JPH09165193A - クレーン車の安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クレーンブームが上がった状態あるいはアウ
トリガが未収納の状態のままでクレーン車を走行させ
て、クレーンブームやアウトリガが構造物や人に接触又
は激突する事故・災害の発生を防止する。 【解決手段】 クレーンブームの格納を確認する安全装
置としては、クレーン旋回台１に近接センサ３を取付け
るとともにクレーン旋回部に感知棒４を取付け、さらに
クレーンブーム５に反射板６を取付けるとともに架装車
荷台枠７に赤外線センサ８を取付けて、リミットスイッ
チ11により車両の移動に際してクレーンの格納状態を拡
声器９から言語音声で報知するようにした。また、アウ
トリガの収納確認も、同様な機構で拡声器９から言語音
声で報知するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クレーン架装車や
高所作業車、移動式油圧クレーン車など一般にクレーン
車と総称される特殊車両において、クレーンブーム及び
アウトリガが定位置に確実に格納若しくは収納されたこ
とを運転者に知らしめて、安全に走行できるようにした
安全装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、クレーン作業終了後のクレーンブ
ーム格納あるいはアウトリガ収納は運転者の目視確認に
より行っていたが、この方法では運転者の確認不足によ
りクレーンブームが上がった状態あるいはアウトリガが
未収納の状態のままでクレーン車を走行させて、クレー
ンブームやアウトリガが構造物や人に接触又は激突する
事故・災害が多く発生している。

【０００３】このような情況に鑑み、クレーン車の安全
装置について種々の提案がなされている。例えば、実開
平1-111690号には、クレーンブームやアウトリガにそれ
らの状態を検出するセンサを設けて、ジャッキの伸長操
作によってクレーン作業を可能とし、クレーンブームの
格納操作によってはじめてジャッキ縮小作業を可能とし
て吊上作業中の転倒事故等を防止しようとするものが提
案されている。また、特開平4-45097号には、クレーン
のアウトリガの警報装置が記載され、吊上作業中の転倒
事故防止のためにアウトリガが完全に張出されないかぎ
り、警報を発するようにされている。

【０００４】一方、クレーン車のクレーンブームが所定
位置に格納されていない状態で発車させることによる事
故を防止するために、自動車の変速器との関係で警報を
発するように検出手段を設けたものが実開平62-92288号
に記載され、同じくクレーン車の安全走行のため、アー
ム装置を格納位置に戻し忘れのまま走行させないように
するために警報装置を設け、かつパーキング位置をロッ
クさせて車両を走行させないようにすることが実開平6-
32472号において提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単なる
ブザー音等の警報音のみではクレーンブームの格納やア
ウトリガの収納が完全か否かの目視による確認との対応
がつき難く、十分な安全装置とは云い難い欠点がある。
本発明は、クレーンのブームやアウトリガが所定位置に
格納等されていない状態で走行をしようとしても、クレ
ーンの操作機構から走行へのシフト変換操作時に運転者
に対し警告と走行メッセージを音声によって具体的に伝
える安全装置の提供を目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】先ず、クレーン架装車に
おけるクレーンの格納を確認する安全装置としては、ク
レーン旋回台に近接センサを取り付けるとともにクレー
ン旋回部に感知棒を取り付け、さらにクレーンブームに
反射板を取り付けるとともに架装車荷台枠に赤外線セン
サを取り付けて、リミットスイッチによりクレーン車の
移動に際してクレーンの格納状態を拡声器から言語音声
で報知するようにした。

【０００７】次に、アウトリガの収納を確認するため
に、アウトリガケースにセンサを取り付けるとともにア
ウトリガの伸縮アームに感知棒を取り付けて、リミット
スイッチによりクレーン車の移動に際して伸縮アームの
収納状態を拡声器から言語音声で報知するようにした。

