JP4445377B2 - エンジン回転数制御装置、それを備えたエンジンシステム、車両およびエンジン発電機、ならびにエンジン回転数制御方法 - Google Patents

エンジン回転数制御装置、それを備えたエンジンシステム、車両およびエンジン発電機、ならびにエンジン回転数制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、エンジンの回転数を制御するエンジン回転数制御装置およびエンジン回転数
制御方法に関する。さらに、この発明は、前記エンジン回転数制御装置を備えたエンジン、システムならびにこのようなエンジンシステムを備えた車両およびエンジン発電機に関する。
アイドリング状態のエンジンの回転数は、大気圧や気温のような環境条件の影響を受けやすく、不安定である。そこで、従来から、エンジンが搭載された車両、特に自動二輪車では、アイドリング時に、ISC(Idle Speed Control)制御が行われている。
ISC制御のための1つの従来技術は、特許文献1に示されている。この従来技術では、エンジンのメイン吸気通路に配置されたスロットルバルブの開度(スロットル開度)を検出するスロットルセンサが用いられる。このスロットルセンサによって検出されるスロットル開度を目標開度に制御することで、アイドル回転数が制御される。
アイドル回転数域では、吸入空気量のわずかな変化でエンジン回転数が容易に変動するから、高分解能(スロットル開度で0.02度程度)でスロットル開度を検出して、スロットル開度を厳密に制御する必要がある。
たとえば、スロットルセンサは、スロットル開度0度で出力値0V、スロットル開度90度で出力値5Vの直線特性を有する。ところが、このようなスロットルセンサの出力信号をアナログ/ディジタル変換して用いる場合、たとえば、8ビットのA/D変換器を用いるとすると、1ビット当たりのスロットル開度は0.35度であり、十分な分解能を得ることができない。
そこで、前記特許文献1の従来技術では、スロットルセンサの出力信号を増幅器で増幅してA/D変換器に入力することにより、低開度域でのスロットル開度検出分解能の向上が図られている。
特開平5−263703号公報
しかしながら、前記特許文献1の従来技術では、スロットル開度の検出分解能を高めるために増幅器が必要となるため、その分のコストがかかるという問題がある。
そこで、この発明の目的は、簡単で且つ低廉な構造で、エンジン回転数を精度よく制御できるエンジン回転数制御装置およびエンジン回転数制御方法を提供することを目的とする。
また、この発明の他の目的は、前記のようなエンジン回転数制御装置を備えたエンジンシステムを提供することである。
この発明のさらに他の目的は、前記エンジンシステムを備えた車両を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、前記エンジンシステムを備えたエンジン発電機を提供することである。
本発明のエンジン回転数制御装置は、エンジンに吸入される吸入空気量を調整するスロットルバルブと、前記スロットルバルブを駆動する駆動部と、前記駆動部を駆動するためのPWM信号を生成する制御部とを含む。前記制御部は、実際のエンジン回転数を検出する実回転数検出部と、目標エンジン回転数を設定する目標回転数設定部と、前記実回転数検出部によって検出された実エンジン回転数と、前記目標回転数設定部によって設定された前記目標エンジン回転数とを用いて、目標エンジン回転数変化量を算出する目標回転数変化量算出部と、前記PWM信号のデューティ比を補正するためのPWMデューティ補正値、このPWMデューティ補正値を継続して適用すべきPWMデューティ補正値維持時間、および前記PWMデューティ補正値を適用すべきPWMデューティ補正回数を含むPWM制御パラメータを、前記目標回転数変化量算出部によって算出された前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出部によって検出される実エンジン回転数に応じて算出し、その算出されたPWM制御パラメータに基づいてPWM信号を生成して前記駆動部に送出するPWMパルス生成部とを有し、前記PWMパルス生成部は、目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が所定のエンジン回転数偏差許容値未満かどうかを判定し、PWM信号のデューティ比の補正を前記PWMデューティ補正回数だけ行ったか、または目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が前記エンジン回転数偏差許容値未満になったかのいずれかの条件が満たされるまで、PWM信号のデューティ比の補正を繰り返し行うものである
この構成によれば、PWMデューティ補正回数、PWMデューティ補正値およびPWMデューティ補正値維持時間を含むPWM制御パラメータが、目標エンジン回転数変化量に応じて算出される。このPWM制御パラメータに基づいて、スロットルバルブを駆動する駆動部がPWM制御される。これにより、スロットル開度の検出結果に基づくフィードバック制御ではなく、目標エンジン回転数変化量に応じたフィードフォワード制御によって、スロットルバルブの開度を細かく制御することができ、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけることができる。また、簡単で且つコストがかからない構造で、エンジン回転数、特に細かい制御が必要なアイドル回転数の制御を行うことができる。これにより、スロットルセンサの入力分解能を上げるための増幅器を必要とせずに、エンジン回転数の細かい制御を行うことができる。また、目標エンジン回転数変化量だけでなく、実エンジン回転数をも加味しているので、PWM制御パラメータをより適切に定めることができる。
前記PWMパルス生成部には、前記PWM制御パラメータの初期値を設定しておくことが好ましい。この場合に、前記初期値は、前記スロットルバルブの変位を妨げる静止摩擦力を上回る必要最低限度の駆動力が前記駆動部から前記スロットルバルブに与えられるように設定されることが好ましい。
この構成によれば、PWM制御パラメータの初期値をそのまま用いてPWM信号を出力することにより、スロットルバルブの変位を引き起こすことができる。これにより、目標通りに、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけることができ、特に、アイドル回転数制御時においても、スロットルバルブを目標通りに静止状態から開閉動作させることができる。
前記PWMパルス生成部は、前記PWM制御パラメータを、前記目標回転数変化量算出部によって算出される前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出部によって検出される実エンジン回転数の関数により算出するものであってもよい。
これにより、関数を用いることによって、目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数からPWM制御パラメータを迅速に算出することができる。
前記PWMパルス生成部は、前記目標回転数変化量算出部によって算出される目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出部によって検出される実エンジン回転数に応じて、前記PWM制御パラメータを算出し、算出したPWM制御パラメータに基づいて、前記駆動部をPWM制御するための第1制御信号を算出する第1制御信号算出部と、前記駆動部に送出する前記PWM信号を生成する信号生成部とを備えていてもよい。そして、前記エンジン回転数制御装置は、さらに、前記スロットルバルブの開度であるスロットル開度を検出するスロットル開度検出部と、前記目標回転数変化量算出部により算出された前記目標エンジン回転数変化量から目標スロットル開度変化量を算出する目標スロットル開度変化量算出部と、前記目標スロットル開度変化量と前記スロットル開度検出部により検出された実スロットル開度とを用いて目標スロットル開度を算出する目標スロットル開度算出部と、前記スロットル開度検出部により検出された前記実スロットル開度を前記目標スロットル開度算出部によって算出された目標スロットル開度に近づけるべく前記駆動部をPWM制御するための第2制御信号を算出する第2制御信号算出部と、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された前記目標スロットル開度変化量に基づいて、前記第1制御信号および前記第2制御信号のうちの一方を選択して、前記信号生成部に出力する選択部とをさらに含むものであってもよい。この場合に、前記信号生成部は、前記選択部から与えられる制御信号に基づいて前記PWM信号を生成するものであってもよい。
この構成によれば、スロットル開度に基づいて駆動部をPWM制御するフィードバック制御と、目標エンジン回転数変化量に基づいて駆動部をPWM制御するフィードフォワード制御とを切り換えて用いることができる。これにより、状況に応じて適切な制御を行うことができ、スロットル開度を大きく変動させるときの高速応答をフィードバック制御によって実現する一方で、スロットル開度を微小変動させるときの高精細制御とを両立できる。
より具体的には、前記選択部は、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された前記目標スロットル開度変化量が前記スロットル開度検出部の入力分解能に基づいて予め定めた選択判定値以下の場合に、前記第1制御信号を選択して前記信号生成部に出力し、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された前記目標スロットル開度変化量が前記選択判定値より大きい場合に、前記第2制御信号を選択して前記信号生成部に出力するものであることが好ましい。
前記選択判定値は、前記スロットル開度検出部の入力分解能にほぼ等しい値に定められていてもよい。
たとえば、選択判定値をスロットル開度検出部の入力分解能にほぼ等しく定めておくと、選択部は、目標スロットル開度変化量がスロットル開度検出部の入力分解能より小さい場合には、第1制御信号算出部からの第1制御信号を選択し、信号生成部を介して、駆動部を駆動する。また、目標スロットル開度変化量がスロットル開度検出部の入力分解能より大きい場合には、前記第2制御信号を選択し、信号生成部を介して、駆動部を駆動する。このため、状況に応じて好適なエンジン回転数制御を行うことができる。
つまり、第1制御信号を選択して、PWMパルス制御によりエンジン回転数を細かく制御することができ、また、細かいエンジン回転数制御の必要がない場合、第2制御信号を選択して、位置フィードバック制御により、応答が速いエンジン回転数制御を行うことができる。
なお、前記選択部は、前記目標スロットル開度変化量に加えて、前記スロットル開度検出部によって検出された実スロットル開度に基づいて、前記第1制御信号または第2制御信号を選択して出力するものであってもよい。これにより、第1制御信号または第2制御信号の選択がより適切に行われる。
この発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置は、アクセル開度に基づいて目標スロットル開度を算出するアクセル追従目標スロットル開度算出部と、前記スロットル開度検出部によって検出される実スロットル開度を、前記アクセル追従目標スロットル開度算出部によって算出された目標スロットル開度に近づけるべく前記駆動部をPWM制御するための第3制御信号を算出する第3制御信号算出部とをさらに含む。この場合、前記選択部は、前記スロットル開度検出部によって検出される実スロットル開度と、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出される目標スロットル開度変化量とに基づいて、前記第1制御信号、第2制御信号および第3制御信号のいずれかを選択して前記信号生成部に出力するものであることが好ましい。
この構成によれば、目標エンジン回転数変化量に応じたPWM制御パラメータに対応した第1制御信号、目標エンジン回転数変化量および実スロットル開度に対応した第2制御信号、ならびにアクセル開度に対応した第3制御信号のいずれかが選択される。これにより、アイドル回転制御を高精度に行うことができ、かつ、アクセル開度指令にも良好に追従したエンジン回転数制御が可能になる。
前記選択部は、前記スロットル開度検出部によって検出される実スロットル開度が、所定のしきい値を超えている場合には前記第3制御信号を選択して出力し、前記実スロットル開度が前記しきい値以下の場合には、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された目標スロットル開度変化量に応じて前記第1制御信号、第2制御信号または第3制御信号のいずれかを選択して出力するものであることが好ましい。
