JPH09152742A - トナーバインダー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナー - Google Patents
トナーバインダー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナーInfo
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- JPH09152742A JPH09152742A JP30963595A JP30963595A JPH09152742A JP H09152742 A JPH09152742 A JP H09152742A JP 30963595 A JP30963595 A JP 30963595A JP 30963595 A JP30963595 A JP 30963595A JP H09152742 A JPH09152742 A JP H09152742A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 着色剤などとの混練性に優れ、しかも耐オフ
セット性、低温定着性、耐巻き付き性について良好な特
性を有するトナーバインダー用ポリエステル樹脂および
これを用いたトナーを提供する。 【解決手段】 (a)エーテル化ビスフェノールと、全
アルコール成分に対して0.5〜20モル%のダイマー
ジオールとからなる2価アルコール、および、(b)2
価カルボン酸成分、および、(c)3価以上の多価アル
コール、および/または、(d)3価以上の多価カルボ
ン酸成分、を構成成分として共重合されてなり、かつ、
前記(c)と(d)との総含有量が全構成成分に対して
3〜25モル%であるトナーバインダー用ポリエステル
樹脂。
セット性、低温定着性、耐巻き付き性について良好な特
性を有するトナーバインダー用ポリエステル樹脂および
これを用いたトナーを提供する。 【解決手段】 (a)エーテル化ビスフェノールと、全
アルコール成分に対して0.5〜20モル%のダイマー
ジオールとからなる2価アルコール、および、(b)2
価カルボン酸成分、および、(c)3価以上の多価アル
コール、および/または、(d)3価以上の多価カルボ
ン酸成分、を構成成分として共重合されてなり、かつ、
前記(c)と(d)との総含有量が全構成成分に対して
3〜25モル%であるトナーバインダー用ポリエステル
樹脂。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、静電印刷法などの分野において使用される静電
荷像現像用トナーに好適なトナーバインダー用ポリエス
テル樹脂およびこれを用いたトナーに関するものであ
る。
記録法、静電印刷法などの分野において使用される静電
荷像現像用トナーに好適なトナーバインダー用ポリエス
テル樹脂およびこれを用いたトナーに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真法は、米国特許第229
7691号明細書や米国特許第2357809号明細書
に記載されているように、光導電性絶縁体よりなるロー
ラー表面上に静電荷像を形成し、これを着色微粉末から
なる乾式現像剤によりトナー像として顕像化する現像工
程と、この後、得られたトナー像を紙などの転写シート
に転写する転写工程と、さらに加熱、加圧などにより永
久定着させる定着工程とからなる。
7691号明細書や米国特許第2357809号明細書
に記載されているように、光導電性絶縁体よりなるロー
ラー表面上に静電荷像を形成し、これを着色微粉末から
なる乾式現像剤によりトナー像として顕像化する現像工
程と、この後、得られたトナー像を紙などの転写シート
に転写する転写工程と、さらに加熱、加圧などにより永
久定着させる定着工程とからなる。
【0003】最近、複写機においては高速化や小型化お
よび省エネルギー化が志向されており、この要請に応え
る定着工程として、熱効率が良く、コンパクトな機構を
有し、高速化が可能な加熱ローラー定着方式が好ましく
用いられている。
よび省エネルギー化が志向されており、この要請に応え
る定着工程として、熱効率が良く、コンパクトな機構を
有し、高速化が可能な加熱ローラー定着方式が好ましく
用いられている。
【0004】しかしながら、加熱ローラー定着方式にお
いては、加熱ローラー面とトナー像面が接触するため
に、トナーが加熱ローラー表面に転写し、これが次に送
られてくる紙に転写して画像を汚すという、いわゆるオ
フセット現象が発生する。
いては、加熱ローラー面とトナー像面が接触するため
に、トナーが加熱ローラー表面に転写し、これが次に送
