JPH09158374A - カーテンウォールの調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建物に対してカーテンウォールの位置を微調
整可能とすることを目的とする。 【解決手段】 長さ方向にそった片側全長に一対の挟持
片６、７を設けて嵌合溝８を形成したゴムのような弾性
材からなる長尺体５を方形状枠体１３とし、枠体１３の
四辺内側に位置する嵌合溝８間にガラス１４を密に嵌め
込むようにしたガスケット２と、金属製支持部材３とを
一体的に連結したカーテンウォール１において、支持部
材３と建物側支持桁材４とを位置調整機構により固定可
能としてある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建物に設置したカ
ーテンウォールの調整装置に関し、特に、窓用カーテン
ウォールのガラス面を微調整可能な装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】建物がその形態を保持するために主体構
造となる骨組みを有している場合、壁体は、単に空間を
仕切るという意味でカーテンウォールと称されている。
このようなカーテンウォールは、規格が統一されてお
り、工場で大量生産され、建物の柱や梁等の骨組み（支
持桁材）を利用して建物の外壁面として取り付けられる
が、方形枠状に形成されたカーテンウォールにはガラス
を嵌め込んで窓を構成している。

【０００３】従来の窓用カーテンウォールは、金属板や
プレキャストコンクリート板等で方形体に形成されてい
る。図７は、従来の金属製カーテンウォールの一例を示
すものであり、方形状枠体ａに形成されるている。この
方形枠体ａ内にガラスｂを密に嵌め込むようになってい
る。即ち、枠体ａの内面両側にパックアップ材ｃを設置
し、ガラスｂの端部をバックアップ材ｃ間に嵌め込み、
ガラスｂを固定するようになっている。

【０００４】ガラスｂは垂直状態であってガラス面に歪
みのないことが要求される。特に、鏡面ガラスの場合に
は外景の映像を綺麗に写すことが要求されている。この
ためカーテンウォールを建物に設置した後にガラスの位
置を調節することが行われているが、従来、ガラスｂの
垂直面を調整するためにガラスｂの内側（室内側）にお
いて枠体ａに押縁ｄを設け、この押縁ｄをバックアップ
材ｃに押し当てることによりガラスｂを屋内外方向、即
ち、ガラスｂの平面に対する直交する方向にガラスｂを
わずかに移動させ、ガラスｂの位置調整を行っていた。
尚、図示において符号ｅはシーリング材である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】押縁ｄによって片側の
バックアップ材ｃをガラスｂ面に押し当てることによ
り、その押圧加減でガラスｂの位置を微調整し、ガラス
面を垂直な状態にし、鏡面ガラスの場合には映像調整を
可能としていたが、パックアップ材ｃは弾性を有してい
るため、内側のバックアップ材ｃをガラス面に押し当て
た時、外側のバックアップ材ｃにも力が加わるので経時
的変化により内側のパックアップ材ｃが膨出して外側の
バックアップ材ｃも押しつぶされた状態となり、ガラス
面の位置に変化を生ずるものであった。

【０００６】近年は金属製やコンクリート製等のカーテ
ンウォールに代わるものとしてゴム製のガスケットを主
体としたカーテンウォールが提供されている。図８は、
従来のカーテンウォールに使用するガスケットの一例を
示すものであり、ゴムのような弾性材からなる長尺体ｆ
の長さ方向両側に一対の挟持片ｇ、ｈを設けて嵌合溝ｉ
を形成し、長尺体ｆの挟持片ｇ側の中央には長さ方向全
長にジッパーｊを着脱可能としたものであり、このよう
な形状のガスケットは、縦横所定の寸法大きさを有する
方形枠体に組み立てられ、枠体の四辺内側に嵌合溝ｉが
位置するようになる。尚、ジッパーｊは必ずしも必要と
するものではない。

【０００７】ガスケットは、ジッパーｊを有する面が建
物の屋外側に位置し、屋内側では、例えば、Ｈ型鋼から
なる支持部材ｋによりガスケットの大きさに対応する形
状の方形枠体を形成し、支持部材ｋの片側のリブｌを長
尺体ｆに一体的に連結するようになっている。

【０００８】長尺体ｆで形成される枠体の嵌合溝ｉ内に
はガラスｍの端部が密に嵌め込まれ、支持部材ｋを建物
の図示しない支持桁材に固定することによってカーテン
ウォールを構築している。しかし、ガスケットは、支持
部材ｋを使用して支持桁材に固定されるため、ガスケッ
トの位置調整機能を有しておらず、従って、ガラスｍ面
の微調整をすることができないものであった。しかも、
このガスケッｆは、長尺体ｆの両側にガラスｍの嵌合溝
ｉを有している構造であるので、それ自体で単体の方形
状枠体を形成することはできないものであった。