この構成によれば、実スロットル開度が大きいときは、アクセル操作がされているものと判断されて、アクセル開度に対応した第3制御信号が選択される。これにより、アクセル操作に対して高速に応答するエンジン回転数制御が可能になる。その一方で、実スロットル開度が比較的小さいときには、目標スロットル開度変化量に応じて、第1、第2または第3制御信号のうちの適切なものを選択させることができる。
より具体的には、選択部は、目標スロットル開度変化量が、第1選択判定値よりも大きいときには第3制御信号を選択し、第1選択判定値とそれよりも小さな第2選択判定値との間の値をとるときには第2制御信号を選択し、第2選択判定値以下のときには第1制御信号を選択するようにすればよい。
前記PWMパルス生成部は、前記PWM制御パラメータに対応したPWM信号を前記駆動部に送出するPWM補正制御を時間間隔を開けて繰り返し実行するものであってもよい。この場合に、前記エンジン回転数制御装置は、或るPWM補正制御の前に前記実回転数検出部によって検出された実エンジン回転数と、当該PWM補正制御の後に前記実回転数検出部によって検出された実エンジン回転数とを用いて、実エンジン回転数変化量を算出する実回転数変化量算出部と、前記目標回転数変化量算出部によって算出された前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数変化量算出部によって算出された前記実エンジン回転数変化量を用いて、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数と次回以降のPWM補正制御のための前記PWM制御パラメータとの関係を変更する変更部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、従前のPWM制御パラメータに応じて定められたPWMデューティによって、目標通りにスロットル開度が変動させることができない場合には、PWM制御パラメータと目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数との関係(たとえば、関数)が変更される。これにより、次回の処理からは、スロットル開度を確実に変動させることができる。
例えば、駆動部により駆動されるスロットルバルブにかかるトルクは、スロットルバルブ軸のフリクションや、スロットルバルブの伝動機構のギアバックラッシュ、リターンスプリングなどの影響などにより一定でない場合が多い。よって、PWM制御パラメータの初期値のままでは、スロットルバルブの十分な変位を引き起こすことができず、エンジン回転数を精度良く制御できない場合がある。この場合、上記構成によれば、実際のエンジン回転数変化量をフィードバックして、変更部によりPWM制御パラメータと目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数との関係を修正することにより、目標通りにスロットルバルブの開度を制御できるようになる。
前記変更部は、前記PWM補正制御の前に前記実回転数検出部によって検出された前記実エンジン回転数をさらに加味して、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数と前記PWM制御パラメータとの関係を変更するものであってもよい。
また、前記PWMパルス生成部は、所定の制御周期ごとに、前記PWM補正制御を実行するものであってもよい。
前記変更部は、前記実回転数変化量算出部によって算出された前記実エンジン回転数変化量の絶対値が実質的に零の場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値の関係を変更するものであることが好ましい。
この構成によれば、変更部は、実エンジン回転数変化量に実質的な変化がない場合、目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値の関係を変更する。これにより、確実にスロットルバルブの変位を引き起こすことができ、エンジン回転数を確実に制御することができる。実エンジン回転数変化量に変化が無い場合は、スロットルバルブが実質的に変位しなかった場合である。つまり、静止摩擦トルクがスロットルバルブを駆動させる際の駆動部の駆動力、例えば、モータ発生トルクよりも大きくなっている場合である。このような場合には、PWMデューティ補正回数やPWMデューティ補正値維持時間を変化させても駆動部が発生する駆動力は変わらないため、効果的ではない。そこで、PWMデューティ補正値と目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数との関係を修正することで、確実にスロットルバルブを駆動できる。
前記変更部は、前記実回転数変化量算出部によって算出された前記実エンジン回転数変化量の絶対値が、実質的に零ではないが、前記目標回転数変化量算出部によって算出された前記目標エンジン回転数変化量の絶対値との差が所定のしきい値を超える場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値維持時間または前記PWMデューティ補正回数の関係を変更するものであることが好ましい。
この構成によれば、変更部は、実エンジン回転数変化量が、零ではないが、目標エンジン回転数変化量よりもはるかに小さい場合に、PWMデューティ補正回数またはPWMデューティ補正値維持時間と目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数との関係を変更する。これにより、PWMデューティ補正値を補正する場合よりも、エンジン回転数の高精細な制御が可能になる。むろん、PWMデューティ補正値を変化させても実エンジン回転数変化量を変化させることができる。しかし、たとえば、PWMデューティ補正値が大きくなりすぎると、例えば、モータなどの駆動部で発生する駆動力(発生トルク)が大きくなりすぎる場合があり、微調整が難しくなる。
また、PWMデューティ補正値の初期値を、スロットルバルブが動き出すのに必要最小限度の駆動力が駆動部から発生するように設定した場合には、PWMデューティ補正値はそのまま維持して、PWMデューティ補正回数や、PWMデューティ補正値維持時間を変化させた方が、スロットルバルブの微調整が行い易い。
この発明のエンジンシステムは、エンジンと、前述のような特徴を有するエンジン回転数制御装置とを備えている。
また、この発明の車両は、前記のエンジンシステムと、前記エンジンが発生する駆動力によって回転駆動される走行車輪とを含む。この構成により、とくにアイドリング時のエンジン回転数の制御を、廉価な構成で、精度よく行うことができるようになる。
この発明のエンジン発電機は、前記のエンジンシステムと、前記エンジンを駆動源として作動する発電ユニットとを含む。この構成により、エンジン回転数を高精度に安定させることが可能であるので、廉価な構成で、出力の安定したエンジン発電機を実現できる。
本発明のエンジン回転数制御方法は、PWM信号によって駆動される駆動部によりスロットルバルブを駆動してエンジンの回転数を制御する方法である。この方法は、実際のエンジン回転数を検出する実回転数検出ステップと、目標エンジン回転数を設定する目標回転数設定ステップと、前記検出された実エンジン回転数と、前記設定された前記目標エンジン回転数とを用いて、目標エンジン回転数変化量を算出する目標回転数変化量算出ステップと、前記PWM信号のデューティを定めるためのPWM制御パラメータを前記算出された前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出ステップにおいて検出される実エンジン回転数に応じて算出するPWM制御パラメータ算出ステップと、前記算出されたPWM制御パラメータに基づいてPWM信号を生成して前記駆動部に送出するPWM信号送出ステップとを含む。前記PWM制御パラメータは、前記PWM信号のデューティ比を補正するためのPWMデューティ補正値、このPWMデューティ補正値を継続して適用すべきPWMデューティ補正値維持時間、および前記PWMデューティ補正値を適用すべきPWMデューティ補正回数を含む。前記PWM信号送出ステップは、目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が所定のエンジン回転数偏差許容値未満かどうかを判定し、PWM信号のデューティ比の補正を前記PWMデューティ補正回数だけ行ったか、または目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が前記エンジン回転数偏差許容値未満になったかのいずれかの条件が満たされるまで、PWM信号のデューティ比の補正を繰り返し行うステップを含む。
この方法によれば、このPWM信号のデューティを定めるためのPWM制御パラメータ目標エンジン回転数変化量に基づいて算出し、この算出結果に基づいてスロットルバルブを駆動させるフィードフォワード制御によって、スロットルバルブの開度を細かく制御できる。これにより、簡単で且つコストがかからない構造で、エンジン回転数、特に細かい制御が必要なアイドル回転数の制御を行うことができる。これにより、スロットルセンサの入力分解能を上げるための増幅器を必要とせずに、エンジン回転数の細かい制御を行うことができる。また、目標エンジン回転数変化量だけでなく、実エンジン回転数をも加味しているので、PWM制御パラメータをより適切に定めることができる。
前記方法は、前記PWM制御パラメータの初期値を、前記スロットルバルブの変位を妨げる静止摩擦力を上回る必要最低限度の駆動力が前記駆動部から前記スロットルバルブに与えられるように設定するステップをさらに含むことが好ましい。これにより、スロットルバルブを確実に駆動できるので、確実にエンジン回転数の変化を引き起こすことができる。
また、前記方法の好ましい実施形態は、前記算出されたPWM制御パラメータに基づいて第1制御信号を生成するステップと、前記スロットルバルブの開度である実スロットル開度をスロットル開度検出部によって検出するスロットル開度検出ステップと、前記目標エンジン回転数変化量と前記検出された実スロットル開度を用いて目標スロットル開度を算出する目標スロットル開度算出ステップと、前記実スロットル開度を前記目標スロットル開度に近づけるべく前記駆動部をPWM制御するための第2制御信号を算出するステップとをさらに含む。そして、前記PWM信号送出ステップは、前記第1制御信号および前記第2制御信号のうちの一方を選択する制御信号選択ステップと、選択された制御信号に基づいてPWM信号を生成し、前記駆動部に送出するステップとを含む。
これにより、目標エンジン回転数変化量に基づくフィードフォワード制御と、スロットル開度の検出結果に基づくフィードバック制御とを組み合わせて、スロットル開度をより適切に制御できる。
前記制御信号選択ステップは、前記目標エンジン回転数変化量に対応する目標スロットル開度変化量が前記スロットル開度検出部の入力分解能に基づいて予め定めた選択判定値以下の場合に、前記第1制御信号を選択するステップと、前記目標スロットル開度変化量が前記選択判定値より大きい場合に、前記第2制御信号を選択するステップとを含むことが好ましい。
これにより、スロットル開度検出部の入力分解能に応じて、適切に制御を切り換えることができるので、さらに適切なスロットル開度制御が可能になる。
前記方法は、さらに、前記PWM制御パラメータに対応したPWM信号を前記駆動部に送出するPWM補正制御の前と、その後とにおける実エンジン回転数の検出結果を用いて、実エンジン回転数変化量を算出する実回転数変化量算出ステップと、前記目標エンジン回転数変化量および前記実エンジン回転数変化量を用いて、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数と次回以降のPWM補正制御のための前記PWM制御パラメータとの関係を変更するステップとを含んでいてもよい。
これにより、実エンジン回転数の変化が過剰であったり過小であったりする場合には、PWM制御パラメータの設定態様を修正することができるから、エンジン回転数を確実に制御できる。
前記変更ステップは、前記実エンジン回転数変化量の絶対値が実質的に零の場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値の関係を変更するステップを含むことが好ましい。
また、前記変更ステップは、前記実エンジン回転数変化量の絶対値が、実質的に零ではないが、前記目標エンジン回転数変化量の絶対値との差が所定のしきい値を超える場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値維持時間または前記PWMデューティ補正回数の関係を変更するステップを含むことが好ましい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエンジンシステムの構成を示すブロック図である。
このエンジンシステムは、エンジン(内燃機関)120と、エンジン回転数制御装置100とを有する。このエンジンシステムは、例えば、エンジンへの吸気量を電子制御スロットルバルブの開閉で調節することによりエンジン回転数を制御する車両に搭載されるものである。この電子制御スロットルバルブは、PWM(Pulse Width Modulation )制御される。この実施形態におけるエンジン回転数制御装置100は、エンジン120の回転数、特に、車両におけるアイドル状態のエンジン120の回転数を制御するものとして説明する。
