JPH09165862A - 床打込み型枠およびその施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大引きをそのまま押し縁として兼用すること
ができ、よって作業の手間を大幅に省いてその一層の省
力化を図ることが可能となる床打込み型枠およびその施
工方法を得る。 【解決手段】 複数のデッキ堰板１の長手方向の接続部
２を、型枠支保支柱４上に架設されて、上面に床コンク
リート８内に埋設されるアンカー５が植設された角型材
からなる大引き３によって支持し、デッキ堰板１上に床
コンクリート８を打設した後に、型枠支保支柱４を撤去
することにより、デッキ堰板１を天井仕上げ材とし、か
つ大引き３を当該天井仕上げ材の押え縁とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フラットデッキ型
枠等のデッキ堰板を用いた床打込み型枠およびその施工
方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、上記床打込み型枠の一種として、
薄肉の鉄板をロール成形によって上面を平坦にし、裏面
に荷重支持用のリブを設けた多数のフラットデッキ（デ
ッキ堰板）を一の方向に順次接続して構成したフラット
デッキ型枠が広く用いられている。このようなフラット
デッキ型枠にあっては、軽量で取り扱いが容易であると
ともに、型枠の解体が不要なために、省力化と工期の短
縮化を図ることができ、かつ両端部を梁面と同一に配置
することができるために、階高を低くできるといった利
点がある。ところで、従来このようなフラットデッキ型
枠を施工する場合には、各フラットデッキのほぼ中央部
位置に、それぞれ仮設の大引きを配設し、この大引きを
支保支柱で支持することにより上記フラットデッキ型枠
を敷設している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のフラットデッキ型枠およびその施工方法にあ
っては、大引きおよび支保支柱といった大量の支保工材
を必要とするため、その仮設および撤去に多大の手間を
要するとともに、上記フラットデッキ型枠上の床コンク
リートを打設した後に、上記フラットデッキの裏面側に
別途天井仕上げ材の押え縁を取り付けているために、当
該作業にも手間を要して作業の一層の省力化を妨げる一
因となっていた。

【０００４】本発明は、上記従来の床打込み型枠および
その施工方法が有する課題を有効に解決すべくなされた
もので、大引きをそのまま押し縁として兼用することが
でき、よって作業の手間を大幅に省いてその一層の省力
化を図ることが可能となる床打込み型枠およびその施工
方法を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
に係る床打込み型枠は、床コンクリート打設用の複数の
デッキ堰板を長手方向に接続してなる床打込み型枠であ
って、上記複数のデッキ堰板と、これらデッキ堰板の接
続部の裏面側に配設されて上面に上記床コンクリート内
に埋設されるアンカーが植設された角型材からなる型枠
支保工の大引きとを有してなることを特徴とするもので
ある。ここで、請求項２に記載の発明は、予め上記請求
項１に記載のデッキ堰板裏面と大引きとの見え掛かり部
に、塗装等の化粧を施したことを特徴とするものであ
る。

【０００６】また、請求項３に記載の本発明に係る床打
込み型枠の施工方法は、複数のデッキ堰板の長手方向の
接続部を、型枠支保支柱上に架設されて、上面に床コン
クリート内に埋設されるアンカーが植設された角型材か
らなる大引きによって支持し、上記デッキ堰板上に床コ
ンクリートを打設した後に、上記型枠支保支柱を撤去す
ることにより、上記デッキ堰板を天井仕上げ材とし、か
つ上記大引きを当該天井仕上げ材の押え縁とすることを
特徴とするものである。

【０００７】請求項１または２に記載の床打込み型枠お
よびこれを用いた請求項３に記載の床打込み型枠の施工
方法によれば、デッキ堰板の敷設時に、隣接するデッキ
堰板の接合部の裏面側に配設した角型材からなる上記大
引きによって当該複数のデッキ堰板を支保支柱上に支持
することができ、しかも床コンクリート打設後は、上記
大引きがアンカーを介して上記床コンクリートと一体化
されるため、上記支保支柱のみを撤去することにより、
上記デッキ堰板を天井仕上げ材とし、かつ大引きをその
押え縁として用いることが可能となる。このため、従来
のもののように、支保工撤去時に、大量の大引きを撤去
する必要が無くなり、しかも新たに押え縁を取り付ける
必要も無くなるために、作業の大幅な省力化を図ること
ができる。