【０００９】本発明は、上記するゴム製ガスケットを使
用したカーテンウォールにおいて、建物の支持桁材に対
してガスケットの位置を建物の屋内外方向に対して変更
可能とし、ガラス面の微調整を可能としたカーテンウォ
ールの調整装置を提供することを目的とするものであ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明ガスケットは、長さ方向にそった片側全長に
一対の挟持片６、７を設けて嵌合溝８を形成したゴムの
ような弾性材からなる長尺体５を方形状枠体１３とし、
四辺内側に位置する嵌合溝８にガラス１４を密に嵌め込
み可能としたガスケット２と、金属製支持部材３とを一
体的に連結してなるカーテンウォールにおいて、支持部
材３と建物側支持桁材４とを位置調整機構により固定可
能としてある。

【００１１】位置調整機構は、支持桁材４に設けた挿通
孔を貫通するボルト２０に偏心状態で円板状のカム板２
１を固定し、支持部材３の側面にはカム板２１の直径と
同じ横巾内径を有する縦長な調整孔２２を形成し、カム
板２１の外周面は調整孔２２の内側面に接するようにな
っている。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面に従って、本発明の実
施の形態について説明する。図１、図２は本発明カーテ
ンウォールを平面から見た断面状態の要部を示すもので
あり、このカーテンウォール１は、ゴム製のガスケット
２と金属製の支持部材３によって構成されており、両者
を一体的に連結した状態で支持部材３を建物側の柱や梁
等の支持桁材４に固定し、支持桁材４に対して建物の屋
内外方向に向けての支持部材３の相対位置を変えること
ができるようになっている。

【００１３】図面に示すガスケット２は、単体の方形状
枠体を形成し、枠体内にガラスを密に嵌め込んで固定可
能な形状の一例を示すものであり、図３に詳細を示す示
すように、ゴムのような弾性材からなる長尺体５の長さ
方向にそった上部の片側全長に一対の挟持片６、７を設
けてその間に嵌合溝８を形成するとともに挟持片６、７
とは反対側において長さ方向にそった全長に、外側方向
へやや湾曲して下向きに傾斜状態である閉塞板９を突設
する。そして、長尺体５の長さ方向にそった下面全長に
は掛止部１０を形成し、掛止部１０の長さ方向両側対称
位置には、上向き傾斜状の掛止段部１１を上下に複数形
成してある。尚、符号１２は公知のジッパーである。

【００１４】このような形状を有するガスケット２は、
縦横に所定の寸法を有する大きさの単体の方形状枠体に
形成され、図１に示すように、枠体１３の内側四辺に挟
持片６、７によって形成される嵌合溝８が位置し、枠体
１３の外側四辺に閉塞片９が位置し、枠体１３の嵌合溝
８内にはガラス１４が密な状態で嵌め込み、固定され
る。

【００１５】支持部材３は、図４に示すように、金属製
の長尺体であり、一対の掛止板１５からなり、前記ガス
ケット２の掛止部１０を嵌め込み可能なＵ字形状とした
掛止部１６の下面ほぼ中央部に連結板１７を垂直状態で
突設した形状を基本構造としており、一対の掛止板１５
の対向面には、下向き傾斜状の掛止段部１８を上下に複
数形成してある。このような形状を有する支持部材３
は、図１に示すように、前記のガスケット２の枠体１３
に対応した大きさを有する単体の方形状枠体１９に形成
される。

【００１６】図１および図２に詳細を示すように、方形
枠体１３に形成されたガスケット２の掛止部１０を同じ
く方形枠体１９に形成した支持部材３の掛止部１６内に
嵌め込めば、掛止部１０、１６相互の掛止段部１１、１
８が上下に噛み合って掛止部１０は抜け出ることがな
く、ガスケット２と支持部材３とは一体的に連結され、
全体として方形状のカーテンウォール１を形成する。

【００１７】このようにしてガスケット２と支持部材３
により形成されたカーテンウォール１は、ガスケット２
のジッパー１２が建物の外側を向くようにして支持部材
３の連結板１７を建物の柱や梁等の支持桁材４に位置調
整機構を介して連結し、支持部材３と支持桁材４との相
対位置関係を微調整可能としてある。