エンジン回転数制御装置100は、クランク角センサ110、水温センサ130、モータ(駆動部)160、スロットルバルブ170、および制御部180を有する。制御部180は、モータ160を駆動するためのPWM信号を生成することによって、スロットルバルブ170の開度(スロットル開度)を制御する。このようにして、電子制御スロットルバルブが構成されている。
制御部180は、実エンジン回転数算出部(実回転数検出部)210、目標回転数設定部200a、目標エンジン回転数変化量算出部(目標回転数変化量算出部)220、PWM微少パルス制御テーブル更新部(変更部)250、およびPWMパルス生成部200bを有する。
クランク角センサ110は、エンジン120のクランク軸の回転角度を検出し、検出した信号を実エンジン回転数算出部210に出力する。
実エンジン回転数算出部210は、クランク角センサ110により検出されたクランク角度信号に基づいて実エンジン回転数Nを算出し、算出した実エンジン回転数Nを目標エンジン回転数変化量算出部220、PWMパルス生成部200bおよびPWM微少パルス制御テーブル更新部250に出力する。
また、水温センサ130は、エンジン120を冷却する冷却水の水温を検出し、目標回転数設定部200aに出力する。目標回転数設定部200aは、水温算出部140と、目標エンジン回転数算出部260とを有している。
水温算出部140は、水温センサ130から入力される水温センサ信号に基づいて水温Twatを算出し、目標エンジン回転数算出部260に出力する。
目標エンジン回転数算出部260は、水温算出部140から入力される水温Twatに基づいて、目標とする目標エンジン回転数N*を算出し、目標エンジン回転数変化量算出部220に出力する。
詳細には、目標エンジン回転数算出部260は、記憶部260mを有し、この記憶部260m内には、水温Twatと目標エンジン回転数N*とが対応付けられた関数テーブルが格納されている。
図2に、目標エンジン回転数算出部260の記憶部260mに格納された関数テーブルの一例を示す。
図2の関数テーブルfに示すように、目標エンジン回転数算出部260は、入力される水温Tnに対応する目標エンジン回転数N*nを算出して、目標エンジン回転数変化量算出部220およびPWM微少パルス制御テーブル更新部250に出力する。
目標エンジン回転数変化量算出部220は、目標エンジン回転数算出部260により算出された目標エンジン回転数N*と、実エンジン回転数算出部210により算出された実エンジン回転数Nとの偏差(エンジン回転数偏差)を演算する減算器からなる。この実施形態では、目標エンジン回転数変化量算出部220は、算出されたエンジン回転数偏差をそのまま目標エンジン回転数変化量ΔN*(=N*−N)として出力する。ただし、目標エンジン回転数変化量算出部220は、エンジン回転数偏差に対してさらに所定の演算を行って、目標エンジン回転数変化量ΔN*を求めるものであってもよい。
目標エンジン回転数変化量算出部220は、算出した目標エンジン回転数変化量ΔN*を、PWMパルス生成部200bおよびPWM微少パルス制御テーブル更新部250に出力する。
PWMパルス生成部200bは、PWM微少パルス算出部240と、PWM信号生成部280とを有している。このPWM信号生成部280は、スロットルバルブ170を開く方向(開方向)にモータ160を駆動するPWM信号と、スロットルバルブ170を閉じる方向(閉方向)にモータ160を駆動するPWM信号と、スロットルバルブ170の位置を保持するPWM信号とを生成することができる。より具体的には、たとえば、所定の保持デューティ比のPWMパルスをモータ160に与えることによってスロットルバルブ170の位置を保持でき、したがって、スロットル開度を保持できる。また、たとえば、前記保持デューティ比よりも大きなデューティ比のPWMパルスをモータ160に与えることによって、このモータ160を開方向に駆動でき、スロットル開度を大きくすることができる。さらに、たとえば、前記保持デューティ比よりも小さなデューティ比のPWMパルスをモータ160に与えることによって、このモータ160を閉方向に駆動でき、スロットル開度を小さくすることができる。むろん、PWM信号によるモータ160の制御方法には、公知の様々な方法を適用することができる。
一方、PWM微少パルス算出部240は、目標エンジン回転数変化量算出部220により算出された目標エンジン回転数変化量ΔN*と、実エンジン回転数算出部210により算出された実エンジン回転数Nとから、PWM微少パルス制御のためのパラメータ(PWM制御パラメータ)を算出する。PWM微少パルス算出部240は、さらに、算出したPWM制御パラメータに基づくPWMデューティ(制御信号)をPWM信号生成部280に出力する。
ここでPWM微少パルスとは、PWMパルス列を構成する個々のパルスを指す。また、PWM微少パルス制御とは、前記保持デューティ比のPWMパルスがモータ160に与えられている状態から、このPWMパルスを補正してスロットルバルブ170を微動させるための制御(PWM補正制御)をいうものとする。
PWM微少パルス算出部240は、PWM制御パラメータを定めるための関数テーブルh1,h2,h3を有する。この実施形態では、目標エンジン回転数変化量ΔN*および実エンジン回転数Nに応じて算出されるPWM制御パラメータは、PWMデューティ補正回数npwm、PWMデューティ補正値Δduty、およびPWMデューティ補正値維持時間tpwmを含む。したがって、関数テーブルh1,h2,h3は、それぞれ、入力される目標エンジン回転数変化量ΔN*および実エンジン回転数Nに応じて、PWMデューティ補正回数npwm、PWMデューティ補正値ΔdutyおよびPWMデューティ補正値維持時間tpwmを生成するものである。
PWM微少パルス算出部240は、PWMデューティ補正回数npwm、PWMデューティ補正値ΔdutyおよびPWMデューティ補正値維持時間tpwmに基づいてPWM微少パルスのデューティ比を求め、これを制御信号としてPWM信号生成部280に与える。
図3は、PWM微少パルス制御の際のパラメータを説明する図である。この図3では、PWMディーティ補正回数を2回とした場合の例が示されており、さらに、PWM制御パラメータと、それに対応するPWM信号(電圧)が示されている。
PWM微少パルス制御は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。PWM微少パルス算出部240は、個々の制御周期中において、所定のデューティ設定周期TD毎に、PWM信号生成部280に対してPWMデューティを設定し、PWM信号生成部280はそれに応じたデューティのPWM信号を生成する。
たとえば、PWMデューティDaは、スロットル開度を現状維持するための保持デューティ比(一定値)であり、PWMデューティDbは、スロットルバルブ170を開方向に駆動するためのデューティ比の一例であり、PWMデューティDcは、スロットルバルブ170を閉方向に駆動するためのデューティ比の一例である。この場合、PWMデューティDaに対するPWMデューティDb,Dcの偏差がPWMデューティ補正値Δdutyである。このPWMデューティ補正値Δdutyは、PWMデューティDaよりも大きなPWMデューティDbを設定するときは正の値であり、PWMデューティDaよりも小さなPWMデューティDcを設定するときには負の値となる。
図3に示された例では、デューティ設定周期TDだけ時間間隔を開けて、2回に渡って、PWMデューティがDaからDbに増大させられている。すなわち、PWMデューティ補正値Δdutyの適用回数であるPWMデューティ補正回数npwm=2とされている。さらに、PWMデューティ補正値Δdutyを継続して適用すべき時間であるPWMデューティ補正値維持時間tpwmに渡って、PWMデューティDbが維持されるようになっている。
図4(a)、図4(b)および図4(c)は、PWM制御パラメータと目標エンジン回転数変化量との関係を示す図であり、図4(a)は、PWMデューティ補正回数npwmと目標エンジン回転数変化量ΔN*および実エンジン回転数Nとの関係を示す関数テーブル(関数h1)を示す。また、図4(b)は、PWMデューティ補正値Δdutyと目標エンジン回転数変化量ΔN*および実エンジン回転数Nとの関係を示す関数テーブル関数h2を示す。さらに、図4(c)は、PWMデューティ補正値維持時間tpwmと、目標エンジン回転数変化量ΔN*および実エンジン回転数Nとの関係を示す関数テーブル(関数h3)を示す。
図4(a)に示す関数h1は、npwm=INT(h1a|ΔN*|+h1b)(ただし、h1a、h1bは係数)であり、PWMデューティ補正回数(npwm)は離散的に現れている。また、実エンジン回転数Nの値に応じて、係数h1a,h1bの少なくとも一方(図4(a)の例ではh1b)が異なる値に定められている。
図4(b)に示す関数h2は、Δduty=h2a(ΔN*)+ h2b(ΔN>0のとき。ただし、h2a、h2bは係数)、Δduty=0(ΔN=0のとき)、Δduty=h2a(ΔN*)−h2b(ΔN<0のとき)であり、PWMデューティ補正値Δdutyは、目標エンジン回転数変化量ΔN*に対して、連続的に設定されるようになっている。また、実エンジン回転数Nの値に応じて、係数h2a,h2bの少なくとも一方(図4(b)の例ではh2b)が異なる値に定められている。
実際には、関数テーブルh2には、ΔN≧0のときのPWMデューティ補正値Δdutyのみが格納されており、ΔN<0のときには、関数テーブルh2に格納されたPWMデューティ補正値Δduty(|ΔN|に対応する値)に負符号を付与した値を用いてPWMデューティが補正されるようになっている。
図4(c)に示す関数h3は、tpwm=h3a|ΔN*|+h3b(ただし、h3a、h3bは係数)であり、PWMデューティ補正値維持時間tpwmは、目標エンジン回転数変化量ΔN*に対して連続的に設定されるようになっている。また、実エンジン回転数Nの値に応じて、係数h3a,h3bの少なくとも一方(図4(c)の例ではh3b)が異なる値に定められている。
後述するように、図4(a)、図4(b)および図4(c)に示す関数h1,h2,h3を規定する係数h1a、h2a、h3a、h1b、h2b、h3bは変数であり、更新可能とされている。これらの係数h1a、h2a、h3a、h1b、h2b、h3bは、PWM微少パルス制御テーブル更新部250の関数更新データにより更新される。
関数テーブルh1,h2,h3には、たとえば、所定の複数のエンジン回転数N(図4(a)〜図4(c)の例ではN=1000,1200,1400)についての関数値のみが格納されている。これら以外のエンジン回転数Nのときには、関数テーブルh1,h2,h3に格納されている関数値の補間演算を行って各PWM制御パラメータを定めてもよいし、実エンジン回転数に近似したエンジン回転数の関数値をPWM制御パラメータとして用いてもよい。
PWM微少パルス算出部240には、前記PWM制御パラメータnpwm、Δdutyおよびtpwmの各初期値が設定されている。この初期値は、駆動するモータ160にかかる静止摩擦トルクを上回る程度(必要最小限度)のトルクが当該モータ160から発生されるように設定されている。
ここで、PWM制御パラメータnpwm、Δdutyおよびtpwmの初期値(具体的には、関数h1,h2,h3の係数h1b,h2b,h3bの初期値)の設定について、図5(a)および図5(b)ならびに図6(a)〜図6(d)を参照して説明する。
図5(a)は、スロットルバルブ170の構造を示す模式図であり、図5(b)は、図5(a)に示すモータ160にかかる摩擦トルクを示す図である。図5(a)に示すように、モータ160は、エンジン120の吸気管に接続されるスロットルボディ161に設けられている。このスロットルボディ161には、複数のギアからなる伝動機構162と、吸気管に接続される吸気通路161aを開閉するスロットルバルブ170とがさらに設けられている。スロットルバルブ170は、その軸部163を介してスロットルボディ161に回転自在に軸支されている。このスロットルバルブ170の軸部163に、伝動機構162からの回転力が伝達されるようになっている。
モータ160の回転軸は、伝動機構162に接続され、この伝動機構162を介して、スロットルバルブ170の軸部163を回動させる。この軸部163の回転により、スロットルバルブ170の開度(スロットル開度)が調節される。
モータ160には、スロットルバルブ170の軸着部分(図5(a)のf1部分)と、モータ160内部の機構とから、摩擦トルクがかかっている。
図5(b)に示すように、モータ160にかかる摩擦トルクは、静止時の摩擦トルクが最も大きく、モータ160が一旦動き出すと小さくなる。そこで、関数h2におけるPWMデューティ補正値Δdutyの初期値Δdutyi(=h2b)は、下記の(式1)〜(式3)でおおよそ決定される。
