JP2009156051A - 電制装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非線形な反力特性に加えて入力飽和要素を有する制御対象であっても応答特性の悪化やオーバーシュートを防止し得る制御装置を提供する。
【解決手段】非線形な反力特性と入力飽和要素(122)とを有する制御対象(121)と、制御対象(121)の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器(125)と、制御対象(121)の入出力から外乱を推定し、外乱を相殺するように補償する外乱オブザーバ(126)とを有する電制装置の制御装置において、外乱オブザーバ(126)は、制御対象(121)が有する入力飽和要素(122)の制限値から線形化補償器(125)が出力する補償量を減じた値を制限値として、外乱オブザーバ(126)への入力に制限処理を行う入力飽和要素モデル(127)を有する。
【選択図】図19

Description

本発明は、内燃機関の運転をコントロールするための電制装置の制御装置、特に吸・排気バルブのリフト特性(バルブ作動角、バルブリフト量)を電動モータを用いて連続的に可変制御可能な可変動弁装置に関する。
可変動弁装置を制御対象として、作動角センサで検出された制御軸の作動角に基づいて制御軸を機関の運転状態に応じた目標位置に回転駆動させるべくフィードバック制御する線形コントローラの他に、バルブスプリングの反力等に起因してカム軸側から入力される非線形特性である反力トルクによる制御軸の作動角変動分を修正すべく、制御軸の検出作動角に応じてフィードフォワード制御する非線形コントローラ(以下「線形化補償器」という。)を備えるものがある(特許文献1参照)。
特開2001−3773号公報
ところで、上記の制御対象にはさらに、電源電圧や電動モータの逆起電力によって電動モータへ流す電流値が制限される非線形特性である入力飽和要素が存在する。
しかしながら、特許文献1の技術ではこの入力飽和要素に対して有効なコントローラを備えていない。そのため、電流値が飽和するとオーバーシュートが発生し、逆に電流値が飽和しない範囲で制御を行うと電動モータの最大限の能力が発揮できずに目標への応答性が緩慢となるという問題がある。
そこで本発明は、非線形な反力特性に加えて入力飽和要素を有する制御対象であっても応答特性の悪化やオーバーシュートを防止し得る制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、図19に示したように非線形な反力特性と入力飽和要素122とを有する制御対象121と、制御対象121の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器125と、制御対象121の入出力から外乱を推定し、外乱を相殺するように補償する外乱オブザーバ126とを有する電制装置の制御装置において、外乱オブザーバ126は、制御対象121が有する入力飽和要素122の制限値(IDOmax、IDOmin)から線形化補償器125が出力する補償量(ILC)を減じた値を制限値として、外乱オブザーバ126への入力に制限処理を行う入力飽和要素モデル127を有する。
第2の発明は、図22に示したように非線形な反力特性と入力飽和要素122とを有する制御対象121と、制御対象121の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器125と、入力飽和要素モデル153を持つ制御対象モデル152とフィードバック補償部154とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデル153の出力値をフィードフォワード操作量として出力するフィードフォワード補償器151とを有する電制装置の制御装置において、制御対象モデル152の出力から線形化補償量(IFFLC)を算出する線形化補償器モデル155と、この算出された線形化補償量(IFFLC)をフィードバック補償部154の出力に加算する加算器156とを有し、フィードフォワード操作量は、前記入力飽和要素モデル153の出力から前記線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算した値とする。
第3の発明は、図24に示したように非線形な反力特性と入力飽和要素122とを有する制御対象121と、制御対象121の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器125と、入力飽和要素モデル153を持つ制御対象モデル152とフィードバック補償部154とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデル153の出力値をフィードフォワード操作量として出力するフィードフォワード補償器151とを有する電制装置の制御装置において、制御対象モデル152の出力から線形化補償量(IFFLC)を算出する線形化補償器モデル155と、線形化補償器125よる線形化補償によって反力特性が線形化された制御対象121の伝達特性(図24のB(s))とを有し、前記入力飽和要素モデル153の制限値は、制御対象121の入力飽和要素122の制限値(IFFmax、IFFmin)から前記線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算した値とする。