られてくる紙に転写して画像を汚すという、いわゆるオ
フセット現象が発生する。
【0005】このようなオフセット現象を防止するため
に、特公昭51−23354号公報において、スチレン
系の架橋樹脂をトナーバインダー用樹脂として用いるこ
とが提案された。以来、加熱ローラー定着方式において
は、種々の改善を経ながら、主としてスチレン−アクリ
ル酸系エステル共重合体がトナーバインダー用樹脂とし
て用いられてきた。
に、特公昭51−23354号公報において、スチレン
系の架橋樹脂をトナーバインダー用樹脂として用いるこ
とが提案された。以来、加熱ローラー定着方式において
は、種々の改善を経ながら、主としてスチレン−アクリ
ル酸系エステル共重合体がトナーバインダー用樹脂とし
て用いられてきた。
【0006】一方、最近では、ポリエステル樹脂が、よ
り低温で定着が可能であり、しかも定着されたトナー像
は塩化ビニル系可塑剤に対する耐久性に優れ、さらに、
透明性に優れカラー化にも対応可能である等の点で、従
来のスチレン−アクリル酸系エステル共重合体等よりも
優れていることが見い出され、トナーバインダー用樹脂
として注目されている。
り低温で定着が可能であり、しかも定着されたトナー像
は塩化ビニル系可塑剤に対する耐久性に優れ、さらに、
透明性に優れカラー化にも対応可能である等の点で、従
来のスチレン−アクリル酸系エステル共重合体等よりも
優れていることが見い出され、トナーバインダー用樹脂
として注目されている。
【0007】一般にポリエステル樹脂は、2価のカルボ
ン酸および/又はその低級エステルと2価のアルコール
との縮合反応により製造されるが、このようにして得ら
れる直鎖状成分のみからなるポリエステル樹脂をトナー
バインダー用樹脂として用いた場合、耐オフセット性が
極めて悪く、良好な転写画像を得ることができない。
ン酸および/又はその低級エステルと2価のアルコール
との縮合反応により製造されるが、このようにして得ら
れる直鎖状成分のみからなるポリエステル樹脂をトナー
バインダー用樹脂として用いた場合、耐オフセット性が
極めて悪く、良好な転写画像を得ることができない。
【0008】そこで、ポリエステル樹脂をトナーバイン
ダー用樹脂として用いた場合のオフセット現象を改良す
る手段として、特開昭50−75043号公報、特開昭
54−86342号公報において、3価のカルボン酸お
よび/又は3価のアルコールを共重合させることによっ
て得られる三次元綱目構造を有したポリエステル樹脂
を、トナーバインダーとして用いることが提案されてい
る。
ダー用樹脂として用いた場合のオフセット現象を改良す
る手段として、特開昭50−75043号公報、特開昭
54−86342号公報において、3価のカルボン酸お
よび/又は3価のアルコールを共重合させることによっ
て得られる三次元綱目構造を有したポリエステル樹脂
を、トナーバインダーとして用いることが提案されてい
る。
【0009】しかしながら、このように3価以上の多価
カルボン酸および/又は3価以上の多価アルコールを共
重合させることで架橋化されたポリエステル樹脂には、
耐オフセット性、耐巻き付き性については著しい改良効
果がある反面、架橋度を増すことにより樹脂の流動性が
低下し、ポリエステル樹脂本来の特質である低温定着性
を損なうという欠点があった。従って、トナー特性にお
ける低温定着性を有するとともに、耐オフセット性、耐
巻き付き性についても良好な物性を具備する樹脂を得る
ことは一般に困難であると考えられる。
カルボン酸および/又は3価以上の多価アルコールを共
重合させることで架橋化されたポリエステル樹脂には、
耐オフセット性、耐巻き付き性については著しい改良効
果がある反面、架橋度を増すことにより樹脂の流動性が
低下し、ポリエステル樹脂本来の特質である低温定着性
を損なうという欠点があった。従って、トナー特性にお
ける低温定着性を有するとともに、耐オフセット性、耐
巻き付き性についても良好な物性を具備する樹脂を得る
ことは一般に困難であると考えられる。
【0010】さらに、多価成分の共重合によって架橋を
形成させる縮合反応工程においては、架橋反応が急激に
進行するため、反応生成物がゲル化し易い。そして、得
られるポリエステル樹脂中のゲル成分量が増加するに伴
って、顔料、荷電制御剤などの添加剤との混練性は著し
く低下する傾向となり、トナー特性においては色むら、
帯電量が不均一であることによるカブリなどが発生し易
くなるという問題を含んでいる。
形成させる縮合反応工程においては、架橋反応が急激に
進行するため、反応生成物がゲル化し易い。そして、得
られるポリエステル樹脂中のゲル成分量が増加するに伴
