JPH09154652A - 合成樹脂把手部材とその製造方法 - Google Patents

合成樹脂把手部材とその製造方法

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JPH09154652A
JPH09154652A JP33810495A JP33810495A JPH09154652A JP H09154652 A JPH09154652 A JP H09154652A JP 33810495 A JP33810495 A JP 33810495A JP 33810495 A JP33810495 A JP 33810495A JP H09154652 A JPH09154652 A JP H09154652A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬質熱可塑性樹脂の成形によって得た中空体
または中実体の表面に軟質熱可塑性樹脂の均一な被覆を
形成した軽量かつ強靱で優れた表面状態の把手部材を提
供する。 【解決手段】 射出ブロー成形によって得た一部に欠落
部7および9を形成した所定の長さと形状を有する硬質
熱可塑性樹脂の中空な一次成形体5の表面に、該欠落部
7および9の部分を残して二次成形によって軟質熱可塑
性樹脂の被覆6をインサート成形し、得た二次成形体に
形成されている前記欠落部7,9の部分を別体として得
た充填部材8,10で掩蔽して面一な表面の把手部材1
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種家具やド
ア、自動車内装品などの把手として、また、怪我の防止
のための子供用器具の把手、乳母車などの把手さらには
家屋に取り付ける高齢者のための把手など各種の有用性
を有する合成樹脂把手部材とその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】家具やドアなどに使用されている把手
は、主に強度上の問題から全部もしくは主要部を金属の
鋳造や切削加工で作ったものが多く使用されてきた。か
ゝる金属の部分を含む把手は重量があるうえ、製作が煩
瑣でコスト高となるため、この発明の発明者等は、硬質
熱可塑性樹脂の射出ブロー成形によって芯となる中空の
把手主体を成形し、この把手主体の外周面にインサート
成形によって軟質熱可塑性合成樹脂を被覆した合成樹脂
製の把手部材を開発した。
【0003】この合成樹脂把手は、芯となる中空な硬質
熱可塑性樹脂の成形体が軽量で強靱で、その表面が軟質
の熱可塑性樹脂で被覆されているため、ソフトで良好な
手触りを維持して滑ることなく確実な把持が可能である
という使用面での優位性に加えて、金型を使用した二段
階の成形によって経済的有利に一定品質の把手を量産で
きるという優れたメリットを有するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は射出ブロー成形によって得た硬質熱可塑性樹脂から
なる把手主体の表面に射出成形によって軟質熱可塑性樹
脂の均一な厚みの被覆を形成する点に困難な問題が残さ
れている。すなわち、硬質熱可塑性樹脂の把手主体の表
面にインサート成形によって軟質熱可塑性樹脂を被覆す
るには、把手主体をインサート成形用の金型のキャビテ
ィ内に動かないように固定してキャビティの内面との間
に所定の均一な間隙を保持して支持することが必要であ
る。しかしながら、一般に把手は、手によって把持され
る手頃な太さの細長な成形体からなるものであるため、
インサート成形時にこの細長な把手主体を金型のキャビ
ティ内に正しく保持することが困難で、把手主体がキャ
ビティ内に正しく支持されていないと軟質合成樹脂の被
覆の厚みを均一にすることができない。
【0005】把手主体表面への軟質合成樹脂の被覆に際
し、その厚みが不均一であると、把手として使用した場
合に厚みの薄い部分がいち早く損傷して品質の欠陥によ
り把手の寿命を短くする。これを防ぐために被覆の全体
の厚みを必要以上に厚くすることは把手の仕様上好まし
くないばかりでなく、コストダウンを図ることができな
い。また、把手主体の金型キャビティ内への支持が不充
分で射出される溶融樹脂の流動などで把手主体が動いた
りすると、得られた把手の表面に溶融樹脂の流動による
好ましくない流紋模様が形成される。
【0006】この発明はかゝる現状に鑑み、硬質熱可塑
性樹脂の射出ブロー成形によって得えられる中空な把手
主体、あるいは射出成形によって得られる中実な把手主
