JPH09157611A - インクジェット用圧着紙 - Google Patents

インクジェット用圧着紙

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JPH09157611A
JPH09157611A JP7315632A JP31563295A JPH09157611A JP H09157611 A JPH09157611 A JP H09157611A JP 7315632 A JP7315632 A JP 7315632A JP 31563295 A JP31563295 A JP 31563295A JP H09157611 A JPH09157611 A JP H09157611A
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JP
Japan
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polyvalent metal
salt
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pressure
metal salt
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JP7315632A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Noda
義樹 野田
Takashi Taniguchi
隆 谷口
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KISHU PAPER
KISHU SEISHI KK
Original Assignee
KISHU PAPER
KISHU SEISHI KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェットプリンタで親展面に印字して
も優れたインク発色性を示し、耐水性が良好で水に濡れ
ても印字の滲み、脱落、汚染等の事故が起こらず、親展
面を圧着した後に剥離しても親展面の印字が対向面に転
移することのないインクジェット用圧着紙を提供する。 【解決手段】 天然ゴム系ラテックスと微細無定型シリ
カ又は/及びその他の微細鉱物粉からなる感圧接着用塗
料組成物に高pH域で電荷が零乃至負である変性ポリエ
チレンイミンを混合し、これに重合燐酸塩と多価金属塩
類をモル比で1:1.5〜4.0の比率で無機塩の総量
が天然ゴム系ラテックス100重量部当たり、20〜1
20重量部を加えた一液型塗料で、インクジェット適正
と圧着紙としての適正を兼ね備えた塗工層を紙の上に形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧着した親展面同
士を必要時に剥離でき、剥離することによってインクジ
ェットプリンタを用いて親展面に印字されている個人向
け情報を確認できるという圧着はがき等に用いられるイ
ンクジェット用圧着紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、郵便法の改正に伴い、封書よりも
郵便料金が安く、封書と同様に通信の気密保持が可能な
親展性を有するはがきが開発されてきている。中でも、
用紙の親展面に塗披された剥離性を持つ感圧接着剤の層
に各種情報を印字した後、用紙を二つ折り又は三つ折り
に折り畳み、50〜100kg/cm2 の強圧をかけて
親展面同士を前記感圧接着剤を介して圧着することによ
りはがきの形態を構成した所謂「圧着はがき」が、大量
の通知書類の発送を必要とする業界で封書からの切り換
えとして急速に進んでいる。
【0003】従来より圧着はがきへの各種情報の印字方
式としては、主としてレーザービーム方式が使用されて
きた。ところが、レーザービーム方式では、トナー定着
のために圧着はがきを加熱する必要があり、その加熱に
よって不快臭が発生したり感圧接着剤の老化が進むとい
う問題があった。また、レーザービーム方式を採用した
