JP2008309110A - 可変動弁機構の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リフト特性値の変更に関するリンク機構の変位と、バルブスプリングに抗する駆動力との関係が非線形である可変動弁機構において、可変動弁機構を適切にモデル化するとともに、I−PD制御によるフィードバック性能と、制御応答性の設定自由度とを両立させる。
【解決手段】可変動弁機構Aについて、リンク機構の変位に応じて変更されるバネ定数Kを用いてそのモデルを推定する。また、可変動弁機構Aに対し、フィードフォワード補償器104と、I−PD制御によるフィードバック補償器102,103とを設け、フィードフォワード補償器104を、可変動弁機構Aに比例微分補償器103によるフィードバック補償を施した閉ループ系の部分を擬似制御対象D1として、少なくともこの擬似制御対象D1の逆系のモデルを含むものとして構成する。
【選択図】 図6
【解決手段】可変動弁機構Aについて、リンク機構の変位に応じて変更されるバネ定数Kを用いてそのモデルを推定する。また、可変動弁機構Aに対し、フィードフォワード補償器104と、I−PD制御によるフィードバック補償器102,103とを設け、フィードフォワード補償器104を、可変動弁機構Aに比例微分補償器103によるフィードバック補償を施した閉ループ系の部分を擬似制御対象D1として、少なくともこの擬似制御対象D1の逆系のモデルを含むものとして構成する。
【選択図】 図6
Description
本発明は、可変動弁機構の制御装置に関し、詳細には、I−PD制御によるフィードバック補償器が構成されたものにおいて、この補償器によるフィードバック性能を損なうことなく、フィードフォワード補償器との2自由度制御系を構築し、フィードバック性能と制御応答性の設定自由度とを両立させるための技術に関する。
内燃機関の吸気弁又は排気弁のリフト特性値(たとえば、リフト量)を可変に制御可能に構成された可変動弁機構として種々のものが提案され、既に実用化されているものも存在する。可変動弁機構によれば、内燃機関の低速低負荷時における燃費を改善し、運転性を安定させるとともに、リフト量の増大による吸気充填効率の向上により、高速高負荷時における充分な出力を確保することができる。
このような可変動弁機構として、バルブスプリングにより可変動弁機構の制御軸に非線形の反力トルクが作用するものが知られており、その制御装置として、反力トルクに対してサーボコントローラ等による安定した制御応答性が得られるように、反力トルクを外乱として推定し、反力トルクによる制御軸の作動角変動を修正するものが知られている(特許文献1)。
特開2001−003773号公報(段落番号0008,0011)
しかしながら、前掲特許文献1に記載の可変動弁機構の制御装置においては、フィードバック制御系の安定性と反力トルクとの関係を明らかにすることができず、また、フィードバック制御に対するバラツキ又は経年変化の影響を容易に扱うことができないという問題がある。安定性解析においては、制御対象の伝達関数とフィードバック補償器の伝達関数とを掛け合わせた一巡伝達関数が必要とされるところ、上記の可変動弁機構においては、バルブスプリングによる反力トルクが外乱として推定され、制御対象である可変動弁機構のモデルにその作用が組み込まれていないことから、正しくモデル化されていない制御対象の伝達関数により一巡伝達関数が求められることとなり、安定性解析を正しく行うことができないのである。
更に、内燃機関の可変動弁機構については、ロバスト安定性及び外乱抑止性能等のフィードバック性能を確保するばかりでなく、このようなフィードバック補償器の利点を損なうことなく、目標とする制御応答性を自由に設定可能であることが望ましい。