体の表面に所定の厚みの軟質熱可塑性樹脂の被覆を均一
に形成した良好な表面状態の合成樹脂把手部材と、かゝ
る合成樹脂把手部材の製造方法を提供せんとするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の請求項1に記載の発明は、一次成形金型
による硬質熱可塑性樹脂の成形で把手部材の主体をなす
所定の長さと形状の中空な一次成形体を形成し、得た一
次成形体の中央部又は/及び両端部の所定部位を二次成
形金型で支持すると共に、インサート成形によって一次
成形体の外周面に軟質熱可塑性樹脂の被覆を形成して二
次成形体とし、該二次成形金型の支持で生じた軟質熱可
塑性樹脂の被覆のない部位のうち、把手として使用され
たときに表面に露出する部位を別体で得た充填部材で掩
蔽して所定の形状としたことを特徴とする合成樹脂把手
部材である。
【0008】この発明の請求項4に記載の発明は、一次
成形用金型による硬質熱可塑性樹脂の成形で得た把手部
材の主体をなす所定の長さと形状の一次成形体を得る一
次成形工程と、二次成形金型内で前記一次成形体の中央
部又は/及び両端部の所定部位を二次成形金型に設けた
支持部で支持して一次成形体を二次成形用金型内の正規
の位置に保持しつゝ、その外周面に溶融熱可塑性樹脂の
射出によるインサート成形で軟質熱可塑性合成樹脂の被
覆を形成する二次成形体を得る二次成形工程とからな
り、該二次成形体の支持で生じた軟質熱可塑性樹脂の被
覆のない部位のうち、把手として使用されたときに表面
に露出される部位を充填部材で掩蔽して所定の形状とし
たことを特徴とする合成樹脂把手部材の製造方法であ
る。
【0009】また、請求項7に記載の発明は、前記一次
形成体が中央部又は/及び両端部の所定部位に二次成形
金型に設けた支持部が当接される欠落部を形成して一次
成形され、この欠落部に二次成形用金型の前記支持部を
当接させて一次成形体を支持しつゝ二次成形して外周面
に軟質熱可塑性合成樹脂の被覆を形成したのち、前記支
持部の当接による一次成形体の欠落部を含めた二次成形
体表面の被覆のない部位のうち、把手として使用された
ときに表面に露出される部位を別体で得た硬質熱可塑性
樹脂の充填部材で掩蔽することを特徴とする請求項4,
5,6のいずれかに記載の合成樹脂把手部材の製造方法
である。
【0010】請求項8に記載の発明は、前記一次成形体
の中央部に形成した前記欠落部もしくは該中央部の表面
を、二次成形金型のキャビティ面に突設した支持部によ
って支持して二次成形することを特徴とする請求項4ま
たは7記載の合成樹脂把手部材の製造方法である。
【0011】さらに、請求項9に記載の発明は、前記一
次成形体の中央部に形成した前記欠落部もしくは該中央
部の表面を、二次成形金型に設けたキャビティ面に対し
て進退する可動の支持部の前進によって支持し、二次成
形金型の両端から射出した溶融熱可塑性樹脂が当該支持
部の近傍に到達する直前に支持部先端をキャビテイ面ま
で後退させて前記の支持を解除して二次成形し、前記支
持部で支持された一次成形体の中央部を軟質熱可塑性樹
脂で被覆することを特徴とする請求項4または7記載の
合成樹脂把手部材の製造方法である。
【0012】また、請求項10に記載の発明は、前記一
次成形体は、その中央部に形成する欠落部が上下面に形
成した凹部で、両端部に形成する欠落部がボルトによる
取付孔の部分を残して形成した表面部であること特徴と
する請求項7記載の合成樹脂把手部材の製造方法であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明において把手部材とは、
それ自体で単一の把手として対象面に取り付けることが
できるもの及び個々の部材の複数を組み立てることによ
って単一の把手として対象面に取り付けることができる
前記個々の部材をいう。また、この発明における一次成
形体とは、硬質熱可塑性樹脂の射出ブロー成形によって
得られる中空体、もしくは硬質熱可塑性樹脂の射出成形
によって得られる中実体のいずれであってもよい。な
お、前記中実体は射出成形によることが好ましいが、他
の成形手段で得たものであってもよい。
【0014】この発明において、一次成形に使用される
硬質熱可塑性樹脂としては、ポリオキシエチレン、ポリ
フェニレンエーテル、ABS樹脂、ポリプロピレン、ガ
ラス繊維を配合したアクリロニトリル−スチレン共重合
樹脂およびガラス繊維を配合したポリプロピレンなどの
射出ブロー成形が可能な硬質熱可塑性樹脂が好適に使用