って、顔料、荷電制御剤などの添加剤との混練性は著し
く低下する傾向となり、トナー特性においては色むら、
帯電量が不均一であることによるカブリなどが発生し易
くなるという問題を含んでいる。
【0011】これに対し、特開昭60−4947号公
報、特開昭60−67958号公報、特開昭−9034
4号公報において、ポリエステル樹脂の高架橋化に伴う
定着開始温度の上昇を抑える手法として、直鎖状ポリエ
ステル樹脂をブレンドする方法が提案されている。しか
しながら、実際には、溶融粘性が大きく異なる高架橋ポ
リエステル樹脂と直鎖状ポリエステル樹脂とを均一に分
散させうる条件下においては、エステル交換反応および
分子鎖のメカノケミカル的開裂が高い頻度で発生し、こ
のため、混練後のポリエステル樹脂においては耐オフセ
ット性を有するに十分な高架橋成分を保持させ難いとい
う問題がある。
報、特開昭60−67958号公報、特開昭−9034
4号公報において、ポリエステル樹脂の高架橋化に伴う
定着開始温度の上昇を抑える手法として、直鎖状ポリエ
ステル樹脂をブレンドする方法が提案されている。しか
しながら、実際には、溶融粘性が大きく異なる高架橋ポ
リエステル樹脂と直鎖状ポリエステル樹脂とを均一に分
散させうる条件下においては、エステル交換反応および
分子鎖のメカノケミカル的開裂が高い頻度で発生し、こ
のため、混練後のポリエステル樹脂においては耐オフセ
ット性を有するに十分な高架橋成分を保持させ難いとい
う問題がある。
【0012】また、特開平2−127657号公報、特
開平5−134453号公報、特開平5−295092
号公報においては、ポリエステル樹脂骨格中に脂肪族成
分を共重合させることによって樹脂の軟化点の上昇を抑
え、低温定着性を維持しようとする方法が提案されてい
る。しかしながら、直鎖状の低分子量脂肪族成分を共重
合させる場合、軟化点を下げる一方で、樹脂のガラス転
移温度が大幅に低下して、トナーの耐ブロッキング性が
悪化するという問題を有している。
開平5−134453号公報、特開平5−295092
号公報においては、ポリエステル樹脂骨格中に脂肪族成
分を共重合させることによって樹脂の軟化点の上昇を抑
え、低温定着性を維持しようとする方法が提案されてい
る。しかしながら、直鎖状の低分子量脂肪族成分を共重
合させる場合、軟化点を下げる一方で、樹脂のガラス転
移温度が大幅に低下して、トナーの耐ブロッキング性が
悪化するという問題を有している。
【0013】他方、耐オフセット性を改善する手段とし
ては、定着工程において加熱ローラーによる加熱により
十分溶融するような低分子量のポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのワックスをトナー中に少量添加する方法が
行われているが、この方法は、オフセット防止には効果
がある反面、トナーの凝集性が増す、帯電特性が不安定
になる、耐久性が低下するなどの悪影響も認められ、十
分なものとはいい難い。
ては、定着工程において加熱ローラーによる加熱により
十分溶融するような低分子量のポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのワックスをトナー中に少量添加する方法が
行われているが、この方法は、オフセット防止には効果
がある反面、トナーの凝集性が増す、帯電特性が不安定
になる、耐久性が低下するなどの悪影響も認められ、十
分なものとはいい難い。
【0014】以上のように、トナーバインダー用樹脂の
物性としては、耐オフセット性、低温定着性、耐巻き付
き性、帯電安定性を同時に満足するものであることが必
須であり、さらにトナー化への工程を通じてバインダー
樹脂の物性が低下することなく、安定した架橋構造を有
するポリエステル系バインダー樹脂が強く求められてい
る。
物性としては、耐オフセット性、低温定着性、耐巻き付
き性、帯電安定性を同時に満足するものであることが必
須であり、さらにトナー化への工程を通じてバインダー
樹脂の物性が低下することなく、安定した架橋構造を有
するポリエステル系バインダー樹脂が強く求められてい
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、着色剤など
との混練性に優れ、しかも耐オフセット性、低温定着
性、耐巻き付き性について良好な特性を有するトナーバ
インダー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナー
を提供することを目的とするものである。
との混練性に優れ、しかも耐オフセット性、低温定着
性、耐巻き付き性について良好な特性を有するトナーバ