【０００８】これらクレーンやアウトリガの格納等の状
態は、ブザー等の単なる警報音ではなくて、音声により
具体的に報知する。報知は、キャビン内に設けた拡声器
から音声が流れるようにして、運転者に対して確実に知
らせる。これにより、音声指示に従って、クレーンブー
ムやアウトリガの格納等の状態を目視のみならず耳によ
っても確認することができるため、クレーン等の不十分
な格納等による不慮の事故を防ぐことができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施例について
詳細に説明する。

【００１０】クレーン架装車におけるクレーン格納安全
装置は、近接センサ、赤外線センサ及びリミットスイッ
チを使用している。図１はクレーンブームを架装車両前
方向に格納した状態の側面図であり、クレーン旋回台１
に電磁式の近接センサ３を固着し、クレーン旋回部２の
前後２か所に感知棒4a,4b を設け、さらに架装車の荷台
枠７上方に赤外線センサ８を固着し、クレーンブーム５
下面に反射板６を固着している。近接センサ３及び赤外
線センサ８は、回路基板12とリード線（図示されていな
い）により接続する。近接センサ３の上方には表示灯13
を設置する。

【００１１】クレーン架装車キャビン内には、運転席後
方頭上に拡声器９を、ＰＴＯ切替レバー10脇にリミット
スイッチ11を、それぞれ設置し、ともに回路基板12とリ
ード線により接続する。これらの回路電源は、架装車の
バッテリーよりとるものとする。

【００１２】図２はクレーンブームを架装車両前方向に
格納した状態の平面図であり、荷台枠７上方に固着した
２個の赤外線センサ8a,8bの取付位置が示されている。
この赤外線センサ8aからは、反射板６に向けて車両前方
斜め方向に赤外線が照射されるが、他の赤外線センサ8b
からは車両後方に赤外線が照射される。すなわち、赤外
線センサ8aはクレーンブーム前方向格納時に作動するも
のであるが、赤外線センサ8bはクレーンブーム後方向格
納時に作動するものである。

【００１３】また、前述の２か所の感知棒4a,4bもクレ
ーンブームの格納方向に対応して設けたものであり、ク
レーンブーム前方向格納時には感知棒4aにより近接セン
サ３が作動し、クレーンブーム後方向格納時には感知棒
4bにより近接センサ３が作動する。

【００１４】図３はクレーンブームを架装車両後方向に
格納した状態の側面図であり、この場合は、近接センサ
３には感知棒4bが対応し、赤外線センサ8bには反射板６
が対応することが示されている。

【００１５】一方、クレーン架装車におけるアウトリガ
収納安全装置では、近接センサ及びリミットスイッチを
使用している。このリミットスイッチは、クレーン格納
安全装置におけるものを共用している。図４は、クレー
ン架装車におけるアウトリガを車両前方よりみた正面図
であり、左右のアウトリガケース14の下部先端付近に電
磁式の近接センサ15を固着し、各伸縮アーム16の対応す
る位置に感知棒17を設けている。近接センサ15は、前述
の回路基板12とリード線（図示されていない）により接
続している。

【００１６】これらクレーン架装車におけるクレーン格
納安全装置とアウトリガ収納安全装置の両方を設置した
場合における回路配線図を図５に示す。

【００１７】図６は本実施例における回路の作動フロー
シートである。クレーンは、ＰＴＯ切替レバー10を引き
上げることにより動作可能状態となり、まずアウトリガ
を左右に張り出し、油圧シリンダを下降させて車両の安
定を確保した後にクレーンを旋回・伸長させて作業を行
うのが通例である。そして、クレーン作業が終了する
と、まずクレーンの格納、次いでアウトリガの収納が行
われ、車両キャビン内のＰＴＯ切替レバー10を押し下げ
てクレーンへの動力を断つことにより、車両の走行が可
能となるのである。