E(V)=(Da+Δdutyi)(%)×Ein(V) / 100 ・・・(式1)
ただし、Einはモータ160の端子間電圧、Daはスロットル開度保持時のPWMデューティ、EはPWM制御によってモータ160に実質的に印加される電圧とする。
I(A) = E(V) / R(Ω) ・・・(式2)
ただし、Iはモータ電機子電流、Rはモータ電機子抵抗とする。
I(A)×KT >Tm ・・・(式3)
ただし、KTはモータトルク定数、Tmは静止時にモータ160にかかる摩擦トルクとする。
基本的に、前記静止摩擦トルクTmを定数と見なして、上記(式1)〜(式3)に基づいて、PWM制御パラメータの初期値(ここでは、PWMデューティ補正値Δdutyの初期値=h2bの初期値)が設定される。しかし、上記スロットルボディ161の構成では、伝動機構162のギア間の隙間(ギアバックラッシュ)部gbが存在する。そのため、実際には、上記(式1)〜(式3)により算出された初期値によって、必ずしもスロットルバルブ170の微動を生じさせることができるわけではない。
一方、PWMデューティの変化とモータ電流Iの変化には、タイムラグが生じる。図6(a)〜図6(d)は、PWMデューティとモータ電流の挙動を示す図である。図6(a)はPWMデューティの時間変化を示し、図6(b)はモータ電流Iの時間変化を示し、図6(c)は実スロットル開度の時間変化を示し、図6(d)は実エンジン回転数の時間変化を示す。
図6(a)および図6(b)に示すように、PWMデューティを変化させてから実際にモータ電流Iが変化するまでには遅れが生じている。さらにこれに遅れてスロットル開度が変化し(図6(c)参照)、これにやや遅れて実エンジン回転数の変化が生じている。
モータ電流Iの応答遅れは、下記(式4)で示す電気的時定数Te(最終値の63.2%に到達する時間)で表すことができる。
電気的時定数:Te(s) =L(H)/R(Ω) ・・・(式4)
ただし、Lはモータインダクタンスとする。
PWMデューティ補正値Δdutyが継続して適用されるPWMデューティ補正値維持時間tpwmは短くすることが望ましく、また、PWMデューティ補正回数npwmはなるべく少なくすることが好ましい。このため、PWM制御パラメータの初期値(係数h1b,h2b,h3bの初期値)を設定する際には、(式1)〜(式4)を用いて、且つ、モータ電流Iの挙動の遅れを考えたうえで、PWM制御パラメータのうち、PWMデューティ補正値維持時間tpwmおよびPWMデューティ補正回数npwmについては、その初期値をなるべく小さく設定する。
なお、図6(a)〜図6(d)に示した動作例は、アイドル回転数制御時など、スロットルバルブ170を微少駆動させる際の動作である。この動作例では、PWM微少パルス算出部240は、静止時摩擦トルク(図5(b)参照)を乗り越えるのに必要なトルクを発生させるPWMデューティ補正値Δdutyに対応したPWMデューティ(制御信号)を出力し、スロットルバルブ170が駆動を開始した後、PWMデューティ補正値維持時間tpwmが経過するとすぐに、補正する前のPWMデューティ(保持デューティ比)を出力している。
PWM微少パルス算出部240は、PWM微少パルス制御テーブル更新部250から入力される関数更新データに基づいて、関数h1から関数h3を補正する。
PWM微少パルス制御テーブル更新部250には、目標エンジン回転数変化量算出部220により算出された目標エンジン回転数変化量ΔN*と、実エンジン回転数算出部210により算出された実エンジン回転数Nとが入力される。
PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、入力される実エンジン回転数Nを記憶する記憶部250mを有する。この記憶部250mには、今制御周期におけるPWM微少パルス制御の実行前に実エンジン回転数算出部210が算出した実エンジン回転数Noldが格納される。PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、記憶部250mに記憶された実エンジン回転数Noldと、今制御周期におけるPWM微少パルス制御によって変動した後の実エンジン回転数Nとの偏差を求め、この偏差を実エンジン回転数変化量ΔN(=N−Nold)とする。ただし、今制御周期のPWM微少パルス制御の前後における実エンジン回転数との偏差をそのまま実エンジン回転数変化量ΔNとするのではなく、PWM微少パルス制御の前後の各実エンジン回転数に対して一定の演算を行って実エンジン回転数変化量ΔNを求めることとしてもよい。
PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、さらに、PWM微少パルス算出部240の各PWM制御パラメータの関数テーブルh1,h2,h3を更新する関数更新データを生成する機能を有する。PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、入力される各情報に基づいて関数更新データを作成し、この関数更新データをPWM微少パルス算出部240に出力する。
関数更新データは、PWM微少パルス算出部240の関数h1〜h3の値を所定値オフセットする値である。具体的には、関数h1,h2,h3の係数h1b,h2b,h3bを増減させるために、関数更新データが用いられる。この関数更新データは、関数h1,h2,h3の係数h1a,h2a,h3aを増減させるためのデータとすることもでき、係数h1a,h2a,h3aおよび係数h1b,h2b,h3bの両方を増減させるためのデータとすることもできる。むろん、必ずしも関数h1,h2,h3のすべてについて関数値を変更する必要はなく、たとえば、PWMデューティ補正値Δdutyを定めるための関数h2の値のみを関数更新データに応じて増減するようにしてもよい。
関数更新データがPWM微少パルス算出部240に与えられて関数値がオフセットされることにより、PWM制御パラメータを求めるための関数h1,h2,h3が実質的に変更されることになる。具体的には、PWMデューティ補正値Δdutyを維持時間tpwmに渡って適用するPWMデューティ補正制御を補正回数npwmに渡って実行するPWM微少パルス制御を行っても、実エンジン回転数変化量ΔNの目標エンジン回転数変化量ΔN*に対するずれが大きい場合に、関数h1,h2,h3が更新される。すなわち、関数値をオフセットするための関数更新データが、PWM微少パルス制御テーブル更新部250からPWM微少パルス算出部240に与えられる。これにより、次の制御周期のPWM微少パルス制御の際に、更新された関数h1,h2,h3によってPWM制御パラメータが定められるから、エンジン回転数を目標通りに変化させることができる。
このような関数h1,h2,h3の更新がされる以前には、係数h1b,h2b,h3bの初期値に従って、各PWM制御パラメータが定められることになる。
PWM信号生成部280は、PWM微少パルス算出部240から入力されるPWMデューティを記憶部(レジスタ)280mに格納するとともに、この記憶部280mに格納したPWMデューティ(制御信号)に基づいてPWM信号を生成し、モータ160に出力する。
モータ160は、上述したようにスロットルボディ161に設けられ、PWM信号生成部280からのPWM信号に基づいて駆動し、スロットルバルブ170の角度(開度)を変化させる。このスロットルバルブ170の角度の変化により、スロットル開度が変化して吸気量が変化し、エンジン回転数が変化する。
図7は、この実施形態に係るエンジン回転数制御装置の動作を示すフローチャートである。この図7に示す処理が、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
まず、水温算出部140は、水温センサ130からの入力に基づいて水温Twatを算出し、この水温Twatに基づいて、目標エンジン回転数算出部260は、目標エンジン回転数N*を算出する(ステップS1)。
ステップS2において、目標エンジン回転数変化量算出部220は、目標エンジン回転数N*から実エンジン回転数Nを減算して、目標エンジン回転数変化量ΔN*(=N*−N)を算出する。また、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、実エンジン回転数算出部210によって算出された実エンジン回転数Nを、実エンジン回転数記録値Noldとして、記憶部250mに記憶させる。実エンジン回転数記録値Noldは、PWM微少パルス制御によるスロットル開度調整前の実エンジン回転数として、後述するステップS9での処理に用いられる。この実エンジン回転数記録値Noldは、前制御周期でのPWM微少パルス制御の結果に対応する。
次いで、ステップS3において、PWM微少パルス算出部240は、目標エンジン回転数変化量ΔN*および実エンジン回転数Nから、PWM制御パラメータを算出する。すなわち、PWM微少パルス算出部240は、関数h1によってPWMデューティ補正回数npwmを求め、関数h2によってPWMデューティ補正値Δdutyを求め、関数h3によってPWMデューティ補正値維持時間tpwmを求める。
次いで、ステップS4において、PWM微少パルス算出部240は、PWMデューティ補正回数npwmを計数するカウンタの計数値iをクリアする。
ステップS5では、PWM微少パルス算出部240は、ステップS3で算出されたPWMデューティ補正値維持時間tpwmの間、ステップS3で算出されたPWMディーティ補正値Δdutyだけ、前記保持デューティ比(図3のDa)から、PWMデューティを増減補正する。
次いで、ステップS6では、PWM微少パルス算出部240は、PWMデューティ補正回数カウンタの計数値iに1を加算する。さらに、PWM微少パルス算出部240は、ステップS7では、PWMデューティの補正回数が、ステップS4で算出したPWMデューティ補正回数npwmに達したか否か(i≧npwm)を判定する。
PWMデューティ補正回数npwmだけPWMデューティの補正を行っていれば(i≧npwm)、処理はステップS9に移行し、PWMデューティ補正回数npwm分の補正が未完了であれば(i<npwm)、処理はステップS8に移行する。
ステップS8では、PWM微少パルス算出部240は、目標エンジン回転数N*に対する現在の実エンジン回転数Nの偏差(=|N*−N|。エンジン回転数偏差)が許容範囲内(エンジン回転数偏差許容値Nα未満。ただし、Nα>0)か否かを判定する。エンジン回転数偏差量|N*−N|がエンジン回転数偏差許容値Nα以上であれば、PWM微少パルス算出部240は、ステップS5に戻って処理を繰り返し、エンジン回転数偏差許容値Nα未満であれば、処理はステップS9に移行する。
このようにして、PWMデューティの補正が、PWMデューティ補正回数npwmに達するか、または実エンジン回転数Nが目標エンジン回転数N*に十分近づくかのいずれかの条件が満たされるまで、所定の時間間隔をあけて繰り返されることになる。このように時間間隔を開けてPWMデューティの補正を繰り返し行うのは、図6を参照して説明したように、PWMデューティの補正から実エンジン回転数が変化するまでにタイムラグがあるからである。
ステップS9では、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、今制御周期のPWM微少パルス制御を終えた後(ステップS7またはS8のYES)の実エンジン回転数Nと、このPWM微少パルス制御前に記憶部250mに記録しておいた実エンジン回転数記録値Noldから、実エンジン回転数変化量ΔN(=N−Nold)を算出する。
次いで、ステップS10では、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、目標エンジン回転数変化量ΔN*と、実エンジン回転数変化量ΔNとに基づいて、PWM微少パルス制御パラメータ関数h1〜h3を更新するための関数更新処理を実行する。この関数更新処理には、さらに、目標エンジン回転数N*が加味されてもよい。
関数更新処理により関数更新データが出力された場合、PWM微小パルス算出部240は、この関数更新データに従って関数h1,h2,h3の関数値をオフセットする。
以上の処理が制御周期毎に繰り返し実行される。
図8は、図7のステップS10において行うPWM微少パルス制御パラメータ関数の更新処理を示すフローチャートである。
この処理では、まず、ステップS10−1では、ステップS9(図7参照)において算出された実エンジン回転数変化量ΔNと、ステップS2で算出された目標エンジン回転数変化量ΔN*とに基づいて、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、それぞれの変化量の絶対値の差Nh(=|ΔN*|−|ΔN|)(エンジン回転数変化量偏差)を算出する。
次いで、ステップS10−2では、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、算出したエンジン回転数変化量偏差Nhが、予め設定されたPWM微少パルス制御の関数更新の判定値Nβ(>0。一定値)より大きいか否かを判定する。エンジン回転数変化量偏差Nhが判定値Nβより大きければ、処理は、ステップS10−4に移行し、エンジン回転数変化量偏差Nhが判定値Nβ以下であれば、処理は、ステップS10−3に移行する。