制御対象121が非線形な反力特性を有しており、線形化補償器125により非線形な反力特性を打ち消し線形化すると、線形化補償器125の補償量(ILC)が加算される前の信号から制御対象121の出力までの特性は、純積分を有する無定位系となる。そのため、図20に示すように制御対象121と線形化補償器125とをモデルとして陽に表したまま外乱オブザーバ131を構成すると不安定な極ゼロ相殺が発生する。すなわち、制御対象121に多少にかかわらず外乱が存在する場合、外乱オブザーバ131内部の制御対象モデル131の出力(図20のC点)が無限大(あるいは無限小)に発散してしまい実現不可能となってしまう。
そこで、無定位系の制御対象121に対して不安定な極ゼロ相殺を回避して外乱オブザーバを構成するために、線形化後の特性を制御対象モデルとして図21の構成とすることが考えられる。このとき、外部オブザーバ141内の入力飽和要素モデル142を制御対象121の入力飽和要素122と等価とするため入力飽和要素モデル142の制限値から外乱オブザーバ141内の線形化補償器の補償量を減ずる必要がある。しかしながら、図21の構成とした場合には、外乱オブザーバ141内の線形化補償器が陽に現れないため入力飽和要素モデル142の等価な上下限値(制限値)を求めることができない。
これに対して第1の発明によれば、図19に示したように外乱オブザーバ126内の入力飽和要素モデル127の制限値を、外乱オブザーバ126内の線形化補償量を用いるのではなくて、制御対象121の線形化補償量(ILC)を用いて算出するので、不安定な極ゼロ相殺を回避しつつ、制御対象121の入力飽和要素122に対応した外乱オブザーバ126を構成でき、制御対象121の入力飽和要素122が原因で誤差が蓄積することがなくなりオーバーシュートを抑制できる。
ところで、電制装置の制御装置を、入力飽和要素を持つ制御対象モデル及びフィードバック補償部を有するフィードフォワード補償器と、フィードフォワード補償器で算出される規範応答と制御対象の出力値とが一致するように操作量を算出するフィードバック補償器とで構成しているものを特願2006−345640号で先に提案している。この先に提案している装置(「先願装置」という。)において、フィードフォワード補償器では制御対象モデルとフィードバック補償部とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデルの出力値をフィードフォワード操作量として出力し、制御対象モデルの出力値を規範応答として出力する。これにより、実際の制御対象が持つ入力飽和要素の特性を考慮したフィードフォワード操作量と規範応答とを算出することが可能となっている。そのため、応答特性の悪化を防止することができ、かつフィードフォワード操作量がフィードフォワード補償器で考慮した入力飽和要素の値より大きくならないことにより、制御対象モデルの入力飽和要素の値が実際のそれよりも小さい場合でも過大なオーバーシュートは発生しないようになっている。
制御対象121の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器125を備える上記特許文献1に対して、この先願装置を単純に適用すると、図23に示すようなフィードフォワード補償器151が構成される。この場合、制御対象121には線形化補償器125からの補償量(ILC)だけでなく線形化補償器モデル162からの補償量(IFFLC)もが入力されてしまうこととなり、フィードフォワード操作量だけでは規範応答が実現できず先願装置の効果が得られない。
これに対して第2の発明によれば、図22で示したように、フィードフォワード操作量は、入力飽和要素モデル153の出力から線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算した値とする、つまりフィードフォワード操作量より線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算して出力するため、余分な線形化補償量(IFFLC)が制御対象121に入力されることがなくなり、先願装置の効果(応答特性の悪化や過大なオーバーシュートを防止できるという効果)を実現できるので、結果として目標への応答性を俊敏にすることができる。
同様にして、第3の発明によれば、図24で示したように、線形化補償器モデル155からの補償量(IFFLC)をフィードバック補償部154の出力に加算することはせず、入力飽和要素モデル153の制限値を、制御対象121の入力飽和要素122の制限値(IFFmax、IFFmin)から線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算した値としている。これによっても、余分な線形化補償量が制御対象121に入力されることがなくなり、先願装置の効果(応答特性の悪化や過大なオーバーシュートを防止できるという効果)を実現でき、その結果として目標への応答性を俊敏にすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、吸気バルブが最大リフトを迎えるクランク角度位置を変えることなく、バルブリフト量及びバルブ作動角を変化させ得る可変動弁装置の一実施形態を示している。図1は可変動弁装置の平面図、図2は可変動弁装置の要部断面図、図3は可変動弁装置の駆動部を示す構成図である。なお、図1では排気バルブ側(図1の下側)の構成を省略して示していない。
シリンダヘッド10の上部には、全気筒にわたって連続した駆動軸11(カム軸)が設けられている。この駆動軸11は、図外の一端にスプロケットが取り付けられ、タイミングチェーン等を介して機関(エンジン)のクランクシャフトに連動して回転する。