インダー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナー
を提供することを目的とするものである。
【0016】さらに、本発明の他の目的は、高温高湿の
環境下でも帯電安定性が保持され、かつ耐久性に優れ、
さらに多量の帯電制御剤を添加することなく容易に正帯
電、負帯電の両方の用途に使用可能なトナーバインダー
用ポリエステル樹脂およびこれを用いた静電荷像現像用
トナーを提供することにある。
環境下でも帯電安定性が保持され、かつ耐久性に優れ、
さらに多量の帯電制御剤を添加することなく容易に正帯
電、負帯電の両方の用途に使用可能なトナーバインダー
用ポリエステル樹脂およびこれを用いた静電荷像現像用
トナーを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、3価以上の多価カル
ボン酸および/又は多価アルコールと、2価カルボン酸
成分と、特定の2価アルコール成分とを縮重合させて得
られるポリエステル樹脂が、着色剤などとの混練性に優
れた特性を有すること、および耐オフセット性、低温定
着性、帯電安定性が良好なトナー特性を有することを見
いだし本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の構
成を要旨とするものである。
題を解決すべく鋭意検討した結果、3価以上の多価カル
ボン酸および/又は多価アルコールと、2価カルボン酸
成分と、特定の2価アルコール成分とを縮重合させて得
られるポリエステル樹脂が、着色剤などとの混練性に優
れた特性を有すること、および耐オフセット性、低温定
着性、帯電安定性が良好なトナー特性を有することを見
いだし本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の構
成を要旨とするものである。
【0018】1.(a)式(1)で表されるエーテル化
ビスフェノールと、全アルコール成分に対して0.5〜
20モル%の式(2)で表されるダイマージオールとか
らなる2価アルコール成分、および(b)2価カルボン
酸および/または2価カルボン酸の酸無水物および/ま
たは2価カルボン酸の低級アルキルエステルからなる2
価カルボン酸成分、および(c)3価以上の多価アルコ
ール、および/または(d)3価以上の多価カルボン酸
および/または3価以上のカルボン酸の酸無水物および
/または3価以上のカルボン酸の低級アルキルエステル
からなる3価以上の多価カルボン酸成分、を構成成分と
して共重合されてなり、かつ、前記(c)と(d)との
総含有量が全構成成分に対して3〜25モル%であるこ
とを特徴とするトナーバインダー用ポリエステル樹脂。
ビスフェノールと、全アルコール成分に対して0.5〜
20モル%の式(2)で表されるダイマージオールとか
らなる2価アルコール成分、および(b)2価カルボン
酸および/または2価カルボン酸の酸無水物および/ま
たは2価カルボン酸の低級アルキルエステルからなる2
価カルボン酸成分、および(c)3価以上の多価アルコ
ール、および/または(d)3価以上の多価カルボン酸
および/または3価以上のカルボン酸の酸無水物および
/または3価以上のカルボン酸の低級アルキルエステル
からなる3価以上の多価カルボン酸成分、を構成成分と
して共重合されてなり、かつ、前記(c)と(d)との
総含有量が全構成成分に対して3〜25モル%であるこ
とを特徴とするトナーバインダー用ポリエステル樹脂。
【0019】
【化3】 ……(1)
【0020】但し、R1 =エチレン基又はプロピレン
基、R2 =エチレン基又はプロピレン基である。そし
て、mおよびnは各々整数であり、しかもmとnとの和
の平均値が2.1〜3.0である。
基、R2 =エチレン基又はプロピレン基である。そし
て、mおよびnは各々整数であり、しかもmとnとの和
の平均値が2.1〜3.0である。
【0021】
【化4】 ……(2)
【0022】但し、R3 〜R6 はいずれも不飽和基を含
まず実質的に直鎖状であり、R3 、R4 はアルキル基、
R5 、R6 はアルキレン基であって、R3 、R4 、R
5 、R6 の炭素数の総和は22〜34である。
まず実質的に直鎖状であり、R3 、R4 はアルキル基、
R5 、R6 はアルキレン基であって、R3 、R4 、R
5 、R6 の炭素数の総和は22〜34である。
【0023】トナーバインダーとして用いる本発明のポ
リエステル樹脂は、特定のジオール成分としてダイマー
ジオールを共重合させてなることを特徴としている。通
常の粉砕・分級法によるトナー製造においては、着色剤
および添加剤をバインダー樹脂に混練することを目的と
する混練工程を有する。しかし、高次に架橋構造を有す