本発明は、以上の問題を考慮した可変動弁機構の制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、バルブスプリングに連係したリンク機構を介して、機関バルブをそのリフト特性値を可変として駆動する可変動弁機構の制御装置を提供するものであり、可変動弁機構は、リフト特性値の変更に関するリンク機構の変位と、バルブスプリングに抗する駆動力との関係が非線形であるものとして構成される。このような可変動弁機構に対し、本発明は、目標とするリフト特性値に基づいて、可変動弁機構に対する第1の操作量を設定するフィードフォワード補償器と、実際のリフト特性値に基づいて、可変動弁機構に対する第2の操作量を設定する、I−PD制御によるフィードバック補償器とを設け、フィードフォワード補償器を、制御対象である可変動弁機構にPD補償器によるフィードバック補償を施した閉ループ系の部分を擬似制御対象として、少なくともこの擬似制御対象の逆系のモデルを含むものとして構成し、可変動弁機構について、リンク機構の変位に応じて変更されるバネ定数を用いてそのモデルを推定するものである。
本発明によれば、制御対象である可変動弁機構のモデルにバネ定数を組み込み、かつこのバネ定数をリンク機構の変位に応じて変更されるものとして可変動弁機構のモデルを推定することとしたので、リフト特性値の可変域全体に亘ってバルブスプリングによる反力トルクの作用を組み込んだ、適切な可変動弁機構のモデルを採用することができる。また、フィードフォワード補償器を、可変動弁機構にPD補償器によるフィードバック補償を施した擬似制御対象の逆系のモデルを持たせて構成したことで、I−PD制御により得られるフィードバック性能を損なうことなく、2自由度制御系の構築により、所望の目標応答性を達成することができる。
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関(以下「エンジン」という。)の可変動弁機構の構成を、エンジンのシリンダヘッド10を上方から見た平面により示している。本実施形態では、可変動弁機構をエンジンの吸気弁19に対して設けることとしている。しかしながら、これと同様の可変動弁機構が、吸気弁19に加えて排気弁に対しても、又は吸気弁19に代えて排気弁に対して設けられてもよい。
シリンダヘッド10の上部には、可変動弁機構の駆動軸11が配設されており、この駆動軸11は、全気筒に亘って連続している。駆動軸11は、図示しないスプロケットがその一端に取り付けられて、タイミングチェーン等の動力伝達媒体を介してクランクシャフトと接続されており、エンジン回転と連動して回転する。
図2は、本実施形態に係る可変動弁機構の構成を、駆動軸11に対して垂直な断面により示している。
駆動軸11の外周には、揺動カム18の軸受け18aが駆動軸11に対して相対回転可能に取り付けられている。この揺動カム18は、吸気弁19のバルブリフタ19aと当接しており、このバルブリフタ19aを介して吸気弁19を開閉させる。また、駆動軸11の外周には、偏心カム12が圧入等の手段により固定されている。この偏心カム12は、円形をなしており、駆動軸11に対し、その中心C2を駆動軸11の中心C1に対して所定の量だけ偏心させて固定されている。更に、偏心カム12の外周には、リング状リンク13の基部13aが偏心カム12に対して相対回転可能に取り付けられている。揺動カム18の揺動中心は、駆動軸11の中心C1と一致している。
駆動軸11の上方には、吸気弁19のリフト特性値を変化させるための制御軸14が設けられており、この制御軸14は、全気筒に亘って駆動軸11と略平行に延設されている(図1)。制御軸14の外周には、制御カム15が圧入等の手段により固定されている。この制御カム15は、円形をなしており、制御軸14に対し、その中心C4を制御軸14の中心C3に対して所定の量だけ偏心させて固定されている。また、制御カム15の外周には、ロッカーアーム16の基部16aが制御カム15に対して相対回転可能に取り付けられている。このロッカーアーム16は、基部16aの一側に形成された第1のアーム部16bにおいて、リング状リンク13に対してピン29aにより回動可能に接続されるとともに、他側に形成された第2のアーム部16bにおいて、ロッド状リンク17を介して揺動カム18と連係されている。すなわち、ロッカーアーム16は、第2のアーム部16cにおいて、ロッド状リンク17の一端17aに対してピン29bにより回動可能に接続され、また、ロッド状リンク17の他端17bが揺動カム18に対してピン29cにより回動可能に接続されることで、揺動カム18と連係されている。