駆動軸11の外周には、吸気バルブ(又は排気バルブ)19を駆動する揺動カム18の円筒状の軸受部18aが相対回転可能に外嵌している。この揺動カム18は、先端部(カムノーズ)18bを有する薄板状をなし、その外周に、吸気バルブ19の上端に設けられた伝達部材としてのバルブリフタ19aの上面19bに摺接するカム面18cが形成されている。
また、駆動軸11の外周にはリング状の偏心カム12が圧入等により固定されている。この偏心カム12の中心(軸心)C2は、駆動軸11の中心(軸心)C1に対して所定量偏心している。この偏心カム12の外周には、リング状リンク13の基部13aがベアリング等を介して相対回転可能に外嵌している。なお、揺動カム18の揺動中心(軸心)は、駆動軸11の中心C1と一致している。
駆動軸11の斜め上方には、図1に示したように制御軸14が駆動軸11と略平行に気筒列方向に延設されている。この制御軸14は、後述する駆動部20によりエンジンの運転状態に応じて所定の回転速度範囲で回転,保持される。
制御軸14の外周には、リング状の制御カム15が圧入等により固定されている。制御カム15の中心(軸心)C4は、制御軸14の中心(軸心)C3に対して所定量偏心している。この制御カム15の外周には、ロッカアーム16の円筒状の中央基部が相対回転可能に外嵌している。このロッカアーム16の一端部16aと、リング状リンク13の小径な先端部13bとは、両者16a,13bを挿通する第1ピン29aを介して相対回転可能に連結されている。
また、ロッカアーム16の他端部16bと揺動カム18とは、ロッド状リンク17によって連携されている。より具体的には、ロッカアーム16の他端部16bと、ロッド状リンク17の一端部17aとは、両者16b,17aを挿通する第2ピン29bを介して相対回転可能に連結されている。また、ロッド状リンク17の他端部17bと揺動カム18とは、両者17b,18を挿通する第3ピン29cを介して相対回転可能に連結されている。
次に、制御軸14を回動,保持する駆動部20の構成を説明する。
図1に示すように、制御軸14は、シリンダヘッド10に固定されるケース22内まで延びており、その一端にウォームホイール21が固定されている。ケース22には、制御軸位置決めコントローラ50からの制御信号により駆動される直流モータ26が取り付けられており、この直流モータ26の出力軸26aは、ローラベアリング25を介してケース22内に回転可能に延在している。この出力軸26aに、ウォームホイール21と噛合するウォームギヤ24が固定されている。なお、ウォームギヤ24とウォームホイール21の間でモータトルクを増大させるために、ギヤ比を適宜に大きく設定してある。また、ケース22には、制御軸14(ウォームホイール21)の回転角度(制御軸作動角)を検出する制御軸作動角センサ23が取り付けられており、この制御軸作動角センサ23の出力は、前記制御軸位置決めコントローラ50に入力され、該制御軸作動角センサ23で検出された制御軸14の作動角に基づいて、直流モータ26がフィードバック制御される。
このような構成により、エンジンの回転に連動して駆動軸11が回転すると、偏心カム12を介してリング状リンク13が並進移動し、これに応じてロッカアーム16が制御カム15の中心C4を揺動中心として揺動し、かつ、ロッド状リンク17を介して揺動カム18が揺動する。このとき、揺動カム18のカム面18cが、吸気弁19の上端に設けられた伝達部材としてのバルブリフタ19aの上面に摺接し、バルブリフタ19aを図外のバルブスプリングの反力に抗して押圧することにより、吸気弁19がエンジンの回転に連動して開閉作動する。
また、エンジンの運転状態に応じて直流モータ26の出力軸26aが所定の角度だけ回転駆動されると、ウォームギヤ24,ウォームホイール21を介して制御軸14が所定の角度(作動角)回動して、ロッカアーム16の揺動中心となる制御カム15の中心C4の位置が変化し、吸気バルブ19のリフト特性が変化する。より具体的には、制御軸14の作動角が大側に回動され、制御カム15の中心C4と駆動軸11の中心C1との距離を近づけるほど、バルブリフト特性の変位であるバルブリフト量及びバルブ作動角が大きくなる。
次に、可変動弁装置の動作特性を考察する。
図4,図5を参照して、ロッカアーム16の他端部16bには、吸気バルブ19のバルブスプリング反力等によって生じる反力F1が、揺動カム18,ロッド状リンク17,第2ピン29b等を介して作用する。また、ロッカアーム16の一端部16aには、反作用として発生する反力F2が、偏心カム12,リング状リンク13,第1ピン29a等を介して作用する。従って、ロッカアーム16の揺動中心C4には、実質的に反力F1,F2の合成反力F3が作用する。
これにより、制御軸14には、制御軸14の中心C3から合成反力F3の方向線までの腕長さr1と合成反力F3との積であるトルクT1が作用する。従って、駆動部20が制御軸14を所定の角度に保持するためには、少なくとも上記のトルクT1に釣り合う逆向きのトルクを必要とする。
制御軸14が所定の回転角度(作動角)に保持された状態では、図4に示すように、揺動カム18が最も高バルブリフト側へ押し下げられたとき、すなわち図4の反時計方向に最も揺動したときに、合成反力F3が最大となる。このときの合成反力F3の方向は、駆動軸11の中心C1と制御軸14の中心C3とを結ぶ第1の線L1と略平行となる。
ここで、図6に示すように、合成反力F3は、バルブリフト量(バルブ作動角)の増大に応じて増大する[図6左側:最小バルブ作動角、図6中央:中間バルブ位置、図6右側:最大バルブ作動角]が、腕長さr1は、偏心カム12の回転にしたがって、最小バルブ作動角から中間位置までは増大するが、その後は、減少する。したがって、合成反力F3と腕長さr1との積であるトルクT1は、制御軸作動角θに対して非線形な特性を有する。
