JPH09157024A - ダイヤモンド焼結体の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド焼結体の製造方法

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JPH09157024A
JPH09157024A JP7337849A JP33784995A JPH09157024A JP H09157024 A JPH09157024 A JP H09157024A JP 7337849 A JP7337849 A JP 7337849A JP 33784995 A JP33784995 A JP 33784995A JP H09157024 A JPH09157024 A JP H09157024A
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JP
Japan
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diamond
sintered body
rare earth
alkaline earth
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JP7337849A
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English (en)
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Hitoshi Sumiya
均 角谷
Shuichi Sato
周一 佐藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い圧力、温度で、耐熱性、耐欠損性に優れ
たダイヤモンド焼結体を製造する。 【解決手段】 ダイヤモンド粉末と、樹脂を1部炭化さ
せた非ダイヤモンド炭素質物質の粉末と、非金属焼結助
剤を混合し、これを圧力3GPa以上、温度1000℃以上
の条件で保持して、焼結することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダイヤモンド焼結体
の製造方法に関するものである。本発明のダイヤモンド
焼結体は非鉄金属やセラミックス等の切削、切削工具用
素材および石油掘削用途等のドリルビットの刃先素材と
して有効に使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来のダイヤモンド焼結体としては、焼
結助剤あるいは結合剤としてCo、Ni、Feなどの鉄
族金属を用いたものや、SiCなどのセラミックスを用
いたものが知られており、非鉄金属の切削工具や掘削ビ
ットなどに工業的に利用されている。また、特開平4−
74766号公報、特開平4−114966号公報によ
り焼結助剤としてMg、Ca、Srなどのアルカリ土類
金属の炭酸塩を用いたものが知られている。その他、天
然のダイヤモンド焼結体(カーボナード)があるが、材
質のバラツキが大きく、また産出量も極少量であるた
め、ほとんど工業的には使用されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Coなどの鉄族金属を
焼結助剤としたダイヤモンド焼結体は、Coなどの鉄族
金属がダイヤモンドの黒鉛化を促す触媒として作用する
ため耐熱性に劣る。すなわち、不活性のガス雰囲気中
で、 700℃程度で黒鉛化してしまう。また、ダイヤモン
ド粒の粒界にCoなどの金属が連続相として存在するた
め焼結体の強度はあまり高くなく、欠損しやすい。そし
て、この金属とダイヤモンドの熱膨張差のため熱劣化が
起こり易くなるという問題もある。
【0004】耐熱性を上げるために上記の粒界の金属を
酸処理により除去されたものも知られている。これによ
り耐熱温度は約1200℃と向上するが、焼結体が多孔質と
なるため強度がさらに大幅(30%程度)に低下する。
SiCを結合剤としたダイヤモンド焼結体は耐熱性には
優れるが、ダイヤモンド粒同士は結合がないため、強度
は低い。
【0005】一方、焼結助剤として炭酸塩を用いたダイ
ヤモンド焼結体は、Co結合剤による焼結体に比べると
耐熱性に優れるが、この方法ではダイヤモンド焼結体の
製造に 7.7GPa、2000℃以上と大変厳しい圧力、温度
条件を要するため、コストがかなり高くなり、工業生産
は難しいという問題がある。本発明は以上のような問題
を解決して、耐欠損性、耐熱性を有するダイヤモンド焼
結体を、工業生産可能な条件で、低コストで製造する方
法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記特許請求の