エンジン回転数変化量偏差Nhが判定値Nβを超えている場合(ステップS10−2のYES)とは、PWM微少パルス制御を行ったにも拘わらず、実エンジン回転数Nが十分に変動しない場合である。この場合には、ステップS10−4において、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、スロットルバルブ170が今までよりも大きく動くように、パラメータ関数の出力値を大きくするための関数更新データを出力して、関数更新処理を終了する。このステップS10−4では、一例として、関数h2の係数h2bをシフト量b1(b1>0)だけ増加することを指示する関数更新データを出力するようにしている。これにより、PWMデューティ補正値Δdutyを算出する関数h2の関数値が一律にシフト量b1だけ増加する。
シフト量b1は、一定値としてもよいし、エンジン回転数変化量偏差Nhに応じて可変設定してもよい。エンジン回転数変化量偏差Nhに応じてシフト量b1を定める場合には、急激なエンジン回転数変化を防ぐために、所定の上限値以下の範囲でシフト量b1を定めることが好ましい。
実エンジン回転数変化量|ΔN|が目標エンジン回転数変化量|ΔN*|より小さい場合(|ΔN*|−|ΔN|>Nβ)の処理タイミングを図9、図10(a)、図10(b)および図11に示す。
図9は、この実施形態に係るエンジン回転数制御装置の処理タイミングを示す図であり、水温と目標エンジン回転数の挙動を示す図である。
図10(a)および図10(b)は、図9に示すように水温Twatが上昇中の処理タイミングにおいて、エンジン回転数の実回転数変化が目標より小さい場合(|ΔN*|−|ΔN|>Nβ)のエンジン回転数の制御のタイミングを示す図である。図10(a)はエンジン回転数の変移を示し、図10(b)は、図10(a)のエンジン回転数の変移に対応するPWMデューティを示す。また、図11は、図10(a)の制御周期PCにおける目標エンジン回転数N*と実エンジン回転数Nとの関係を示す。なお、図9、図10(a)、図10(b)および図11には、図7のフローチャートの主要なステップの実行タイミングが併せて示されている。
図10(a)の例では、或る制御周期PC中のステップS10において、関数h2を更新(この例では、h2bをシフト量b1だけ増加する更新)した後、矢印aで示す部分に見られるように、略目標どおりのエンジン回転数変化が達成されている。
すなわち、制御周期PCにおいて、は、ステップS3〜S8の処理によって、PWMデューティが3回に渡って減少補正されている。これにより、モータ160によってスロットルバルブ170が閉方向に駆動され、スロットル開度が減少させられ、その結果、実エンジン回転数Nが減少している。しかし、実エンジン回転数変化量|ΔN|が少なく、実エンジン回転数Nと目標エンジン回転数N*との差が大きな状態となっている。そこで、当該制御周期PC内のステップS10において、関数h2の更新が行われているのである。
次の制御周期PC01では、更新された関数h2に基づいてPWMデューティ補正値Δdutyが求められて適用された結果、絶対値の大きな負のPWMデューティ補正値Δdutyによって3回に渡ってPWMデューティが補正され、矢印aで示すように、実エンジン回転数Nが目標エンジン回転数N*に近づいている。
一方、図8のステップS10−3では、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、ステップS10−1で算出したエンジン回転数変化量偏差Nhが、予め設定された判定値「−Nβ」(負の一定値)より小さいか否かを判定する。エンジン回転数変化量偏差Nhが判定値「−Nβ」以上であれば、関数更新処理を終了する。つまり、目標エンジン回転数変化量(ΔN*)と実エンジン回転数変化量(ΔN)とがほぼ同じである場合は、関数の更新は行わない。
図12(a)および図12(b)は、実エンジン回転数の変化が略目標通りである場合におけるエンジン回転数の制御のタイミングを示す図であり、図12(a)はエンジン回転数の変移を示し、図12(b)は、図12(a)のエンジン回転数の変移に対応するPWMデューティを示す。また、図13は、図12(a)の制御周期PC1における目標エンジン回転数と実エンジン回転数との関係を示す図である。なお、図12(a)、図12(b)および図13には、図7に示すフローチャートの主要なステップのタイミングを併せて示す。
図12(a)の矢印bに示すように、目標エンジン回転数変化量|ΔN*|と実エンジン回転数変化量|ΔN|との差が小さい場合、PWMパラメータ関数を更新しなくても、一連の制御処理を繰り返すことにより、実エンジン回転数Nと目標エンジン回転数N*との差はなくなる。これにより、実エンジン回転数Nは目標エンジン回転数N*に収束する。
より詳細に説明すると、制御周期PC1では、図12(b)に示すように、PWMデューティが3回に渡って減少補正されている。これにより、モータ160は、スロットルバルブ170を閉方向に駆動し、その結果、スロットル開度が減少して、実エンジン回転数Nが目標エンジン回転数N*の近くまで減少している。したがって、制御周期PC1内のステップS10では、パラメータ関数の更新が行われていない。
制御周期PC1の次の制御周期PC11では、PWMデューティの減少補正が1回行われ、これによって、矢印bで示すように、実エンジン回転数Nが目標エンジン回転数N*にほぼ等しくなっている。図12(b)の例では、制御周期PC1の次の制御周期PC11におけるPWMデューティ補正値Δdutyは、その絶対値が、制御周期PC1におけるPWMデューティ補正値Δdutyの絶対値よりも小さくなっており、PWMデューティ補正回数も減少している。これは、目標エンジン回転数変化量ΔN*が小さくなったことに対応している。これに加えて、さらに、PWMデューティ補正値維持時間tpwmも小さくしてもよい。
なお、実エンジン回転数が僅かながら変化している場合は、スロットルバルブ170を微動させるのに必要なモータ発生トルクは得られているので、PWMデューティ補正値Δdutyを変化させる必要はなく、関数h2を更新する必要はない。
図8のステップS10−3において、エンジン回転数変化量偏差Nhが、判定値「−Nβ」より小さければ、処理は、ステップS10−5に移行する。
この場合は、目標エンジン回転数変化量ΔN*よりも、実エンジン回転数変化量ΔNが大きく、エンジン回転数Nが過剰に変化したことになる。そこで、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、スロットルバルブ170がそれまでより小さく動くように、パラメータ関数の出力値を小さくする。すなわち、関数の出力値を減少補正するための関数更新データをPWM微少パルス算出部240に出力して、パラメータ関数更新処理を終了する。
図8の例では、ステップS10−5において、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、PWMデューティ補正値を算出する関数h2の係数h2bの値をシフト量b2(>0)だけ減少することにより、関数h2の出力を減少補正している。シフト量b2は、一定値としてもよいし、エンジン回転数変化量偏差Nhに応じて可変設定してもよい。エンジン回転数変化量偏差Nhに応じてシフト量b2を定める場合には、急激なエンジン回転数変化を防ぐために、所定の上限値以下の範囲でシフト量b2を定めることが好ましい。
図14(a)および図14(b)は、エンジン回転数の実回転数変化が目標より大きい場合におけるエンジン回転数の制御のタイミングを示す図であり、図14(a)はエンジン回転数の変移を示し、図14(b)は、図14(a)のエンジン回転数の変移に対応するPWMデューティを示す。また、図15は、図14(a)の制御周期PC2における目標エンジン回転数と実エンジン回転数との関係を示す図である。なお、図14(a)、図14(b)および図15には、図7のフローチャートの主要なステップの実行タイミングが併せて示されている。
図14(a)に示すように、制御周期PC2中のステップS10において、関数h2を更新(係数h2bをシフト量b2だけ減少する更新)した後は、矢印cで示す部分に見られるように、略目標通りのエンジン回転数変化が得られている。
詳細に説明すると、制御周期PC2において、PWMデューティの減少補正が3回に渡って行われている。これにより、実エンジン回転数Nが過剰に変動して、実エンジン回転数変化量|ΔN|が目標エンジン回転数変化量|ΔN*|よりもはるかに大きくなっている。そこで、制御周期PC2中のステップS10の処理によって、パラメータ関数h2が更新されている。
これにより、その次の制御周期PC21では、PWMデューティの増加補正(Δduty>0)が3回に渡って行われていて、矢印cで示すとおり、実エンジン回転数Nが目標エンジン回転数N*にほぼ等しくなっている。
なお、図8に示すフローチャートでは、パラメータ関数を更新する処理として、デューティ補正値Δdutyの関数h2を更新する場合について説明したが、関数h1、h3も同様にして更新してもよい。
図16は、パラメータ関数更新処理の他の例を示すフローチャートである。
前述の図8のステップS10−4において、PWMデューティを補正値Δdutyだけを増加させるケースの例として、実エンジン回転数変化が全くない場合、つまり、実エンジン回転数変化量|ΔN|=|N−Nold|=0の場合がある。実エンジン回転数変化量ΔNが0である場合は、モータ160により駆動されるスロットルバルブ170が無動作であり、モータ発生トルクが静止時摩擦トルクより小さい(図5(b)参照)と考えられる。よって、PWMデューティ補正回数npwmやPWMデューティ補正値維持時間tpwmを変化させても発生トルクは変わらない。すなわち、モータ発生トルクを上げてスロットルバルブ170を動かすためには、PWMデューティ補正値Δdutyを変化させる必要がある。
そこで、図16に示す例では、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、実エンジン回転数変化量|ΔN|が0かどうかを判断する(ステップS10−11)。そして、|ΔN|=0であれば、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、関数h2の関数値を増加(ΔN*>0の領域で増加、ΔN*<0の領域で減少)させるための関数更新データをPWM微少パルス算出部240に与えて、関数h2を実質的に更新する(ステップS10−12)。
また、実エンジン回転数変化量|ΔN|が、0ではないが(ステップS10−11のNO)、目標エンジン回転数変化量|ΔN*|との差が大きい場合、つまり、|N|≠0、且つ、|Nh|>β(ただし、Nh=|ΔN*|−|ΔN|、β>>Nβ)の場合がある(ステップS10−13)。より具体的には、実エンジン回転数変化量|ΔN|が、目標エンジン回転数変化量|ΔN*|よりもはるかに小さい場合(PWMデューティ補正不足)である。
このような場合には、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、PWMデューティ補正回数npwmを規定する関数h1またはPWMデューティ補正値維持時間tpwmを規定する関数h3を更新するための関数更新データを、PWM微少パルス算出部240に与える(ステップS10−14)。これにより、次の制御周期のPWM微少パルス制御における実エンジン回転数変化量ΔNを増加することができる。
PWMデューティ補正値Δdutyを定める関数h2を更新しても、実エンジン回転数変化量ΔNを増減することができる。しかし、PWMデューティ補正値Δdutyを大きくしすぎると発生トルクが過剰となり、駆動量の微調整が難しくなるおそれがあり、小さくしすぎれば、スロットルバルブ170を作動させることができなくなるおそれがある。
さらに、PWMデューティ補正値Δdutyの初期値は、上述したように、スロットルバルブ170が動き出すのに最低限必要な発生トルクがモータ160から発生されるように設定されている。このため、実エンジン回転数変化量|ΔN|が0でないのであれば、PWMデューティ補正値Δdutyの初期値は、そのまま維持し、PWMデューティ補正回数npwmまたはPWMデューティ補正値維持時間tpwmを変化させた方が、スロットルバルブ170駆動量の微調整がしやすい。
なお、ステップS10−11における実エンジン回転数変化量|ΔN|が0かどうかの判断は、実エンジン回転数変化量|ΔN|が実質的に0とみなせるかどうかの判断である。したがって、この判断は、たとえば、実エンジン回転数変化量|ΔN|が微小な定数α(>0)以下かどうかの判断に置き換えてもよい。
PWMデューティ補正回数npwmが2以上の場合、デューティ補正された微少パルス列同士の時間間隔をある程度あけることが好ましい。これにより、PWMデューティ補正回数npwmと実エンジン回転数変化量ΔN(=N−Nold)との関係は、ほぼ比例となる。