【００１８】そこで、本実施例では、ＰＴＯ切替レバー
10を押し下げるとリミットスイッチ11がＯＮとなり、回
路が作動するように設定した。回路に電流が流れると、
まずクレーン旋回部２に設けた感知棒4a,4bに対してク
レーン旋回台１に固着した近接センサ３が作動する。ク
レーン旋回部２が所定位置に戻されている場合には次の
クレーンブーム５の格納確認へと移行するが、所定位置
に戻されていない場合には音声警報が車両キャビン内部
の拡声器９より流れ、運転者に報知する。この音声警報
は、あらかじめ回路中の音声警報器に録音されているも
のであり、例えば「クレーンブームを格納してくださ
い」といった内容である。なお、クレーン旋回部２が所
定位置に戻されると、近接センサ３が感知棒4a,4bを検
出するとともにその上方に設置した表示灯13が点灯する
ため、目視による安全確認も可能である。

【００１９】ここで、リミットスイッチ11は、車両のサ
イドブレーキに連動させてサイドブレーキを解除すると
ＯＮになるように設定してもよい。一般に、車両を移動
・走行させる際には安全のためにＰＴＯ切替レバー10を
押し下げてクレーンへの動力を断つように指導されてい
るが、ＰＴＯ切替レバー10の操作を怠り、クレーンへの
動力を断たないまま車両を走行させる運転者も時折見う
けられるため、サイドブレーキに連動させれば車両を移
動・走行させる際に本発明の安全装置を確実に作動させ
ることができるからである。ただし、サイドブレーキを
完全に解除しないまま走行する運転者もあることから、
ＰＴＯ切替レバー10とサイドブレーキの双方に連動させ
るのがより望ましい。

【００２０】近接センサ３に次いでクレーンブーム５下
面に固着した反射板６に対して赤外線センサ8a,8bが作
動し、クレーン旋回部２が所定位置に戻されていてもク
レーンブーム５が所定位置まで降下していない場合に
は、前述の「クレーンブームを格納してください」とい
うような音声警報が車両キャビン内部の拡声器９より流
れる。この際、クレーンを車両前方向に格納する場合に
は、赤外線センサ8aより発射される赤外線が反射板６に
反射することによってクレーンブーム５が所定位置にま
で降下しているか否かが検出されることになり、クレー
ンを車両後方向に格納する場合には、赤外線センサ8bよ
り発射される赤外線が反射板６に反射することによって
クレーンブーム５が所定位置にまで格納されているか否
かが検出されることになる。

【００２１】そして、クレーンが所定位置に完全に格納
されている場合には、アウトリガの収納が確認される。
伸縮アーム16に固着された感知棒17に対してアウトリガ
ケース14に固着された近接センサ15が作動し、左右の伸
縮アーム16がともに各アウトリガケース14内の所定位置
にまで収納されている場合には全ての安全確認が終了し
たことになり、例えば「走行準備完了です」といった音
声案内が拡声器９より流れ、安全確認が完了したことを
運転者に報知する。他方、左右いずれか若しくは両方の
伸縮アーム16が所定位置に収納されていない場合には、
例えば「アウトリガを収納してください」といった音声
警報が拡声器９より流れる。

【００２２】クレーンの格納及びアウトリガの収納に対
する警報音声は、クレーン及びアウトリガのそれぞれが
所定位置に戻されるまで継続して流れ、ともに所定位置
へ戻されれば走行準備完了の報知音声に変わる。なお、
この走行準備完了を知らせる報知音声は、回路基盤上に
設置されたタイマーにより３回程度繰り返される。

【００２３】図７は、本発明のクレーン格納安全装置と
アウトリガ収納安全装置を高所作業車に設置した状態を
示す側面図である。クレーン格納安全装置としては、ク
レーン旋回台１に電磁式の近接センサ３を固着し、クレ
ーン旋回部２に感知棒４を設け、クレーンブーム受け台
20に赤外線センサ８を固着し、さらにこれに対応する反
射板６をクレーンブーム５下面に固着している。近接セ
ンサ３及び赤外線センサ８は、回路基板12とリード線
（図示されていない）により接続する。近接センサ３の
上方には表示灯13を設置する。

【００２４】この種の高所作業車では車両の前後２か所
にアウトリガが設けられてるのが通例であるため、アウ
トリガ収納安全装置もすべてのアウトリガに設置する。
このアウトリガ収納安全装置は前述のクレーン架装車に
おけると同じであり、したがって、クレーン格納安全装
置等の作動順序等もクレーン架装車におけるものと同じ
である。