範囲の項に記載した要件を備えることにより、上記課題
を解決することがきたもので、以下に夫々の要件と共に
その作用を説明する。
【0007】(作用)本発明の特徴は、ダイヤモンド焼
結体の原料のダイヤモンド粉末に、樹脂を一部炭化させ
た非ダイヤモンド炭素質物質を添加し、かつ、ダイヤモ
ンド焼結体の焼結助剤として炭酸塩、チタン酸塩、ケイ
酸塩などの非金属焼結助剤を用い、圧力3GPa、温度
1000℃以上の圧力温度条件でダイヤモンドを焼結する点
にある。
【0008】本発明に用いられる樹脂としては、ノボラ
ックやレゾールなどのフェノール樹脂のほかエポキシ樹
脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ
アミドなどが用いられる。これらの樹脂を不活性ガス雰
囲気中で 500℃から1000℃で熱処理して、部分的に炭化
させたものを用いる。熱処理後の水素残留量としては1
モル%以上、50モル%以下である必要がある。また、
そのラジカル数もしくは不対電子数が1015個/モル以
上である必要がある。熱処理温度が 500℃より低い、も
しくは水素残留量が50モル%を越える、あるいはラジ
カル数もしくは不対電子数が1015個/モルに満たない
場合は、この非ダイヤモンド炭素質物質が、高圧高温
(圧力3GPa以上、温度1000℃以上)焼結時にダイヤ
モンドに変換せず、緻密で強固なダイヤモンド焼結体が
得られない。また、樹脂の熱処理温度が1000℃を越える
場合、もしくは水素残留量が1モル%より少ない場合
は、焼結圧力・温度条件が低くならず、効果がない。
【0009】本発明に用いられる焼結助剤としては、以
下のものが挙げらえる。これらは夫々単独で用いられる
が、必要によっては2つ以上の複数を併せ用いることも
できる。 (1)希土類金属元素の炭酸塩 たとえば、Y2 (CO33 、Ce2 (CO32 など
が挙げられる。これらの水和物Y2 (CO33 ・3H
2 O、Ce2 (CO32 ・8H2 Oも用いることがで
きる。 (2)酸化リンまたはリン酸 酸化リンとしては、たとえばP4 O、P2 O、P2
3 、PO、P47 、PO2 、P49 、P25 、P
3 などが挙げられる。酸化リンの水和物P25 ・n
2 Oとしてはポリリン酸(2>n>1)、ウルトラリ
ン酸(1>n>0)なども用いることができる。リン酸
としてはメタリン酸(HPO3 )、オルトリン酸(H3
PO4 )、ペルオキソリン酸(H3 PO5 )、ペルオキ
ソニリン酸(H428 )など、リン酸の水和物たと
えば、H3 PO4 ・0.5 H2 Oなども用いることができ
る。 (3)リン(P) (4)酸化ケイ素またはケイ酸 酸化ケイ素(SiO2 )またはH4 SiO4 、H2 Si
3 、H2 Si22などのケイ酸や、SiO2 ・nH2
Oなどの水和物も用いることができる。 (5)希土類元素、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属のケイ酸塩。 希土類元素のケイ酸塩としては、希土類元素をM(M=
Sc、Y、La、Ceなど)とした場合に例えばM2
iO5 やM2 Si27 などが挙げられる。アルカリ金
属のケイ酸塩としてLiSiO3 、Na2 SiO3 、K
2 SiO3 などアルカリ土類金属のケイ酸塩としては、
MgSiO3 、Mg2 SiO4 、Mg2Si38 、C
aSiO3 、Ca2 SiO4 、BaSi25 、Ba2
Si38 などが挙げられる。 (6)希土類元素、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属の酸化物と酸化ケイ素の混合物。 希土類元素の酸化物としては、希土類元素をMとした場
合にM23 やMO2などが挙げられる。アルカリ金属
の酸化物としてLi2 O、Na2 O、K2 Oなどアルカ
リ土類金属の酸化物としてMgO、CaO、BaOなど
が挙げられ、これら酸化物と酸化ケイ素(SiO2 )の
混合物が用いられる。
【0010】(7)酸化ケイ素またはケイ酸と酸化チタ
ンの混合物 酸化ケイ素(SiO2 )と酸化チタン(TiO2 )の混
合物、酸化ケイ素のかわりにH4 SiO4 、H2 SiO
3 、H2 Si22 などのケイ酸や、SiO2・nH2
Oなどの水和物も用いることができる。 (8)酸化ホウ素またはホウ酸 酸化ホウ素は、B23 、BO、B2 O、B6 Oなどが
挙げられる。ホウ酸としてはオルトホウ酸(H3 BO
3 )、メタホウ酸 HBO2 、次ホウ酸(H42
4 )などが挙げられる。 (9)アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属ま