【０００８】特に、柱床構造として、キャピタル（柱頭
拡大部）付きのフラットスラブに適用した場合には、上
記大引きと兼用した押え縁が上記キャピタルによって延
在方向に連続しないため、大引き取付時における施工精
度の管理が容易となって好適である。さらに、特に請求
項２に記載の発明のように、予めデッキ堰板裏面と大引
きとの見え掛かり部に、塗装等の化粧を施しておけば、
デッキ堰板を天井仕上げ材とし、かつ上記大引きをその
押え縁とした場合における後工程の塗装作業等がより簡
略化されて、一層の省力化に寄与することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１〜図３は、本発明の床打込み
型枠の一実施形態を示すもので、図中符号１がフラット
デッキ（デッキ堰板）である。このフラットデッキ１
は、所定の巾寸法に形成されたものが、裏面１ａに一体
に形成されたリブ１ｂ…の延在方向に向けて複数配設さ
れており、隣接するフラットデッキ１の鍔状のエンドク
ローズ部（接続部）２の裏面に、角鋼管からなる大引き
３が上記リブ１ｂと直交する方向に設けられている。こ
の大引き３は、上記フラットデッキ１の敷設時に、図３
に示すように、支保支柱４上に載置されて上記フラット
デッキ１を支持するためのもので、その上面には、アン
カーボルト（アンカー）５が植設されている。

【００１０】ちなみに、本実施形態においては、柱６の
頭部にキャピタル部７が形成されていて、このキャピタ
ル部７間に配設されたフラットデッキ１は、そのエンド
クローズ部２が上記キャピタル部７の縁部に載置されて
いる。そして、上記フラットデッキ１…および大引き３
…により、床打込み型枠が構成されおり、上記フラット
デッキ１上には、床コンクリート８が打設されている。
ここで、フラットデッキ１の裏面１ａには、予め工場に
おいてメッキ下地にカラー塗装が施されており、さらに
大引き３の見え掛かり部にも、同様に塗装等の化粧が施
されている。そして、上記床コンクリート８を打設し
て、上記型枠支保支柱４を撤去した後のフラットデッキ
１の裏面１ａは、天井仕上げ材とされ、かつ床コンクリ
ート８内に埋設されたアンカーボルト５を介してフラッ
トデッキ１間に一体に取り付けられた上記大引き３が、
上記天井仕上げ材の押え縁とされている。

【００１１】次に、本発明の施工方法の一実施形態であ
る、上記構成からなる床打込み型枠の施工方法について
説明する。先ず、フラットデッキ１、１間に位置する所
定箇所に、複数本の支保支柱４を仮立設し、これら支保
支柱４間に、フラットデッキ１の長手方向と直交する方
向に上記大引き３…を架け渡す。次いで、予め裏面１ａ
に工場においてメッキ下地にカラー塗装が施されたフラ
ットデッキ１を揚重し、そのエンドクローズ部２を大引
き３に載置するようにして、上記大引き３、３間にフラ
ットデッキ１を敷設して行く。そして、このようにして
構築された床打込み型枠のフラットデッキ１上に、所定
の配筋を行なった後に、当該フラットデッキ１上に床コ
ンクリート８を打設してフラットスラブ躯体を構築す
る。

【００１２】これにより、上記大引き３は、アンカーボ
ルト５を介して上記床コンクリート８と一体化される。
そこで、上記床コンクリート８の硬化後に、上記型枠支
保支柱４…を撤去することにより、上記フラットデッキ
１が天井仕上げ材となり、かつ上記大引き３が当該天井
仕上げ材の押え縁となる。

