JPH09158764A - スロットルバルブの位置決め制御装置 - Google Patents
スロットルバルブの位置決め制御装置Info
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- JPH09158764A JPH09158764A JP7320476A JP32047695A JPH09158764A JP H09158764 A JPH09158764 A JP H09158764A JP 7320476 A JP7320476 A JP 7320476A JP 32047695 A JP32047695 A JP 32047695A JP H09158764 A JPH09158764 A JP H09158764A
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Abstract
外乱や非線形要素による影響を除去して制御分解能と制
御応答性をともに向上させる。 【解決手段】 内燃機関のスロットルバルブを開閉する
アクチュエータ1と、アクチュエータ1を駆動する駆動
手段5と、スロットルバルブの開度を検出する検出手段
2,3と、スロットルバルブ開度検出値を開度指令値に
追従させるように駆動手段5を制御する制御手段4とを
備えたスロットルバルブ位置決め制御装置に、駆動手段
5に対する駆動指令値と検出手段2,3によるスロット
ルバルブ開度検出値とに基づいてアクチュエータ1、駆
動手段5および検出手段2,3に加わる外乱を推定する
外乱推定手段11〜14と、外乱推定手段11〜14に
より推定された外乱により駆動指令値を補正する指令値
補正手段15とを備える。
Description
気量を制御するスロットルバルブの位置決め制御装置に
関する。
ットルバルブ開度との偏差に基づくPID制御や、PI
制御と速度フィードバック制御とを組合せた古典制御理
論に基づく位置決め制御装置が知られている。
バルブの位置決め制御装置はいろいろな目的のために利
用される。例えば、ドライバーのアクセル操作に基づく
最適な加速フィーリングを実現するための通常駆動力制
御や、駆動輪のスリップを抑制するためのトラクション
制御や、ドライバーが設定した車速で自動走行する定速
走行制御や、エンジンのアイドル回転数制御などであ
る。これらの制御目的のためにスロットルバルブ位置決
め制御システムがアクチュエータとして用いられる場合
には、各制御目的に応じて必要となるスロットル制御性
能(応答性、安定性、外乱抑止性、分解能など)をすべ
て満足させる必要がある。特に、従来、スロットルバル
ブをバイパスする小径の補助バルブを制御して行なわれ
ているアイドル制御を、スロットルバルブ制御で実現す
る際には高いスロットル制御分解能が必要となる。ま
た、スロットルバルブにワイヤでつながれたアクセルペ
ダルを直接ドライバーが操作していた従来のシステム
を、アクチュエータによるスロットルバルブ駆動制御で
実現するためには、ドライバーに遅れを感じさせない程
度の高いスロットル制御応答性が必要となる。
を電動モータなどのアクチュエータで駆動制御する際に
は、いろいろな外乱や非線形要素(静止摩擦、モータト
ルクのリップル、温度変化、吸入負圧変化、スロットル
開度計測ノイズ、スロットル開度計測分解能など)の影
響を無視できず、特に微小開度でスロットルバルブを駆
動制御するアイドル制御ではその影響が大きい。したが
って、従来のスロットルバルブ位置決め制御装置では、
外乱や非線形要素により大きな影響を受けるのでスロッ
トル制御分解能と応答性とを高いレベルで両立すること
が困難であった。
影響を除去して制御分解能と制御応答性をともに向上さ
せることにある。
ブを開閉するアクチュエータと、アクチュエータを駆動
する駆動手段と、スロットルバルブの開度を検出する検