吸気弁19のリフト特性値は、駆動部20により制御軸14の回転角を変化させることにより制御される。図1に示すように、制御軸14は、シリンダヘッド10外まで延設されており、その先端に、ウォームホイール21が固定されている。制御軸14の先端及びこのウォームホイール21は、シリンダヘッド10に固定されたケース22に収められている。このケース22の側面に、可変動弁機構のアクチュエータとしての電動モータ26が設置されている。この電動モータ26の回転軸は、ケース22内に挿入されており、その先端に、ウォームホイール21との対をなすウォームギア(図示せず。)が取り付けられている。電動モータ26によりこのウォームギアを回転させることにより、ウォームホイール21が回転し、制御軸14の回転角が変化する。また、ケース22の他の側面に、制御軸14の回転角を検出するための回転角センサ23が設置されている。回転角センサ23の出力は、電子制御ユニットとして構成されるエンジン制御ユニット(以下「ECU」という。)50に読み込まれ、ECU50は、読み込んだ回転角に基づいて、吸気弁19のリフト特性値を制御する。
次に、以上のように構成される可変動弁機構の動作について説明する。
図2において、エンジン回転に連動して駆動軸11が回転すると、C1を中心とした偏心カム12の回転によりリング状リンク13が並進移動し、これに応じてロッカーアーム16がC4を中心として揺動する。このロッカーアーム16の揺動により、ロッド状リンク17を介して揺動カム18がC1を中心として揺動する。揺動カム18がその動きに応じてバルブリフタ19aをバルブスプリング19bに抗して上下させることにより、吸気弁19がエンジン回転に連動して開閉する。
また、電動モータ26により、ウォームギア及びウォームホイール21を介して制御軸14が回転すると、ロッカーアーム16の揺動中心となる制御カム15の中心C4が変位し、これにより吸気弁19のリフト特性値が変化する。本実施形態では、制御軸14の作動角(「リンク機構の変位」に相当し、以下「VEL作動角」という。)が大側に回転されて、制御カム15の中心C4と、駆動軸11の中心C1との距離が近付けられるほど、リフト特性値としての吸気弁19のリフト量及び弁作動角が増大する。
次に、本実施形態に係る可変動弁機構におけるVEL作動角と、バルブスプリング19b(図2)に抗する駆動力との関係について説明する。
図3は、バルブスプリング19bにより制御軸14に対して作用する反力トルクF3を模式的に示している。電動モータ26は、制御軸14を駆動し、及びエンジン回転に連動して吸気弁19を開閉させる際に、この反力トルクF3に抗して制御軸14の回転角を保持しなければならない。
ロッカーアーム16の第2のアーム部16cには、バルブスプリング19からの反力F1が、揺動カム18、ロッド状リンク17及びピン29b等を介して作用する。他方、第1のアーム部16bには、その反作用として、反力F2が作用する。従って、ロッカーアーム16の揺動中心C4には、実質的に反力F1,F2の合成反力F3が作用し、制御軸14には、中心C3から合成反力F3の方向線までの腕長さr1と合成反力F3との積として表されるトルクT1が作用することになる。駆動部20が制御軸14を所定の作動角に保持するためには、少なくともこの反力トルクF3に釣り合う逆向きのトルクを生じさせることが必要となる。制御軸14が所定の作動角に保持された状態では、図4に示すように、揺動カム18が最も高リフト側に押し下げられたときに、すなわち、図4の反時計方向に最も揺動したときに、合成反力F3が最大となる。このときの合成反力F3の方向は、駆動軸11の中心C1と制御軸14の中心C3とを結ぶ直線L1に対して略平行となる。ここで、図5に示すように、合成反力F3は、リフト量(又は弁作動角)の増大に応じて増大するが、腕長さr1は、偏心カム12の回転に応じて、最小作動角(a)から中間作動角(b)までは増大する一方、中間作動角以降、最大作動角(c)までは減少する。従って、合成反力F3と腕長さr1との積である反力トルクT1は、VEL作動角θに対して非線形な特性を有することとなる。
図6は、本実施形態に係る可変動弁機構のシステム構成を、機能ブロックにより示している。各ブロックの機能は、ECU50において、ソフトウェアにより実現される。
本システムは、目標とするVEL作動角θcst(エンジンの運転状態に基づいて、ECU50により設定される。)が達成されるように、可変動弁機構に対する操作量としての電動モータ26の駆動電流icsを制御するものであり、大別すると、制御対象である可変動弁機構Aと、補償要素としての外乱補償部B1及び応答性補償部C1とから構成される。