図7は、制御軸の作動角θCS(吸気バルブのバルブリフト量、バルブ作動角と相関)と直流モータ26を流れる駆動電流iCS(トルクT1に比例)との関係を示す。図7において制御軸作動角θCSがゼロのときバルブリフト量(バルブ作動角)が最小となり、制御軸作動角θCSが60のときバルブリフト量(バルブ作動角)が最大となる。
図8は、制御軸位置決めコントローラ50の機能構成を示す制御ブロック図である。位置決めコントローラ50は、線形化補償器61、フィードフォワード(以下「F/F」という。)補償器62、比例微分(以下「PD」という。)補償器63、外乱オブザーバ64から構成されている。以下この順に説明する。なお、図1〜図3に示した直流モータ26を有する可変動弁装置が制御対象60で、制御対象60の入力は直流モータ26に与える電流指令値ICMD、出力(制御量)は制御軸作動角θCSである。この制御軸作動角θCSは、制御軸作動角センサ23(図1)により検出可能である。
まず、線形化補償器61について説明する。
図9は制御対象(可変動弁装置)60と線形化補償器61の詳細なブロック図を示すものである。図9においてKtは直流モータ26のモータトルク定数、Jは可変動弁装置のイナーシャ、Dは可変動弁装置の粘性摩擦係数、T1は非線形な反力トルク、sはラプラス演算子を示している。制御対象60には、1/J、1/s、1/s、Dからなる通常の線形系にT1が加わっている。出力のθCSにT1を乗算した値は非線形な反力トルクを表し、この非線形な反力トルクを減算器71に入力させている。従って、制御対象60は、非線形な反力トルクを有する2次の伝達関数で表される特性を有する。
T1/Ktで表現されている線形化補償器61は、制御軸作動角θCSに応じて変化する非線形な反力トルクに相当する電流値である線形化補償量ILCを出力する。具体的には直流モータ26の電流値と直流モータ26が発生するトルクとが比例関係にある(比例定数はモータトルク定数Ktである)ことを利用して、制御軸作動角θCSと線形化補償量ILCとの関係をあらかじめ計測してマップに作成しておき、制御軸作動角θCSからその作成したマップを用いて線形化補償量ILCを算出する。本実施形態で使用する線形化補償器61のマップを図10に示す。図10は上記図7の波形とよく似た特性である。
図9において線形化補償量ILCを加算器72に入力し電流指令値ICMDに加算した値を線形化補償電流指令値ICMDLCとし、この線形化補償電流指令値ICMDLCを制御対象60に与えることで、非線形な反力トルクT1が打ち消される。すなわち、線形化補償電流指令値ICMDLCにKtを乗算した値は非線形な反力トルクを含んだトルクであり、この非線形な反力トルクを含んだトルクから、減算器71において非線形な反力トルク(θCS×T1)を減算することで、非線形な反力特性を打ち消すことが可能となっている。
この結果、制御対象60に入力される電流指令値ICMDから制御対象60の出力である制御軸作動角θCSまでの伝達関数、つまり反力トルクが線形化された制御対象の伝達関数GP(s)は次の式のようになり、1次遅れと純積分(積分)で表される特性となる。
Figure 2009156051
式1において、1/sが純積分、Kt/(Js+D)が一次遅れである。
さらに、制御対象60には図9に示したようにもうひとつの非線形特性である入力飽和要素ブロック73が存在する。ここで、入力飽和要素ブロック73の制限値(上限値IPmax、下限値IPmin)は電源電圧や直流モータ26の逆起電力、内部抵抗によって決まる。
そこで、上記の非線形な反力トルク及びこの入力飽和要素ブロック73を有する制御対象60と、線形化補償器61とをまとめて等価変換すると、図11に示したようになる。ここで、等価交換したものを改めて「反力トルクが線形化された制御対象」というとすれば、反力トルクが線形化された制御対象81は上記式1の伝達関数GP(s)と入力飽和要素ブロック82とからなり、このときの入力飽和要素ブロック82の制限値(上限値Imax、下限値Imin)は上記の線形化補償量ILCを考慮し、次の式により与えることができる。
Figure 2009156051
反力トルクが線形化された伝達関数GP(s)を与える上記式1と、それに対応する入力飽和要素ブロック82の制限値Imax、Iminを与える式2とを用いて制御系を設計することで、制御を簡素化することができるとともに、飽和値を正確に制御系設計で扱うことができる。
次に、F/F補償器62について説明する。
図12にF/F補償器62の詳細なブロック図を示すと、F/F補償器62はモデルマッチング補償器91と、反力トルクが線形化された制御対象モデル101と、飽和値算出Aブロック102からなっている。
モデルマッチング補償器91は、F/F補償器内の、反力トルクが線形化された制御対象モデル101の出力値(規範応答値)θrefが制御軸指令値(角度指令値)θCMDに対し所望の応答特性をもって一致するように電流指令値ICOM0を算出するものである。
図11に示している反力トルクが線形化された制御対象81の伝達特性GP(s)を離散化した伝達特性はGP(z-1)となり、次の式で表わされる。
Figure 2009156051
式3のbp0、bp1、ap1、ap2は設計値として予め与える値である。