出手段と、スロットルバルブ開度検出値を開度指令値に
追従させるように駆動手段を制御する制御手段とを備え
たスロットルバルブ位置決め制御装置に適用され、駆動
指令値とスロットルバルブ開度検出値とに基づいてアク
チュエータ、駆動手段および検出手段に加わる外乱を推
定する外乱推定手段と、推定された外乱により駆動指令
値を補正する指令値補正手段とを備える。駆動指令値と
スロットルバルブ開度検出値とに基づいて外乱を推定
し、推定された外乱により駆動指令値を補正する。そし
て、補正後の駆動指令値により駆動手段を制御し、スロ
ットルバルブ開度検出値を開度指令値に追従させる。ア
クチュエータ、駆動手段および検出手段(制御対象)に
対する駆動指令値(操作量)と、スロットル開度検出値
(制御量)から予め同定した制御対象の動特性に基づい
て逆算される駆動指令値の計算値(操作量の計算値)と
の誤差として制御対象に加わる外乱を推定し、外乱推定
値で駆動指令値(操作量)を補正することによって、駆
動指令値(操作量)からスロットルバルブ開度検出値
(制御量)までの制御対象の動特性を一定にできる。つ
まり、制御対象に加わる様々な外乱(温度変化、吸入負
圧変化、電源電圧変動など)や、非線形要素(静止摩
擦、モータトルクのリップルなど)や、制御対象の生産
ばらつきや経時変化を、総じて制御対象に加わる外乱と
して推定演算し、駆動指令値(操作量)を補正してキャ
ンセルすることにより、外乱の影響を除去することがで
き、スロットルバルブの位置決め制御における制御分解
能と制御応答性をともに向上させることができる。 (2) 請求項2のスロットルバルブの位置決め制御装
置の検出手段はスロットルバルブ開度検出器とA/D変
換器とを有し、スロットルバルブ開度検出器から出力さ
れるアナログ信号を所定の回数だけ連続して繰り返しA
/D変換し、すべてのA/D変換値を合算してスロット
ルバルブ開度検出値とする。アナログ信号を出力するス
ロットルバルブ開度検出器を用い、アナログ出力信号を
A/D変換してディジタル演算を行なう場合には、A/
D変換器の分解能不足を補うために、スロットルバルブ
開度検出器のアナログ出力信号を所定の回数だけ連続し
てA/D変換し、すべてのA/D変換値を合算してスロ
ットルバルブ開度検出値とする。これにより、スロット
ルバルブ開度検出値の分解能が疑似的に向上し、アイド
ル制御時のような微小開度制御おいても上記外乱推定手
段を充分に機能させ、正確な外乱推定値を得ることがで
きる。 (3) 請求項3のスロットルバルブの位置決め制御装
置の検出手段は、内燃機関の制御状態量に応じてA/D
変換の回数を変更する。スロットル開度、機関回転数、
アイドル制御作動状態などの内燃機関の制御状態量に応
じた回数だけ、スロットルバルブ開度検出器のアナログ
出力信号を連続してA/D変換し、すべてのA/D変換
値を合算してスロットルバルブ開度検出値とする。これ
により、高いスロットル分解能が必要なアイドル制御状
態においてのみA/D変換回数を多くし、その他の状態
ではA/D変換回数を少なくして、ディジタル演算を行
なうマイクロコンピュータの負担を軽減することができ
る。 (4) 請求項4のスロットルバルブの位置決め制御装
置の検出手段は、スロットルバルブ開度検出器から出力
されるアナログ信号をそれぞれ異なる増幅率で増幅する
複数の増幅器と、各増幅器の出力をそれぞれA/D変換
するA/D変換器とを有し、増幅度合いの異なる複数の
スロットルバルブ開度のA/D変換値を切り換えるかま
たは補間してスロットルバルブ開度検出値とする。アナ
ログ信号を出力するスロットルバルブ開度検出器を用
い、アナログ出力信号をA/D変換してディジタル演算
を行なう場合には、低開度域では中、高開度域に比べて
高い増幅率でアナログ信号を増幅してA/D変換するこ
とによって、実際のスロットル挙動を表わす信号成分に
比べて観測ノイズを相対的に低減でき、低スロットル開