るポリエステル樹脂では 着色剤および添加剤の分散性
を高めるために高せん断下で混練を行った場合、樹脂中
の高架橋成分が選択的にメカノケミカル的に分子鎖切断
を起こし、ついには耐オフセット性を失ってしまうとい
う相反した問題を有している。一方、混練時の温度を上
げるなどして溶融流動性を高めた状態で混練した場合、
逆にせん断応力が不足し、均一分散が得られなくなるこ
ととなる。これに対し、本発明のダイマージオールを共
重合させた場合、ポリエステル樹脂の溶融粘度を低く制
御することができ、高いせん断応力を要せずに効果的に
着色剤、添加剤等の分散効率を高めることが可能とな
る。従って、混練時の分子鎖切断が大幅に低減でき、耐
オフセット性に優れたトナーを提供することが可能とな
る。
リエステル樹脂は、特定のジオール成分としてダイマー
ジオールを共重合させてなることを特徴としている。通
常の粉砕・分級法によるトナー製造においては、着色剤
および添加剤をバインダー樹脂に混練することを目的と
する混練工程を有する。しかし、高次に架橋構造を有す
るポリエステル樹脂では 着色剤および添加剤の分散性
を高めるために高せん断下で混練を行った場合、樹脂中
の高架橋成分が選択的にメカノケミカル的に分子鎖切断
を起こし、ついには耐オフセット性を失ってしまうとい
う相反した問題を有している。一方、混練時の温度を上
げるなどして溶融流動性を高めた状態で混練した場合、
逆にせん断応力が不足し、均一分散が得られなくなるこ
ととなる。これに対し、本発明のダイマージオールを共
重合させた場合、ポリエステル樹脂の溶融粘度を低く制
御することができ、高いせん断応力を要せずに効果的に
着色剤、添加剤等の分散効率を高めることが可能とな
る。従って、混練時の分子鎖切断が大幅に低減でき、耐
オフセット性に優れたトナーを提供することが可能とな
る。
【0024】さらに本発明においては、ダイマージオー
ルとともに特定の付加率のエーテル化ビスフェノールを
共重合させることによりポリエステル樹脂のガラス転移
点を適切な温度に保持しながら、より溶融流動性を向上
させることができる。従って、ポリエステル樹脂は軟化
点が下がり、よってトナー特性においては耐ブロッキン
グ性および低温定着性が優れたものとなる。
ルとともに特定の付加率のエーテル化ビスフェノールを
共重合させることによりポリエステル樹脂のガラス転移
点を適切な温度に保持しながら、より溶融流動性を向上
させることができる。従って、ポリエステル樹脂は軟化
点が下がり、よってトナー特性においては耐ブロッキン
グ性および低温定着性が優れたものとなる。
【0025】また、ポリエステル樹脂の酸価が3mgK
OH/g以下であることから、樹脂中の残存カルボキシ
ル基の量が少なく、高温高湿下においてトナーは吸湿し
にくくなり、高湿下での帯電量の低下は抑えられる。従
って、本発明のポリエステル樹脂からなるトナーの特性
においては、トナー帯電量が使用環境(温度および湿
度)に影響を受けにくく、帯電安定性に優れたものとな
る。
OH/g以下であることから、樹脂中の残存カルボキシ
ル基の量が少なく、高温高湿下においてトナーは吸湿し
にくくなり、高湿下での帯電量の低下は抑えられる。従
って、本発明のポリエステル樹脂からなるトナーの特性
においては、トナー帯電量が使用環境(温度および湿
度)に影響を受けにくく、帯電安定性に優れたものとな
る。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明は、2価アルコール成分と
して、ダイマージオールと呼ばれるジオール化合物を必
須成分として用いることを大きな特徴としている。
して、ダイマージオールと呼ばれるジオール化合物を必
須成分として用いることを大きな特徴としている。
【0027】ここで、ダイマージオールとは炭素数15
〜21である(不飽和)脂肪酸を二量化した後に還元し
て得られる式(2)で表される化合物をいう。
〜21である(不飽和)脂肪酸を二量化した後に還元し
て得られる式(2)で表される化合物をいう。
【0028】
【化5】 ……(2)
【0029】但し、R3 〜R6 はいずれも不飽和基を含
まず実質的に直鎖状であり、R3 、R4 はアルキル基、
R5 、R6 はアルキレン基であって、R3 、R4 、R
5 、R6 の炭素数の総和は22〜34である。
まず実質的に直鎖状であり、R3 、R4 はアルキル基、
R5 、R6 はアルキレン基であって、R3 、R4 、R
5 、R6 の炭素数の総和は22〜34である。
【0030】なお、一般的には、式(2)のなかで、R
3 、R4 、R5 、R6 の炭素数の総和が28のダイマー
