JPH09164482A - 電極回転式非消耗電極アーク溶接における開先倣い方法及び開先倣い制御装置 - Google Patents

電極回転式非消耗電極アーク溶接における開先倣い方法及び開先倣い制御装置

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JPH09164482A
JPH09164482A JP32854795A JP32854795A JPH09164482A JP H09164482 A JPH09164482 A JP H09164482A JP 32854795 A JP32854795 A JP 32854795A JP 32854795 A JP32854795 A JP 32854795A JP H09164482 A JPH09164482 A JP H09164482A
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JP
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welding
electrode
difference
arc
torch
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Application number
JP32854795A
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English (en)
Inventor
Tadashi Fujioka
忠志 藤岡
Yasuro Suzuki
康郎 鈴木
Shigemasa Kobayashi
重政 小林
Yoshihide Sasaki
善英 佐々木
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 薄板の重ね溶接継手部の溶接線の精度的に優
れた自動開先倣い方法とその制御装置を提供し、良好な
ビード表面形状の保持と装置の軽量・小型化を図る。 【解決手段】 溶接トーチ12の電極2と母材1間のア
ーク電圧検出器14と、その検出信号から電極が1回転
する間の最大のアーク電圧をホールドする第1のピーク
ホールド回路27a及び電極が1回転する間の最小のア
ーク電圧をホールドする第2のピークホールド回路27
aと、両回路がホールドした電圧差を求める演算器28
と、溶接トーチを溶接線近傍の所定位置に設定させるト
ーチ狙い位置基準値設定器29と、演算器からの電圧差
と設定した基準値との差を求める比較器30と、比較器
から出力された電圧差と基準値との差に基づいて差が零
となるように溶接トーチを駆動制御する横移動機構制御
器22と溶接線倣い制御回路31とからなる駆動制御部
とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄板の重ね溶接に
関し、上板及び下板側の母材を溶融させることでビード
を形成する溶加材を用いないTIG溶接やプラズマ溶接
等の非消耗電極アーク溶接方法において、ビード表面形
状が良好でかつ広幅・浅溶込み溶接部を形成しながら、
薄板の重ね部により形成される溶接線を自動的に検出し
溶接線に対して適正位置でトーチを倣わせる電極回転式
非消耗電極アーク溶接における開先倣い方法及び開先倣
い制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明は特開平7−185820号公報
に示された電極回転式非消耗電極アーク溶接における開
先倣い方法及び開先倣い制御装置を改善したものであ
る。図3は倣い信号検出方法を示した模式図である。通
常、例えばTIG溶接等の電極回転式非消耗電極アーク
溶接では電極先端と母材間の距離変化をアーク電圧に変
化として検出することができる。従って、この検出され
たアーク電圧を一定にするようにトーチを上下方向に移
動制御すれば電極先端と母材間の距離はほぼ一定に保持
されることとなる。但し、この場合、トーチ回転により