可変動弁機構Aは、駆動電流icsを入力、VEL作動角θcsを出力として、その動特性及び静特性が、0次/2次の伝達関数として次式により表される。式(1)において、Jを可変動弁機構の慣性モーメント、Dを可変動弁機構における粘性抵抗、KTを電動モータ26のトルク定数、Kをバネ定数とする。式(1)の右辺、第1の項が動特性を示し、第2の項が静特静を示す。バネ定数Kは、後述するように定義され、かつECU50により、VEL作動角θcs毎に算出されるものである。
外乱補償部B1は、規範応答形成部101、積分補償器102及び比例微分補償器103を含んで構成され、積分補償器102及び比例微分補償器103により、I−PD制御によるフィードバック補償器が構成される。
規範応答形成部102は、目標とするVEL作動角θcst(運転状態の変化によりステップ的に変化する。)に到達するまでの過渡的な目標作動角を算出するものであり、その特性は、次式により表される。式(2)において、減衰比をζ、固有振動数をωとする。ζ及びωは、本システムの設計者により、持たせようとする制御応答性に応じて任意に設定される制御パラメータである。
積分補償器102は、実際のVEL作動角θcs(回転角センサ23により検出される。)の、目標とするVEL作動角θcstに対する偏差に基づいて、可変動弁機構に対するフィードバック操作量の積分項を算出するものであり、その特性は、次式により表される。式(3)において、積分ゲインをKIとする。
比例微分補償器103は、比例補償器と、近似微分による微分補償器とから構成され、実際のVEL作動角θcsに基づいて、可変動弁機構に対するフィードバック操作量の比例微分項を算出するものである。比例微分補償器103の特性は、次式により表される。式(4)において、比例ゲインをKp、微分ゲインをKd、近似微分の時定数をTDとする。比例ゲインKp及び微分ゲインKd、ならびに先の積分ゲインKIにより、本システムのフィードバック性能(ロバスト安定性及び外乱抑止性能を含む。)を調整することができる。比例微分補償器103により算出される比例微分項と、先の積分項との和が、可変動弁機構に対する「第2の操作量」に相当する。
応答性補償部C1は、目標とするVEL作動角θcstに基づいて、可変動弁機構に対する「第1の操作量」を設定するものであり、フィードフォワード補償器104として構成される。フィードフォワード補償器104の特性は、可変動弁機構Aと、比例微分補償器103とから構成される閉ループ系の部分を擬似制御対象D1(その特性は、式(5)により表される。)として、規範応答形成部101の特性を示す式(2)に、この擬似制御対象D1の逆系のモデルを掛け合わせた式(6)により表される。応答性補償部C1により設定される第1の操作量に、外乱補償部B1により設定される第2の操作量を加算した合計操作量が、駆動電流icsとして可変動弁機構Aに入力される。
バネ定数Kは、VEL作動角θcsに対して非線形性を有するものである。本実施形態では、バネ定数Kを、VEL作動角θcsに対する駆動電流ics(バルブスプリング19bによる反力トルクF3に相関する。)の比の関数として、次式により定義する。式(7)において、電動モータ26のトルク定数をKTとする。VEL作動角θcsと駆動電流icsとの関係(図7)を実験等により予め把握したうえで、式(7)によりバネ定数Kを算出し、更にこれをVEL作動角θcsに対応させて、図8に示すようなテーブルデータとしてECU50に記憶させておく。
A(θcs)=(ics/θcs)×KT ・・・(7)
ECU50は、目標とするVEL作動角θcstにより図8のテーブルデータを検索し、得られたバネ定数Kに基づいて、式(6)によりVEL作動角θcstに対する可変動弁機構のフィードフォワード操作量を算出する。
ECU50は、目標とするVEL作動角θcstにより図8のテーブルデータを検索し、得られたバネ定数Kに基づいて、式(6)によりVEL作動角θcstに対する可変動弁機構のフィードフォワード操作量を算出する。