ジオールが代表的である。また、式(2)で示されるダ
イマージオールを製造するに際しては、式(3)で示さ
れるジオール化合物が副生することがあるが、これを分
離することなく混合物のまま用い、式(3)で示される
ジオール化合物を式(2)で示されるダイマージオール
とともに併用しても良い。但し、この場合、一般的に
は、式(2)で示されるダイマージオールと式(3)で
示されるジオール化合物との割合が、ダイマージオール
(主生成物)/ジオール化合物(副生成物)=60/4
0〜85/15(重量比)であることが好ましい。
3 、R4 、R5 、R6 の炭素数の総和が28のダイマー
ジオールが代表的である。また、式(2)で示されるダ
イマージオールを製造するに際しては、式(3)で示さ
れるジオール化合物が副生することがあるが、これを分
離することなく混合物のまま用い、式(3)で示される
ジオール化合物を式(2)で示されるダイマージオール
とともに併用しても良い。但し、この場合、一般的に
は、式(2)で示されるダイマージオールと式(3)で
示されるジオール化合物との割合が、ダイマージオール
(主生成物)/ジオール化合物(副生成物)=60/4
0〜85/15(重量比)であることが好ましい。
【0031】
【化6】 ……(3)
【0032】但し、R' 3〜R' 6はいずれも不飽和基を含
まず実質的に直鎖状であり、R' 3、R' 4はアルキル基、
R5 '、R6 'はアルキレン基であって、R' 3、R' 4、
R' 5、R6 'の炭素数の総和は25〜27である。なお、
代表的な例としては炭素数の総和は31である。
まず実質的に直鎖状であり、R' 3、R' 4はアルキル基、
R5 '、R6 'はアルキレン基であって、R' 3、R' 4、
R' 5、R6 'の炭素数の総和は25〜27である。なお、
代表的な例としては炭素数の総和は31である。
【0033】さらに、ダイマージオールの製造の際、式
(3)で示される前記のジオール化合物のほか、式
(2)においてR3 基とR5-CH2-OH基との結合位置
が入れ替わったようなジオール化合物、ビシクロ環を含
むジオール化合物が副生することもあるが、式(2)で
示されるダイマージオールが50重量%以上を占める主
生成物である限り、これらが少量混在していても良い。
(3)で示される前記のジオール化合物のほか、式
(2)においてR3 基とR5-CH2-OH基との結合位置
が入れ替わったようなジオール化合物、ビシクロ環を含
むジオール化合物が副生することもあるが、式(2)で
示されるダイマージオールが50重量%以上を占める主
生成物である限り、これらが少量混在していても良い。
【0034】ダイマージオールの含有割合は、ポリエス
テル樹脂の全アルコール成分に対して、0.5〜20モ
ル%であり、好ましくは1〜15モル%である。ダイマ
ージオールの含有割合が0.5モル%未満の場合、得ら
れたポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなるため、低シ
ェア下での混練性に乏しく、混練工程においては着色剤
および添加剤を均一に分散させるためには高い混練シェ
アが必要となる。そして、高い混練シェアによりポリエ
ステル樹脂の架橋構造が破壊され、トナー特性において
耐オフセット性が損なわれることとなる。さらに、低温
域での溶融流動性に乏しいため定着強度が低く、したが
って低温定着性に劣るものとなる。逆に、ダイマージオ
ールの含有割合が20モル%を超える場合、ポリエステ
ル樹脂の軟化点および溶融粘度が大きく低下するため、
トナー化工程での混練性は一層向上し、またトナーの定
着強度はさらに向上することとなる。しかし一方で、ポ
リエステル樹脂のガラス転移温度が低下するためトナー
粒子の耐ブロッキング性が大幅に損なわれることとな
る。従って、トナーの物性バランスを考慮した場合、ダ
イマージオールの含有割合は、ポリエステル樹脂の全ア
ルコール成分に対して0.5〜20モル%の範囲に制御
することが必要となる。
テル樹脂の全アルコール成分に対して、0.5〜20モ
ル%であり、好ましくは1〜15モル%である。ダイマ
ージオールの含有割合が0.5モル%未満の場合、得ら
れたポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなるため、低シ
ェア下での混練性に乏しく、混練工程においては着色剤
および添加剤を均一に分散させるためには高い混練シェ
アが必要となる。そして、高い混練シェアによりポリエ
ステル樹脂の架橋構造が破壊され、トナー特性において
耐オフセット性が損なわれることとなる。さらに、低温
域での溶融流動性に乏しいため定着強度が低く、したが