【００１８】位置調整機構は、ボルト２０に固定した偏
心カム板２１を左右いずれかに回転させることにより、
カム板２１の外周面に接する支持部材３を建物の屋内外
方向に移動可能としたことを基本構造としている。即
ち、図２および図５に示すように、支持桁材４に形成し
たボルト挿通孔（図示せず）を通して支持桁材４側から
支持部材３方向へ挿通したボルト２０には円板状のカム
板２１を偏心位置で固定するとともに支持部材３の側面
には、カム板２１に対応する位置でカム板２１の直径と
同じ横巾内径を有する縦長な調整孔２２を形成してあ
る。カム板２１は支持部材３に形成した縦長な調整孔２
２内に位置しており、カム板２１の外周面は調整孔２２
の内側面に接するようになっている。

【００１９】ボルト２０は支持桁材４の挿通孔に貫通し
て左右に移動することはなく、この状態でボルト２０を
左右いずれかに回転させればカム板２１はボルト２０を
中心にして回転するので、調整孔２２の内側面がカム板
２１の外周面に接していることにより支持部材３は建物
の屋内外方向、即ち、図５において左右方向に移動する
ことになる。従って、同時にガスケット２も移動し、ガ
ラス１８は、ガラス１８の垂直面に対して直交する方向
へ１〜５ｍｍ程度の範囲内で位置の微調整ができる。ガ
ラス１８の位置調整が終了した後にボルト２０にナット
２３を締め付け、支持部材３と支持桁材４とを固定すれ
ばよい。尚、位置調整機構は、主な位置に適当数設置
し、位置調整して仮止めした状態で他の箇所でボルト、
ナット等を使用して支持部材３と支持桁材４とを固定す
るようにしてもよい。

【００２０】ガスケット２と支持部材３とは工場におい
て組み立て、ガスケット２内にガラス１８を嵌め込んで
出荷し、建築現場において建物に設置することが作業能
率上望ましい。ただし、工場においてガスケット２と支
持部材３とを組み立てて出荷し、カーテンウォール１を
建物に設置し、仮止めした状態でガラス１８を枠体１３
内に組み込み、位置調整して支持部材３と支持桁材４と
を固定するようにしてもよい。また、ジッパー１２は挟
持片６の圧接力を補強するものであるから、挟持片６、
７の大きさやガスケット２の材質強度等によってはジッ
パー１２を省略することができる。

【００２１】単体のカーテンウォール１を複数台、縦横
連続状態で建物の外壁用空間に設置すれば、隣接するカ
ーテンウォール１のガスケット２から外部に突出する閉
塞板９相互の表面が、両側から押し付けられた状態で接
するので、隣接するカーテンウォール１間は密に閉じら
れ、風雨が屋内に侵入することを防止できる（図１、図
２参照）。

【００２２】また、図２および図４に示すように、枠体
１３の外側に面して上下に一対の挟持片２４を設け、こ
の挟持片２４内に基部を嵌め込んだ円筒状の弾性部材２
５を突設しておけば、隣接するカーテンウォール１の弾
性部材２５相互が押しつぶされた状態で密に接するので
カーテンウォール１間を閉じ、風雨の侵入が防止でき
る。更に、挟持片２４側において掛止板１５上に支持板
２６を垂直状態で突設しておき、この支持板２６を閉塞
板９の下方においてガスケット２の外側面に接するよう
にしておけば、ガスケット２は支持板２６の四辺内に嵌
め込まれ、ガスケット２を外周面から補強することにな
る。

【００２３】図６は他の実施形態によるカーテンウォー
ルを示すものであり、前記の実施形態と同じ名称部分は
同じ符号を使用している。この実施形態によるガスケッ
ト２は、弾性長尺体５の長さ方向両側全長に一対の挟持
片６、７を対称に突設し、片側の挟持片６、７間をガラ
ス１４の嵌合溝８とし、他方の挟持片６、７間を密閉部
材の取付溝２７としてある。そして、片側の挟持片６の
肩部には長さ方向にそった全長に、やや湾曲して下向き
に傾斜状態である閉塞板９を外方向に向けて突設すると
ともに下面全長には両側に掛止段部を有する連結部２８
が設けてある。

【００２４】このような形状を有するガスケット２は、
縦横に所定の寸法を有する大きさの単体の方形状枠体１
３に形成され、枠体１３の四辺内側に嵌合溝８が位置
し、枠体１３の四辺外側には取付溝２７が位置するとと
もに閉塞板９は枠体１３の外側に突出した状態となる。