たは鉄族金属のチタン酸塩。 アルカリ金属またはアルカリ土類金属のチタン酸化物と
しては、例えばLiTiO3 、MgTiO3 、CaTi
3 、SrTiO3 などが挙げられる。希土類元素のチ
タン酸塩としては、希土類元素をM(M=Sc、Y、L
a、Ceなど)とした場合に、例えばM2 TiO5 やM
2 Ti27 などが挙げられる。
【0011】(10)アルカリ金属、アルカリ土類金
属、希土類金属または鉄族金属の酸化物と酸化チタンの
混合物。 希土類元素の酸化物としては、希土類元素をMとした場
合にM23 やMO2などが挙げられる。鉄族金属のチ
タン酸塩としては、例えば、FeTiO3 、FeTi2
5 、CoTiO3 、MnTiO3 、NiTiO3 など
が挙げられる。 (11)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸
塩。 たとえば、NaCO3 、MgCO3 、CaCO3 、Sr
CO3 、BaCO3 が挙げられる。 (12)〜(15)アルカリ金属、アルカリ土類金属ま
たは希土類金属の水酸化物、硫酸化物、リン酸塩または
ホウ酸塩。たとえば、Mg(OH)2 、Ca(OH)
2 、Ce(OH)4 、Na2 SO4 、MgSO4 、Ca
SO4 、Y2 (SO43 、Na3 PO4 、K3 PO
4 、Mg227 、Ca3 (PO42 、YPO4
Na247 、Mg3 (BO32 などが挙げられ
る。
【0012】これらの物質は、圧力3GPa以上、温度
1000℃以上の条件で、上記の樹脂を一部炭化した非ダイ
ヤモンド炭素質物質と反応し、非ダイヤモンド炭素質物
質はダイヤモンドに変換され、その結果、ダイヤモンド
粒子同士が極めて強固に結合したマトリックスが形成さ
れる。また、異常粒成長が起こり難く、均質な組織の焼
結体を得ることができる。本発明においては、焼結する
圧力、温度条件は特に熱力学的にダイヤモンドが安定な
領域内にある必要がなく、例えば 3.5GPa、1500℃と
いった、熱力学的に黒鉛が安定でダイヤモンドとしては
準安定な圧力温度条件下でも、強固なダイヤモンド焼結
体が得られる。また、こうして得られるダイヤモンド焼
結体は従来の焼結体のようにCoなどの金属を含まない
ため、1000℃程度の高温下でも安定であり、本発明によ
るダイヤモンド焼結体は耐熱性にも非常に優れた特性を
示す。以上の結果、従来にない高強度で耐欠損性かつ耐
熱性に優れたダイヤモンド焼結体が、圧力3GPa、温
度1000℃という緩和な圧力温度条件で得ることができ
る。
【0013】本発明におけるダイヤモンド焼結体製造の
方法としては、原料のダイヤモンド粉末と、樹脂を一部
炭化させた非ダイヤモンド炭素質物質の粉末、および焼
結助剤を均一に混合し、これを圧力3GPa以上、温度
1000℃以上の条件で焼結する方法、あるいは、原料のダ
イヤモンド粉末と、樹脂を一部炭化させた非ダイヤモン
ド炭素質物質の粉末を均一に混合したのち、板状に型押
し成形し、これと上記焼結助剤の型押し成形体とを積層
させたものを上記の圧力温度条件で高圧高温焼結する方
法がある。さらに、原料ダイヤモンド粉末の表面に樹脂
を一部炭化させた非ダイヤモンド炭素質物質を形成させ
たものと、上記焼結助剤を均一に混合したものを上記の
圧力温度条件で高圧高温焼結する方法、あるいは原料ダ
イヤモンド粉末の表面に樹脂を一部炭化させた非ダイヤ
モンド炭素質物質を形成させたものと、焼結助剤をそれ
ぞれ板状に成形し、それらを積層させたものを上記の圧
力温度条件で高圧高温焼結する方法がある。このダイヤ
モンド粉末の表面に樹脂を一部炭化させた非ダイヤモン
ド炭素質物質を形成させる方法としては、たとえばメカ
ノフュージョン処理などの機械的コーティング技術によ
りダイヤ粉末の表面に炭素質物質の微粉末を付着形成す
る方法と、あらかじめダイヤモンド粉末の表面に樹脂を
薄くコーティングし、これを不活性ガス雰囲気中で 500
℃から1000℃の温度で熱処理し、コーティングした樹脂
を一部炭化させる方法がある。
【0014】原料としては合成ダイヤモンド粉末、天然
ダイヤモンド粉末、多結晶ダイヤモンド粉末などを用い
ることができる。粉末の粒径は0.01〜 200μmで、用途
によって微粒または粗粒に粒径を揃えたもの、もしくは
微粒、粗粒の混合物を用いる。原料のダイヤモンド粉末
と非ダイヤモンド炭素質物質および焼結助剤を混合する
方法においては、これらを、機械的に乾式または湿式混
合した粉末を圧縮成形したもの、もしくはMo等のカプ
セルに充填したものを高圧高温焼結する。原料粉末が微
粒でも焼結助剤を均一に分散でき、また、厚い形状のダ
イヤモンド焼結体の製造が可能である。例えば、良好な
仕上げ面が必要な切削工具(微粒焼結体)の製造や、ダ
イスなどの厚い形状を必要とする焼結体の製造に適す