伝達特性GP(z-1)のゼロ点(−bp1/bp0)は、サンプリングタイムが小さいほど−1に収束するので、伝達特性GP(z-1)の逆系を補償器に用いると不安定になってしまう。これを避けるために、次のようにモデルマッチング補償器91を設計する。まず、所望の応答特性を連続系規範モデル伝達特性Gm0(s)(0次/2次)で与える。これを離散化した規範モデル伝達特性Gm0(z-1)とすると、この規範モデル伝達特性Gm0(z-1)も上記制御対象81の伝達特性GP(z-1)と同様に、サンプリングタイムを小さくすると−1に収束するゼロ点を有する。したがって、モデルマッチング補償器91の設計の際に両者を相殺させる目的で、規範モデル伝達特性Gm0(z-1)のゼロ点を上記制御対象81の伝達特性GP(z-1)のゼロ点で置き換えた次の式の伝達特性Gm(z-1)を規範モデル伝達特性として用いる。なお、サンプリングタイムが充分小さければ、伝達特性Gm(z-1)と規範モデル伝達特性Gm0(z-1)との差はほとんどなく、実用上問題はない。
Figure 2009156051
式3、式4を用いると、モデルマッチング補償器91は、1/R(z-1)、L(z-1)、Bmfで構成される。1/R(z-1)、L(z-1)はデジタルフィルタ、Bmfは係数で、これらを与える式は次の通りである。
Figure 2009156051
したがって、図12において、反力トルクが線形化された制御対象モデル101の出力値である規範応答θrefにデジタルフィルタであるL(z-1)の処理を行った値と、制御軸指令値θCMDに係数Bmfの処理を行った値との差分を求め、その求めた差分にさらにデジタルフィルタである1/R(z-1)の処理を行った値が電流指令値ICOM0となる。
飽和値算出Aブロック102では、電源電圧VB、規範応答の微分値dθref/dt、制御軸14から直流モータ26の回転軸までのギヤ比N、直流モータ26の逆起電力定数Ke、直流モータ26の内部抵抗値R、線形化補償量IFFLCを用いて次の式により、入力飽和Aブロック103に出力する制限値(上限値IFFmax、下限値IFFmin)を算出する。
Figure 2009156051
式7の右辺において規範応答の微分値dθref/dtに制御軸14から直流モータ26の回転軸までのギヤ比Nと直流モータ26の逆起電力定数Keを乗じて算出される値は直流モータ26の逆起電力である。また、線形化補償量IFFLCは規範応答θrefから図16の線形化補償マップを用いて算出する。規範応答の微分値dθref/dtは規範応答θrefに近似微分処理を行うことで求める。
入力飽和要素Aブロック103では、モデルマッチング補償器91の出力である電流指令値ICOM0に対し、飽和値算出Aブロック102で算出された制限値IFFmax、IFFminによるリミッタ処理を行い、リミッタ処理後の値をF/F補償器62の出力の一つであるF/F操作量IFFとする。すなわち、入力飽和要素Aブロック103では次式によりF/F操作量IFFを算出する。
COM0≦IFFminの場合 IFF = IFFmin
FFmin<ICOM0<IFFmaxの場合 IFF = ICOM
FFmax≦ICOM0の場合 IFF = IFFmax
このF/F操作量IFFに対し、上記式3に示す、反力トルクが線形化された制御対象81の応答特性GP(z-1)を施して規範応答値θrefを算出する。この規範応答値θrefがもう一つのF/F補償器62の出力値となる。
次に、PD補償器63について説明する。
図13はPD補償器63の詳細なブロック図を示すものである。図13においてKPは比例ゲイン、KDは微分ゲイン、TDは近似微分の時定数を表している。このブロック図から分かるように、PD補償器63の補償量IPDは次の式により算出される。
Figure 2009156051
ここではフィードバック補償器としてPD補償器を挙げているが、これに限られるものでない。例えばP補償器、PI補償器、PID補償器など全てのフィードバック補償器が含まれる。本実施形態では、外乱オブザーバ64との組合せが良かったPD補償器を採用している。
次に、外乱オブザーバ64について説明する。
図14に外乱オブザーバ64の詳細なブロック図を示す。
制御ブロック111の伝達関数H(s)は、その次数を上記式1の伝達関数GP(s)の次数と等しくした次の式で示される2次のローパスフィルタである。
Figure 2009156051
飽和値算出Bブロック112では、電源電圧VB、制御軸作動角の微分値dθCS/dt、制御軸14から直流モータ26の回転軸までのギヤ比N、直流モータ26の逆起電力定数Ke、直流モータ26の内部抵抗値R、線形化補償量ILCを用いて次の式により、入力飽和要素Bブロック113に出力する制限値(上限値IDOmax、下限値IDOmin)を算出する。
Figure 2009156051
式11の右辺において制御軸作動角の微分値dθCS/dtに制御軸14から直流モータ26の回転軸までのギヤ比Nと直流モータ26の逆起電力定数Keを乗じて算出される値は直流モータ26逆起電力である。また、線形化補償量ILCは制御軸作動角θCSから図17の線形化補償マップを用いて算出する。制御軸作動角の微分値dθCS/dtは制御軸作動角θCSに近似微分処理を行うことで求める。
入力飽和要素Bブロック113では、飽和値算出Bブロック112で算出された制限値IDOmax、IDOminに線形化補償量ILCを考慮して制限値(上限値IDOmax−ILC、下限値IDOmin−ILC)を設定し、電流指令値ICOM1(=IFF+IPD)に対し、この設定した制限値IDOmax−ILC、IDOmin−ILCによるリミッタ処理を行い、リミッタ処理後の値を電流指令値ICOM10として算出する。すなわち、入力飽和Bブロック113では次式により電流指令値ICOM10を算出する。
COM1≦IDOmin−ILCの場合 ICOM10=IDOmin−ILC
DOmin−ILC<ICOM1<IDOmax−ILCの場合 ICOM10=ICOM
DOmax−ILC≦ICOM1の場合 ICOM10=IDOmax−ILC