される。
【0015】また、二次成形によって上記一次形成体の
外周面に被覆する軟質熱可塑性樹脂としては、ポリウレ
タン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラ
ストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマーおよ
びポエエステル系熱可塑性エラストマーなどの各種のエ
ラストマーからなる軟質熱可塑性樹脂が好適に使用され
る。
【0016】この発明において、二次成形金型による支
持によって生じた二次成形体の軟質熱可塑性樹脂の被覆
が形成されない部位は、得られた二次成形体を把手とし
て使用した場合に、この被覆のない一次成形体の部分が
表面に露出して把手の美観を損ねたり、使用時の触感を
悪くすることがないようにするために、使用時に表面に
露出する被覆のない部位を充填部材によって遮蔽するも
のである。かゝる充填部材としては、好ましくは把手主
体を構成する一次成形体と同様の硬質熱可塑性樹脂成形
体が使用される。
【0017】また、被覆されない部位は、二次成形体の
中央部とその両端部のいずれかもしくはその両者に形成
されるが、両端部の把手主体の対象面への取付部分を別
途化粧カバーなどによって覆うような場合には、その部
位を前記充填部材によって遮蔽する必要がない。
【0018】また、請求項9の発明のように、二次成形
金型の中央部のキャビティ面に、該キャビティ面に対し
て進退する可動の支持部を設け、該二次成形金型内にセ
ットした一次成形体をこの支持部の前進によって一次成
形体の中央部に形成した欠落部もしくは該欠落部のない
表面を支持し、二次成形金型の両端から射出した溶融熱
可塑性樹脂が当該支持部の近傍に到達する直前に支持部
先端をキャビテイ面まで後退させてその支持を解除して
二次成形することによって、前記前記支持部で支持され
た一次成形体の中央部が軟質熱可塑性樹脂で被覆され、
中央部に被覆のない部分が形成されないため充填部材で
遮蔽する必要がない。
【0019】
【作用】この発明の合成樹脂把手部材は、把手部材の芯
となる硬質熱可塑性樹脂の一次成形体を射出ブロー成形
によって中空体として、あるいは射出成形による中実体
として得、この一次成形体の外周面にインサート成形に
よって軟質熱可塑性樹脂の均一な被覆を形成して把手部
材としたもので、前記軟質熱可塑性樹脂の被覆を均一と
するために、細長な一次成形体の中央部又は/及び両端
部の所定部位を二次成形金型に設けた支持部で支持する
ことによって一次成形体を確実に支持してインサート成
形することができる。しかしながら、これによって得ら
れた二次成形体の中央部又は/及び両端部の所定部位の
表面には、前記した支持部による被覆のない部分が生ず
ることが避けられない。
【0020】しかして、この把手部材が実際に把手とし
て使用された場合には、かゝる被覆の形成されない部分
が表面に露出されると見苦しくなり、手が触れたときの
感触もよくないので、この表面に露出される前記被覆の
ない部分をなくするようにして二次成形するか、または
この表面に露出される被覆のない部位を別体で得た充填
部材で遮蔽して優れた表面状態の把手部材となすのであ
る。
【0021】この発明の合成樹脂把手部材の製造方法
は、二次成形によるインサート成形に際して均一な被覆
を確実に形成するため、一次成形体の中央部又は/及び
両端部の所定部位を二次成形金型に設けた支持部で支持
して二次成形金型内の正規の位置に動くことなく確実に
支持してインサート成形するものである。その際、この
支持部で支持された部位に生ずる被覆の形成されない部
位で、実際に把手として使用した場合に表面に露出され
る被覆のない部位を別体で得た充填部材で遮蔽する(請
求項4,7〜8)か、または二次成形金型に設けた可動
の支持部の進退によってその被覆のない部位を生じない
ようにする(請求項9)のである。
【0022】この発明の合成樹脂把手部材の製造方法で
得た把手部材は、実際に手で把持される部分が長手方向
の中央部であり、両端部は対象面に取り付けるための取
付部となるため、この長手方向の中央部に被覆のない部
分が存在することは好ましくないので、この中央部に被
覆のない部分を形成しないようにするか、または被覆の
ない部分が生じても前記充填部材で遮蔽する。また、両
端部に生じた被覆のない部分は前記した充填部材で遮蔽
するか、または別途化粧カバーによって掩蔽することに
よって不体裁となることがない。