って低温定着性に劣るものとなる。逆に、ダイマージオ
ールの含有割合が20モル%を超える場合、ポリエステ
ル樹脂の軟化点および溶融粘度が大きく低下するため、
トナー化工程での混練性は一層向上し、またトナーの定
着強度はさらに向上することとなる。しかし一方で、ポ
リエステル樹脂のガラス転移温度が低下するためトナー
粒子の耐ブロッキング性が大幅に損なわれることとな
る。従って、トナーの物性バランスを考慮した場合、ダ
イマージオールの含有割合は、ポリエステル樹脂の全ア
ルコール成分に対して0.5〜20モル%の範囲に制御
することが必要となる。
【0035】本発明は、2価アルコール成分として、エ
ーテル化ビスフェノールを必須成分として用いることを
も特徴としている。ここで、エーテル化ビスフェノール
とは、オキシエチレン化またはオキシプロピレン化され
たビスフェノールAをいい、式(1)により表されるも
のである。
ーテル化ビスフェノールを必須成分として用いることを
も特徴としている。ここで、エーテル化ビスフェノール
とは、オキシエチレン化またはオキシプロピレン化され
たビスフェノールAをいい、式(1)により表されるも
のである。
【0036】
【化7】 ……(1)
【0037】但し、R1 =エチレン基又はプロピレン
基、R2 =エチレン基又はプロピレン基である。そし
て、mおよびnは各々整数であり、しかもmとnとの和
の平均値が2.1〜3.0である。
基、R2 =エチレン基又はプロピレン基である。そし
て、mおよびnは各々整数であり、しかもmとnとの和
の平均値が2.1〜3.0である。
【0038】すなわち、エーテル化ビスフェノールは、
ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレ
ンオキサイドを整数個付加させたものであり、1モルの
ビスフェノールAに対して平均2.1〜3.0モルのオ
キシエチレンまたはオキシプロピレンを有するものであ
る。オキシエチレンまたはオキシプロピレンがビスフェ
ノールA1モルに対し2.1モル未満の場合、得られる
ポリエステル樹脂において、軟化点が高くなり、低温定
着性が損なわれることとなる。逆に、オキシエチレンま
たはオキシプロピレンがビスフェノールA1モルに対し
3.0モルを超える場合、得られるポリエステル樹脂の
軟化点が低下する反面、ガラス転移温度が低くなるため
耐ブロッキング性が損なわれる。また溶融時の粘着性が
高くなりすぎるため、加熱ローラーへの巻き付きが起こ
り易くなり、定着紙の良好な払い出しができず、安定な
連続定着が困難となる。以上の理由により、エーテル化
ビスフェノールは、さらに好ましくはオキシエチレンま
たはオキシプロピレンをビスフェノールA1モルに対し
て平均2.1モル〜2.8モル有するものが良い。
ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレ
ンオキサイドを整数個付加させたものであり、1モルの
ビスフェノールAに対して平均2.1〜3.0モルのオ
キシエチレンまたはオキシプロピレンを有するものであ
る。オキシエチレンまたはオキシプロピレンがビスフェ
ノールA1モルに対し2.1モル未満の場合、得られる
ポリエステル樹脂において、軟化点が高くなり、低温定
着性が損なわれることとなる。逆に、オキシエチレンま
たはオキシプロピレンがビスフェノールA1モルに対し
3.0モルを超える場合、得られるポリエステル樹脂の
軟化点が低下する反面、ガラス転移温度が低くなるため
耐ブロッキング性が損なわれる。また溶融時の粘着性が
高くなりすぎるため、加熱ローラーへの巻き付きが起こ
り易くなり、定着紙の良好な払い出しができず、安定な
連続定着が困難となる。以上の理由により、エーテル化
ビスフェノールは、さらに好ましくはオキシエチレンま
たはオキシプロピレンをビスフェノールA1モルに対し
て平均2.1モル〜2.8モル有するものが良い。
【0039】このようなエーテル化ビスフェノールとし
ては、例えば、1モルのビスフェノールAに対してオキ
シプロピレンを平均2.3モル付加させて得られるポリ
オキシプロピレン[2.3]−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパンのほかに、ポリオキシエチレ
ン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン[2.8]−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシエチレン[2.4]−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン[2.