プリンタの大部分は連続式であるにもかかわらず、圧着
はがきの原紙が巻き取り状ではなくて1セットを基準と
する折り畳み式であること、その原紙の接着面どうしが
接触した状態からこれを展開して給紙し圧着する必要が
あること、などにより、接着面の接触箇所が大きな力で
接着しているような場合には加工や取扱いの不備によっ
てブロッキングが発生しやすかった。
【0004】そこで、最近、レーザービーム方式に代わ
る印字方式として水溶性インク(「水溶性インク」と称
することもある)を用いる高速インクジェット方式が注
目されている。この高速インクジェット方式は、印刷と
同様に巻取紙に直列ノズル連続インクジェット方式で直
接印字を行い、そのインク部を高周波乾燥装置で局所的
に発熱させて乾燥するという方式である。かかる高速イ
ンクジェット方式によれば、ランニングコストが安く、
最大300m/minにも達する高速印字によって大量
の情報処理が可能となる。高速インクジェット方式に使
用される水溶性インク、例えばサイテックス社#100
7等の水溶性インクは、染料が5〜6重量%であってそ
の他の大部分は水分であるので、誘電率が高く発熱に対
する効率が良いという性質を有している。
【0005】他方、インクジェット用圧着紙には、圧着
紙に当然に要求される機能に加えて、水溶性インクを使
用対象とする一般的なインクジェット用紙と同じく、印
字品質、インクの耐水性及び耐候性、インクの乾燥性、
インクの裏抜け防止性能等が要求される。これらの品質
の中では、圧着はがき郵送中の雨濡れ等による事故防止
の点から、インクの耐水性に関してより高度の特性が要
求される。
【0006】この場合の耐水性については、直接染料又
は酸性染料を着色剤とした水溶性インクについての耐水
性が対象となる。この種の水溶性インクは、染料分子中
のスルホン基及び/又はカルボキシル基の塩によって染
料の水溶化がなされており、水溶性を与えている部分は
強い負の電荷を帯びている。ここで、水溶性インクにつ
いての従来の耐水化技術の主なものは、インクジェット
受容層をカチオン性を呈するポリマーで処理することに
よって電荷的に染料分子を捕捉し、水の蒸発に伴って近
接した両者間にファンデルファールス力を働かせて染料
分子をインクジェット受容層に固定するというものであ
る。インクジェット受容層の処理に用いられるポリマー
として、具体的には、例えば4級化ポリビニルピリジ
ン、ポリエチレンイミン、4級化ポリエチレンイミン、
ポリアリルスルフォン、ジシアンジアミド縮合物、ポリ
エチレンポリアミン系ポリマー、ポリアリルアミン、ポ
リジアリルアミン等、多くのカチオン性ポリマーの応用
が紹介されている。
【0007】また、特開昭55−53591号公報に
は、多価金属塩類で染料を不溶化して耐水化する方法が
開示されている。特開昭60−49990号公報にも、
イミン基を有するカチオン性ポリマーと多価金属塩類と
を併用する耐水化法というような染料を不溶化する為に
多価金属を利用する方法が開示されている。さらに、特
開平5−124329号公報や特開平7−149038
号公報には、カチオン性ポリマー層上にアニオン性塗工
層を形成して2層構造の塗披層とし、その塗披層によっ
てインクの耐水性を改善したインクジェット用紙が開示
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】圧着紙に利用されるイ
ンクジェット方式は、フォーム印刷及びレーザービーム
印字機能を代替するものが主体である。現在、サイテッ
クス社のインクジェット方式が最も有力であるが、これ
に使用されるインクは従来のインクに比べると耐水化が
極めて困難である。この点に関して、サイテックス社の
インクジェット用インクの内、具体的に黒インク#10
07を対象として説明する。
【0009】サイテックス社#1007のインクは固形
分のほとんどが染料であり、その染料には3個のスルホ
ン基を有するテトラキスアゾ系直接染料が使われてい
る。このインク中の染料の電荷は、粒子表面電荷検出器