【0023】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付の図面に基づ
いてさらに具体的に説明する。図1は、この発明のそれ
自体で単一の把手として使用することができる把手部材
の一例を示す一部切欠斜視図である。把手部材1は、長
手方向の中央部2が手によって容易に把持することがで
きる程度の太さの断面円形をなし、長手方向にほゞ弧状
に湾曲して両端において次第にその幅を大きくし、かつ
湾曲の度合いを強めて目的物に当接してボルト止めされ
る取付面4,4を有する取付部3,3を形成している。
【0024】この把手部材1は、単一な把手の形状をな
した硬質熱可塑性樹脂の中空な一次成形体5と、その外
側を覆う軟質熱可塑性樹脂の被覆6とで形成される。一
次成形体5の中央部2の上部と下部には、被覆6で覆わ
れていない凹部からなる欠落部7,7が形成され、この
欠落部7,7には表面を面一にするために硬質の熱可塑
性樹脂の成形によって得られた充填部材8,8が接着剤
によって一体的に嵌着固定されている。
【0025】一方、一次成形体5の両端部の取付部3,
3の上面には、同じく被覆6で覆われていない欠落部
9,9が形成される。この欠落部9,9は、貫通した1
個のボルト孔12,12を有する内底部の取付面4,4
を残しており、把手部材1がこの取付面4,4のボルト
孔を利用して目的とするドアなどの表面にボルト11で
取り付けられた後に、欠落部9,9に別体として成形し
た硬質熱可塑性樹脂による充填部材10,10を嵌合し
て最終的に表面の被覆6と面一となるように覆われるも
のである。この充填部材10,10はボルト11の取り
外しが可能なように着脱自在に嵌合される。
【0026】かゝる把手部材1は、基本的には以下に述
べるように一次成形金型を用いた射出ブロー成形による
一次成形で把手主体を構成する一次成形体5を成形し、
ついでこの一次成形体5を二次成形金型内にセットし、
その外周面をインサート成形による二次成形で二次成形
体1(便宜上把手部材1と同符号で示す)とすることに
よって得られるものである。
【0027】前記一次成形には、図2に示すように閉じ
合わせによって内部に全体ほゞ弧状のキャビティ22を
形成する固定した下型21bと上下に可動する上型21
aの一対の一次成形金型21が使用される。一次成形金
型21における下型21bと上型21aは、図3に示す
ように、アンダーカットの部分を形成しないように、実
際にはキャビティ22の中央の部分を型の閉じ合わせ面
としている。
【0028】上型21aおよび下型21bには、キャビ
ティ22内の中央部の上下方向に孤状に突出する突起2
3aおよび23bをそれぞれ具備している。また、上型
21aの両端の把手の取付部3,3に相当する部分には
一次成形体5の欠落部9,9の形成のための突部24,
24が設けられている。上型21a,下型21bの両端
には、型の閉じ合わせによってキャビティ22内に連通
する溶融樹脂の射出のためのゲート25,25が形成さ
れている。また、下型21bには、キャビティ22内に
窒素ガス、空気、炭酸ガスなどの圧縮ガスを吹き込むた
めのブロー用通孔26が設けられている。
【0029】しかして、可動の上型21aを下降して固
定した下型21bに閉じ合わせ、ゲート25から硬質熱
可塑性樹脂の溶融物の所定量を射出し、つづいて、この
溶融樹脂が固化する前にブロー用通孔26から圧縮ガス
を吹き込むことによってキャビティ22内の溶融物がキ
ャビティ22の型面に押し付けられて内部が中空な所定
形状の硬質熱可塑性樹脂からなる一次成形体5を得るこ
とができる。
【0030】閉じ合わせた一次成形金型21を開放し、
内部の一次成形体5を取り出したのちの一次成形体5に
は、下型21aと上型21bに形成されたキャビティ2
2内に突出する突起23a,23bによって中央の上下
面に凹部からなる欠落部7,7が形成されている。ま
た、上型21bの両端に形成された突部24,24によ
って、両端部に前記1個のボルト孔12,12を有する
内底部の取付面4,4を残して欠落部9,9が形成され
ている。
【0031】これらの欠落部7,7および9,9によっ
て、一次成形体5は正規の把手主体とは異なった形状の
ものとなるが、これら欠落部7,7および9,9は、次
に実施するインサート成形による二次成形の際に必要と
なるものである。かゝる一次成形で得られた一次成形体
5は、図4に示す二次成形金型31のキャビティ32内
にセットされる。
【0032】上記二次成形金型31は、図4で示すとお
