcDNA、SV40ポリアデニル化部位およびSV40 DHFR
転写単位を含有する9611pb ClaI−SalIフラグメントを
使用した。
次に、中間プラスミドpCla t−PAおよびプラスミドpF
8CIS(上述)からプラスミドpCIH t−PAを完全に構築し
た: まず始めにt−PA cDNAにpMLにクローンし、その遺伝
子の5′末端にClaI部位を付与した。これを行うため、
pSVpa−DHFR(あるいは、pETPFRとも称する、前掲)由
来の3238bpHindIIIフラグメントをpMLのHindIII部位に
挿入した[ラスキー(Lusky)ら、前掲)]。そのClaI
部位に接して並ぶ(juxtaposed)cDNAの5′末端を有す
るクローンについて、コロニー群をスクリーニングし
た。得られた中間プラスミドをpCLAt−PAと命名した。
3′ポリアデニル化領域が後続するt−PA cDNAを2870b
pのClaI−KpnIフラグメントとして単離した。このフラ
グメントをpF8CISの5146bpフラグメントと連結した。CI
SベクターのこのClaI−KpnIフラグメントは、pML由来の
5′制御領域、SV40−DHFR転写単位、アンピシリン耐性
遺伝子および起点領域を提供した。第4a図および第4b図
を参照のこと。
t−PAの発現レベルは、それ自体一般に知られている
上述の方法にしたがって、CHOおよび293細胞をpCIHt−P
Aでトランスフェクトすることによって得た。例えば、
トランスフェクトされた293細胞由来の媒質を検定する
ことにより、pCIH t−PAは420ng/mlでt−PAを産生した
ことが証明された。
サイトメガロウイルスのエンハンサーおよびプロモー
ター、サイトメガロウイルスのスプライス・ドナー部位
およびイントロン、Ig可変領域のスプライス・アクセプ
ター部位、t−PAをコードしているcDNAならびにpSV40
ポリアデニル化配列を含有するpCISt−PAベクターを最
後に、以下のようにして構築した: この構築のための出発ベクターはpCIHt−PAおよびpF8
CIS(上述)であった。この後者のベクターは、pCIHt−
PAと同じ5′制御を有しているが、第VIII因子のcDNAお
よびSV40ポリアデニル化部位を含有している。SacIIを
使用し、そのt−PA cDNAの3′を開裂した。得られた
3′突出部をT4ポリメラーゼによって平滑末端化した。
次いで、pCIHt−PAをClaIで切断した。この部位は、CMV
イントロ配列とIg可変領域イントロンとに開裂するキメ
ライントロンを分割している。このClaI処理物から2870
bpフラグメントをゲル単離した。SV40ポリアデニル化部
位、DHFR、転写制御、細菌性複製起点およびampr遺伝
子、ならびにCMVエンハンサーおよびプロモーターおよ
びスプライス・ドナーをpF8CISから単離した。これらの
要素を、2525bpSal−ClaIフラグメントおよび3113bpのH
paI−SalIフラグメントとして分離し、フラグメントと
した。KpnI(平滑)−ClaIフラグメントと、HpaI−Sal
フラグメントおよびSalからBamHIフラグメントとのスリ
ー・パート連結により、pCISt−PAを得、これを、プラ
スミドpCIHt−PAについて上述したようにCHOおよび293
の両細胞において発現させて、それぞれt−PAを55およ
び3000ng/mlで得た。第5a図および第5b図参照のこと。
b)p7−1Hの最終的構築 プラスミドpCIS t−PAをSpeIで消化し、次いでE.coli
DNAポリメラーゼIの大きいフラグメント(クレノー)
およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸で処理するこ
とにより、平滑末端を作成した。得られた線状フラグメ
ントを、ジンダー(Zinder)らのMicrobiol.Rev.,49:10
1(1985)に記載されているように、T4 DNAリガーゼを
使用して1本鎖DNAファージf1由来の+鎖起点を含有す
る0.45kb RsaI/AhaIIIフラグメントに連結した。pCISt
−PAフラグメントのSpaI部位に可能性ある両方向性で挿
入されるf1起点を有する連結産物を単離した。t−PA遺
伝子のアンチセンス鎖がヘルパーファージの存在下にビ
リオン中にパッケージングされているような方向性でこ
の起点を含有するプラスミドを選択し、p7−1Hと命名し
た。第6図参照。
2.突然変異実験 a)鋳型の調製 プラスミドp7−1HをCaCl2−媒介性形質転換によって
E.coli株JM101(ATCC No.33,876)に導入した。次い
で、ベイラらのMeth.Enzymol.153:3(1987)に記載のよ
うに、これらの細胞をヘルパーウイルスM13K07でインフ
ェクトし(感染させ)、1本鎖pp7−1H DNAを調製し
た。簡単に説明すれば、2YTブロス中、形質転換細胞の
飽和培養物0.3mlに109−1010pfuのM13K07を加え、得ら
れた混合物を37℃で15分間インキュベートした。50μg/
mlカルベニシリン(carbenicillin)を含有する新鮮な2
YTブロス1.5mlを加え、その培養物を37℃で16時間穏や
かに振盪させた。細胞をペレット化した後、ファージ、
およびパッケージング化プラスミドDNAを採取し、アン
ダーソン(Anderson)のNucl.Acids.Res.,9:3015(198
1)に記載のように1本鎖DNAを調製した。
b)部位特異的インビトロ突然変異 突然変異Tyr67Asn67を有する突然変異体をプラーク
ハイブリダイゼーションではなく、コロニーハイブリダ
イゼーションによって同定する以外は、ゾラー(Zolle
r)らのMeth.Enzymol.,100:468(1983)に実質的に記載
されているように、オリゴデオキシリボヌクレオチド:5
−CAGCAGGCCCTGAATTTCTCAG−3′を使用し、p7−1Hの突
然変異を行った。ジデオキシヌクレオチド鎖成長停止法
を使用し、1本鎖プラスミドDNAを直接DNA配列決定する
ことにより、突然変異を確認した[サンガー(Sanger)
らのProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.74:5463(1977)]。
3.発現および精製 a)プラスミドの調製 50μg/mlカルベニシリンを含有するLBブロス500ml中
で、形質転換した細胞を飽和状態になるまで増殖させ
た。遠心により細胞をペレット化し、50ml mMグルコー
ス、10nM EDTA、25mMトリスHCl(pH8.0)40ml中に再懸
濁した。この懸濁液に1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.
07M水酸化ナトリウム60mlを加え、得られた混合物を25
℃で2分間インキュベートし、次いで0℃で10分間イン
キュベートした。これに、4M酢酸、3M酢酸ナトリウム52
mlを加え、得られた混合物を0℃で30分間インキュベー
トした。次いで、11,500rpmで20分間遠心し、得られた
上清を2容量の100%冷エタノールと混合し、生成した
沈澱物を遠心によって採取した。プラスミドDNAおよびR
NAを含有するペレットを乾燥させ、100mMトリス(pH8.