PCD−2(ミューテック社製)の測定では−150〜
−160mVであり、カチオン化剤を添加しても電荷の
変動が起こらず、安定している。このため、大量のカチ
オン性ポリマーの添加によって凝集が起こったとしても
基材への定着は困難である。
【0010】また、圧着紙の親展面同士を接着する接着
剤組成物はアニオン分散系であり、カチオン性ポリマー
や多価金属塩類とは反応して凝集が起こるため、同時に
混合ができない。さらに、サイテックス社のインクジェ
ット用インクの耐水化には大量の耐水化剤が必要であ
り、耐水化剤の脱落が起こりやすい。従って、カチオン
性ポリマー等の耐水化剤を下塗りし、その上に接着剤組
成物の上塗り層を設ける2層構造にしようとしても、実
際の塗工では上塗り層の塗工中に下塗り層の耐水化剤の
脱落が起こる。これが戻り液に混じって接着剤組成物中
に戻されるため、増粘、凝集が起こり、短時間で塗工作
業は不可能となり、計量した接着剤組成物を上塗り層と
して流し出すダイコーターのような形式でない限り、製
品化はできない。
【0011】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、塗工された単層の接着剤組成物が剥
離可能な接着性とインクジェット適性を同時に満足し、
特にインクジェットで印字した部分が水濡れ状態や浸水
状態になっても印字の脱落や滲み、汚れ等が生じること
のない高品質のインクジェット用圧着紙を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、親展面を有す
る用紙の親展面同士がその親展面に塗披された接着剤組
成物を介して剥離可能に圧着される圧着紙において、前
記親展面に塗披する接着剤組成物が、コールドシール剤
および微細鉱物粉末に加えて、高pH域で電荷が零乃至
負となるカチオン性ポリマーと重合燐酸塩及び多価金属
塩類からなるインクジェット用圧着紙に関するものであ
る。
【0013】前記接着剤組成物中の高pH域で電荷が零
乃至負となるカチオン性ポリマーの配合量は、コールド
シール剤100重量部に対し、20〜40重量部である
ことが望ましく、高pH域で電荷が零乃至負となるカチ
オン性ポリマーとしては、N−ヒドロキシアルキルポリ
エチレンイミンを挙げることができる。また、前記接着
剤組成物中の重合燐酸塩は、無水塩に換算して、コール
ドシール剤100重量部に対し12〜30重量部を、多
価金属塩類よりも先に配合することが望ましい。さら
に、前記多価金属塩類がカルシウム塩及びマグネシウム
塩であって、その多価金属塩類の配合量がモル比で重合
燐酸塩の1.5〜4.0倍であることが望ましい。
【0014】接着剤組成物中のコールドシール剤は、天
然ゴム系ラテックスにメタアクリル酸メチル等の重合物
を基剤としたものが、自着性、基材及び充填剤に対する
接着力等の点で優れている。このコールドシール剤は、
アンモニアで安定化したアニオン性エマルジョンである
ため、カチオン性や酸性の物質、多価金属塩類を加える
と不可逆的に反応して凝集する。
【0015】微細鉱物粉末としては、3μm以下の超微
細粉無定型シリカが望ましい。このような微細鉱物粒子
は圧着時の強い圧力によっても二次粒子が圧潰せず、圧
着面を剥離した際に脱落した粉末が対抗面に転移する頻
度が低下して、印字の転写防止が推進される。他の微細
鉱物粉末も水溶性インクの吸収性が良く、印刷インクの
受理性の高い顔料であれば使用できる。例えば、ケイ酸
カルシウム、ゼオライト、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン、カオリン等印刷適性を考慮して選択する。
【0016】カチオン性ポリマー(水溶性ポリマー)と
しては、ポリエチレンイミンの誘導体を使用することが
できる。ポリエチレンイミン自体は1,2,3級アミン
からなり、高pH域たとえばpH10以上では微弱であ
るがカチオン性を示し、コールドシール剤と混用できな
い。しかしながら、1,2級アミン部分をヒドロキシル
アルキル化したN−ヒドロキシアルキルポリエチレンイ