開先段差を検出する速いアーク電圧変化には応答しない
ように制御する必要がある。
【0003】かかる従来の電極回転式非消耗電極アーク
溶接における開先倣い方法は、上記制御の実施を基に考
え出されたもので、重ね溶接部のような段差のある箇所
で電極先端を回転すると電極先端と母材間の距離に応じ
てアーク電圧の変化が検出できることに着目し、検出し
たアーク電圧のうち、図3(a)に示すようにトーチの
進行方向の中心を回転基準位置Cfとしてその前後の検
出区間θ1 、θ2 におけるアーク電圧を取り出し、図3
(b)に示すようにそれぞれの検出区間でのアーク電圧
の基準値に対する偏差を積分処理し、積分値SL,SR
という値を求め、次にそれぞれの積分値の差(SL−S
R)を求め、この値と更に狙い位置で一義的に定まる基
準積分値の差を比較し、その正負・大小に応じて溶接ト
ーチの修正方向、修正量を制御するようにしたものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の電
極回転式非消耗電極アーク溶接における開先倣い方法で
は、この方法を実施するには、検出したアーク電圧のう
ち、溶接トーチの進行方向の中心を回転基準位置Cfと
してその前後の検出区間θ1 、θ2 におけるアーク電圧
を取り出すためにCf位置を求める光電スイッチ等の検
出器が必要であり、またそれぞれの検出区間でのアーク
電圧の基準値に対する偏差を積分処理するために積分区
間を検出するエンコーダ等のトーチの回転位置検出器が
必要であるという問題があった。なお、回転位置検出器
のエンコーダがA相、B相、1パルス/1回転の出力を
行うZ相の3種の出力を有している場合はCf位置検出
器は単独としては不要となるが、この場合には機械的な
Cfと制御上のCfを合致させるための作業が必要で、
この作業が非常に難しいという問題が新たに生じるもの
であった。
【0005】又、上記の上の二つの検出器はトーチ回転
機構の近傍に取り付けなければならないが、取り付け用
の部品も含めトーチの重量や大きさが増加するため、ト
ーチを支えるトーチ昇降機構やトーチ横移動機構もそれ
に応じて丈夫にしなければならず、装置重量が大きく、
重くなるという問題も生じた。更に、検出器の購入費や
部品の加工費もかかり、制御装置についても複雑なタイ
ミング回路、積分器(L側)、積分器(R側)が必要で
製作費の高騰を招き、製作日数の増加につながるという
問題点もあった。
【0006】本発明は、薄板の重ね溶接継手部の溶接線
にセンサを用いることなく且つ精度的に優れた自動開先
倣い、その結果、薄板の重ね溶接部のビード表面形状を
適正に保つことができ、装置の軽量・小型化が図れ、さ
らに制御装置が単純になって製作費が安価にでき、製作
日数の減少も図れるという電極回転式非消耗電極アーク
溶接における開先倣い方法及び開先倣い制御装置を提供
することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電極回転式
非消耗電極アーク溶接における開先倣い方法は、溶接ト
ーチに設けられた非消耗電極先端に円運動を与え、該非
消耗電極に発生するアークを一方向に高速回転させなが
ら薄板の重ね部の溶接線に沿って重ね溶接を行っていく
溶接中にアーク電圧を検出し、そのアーク電圧のうち、
上記非消耗電極が1回転する間の最大と最小のアーク電
圧の差を所定のしきい値と比較し、前記差が零となるよ
うに前記溶接トーチを溶接線と直交する方向に移動制御
して薄板の重ね部の溶接線に対して溶接トーチを適正位
置に制御するようにしたものである。
【0008】また、本発明に係る電極回転式非消耗電極
アーク溶接における開先倣い制御装置は、電極回転式非
消耗電極アーク溶接方法により溶接する溶接トーチの電
極とワークとのアーク電圧を検出するアーク電圧検出器
と、アーク電圧検出器の検出信号から上記非消耗電極が
1回転する間の最大のアーク電圧をホールドする第1の
ピークホールド回路及び上記非消耗電極が1回転する間
の最小のアーク電圧をホールドする第2のピークホール