0)、10mM EDTA、1μg/ml RNase Aに再溶解した。得ら
れた溶液を遠心により清澄化した後、それを臭化エチジ
ウム中0.5mg/mlに調節し、同重量の塩化セシウムを加え
た。次いで、得られたDNAをベックマンVT165ローターに
より遠心にかけた(18℃、55,000rpm、16時間)。側面
注射によりDNAバンドを採取し、n−ブタノールで抽出
して臭化エチジウムを除去し、水で希釈し、エタノール
により沈澱させた。DNAを10mMトリス(pH8.0)、1mM ED
TA中に再溶解し、終濃度1mg/mlとした。
b)トランスフェクションおよび発現 293細胞を全面成長するまで増殖させた。t−PA突然
変異プラスミドDNA10μgをVA RNA遺伝子をコードして
いるDNA[チンマッパヤ(Thimmappaya)らのCell31:543
(1982)]1μgと混合し、1mMトリス−HCl、0.1mM ED
TA、0.227M CaCl2500μl中に溶解した。これに50mM HE
PES(pH7.35)、280mM NaCl、1.5mM NaPO4500μlを加
え(旋回(ボルテックス)下に滴加した)、25℃で10分
間沈澱を生成させた。次いで、懸濁した沈澱物を細胞
(100mMピレート中)に加え、インキュベーター中に4
時間放置した。次いで、培地を吸引除去し、リン酸緩衝
化食塩水中20%グリセロール2mlを30秒間で加えた。得
られた細胞を血清不含の培地5mlで2回洗浄した後、新
鮮な培地を加え、細胞を5日間インキュベートした。
t−PA変異体を発現する安定なCHOセルラインを作成
するため、t−PAのコード化配列のバルクを含有するBg
lII/ApaIフラグメント(第6図)をpPADHFR−6ベクタ
ー(EPO特許公開第93,619号に記載されている)由来の
6.0kb BglII/ApaIフラグメントと連結させる。次いで、
得られたプラスミドをCHO細胞に導入し、メトトレキサ
ート含有培地中で選択することにより、そのコード化配
列を増幅させ、それによりt−PA変異体を過剰に発現さ
せる。
c)精製 抗−t−PAヤギポリクローナルA6抗体(これ自体は常
法によって調製される)をカップリングさせた制御化ガ
ラスビームのカラム(1mlベッド容量)にならし培地(c
onditioned medium)を通すことによって、得られたt
−PA産物を精製した。培地を入れる前に、カラムをリン
酸緩衝化食塩水で平衡化させ、それを入れた後は、カラ
ムを0.1Mトリス−HClpH7.5、1M NaClで平衡化させた。
0.1M酢酸、0.15M NaCl、0.02Mアルギニン、0.01%Tween
80(pH2.0)でt−PAを溶出させ、得られた画分をトリ
ス−塩基で素早く中和した。プールする前に、画分を0.
01%Tween80に調節した。
B.生物学的および薬物動態的検定 1.t−PAの定量 天然のt−PA配列に標準化したELISAによって、タン
パク質濃度を常法にしたがって測定した[EPO特許公開
第93,619号(前掲)を参照のこと]。タンパク質の純度
および均質性は、レムリ(Laemmli)のNature,227:680
(1970)の緩衝系を使用した、ドデシル硫酸ナトリウム
の存在下、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE−SD
S)によって分析した。通常は、7−17%のグラジエン
トゲルを使用し、モリッセイ(Morrissey)のAnal.Bioc
hem.,117:307(1981)の銀−染色法によりタンパク質を
視覚化した。既述のようにして調製したN67 t−PA変異
体は、この方法により純粋であり、均質であることが判
明した。
2.S−2251検定 t−PAがプラスミノーゲンを活性化する活性化能は、
t−PAおよびプラスミノーゲンを前インキュベートし、
次いでプラスミン−特異的基質であるH−D−バリル−
H−ロイシル−H−リジン−p−ニトロニリド(nitron
ilide)[S−2251]を加えることに基づくインビトロ
検定により測定することができる。この反応の最大速度
は、この反応系の刺激物質として機能するフィブリン