この電流指令値ICOM10に対し、制御ブロック111でローパスフィルタ処理を行い、ローパスフィルタ処理後の値を改めて電流指令値ICOM2として出力する。
制御ブロック114の伝達関数H(s)/GP(s)は次の式で表され、反力トルクが線形化された制御対象81の伝達特性GP(s)の逆系と前記ローパスフィルタの伝達関数H(s)の積となっている。制御ブロック114もフィルタである。
Figure 2009156051
制御ブロック114では制御軸作動角θCSに対してフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の値を電流指令値ICOM3として出力する。減算器115では、電流指令値ICOM3から電流指令値ICOM2を減算して、制御対象の外乱やパラメータ変動による電流指令値ICOM1のずれ量である外乱推定値Id(=ICOM3−ICOM2)を求め、減算器116で電流指令値ICOM1からこの外乱推定値Idを減算した値を最終的な電流指令値ICMDとして出力することで、外乱dを相殺する。なお、図14には外乱オブザーバ64の説明のためだけに加算器117で外乱dを加えて示しているが、本来はなくてもかまわない。
制御ブロック111の伝達関数H(s)、制御ブロック114の伝達関数H(s)/GP(s)で使用されているTHは、ローパスフィルタの時定数である。時定数THを小さくして伝達関数H(s)のカットオフ周波数を上げると、高周波数域まで外乱補償されるが、逆にハイゲインフィードバックとなり、安定余裕が減少するのでトレードオフ設計が必要となる。
このように入力飽和要素Bブロック113で、実際の制御対象81の入力であるモータ電流(電流指令値ICMD)が飽和したときに外乱オブザーバ64の入力を制限することで、外乱推定値Idに誤差が溜まるのを防止することが可能となり、誤差の蓄積が原因で発生するオーバーシュートを防ぐことができる。
図15は制御軸作動角の目標値を0degから所定角度まで大きくなる側にステップ変化させたときの従来例、本実施形態の各応答を示している。ここでいう従来例とは、図18に示したように、制御対象60に対して、一般的な規範応答にPID補償器を加えると共に、非線形な反力トルクを打ち消す線形化補償器とで制御を行っているものである。この従来例によれば、図15左半分に示したように、制御対象60が有する入力飽和要素により実電流が電流指令値と乖離し、規範応答に対して制御軸14の実際の応答が遅れるため、PID補償器における積分器が誤差を積算してしまいオーバーシュートが発生してしまっている。
これに対して本実施形態によれば、図15右半分に示したように、制御軸14の応答にオーバーシュートが発生せず、速やかに目標値に収束させることができている。つまり、可変動弁装置の制御性能を改善できている。なお、電流値がプラス側に大きく振れている部分は急激な加速が行われていることを、また電流値がマイナス側に大きく振れている部分は急減速が行われていることを示している。
ここで、本発明の作用効果を説明する。
制御対象121が非線形な反力特性を有しており、線形化補償器125により非線形な反力特性を打ち消し線形化すると、線形化補償器125の補償量(ILC)が加算される前の信号から制御対象121の出力までの特性は、純積分を有する無定位系となる。そのため、図20に示すように制御対象121と線形化補償器125とをモデルとして陽に表したまま外乱オブザーバ131を構成すると不安定な極ゼロ相殺が発生する。すなわち、制御対象121に多少にかかわらず外乱が存在する場合、外乱オブザーバ131内部の制御対象モデル131の出力(図20のC点)が無限大(あるいは無限小)に発散してしまい実現不可能となってしまう。
そこで、無定位系の制御対象121に対して不安定な極ゼロ相殺を回避して外乱オブザーバを構成するために、線形化後の特性を制御対象モデルとして図21の構成とすることが考えられる。このとき、外部オブザーバ141内の入力飽和要素モデル142を制御対象121の入力飽和要素122と等価とするため入力飽和要素モデル142の制限値から外乱オブザーバ141内の線形化補償器の補償量を減ずる必要がある。しかしながら、図21の構成とした場合には、外乱オブザーバ141内の線形化補償器が陽に現れないため入力飽和要素モデル142の等価な上下限値(制限値)を求めることができない。
これに対して第1の発明(請求項1に記載の発明)によれば、図19に示したように外乱オブザーバ126内の入力飽和要素モデル127の制限値を、外乱オブザーバ126内の線形化補償量を用いるのではなくて、制御対象121の線形化補償量(ILC)を用いて算出するので、不安定な極ゼロ相殺を回避しつつ、制御対象121の入力飽和要素122に対応した外乱オブザーバ126を構成でき、制御対象121の入力飽和要素122が原因で誤差が蓄積することがなくなりオーバーシュートを抑制できる。
ここで、本発明の構成を示した図19を実現しているのが実施形態の図14である。図19でいう制御対象121と線形化補償器125とを合わせたものが、図14でいう反力トルクが線形化された制御対象81である。このため、図14には線形化補償器125が記載されてないことになっている。
ところで、前述の先願装置において、フィードフォワード補償器では制御対象モデルとフィードバック補償部とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデルの出力値をフィードフォワード操作量として出力し、制御対象モデルの出力値を規範応答として出力する。これにより、実際の制御対象が持つ入力飽和要素の特性を考慮したフィードフォワード操作量と規範応答とを算出することが可能となっている。そのため、応答特性の悪化を防止することができ、かつフィードフォワード操作量がフィードフォワード補償器で考慮した入力飽和要素の値より大きくならないことにより、制御対象モデルの入力飽和要素の値が実際のそれよりも小さい場合でも過大なオーバーシュートは発生しないようになっている。