ミンは、ポリマー粒子が負に帯電し、コールドシール剤
に混用できるものである。これらの樹脂はイミン基のカ
チオン部分で金属置換して不溶化したインク中の染料を
保持し、乾燥によってファンデルワールス力でインク中
の染料を固定化する。
【0017】例えば、N−ヒドロキシプロピルポリエチ
レンイミン(エポミンPP061日本触媒社製)は下記
の構造である。
【0018】
【化1】
【0019】この構造式で示されるN−ヒドロキシプロ
ピルポリエチレンイミンは、メーカー側の説明書でもカ
チオン性の表示であるが、粒子表面電荷検出器PCD−
2(ミューテック社製)による測定では、50%液で−
320mVとなり、コールドシール剤と相溶性があっ
た。
【0020】ところがサイテックス社#1007のイン
クを使用したインクジェットプリンターで印字した場
合、ポリエチレンイミン誘導体を添加しただけでは、耐
水性を改善することができなかった。
【0021】そこで、鋭意研究の結果、サイテックス社
#1007のインク中の染料を耐水化するには、多価金
属塩類を併用することによって染料の塩置換をなし、不
溶化することが不可欠であり、さらに、多価金属塩類の
使用によるコールドシール剤の凝集を防止する為に、多
価金属塩類より先に重合燐酸塩を添加すれば良いことが
判明した。また、ポリエチレンイミン誘導体を併用せず
に、多価金属塩類を加えただけでは塗料が凝集し、耐水
化も完成しないことが判明した。
【0022】多価金属塩類については何れも効果がある
が、2価金属塩がより好ましい。特にカルシウム及びマ
グネシウム塩は染料の塩置換をした化合物の性質に大き
な変化がなく最適である。使用する塩は溶解度の高い方
がよく、塩酸塩、硫酸塩等、15g/100ml〜20
0g/100mlのものを使用する。しかし、溶解度の
高い塩は吸湿性が高く、紙の平衡水分値を高くする傾向
が強いので選択に当たっては注意が必要である。多価金
属塩類は2種以上でも併用できるが、硫酸マグネシウム
と塩化カルシウムのように互いに反応して不溶性の塩を
生成する組み合わせは不適当である。
【0023】配合する2価金属塩の量は、重合燐酸塩1
モルを基準として1.5〜4.0モルである。1.5モ
ルより少ないと染料の耐水化が不十分になり、4.0モ
ルより多いと粘度が高くなりすぎる。特に望ましい範囲
は1.5〜2.5モルであり、2.5モルより多いとイ
ンクのドットの染み込みが少なくなって印字濃度が低下
し、且つ塩によって増粘するからである。2価金属塩と
カチオン性ポリマーが併用され商品化されているものと
して塩化亜鉛があるが、このものは凝固作用が強く、イ
ンクが塗層に染み込むのを防ぐために不溶化した染料と
基剤との接着力が不足し、印字部が不溶化したまま脱落
する傾向が強いので適当とはいえない。
【0024】ポリエチレンイミン誘導体を添加した接着
剤組成物でも、多価金属塩類に対しては敏感であるの
で、増粘する以前に局所的にショックを起こして凝集塊
を作りやすい。多価金属塩類の中で硫酸マグネシウムは
分散系の流動性に与える影響は最も小さいが、30%濃
度の接着剤組成物1kgに対して5gの硫酸マグネシウ
ムを添加すると、耐水性は良好であるが増粘が激しく、
しかも構造粘性の時間依存性の強い流動性となり、塗工
が難しくなる。
【0025】この問題は、重合燐酸塩を多価金属塩類よ
り先に配合することで解決される。このようにすると、
その後に加えられる多価金属塩類が重合燐酸塩に対して
優先的に反応し、コールドシール剤の破壊を防止する。
この間に生じた重合燐酸塩と多価金属塩類の反応生成物
も金属イオンの攻撃に対して緩衝剤として働き、流動性
を損なわずに大量の多価金属塩類を塗料中に受け入れ、
染料に対する充分な反応性を与えることができる。例え
ば、テトラポリ燐酸ソーダ、ポリメタ燐酸ソーダ(カリ
ウム)、ピロ燐酸ソーダ(カリウム)、ヘキサメタ燐酸
ソーダ(カリウム)等である。特にトリポリ燐酸塩、ピ
ロ燐酸塩の効果が大きい。重合燐酸塩はキレート作用を
持っているが、この効果に拘らず、理論的な能力を越え
ても塗料の増粘は僅かで、多量の多価金属塩類を添加す