この場合、たとえば、PWMデューティ補正回数npwmが1回のときに、実エンジン回転数変化量ΔNが5回転であったとすると、PWMデューティ補正回数npwmが2回とすれば、実エンジン回転数変化量ΔNはほぼ10回転となると予想できる。このように、PWMデューティ補正回数npwmを変化させてPWM微少パルス制御を行えば、実エンジン回転数変化量ΔNの予想がつけやすい。
PWMデューティ補正値維持時間tpwmを変動させてPWM微少パルス制御を行う場合にも、デューティ補正された微少パルス列同士の時間間隔をある程度あけることが好ましい。ただし、PWMデューティ補正値維持時間tpwmと実エンジン回転数変化量ΔNとの関係は比例ではない。しかし、PWMデューティ補正値維持時間tpwmは僅かに変化させるだけでも、実エンジン回転数変化量ΔNは大きく変化する。したがって、PWMデューティ補正回数npwmを変化させる場合に比べると、制御周期を長く必要としない。このため、PWM微少パルス制御の周期を短くする必要がある場合、PWMデューティ補正値維持時間tpwmの補正を優先的に行ってPWM微少パルス制御を行うことが好ましい。
以上のように、本実施形態によれば、スロットルバルブ170を駆動させるモータ160に与えられるPWM信号のデューティを、PWMデューティ補正回数npwmに渡って、PWMデューティ補正値Δdutyだけ補正し、各回のPWMデューティの補正をPWMデューティ補正値維持時間tpwmだけ持続させる。これにより、スロットルポジションセンサ(TPS:Throttle Position Sensor)の出力を用いたフィードバック制御ではなく、目標エンジン回転数変化量ΔN*などを用いたフィードフォワード制御によって、角度精度として0.02度程度の精度を持ちながら、スロットルバルブ170の開度を細かく制御できる。この精度は、エンジンのメイン吸気路と並列にバイパス通路(副通路)を設け、このバイパス通路に配置されたアイドルスピードコントロールバルブ(ISCV)の開度をエンジン制御ユニットによって調整する構成と同等の精度である。このように、ISCVを用いた制御と同等の精度でスロットル開度を制御しながら、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけることができる。
しかも、ISCVは必ずしも必要ではなく、また、スロットルポジションセンサの出力信号を増幅する増幅器も必要ではない。したがって、簡単で、かつ、安価な構造で、エンジン回転数、特に細かい制御が必要なアイドル回転数の制御を行うことができる。
また、PWMデューティ補正回数npwm、PWMデューティ補正値ΔdutyおよびPWMデューティ補正値維持時間tpwmの各PWM制御パラメータの初期値(関数h1,h2,h3の初期関数値。とくに係数h1b,h2b,h3b)は、スロットルバルブ170の変位を妨げる静止摩擦力を上回る必要最低限度のトルクがモータ160から発生するように設定されている。このため、これらPWM制御パラメータの初期関数値をそのまま用いてPWMデューティを補正しても、ほぼ目標通りに、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけることができる。特に、アイドル回転数制御時においても、スロットルバルブ170を、静止状態から、確実に目標開度位置まで開閉作動させることができる。
また、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、PWM微少パルス制御を実行する毎(制御周期毎)に、PWM微少パルス制御の前後の実エンジン回転数N,Noldを用いて、実エンジン回転数変化量ΔN(=N−Nold)を算出する。また、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、実エンジン回転数変化量ΔNと、目標エンジン回転数変化量ΔN*と(さらに、必要に応じて実エンジン回転数N)を用いて、PWM制御パラメータを定める関数を、必要に応じて更新する。すなわち、PWMデューティ補正回数npwmを定める関数h1、PWMデューティ補正値Δdutyを定める関数h2、およびPWMデューティ補正値維持時間tpwmを定める関数h3のうち、少なくとも1つが必要に応じて変更される。
このため、PWM微少パルス算出部240において、各PWM制御パラメータで補正したPWMデューティによって、目標通りの開度にスロットルバルブ170が開閉作動しない場合には、いずれかのPWM制御パラメータの関数を変更することで、次回(次制御周期)の処理では、確実にスロットルバルブ170に所望の開閉動作をさせることができる。
この実施形態では、モータ160により駆動されるスロットルバルブ170に掛かるトルクは、スロットルバルブ170の軸のフリクションf1、スロットルバルブ170の伝動機構のギアバックラッシュgb、リターンスプリングなどの影響により、一定ではない。このため、本実施形態に係るエンジン回転数制御装置では、実際のエンジン回転数変化量ΔNをフィードバックして、PWM微少パルス制御テーブル更新部250によってPWMデューティ補正値Δdutyの関数h2を修正し、確実にスロットルバルブ170を微動させるようにしている(図8参照)。
さらに、図16に示す処理では、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、実エンジン回転数変化量ΔNに変化がない場合、PWMデューティ補正値Δdutyの関数h2を更新する。これにより、スロットルバルブ170を確実に駆動させて、エンジン回転数を制御することができる。
また、図16に示す処理において、PWM微少パルス制御テーブル更新部250は、PWMデューティの補正によって実エンジン回転数Nに変化が見られるものの、実エンジン回転数変化量|ΔN|が目標エンジン回転数変化量|ΔN*|よりもはるかに小さい場合には、PWMデューティ補正回数npwmの関数h1またはPWMデューティ補正値維持時間tpwmの関数h3を変更する。これにより、PWMデューティの補正によってスロットルバルブ170が微動する状態を保持しつつ、効率よく、確実に、エンジン回転数を精度よく制御することができる。
(第2の実施形態)
図17は、本発明の第2の実施形態に係るエンジンシステムの構成を示すブロック図である。このエンジンシステムは、エンジン120と、このエンジン120の回転数を制御するエンジン回転数制御装置100aとを有している。このエンジン回転数制御装置100aは、図1に示す第1の実施形態のエンジン回転数制御装置100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
スロットルバルブ170には、スロットルポジションセンサ(以下、「TPS」という。)310が付設されている。このTPS310は、ポテンショメータ等からなり、スロットルバルブ170の開度を検出し、その信号(以下、「TPS信号」という)を実スロットル開度算出部320に出力する。
実スロットル開度算出部320は、TPS310から入力されるTPS信号に基づいて実スロットル開度θを算出し、PWM微少パルス制御テーブル更新部(更新部)250a、PWM微少パルス算出部(第1制御信号算出部)240a、PWMデューティ選択部390、ISC位置フィードバック制御部(第2制御信号算出部)330および通常時位置フィードバック制御部340に出力する。
ISC位置フィードバック制御部330は、目標スロットル開度算出部325から入力される目標スロットル開度θ*(=θ+Δθ*)(Δθ*は目標スロットル開度変化量)と、実スロットル開度算出部320から入力される実スロットル開度θとから、モータ160のPWM制御のための制御信号であるPWMデューティを算出し、PWMデューティ選択部390に出力する。
通常時位置フィードバック制御部340は、目標スロットル開度算出部380から入力される目標スロットル開度θ*と、実スロットル開度算出部320から入力される実スロットル開度θとから、モータ160のPWM制御のための制御信号であるPWMデューティを算出し、PWMデューティ選択部390に出力する。
エンジン120の出力を制御するためのアクセル(例えば、四輪車両のアクセルペダル、二輪車両のアクセルグリップまたはエンジン発電機のアクセルレバー)350の近傍には、アクセルポジションセンサ(Accelerator Position Sensor:APS)360が設けられている。このAPS360は、アクセル350の開度(操作量)を検出し、その信号(以下、「APS信号」という。)をアクセル開度算出部370に出力する。
アクセル開度算出部370は、APS360から入力されるAPS信号に基づいてアクセル開度を算出し、目標スロットル開度算出部380に出力する。
目標スロットル開度算出部380は、アクセル開度算出部370から入力されるアクセル開度信号に基づいて、目標スロットル開度θ*を生成するアクセル追従目標スロットル開度算出部である。この目標スロットル開度算出部380は、生成した目標スロットル開度θ*を通常時位置フィードバック制御部340に出力する。
目標エンジン回転数変化量算出部220aは、目標エンジン回転数N*と実エンジン回転数Nとから、目標エンジン回転数N*と実エンジン回転数Nとの差(エンジン回転数偏差を算出する。このエンジン回転数偏差は、この実施形態では、そのまま、目標エンジン回転数変化量ΔN*とされるが、さらに所定の演算を行って目標エンジン回転数変化量ΔN*を定めてもよい。
また、目標エンジン回転数変化量算出部220aは、算出した目標エンジン回転数変化量ΔN*をPWM微少パルス算出部240aおよびPWM微少パルス制御テーブル更新部250aに加えて、目標スロットル開度変化量算出部400にも出力する。
目標スロットル開度変化量算出部400は、目標エンジン回転数変化量ΔN*の種々の値に対応する目標スロットル開度変化量Δθ*を定めたテーブルを有する。目標スロットル開度変化量算出部400は、そのテーブルと、目標エンジン回転数変化量算出部220aから入力された目標エンジン回転数変化量ΔN*とに基づいて、目標スロットル開度変化量Δθ*を算出する。
また、目標スロットル開度変化量算出部400は、算出した目標スロットル開度変化量Δθ*をPWMデューティ選択部390および目標スロットル開度算出部325に出力する。
目標スロットル開度算出部325は、入力される実スロットル開度θと目標スロットル開度変化量Δθ*とに基づいて、目標スロットル開度θ*(=θ+Δθ*)を算出し、ISC位置フィードバック制御部330に出力する。
PWM微少パルス算出部240aは、目標エンジン回転数変化量算出部220aにより算出された目標エンジン回転数変化量ΔN*と、実エンジン回転数算出部210により算出された実エンジン回転数Nとから、PWM微少パルス制御のための各PWM制御パラメータ(PWMデューティ補正回数npwm、PWMデューティ補正値Δduty、PWMデューティ補正値維持時間tpwm)を算出する。これらのPWM制御パラメータに基づくPWMデューティは、PWM微少パルス算出部240aからPWM信号生成部 280に出力されることになる。
また、PWM微少パルス算出部240aは、上述のPWM微少パルス算出部240と同様の機能を有するとともに、実スロットル開度θが入力されるようになっている。
これにより、PWM微少パルス制御により駆動制御されるスロットルバルブ170の実際の開度θに応じて、各PWM制御パラメータを変更することができる。すなわち、PWM制御パラメータを、目標エンジン回転数変化量ΔN*、実エンジン回転数Nおよび実スロットル開度θの関数によって定めることができる。
むろん、前述の第1の実施形態の場合と同様に、PWM制御パラメータは、目標エンジン回転数変化量ΔN*および実エンジン回転数Nの関数によって定めることとし、実スロットル開度θを加味しなくても差し支えない。この場合には、実スロットル開度θは、PWM微少パルス算出部240aに入力する必要はない。
実際には、スロットルバルブ170は、すべての開度域で静止摩擦トルクが一定であるわけではない。したがって、実スロットル開度θを加味してPWM制御パラメータを定めるようにすれば、スロットルバルブ170を、より適切に開閉作動させることができる。
PWM微少パルス制御テーブル更新部250aは、上述のPWM微少パルス制御テーブル更新部250と同様の機能を有するとともに、実スロットル開度θが入力されるようになっている。これにより、PWM微少パルス算出部240aに出力する関数更新データを定める際に、スロットルバルブ170の実際の開度を加味することができる。
PWMデューティ選択部390は、実スロットル開度θおよび目標スロットル開度変化量Δθ*に基づいて、PWM微少パルス算出部240a、ISC位置フィードバック制御部330および通常時位置フィードバック制御部340からの信号のうちのいずれかを選択して、PWM信号生成部280に出力する。
図18は、PWMデューティ選択部390の処理を説明するためのフローチャートである。PWMデューティ選択部390は、実スロットル開度θが所定のしきい値θa(>0)を超えている場合(ステップS21のYES)には、アクセル350が操作されていると判断し、通常時位置フィードバック制御部340からの制御信号(PWMデューティを表す信号)を選択して出力する(ステップS22)。