ド回路と、上記第1のピークホールド回路がホールドし
た最大のアーク電圧と上記第2のピークホールド回路が
ホールドした最小のアーク電圧との差を求める演算器
と、溶接トーチを溶接線と直交する方向で溶接線近傍の
所定位置に設定させる基準値を出力するトーチ狙い位置
基準値設定器と、上記演算器から最大と最小のアーク電
圧の差と上記トーチ狙い位置基準値設定器の基準値との
差を求める比較器と、上記比較器から出力された上記最
大と最小のアーク電圧の差と基準値との差に基づいて当
該差が零となるように溶接トーチを溶接線と直交する方
向に駆動制御する駆動制御部とを備えて構成されてい
る。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る一実施形態の
電極回転TIG溶接装置の全体を示す構成図、図2は同
電極回転TIG溶接装置の電極回転TIGトーチを示す
断面図、図3は開先倣い方法の倣い信号検出方法を示し
た模式図、図4は従来法によるSUS板上の狙い位置と
倣い信号の関係を示すグラフ、図5は水冷銅板上の狙い
位置と倣い信号の関係を本法と従来法の双方で示したグ
ラフである。図において、1は被溶接材である下板1a
に上板1bを重ねてなるワークである母材、2は母材1
の開先線に位置される非消耗電極であるタングステン電
極、3は回転駆動モータ、3aは回転駆動モータ3のシ
ャフト、4はシャフト3aに取り付けられ、回転駆動モ
ータ3により高速回転を与えられる駆動ギヤ、5は駆動
ギヤ4により高速回転を与えられる従動ギヤ、6はタン
グステン電極2を先端に設けたコレットチャック6aで
保持する円筒状の電極保持部材、6bは電極保持部材7
の下方に設けられ、タングステン電極2を取り囲むガス
カップである。
【0010】7は電極保持部材6の上部を回転自在に支
持する上部自動調心ベアリング、8は上部自動調心ベア
リング7をリング回転中心から一定量偏心して保持す
る、即ち電極保持部材6の上部を従動ギヤ5の回転中心
から一定量偏心して保持する偏心リングであり、上部自
動調心ベアリング7とで偏心リング部材を構成する。9
は偏心リング8を一体的に収納する偏心リング保持ケー
スで、従動ギヤ5に一体的に取り付けられている。10
は電極保持部材6の下部を支持する下部自動調心ベアリ
ングである。なお、電極保持部材6に保持され、その軸
線上に位置するタングステン電極2と母材1との間には
後述する定電流溶接電源装置により溶接電圧が印加さ
れ、アークが発生している。
【0011】12は電極回転TIG溶接装置の電極回転
TIGトーチで、図2に示したタングステン電極2〜下
部自動調心ベアリング10で構成されている。13は定
電流溶接電源装置、14はタングステン電極2と母材1
間のアーク電圧を検出するアーク電圧検出器、15はタ
ングステン電極2を所望回転数で回転させるための回転
速度設定器、16は回転速度設定器15によって設定さ
れた回転数設定値に基づき回転駆動モータ3を駆動する
回転用モータードライバーである。17はタングステン
電極2と母材1間の基準アーク電圧を設定するアーク電
圧基準設定器、18はアーク電圧検出器14の検出値と
アーク電圧基準設定器17の基準値との差を比較演算す
る差動増幅器、19は差動増幅器18の出力に基づきト
ーチ昇降機構20の昇降用モーター21を回転制御する
昇降用モーター制御器、22はトーチ横移動機構23の
横移動用モータ24を回転制御する横移動機構制御器、
25はトーチ昇降機構20とトーチ横移動機構23とを
支持して母材1上を走行する溶接台車である。
【0012】26はアーク電圧検出器14のアーク電圧
の検出信号に含まれる高周波ノイズを除去するフィルタ
回路、27aはアーク電圧検出器14のアーク電圧の検
出信号からタングステン電極2が1回転する間の最大の
アーク電圧をホールドする第1のピークホールド回路、
27bはアーク電圧検出器14のアーク電圧の検出信号
からタングステン電極2が1回転する間の最小のアーク
電圧をホールドする第2のピークホールド回路、28は