(フィブリノーゲン)またはそのフラグメントの存在下
に観察される。
プラスミド−特異的基質であるS−2251を2段階検定
法に使用し、試料がプラスミノーゲンを活性化する活性
化能を測定した。0.05Mトリス−HCl、0.12M NaCl、0.01
%Tween80,pH7.4の全量0.12ml中、20mg/mlフィブリノー
ゲン溶液0.02mlと共にその試料をインキュベートするこ
とにより、フィブリノーゲンは試料刺激物質として使用
することができよう。
次いで、Glu−プラスミノーゲン溶液(市販されてい
る)、0.05Mトリス0.12M NaCl緩衝液,pH8中、2.0mg/ml
溶液0.03mlを加えた。37℃、10分経過後、0.037Mトリ
ス、0.086M NaCl、0.007%Tween80,pH7.4中、0.86mM S
−2251(0.35ml)を加えた。得られた混合物を5分間イ
ンキュベートした;次いで、50%氷酢酸0.1mlを添加し
てその反応を停止させた。405nmの吸光度を測定した。
活性は、基質存在下の1分当たりng単位の吸光度の変化
として表した。
既述の検定法を、フィブリノーゲンを含有していない
試料の組みをさらに使用して既述のように検定を行っ
た。刺激性は、フィブリノーゲンを含有しない試料の比
活性に対するフィブリノーゲンを含有する試料のそれの
比である。rt−PAおよびN67 t−PAの両者に関する得ら
れた結果を、血餅溶解の結果と共に第7図に示す。N67t
−PAのインビトロ比活性はフィブリノーゲン不存在下に
おいて比較的有意に落ちたようであるので、フィブリノ
ゲーゲン刺激%(これはフィブリノーゲン不存在下にお
ける活性に対するフィブリノーゲン存在下の活性の比を
反映する)は若干野生型rt−PAよりも増大される。
3.血餅溶解 野生型およびN67 t−PAのフィブリン溶解能を検定す
るに当たり、カールセン(Carlsen)らのAnal.Bioche
m.,168:428(1988)の方法にしたがい、飽和濃度のプラ
スミノーゲンの存在下に行った。インビトロ血餅溶解検
定は、マイクロ遠心分析器を使用する比濁分析により、
組織プラスミノーゲンアクチベーターの活性を測定する
ものである。トロンビンおよびt−PA試験試料の混合物
をフィブリノーゲンおよびプラスミノーゲンの混合物中
に遠心することにより、血餅形成を開始させ、その後に
血餅溶解を誘導させる。得られた吸光度と時間とのプロ
フィルを分析し、検定の終点を決定した。t−PA変異体
と活性と、rt−PAの標準曲線(EPO公開第93,619号,上
述)と比較した。この検定の全体にわたって使用する緩
衝液は、0.01%(v/v)Tween80および0.01%(w/v)ア
ジ化ナトリウムを含有する0.06Mリン酸ナトリウムpH7.4
であった。ヒトトロンビンは濃度33単位/mlであった。
フィブリノーゲン(2.0mg/ml凝固し得るタンパク質)を
湿氷上で冷し、フィブロネクチンを沈殿させ、次いで重
力濾過した。Glu−プラスミノーゲンは濃度1mg/mlであ
った。分析器の内容内温度は37℃に設定する。充填器に
は、標準曲線にかかる試料としてrt−PA(約500ng/mlか
ら1.5μg/ml)20μlを、またはその標準曲線の範囲内
で溶解を起こす濃度の変異型rt−PA20μlを分散させ
る。第2の試薬としてトロンビン20μlおよび第1の試
薬としてフィブリノーゲン:プラスミノーゲン50:1(v/
v)混合物20μlを使用した。5分間のインキュベート
時間、340−μm−フィルターおよび90−間隔の判読に
よって、吸光度/時間プログラムを行った。
第7図に示した得られた結果は、N67変異体が、正常
の野生型t−PAの血餅溶解比活性の約53%であることを
示している。
4.フィブリン結合性 フィブリン結合性に関する方法は、リッケン(Rijke
n)らのJ.Biol.Chem.,257:2920(1982)に記載されてい
る方法の改変法である。試験するt−PA試料を、0.05M
トリス(pH7.4)、0.12M NaCl、0.01%Tween80、1mg/ml
ヒト血清アルブミン、および種々の濃度のプラスミノー
ゲン不含のフィブリン(0、0.05、0.1、0.25および0.5