度域で必要な微小開度制御においても上記外乱推定手段
を充分に機能させ、正確な外乱推定値を得ることができ
る。また、増幅度合いの異なる複数のスロットルバルブ
開度のA/D変換値を、不連続にならないようにスムー
ズにつなぐために、A/D変換値の1つに基づいて双方
のA/D変換値を補間演算してスロットル開度検出値を
求める。これにより、スロットルバルブ制御の安定性を
向上させることができる。 (5) 請求項5のスロットルバルブの位置決め制御装
置の検出手段は、複数の増幅器の中の特定の増幅器のA
/D変換値か、または1サンプル周期前の補間計算値に
基づいて増幅度合いの異なる複数のA/D変換値を補間
演算し、スロットルバルブ開度検出値とする。増幅度合
いの異なる複数のスロットルバルブ開度のA/D変換値
に対する補間演算は、特定のA/D変換値か、あるいは
1サンプル周期前の補間計算値に基づいて行なう。 (6) 請求項6のスロットルバルブの位置決め制御装
置の外乱推定手段は、内燃機関の制御状態量に応じて周
波数特性を変更する。スロットル開度、機関回転数、ア
イドル制御作動状態などの内燃機関の制御状態量に応じ
て外乱推定手段の周波数特性を変更する。例えば、アイ
ドル制御時の低スロットル開度域では、カットオフ周波
数を高くして外乱抑止性を上げ、高分解能なスロットル
制御を実現する。 (7) 請求項7のスロットルバルブの位置決め制御装
置の制御手段は、フィードバック式モデルマッチング補
償器とフィードフォワード式位相補償器とを有し、所定
の応答特性でスロットルバルブ開度検出値を開度指令値
に追従させる。外乱推定手段と指令値補正手段とにより
動特性が一定化された制御対象に対して、さらに、スロ
ットル開度指令値に開度検出値を所望の応答特性で追従
させるためのモデルマッチング補償器を設置する際に、
制御安定性を重視する場合には、フィードバック式モデ
ルマッチング補償器により所望の応答特性に比べて緩慢
な応答特性に仮に一致させ、フィードフォワード式位相
進み補償器により所望の応答特性に一致させる。逆に、
駆動指令値(操作量)が飽和しやすい条件での応答特性
を重視する場合には、フィードバック式モデルマッチン
グ補償器により所望の応答特性以上に応答特性を上げ、
フィードフォワード位相遅れ補償器により所望の応答性
に一致させる。これにより、駆動指令値(操作量)の飽
和による応答特性の劣化を最小限に抑制することができ
る。 (8) 請求項8のスロットルバルブの位置決め制御装
置は、外乱推定手段の入力部または出力部に計測ノイズ
を除去するローパスフィルタを設ける。スロットルバル
ブ開度検出器の出力にローパスフィルタを設置すると、
フィードバック式モデルマッチング補償器へのスロット
ルバルブ開度検出値にもローパスフィルタ処理が施され
ることになり、無駄な遅れが生じる。外乱推定手段の入
力部または出力部にローパスフィルタを設置することに
より、無駄な遅れが発生せず、外乱抑止性と安定性を高
いレベルで両立させることができる。
能ブロック図である。スロットルアクチュエータ1は、
内燃機関の吸入空気流路に設けられたバタフライ型スロ
ットルバルブを駆動する。駆動源にはDCモータが用い
られ、モータの出力を減速機により減速して、ばねによ
り付勢されたスロットルバルブを開閉駆動する。センサ
2はスロットルバルブの開口角度を検出する。この実施
形態ではアナログ信号を出力する安価なポテンショメー
タ式とするが、高精度な光学式エンコーダを用いてもよ
い。センサ信号処理回路3は増幅器およびA/D変換器
を有し、角度センサ2からのアナログ信号を増幅してデ
ィジタル信号に変換する。スロットルバルブ位置決めコ
ントローラ4はマイクロコンピュータおよびその周辺部
品から構成され、スロットルバルブ開度検出値が開度指
令値に追従するようなモータ電流指令値を演算する。電