る。ただし、粗粒の原料を用いた場合は、焼結助剤を均
一に混合しにくく、混合に手数を要する。
【0015】一方、原料のダイヤモンド粉末および非ダ
イヤモンド炭素質物質と、焼結助剤を積層配置する方法
は、原料と焼結助剤の板状の成形体をそれぞれ作製し、
これらを積層して接触させ、高圧高温処理する。このと
き、焼結助剤が原料層に拡散含浸し、ダイヤモンド粒子
が焼結する。この方法は、粗粒の原料を用いても焼結助
剤を均一に添加できるため、より高強度で耐摩耗性のあ
るダイヤモンド焼結体を安定して得ることがき、耐摩耗
工具やドリルビットなどの焼結体の製造に適する。
【0016】
【発明の実施の形態】 【実施例】
(実施例1)レゾールの塊体を、ボールミルで1μm程
度に粉砕し、この粉末をアルゴンガス中で 850℃に2時
間処理した。得られた炭素質物質を元素分析したところ
水素が12モル%残留していた。また、ESRにより、ラ
ジカル数(不対電子数)を見積もったところおよそ10
20個/モルであった。この炭素質粉末と、平均粒径3.5
μmの合成ダイヤモンド粉末と、Y2 (CO33 の粉
末をそれぞれ10体積%、85体積%、5体積%の割合で十
分に混合し、この混合物をMoカプセルに真空封入し、
ベルト型の超高圧高温発生装置を用いて、4GPa、14
00℃の圧力温度条件で15分間保持し、焼結させた。得ら
れたダイヤモンド焼結体の硬度をヌープ圧子により評価
したところ7200Kg/mm2 と高硬度であった。また、
その破壊靱性をインデンテーション法により従来の市販
のCoバインダー焼結体に対し相対比較したところ、従
来焼結体の約1.3 倍の相対靱性であった。また、得られ
たダイヤモンド焼結体を真空中で1000℃に加熱処理した
後、硬度、靱性を測定したが、処理前とほとんど変化が
なかった。
【0017】(実施例2)ノボラックの塊体をボールミ
ルで1μm程度に粉砕し、この粉末をアルゴンガス中で
900℃に2時間処理した。得られた炭素質物質を元素分
析したところ水素が10モル%残留していた。また、ES
Rにより、ラジカル数(不対電子数)を見積もったとこ
ろおよそ1018個/モルであった。この炭素質粉末と平
均粒径15μmの合成ダイヤモンド粉末をそれぞれ10体積
%、90体積%で混合し、厚み2mmに型押し成形した。
これと、P25 の粉末を厚み1mmに型押し成形した
ものを交互に積層してMoカプセルに入れ、ベルト型の
超高圧高温発生装置を用いて、4GPa、1300℃の圧力
温度条件で15分間保持し、焼結させた。得られたダイヤ
モンド焼結体の硬度をヌープ圧子により評価したところ
約7700Kg/mm2 と高硬度であった。また、破壊靱性
をインデンテーション法により従来の市販のCoバイン
ダー焼結体に対し相対比較したところ、従来焼結体の約
1.4 倍の相対靱性であった。また、得られた焼結体を真
空中で1000℃に加熱処理した後、硬度、靱性を測定した
が、処理前とほとんど変化がなかった。
【0018】(実施例3)レゾールの塊体を、ボールミ
ルで1μm程度に粉砕し、この粉末をアルゴンガス中で
700℃に2時間処理した。得られた炭素質物質を元素分
析したところ水素が20モル%残留していた。また、ES
Rにより、ラジカル数(不対電子数)を見積もったとこ
ろおよそ1021個/モルであった。この炭素質粉末と平
均粒径15μmの合成ダイヤモンド粉末をそれぞれ5体積
%、95体積%で混合し、メカノフュージョン装置でダイ
ヤモンド粉末の表面に、上記炭素質粉末を均一にコーテ
ィングさせた。この粉末とCaCO3 の粉末を体積比で
95:5の割合で混合し、これをMoカプセルに入れ、
ベルト型の超高圧高温発生装置を用いて、3.5 GPa、
1300℃の圧力温度条件で15分間保持し、焼結させた。得
られたダイヤモンド焼結体の硬度をヌープ圧子により評
価したところ約7600Kg/mm2 と高硬度であった。ま
た、破壊靱性をインデンテーション法により従来の市販
のCoバインダー焼結体に対し相対比較したところ、従
来焼結体の約1.3 倍の相対靱性であった。また、得られ
た焼結体を真空中で1000℃に加熱処理した後、硬度、靱
性を測定したが、処理前とほとんど変化がなかった。
【0019】(実施例4)レゾールの塊体を、ボールミ
ルで1μm程度に粉砕し、この粉末をアルゴンガス中で
800℃に2時間処理した。得られた炭素質物質を元素分
析したところ水素が15モル%残留していた。また、ER
Sにより、ラジカル数(不対電子数)を見積もったとこ
ろおよそ1021個/モルであった。この炭素質粉末と、
平均粒径15μmの合成ダイヤモンド粉末をそれぞれ10体
積%、90体積%で混合し、メカノフュージョン装置でダ
イヤモンド粉末の表面に、上記炭素質粉末を均一にコー
ティングさせた。この粉末を厚み2mmに型押し成形し