実スロットル開度θがしきい値θa以下であれば(ステップS21のNO)、PWMデューティ選択部390は、目標スロットル開度変化量の絶対値|Δθ*|が第1選択判定値θb1(>0)を超えているかどうかを判断する(ステップS23)。この判断が肯定されれば、PWMデューティ選択部390は、通常時位置フィードバック制御部340からの制御信号を選択して出力する。
前記ステップS23での判断が否定である場合、すなわち、|Δθ*|≦θb1の場合には、PWMデューティ選択部390は、さらに、目標スロットル開度変化量絶対値|Δθ*|が第2選択判定値θb2(ただし、θb1>θb2>0)を超えているかどうかを判断する(ステップS24)。この判断が肯定されれば、PWMデューティ選択部390は、ISC位置フィードバック制御部330からの制御信号を選択して出力する(ステップS25)。
一方、前記ステップS24での判断が否定である場合、すなわち、|Δθ*|≦θb2の場合には、PWMデューティ選択部390は、PWM微少パルス算出部240からの制御信号を選択して出力する(ステップS26)。
第2判定値θb2は、この実施形態では、TPS信号の入力分解能に等しく設定されている。そのため、|Δθ*|≦θb1の場合には、目標スロットル開度変化量絶対値|Δθ*|がTPS信号の入力分解能よりも大きければISC位置フィードバック制御が行われ、当該入力分解能以下であればPWM微少パルス制御が行われることになる。
このようにして、PWMデューティ選択部390の働きにより、状況に応じて、応答が速いISC位置フィードバック制御と、エンジン回転数を細かく制御できるPWM微少パルス制御、さらには、通常時位置フィードバック制御とを切り替えて使用することができる。
このエンジン回転数制御装置100aを用いてエンジン回転数制御を行う際の一例を以下に示す。
図19は、PWM微少パルス制御と、ISC位置フィードバック制御とを併用した場合のタイムチャートの例である。図19(a)は、ISC位置フィードバック制御とPWM微少パルス制御とを切り替えて行った際の実エンジン回転数Nおよび目標エンジン回転数N*の挙動を示す。図19(b)は、その場合の実スロットル開度θおよび目標スロットル開度θ*の挙動を示す。さらに、図19(c)は、その場合のPWMデューティの変動を示す。
目標エンジン回転数がステップ状に変動するときには、これに追従して目標スロットル開度がほぼステップ状に変動するから、目標スロットル開度変化量の絶対値|Δθ*|が大きくなる。したがって、目標スロットル開度がステップ状に変動した制御周期では、ISC位置フィードバック制御が行われ、PWMデューティは、ほぼリニアに変動する。これに対して、目標スロットル開度の変動が少ない期間には、PWM微少パルス制御が行われ、PWMデューティはパルス状に変動することになる。
図20は、通常時位置フィードバック制御と、PWM微少パルス制御とを切り替えて実行した際のタイムチャートの例である。図20(a)は、実エンジン回転数Nと目標エンジン回転数N*との挙動を示し、図20(b)は、実スロットル開度θと目標スロットル開度θ*との挙動を示し、図20(c)は、PWMデューティの変動を示す。
実スロットル開度が大きいときには、通常時位置フィードバック制御が行われ、PWMデューティは大きく変動する。これに対して、実スロットル開度が小さく、目標スロットル開度にも大きな変動がないときには、PWM微少パルス制御が行われる。この期間には、PWMデューティはパルス的に変動することになる。
このように、PWMデューティ選択部390により、状況に応じて、PWM微少パルス算出部240a、ISC位置フィードバック制御部330および通常時位置フィードバック制御部340が生成するPWMデューティを適宜選択してPWM信号生成部280に与えることができる。よって、状況に応じて、異なる制御で、エンジン回転数を適切に制御することができる。
図21は、前記エンジンシステムが適用可能な車両の一例である二輪車両の構成を示す図である。二輪車両1は、ヘッドパイプ2と、このヘッドパイプ2に回動自在に支持された操舵軸と、この操舵軸の上端に固定されたハンドル3と、操舵軸の下方側に連結された一対のフロントフォーク5とを備えている。この一対のフロントフォーク5の間に前輪6が回動可能に支持されている。
ヘッドパイプ2には、フレーム7が連結されている。このフレーム7は、前端がヘッドパイプ2に固定された左右一対のメインフレーム7aと、このメインフレーム7aの後側からさらに後方に延びるリアフレーム7bと、メインフレーム7aの前側とその後端部とに、これらの間で下方に湾曲した状態で結合されたダウンチューブ7cとを有している。
メインフレーム7aには、スイングアーム9の前端部が回動自在に支持されている。このスイングアーム9には、その後端部に後輪10が支持されている。
メインフレーム7aとダウンチューブ7cとの間には、エンジン120が配置されている。また、メインフレーム7aの上側には、エンジン120に供給される燃料を貯留するための燃料タンク8が配置されている。
エンジン120の回転力は、チェーン11などを介して後輪10へと伝達され、これによって、後輪10が回転する。こうして、二輪車両1を走行させることができる。
エンジン120の出力を制御するためのアクセルグリップ(図19のアクセル350)は、ハンドル3の右手側端部(図21の奥側)に配置され、このアクセルグリップに関連して、APS360(図17参照)が配置されることになる。
エンジン回転数制御装置100または100aは、たとえば、メインフレーム7aに取り付けられている(図21では図示を省略)。エンジン120の回転数の制御をエンジン回転数制御装置100,100aによって行えば、とくにアイドル回転時において、エンジン回転速度を精密に制御して、安定した回転数が得られる。
図22は、前記エンジンシステムが適用可能なエンジン発電機の正面図である。このエンジン発電機21は、図22の右半分の部分にエンジン120を配置し、左半分に発電ユニット30を配置して構成されている。このエンジン発電機21の上部には、エンジン120に供給すべき燃料を貯留する燃料タンク22が配置されており、さらに、持ち運び用の把手23が取り付けられている。
このエンジン発電機21のフレーム24には、発電ユニット30から電力を取り出すためのコンセント25と、エンジンスイッチ26とが設けられている。この実施形態では、アクセルレバーは設けられておらず、コンセント25に接続された負荷に応じて目標エンジン回転数が設定され、エンジン回転数が制御されるようになっている。
エンジン120を制御するためのエンジン回転数制御装置100または100aは、例えば、発電機のフレーム24に取り付けられている(図22では図示を省略)。このエンジン回転数制御装置100,100aによってエンジン120の回転数を制御することにより、安価な構成でエンジン回転数を確実に所望の値に制御することができる。これにより、安定した電力を供給することができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することも可能である。たとえば、上記の実施形態では、ISCVを用いない構成について説明したが、この発明は、ISCVを備えたエンジンシステムに対しても適用が可能である。また、図21には、車両の例として二輪車両を示したが、四輪車両や三輪車両などの他の形態の車両に対してもこの発明の適用が可能である。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で、種々の変更が可能である。
本発明の第1の実施形態に係るエンジンシステムの構成を示すブロック図である。 目標エンジン回転数を算出するための関数テーブルの例を示す図である。 PWM微少パルス制御に用いるPWM制御パラメータを説明するための図である。 PWM制御パラメータを算出するための関数テーブルの例を示す図である。 (a)はスロットルバルブの構造を示す模式図であり、(b)はモータにかかる摩擦トルクを示す図である。 PWMデューティ、モータ電流、スロットル開度およびエンジン回転数の挙動を示す図である。 エンジン回転数制御処理を説明するフローチャートである。 PWM微少パルス制御パラメータ関数の更新処理を示すフローチャートである。 エンジン回転数制御装置の処理タイミングを示す図であり、(a)は冷却水温度の時間変化を示し、(b)は目標エンジン回転数の時間変化を示す。 エンジン回転数制御装置の処理タイミングを示す図であり、(a)はエンジン回転数の変移を示し、(b)はPWMデューティの変移を示す。 図10の制御周期PCにおける目標エンジン回転数と実エンジン回転数との関係を拡大して示す図である。 エンジン回転数制御装置の処理タイミングを示す図であり、(a)はエンジン回転数の変移を示し、(b)はPWMデューティの変移を示す。 図12の制御周期PC1における目標エンジン回転数と実エンジン回転数との関係を拡大して示す図である。 エンジン回転数制御装置の処理タイミングを示す図であり、(a)はエンジン回転数の変移を示し、(b)はPWMデューティの変移を示す。 図14の制御周期PC2における目標エンジン回転数と実エンジン回転数との関係を拡大して示す図である。 パラメータ関数更新処理の他の例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るエンジンシステムの構成を示すブロック図である。 PWMデューティ選択部の処理を説明するためのフローチャートである。 前記第2の実施形態のエンジン回転数制御処理を示すタイムチャートであり、(a)はISC位置フィードバック制御とPWM微少パルス制御とを切り替えて行った際の実エンジン回転数および目標エンジン回転数の挙動を示し、(b)はその場合の実スロットル開度および目標スロットル開度の挙動を示し、(c)はその場合のPWMデューティの変動を示す。 通常時位置フィードバック制御と、PWM微少パルス制御とを切り替えて実行した際のタイムチャートの例であり、(a)は実エンジン回転数と目標エンジン回転数との挙動を示し、(b)は、実スロットル開度と目標スロットル開度との挙動を示し、(c)はPWMデューティの変動を示す。 前記エンジンシステムが適用可能な車両の一例である二輪車両の構成を示す図である。 前記エンジンシステムが適用可能なエンジン発電機の正面図である。
符号の説明
1 二輪車両
2 ヘッドパイプ
3 ハンドル
5 フロントフォーク
6 前輪
7 フレーム
7a メインフレーム
7b リアフレーム
7c ダウンチューブ
8 燃料タンク
9 スイングアーム
10 後輪
11 チェーン
21 エンジン発電機
22 燃料タンク
23 把手
24 フレーム
25 コンセント
26 エンジンスイッチ
30 発電ユニット
h1〜h3 関数テーブル
Δduty PWMデューティ補正値
pwm デューティ補正回数
pwm デューティ補正値維持時間
100 エンジン回転数制御装置
100a エンジン回転数制御装置
110 クランク角センサ
120 エンジン
130 水温センサ
140 水温算出部
160 モータ
161 スロットルボディ
161a 吸気通路
162 伝動機構
163 軸部
170 スロットルバルブ
180 制御部
200a 目標回転数設定部
200b パルス生成部
210 実エンジン回転数算出部
220 目標エンジン回転数変化量算出部
220a 目標エンジン回転数変化量算出部
240 PWM微少パルス算出部
240a PWM微少パルス算出部
250 PWM微少パルス制御テーブル更新部
250m 記憶部
250a PWM微少パルス制御テーブル更新部
260 目標エンジン回転数算出部
260m 記憶部
280 PWM信号生成部
280m 記憶部
320 実スロットル開度算出部
325 目標スロットル開度算出部
330 ISC位置フィードバック制御部
340 通常時位置フィードバック制御部
350 アクセル
370 アクセル開度算出部
380 目標スロットル開度算出部
390 デューティ選択部
400 目標スロットル開度変化量算出部

Claims (20)

  1. エンジンに吸入される吸入空気量を調整するスロットルバルブと、
    前記スロットルバルブを駆動する駆動部と、
    前記駆動部を駆動するためのPWM信号を生成する制御部とを含み、
    前記制御部は、
    実際のエンジン回転数を検出する実回転数検出部と、
    目標エンジン回転数を設定する目標回転数設定部と、
    前記実回転数検出部によって検出された実エンジン回転数と、前記目標回転数設定部によって設定された前記目標エンジン回転数とを用いて、目標エンジン回転数変化量を算出する目標回転数変化量算出部と、