ることが可能となり、理論量の10倍近くまで充分な流
動性を保つことができる。
【0026】重合燐酸塩の使用量は、無水塩に換算し
て、コールドシール剤100重量部当たり12〜30重
量部が好ましい。上限を越えると無機塩添加量の増加に
よる塗料中の結晶の増加と圧力接着力の低下が起こる。
【0027】接着剤組成物には必要に応じて顔料の分散
剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、消臭剤、防腐剤
等を使用する。
【0028】本発明のイクンジェット用圧着紙は、三つ
折りはがきや二つ折りはがき等のように折り畳んで圧着
するタイプのはがき、あるいはカード等に適用できる。
このうち、三つ折り又は二つ折りはがきでは、親展面上
の少なくとも一部に接着剤組成物の塗被膜を設けて、こ
の塗被膜の表面に個人向けの各種情報をインクジェット
プリンタで印字後、三つ折り又は二つ折り状に折り畳
み、圧着することにより構成する。
【0029】
【発明の実施の形態】染料の耐水化剤を下塗りし、この
上に接着剤組成物を塗工すると、計量時に生じる余剰液
ヘカチオン性ポリマーや多価金属塩類等が溶出し、アニ
オン性である接着剤組成物に混入して増粘、凝集等が起
こる。従って、接着剤組成物に高pH域で電荷が零乃至
負に変性したポリエチレンイミン誘導体と無機塩類を混
合して、一液でインクジェット適性と接着性を保証でき
る接着剤組成物とした。
【0030】接着剤組成物中のコールドシール剤と相溶
性が良く、分散系を安定させる機能があるポリエチレン
イミンの誘導体を使用する。但し、この樹脂単体ではイ
ミンから構成されているにも拘らず、サイテックス社の
#1007インクについては染料の耐水化作用を発揮し
ない為、カチオン性物質又は/及び多価金属塩類を併用
する。あくまでも耐水化作用はポリエチレンイミン誘導
体と多価金属塩類との共同作用によるものである。
【0031】前記接着剤組成物の塗工層にインクジェッ
トプリンタからのインク滴が付着すると、インクの染料
中のスルホン酸ソーダ基は多価金属イオンと金属置換が
起こり、不溶化する。この不溶化物はポリエチレンイミ
ン誘導体のイミン基に吸収され、脱水乾燥によって両者
は更に接近し、ファンデルワールス力が働いて塗工層中
に染料が固定される。
【0032】しかしながら、多価金属塩類の接着剤組成
物に対する反応は、ポリエチレンイミン誘導体によって
僅かながらショックを回避できるが、粘度の上昇を抑制
することはできない。そこで多価金属塩類に先立って重
合燐酸塩を系内に溶解しておくことによって、多価金属
塩類が直接ラテックスを攻撃するのを防ぎ、多価金属塩
類の添加による接着剤組成物の流動性の変化が最小限に
抑えられ、多価金属イオンと染料が反応する条件でも粘
度の上昇が僅かである。
【0033】また、この定着方式は前記サイテックス社
製品に留まらず、直接染料及び酸性染料を着色剤とした
水溶性インク全てに適用可能である。
【0034】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。
また例中の部或いは%は断らない限り、それぞれ乾燥
(または無水物)重量及び重量%を示す。
【0035】
【実施例】
<実施例1>代表粒径1.2μmの無定形シリカ(カー
プレックスTPS−101、塩野義製薬社製)100重
量部と天然ゴム系ラテックス(FB−06FK、三井フ
ラー社製)100重量部に、ポリエチレンイミン誘導体
であるエポミンPP061(日本触媒化学社製、PCD
−2による測定値−320mV)25部、重合燐酸塩と
してトリポリ燐酸ソーダ16部を混合した後、多価金属
塩類として塩化カルシウム9.2部(トリポリ燐酸ソー
ダに対するモル比1.92)を加えて塗料とした。これ
を上質紙に固形分7g/m2 の塗工量となる様にコーテ
ィングロッドで塗工した。
【0036】<実施例2>代表粒径1.2μmの無定形
シリカを86部、天然ゴム系ラテックスを100部、ポ
リエチレンイミン誘導体としてエポミンPP061を3
5部配合した塗料をベースとし、重合燐酸塩としてピロ