流制御アンプ5は、実際のモータ電流がモータ電流指令
値に追従するようにパワートランジスタのスイッチング
時間を制御する。
用いたフィードバック式電流制御アンプで構成している
が、電流制御アンプはこの実施形態に限定されない。例
えば、スロットル開度と後述のモデルマッチング補償器
出力とに基づいて、後述の外乱補償器で一定化された制
御対象の動特性モデルでモータの逆起電力を推定し、こ
の逆起電力推定値で電流指令値から求まる有効電圧を補
正して電流制御用パワートランジスタのスイッチング時
間を演算制御するフィードフォワード式電流制御アンプ
を用いてもよい。
ローラ4の構成を示す制御ブロック図である。スロット
ルバルブ位置決めコントローラ4は、外乱やパラメータ
変動に対して低感度特性を得るための外乱補償器11〜
15と、スロットル開度指令値に対する実スロットル開
度の応答性を予め設定した所望の応答特性に一致させる
ためのモデルマッチング補償器16〜19とを有する。
なお、電流制御アンプ4、モータとバルブ可動機構から
なるスロットルアクチュエータ1、角度センサ2および
センサ信号処理回路3がコントローラ4の制御対象であ
り、また、スロットル開度指令値θrが上述したスロッ
トルバルブ開度指令値(目標値)、電流指令値Irが上
述した駆動指令値(操作量)、スロットル開度θが上述
したスロットルバルブ開度検出値(制御量)である。
する。電流指令値Irからスロットル開度θまでの制御
対象の連続系伝達特性Gp(s)を(K/(as2+b
s+c))(以下、0次/2次と表わす)とし、これを
離散化した伝達特性をGp(z-1)で表わす。
0)は、サンプリングタイムが小さいほど−1に収束す
るので、Gp(z-1)の逆系を補償器に用いると不安定
になってしまう。これを避けるために、次のように外乱
補償器を設計する。制御ブロック11は、定常ゲインが
1であるローパスフィルタH0(z-1)に、Gp
(z-1)のゼロ点を有するQ(z-1)を付加したフィル
タH(z-1)である。この制御ブロック11は、電流指
令値Irをローパスフィルタ処理して電流指令値Ir’
を出力する。
Gp(z-1)である。したがって、−1に収束するゼロ
点が相殺され、制御ブロック12は安定なディジタルフ
ィルタとなる。この制御ブロック12は、電流指令値I
rからスロットル開度θまでの制御対象の離散系伝達特
性Gp(z-1)と、スロットル開度θとに基づいて電流
指令値を逆算し、さらにローパスフィルタ処理して電流
指令値Ir”を出力する。減算器14は、電流指令値I
r”から電流指令値Ir’を減算して、電流アンプ5か
らセンサ信号処理回路3までの制御対象の外乱やパラメ
ータ変動による電流指令値Irのずれ量u2(以下、外
乱推定値と呼ぶ)を求める。さらに、減算器15は電流
指令値u1から外乱推定値u2を減算して補正し、外乱
やパラメータ変動による影響を排除した電流指令値Ir
を出力する。
メータ変動がない場合にゼロとなる。制御対象に外乱d
やパラメータ変動Δがある場合には、
では、
キャンセルされて、制御対象の動特性がノミナルモデル
Gp(z-1)に一定化される。H(z-1)のカットオフ
周波数を上げると高周波数域まで同様な効果が得られる
が、逆にハイゲインフィードバックとなり、安定余裕が
減少するのでトレードオフ設計が必要となる。制御ブロ
ック13はモータ電流の上下限に相当するリミッタであ
り、実際の制御対象の入力であるモータ電流が飽和した
時に外乱補償器の入力を制限することによって、外乱推
定値u2に誤差が溜まるのを防止して応答性能の劣化を
防ぐ。
について説明する。まず、所望の応答特性を連続系規範
モデル伝達特性Gm0(s)(0次/2次)で与える。
これを離散化した規範モデル伝達特性Gm0(z-1)と
すると、制御対象の伝達特性Gp(z-1)と同様に、サ
ンプリングタイムを小さくすると−1に収束するゼロ点