なお、可変動弁機構Aの作動角が動き始めるのに必要な駆動電流(以下「オフセット電流」という。)ics0がエンジン回転数に応じて異なることから、フィードバック補償器102,103及びフィードフォワード補償器104により算出された操作量に対し、エンジン回転数に応じたオフセット電流ics0を加算して、可変動弁機構Aに対する最終的な操作量を設定するようにしてもよい。具体的には、高回転側の領域にあるほど、大きなオフセット電流ics0が加算されるようにする。
ics=ics+ics0 ・・・(8)
また、エンジン回転数が一定であっても、可変動弁機構Aにおける摩擦等の影響により、VEL作動角θcsを増大させる場合と、これを減少させる場合とでVEL作動角θcs毎のバネ定数Kが異なることから、このヒステリシスを考慮したバネ定数Kを算出するようにしてもよい。具体的には、バネ定数Kのテーブルデータを、VEL作動角θcsを増大させる場合と、減少させる場合とで切り換えて使用することとし、VEL作動角θcsを増大させる(すなわち、吸気弁19のリフト量を増大させる)場合に、バネ定数Kが大きな値のものとして算出されるようにする。
また、エンジン回転数が一定であっても、可変動弁機構Aにおける摩擦等の影響により、VEL作動角θcsを増大させる場合と、これを減少させる場合とでVEL作動角θcs毎のバネ定数Kが異なることから、このヒステリシスを考慮したバネ定数Kを算出するようにしてもよい。具体的には、バネ定数Kのテーブルデータを、VEL作動角θcsを増大させる場合と、減少させる場合とで切り換えて使用することとし、VEL作動角θcsを増大させる(すなわち、吸気弁19のリフト量を増大させる)場合に、バネ定数Kが大きな値のものとして算出されるようにする。
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
本実施形態では、制御対象である可変動弁機構のモデルを、VEL作動角θcsに応じて変更されるバネ定数Kを用いて推定することとしたので、VEL作動角θcsの可変域全体に亘ってバルブスプリング19bによる反力トルクの作用を組み込んだ、適切な可変動弁機構のモデルを設定することができる。
また、本実施形態では、フィードフォワード補償器104を、可変動弁機構Aに比例微分補償器103によるフィードバック補償を施した擬似制御対象D1の逆系のモデルを持たせて構成したことで、I−PD制御により得られるフィードバック性能を損なうことなく、2自由度制御系の構築により、目標とする制御応答性を自由に設定することが可能となる。
図9は、本実施形態に係る制御システムによる場合のステップ応答のシミュレーション結果を示している。目標とするVEL作動角θcstのステップ的な変化を実線Ltにより示すとともに、本実施形態による場合の応答を直線Laにより示している(図12,15及び18についても同様とする。)。本実施形態よれば、I−PD制御により得られるフィードバック性能が確保されるとともに、規範応答(直線Laと重なり合っており、表示されていない。)に即した制御応答性が実現されている。これに対し、図10に示すような一般的なフィードバック補償器によるシステムでは、バネ定数KがVEL作動角θcs毎に非線形に変化することから、VEL作動角θcstの変化に対し、安定した収束性が得られないことが明らかである。また、応答性補償部を構成するフィードフォワード補償器に対し、2自由度制御系の一般的な設計手法に従って、規範応答の特性式と、制御対象である可変動弁機構の逆系のモデルとの積として表される特性を持たせたシステム(図11)では、比例微分補償器がVEL作動角θcsの偏差の有無によらず、VEL作動角θcsの大きさに応じて動作することとなるため、図12に示すように、VEL作動角θcsの偏差Eが増大して、制御応答性が悪化する。図12において、規範応答を点線Lmにより示している(図15及び16についても同様とする。)なお、後者の一般的な2自由度制御系による場合のフィードフォワード補償器の特性は、次式により表される。
本発明に係る第2の実施形態では、I−PD制御のゲインをVEL作動角θcsに対応させてスケジューリングする。可変動弁機構及びその制御システムの構成は、第1の実施形態(図1,6)におけると同様である。
擬似制御対象D1のモデルである式(5)の分母の0次及び1次の係数に、VEL作動角θcs毎に変化するバネ定数項が含まれている。この0次の係数と、1次の係数の一部(式(5)中に下線により示す。)とは、次式により表される。