燐酸ソーダを無水塩換算量で23.3部を加え、次いで
多価金属塩類として塩化カルシウムを17.1部を添加
した以外は実施例1と同様に実施した。
【0037】<実施例3>実施例2について重合燐酸塩
のピロ燐酸ソーダをトリポリ燐酸ソーダに変更して、無
水塩換算量で25.7部を加え、多価金属塩類の塩化カ
ルシウムを17.4部を添加した以外は実施例1と同様
に実施した。
【0038】<実施例4>実施例2について重合燐酸塩
のピロ燐酸ソーダをヘキサメタ燐酸ソーダに変更して、
無水塩換算量で35.5部を加え、アンモニア水でpH
調整後、多価金属塩類の塩化カルシウムを12.3部添
加した以外は実施例1と同様に実施した。
【0039】<実施例5>実施例2について重合燐酸塩
のトリポリ燐酸塩を無水塩換算量で17.8部を加え、
多価金属塩類の塩化カルシウムを塩化マグネシウムに変
更して19.3部添加した以外は実施例1と同様に実施
した。
【0040】<実施例6>実施例5について多価金属塩
類の塩化マグネシウムを硝酸カルシウムに変更して2
5.3部を添加した以外は実施例1と同様に実施した。
【0041】<実施例7>実施例5について多価金属塩
類の硝酸カルシウムを硝酸マグネシウムに変更して3
8.2部を添加した以外は実施例1と同様に実施した。
【0042】<実施例8>代表粒径1.2μmの無定形
シリカ75部、軽質炭酸カルシウム(タマパール222
H奥多摩工業社製)25部、重合燐酸塩としてトリポリ
燐酸ソーダ15部を加えた塗料をベースとして、多価金
属塩類として塩化マグネシウムを重合燐酸塩に対してモ
ル比で0,1.0,1.5,2.1,2.7,3.2,
3.8となる様に添加した以外は実施例1と同様に実施
した。
【0043】<実施例9>実施例8について多価金属塩
類の塩化マグネシウムを硫酸マグネシウムに変更して、
重合燐酸塩に対してモル比で0,1.0,1.5,2.
0,2.5,3.1となる様に添加した以外は実施例1
と同様に実施した。
【0044】<実施例10>実施例8について多価金属
塩類の塩化マグネシウムを硝酸マグネシウムに変更し
て、重合燐酸塩に対してモル比で0.5,1.0,1.
6,2.0,2.5となる様に添加した以外は実施例1
と同様に実施した。
【0045】<実施例11>実施例8について多価金属
塩類の塩化マグネシウムを塩化カルシウムに変更して、
重合燐酸塩に対してモル比で1.0,1.5,2.1,
2.6,3.1,3.6となる様に添加した以外は実施
例1と同様に実施した。
【0046】<実施例12>実施例8について多価金属
塩類の塩化マグネシウムを硝酸カルシウムに変更して、
重合燐酸塩に対してモル比で0.5,1.1,1.5,
1.75,2.0,2.25,2.6,3.1となる様
に添加した以外は実施例1と同様に実施した。
【0047】<実施例13>実施例12について重合燐
酸塩のトリポリ燐酸ソーダの添加量を12.5部に変更
した以外は実施例1と同様に実施した。
【0048】<比較例1>実施例1についてポリエチレ
ンイミン誘導体をエポミンP1000(日本触媒化学社
製、PCD−2による測定値+90mV)に変更した以
外は実施例1と同様に実施した。
【0049】<比較例2>実施例2について重合燐酸塩
のピロ燐酸ソーダを燐酸カリウムに変更して、無水塩換
算量で24.7部を加え、多価金属塩類の塩化カルシウ
ムを16.4部を添加した以外は実施例1と同様に実施
した。
【0050】<比較例3>実施例2について重合燐酸塩
のピロ燐酸ソーダを無水換算量で25.7部を添加し
て、多価金属塩類の塩化カルシウムを硝酸カルシウムに
変更して13.8部を添加した以外は実施例1と同様に
実施した。
【0051】<比較例4>実施例2について重合燐酸塩
を無添加として、多価金属塩類の塩化カルシウムを燐酸
三カルシウムに変更して94.3部添加した以外は実施
例1と同様に実施した。
【0052】<比較例5>実施例2について重合燐酸塩
を無添加として、多価金属塩類の塩化カルシウムを燐酸
三マグネシウムに変更して94.3部添加した以外は実
施例1と同様に実施した。