第1のピークホールド回路27aがホールドした最大の
アーク電圧と第2のピークホールド回路27bがホール
ドした最小のアーク電圧との差を求める演算器である減
算器、29は溶接トーチを溶接線と直交する方向で溶接
線近傍の所定狙い位置に設定させる基準値を出力するト
ーチ狙い位置設定器、30は減算器28から最大と最小
のアーク電圧の差とトーチ狙い位置基準値設定器29の
基準値との差を求める比較器、31は比較器30から出
力された最大と最小のアーク電圧の差の差と基準値との
差に基づいて当該差が零となるように制御信号を横移動
機構制御器22に出力する溶接線倣い制御回路である。
【0013】次に上記実施形態の動作を説明する。ま
ず、図2に示す電極回転TIGトーチ12の動作を説明
する。回転駆動モータ3が回転すると、その回転は駆動
ギア4、従動ギヤ5及び偏心リング保持ケース9を介し
て偏心リング8に伝達される。偏心リング8は電極保持
部材6の上部を回転自在に支持している上部自動調心ベ
アリング7をリング回転中心から一定距離離れた偏心位
置に回転自在に保持しているから、電極保持部材6の上
部は偏心リング8の回転に伴いその回転軸を中心として
旋回することになる。また、電極保持部材6の下部は、
偏心リング8の回転中心に同軸で取り付けられ且つその
周囲を固定された下部自動調心ベアリング10にも保持
されているから、下部自動調心ベアリング10と偏心リ
ング8との作用により、電極保持部材6の下部から下方
に伸びるタングステン電極2の先端は、下部自動調心ベ
アリング10を回転中心の支点としたスリコギ式の円運
動を行うことになる。
【0014】タングステン電極2の先端が円運動をして
いるときに、タングステン電極2の基部を保持している
電極保持部材6の下部は下部自動調心ベアリング10に
回転自在に支持され、回転中心の支点となっており、そ
れ自体は回転しないので、図示しない給電ケーブルによ
って電極保持部材6の下部に位置するタングステン電極
2に直接給電することができる。なお、上記上部自動調
心ベアリング7及び下部自動調心ベアリング10に代え
て球面すべり軸受、ユニット用玉軸受等、同様の機能を
果たす自在軸受で代替することもできる。
【0015】次に、電極回転TIG溶接装置の動作につ
いて説明する。例えば厚みが2mmのステンレススチール
の薄板を重ね溶接する場合、非消耗電極であるタングス
テン電極2の電極回転直径を2.75mmとし、回転駆動
モータ3により電極回転周波数を1.92Hzとし、定
電流溶接装置13により溶接電流を60Aで、タングス
テン電極2の先端に円運動を与え、タングステン電極2
に発生するアーク長が2mmのアークを高速回転させな
がら、母材1の溶接線に沿って溶接速度25〜30cm/
分で重ね溶接を行う。このとき、トーチ傾斜角は0±1
0°以内の適正値に保持されている。
【0016】トーチを静止させた状態では、アークが溶
接部に一点集中してアーク直下が常に溶融していたもの
が、アークを発生させながらタングステン電極2の先端
が機械的にほぼ円状に円運動して溶接を行うため、母材
1の被溶接部に対して溶接アークはタングステン電極2
の先端の回転に伴って被溶接部を円状に移動し、アーク
直下の溶融部がある回転径で移動することになり、アー
クの被溶接部への入熱がある径に分散された形となり、
その結果、広幅、浅溶込みの溶接部を高速で効率よく形
成することができる。
【0017】なお、TIGアークの特性上、上記のタン
グステン電極2の回転による効果は回転に伴ってアーク
が溶融部を移動可能かどうかで決まり、TIGアークの
場合は電極回転周波数は約20Hz程度が限度である。
また、入熱の分散効果はある回転径以上で見られ、ま
た、入熱分散による母材の溶融効率の大幅な低下により
その回転径の最大値が決定される。薄板の重ね溶接で用
いられる溶接電流が十数A〜二百数十AのTIGアーク
の場合には回転径として1〜4mm程度が適正な範囲で
ある。そして、この回転径の適正範囲は使用する溶接電
流の値に依存する。