を有する。したがって、モデルマッチング補償器の設計
の際に両者を相殺させる目的で、規範モデル伝達特性G
m0(z-1)のゼロ点を制御対象伝達特性Gp(z-1)
のゼロ点で置き換えたGm(z-1)を規範モデル伝達特
性として用いる。なお、サンプリングタイムが充分小さ
ければ、Gm(z-1)とGm0(z-1)との差はほとん
どなく、実用上問題はない。
ルマッチング補償器の制御ブロック16は1/R
(z-1)、制御ブロック17はL(z-1)、制御ブロッ
ク18はBmfで構成される。
出力されるアナログ信号を各サンプリングタイムごとに
A/D変換し、図2に示す外乱補償器11〜15とモデ
ルマッチング補償器16〜19の演算を行なった。しか
し、A/D変換の分解能が不足していると外乱補償器1
1〜15が充分に機能せず、目標とするスロットル制御
分解能を実現できない。そこで、A/D変換の分解能を
疑似的に上げるために、図3に示すように、A/D変換
を複数回、連続して行なって各変換値を合算するオーバ
ーサンプリングを行なう。例えば、外乱補償器およびモ
デルマッチング補償器の演算をサンプリングタイム2m
sごとに行なう場合には、2msごとにA/D変換を1
6回連続して行ない、16個の変換値を合算してスロッ
トルバルブ開度計検出値として制御演算に用いる。ただ
し、A/D変換の時間が2msに比べて充分に短いこと
が必要である。また、スロットル角度センサ2のアナロ
グ出力信号に混入するノイズがA/D変換のタイミング
に比べて高周波であり、正規分布に近いことが前提とな
る。さらに、A/D変換の連続実行がマイクロコンピュ
ータの負担になる場合には、非常に高いスロットル制御
分解能を必要とするアイドル制御実行時だけA/D変換
の連続実行回数を増やすようにする。なお、アイドル制
御実行の判断はエンジン回転数やスロットル開度に基づ
いて行なうようにしてもよい。
ログ出力信号を増幅してA/D変換し、スロットル開度
計測値として外乱補償器11〜15とモデルマッチング
補償器16〜19の演算に用いていた。しかし、センサ
2のアナログ出力信号には必ずある程度のノイズが混入
するので、外乱補償器11〜15が充分に機能せず、目
標とするスロットル制御分解能を実現できない場合があ
る。そこで、図4に示すように、スロットル角度センサ
2のアナログ出力信号を大きく増幅(この例では4倍)
することによって、増幅器の有効周波数域を上回る高周
波ノイズを相対的に低減する。また、A/D変換器の入
力電圧には当然、上限があるので、非常に高いスロット
ル制御分解能が必要となるアイドル制御時、つまり低ス
ロットル開度域のみこれを行ない、単位合せの後、図5
(b)に示すように増幅しない通常のA/D変換値と選
択切り換え、または補間演算してスロットルバルブ開度
検出値として用いる。滑らかに両方のA/D変換値をつ
なぐためには、増幅しない通常のA/D変換値や1サン
プル周期前に補間演算した値に基づいて、双方の間で補
間演算する。
性と安定性のトレードオフ点を調節するローパスフィル
タH(z-1)の周波数特性を一定に固定した。しかし、
アイドル制御のように非常に高いスロットル制御分解能
が要求される状態では、通常時よりも外乱抑止性を重視
する必要がある。そこで、ローパスフィルタH(z-1)
のカットオフ周波数をアイドル制御時のみ高い値に変更
する。
チング補償器によって、スロットル開度指令値に対する
実スロットル開度の応答特性を規範モデルGm(z-1)
の伝達特性に一致させた。したがって、閉ループ系の安
定余裕が充分に確保できない場合には、ハイゲインフィ
ードバックとなるような急俊な伝達特性の規範モデルは
設定できない。そこで、図6に示すように、閉ループ系
の安定性には無関係のフィードフォワード式の位相進み
補償器(制御ブロック20)Gr(z-1)/Gm
(z-1)を設置する。フィードバック式モデルマッチン