り、閉じ合わせによって一次成形で得られた一次成形体
5をインサートし、かつその周囲に一定間隙のキャビテ
ィ32aを存することができる全体ほゞ弧状のキャビテ
ィ32を形成するもので、上下に可動の上型31aと固
定された下型32bとからなるものである。しかして、
この二次成形金型31も前記一次成形金型21と同様に
アンダーカット部分の形成がないように実際にはキャビ
ティ32の中央の部分を型の閉じ合わせ面としているも
のである。
【0033】上型31aおよび下型31bには、弧状の
長手方向中央部のキャビティ32内に突出して前記一次
成形体5に形成された先端が欠落部7,7に受け入れら
れて支持される支持部33aおよび33bをそれぞれ具
備している。また、前記把手主体2の両端に形成した欠
落部9,9に受け入れられて支持される支持部34,3
4が設けられている。
【0034】これら各支持部33a,33bおよび3
4,34は、その先端が上型31a,下型31bの閉じ
合わせによってキャビティ32内にインサートした一次
成形体5の前記各欠落部に当接して一次成形体5をキャ
ビティ32の正規の位置に固定するもので、これによっ
て、一次成形体5をその外周面に形成されるキャビティ
32aの間隔が均一となるようにして保持されるもので
ある。
【0035】かくして保持された一次成形体5の外周の
キャビティ32a内に金型の両端に設けたゲート35,
35を通じて軟質熱可塑性樹脂の溶融物を射出してイン
サート成形により一次成形体5の外周に軟質熱可塑性樹
脂の被覆6を形成する。
【0036】射出成形終了後に型開きして取り出した二
次成形体1には、二次成形金型31内の正規の位置に一
次成形体5が確実に保持されるため、この一次成形体5
の表面に均一な厚みの流紋模様のない被覆6が形成され
る。
【0037】この二次成形体1は、前記金型31の支持
部33a,33bおよび34,34の当接によって被覆
6が形成されずに欠落部7,7および9,9を表面に露
出したものが得られるが、欠落部7,7には前記した充
填部材8,8を、また、欠落部9,9には前記充填部材
10,10をそれぞれ嵌着することによって表面が面一
の把手部材1を得ることができる。その際、カバー部材
8,8は欠落部7,7に接着剤を使用して離脱不能に嵌
着一体化し、カバー部材10,10は欠落部9,9に形
成されているボルト孔12を通して目的物にボルト11
締めした後で嵌着するように着脱自在とするものであ
る。
【0038】図5〜図7は、この発明の他の実施例を示
す二次成形金型の構造とそれによる二次成形方法の説明
のための部分断面図である。この二次成形金型41を構
成する上型41aと下型41bには、キャビティの長手
方向の中央部に上下方向に貫通して油圧プランジャー
(図示せず)によってキャビティ面に対して進退する棒
状の支持部43a,43bを設けている。
【0039】かゝる二次成形金型41を使用して図1で
示した一次成形体5に被覆6を形成するには、図5に示
すように、金型41の閉じ合わせに際して支持部43
a,43bを金型のキャビティ面より前進させてキャビ
ティ内にセットした一次成形体5の前記欠落部7,7に
当接させて支持する。
【0040】次いで、図6に示すように、閉じ合わせた
二次成形金型41の両端から溶融熱可塑性樹脂を射出
し、射出された溶融熱可塑性樹脂が支持部43a,43
bの近傍に到達する直前に当該支持部43a,43bの
先端を上下の金型41a,41bのキャビテイ面まで後
退させて一次成形体5の支持を解除して二次成形するも
のである。
【0041】この操作は、二次成形による溶融樹脂の射
出開始の時点から溶融樹脂が流れて一次成形体5の長手
方向中央部の近傍に至るまでの時間と、インサートした
一次成形体5の外周面のキャビティ42a内を埋めるに
要する樹脂量とをあらかじめ計測し、この時間をタイマ
ーを介して前記の油圧プランジャーと、樹脂の射出のた
めのプランジャーに連携させ、タイマーの設定時間によ
り射出された溶融樹脂の所定量が前記キャビティ42内
の長手方向中央部の近傍に至ったときに支持部43a,
43bを進退させる油圧プランジャーを作動させて前記
支持部43a,43bの先端をキヤビティ面にまで後退
させ、同時に樹脂の射出のためのプランジャー作動を停
止してインサート成形するものである。
【0042】これにより図7のように溶融樹脂は、欠落
部7,7の存在する中央のキャビティ内にも流入して欠
落部7,7を埋めて表面に被覆のない部分を有しない面
一な被覆46で覆われた把手部材を得ることができる。