【0018】次に、溶接中における開先線倣い方法につ
いて図1、図3,図4及び図5に基づいて説明する。ま
ず、開先線倣い方法の原理について説明する。従来法に
おいては、トーチの回転基準位置(CF)の前後でアー
ク電圧の変化を積分処理し、積分値SL,SRという値
を求め、それぞれの積分値の差ΔS=(SL−SR)の
正負、大小に応じて溶接トーチの溶接線と直交する方向
のZ軸の修正方向、修正量を制御しているのに対し、本
発明方法では溶接中に検出されるアーク電圧のうち、上
記非消耗電極が1回転する間の最大と最小のアーク電圧
の差Vp−pを用いて溶接トーチの溶接線と直交する方
向のZ軸の修正方向、修正量を制御するものである。
【0019】そして、従来法を上述した溶接条件で実施
した場合の倣いの信号と重ね溶接における狙い位置の関
係は図4のグラフで示す如くである。即ち、図4のグラ
フでは信号検出論理でアーク電圧の変化を積分値の差
(SL−SR)として求めたΔS=(SL−SR)の値
を縦軸に、また狙い位置を横軸にとっており、これによ
り狙い位置に応じた積分値の差が得られることで、倣い
信号として利用できることが分かる。
【0020】他方、図5のグラフは上述した溶接条件で
水冷銅板上に従来法を実施した場合と本発明方法を実施
した場合との倣いの信号と重ね溶接における狙い位置の
関係を示したものである。即ち、図5のグラフでは従来
法の信号検出論理で求めたアーク電圧の変化を積分値の
差ΔS=(SL−SR)の値と、本発明方法の信号検出
論理で求めた電極が1回転する間の最大と最小のアーク
電圧の差Vp−p=(VaL−VaR)を縦軸に、横軸
にトーチの狙い位置をとり、一枚のグラフに表したもの
である。
【0021】この図5のグラフに示す如く、溶接線の倣
いにおいては、従来法におけるようにトーチの回転位置
を検出し、複雑な信号処理を行って得られる開先線倣い
信号を利用しなくとも、本発明方法では電極が1回転す
る間の最大と最小のアーク電圧の差を求め、その差を信
号処理して得られる開先線倣い信号を用い、トーチの狙
い位置を薄板の重ね部の適正位置に自動的に位置させる
ことにより、結果として従来法を実施した場合と同様に
薄板の重ね部の溶接線にトーチを自動追従させると共に
ビード表面形状を良好に保つことが可能であることが理
解できる。
【0022】次に、開先線倣い方法について具体的に説
明する。電極回転TIGトーチ12に設けられたタング
ステン電極2が重ね溶接される下板1aと上板1bとか
らなる母材1の溶接線に沿って溶接を行っていくとき、
アーク電圧検出器14はタングステン電極2先端の回転
によって変化しているアーク電圧を検出し、フィルタ回
路26を介して第1及び第2ピークホールド27a,2
7bに入力している。このようにフィルタ回路26を介
して第1及び第2ピークホールド27a,27bに入力
するのは、アーク電圧波形にノイズがあり、その影響を
受けないようにするためである。
【0023】なお、電極回転TIGトーチ12に対し
て、タングステン電極2の母材1への短絡を防止すると
共にアーク長さを一定に保ち、かつ重ね部の急激なアー
ク電圧の変化には応答しないアーク長保持機能を果たす
ようにするため、トーチ昇降動作の調整を行う必要があ
る。そのトーチ昇降動作の調整は電極回転TIGトーチ
12の溶接中の昇降動作の調整は、アーク電圧検出器1
4によるアーク電圧検出信号と、アーク電圧基準設定器
17の基準アーク電圧の偏差を差動増幅器16により演
算し、この偏差が常の零となるように昇降用モーター制
御器19が昇降用モーター21を回転制御して電極回転
TIGトーチ12を昇降させることによって行われる。
【0024】いま、電極回転TIGトーチ12と母材1
間のアーク電圧は電極2の回転に伴い交番した変化が得
られる。このうち最大のピーク電圧VaLを第1のピー
クホールド回路27aが保持する。また、最小のピーク
電圧VaRを第1のピークホールド回路27bが保持す
る。このそれぞれのピーク値は減算器28に入力され
る。減算器28では第1のピークホールド回路27aに