たものと、Na2 SO4 の粉末を厚み1mmに型押し成
形したものを交互に積層してMoカプセルに入れ、ベル
ト型の超高圧高温発生装置を用いて、3.5 GPa、1500
℃の圧力温度条件で15分間保持し、焼結させた。得られ
たダイヤモンド焼結体の硬度をヌープ圧子により評価し
たところ約8000Kg/mm2 と高硬度であった。また、
破壊靱性をインデンテーション法により従来の市販のC
oバインダー焼結体に対し相対比較したところ、従来焼
結体の約1.4 倍の相対靱性であった。また、得られた焼
結体を真空中で1000℃に加熱処理した後、硬度、靱性を
測定したが、処理前とほとんど変化がなかった。
【0020】(実施例5)焼結助剤として、5体積%の
Mg2 Si36 を用いた他は、実施例1と同様にして
ダイヤモンド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬
度、靱性、耐熱性とも実施例1と同様であった。
【0021】(実施例6)焼結助剤として、5体積%の
SiO2 を用いた他は、実施1と同様にしてダイヤモン
ド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬度、靱性、
耐熱性とも実施例1と同様であった。
【0022】(実施例7)焼結助剤として、5体積%の
リンを用い、焼結圧力温度条件を3.5 GPa、1300℃と
した他は、実施例1と同様にしてダイヤモンド焼結体を
作製した。得られた焼結体は、硬度、靱性、耐熱性とも
実施例1と同様であった。
【0023】(実施例8)焼結助剤として、5体積%の
25 を用い、焼結圧力温度条件を3.5 GPa、1100
℃とした他は、実施例1と同様にしてダイヤモンド焼結
体を作製した。得られた焼結体は、硬度、靱性、耐熱性
とも実施例1と同様であった。
【0024】(実施例9)焼結助剤として、SiO2
TiO2 の(体積比)1:1の混合物を用い、この混合
物の添加量を5体積%として焼結圧力条件を4GPa、
1600℃とした他は、実施例3と同様にしてダイヤモンド
焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬度、靱性、耐
熱性とも実施例3と同様であった。
【0025】(実施例10)焼結助剤として、CaOと
SiO2 の1:1(体積比)の混合物を用い、この混合
物の添加量を5体積%として焼結圧力温度条件を3.5 G
Pa、1500℃とした他は、実施例3と同様にしてダイヤ
モンド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬度、靱
性、耐熱性とも実施例3と同様であった。
【0026】(実施例11)焼結助剤として、5体積%
のMgCO3 を用いた他は、実施例2と同様にしてダイ
ヤモンド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬度、
靱性、耐熱性とも実施例2と同様であった。
【0027】(実施例12)焼結助剤として、5体積%
のMgSO4 を用いた他は、実施例4と同様にしてダイ
ヤモンド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬度、
靱性、耐熱性とも実施例4と同様であった。
【0028】(実施例13)焼結助剤として、5体積%
のB6 Oを用いた他は、実施例3と同様にしてダイヤモ
ンド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬度、靱
性、耐熱性とも実施例3と同様であった。
【0029】(実施例14)焼結助剤として、5体積%
のH3 BO3 を用いた他は、実施例4と同様にしてダイ
ヤモンド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬度、
靱性、耐熱性とも実施例4と同様であった。
【0030】(実施例15)焼結助剤として、5体積%
のFeTiO3 を用いた他は、実施例3と同様にしてダ
イヤモンド焼結体を作製した。得られた焼結体は、硬
度、靱性、耐熱性とも実施例3と同様であった。
【0031】(比較例1)樹脂を炭化した炭素質物質を
添加せずに、平均粒径 3.5μmの合成ダイヤモンド粉末
とMgCO3 の粉末をそれぞれ10体積%、85体積%、5
体積%の割合で十分に混合し、これを実施例1と同様の
条件で高圧高温処理したが、ほとんど焼結されていなか
った。
【0032】(比較例2)レゾールの塊体を、ボールミ
ルで1μm程度に粉砕し、この粉末をアルゴンガス中で
1100℃に2時間処理した。得られた炭素質物質はほぼ完
全にグラファイト化していた。元素分析したところ水素