制御対象121の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器125を備える上記特許文献1に対して、この先願装置を単純に適用すると、図23に示すようなフィードフォワード補償器151が構成される。この場合、制御対象121には線形化補償器125からの補償量(ILC)だけでなく線形化補償器モデル162からの補償量(IFFLC)が加算器156により加算されて入力されてしまうこととなり、フィードフォワード操作量だけでは規範応答が実現できず先願装置の効果が得られない。
これに対して第2の発明(請求項2に記載の発明)によれば、図22で示したように、フィードフォワード操作量は、入力飽和要素モデル153の出力から線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算した値とする、つまりフィードフォワード操作量より線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算して出力するため、余分な線形化補償量(IFFLC)が制御対象121に入力されることがなくなり、先願装置の効果(応答特性の悪化や過大なオーバーシュートを防止できるという効果)を実現できるので、その結果として目標への応答性を俊敏にすることができる。
同様にして、第3の発明(請求項3に記載の発明)によれば、図24で示したように、線形化補償器モデル155からの補償量(IFFLC)をフィードバック補償部154の出力に加算することはせず、入力飽和要素モデル153の制限値を、制御対象121の入力飽和要素122の制限値(IFFmax、IFFmin)から線形化補償器モデル155が出力する線形化補償量(IFFLC)を減算した値としている。これによっても、余分な線形化補償量が制御対象121に入力されることがなくなり、先願装置の効果(応答特性の悪化や過大なオーバーシュートを防止できるという効果)を実現でき、その結果として目標への応答性を俊敏にすることができる。
ここで、第2、第3の発明の構成を示した図22、図24を実現している実施形態は示していない。第2、第3の発明の構成を実現する前の実施形態が図12であるので、この図12の構成に対して第2の発明または第3の発明を適用すればよい(請求項4、5に記載の発明)。
実施形態では、図15に示したように制御軸14の目標値を大きくなる側にステップ変化させた場合であったが、制御軸14の目標値を大きな値から小さくなる側にステップ変化させた場合にも本発明の適用があることはいうまでもない。
また、実施形態では、非線形な反力特性と入力飽和要素とを有する制御対象が可変動弁装置である場合で説明したが、これに限らず、内燃機関の運転をコントロールするための電制装置であって非線形な反力特性と入力飽和要素とを有する電制装置であれば本発明の適用がある。
請求項1に記載の制御対象は図19の制御対象121により、線形化補償器は図19の線形化補償器125により、外乱オブザーバは図19の外乱オブザーバ126により、入力飽和要素モデルは図19の入力飽和要素モデル127によりそれぞれ果たされている。
請求項2に記載の制御対象は図22の制御対象121により、線形化補償器は図22の線形化補償器125により、フィードフォワード補償器は図22のフィードフォワード補償器151により、線形化補償器モデルは図22の線形化補償器モデル155により、加算器は図22の加算器156によりそれぞれ果たされている。
請求項3に記載の制御対象は図24の制御対象121により、線形化補償器は図24の線形化補償器125により、フィードフォワード補償器は図22のフィードフォワード補償器151により、線形化補償器モデルは図24の線形化補償器モデル155によりそれぞれ果たされている。
可変動弁装置の平面図。 可変動弁装置の要部断面図。 可変動弁装置の駆動部を示す構成図。 可変動弁装置の作用を説明するための図。 可変動弁装置の制御軸及び制御カムを示す構成図。 制御軸の各回転角における作用を説明するための図。 制御軸作動角と駆動電流の関係を示す特性図。 制御装置全体の制御ブロック図。 線形化補償器と制御対象のブロック図。 線形化補償器のマップ特性図。 等価交換した線形化補償器と制御対象のブロック図。 F/F補償器の詳細ブロック図。 PD補償器の詳細ブロック図。 外乱オブザーバの詳細ブロック図。 本実施形態の効果を説明するためのタイミングチャート。 線形化補償マップの特性図。 線形化補償マップの特性図。 従来例のブロック図。 第1の発明の構成を示すためのブロック図。 第1の発明の効果を説明するためのブロック図。 第1の発明の効果を説明するためのブロック図。 第2の発明の構成を示すためのブロック図。 第2の発明の効果を説明するためのブロック図。 第3の発明の構成を示すためのブロック図。
符号の説明
14 制御軸
23 制御軸作動角センサ(制御軸作動角検出手段)
26 直流モータ
50 制御軸位置決めコントローラ
121 制御対象
122 入力飽和要素
125 線形化補償器
126 外乱オブザーバ
127 入力飽和要素モデル
151 フィードフォワード補償器
152 制御対象モデル
153 入力飽和要素モデル
154 フィードバック補償部
155 線形化補償器モデル
156 加算器

Claims (6)

  1. 非線形な反力特性と入力飽和要素とを有する制御対象と、