【0053】<比較例6>実施例2について重合燐酸塩
を無添加として、多価金属塩類の塩化カルシウムを燐酸
二カルシウムに変更して94.3部添加した以外は実施
例1と同様に実施した。
【0054】<比較例7>実施例2について重合燐酸塩
を無添加として、多価金属塩類の塩化カルシウムを塩基
性炭酸マグネシウムに変更して94.3部添加した以外
は実施例1と同様に実施した。
【0055】<比較例8>実施例8について重合燐酸塩
と多価金属塩類を無添加とした以外は実施例1と同様に
実施した。
【0056】上記実施例及び各比較例に従って製作した
インクジェット用圧着紙について、インク発色製及び印
字の耐水性の各性能試験を行った。以下各性能試験の方
法とその評価の仕方を説明する。
【0057】(1)水溶性ポリマーの電荷 ポリエチレンイミン誘導体の電荷は、粒子表面電荷検出
器PCD−2(ミューテック社製)を用いて測定した。
PCD−2は、マクロ微粒子やコロイド粒子のイオン電
荷とその極性を流動誘導電位の動電効果を用いて検出す
る装置である。
【0058】(2)インク発色性 インクジェットプリンタ(シャープIO−735X)の
インクタンクにサイテックス社#1007インクを注射
器で注入し、普通モードでそれぞれ接着面にベタ印刷を
行い、印字濃度をマクベス濃度計によって測定した。
【0059】(3)印字の耐水性 印字品を30℃の水中に4分間浸して鏡面板に貼り付け
て風乾後の印字濃度をマクベス濃度計で測定したが、浸
水風乾後の印字濃度だけでは判定が難しいため、同時に
水への染料の溶出、印字の滲み等目視による定着評価を
行った。浸水風乾後の印字濃度は、耐水性が高いもので
も、印字ドットの面積が大きくなるので、水洗前の印字
濃度より僅かに高い値となる。やや不完全な耐水性を与
えた印字は水中での印字ドット面積の拡がりが大きく、
ドット間の白地が埋められ、印字濃度の上昇が大きくな
る。耐水性に乏しい印字は水中に染料を流出するが、基
材内でも拡散するので、浸水風乾前の印字濃度と同等
か、これを下回る値となり、浸水風乾後の印字濃度だけ
では判定が難しいので、目視により、◎、○、△、×の
4段階で判定を行った。
【0060】以上の実施例1乃至実施例7と比較例1乃
至比較例7の結果を図1に示す。また、実施例8乃至実
施例13と比較例8の結果を図2に示す。
【0061】図1から明らかなように、負の電荷を示す
ポリエチレンイミン誘導体を使用した実施例1では塗料
の流動性に問題はなく、塗工後のインクジェット用圧着
紙の耐水性が良好であった。比較例1では、正の電荷を
示すポリエチレンイミン誘導体と天然ゴム系ラテックス
を混用すると塗料は凝集した。また、多価金属塩類より
先に重合燐酸塩を添加すれば、塗料は流動性が良好とな
り、特にトリポリ燐酸ソーダ使用品の粘度が低く、耐水
性は比較例2の燐酸三カルシウムよりも良好であった。
【0062】実施例5〜7は塩の種類を変え、金属塩/
重合燐酸塩のモル比を変えたものである。いずれも耐水
性は良好で塗料の物性も殆ど変わらなかった。比較例3
のように、モル比が1.45と低くなるとやや耐水性が
劣っていた。比較例4〜7では重合燐酸塩とカルシウ
ム、マグネシウムの多価金属塩類との最終反応生成物に
近いものを使用した。これらの塩は、塗料の流動性には
全く悪影響がないが、耐水性は不完全であった。
【0063】図2から明らかなように、実施例8〜12
では、多価金属塩類/重合燐酸塩のモル比1.0前後で
は耐水性は完全ではなく、1.4〜1.5のところから
ほぼ完全な耐水性が得られた。但し、共通してモル比が
大きくなるに従って、ドットの拡がりが縮小し、ドット
間の余白が埋まらず、印字濃度は低下した。印字濃度か
らみれば、モル比は1.5〜2.5が最適であった。実
施例8及び実施例9のモル比0ではトリポリ燐酸ソーダ
を加えた。トリポリ燐酸ソーダ自体が染料の耐水化を妨
げると同時に染料のコート層への染み込みを防いでお
り、トリポリ燐酸ソーダ未添加の比較例7の方が水洗後
の印字濃度が高いが、目視による耐水性の評価は悪かっ
た。