【0043】図8は、他の二次成形金型による実施例を
示すもので、この二次成形金型41は、図5〜図7の二
次成形金型41の上下型41a,41bに組み込む棒状
の支持部43a,43bの前進を、一次成形体5aから
なる把手主体の表面までに留めて長手方向の中央部に欠
落部7,7を有しない一次成形体5aの長手方向におけ
る中央部の表面を支持し、同様にして射出した溶融樹脂
がこの中央部を支持している支持部の43a,43bの
近傍に到達したときに先端をキヤビティ面にまで後退さ
せるものである。これにより中央部の表面に被覆のない
部分を有しない面一な被覆46で覆われた把手部材を得
ることができる。
【0044】この場合、支持部43a,43bを後退さ
せることなく、一次成形体5aの表面に当接したまゝイ
ンサート成形することにより、図4で示す二次成形と同
様の中央部の表面に被覆のない部分を形成した二次成形
体を得ることもできる。
【0045】図9は、この発明の他の合成樹脂把手部材
で構成された把手を示すもので、この把手51は主とし
てトイレや風呂場その他に取り付けて高齢者の安全のた
めに有利に使用する目的で、一端にそれぞれ45°の角
度の接続面を形成した所定の長さと形状を有する対称な
一対の中空な把手部材52aと52bをその接続面で接
続して90°の角度を有する把手としたものである。
【0046】しかして、把手部材52aと52bは、角
度45°の接続面で接続されることによって直角方向に
伸びた一対の把持部分を有し、接続部53の近傍と各他
端54aおよび54bが下方側に湾曲してその湾曲端面
を取付面としてそれぞれ各2本のボルト(図示せず)に
よって取り付けんとする対象物にボルト止めされるもの
である。このボルトによる取付部には、それぞれ欠落部
(図示せず)が成形され、この欠落部の表面を充填部材
55,55・・・・・で遮蔽して面一な表面を形成して
いる。
【0047】これら把手部材52aと52bは、長手方
向の中央部に二次成形に際して一次成形体の支持のため
の欠落部を形成することなく、前記と同様にして硬質熱
可塑性樹脂の射出ブロー成形によって両端にそれぞれ前
記欠落部を有する一次成形体56を得、この一次成形体
56の各欠落部に当接して支持される突部を有する二次
成形金型を使用して、前記一次成形体を支持し、その外
周面にインサート成形によって軟質熱可塑性樹脂の被覆
57を形成したものである。
【0048】把手51を構成する把手部材52aおよび
52bは、その形状が互いに対称であるため、一方の把
手部材の製造に準拠して他方の把手部材も容易に製造す
ることができる。この把手部材52aおよび52bは、
図2〜図8で示した一次および二次の成形金型に準拠し
た構造の各成形金型と、前記に準拠した成形方法によっ
てそれぞれ容易に得ることができるものである。得られ
た把手部材52aおよび52bとは、前記接続部53で
接続されて同様にして対象面に容易にボルト止めされる
ものである。なお、図示しないが前記接続部53の接合
面は、互いに係合する凹部とこれに係合する凸部または
凹溝とこれに係合する凸条などで係合させることによっ
てより緊密な接続が可能である。
【0049】図10は、この発明のさらに他の把手部材
の構造を示す縦断面図であって、図11はその一部を切
欠いて示した平面図である。この把手部材61は、基本
的には把手主体62とその外周面に形成した被覆66と
によって構成されているものである。
【0050】前記把手主体62は、背面に指を掛けるた
めの波状の凹部63を設けた所定の長さを有するストレ
ートな中空な直管部62aと、その両端に一体的に形成
される90°の角度に屈曲した中空なベンド部64a,
64bおよびこのベンド部64a,64bの各基端部に
一体的に設けられた平面形状がC型をなした中実な取付
座65a,65bとによって構成されている。
【0051】この把手主体62の外周面に形成する被覆
66は、前記直管部62aと、その両端のベンド部64
a,64bに形成されている。前記把手主体62は、一
次成形金型(図示は省略する)を使用して硬質熱可塑性
樹脂の射出ブロー成形によって形成される。
【0052】すなわち、一次成形金型に形成した両端の
取付座65a,65bの部分から溶融した所定量の硬質
熱可塑性樹脂を射出し、ついで、溶融状態の硬質熱可塑
性樹脂で形成された取付座65a,65bのいずれか一
方、たとえば取付座65bの成形のための金型部分に形
成したガス注入口67から加圧ガスを注入して金型内に