    制御対象の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器と、
    制御対象の入出力から外乱を推定し、外乱を相殺するように補償する外乱オブザーバと を有する電制装置の制御装置において、
    外乱オブザーバは、制御対象が有する入力飽和要素の制限値から線形化補償器が出力する補償量を減じた値を制限値として、外乱オブザーバへの入力に制限処理を行う入力飽和要素モデルを有することを特徴とする電制装置の制御装置。
  2. 非線形な反力特性と入力飽和要素とを有する制御対象と、
    制御対象の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器と、
    入力飽和要素モデルを持つ制御対象モデルとフィードバック補償部とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデルの出力値をフィードフォワード操作量として出力するフィードフォワード補償器と
    を有する電制装置の制御装置において、
    制御対象モデルの出力から線形化補償量を算出する線形化補償器モデルと、
    この算出された線形化補償量をフィードバック補償部の出力に加算する加算器と
    を有し、
    フィードフォワード操作量は、前記入力飽和要素モデルの出力から前記線形化補償器モデルが出力する線形化補償量を減算した値とすることを特徴とする電制装置の制御装置。
  3. 非線形な反力特性と入力飽和要素とを有する制御対象と、
    制御対象の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器と、
    入力飽和要素モデルを持つ制御対象モデルとフィードバック補償部とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデルの出力値をフィードフォワード操作量として出力するフィードフォワード補償器と
    を有する電制装置の制御装置において、
    制御対象モデルの出力から線形化補償量を算出する線形化補償器モデルと、
    線形化補償器よる線形化補償によって反力特性が線形化された制御対象の伝達特性と
    を有し、
    前記入力飽和要素モデルの制限値は、制御対象の入力飽和要素の制限値から前記線形化補償器モデルが出力する線形化補償量を減算した値とすることを特徴とする電制装置の制御装置。
  4. 非線形な反力特性と入力飽和要素とを有する制御対象と、
    制御対象の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器と、
    制御対象の入出力から外乱を推定し、外乱を相殺するように補償する外乱オブザーバと、
    入力飽和要素モデルを持つ制御対象モデルとフィードバック補償部とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデルの出力値をフィードフォワード操作量として出力するフィードフォワード補償器と
    を有する電制装置の制御装置において、
    外乱オブザーバは、制御対象が有する入力飽和要素の制限値から線形化補償器が出力する補償量を減じた値を制限値として、外乱オブザーバへの入力に制限処理を行う入力飽和要素モデルを有し、
    かつ
    制御対象モデルの出力から線形化補償量を算出する線形化補償器モデルと、
    この算出された線形化補償量をフィードバック補償部の出力に加算する加算器と
    を有し、
    フィードフォワード操作量は、前記入力飽和要素モデルの出力から前記線形化補償器モデルが出力する線形化補償量を減算した値とすることを特徴とする電制装置の制御装置。
  5. 非線形な反力特性と入力飽和要素とを有する制御対象と、
    制御対象の非線形な反力特性を打ち消すように制御する線形化補償器と、
    制御対象の入出力から外乱を推定し、外乱を相殺するように補償する外乱オブザーバと、
    入力飽和要素モデルを持つ制御対象モデルとフィードバック補償部とで閉ループ系を構成してシミュレーションを行い、入力飽和要素モデルの出力値をフィードフォワード操作量として出力するフィードフォワード補償器と
    を有する電制装置の制御装置において、
    外乱オブザーバは、制御対象が有する入力飽和要素の制限値から線形化補償器が出力する補償量を減じた値を制限値として、外乱オブザーバへの入力に制限処理を行う入力飽和要素モデルを有し、
    かつ
    制御対象モデルの出力から線形化補償量を算出する線形化補償器モデルと、
    線形化補償器による線形化補償によって反力特性が線形化された制御対象の伝達特性と
    を有し、
    前記入力飽和要素モデルの制限値は、制御対象の入力飽和要素の制限値から前記線形化補償器モデルが出力する線形化補償量を減算した値とすることを特徴とする電制装置の制御装置。
  6. 前記制御対象は、制御軸を有しバルブスプリングに連繋したリンク機構を、バルブスプリングの反力に抗し前記制御軸と連結されている直流モータを駆動して前記制御軸を作動させることによりバルブリフト特性を可変に制御し、かつ、直流モータの駆動力と制御軸作動角との関係が非線形な特性を有する可変動弁装置であって、直流モータの駆動力を入力とし制御軸作動角を出力とする可変動弁装置であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の電制装置の制御装置。
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