より保持された最大のピーク電圧と第2のピークホール
ド回路27bにより保持された最小のピーク電圧の差V
p−p=(VaL−VaR)を求め、それを比較器30
に出力する。比較器30では減算器28で求めた最大と
最小のピーク電圧の差Vp−pとトーチ狙い位置設定器
30によって設定された所定の基準値と比較し、その差
の信号を溶接線倣い制御回路31に出力する。溶接線倣
い制御回路31では比較器30で求めた差が零となるよ
うな横移動指令信号を横移動機構制御器22に出力す
る。横移動機構制御機22は横移動用モータ24を回転
させてトーチ横移動機構23を駆動して電極回転TIG
トーチ12を溶接線と直交する方向に移動制御して薄板
の重ね部の溶接線に電極回転TIGトーチ12がくるよ
うに、即ちタングステン電極2の先端の回転円の中心が
溶接線に位置するように電極回転TIGトーチ12を適
正な狙い位置まで移動させるよう制御する。
【0025】なお、トーチ狙い位置設定器30はタング
ステン電極2の先端、即ちアークの回転円の中心が所定
の狙い位置に位置するよう設定するものであり、通常ト
ーチ狙い位置の範囲は図5に示すように上板側の大体
0.3mm〜1.0mmで、狙い位置が上板側の大体
0.3mmのときは基準値を例えば2V、狙い位置が上
板側の大体1.0mmのときは基準値を例えば1Vに設
定される。従って、アークが常に溶接線と平行な狙い位
置に適正に存在するよう調整することができる。このよ
うに、溶接中におけるアーク電圧を検出し、アーク電圧
を信号処理してアークの回転円の中心が狙い位置に位置
するように制御して電極回転TIGトーチ12を自動追
従させるようにしているため、溶接アーク自体がセンサ
の役目を果たし、溶接過程で溶接線に沿って電極回転T
IGトーチ12を精度よく追従できる。
【0026】なお、上記実施形態において、アークの狙
い位置はが微妙なものであり、0.2〜0.3mm変わ
るとビード形状が悪化することがある。また、板厚によ
り狙い位置も変わり、狙い位置によりビード形状が変化
する。トーチ角度は概略垂直±10°以内が望ましい。
また、上記実施例では、電極回転TIG溶接方法及び電
極回転TIG溶接装置の電極回転TIGトーチ12につ
いて説明したが、本発明はタングステン電極を用いるプ
ラズマ溶接或いはタングステン電極以外の銅電極、炭素
電極という非消耗電極を用いた他の溶接方法及び溶接装
置にも適用され得ることはいうまでもない。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、溶接トー
チに設けられた非消耗電極先端に円運動を与え、該非消
耗電極に発生するアークを一方向に高速回転させながら
薄板の重ね部の溶接線に沿って重ね溶接を行っている場
合に、アーク電圧を検出し、そのアーク電圧のうち、上
記非消耗電極が1回転する間の最大と最小のアーク電圧
の差を所定のしきい値と比較し、前記差が零となるよう
に前記溶接トーチを溶接線と直交する方向に移動制御し
て溶接トーチを薄板の重ね部の溶接線に対して適正位置
に保つようにしたので、薄板の重ね溶接継手部の溶接線
の自動開先倣いが可能となり、広幅、浅溶込みの溶接部
を高速で効率よく形成することができ、しかも溶接部の
要求するビード形状の維持ができるという効果を有す
る。
【0028】また、本発明では開先倣い信号をアーク電
圧の基準値に対する変化を積分処理し、積分値SL,S
Rを求めその差を求め、さらに比較してトーチの修正方
向、修正量を制御していた従来の複雑な制御方法に変え
て、隣り合う大小のアーク電圧のVp−pを単純に信号
処理するようにしたので、回転位置検出器とCf位置を
求める検出器が不要になり、その結果より装置の軽量・
小型化が図れ、さらに制御装置が単純になって製作費が
安価にでき、製作日数の減少も図れるという効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の電極回転TIG溶接
装置の全体を示す構成図である。