式(10)により比例ゲインKpをスケジューリングした例を、図13に示す。ECU50は、目標とするVEL作動角θcstによりこのテーブルデータを検索し、得られた比例ゲインKpに基づいて、式(6)によりVEL作動角θcstに対する可変動弁機構のフィードフォワード操作量を算出する。
本実施形態によれば、I−PD制御のゲイン(ここでは、比例ゲインKp)をVEL作動角θcsに対応させてスケジューリングすることとしたので、VEL作動角θcsに対するバネ定数Kの非線形性によらず、ロバスト安定性を損なうことなく、外乱抑止性能を向上させることができる。
図14は、擬似制御対象D1におけるVEL作動角θcs及び駆動電流icsの関係を示している。図中、本実施形態により制御ゲインをスケジューリングした場合のものを実線Aにより、制御ゲインを一定の値に固定した場合のものを二点鎖線Bにより示している。本実施形態によれば、図14に示すように、駆動電流icsに関して完全な非線形補償が実現されており、VEL作動角θcsの変化に対して良好な制御応答性を実現することができる。
図15は、本実施形態により制御ゲインをスケジューリングした場合のステップ応答のシミュレーション結果を示している。規範応答Lmに対して完全には一致しないものの、良好な制御応答性が実現されている。これに対し、制御ゲインを固定した場合であっても、比例又は微分ゲインを増大させることにより、相対的な線形性を確保することができる。しかしながら、この手法により、充分な線形性が得られるほどに制御ゲインを増大させた場合は、ロバスト安定性が損なわれ、図16に示すように、VEL作動角θcsの応答(点線Lzにより示す。)に発振を生じさせるおそれがある。
図17は、本発明の第3の実施形態に係る可変動弁機構のシステム構成を、機能ブロックにより示している。第1の実施形態におけると同様に、各ブロックの機能は、ECU50において、ソフトウェアにより実現される。
本システムについても、第1の実施形態におけると同様に、制御対象である可変動弁機構Aと、補償要素としての外乱補償部B2及び応答性補償部C2とに大別される。
可変動弁装置Aの特性は、第1の実施形態におけると同様に、0次/2次の伝達関数として式(1)により表される。
図示しない規範応答形成部の特性は、2次系の伝達関数と、1次系の伝達関数とを掛け合わせたものとして、次式により表される。式(11)に1次系の伝達関数が含まれるのは、後述するフィードフォワード補償器204との関係で必要とされるからである。時定数Tは、1次系の極が2次系の極の3倍以上の大きさとなる値に設定する。なお、制御パラメータζ,ωが本システムの設計者により任意に設定されるものであることは、第1の実施形態におけると同様である。
本実施形態において、外乱補償部B2は、積分補償器202及び比例微分補償器203を含んで構成され、これらの特性は、次式により夫々表される。第1の実施形態におけると同様に、積分補償器202及び比例微分補償器203により、I−PD制御によるフィードバック補償器が構成される。
応答性補償部C2は、フィードフォワード補償器204として構成され、その特性は、可変動弁機構A、積分補償器202及び比例微分補償器203から構成される閉ループ系の部分を擬似制御対象D2(その特性は、式(14)により表される。)として、規範応答形成部の特性式(11)に、この擬似制御対象D2の逆系のモデルを掛け合わせた式(15)により表される。なお、式(14),(15)において、n0=KT/J,d1=D/J,d0(θcs)=K(θcs)/Jとする。
本実施形態では、比例微分補償器203によるゲインを、式(15)により表される伝達特性が一定となるように設定する。式(1)を参照すると、式(15)における変動パラメータは、バネ定数Kを含む係数d0(θcs)(=K(θcs)/J)のみである。従って、比例ゲインKpを係数d0(θcs)と比較して充分に大きな値に設定することで、係数d0(θcs)の変動の影響を相対的に減殺し、擬似制御対象D2の特性を、式(17)により表されるように一定にし、実質的にバネ定数Kの非線形性を補償することができる。