射出した樹脂を金型のキャビティ面に押し付けて中実な
取付座65a,65bを除く他の部分が中空な一次成形
体からなる把手主体62を得るものである。
【0053】得られた把手主体62は、同じく図示しな
い二次成形金型内にセットされ、前記取付座65a,6
5bの部分を金型によって支持して取付座65a,65
bの部分から溶融した軟質熱可塑性樹脂を射出して把手
主体62の直管部62aとベンド部64a,64bの部
分に軟質熱可塑性樹脂による被覆66を形成するもので
ある。
【0054】その際に、把手主体62は、前記取付座6
5a,65bが前記C型の安定した板状をなしているの
で、この取付座65a,65bを二次成形金型で支持さ
せるのみで二次成形金型内に正常な状態で確実に支持す
ることができ、直管部62aの中央部を支持する必要が
ない。したがって、直管部62aには、金型の支持によ
って被覆されない部分は生じない。また、金型によって
支持される前記取付座65a,65bの部分には被覆が
形成されないが、この部分は把手部材61の使用に際し
て化粧カバー69a,69bで別途に覆って表面に現れ
ることがないので、充填部材であえて掩蔽する必要もな
い。
【0055】かくて得た中空の把手部材61は、取付座
65a,65bに設けたボルト貫通孔に固定用のボルト
58,58・・・を貫通して目的物(たとえばドアA)
にねじ込み締付けることによって取付けられる。なお、
70は化粧カバー69a,69bを係止するために、取
付座65a,65bに設けたフックである。
【0056】上記の実施例はいずれも一次成形体を硬質
熱可塑性樹脂の射出ブロー成形で得た中空体を使用して
説明しているが、射出成形等で得た中実体であってもよ
いことは勿論である。
【0057】
【発明の効果】この発明の合成樹脂把手部材は、射出ブ
ロー成形または射出成形等によって把手部材の芯となる
中空体もしくは中実体からなる把手主体を硬質熱可塑性
樹脂の一次成形体で構成し、この一次成形体の外周面に
軟質熱可塑性樹脂の被覆をインサート成形によって均一
な被覆を形成して把手部材となる二次成形体としたもの
で、この二次成形体を実際に把手部材として使用した場
合に、表面に軟質熱可塑性樹脂の被覆のない部位が露出
しない優れた表面状態となしたものである。
【0057】この発明の合成樹脂把手部材の製造方法
は、軟質熱可塑性樹脂の被覆を均一とするために、細長
な一次成形体の中央部又は/及び両端部の所定部位を二
次成形金型に設けた支持部で確実に支持して均一な被覆
を形成することができるものである。また、これによっ
て得られた二次成形体の中央部又は/及び両端部の所定
部位の表面には、支持部による被覆のない部分が生ずる
が、この把手部材は実際に把手として使用された場合の
表面に露出される部位の前記被覆のない部分をなくして
二次成形するか、二次成形後の前記表面に露出される被
覆のない部位を充填部材によって遮蔽することによって
優れた表面状態として、体裁のよい合成樹脂把手部材と
することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の合成樹脂把手部材の一例を示す一部
切欠斜視図である。
【図2】図1の把手部材の一次成形体の製造を示す一次
成形金型の縦断面図である。
【図3】図2におけるA−A端面図である。
【図4】図1の把手部材の二次成形体の製造を示す二次
成形金型の縦断面図である。
【図5】二次成形金型の他の構造と、その二次成形方法
を示し、一次成形体の支持状態を示す部分縦断面図であ
る。
【図6】同じく二次成形による流入途中の樹脂の状態を
示す部分縦断面図である。
【図7】同じく二次成形の終了時の状態を示す部分縦断
面図である。
【図8】二次成形金型の他の構造とその二次成形方法を
示し、流入途中の樹脂の状態を示す部分縦断面図であ
る。
【図9】この発明の合成樹脂把手部材の他の例を示す一
部切欠斜視図である。
【図10】この発明の合成樹脂把手部材のさらに他の例
を示す縦断面図である。
【図11】図10における一部切欠平面図である。
【符号の説明】
1 把手部材 2 中央部 3 取付部 4 取付面 5 一次成形体 6 被覆 7,9 欠落部 8,10 充填部材 10 充填部材 11 ボルト

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次成形金型による硬質熱可塑性樹脂の
    成形で把手部材の主体をなす所定の長さと形状の中空な
    一次成形体を形成し、得た一次成形体の中央部又は/及