グ補償器16〜19で比較的緩慢な仮の伝達特性Gm
(z-1)に一致させ、フィードフォワード式の位相補償
器20で所望の急俊な伝達特性Gr(z-1)に一致させ
る。逆に、制御対象の入力、つまりスロットルアクチュ
エータ1のモータ電流が頻繁に制限値に達するような条
件で位置決め制御系を作動させる場合には、応答性の劣
化を防ぐためにフィードバック式モデルマッチング補償
器16〜19で比較的急俊な仮の伝達特性Gm(z-1)
に一致させ、フィードフォワード式の位相遅れ補償器2
0で所望の伝達特性Gr(z-1)に一致させる必要があ
る。なぜなら、モータ電流が制限値に達している間は、
当然、ロバスト補償器を用いてもアクチュエータの動特
性は一定化されない。したがって、その間に生じた規範
モデルとのずれをモータ電流が制限値を下回った後に強
く抑え込むためには、フィードバック式モデルマッチン
グ補償器16〜19のフィードバックゲインを高く設定
することが有利である。なお、モデルマッチング補償器
16〜19の設計の際と同様に、位相補償器20を設計
する際にも仮の規範モデル伝達特性Gm(z-1)の逆系
を用いるので、所望の規範モデル伝達特性Gr0
(z-1)のゼロ点をGm(z-1)のゼロ点で置き換えた
Gr(z-1)を代用として用いる。サンプリングタイム
が充分小さければ、Gr(z-1)とGr0(z-1)との
差はほどんと実用上問題ない。
非常に高いスロットル制御分解能を実現するためには、
上述したように外乱補償器11〜15のローパスフィル
タのカットオフ周波数をかなり上げて、外乱補償器11
〜15のゲイン特性を高周波までハイゲインにする必要
がある。この場合、特に計測ノイズの影響が大きくなる
ので、外乱補償器11〜15の入力部または出力部に計
測ノイズ除去用のローパスフィルタを追加設置する。図
7は外乱補償器11〜15の入力部にノイズ除去用ロー
パスフィルタ21,22を設置した例を示し、図8は外
乱補償器11〜15の出力部にノイズ除去用ローパスフ
ィルタ23を設置した例を示す。スロットル角度センサ
2の出力にノイズ除去用のローパスフィルタを設置し、
スロットル開度計測値すべてにローパスフィルタ処理を
施すのと異なり、この変形例の方法によれば、モデルマ
ッチング補償器16〜19の入力には無駄な遅れが生じ
ないので、外乱抑止性と安定性を高いレベルで両立でき
る。
において、スロットルアクチュエータ1がアクチュエー
タを、電流制御アンプ5が駆動手段を、スロットル角度
センサ2およびセンサ信号処理回路3が検出手段を、ス
ロットルバルブ位置決めコントローラ4が制御手段を、
制御ブロック11〜13および減算器14が外乱推定手
段を、減算器15が指令値補正手段を、スロットル角度
センサ2がスロットルバルブ開度検出器を、センサ信号
処理回路3がA/D変換器を、制御ブロック16〜19
がフィードバック式モデルマッチング補償器を、制御ブ
ロック20がフィードフォワード式位相補償器を、制御
ブロック21〜23がローパスフィルタをそれぞれ構成
する。
駆動指令値とスロットルバルブ開度検出値とに基づいて
外乱を推定し、推定された外乱により駆動指令値を補正
する。そして、補正後の駆動指令値により駆動手段を制
御し、スロットルバルブ開度検出値を開度指令値に追従
させるようにしたので、外乱の影響を除去することがで
き、スロットルバルブの位置決め制御における制御分解
能と制御応答性をともに向上させることができる。 (2) 請求項2の発明によれば、スロットルバルブ開
度検出器から出力されるアナログ信号を所定の回数だけ
連続して繰り返しA/D変換し、すべてのA/D変換値
を合算してスロットルバルブ開度検出値とするようにし
たので、スロットルバルブ開度検出値の分解能が疑似的
に向上し、アイドル制御時のような微小開度制御おいて
も外乱推定手段を充分に機能させ、正確な外乱推定値を