【００２５】ガスケット２は、前記と同様、ジッパー１
２を建物の屋外に向けた状態で金属製の支持部材３に連
結され、この支持部材３は建物の支持桁材４に前記と同
じ構造の位置調整機構によって連結され、ガラス１４面
の微調整ができるようになっている。

【００２６】尚、枠体１３の外側に面する取付溝２７に
は、ゴム製の硬質部２８ａと軟質部２８ｂとを断面Ｔ字
状に接合した長尺な密閉部材２８が取り付けられる。こ
の場合、硬質部２８ａを取付溝２７内に密に嵌め込み、
軟質部２８ｂを閉塞板９の下面で外部に突出させる。従
って、建物の壁構築空間内に多数のカーテンォール１を
設置した時、隣接するカーテンウォール１間は圧接した
軟質部２８ｂと閉塞板９とで密に閉じられることにな
る。

【００２７】上記各実施形態に示すようにカーテンウォ
ール１を構築するガスケット２や支持部材３等は、それ
ぞれ単体で方形状の枠体を形成し、ガスケット２の枠体
１３内にはガラス１４を密に嵌め込み、支持部材３を建
物の支持桁材４に連結して固定可能であればその構造を
問うものではなく、支持桁材４に対してカーテンウォー
ル１を建物の屋内外方向に対して位置調整可能であれば
よい。

【００２８】

【発明の効果】以上、説明した本発明によれば、ガラス
１４を嵌め込んで支持可能な方形枠体１３からなるガス
ケット２を金属製の支持部材３で支持してカーテンウォ
ール１を構築し、支持部材３は支持桁材４に対して屋内
外方向への相対位置を変更可能としたので、ガラス１４
の偏向状態の微調整が可能であり、ガラス１４を垂直状
態で保持することができる。ガラス１４が鏡面である場
合、ガラス面を微調整することによりガラス１４面に写
る外景の映像を歪みのない鮮明なものとすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明カーテンウォールと支持桁材との設置状
態を平面から見た要部の断面図である。

【図２】本発明カーテンウォールと支持桁材との連結状
態の要部の拡大断面図である。

【図３】本発明カーテンウォールに使用するガスケット
の斜視図である。

【図４】本発明カーテンウォールに使用する支持部材の
斜視図である。

【図５】支持桁材に取り付けたボルトと支持部材との偏
心機構を示す側面図である。

【図６】他の実施形態によるカーテンウォールと支持桁
材との連結状態を示す要部の拡大断面図である。

【図７】従来のカーテンウォールにガラスを連結した状
態の要部の断面図である。

【図８】従来のガスケット製カーテンウォールを示す要
部の断面図である。

【符号の説明】

１ カーテンウォール ２ ガスケット ３ 支持部材 ４ 支持桁材 ５ 長尺体 ６ 挟持片 ７ 挟持片 ８ 嵌合溝 ９ 閉塞板 １０ 掛止部 １１ 掛止段部 １２ ジッパー １３ 方形状枠体 １４ ガラス １５ 掛止板 １６ 掛止部 １７ 連結板 １８ 掛止段部 １９ 方形状枠体 ２０ ボルト ２１ カム板 ２２ 調整孔 ２３ ナット ２４ 挟持片 ２５ 弾性部材 ２６ 支持板 ２７ 取付溝 ２８ 密閉部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺崎 浩一 広島県広島市西区三篠町２丁目２番８号 西川ゴム工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長さ方向にそった片側全長に一対の挟持
   片６、７を設けて嵌合溝８を形成したゴムのような弾性
   材からなる長尺体５を方形状枠体１３とし、四辺内側に
   位置する嵌合溝８にガラス１４を密に嵌め込み可能とし
   たガスケット２と、金属製支持部材３とを一体的に連結
   してなるカーテンウォールにおいて、支持部材３と建物
   側支持桁材４とを位置調整機構により固定可能として成
   ることを特徴とするカーテンウォールの調整装置。
2. 【請求項２】 位置調整機構は、支持桁材４に設けた挿
   通孔を貫通するボルト２０に偏心状態で円板状のカム板
   ２１を固定し、支持部材３の側面にはカム板２１の直径
   と同じ横巾内径を有する縦長な調整孔２２を形成し、カ
   ム板２１の外周面は調整孔２２の内側面に接するように
   して成ることを特徴とする請求項１に記載するカーテン
   ウォールの調整装置。