が認められず、また、ESRによりラジカルも認められ
なかった。この粉末と、平均粒径 3.5μmの合成ダイヤ
モンド粉末と、Y(CO33 の粉末をそれぞれ10体積
%、85体積%、5体積%の割合で十分に混合し、これを
5GPa、1500℃、15分の条件で処理したが、ほとんど
焼結されていなかった。
【0033】(比較例3)ノボラックの塊体を、ボール
ミルで1μm程度に粉砕し、この粉末をアルゴンガス中
で 400℃に2時間処理した。得られた炭素質物質は未炭
化の部分が多く、元素分析により、約70モル%の水素が
残留しており、ESRによりラジカル数を求めると10
13個/モル程度であった。この粉末と、平均粒径3.5 μ
mの合成ダイヤモンド粉末と、P25 の粉末をそれぞ
れ10体積%、85体積%、5体積%の割合で十分に混合
し、これを5GPa、1500℃、15分の条件で処理した
が、部分的に未焼結部が残留していた。
【0034】
【発明の効果】以上各項において述べたように、本発明
のダイヤモンド焼結体の製造方法によれば、耐熱性、耐
欠損性に優れた焼結体が、従来にない低い圧力温度で得
られる。 その結果、非鉄金属やセラミックス等の切削、
研削工具用素材、および石油掘削用途等のドリルビット
の刃先素材として有効に使用できるダイヤモンド焼結体
が、低コストで生産できる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイヤモンド粉末と、樹脂を一部炭化させ
    た非ダイヤモンド炭素質物質の粉末と、非金属焼結助剤
    を混合し、これを圧力3GPa以上、温度1000℃以上の
    条件で保持し、焼結することを特徴とするダイヤモンド
    焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】ダイヤモンド粉末および樹脂を一部炭化さ
    せた非ダイヤモンド炭素質物質の粉末の混合物からなる
    成形体と、非金属焼結助剤の粉末の成形体とを積層し、
    これを圧力3GPa以上、温度1000℃以上の条件で保持
    し、焼結することを特徴とするダイヤモンド焼結体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】ダイヤモンド粉末の表面に樹脂を一部炭化
    させた非ダイヤモンド炭素質物質を形成させたものと非
    金属焼結助剤を混合し、これを圧力3GPa以上、温度
    1000℃以上の条件で保持し、焼結することを特徴とする
    ダイヤモンド焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】ダイヤモンド粉末の表面に樹脂を一部炭化
    させた非ダイヤモンド炭素質物質を形成させたものの成
    形体と、非金属焼結助剤の粉末の成形体を積層し、これ
    を圧力3GPa以上、温度1000℃以上の条件で保持し、
    焼結することを特徴とするダイヤモンド焼結体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】上記非ダイヤモンド炭素質物質は、次の
    A、B、Cの何れかの条件か、又はその2つ以上を具備
    したものであることを特徴とする請求項1、2、3又は
    4記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。 A.樹脂を不活性ガスの中で 500℃以上、1000℃以下の
    温度で炭化処理したもの。 B.1モル%以上、50モル%以下の水素を含むこと。 C.そのラジカル数もしくは不対電子数が1015個/モ
    ル以上であること。
  6. 【請求項6】上記非金属焼結助剤が、希土類元素の炭酸
    塩であることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は
    5記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】上記非金属焼結助剤が、酸化リンまたはリ
    ン酸であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は
    5記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】上記非金属焼結助剤が、リンであることを
    特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のダイヤモ
    ンド終結体の製造方法。
  9. 【請求項9】上記非金属焼結助剤が、次の(4)乃至
    (6)の何れかまたはその2つ以上を含むものであるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のダイ