【図2】同電極回転TIG溶接装置の電極回転TIGト
ーチを示す断面図である。
【図3】開先線倣い方法の倣い信号検出方法を示した模
式図である。
【図4】従来法によるSUS板上の狙い位置と倣い信号
の関係を示すグラフである。
【図5】水冷銅板上の狙い位置と倣い信号の関係を本法
と従来法の双方で示したグラフである。
【符号の説明】
1 母材(ワーク) 2 タングステン電極(非消耗電極) 12 電極回転TIGトーチ 14 アーク電圧検出器 22 横移動機構制御器(駆動制御部) 23 トーチ横移動機構 24 横移動用モータ24 27a 第1のピークホールド回路 27b 第2のピークホールド回路 28 加算器(演算器) 29 トーチ位狙い位置設定器 30 比較器 31 溶接線倣い制御回路(駆動制御部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 善英 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接トーチに設けられた非消耗電極先端
    に円運動を与え、該非消耗電極に発生するアークを一方
    向に高速回転させながら薄板の重ね部の溶接線に沿って
    重ね溶接を行っていく溶接中にアーク電圧を検出し、そ
    のアーク電圧のうち、上記非消耗電極が1回転する間の
    最大と最小のアーク電圧の差を所定のしきい値と比較
    し、前記差が零となるように前記溶接トーチを溶接線と
    直交する方向に移動制御して薄板の重ね部の溶接線に対
    して溶接トーチを適正位置に制御することを特徴とする
    電極回転式非消耗電極アーク溶接における開先倣い方
    法。
  2. 【請求項2】 電極回転式非消耗電極アーク溶接方法に
    より溶接する溶接トーチの電極とワークとのアーク電圧
    を検出するアーク電圧検出器と、アーク電圧検出器の検
    出信号から上記非消耗電極が1回転する間の最大のアー
    ク電圧をホールドする第1のピークホールド回路及び上
    記非消耗電極が1回転する間の最小のアーク電圧をホー
    ルドする第2のピークホールド回路と、上記第1のピー
    クホールド回路がホールドした最大のアーク電圧と上記
    第2のピークホールド回路がホールドした最小のアーク
    電圧との差を求める演算器と、溶接トーチを溶接線と直
    交する方向で溶接線近傍の所定位置に設定させる基準値
    を出力するトーチ狙い位置基準値設定器と、上記演算器
    から最大と最小のアーク電圧の差と上記トーチ狙い位置
    基準値設定器の基準値との差を求める比較器と、上記比
    較器から出力された上記最大と最小のアーク電圧の差と
    基準値との差に基づいて当該差が零となるように溶接ト
    ーチを溶接線と直交する方向に駆動制御する駆動制御部
    とを備えてなることを特徴とする電極回転式非消耗電極
    アーク溶接における開先倣い制御装置。
JP32854795A 1995-12-18 1995-12-18 電極回転式非消耗電極アーク溶接における開先倣い方法及び開先倣い制御装置 Pending JPH09164482A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106363279A (zh) * 2016-11-30 2017-02-01 湘潭大学 一种基于谐波分析的电弧传感焊缝跟踪控制方法及装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106363279A (zh) * 2016-11-30 2017-02-01 湘潭大学 一种基于谐波分析的电弧传感焊缝跟踪控制方法及装置
CN106363279B (zh) * 2016-11-30 2019-01-18 湘潭大学 一种基于谐波分析的电弧传感焊缝跟踪控制方法及装置

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