また、比例ゲインKpの設定により、バネ定数Kの実質的な非線形補償を達成し、規範応答に対する追従性の高い制御を実現することができる。図18は、本実施形態により制御ゲインを設定した場合のステップ応答のシミュレーション結果を示している。本実施形態によれば、特に、比例ゲインKpを増大させる手法によることとしたので、第1の実施形態におけるような制御ゲインのスケジューリングが不要となり、制御を簡単にすることができる。
以上では、エンジンの吸気弁又は排気弁の可変動弁機構に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、これに限らず、リフト特性値が可変とされる吸気弁等以外の機関バルブの可変動弁機構に適用することもできる。
10…シリンダヘッド、11…駆動軸、12…偏心カム、13…リング状リンク、14…制御軸、15…制御カム、16…ロッカーアーム、17…ロッド状リンク、18…揺動カム、19…吸気弁、19a…バルブリフタ、19b…バルブスプリング、20…可変動弁機構の駆動部、21…ウォームホイール、22…電動モータのケース、23…回転角センサ、26…電動モータ、50…エンジン制御ユニット、101…規範応答形成部、102…積分補償器、103…比例微分補償器、104…フィードフォワード補償器、A…可変動弁機構、B…外乱補償部、C…応答性補償部、D…擬似制御対象。
Claims (12)
- バルブスプリングに連係したリンク機構を介して、機関バルブをそのリフト特性値を可変として駆動する可変動弁機構の制御装置であって、前記リフト特性値の変更に関する前記リンク機構の変位と、前記バルブスプリングに抗する駆動力との関係が非線形であるものにおいて、
目標とするリフト特性値に基づいて、前記可変動弁機構に対する第1の操作量を設定するフィードフォワード補償器と、
実際のリフト特性値に基づいて、前記可変動弁機構に対する第2の操作量を設定する、I−PD制御によるフィードバック補償器と、を含んで構成され、
前記フィードフォワード補償器は、制御対象である前記可変動弁機構にPD補償器によるフィードバック補償を施した閉ループ系の部分を擬似制御対象として、少なくともこの擬似制御対象の逆系のモデルを含み、
前記可変動弁機構は、前記リンク機構の変位に応じて変更されるバネ定数を用いてそのモデルが推定される可変動弁機構の制御装置。 - 前記フィードバック補償器は、前記リンク機構の変位に応じて前記I−PD制御のゲインが変更される請求項1に記載の可変動弁機構の制御装置。
- バルブスプリングに連係したリンク機構を介して、機関バルブをそのリフト特性値を可変として駆動する可変動弁機構の制御装置であって、前記リフト特性値の変更に関する前記リンク機構の変位と、前記バルブスプリングに抗する駆動力との関係が非線形であるものにおいて、
制御対象である前記可変動弁機構のモデルと、
前記可変動弁機構にPD補償器によるフィードバック補償を施したものとして構成される、閉ループ系の擬似制御対象のモデルと、が設定され、
前記可変動弁機構のモデルは、前記リンク機構の変位に応じて変更されるバネ定数を用いて推定される可変動弁機構の制御装置。 - 前記PD補償器によるゲインが前記リンク機構の変位に応じて変更される請求項3に記載の可変動弁機構の制御装置。
- 前記リンク機構の変位が回転駆動手段として構成されるアクチュエータにより与えられるものにおいて、
前記可変動弁機構のモデルGP(s)が、前記リンク機構の変位をθ、前記可変動弁機構の慣性モーメントをJ、前記可変動弁機構における粘性抵抗をD、前記アクチュエータのトルク定数をKT、前記バネ定数をKθとして、下式により推定される請求項1〜4のいずれかに記載の可変動弁機構の制御装置。
GP(s)={(Kθ/J)/(s2+(D/J)s+Kθ/J)}×(KT/Kθ) - 前記バネ定数を算出する手段を更に含んで構成され、
この手段は、前記バネ定数を、前記リンク機構の変位毎に、駆動力/変位として算出する請求項1〜5のいずれかに記載の可変動弁機構の制御装置。 - 前記バネ定数として、前記リフト特性値としての機関バルブのリフト量を増大させる場合の第1のバネ定数と、これを減少させる場合の、前記第1のバネ定数とは前記リンク機構の変位毎の大きさが異なる第2のバネ定数とを有する請求項1〜6のいずれかに記載の可変動弁機構の制御装置。