    前記PWM信号のデューティ比を補正するためのPWMデューティ補正値、このPWMデューティ補正値を継続して適用すべきPWMデューティ補正値維持時間、および前記PWMデューティ補正値を適用すべきPWMデューティ補正回数を含むPWM制御パラメータを、前記目標回転数変化量算出部によって算出された前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出部によって検出される実エンジン回転数に応じて算出し、その算出されたPWM制御パラメータに基づいてPWM信号を生成して前記駆動部に送出するPWMパルス生成部とを有し、
    前記PWMパルス生成部は、目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が所定のエンジン回転数偏差許容値未満かどうかを判定し、PWM信号のデューティ比の補正を前記PWMデューティ補正回数だけ行ったか、または目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が前記エンジン回転数偏差許容値未満になったかのいずれかの条件が満たされるまで、PWM信号のデューティ比の補正を繰り返し行うものであることを特徴とするエンジン回転数制御装置。
  2. 前記PWMパルス生成部には、前記PWM制御パラメータの初期値が設定されており、
    前記初期値は、前記スロットルバルブの変位を妨げる静止摩擦力を上回る必要最低限度の駆動力が前記駆動部から前記スロットルバルブに与えられるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のエンジン回転数制御装置。
  3. 前記PWMパルス生成部は、前記PWM制御パラメータを、前記目標回転数変化量算出部によって算出される前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出部によって検出される実エンジン回転数の関数により算出するものであることを特徴とする請求項1または2記載のエンジン回転数制御装置。
  4. 前記PWMパルス生成部は、前記目標回転数変化量算出部によって算出される目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出部によって検出される実エンジン回転数に応じて、前記PWM制御パラメータを算出し、算出したPWM制御パラメータに基づいて、前記駆動部をPWM制御するための第1制御信号を算出する第1制御信号算出部と、前記駆動部に送出する前記PWM信号を生成する信号生成部とを備えており、
    前記エンジン回転数制御装置は、さらに
    前記スロットルバルブの開度であるスロットル開度を検出するスロットル開度検出部と、
    前記目標回転数変化量算出部により算出された前記目標エンジン回転数変化量から目標スロットル開度変化量を算出する目標スロットル開度変化量算出部と、
    前記目標スロットル開度変化量と前記スロットル開度検出部により検出された実スロットル開度とを用いて目標スロットル開度を算出する目標スロットル開度算出部と、
    前記スロットル開度検出部により検出された前記実スロットル開度を前記目標スロットル開度算出部によって算出された目標スロットル開度に近づけるべく前記駆動部をPWM制御するための第2制御信号を算出する第2制御信号算出部と、
    前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された前記目標スロットル開度変化量に基づいて、前記第1制御信号および前記第2制御信号のうちの一方を選択して、前記信号生成部に出力する選択部とをさらに含み、
    前記信号生成部は、前記選択部から与えられる制御信号に基づいて前記PWM信号を生成するものであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のエンジン回転数制御装置。
  5. 前記選択部は、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された前記目標スロットル開度変化量が前記スロットル開度検出部の入力分解能に基づいて予め定めた選択判定値以下の場合に、前記第1制御信号を選択して前記信号生成部に出力し、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された前記目標スロットル開度変化量が前記選択判定値より大きい場合に、前記第2制御信号を選択して前記信号生成部に出力するものであることを特徴とする請求項記載のエンジン回転数制御装置。
  6. アクセル開度に基づいて目標スロットル開度を算出するアクセル追従目標スロットル開度算出部と、
    前記スロットル開度検出部によって検出される実スロットル開度を、前記アクセル追従目標スロットル開度算出部によって算出された目標スロットル開度に近づけるべく前記駆動部をPWM制御するための第3制御信号を算出する第3制御信号算出部とをさらに含み、
    前記選択部は、前記スロットル開度検出部によって検出される実スロットル開度と、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出される目標スロットル開度変化量とに基づいて、前記第1制御信号、第2制御信号および第3制御信号のいずれかを選択して前記信号生成部に出力するものであることを特徴とする請求項または記載のエンジン回転数制御装置。
  7. 前記選択部は、前記スロットル開度検出部によって検出される実スロットル開度が、所定のしきい値を超えている場合には前記第3制御信号を選択して出力し、前記実スロットル開度が前記しきい値以下の場合には、前記目標スロットル開度変化量算出部によって算出された目標スロットル開度変化量に応じて前記第1制御信号、第2制御信号または第3制御信号のいずれかを選択して出力するものであることを特徴とする請求項記載のエンジン回転数制御装置。
  8. 前記PWMパルス生成部は、前記PWM制御パラメータに対応したPWM信号を前記駆動部に送出するPWM補正制御を時間間隔を開けて繰り返し実行するものであり、
    前記エンジン回転数制御装置は、
    或るPWM補正制御の前に前記実回転数検出部によって検出された実エンジン回転数と、当該PWM補正制御の後に前記実回転数検出部によって検出された実エンジン回転数とを用いて、実エンジン回転数変化量を算出する実回転数変化量算出部と、
    前記目標回転数変化量算出部によって算出された前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数変化量算出部によって算出された前記実エンジン回転数変化量を用いて、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数と次回以降のPWM補正制御のための前記PWM制御パラメータとの関係を変更する変更部とをさらに備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のエンジン回転数制御装置。
  9. 前記変更部は、前記実回転数変化量算出部によって算出された前記実エンジン回転数変化量の絶対値が実質的に零の場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値の関係を変更するものであることを特徴とする請求項記載のエンジン回転数制御装置。
  10. 前記変更部は、前記実回転数変化量算出部によって算出された前記実エンジン回転数変化量の絶対値が、実質的に零ではないが、前記目標回転数変化量算出部によって算出された前記目標エンジン回転数変化量の絶対値との差が所定のしきい値を超える場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値維持時間または前記PWMデューティ補正回数の関係を変更するものであることを特徴とする請求項または記載のエンジン回転数制御装置。
  11. エンジンと、
    請求項1ないし10のいずれかに記載のエンジン回転数制御装置とを備えたことを特徴とするエンジンシステム。
  12. 請求項11記載のエンジンシステムと、
    前記エンジンが発生する駆動力によって回転駆動される走行車輪とを含むことを特徴とする車両。
  13. 請求項11記載のエンジンシステムと、
    前記エンジンを駆動源として作動する発電ユニットとを含むことを特徴とするエンジン発電機。
  14. PWM信号によって駆動される駆動部によりスロットルバルブを駆動してエンジンの回転数を制御するエンジン回転数制御方法であって、
    実際のエンジン回転数を検出する実回転数検出ステップと、
    目標エンジン回転数を設定する目標回転数設定ステップと、
    前記検出された実エンジン回転数と、前記設定された前記目標エンジン回転数とを用いて、目標エンジン回転数変化量を算出する目標回転数変化量算出ステップと、
    前記PWM信号のデューティ比を補正するためのPWMデューティ補正値、このPWMデューティ補正値を継続して適用すべきPWMデューティ補正値維持時間、および前記PWMデューティ補正値を適用すべきPWMデューティ補正回数を含むPWM制御パラメータを、前記算出された前記目標エンジン回転数変化量および前記実回転数検出ステップにおいて検出される実エンジン回転数に応じて算出するPWM制御パラメータ算出ステップと、
    前記算出されたPWM制御パラメータに基づいてPWM信号を生成して前記駆動部に送出するPWM信号送出ステップと、
    を含み、
    前記PWM信号送出ステップは、目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が所定のエンジン回転数偏差許容値未満かどうかを判定し、PWM信号のデューティ比の補正を前記PWMデューティ補正回数だけ行ったか、または目標エンジン回転数に対する実エンジン回転数の偏差が前記エンジン回転数偏差許容値未満になったかのいずれかの条件が満たされるまで、PWM信号のデューティ比の補正を繰り返し行うステップを含
    ことを特徴とするエンジン回転数制御方法。
  15. 前記PWM制御パラメータの初期値を、前記スロットルバルブの変位を妨げる静止摩擦力を上回る必要最低限度の駆動力が前記駆動部から前記スロットルバルブに与えられるように設定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14記載のエンジン回転数制御方法。
  16. 前記算出されたPWM制御パラメータに基づいて第1制御信号を生成するステップと、
    前記スロットルバルブの開度である実スロットル開度をスロットル開度検出部によって検出するスロットル開度検出ステップと、
    前記目標エンジン回転数変化量と前記検出された実スロットル開度を用いて目標スロットル開度を算出する目標スロットル開度算出ステップと、
    前記実スロットル開度を前記目標スロットル開度に近づけるべく前記駆動部をPWM制御するための第2制御信号を算出するステップとをさらに含み、
    前記PWM信号送出ステップは、前記第1制御信号および前記第2制御信号のうちの一方を選択する制御信号選択ステップと、
    選択された制御信号に基づいてPWM信号を生成し、前記駆動部に送出するステップとを含むことを特徴とする請求項14または15記載のエンジン回転数制御方法。
  17. 前記制御信号選択ステップは、
    前記目標エンジン回転数変化量に対応する目標スロットル開度変化量が前記スロットル開度検出部の入力分解能に基づいて予め定めた選択判定値以下の場合に、前記第1制御信号を選択するステップと、
    前記目標スロットル開度変化量が前記選択判定値より大きい場合に、前記第2制御信号を選択するステップとを含むことを特徴とする請求項16記載のエンジン回転数制御方法。
  18. 前記PWM制御パラメータに対応したPWM信号を前記駆動部に送出するPWM補正制御の前と、その後とにおける実エンジン回転数の検出結果を用いて、実エンジン回転数変化量を算出する実回転数変化量算出ステップと、
    前記目標エンジン回転数変化量および前記実エンジン回転数変化量を用いて、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数と次回以降のPWM補正制御のための前記PWM制御パラメータとの関係を変更する変更ステップとをさらに含むことを特徴とする請求項14ないし17のいずれかに記載のエンジン回転数制御方法。
  19. 前記変更ステップは、前記実エンジン回転数変化量の絶対値が実質的に零の場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値の関係を変更するステップを含むことを特徴とする請求項18記載のエンジン回転数制御方法。
  20. 前記変更ステップは、前記実エンジン回転数変化量の絶対値が、実質的に零ではないが、前記目標エンジン回転数変化量の絶対値との差が所定のしきい値を超える場合に、前記目標エンジン回転数変化量および実エンジン回転数に対する前記PWMデューティ補正値維持時間または前記PWMデューティ補正回数の関係を変更するステップを含むことを特徴とする請求項18または19記載のエンジン回転数制御方法。
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