mg/ml)を含有する溶液に加える。この反応混合物の最
終容量は1mlであった、得られた試料を37℃で5分間イ
ンキュベートした後、トロンビン1単位を加えた。次い
で、この試料を37℃で1時間インキュベートした。生成
した血餅を遠心によって除去し、未結合のままの上清中
t−PAの量をELISAによって測定した。
第8図には、N67 t−PAおよびrt−PAの両者につい
て、結合したt−PA変異体対フィブリン(フィブリノー
ゲン)濃度の%としてプロットしたデータを示してい
る。この結果は、N67 t−PAが使用した検定条件下では
フィブリンと結合しないことを示している。
5.グルコシル化の確認 トリプシンのペプチド混合物を個々の成分またはピー
クに分割し、その同定を行い組成を知るための高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)を利用するトリプシンのマ
ッピング法によって、アスパラギン67における過剰のグ
ルコシル化を測定した。ペプチドに炭水化物が付加する
と、そのペプチドの親水性が増し、結果としてHPLCプロ
フィルが変化する(すなわち、より早く溶出される)。
単離されるペプチドを含有する個々のクロマトグラフィ
ーのピークをまとめ、アミノ酸分析にかけてペプチドの
同定および炭水化物の存在を確認する。
a.試料の調製 トリプシン・マッピング法のための試料の調製法は、
クレストフィールド(Crestfield)、ステイン(Stei
n)およびモーレ(Moore)のJ.Biol.Chem.,238:622(19
63)の改変法であった。分析すべきタンパク質試料(各
1.0mg)を、2mM EDTAを含有する8M尿素、0.5Mトリス(p
H8.6)中に一晩透析した。この試料を25℃において2時
間10mMジチオトレイトール[シグマ・ケミカルCo.]で
還元し、次いで25mMヨード酢酸(シグマ・ケミカルC
o.)を用いて25℃、暗所でS−カルボキシメチル化し
た。30分後、このアルキル化反応を20mMジチオトレイト
ールを添加してクエンチ(停止)させ、次いで3500分子
量排除能を有する透析チューブを使用し、カルボキシメ
チル化(RCM)試料を100mM重炭酸アンモニウム(pH8.
3)中で一晩透析した。
b.N−グルコシダーゼFによる処置 還元してカルボキシメチル化したrt−PAをトリプシン
消化の前にN−グリコシダーゼF(ジェンチームCorp.
(Genzyme Corp.))で脱グリコシル化した。還元して
カルボキシメチル化したrt−PA(0.4mg)を、10mM EDTA
および0.02%アジ化ナトリウムを含有する250mMリン酸
ナトリウム(pH8.6)0.08ml中で再構成した。N−グル
コシダーゼF(50%グリセロール0.018ml中、5.0製造者
単位(Manufactureer′s Units))をその試料に加え、
次いでそれを37℃で一晩インキュベートした。得られた
試料を水で0.4mlにまで希釈し、トリプシン消化する前
に100mM重炭酸アンモニウムに対して透析した。
c.トリプシン消化 RCMrt−PAを環境温度の0.1M重炭酸アンモニウム中で
消化するに当たり、[L−(トシルアミド−2−フェニ
ル)エチルクロロメチルケトン](TPCK)処置トリプシ
ン[クーパー・バイオメディカル(Cooper Biomedica
l)]を酵素:基質の比率1:100(w/w)で加え、次いで
8時間後、1:100を別に添加した。この消化は、凍結
(−70℃)によって24時間後に停止させた d.クトマトグラフィー 0.4×15cmノバ・パック(Nova PAK),5ミクロン,C−1
8逆相カラム(ウォーターズ(Waters,Inc.))を使用し
たヒューレット−パッカード(Hewlett−Packard)1090
M液体クロマトグラフ装置により、HPLC分離を行った。2
14および280ナノメーターにおける二重波長検出法によ
り溶出プロフィルをモニターした。トリフルオロ酢酸
(TFA)溶媒系を使用したが、それは流速0.5%/分、50
分のアセトニトリル[バーディック・アンド・ジャクソ