    び両端部の所定部位を二次成形金型で支持すると共に、
    インサート成形によって一次成形体の外周面に軟質熱可
    塑性樹脂の被覆を形成して二次成形体とし、該二次成形
    金型の支持で生じた軟質熱可塑性樹脂の被覆のない部位
    のうち、把手として使用されたときに表面に露出する部
    位を別体で得た充填部材で掩蔽して所定の形状としたこ
    とを特徴とする合成樹脂把手部材。
  2. 【請求項2】 前記一次成形体は、射出ブロー成形によ
    って得た中空体であることを特徴とする請求項1記載の
    合成樹脂把手部材。
  3. 【請求項3】 前記一次成形体は、射出成形によって得
    た中実体であることを特徴とする請求項1記載の合成樹
    脂把手部材。
  4. 【請求項4】 一次成形用金型による硬質熱可塑性樹脂
    の成形で得た把手部材の主体をなす所定の長さと形状の
    一次成形体を得る一次成形工程と、二次成形金型内で前
    記一次成形体の中央部又は/及び両端部の所定部位を二
    次成形金型に設けた支持部で支持して一次成形体を二次
    成形用金型内の正規の位置に保持しつゝ、その外周面に
    溶融熱可塑性樹脂の射出によるインサート成形で軟質熱
    可塑性合成樹脂の被覆を形成する二次成形体を得る二次
    成形工程とからなり、該二次成形体の支持で生じた軟質
    熱可塑性樹脂の被覆のない部位のうち、把手として使用
    されたときに表面に露出される部位を充填部材で掩蔽し
    て所定の形状としたことを特徴とする合成樹脂把手部材
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記一次成形体は、射出ブロー成形によ
    って得た中空体であることを特徴とする請求項4記載の
    合成樹脂把手部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一次成形体は、射出成形によって得
    た中実体であることを特徴とする請求項4記載の合成樹
    脂把手部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記一次形成体が中央部又は/及び両端
    部の所定部位に二次成形金型に設けた支持部が当接され
    る欠落部を形成して一次成形され、この欠落部に二次成
    形用金型の前記支持部を当接させて一次成形体を支持し
    つゝ二次成形して外周面に軟質熱可塑性合成樹脂の被覆
    を形成したのち、前記支持部の当接による一次成形体の
    欠落部を含めた二次成形体表面の被覆のない部位のう
    ち、把手として使用されたときに表面に露出される部位
    を別体で得た硬質熱可塑性樹脂の充填部材で掩蔽するこ
    とを特徴とする請求項4,5,6のいずれかに記載の合
    成樹脂把手部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記一次成形体の中央部に形成した前記
    欠落部もしくは該中央部の表面を、二次成形金型のキャ
    ビティ面に突設した支持部によって支持して二次成形す
    ることを特徴とする請求項4または7記載の合成樹脂把
    手部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記一次成形体の中央部に形成した前記
    欠落部もしくは該中央部の表面を、二次成形金型に設け
    たキャビティ面に対して進退する可動の支持部の前進に
    よって支持し、二次成形金型の両端から射出した溶融熱
    可塑性樹脂が当該支持部の近傍に到達する直前に支持部
    先端をキャビテイ面まで後退させて前記の支持を解除し
    て二次成形し、前記支持部で支持された一次成形体の中
    央部を軟質熱可塑性樹脂で被覆することを特徴とする請
    求項4または7記載の合成樹脂把手部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記一次成形体は、その中央部に形成
    する欠落部が上下面に形成した凹部で、両端部に形成す
    る欠落部がボルトによる取付孔の部分を残して形成した
    表面部であること特徴とする請求項7記載の合成樹脂把
    手部材の製造方法。
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