【００１３】このように、上記構成からなる床打込み型
枠およびその施工方法によれば、フラットデッキ１…の
敷設時には、エンドクローズ部２が載置された上記大引
き３によって上記フラットデッキ１…を支保支柱４…上
に支持することができ、しかも床コンクリート８打設後
は、上記大引き３がアンカー５を介して床コンクリート
８と一体化されるため、支保支柱４のみを撤去すること
によりフラットデッキ１が天井仕上げ材となり、かつ上
記大引き３をそのまま上記天井仕上げ材の押え縁として
用いることができる。したがって、従来のもののよう
に、支保工撤去時に、大量の大引きを撤去する必要が無
くなり、しかも新たに押え縁を取り付ける必要も無くな
るために、作業の大幅な省力化を図ることができる。

【００１４】加えて、図１に示すように、大引き３と兼
用した押え縁が上記キャピタル７によってその延在方向
に連続しないため、支保支柱４間に大引き３を取り付け
る際における施工精度の管理が容易になる。しかも、予
め上記フラットデッキ１の裏面１ａと大引き３との見え
掛かり部に、塗装等の化粧を施しているので、後工程に
おける塗装作業等がより簡略化されて、一層の省力化に
寄与することができる。

【００１５】なお、上記実施形態の説明においては、デ
ッキ堰板としてフラットデッキ１を用いた場合について
のみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えば合板を用いた仮設梁型枠やファブデッキ等の
床鉄筋組込み型枠等の各種の床打込み型枠にも同様に適
用することが可能である。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１または２
に記載の床打込み型枠およびこれを用いた請求項３に記
載の床打込み型枠の施工方法によれば、デッキ堰板の敷
設時に、隣接するデッキ堰板の接合部の裏面側に配設し
た大引きによって当該複数のデッキ堰板を支保支柱上に
支持することができ、しかも床コンクリート打設後は、
上記大引きがアンカーを介して上記床コンクリートと一
体化されるため、デッキ堰板を天井仕上げ材とし、かつ
上記大引きをその押え縁として用いることが可能とな
り、よって従来のもののように、支保工撤去時に、大量
の大引きを撤去する必要が無くなり、しかも新たに押え
縁を取り付ける必要も無くなるために、作業の大幅な省
力化を図ることができるとともに、特に、床構造として
キャピタル付きのフラットスラブに適用した場合には、
上記大引きと兼用した押え縁が上記キャピタルによって
延在方向に連続しないため、取付時における施工精度の
管理が容易となる。さらに、請求項２に記載の発明によ
れば、デッキ堰板を天井仕上げ材とし、かつ上記大引き
をその押え縁とした場合における後工程の塗装作業等が
より簡略化されて、一層の省力化に寄与することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の床打込み型枠の一実施形態を示す底面
図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線視断面図である。

【図３】図２のＡ部拡大図である。

【符号の説明】

１ フラットデッキ（デッキ堰板） ２ エンドクローズ部（接続部） ３ 大引き（押え縁） ４ 支保支柱 ５ アンカーボルト（アンカー） ８ 床コンクリート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床コンクリート打設用の複数のデッキ堰
   板を長手方向に接続してなる床打込み型枠であって、上
   記複数のデッキ堰板と、これらデッキ堰板の接続部の裏
   面側に配設されて上面に上記床コンクリート内に埋設さ
   れるアンカーが植設された角型材からなる型枠支保工の
   大引きとを有してなることを特徴とする床打込み型枠。
2. 【請求項２】 上記デッキ堰板裏面と上記大引きとの見
   え掛かり部には、予め化粧が施されていることを特徴と
   する請求項１に記載の床打込み型枠。
3. 【請求項３】 複数のデッキ堰板の長手方向の接続部
   を、型枠支保支柱上に架設されて、上面に床コンクリー
   ト内に埋設されるアンカーが植設された角型材からなる
   大引きによって支持し、上記デッキ堰板上に床コンクリ
   ートを打設した後に、上記型枠支保支柱を撤去すること
   により、上記デッキ堰板を天井仕上げ材とし、かつ上記
   大引きを当該天井仕上げ材の押え縁とすることを特徴と
   する床打込み型枠の施工方法。