【0064】実施例13では、トリポリ燐酸ソーダの量
が減るに従い、耐水性を得られるモル比が高くなる傾向
を示し、同一耐水性では塗料の粘度が上昇した。
【0065】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、各種情報
をインクジェット方式で親展面に印字しても優れたイン
ク発色性を示し、耐水性が良好で水に濡れても印字の滲
み、脱落、汚染などの事故が起こらず、親展面を圧着し
た後に剥離しても、親展面の印字が対向面に転移するこ
とがない。
【0066】塗料を作成する際、一液タイプで粘度の上
昇が抑制できるので、塗工を2回行って2層構造の用紙
にする必要がなくなり、塗工形式を問わず、用紙の作成
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1乃至実施例7と比較例1乃至
比較例7の結果を示す図表である。
【図2】本発明の実施例8乃至実施例13と比較例8の
結果を示す図表である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B42D 15/08 B42D 15/08 D C09J 11/04 JAR C09J 11/04 JAR 11/08 JBC 11/08 JBC 179/02 JGD 179/02 JGD 201/00 JAR 201/00 JAR // B21H 5/00 B21H 5/00 B D21H 27/00 D21H 5/00 B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親展面を有する用紙の親展面同士がその
    親展面に塗披された接着剤組成物を介して剥離可能に圧
    着される圧着紙において、前記親展面に塗披する接着剤
    組成物が、コールドシール剤および微細鉱物粉末に加え
    て、高pH域で電荷が零乃至負となるカチオン性ポリマ
    ーと重合燐酸塩及び多価金属塩類からなることを特徴と
    するインジェット用圧着紙。
  2. 【請求項2】 前記接着剤組成物中の高pH域で電荷が
    零乃至負となるカチオン性ポリマーの配合量が、コール
    ドシール剤100重量部に対し、20〜40重量部であ
    る請求項1記載のインクジェット用圧着紙。
  3. 【請求項3】 前記接着剤組成物中の重合燐酸塩は、無
    水塩に換算して、コールドシール剤100重量部に対
    し、12〜30重量部を、多価金属塩類よりも先に配合
    する請求項1記載のインクジェット用圧着紙。
  4. 【請求項4】 高pH域で電荷が零乃至負となるカチオ
    ン性ポリマーは、N−ヒドロキシアルキルポリエチレン
    イミンである請求項1記載のインクジェット用圧着紙。
  5. 【請求項5】 前記多価金属塩類がカルシウム塩及びマ
    グネシウム塩であって、その多価金属塩類の配合量がモ
    ル比で重合燐酸塩の1.5〜4.0倍であることを特徴
    とする請求項3記載のインクジェット用圧着紙。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002011942A (ja) * 2000-06-30 2002-01-15 Dainippon Ink & Chem Inc 電飾用記録材
JP2002536222A (ja) * 1999-02-12 2002-10-29 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 画像レセプター媒体並びにその製造方法及び使用方法
JP2014104642A (ja) * 2012-11-27 2014-06-09 Hokuetsu Kishu Paper Co Ltd インクジェット記録用圧着原紙
JP2015189235A (ja) * 2014-03-31 2015-11-02 トッパン・フォームズ株式会社 再剥離性シート

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