ン(Burdick & Jackson)]中、0.08%TFAの一次グラ
ジエントを用いた0.1%TFA[ピース・ケミカル(Pierce
Chemical)]、次いで流速1.0ml/分、30分の1.0%/分
の一次グラジエントを用いたものであった。
e.アミノ酸分析 HPLCによって採取したピークペプチドを酸加水分解し
た後、アミノ酸分析して特性化した。加水分解は、ペプ
チドを、110℃に減圧下で20時間、定沸点塩酸中でイン
キュベートすることによって行った。酸加水分解物の分
析は、ベックマン(Beckman)6300アミノ酸分析器を使
用して行った。
f.結果 第9図には、野生型RCM rt−PA、N67突然変異RCM t−
PAおよびN−グリカナーゼ−処置N67突然変異RCM rt−P
Aについてのトリプシン消化のHPLCプロフィルを、それ
ぞれ9A、9Bおよび9Cとして示している。すべての試料
は、293ヒト腎細胞における一時的発現によって調製し
た。第9A−9C図に示している溶出プロフィルは、トリプ
シンペプチド(56−82)が野生型t−PAについて溶出さ
れることが認められているグラジエントのセグメントか
ら採取した。このペプチド(56−82)は、第9A図におい
て矢印で示しているように、5分時点に部分的に分割さ
れた二重線として溶出された。
N67 t−PA突然変異体を同様に調査し(第9B図)、そ
れが55分時点に溶出された野生型トリプシンペプチド
(56−82)を喪失していることが判明した。先行するピ
ーク(50.5分)における肩として51分時点における広い
ピークが対応して増加しているようである。51分時点に
おけるこの新しいピークを採取し、酸加水分解してアミ
ノ酸分析により定量した。この分析により、グリコシル
化ペプチド(56−82)の初期溶出と矛盾しない、アミノ
−糖含有ペプチドの存在が示唆された。
(56−82)トリプシンペプチドのグリコシル化を確認
するため、RCM N67 t−PA突然変異体をN−グリコシダ
ーゼで処置し、N−連結炭水化物部分を除去した。この
グリカナーゼ処置突然変異タンパク質のトリプシン消化
物を逆相HPLCによって分析した(第9C図)。51分時点に
おける初期に溶出する肩はN−グリカナーゼ処置により
消失し、そのトリプシン地図には新たに、54.5分時点に
おけるピークが現れた。55分における野生型トリプシン
ペプチド(56−82)と比較して54.5分におけるこの若干
早いN67(56−82)の溶出は、アスパラギン酸とチロシ
ンとを置換したことに対応した結果であった[グオー
(Guo)らのJ.Chrom.,359:499−517(1986)]。(N67
突然変異体はアスパラギンに連結した炭水化物を含有し
ているが、N−グリカナーゼ処置後にはそのアスパラギ
ンがアスパラギン酸残基に変換されている)。アミノ酸
分析により、第9C図の54.5分におけるピークが確かにペ
プチド(56−82)と帰属された。以下の第1表に示され
るように、観察したアミノ酸組成は期待した組成に従っ
ており、それによりアスパラギンがチロシンに置換さ
れ、その67位における残基がN−連結グリコシル化され
ていることが確かめられる。
6.薬物動態 20匹のウサギを無作為に2つの処置群の1つに振り分
けた:rt−PA、およびグリコシル化N67 t−PA。これらタ
ンパク質を125Iで約10μCi/kgにまで標識し、この標識
化タンパク質の非特異的吸着を減少させるため0.1mg rt
−PAと混合した。TCAを沈殿し得る125I−タンパク質の
線量は、名目上5μCi/kgであった。
各ウサギは両耳にヘパリン・ロック(look)を有する
カテーテルを有していた。薬物を1つのカテーテル中IV
ボーラスとして投与し、次いで食塩水を投与した。反対
の耳から全血試料を採取した。血液試料1mlは以下の時
点に入手した:0(投与前)、および投与後2、5、15、
30、45、60、75、90、120、150、および180分。各時点
毎に食塩水をカテーテルに流し(フラッシュし)、血液
容量で置き換えた。採取した血液試料を、4.2mM EDTAお
よび1mM PPACK(フェニルアラニン−プロリン−アルギ
ニン−クロロメチル・ケトンのペプチド)を含有する1.