【００２５】図８は、本発明のクレーン格納安全装置と
アウトリガ収納安全装置を移動式油圧クレーン車に設置
した状態を示す側面図である。この車両では、クレーン
格納安全装置としてクレーンブーム受け台20に近接セン
サ21を固着して、これに対応する感知棒22をクレーンブ
ーム５下面に固着している。近接センサ21は、回路基板
12とリード線（図示されていない）により接続する。

【００２６】移動式油圧クレーン車も２組のアウトリガ
を有するのが通例であり、高所作業車と同様、すべての
アウトリガにクレーン架装車におけると同じアウトリガ
収納安全装置を設置する。

【００２７】移動式油圧クレーン車における安全装置の
作動順序等は、クレーン旋回位置の確認がない点を除
き、前述のクレーン架装車における作動順序等と同じで
ある。

【００２８】

【発明の効果】クレーンの格納とアウトリガの収納の確
認を人間の目視に頼らず、近接センサと赤外線センサ及
びリミットスイッチによる光学的、機械的方法としたこ
とにより、確実に行うことができる。

【００２９】クレーンの格納及びアウトリガの収納が完
全でないことや、格納等が完了し、走行可能になったこ
とを、ともに音声にて運転者に伝達するようにしたの
で、従来の目視による方法のように、運転者のうっか
り、ぼんやり等による事故・災害を防止することがで
き、安全な作業を確立することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】クレーンブームを架装車両前方向に格納した状
態を示す側面図である。

【図２】クレーンブームを架装車両前方向に格納した状
態の平面図である。

【図３】クレーンブームを架装車両後方向に格納した状
態の側面図である。

【図４】クレーン架装車におけるアウトリガを車両前方
よりみた正面図である。

【図５】クレーン架装車におけるクレーン格納安全装置
とアウトリガ収納安全装置の両方を設置した場合におけ
る回路配線図である。

【図６】回路の作動フローシートである。

【図７】クレーン格納安全装置とアウトリガ収納安全装
置を高所作業車に設置した状態を示す側面図である。

【図８】クレーン格納安全装置とアウトリガ収納安全装
置を移動式油圧クレーン車に設置した状態を示す側面図
である。

【符号の説明】

１ クレーン旋回台 ２ クレーン旋回部 ３ 近接センサ ４ 感知棒 ６ 反射板 ８ 赤外線センサ ９ 拡声器 11 リミットスイッチ 12 回路基板 13 表示灯 14 アウトリガケース

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ６６Ｃ 23/90 Ｂ６６Ｃ 23/90 Ｈ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クレーン旋回台に近接センサを取付ける
   とともにクレーン旋回部に感知棒を取付け、さらに架装
   車荷台枠に赤外線センサを取付けるとともにクレーンブ
   ームに反射板を取付けて、リミットスイッチにより車両
   の移動に際してクレーンの格納状態を拡声器から言語音
   声で報知するようにしたクレーン車の安全装置。
2. 【請求項２】 クレーン旋回台に近接センサを取付ける
   とともにクレーン旋回部に感知棒を取付け、さらにクレ
   ーンブーム受台に赤外線センサを取付けるとともにクレ
   ーンブームに反射板を取付けて、リミットスイッチによ
   り車両の移動に際してクレーンの格納状態を拡声器より
   言語音声で報知するようにしたクレーン車の安全装置。
3. 【請求項３】 クレーンブーム受台に近接センサを取付
   けるとともにクレーンブームに感知棒を取付けて、リミ
   ットスイッチにより車両の移動に際してクレーンの格納
   状態を拡声器から言語音声で報知するようにしたクレー
   ン車の安全装置。
4. 【請求項４】 アウトリガケースに近接センサを取付け
   るとともに伸縮アームに感知棒を取付けて、リミットス
   イッチにより車両の移動に際して伸縮アームの収納状態
   を拡声器から言語音声で報知するようにしたクレーン車
   の安全装置。