- 前記可変動弁装置のモデルが静特性項と、動特性項とを含み、前記バネ定数及びエンジン回転数に基づいて、前記静特性項が推定される請求項1〜7のいずれかに記載の可変動弁機構の制御装置。
- バルブスプリングに連係したリンク機構を介して、機関バルブをそのリフト特性値を可変として駆動する可変動弁機構であって、前記リフト特性値の変更に関する前記リンク機構の変位と、前記バルブスプリングに抗する駆動力との関係が非線形であるものにおいて、
目標とするリフト特性値に基づいて、前記可変動弁機構に対する第1の操作量を設定するフィードフォワード要素と、実際のリフト特性値に基づいて、前記可変動弁機構に対する第2の操作量を設定する、I−PD制御によるフィードバック要素とを含む、2自由度制御系の補償器が構成され、
前記補償器において、制御対象である前記可変動弁機構にPD補償器によるフィードバック補償を施した閉ループ系の部分を擬似制御対象として、前記フィードフォワード要素に関して少なくともこの擬似制御対象の逆系のモデルが設定され、
前記可変動弁機構は、前記リンク機構の変位に応じて変更されるバネ定数を用いてそのモデルが推定される可変動弁機構。 - 前記補償器は、前記リンク機構の変位に応じて前記I−PD制御のゲインが変更される請求項9に記載の可変動弁機構。
- 前記バネ定数が、前記リンク機構の変位毎に、駆動力/変位として算出されるものである請求項9又は10に記載の可変動弁機構。
- エンジン回転に連動して回転する駆動軸と、
前記駆動軸の外周に相対回転可能に取り付けられた、前記機関バルブを開閉駆動するための揺動カムと、
前記駆動軸の外周に偏心して固定された偏心カムと、
前記偏心カムの外周に相対回転可能に取り付けられたリング状リンクと、
前記駆動軸と略平行に配置された制御軸と、
前記制御軸の外周に偏心して固定された制御カムと、
前記制御カムの外周に相対回転可能に取り付けられ、その一端で前記リング状リンクと連係されたロッカーアームと、
前記ロッカーアームをその他端で前記揺動カムと連係させるロッド状リンクと、
前記制御軸と接続され、前記制御軸を回転させることにより、前記ロッカーアームの揺動中心を変位させて、前記リフト特性値を変化させるアクチュエータと、を含んで構成される請求項9〜11のいずれかに記載の可変動弁機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007159379A JP2008309110A (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 可変動弁機構の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007159379A JP2008309110A (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 可変動弁機構の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008309110A true JP2008309110A (ja) | 2008-12-25 |
Family
ID=40236922
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007159379A Pending JP2008309110A (ja) | 2007-06-15 | 2007-06-15 | 可変動弁機構の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008309110A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108983703A (zh) * | 2018-07-06 | 2018-12-11 | 清华大学 | 超精密运动系统前馈控制器参数整定方法 |
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2007
- 2007-06-15 JP JP2007159379A patent/JP2008309110A/ja active Pending
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