5ml容量エッペンドルフ遠心管中に注いだ。各遠心管は
遠心するまで氷上で保存した。遠心後、血漿を素早く取
り出し、エッペンドルフ遠心管に入れ、試験が終わるま
で氷上で保存した。各血漿試料100μl中のタンパク質
をトリクロロ酢酸で沈降させた。各沈降物のガンマ放射
線をカウントすることにより、タンパク質に結合した
125Iを定量した。得られた結果はCPM/試料100μl基準
であるので、各データ解析をCPM/mlに変換した。
血中濃度−時間曲線下面積(AUC)操作を使用する台
形法によって、各ウサギのAUCを2から180分で電算機計
算した。クリアランスは、等式:CL=投与量/′AUCから
計算した。
上記125I−標識化タンパク質にかかるターミナル半減
期(terminal half−lives)の順番は次ぎのようであ
る:rt−PA、N67 t−PA。実際の半減期の値を決定するに
は、非標識化タンパク質を使用して薬物動態試験を行わ
なければならない。第10図は、rt−PAおよびグリコシル
化N67 t−PA、ならびに比較のためにデス1−44t−PA、
デス1−44E275 t−PAおよびデス1−44E275D184 t−PA
についての、CPM/ml対分のプロット(投与量に基づいて
標準化)を示すものである。
N67 t−PAは、野生型t−PAよりもゆっくりと血漿か
ら消失した。野生型rt−PAに対するそのN67 t−PAのク
リアランスの比率は0.63であった。結局、等しい注入速
度では、N67 t−PAは野生型t−PAと比較して1.6倍高い
血漿濃度を有していると結論付けられる。
フロントページの続き (56)参考文献 欧州公開225286(EP,A1) 欧州公開227462(EP,A1) 欧州公開238304(EP,A1) Journal of Biolog ical Chemistry,263 (12)(1988),p.5948−54 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 9/64 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) EPAT(QUESTEL)

Claims (32)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィブリン分解活性を示し、天然プラスミ
    ノーゲンアクチベーターには存在しないグリコシル化さ
    れることができるアミノ酸部位を有する組織プラスミノ
    ーゲンアクチベーター(t−PA)アミノ酸配列変異体で
    あって、フィブリン分解活性を有し、天然分子に比べて
    半減期が長いか、またはクリアランス速度が遅い該アミ
    ノ酸配列変異体。
  2. 【請求項2】グリコシル化がN−連結グリコシル化であ
    る請求項1に記載の変異体。
  3. 【請求項3】N−連結グリコシル化部位が外部にさらさ
    れているt−PA変異体が位置に付加されている請求項2
    に記載の変異体。
  4. 【請求項4】グリコシル化がO−連結グリコシル化であ
    る請求項1に記載の変異体。
  5. 【請求項5】Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrで示され
    るトリペプチド配列(ここで、Xはプロリンを除いたい
    ずれかのアミノ酸である)を含有する変異体の部位がグ
    リコシル化されている請求項2に記載の変異体。
  6. 【請求項6】成長因子ドメイン内がグリコシル化されて
    いる請求項1〜5のいずれかに記載の変異体。
  7. 【請求項7】(1)天然t−PAにおける60位にセリンま
    たはスレオニン、(2)天然t−PAにおける64位にアス
    パラギンおよび66位にセリンまたはスレオニン(3)天
    然t−PAにおける65位にアスパラギンおよび67位にセリ
    ンまたはスレオニン、(4)天然t−PAにおける67位に
    アスパラギン、(5)天然t−PAにおける78位にアスパ
    ラギンおよび80位にセリンまたはスレオニン(6)天然
    t−PAにおける79位にアスパラギンおよび81位にセリン
    またはスレオニン、(7)天然t−PAにおける80位にア
    スパラギンおよび82位にセリンまたはスレオニン、また
    は(8)このような(1)から(7)の任意の2個また
    はそれ以上の組合わせを含有している請求項5に記載の
    変異体。
  8. 【請求項8】天然t−PAの67位にアスパラギンを含有し
    ている請求項7に記載の変異体。