得ることができる。 (3) 請求項3の発明によれば、内燃機関の制御状態
量に応じてA/D変換の連続繰り返し実行回数を変更す
るようにしたので、高いスロットル分解能が必要なアイ
ドル制御状態においてのみA/D変換回数を多くし、そ
の他の状態ではA/D変換回数を少なくして、ディジタ
ル演算を行なうマイクロコンピュータの負担を軽減する
ことができる。 (4) 請求項4の発明によれば、増幅度合いの異なる
複数のスロットルバルブ開度のA/D変換値を切り換え
るかまたは補間してスロットルバルブ開度検出値とする
ようにした。低開度域では中、高開度域に比べて高い増
幅率でアナログ信号を増幅してA/D変換することによ
って、実際のスロットル挙動を表わす信号成分に比べて
観測ノイズを相対的に低減でき、低スロットル開度域で
必要な微小開度制御においても外乱推定手段を充分に機
能させ、正確な外乱推定値を得ることができる。また、
増幅度合いの異なる複数のスロットルバルブ開度のA/
D変換値を、不連続にならないようにスムーズにつなぐ
ために、A/D変換値の1つに基づいて双方のA/D変
換値を補間演算してスロットル開度検出値を求めること
により、スロットルバルブ制御の安定性を向上させるこ
とができる。 (5) 請求項5の発明によれば、複数の増幅器の中の
特定の増幅器のA/D変換値か、または1サンプル周期
前の補間計算値に基づいて増幅度合いの異なる複数のA
/D変換値を補間演算し、スロットルバルブ開度検出値
とするようにしたので、スロットルバルブ制御の安定性
を向上させることができる。 (6) 請求項6の発明によれば、内燃機関の制御状態
量に応じて外乱推定手段の周波数特性を変更するように
したので、例えば、アイドル制御時の低スロットル開度
域では、カットオフ周波数を高くして外乱抑止性を上
げ、高分解能なスロットル制御を実現できる。 (7) 請求項7の発明によれば、スロットルバルブの
位置決め制御装置の制御手段にフィードバック式モデル
マッチング補償器とフィードフォワード式位相補償器と
を設け、所定の応答特性でスロットルバルブ開度検出値
を開度指令値に追従させるようにした。外乱推定手段と
指令値補正手段とにより動特性が一定化された制御対象
に対して、さらに、スロットル開度指令値に開度検出値
を所望の応答特性で追従させるためのモデルマッチング
補償器を設置する際に、制御安定性を重視する場合に
は、フィードバック式モデルマッチング補償器により所
望の応答特性に比べて緩慢な応答特性に仮に一致させ、
フィードフォワード式位相進み補償器により所望の応答
特性に一致させる。逆に、駆動指令値(操作量)が飽和
しやすい条件での応答特性を重視する場合には、フィー
ドバック式モデルマッチング補償器により所望の応答特
性以上に応答特性を上げ、フィードフォワード位相遅れ
補償器により所望の応答性に一致させる。これにより、
駆動指令値(操作量)の飽和による応答特性の劣化を最
小限に抑制するすることができる。 (8) 請求項8の発明によれば、外乱推定手段の入力
部または出力部に計測ノイズを除去するローパスフィル
タを設けるようにした。スロットルバルブ開度検出器の
出力にローパスフィルタを設置すると、フィードバック
式モデルマッチング補償器へのスロットルバルブ開度検
出値にもローパスフィルタ処理が施されることになり、
無駄な遅れが生じる。外乱推定手段の入力部または出力
部にローパスフィルタを設置することにより、無駄な遅
れが発生せず、外乱抑止性と安定性を高いレベルで両立
させることができる。
成を示す制御ブロック図。
する図。
法の変形例を説明する図。
法の変形例を説明する図。
ング補償器にフィードフォワード式位相補償器を付加し
た変形例を示す制御ブロック図。
去用ローパスフィルタを設置した変形例を示す制御ブロ
ック図。
去用ローパスフィルタを設置した変形例を示す制御ブロ
ック図。