    ヤモンド焼結体の製造方法。 (4)酸化ケイ素またはケイ酸 (5)希土類元素、アルカリ金属またはアルカリ土類金
    属のケイ酸塩 (6)希土類元素、アルカリ金属またはアルカリ土類金
    属の酸化物と酸化ケイ素またはケイ酸の混合物。
  10. 【請求項10】上記非金属焼結助剤が、酸化ケイ素また
    はケイ酸と酸化チタンの混合物であることを特徴とする
    請求項1、2、3、4又は5記載のダイヤモンド焼結体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】上記非金属焼結助剤が、酸化ホウ素また
    はホウ酸であることを特徴とする請求項1、2、3、4
    又は5記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  12. 【請求項12】上記非金属焼結助剤が、次の(9)(1
    0)の何れかまたはその2つ以上であることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4又は5記載のダイヤモンド焼結
    体の製造方法。 (9)アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属ま
    たは鉄属金属のチタン酸塩。 (10)アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属
    または鉄属金属の酸化物と酸化チタンの混合物。
  13. 【請求項13】上記非金属焼結助剤が、次の(11)乃
    至(15)の何れかまたはその2つ以上であることを特
    徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のダイヤモン
    ド焼結体の製造方法。 (11)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸
    塩。 (12)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属の水酸化物 (13)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属の硫酸化物 (14)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属のリン酸塩 (15)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属のホウ酸塩
  14. 【請求項14】上記非金属焼結助剤が、次の(1)乃至
    (15)の2つ以上であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4又は5記載のダイヤモンド焼結体の製造方
    法。 (1)希土類元素の炭酸塩。 (2)酸化リンまたはリン酸。 (3)リン (4)酸化ケイ素またはケイ酸。 (5)希土類元素、アルカリ金属またはアルカリ土類金
    属のケイ酸塩。 (6)希土類元素、アルカリ金属またはアルカリ土類金
    属の酸化物と酸化ケイ素またはケイ酸の混合物。 (7)酸化ケイ素またはケイ酸と酸化チタンの混合物。 (8)酸化ホウ素またはホウ酸 (9)アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属ま
    たは鉄族金属のチタン酸塩。 (10)アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属
    または鉄族金属の酸化物と酸化チタンの混合物。 (11)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩 (12)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属の水酸化物 (13)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属の硫酸化物 (14)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属のリン酸塩 (15)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類
    金属のホウ酸塩
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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