  9. 【請求項9】フィブリン結合性に関与しているドメイン
    の少なくとも一部が機能的に除去されて修飾を受けてい
    るが、フィブリン結合性は修復されてそれが天然のt−
    PAに匹敵している請求項6に記載の変異体。
  10. 【請求項10】少なくともフィンガードメインの部分を
    欠いている請求項6に記載の変異体。
  11. 【請求項11】アミノ酸1−44を欠く天然t−PAからな
    る請求項10に記載の変異体。
  12. 【請求項12】117、184、218、または448アミノ酸部位
    の機能的炭水化物構造を欠いている請求項1〜11に記載
    の変異体。
  13. 【請求項13】アミノ酸184位の機能的炭水化物構造を
    欠いている請求項12に記載の変異体。
  14. 【請求項14】天然のt−PAと比較して(1)205−215
    領域、(2)244−255領域、(3)233−242領域、また
    は(4)これら(1)、(2)および(3)の2つまた
    はそれ以上の領域、のアミノ酸がさらに修飾されている
    請求項13に記載の変異体。
  15. 【請求項15】特定の酵素的開裂に対して耐性である請
    求項6に記載の変異体。
  16. 【請求項16】実質的に2本鎖型を含まない請求項15に
    記載の変異体。
  17. 【請求項17】1本鎖突然変異体である請求項16に記載
    の変異体。
  18. 【請求項18】2本鎖開裂部位における部位−特異的突
    然変異によって1本鎖型で安定化されている請求項17に
    記載の変異体。
  19. 【請求項19】成熟プラスミノーゲンアクチベーターに
    従って番号付けした275位がアルギニン以外のアミノ酸
    によって占有されている請求項18に記載の変異体。
  20. 【請求項20】該アミノ酸がグリシンおよびグルタミン
    酸の中から選ばれる請求項19に記載の変異体。
  21. 【請求項21】該アミノ酸がグルタミン酸である請求項
    20に記載の変異体。
  22. 【請求項22】成熟プラスミノーゲンアクチベーターに
    従って番号付けした277位がリジン以外のアミノ酸によ
    って占有されている請求項19に記載の変異体。
  23. 【請求項23】該アミノ酸がイソロイシンである請求項
    22に記載の変異体。
  24. 【請求項24】アミン酸275位または277位またはその両
    部位における酵素的開裂に対して耐性である請求項11に
    記載の変異体。
  25. 【請求項25】デス1−44N67E275 t−PA、デス1−44N
    67D184E275 t−PA、デス1−44N67S184E275 t−PA、デ
    ス1−44N67K213E275 t−PA、デス1−44N67R210A211R2
    12R213E275 t−PA、デス1−44N67R252E275 t−PA、デ
    ス1−44N67K210E275 t−PA、デス1−44N67E275I277 t
    −PA、デス1−44N67D184E275I277 t−PA、デス1−44N
    67S184E275I277 t−PA、デス1−44N67K213E275I277 t
    −PA、デス1−44N67R210A211R212R213E275I277 t−P
    A、デス1−44N67R252E275I277 t−PA、およびデス1−
    44N67K210E275I277 t−PAの中から選ばれる、請求項24
    に記載の変異体。
  26. 【請求項26】請求項1〜14および19〜25のいずれかに
    記載の変異体をコードしているDNA配列。
  27. 【請求項27】請求項26に記載のDNA配列を真核生物の
    形質転換宿主細胞において発現することができる複製可
    能な発現ベクター。
  28. 【請求項28】請求項27に記載のベクターで形質転換さ
    れた真核生物宿主細胞。
  29. 【請求項29】酵母細胞である請求項28に記載の細胞。
  30. 【請求項30】哺乳動物細胞である請求項28に記載の細
    胞。
  31. 【請求項31】チャイニーズハムスター卵巣セルライン
    由来である、請求項30に記載の細胞。
  32. 【請求項32】医薬的に許容され得る担体と共に、請求
    項1〜25のいずれかに記載のプラスミノーゲンアクチベ
    ーター変異体の治療学的有効量を含有してなる、血管疾
    患または症状を処置するための組成物。
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