トローラ 5 電流制御アンプ 11〜15 外乱補償器 16〜19 フィードバック式モデルマッチング補償器 20 フィードフォワード式位相補償器 21〜23 ローパスフィルタ
Claims (8)
- 【請求項1】 内燃機関のスロットルバルブを開閉する
アクチュエータと、 前記アクチュエータを駆動する駆動手段と、 前記スロットルバルブの開度を検出する検出手段と、 前記検出手段のスロットルバルブ開度検出値を開度指令
値に追従させるように前記駆動手段を制御する制御手段
とを備えたスロットルバルブ位置決め制御装置におい
て、 前記駆動手段に対する駆動指令値と前記検出手段による
スロットルバルブ開度検出値とに基づいて前記アクチュ
エータ、前記駆動手段および前記検出手段に加わる外乱
を推定する外乱推定手段と、 前記外乱推定手段により推定された外乱により前記駆動
指令値を補正する指令値補正手段とを備えることを特徴
とするスロットルバルブの位置決め制御装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載のスロットルバルブの位
置決め制御装置において、 前記検出手段はスロットルバルブ開度検出器とA/D変
換器とを有し、前記スロットルバルブ開度検出器から出
力されるアナログ信号を所定の回数だけ連続して繰り返
しA/D変換し、すべてのA/D変換値を合算してスロ
ットルバルブ開度検出値とすることを特徴とするスロッ
トルバルブの位置決め制御装置。 - 【請求項3】 請求項2に記載のスロットルバルブの位
置決め制御装置において、 前記検出手段は、前記内燃機関の制御状態量に応じてA
/D変換の回数を変更することを特徴とするスロットル
バルブの位置決め制御装置。 - 【請求項4】 請求項1に記載のスロットルバルブの位
置決め制御装置において、 前記検出手段は、前記スロットルバルブ開度検出器から
出力されるアナログ信号をそれぞれ異なる増幅率で増幅
する複数の増幅器と、前記各増幅器の出力をそれぞれA
/D変換するA/D変換器とを有し、増幅度合いの異な
る複数のスロットルバルブ開度のA/D変換値を切り換
えるかまたは補間してスロットルバルブ開度検出値とす
ることを特徴とするスロットルバルブの位置決め制御装
置。 - 【請求項5】 請求項4に記載のスロットルバルブの位
置決め制御装置において、 前記検出手段は、前記複数の増幅器の中の特定の増幅器
のA/D変換値か、または1サンプル周期前の補間計算
値に基づいて増幅度合いの異なる複数のA/D変換値を
補間演算し、スロットルバルブ開度検出値とすることを
特徴とするスロットルバルブの位置決め制御装置。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの項に記載のス
ロットルバルブの位置決め制御装置において、 前記外乱推定手段は、前記内燃機関の制御状態量に応じ
て周波数特性を変更することを特徴とするスロットルバ
ルブの位置決め制御装置。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの項に記載のス
ロットルバルブの位置決め制御装置において、 前記制御手段は、フィードバック式モデルマッチング補
償器とフィードフォワード式位相補償器とを有し、所定
の応答特性で前記検出手段のスロットルバルブ開度検出
値を開度指令値に追従させることを特徴とするスロット
ルバルブの位置決め制御装置。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかの項に記載のス
ロットルバルブの位置決め制御装置において、 前記外乱推定手段の入力部または出力部に計測ノイズを
除去するローパスフィルタを設けることを特徴とするス
ロットルバルブの位置決め制御装置。
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