1]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン[2.6]−2.2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチ
レン[2.3]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンなどを挙げることができる。なお、[
]内の数値は、オキシエチレンまたはオキシプロピレ
ンの平均付加数を示すものである(以下、同様)。
ては、例えば、1モルのビスフェノールAに対してオキ
シプロピレンを平均2.3モル付加させて得られるポリ
オキシプロピレン[2.3]−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパンのほかに、ポリオキシエチレ
ン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン[2.8]−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシエチレン[2.4]−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン[2.
1]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン[2.6]−2.2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチ
レン[2.3]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンなどを挙げることができる。なお、[
]内の数値は、オキシエチレンまたはオキシプロピレ
ンの平均付加数を示すものである(以下、同様)。
【0040】また、本発明においては、ポリエステル樹
脂の特性を損なわない範囲内において、前記ダイマージ
オールおよびエーテル化ビスフェノール以外の他のジオ
ール成分を加えて共重合させることもできる。ここで、
他のジオール成分としては、例えば、エチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリ
コール、ペンタエチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジ
オール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジ
オール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−
メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,
3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、水素化
ビスフェノールA、シクロヘキシルエチレングリコー
ル、1,2−ジシクロヘキシルエチレングリコール、p
−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールな
どが挙げられる。
脂の特性を損なわない範囲内において、前記ダイマージ
オールおよびエーテル化ビスフェノール以外の他のジオ
ール成分を加えて共重合させることもできる。ここで、
他のジオール成分としては、例えば、エチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリ
コール、ペンタエチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジ
オール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジ
オール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−
メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,
3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、水素化
ビスフェノールA、シクロヘキシルエチレングリコー
ル、1,2−ジシクロヘキシルエチレングリコール、p
−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールな
どが挙げられる。
【0041】本発明に用いられる2価カルボン酸として
は、各種の脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、
芳香族ジカルボン酸が適用される。このうち、脂肪族ジ
カルボン酸として、マレイン酸、フマール酸、シトラコ
ン酸、イタコン酸、グルタコン酸、琥珀酸、アジピン
酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセ
ニル琥珀酸、イソドデセニル琥珀酸、n−ドデシル琥珀
酸、イソドデシル琥珀酸、n−オクテニル琥珀酸、n−
オクチル琥珀酸などを挙げることができる。また、脂環
族ジカルボン酸として、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、水素化2,6−ナフタレンジカルボン酸などを
挙げることができる。さらに、芳香族ジカルボン酸とし
て、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、4,4’−メチレン二安息香
酸などを挙げることができる。
は、各種の脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、
芳香族ジカルボン酸が適用される。このうち、脂肪族ジ
カルボン酸として、マレイン酸、フマール酸、シトラコ
ン酸、イタコン酸、グルタコン酸、琥珀酸、アジピン
酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセ
ニル琥珀酸、イソドデセニル琥珀酸、n−ドデシル琥珀
酸、イソドデシル琥珀酸、n−オクテニル琥珀酸、n−
オクチル琥珀酸などを挙げることができる。また、脂環
族ジカルボン酸として、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、水素化2,6−ナフタレンジカルボン酸などを
挙げることができる。さらに、芳香族ジカルボン酸とし
て、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、4,4’−メチレン二安息香
酸などを挙げることができる。
【0042】また、本発明における2価カルボン酸成分
としては、前記の2価カルボン酸のほかに、前記の2価
カルボン酸の酸無水物、前記の2価カルボン酸の低級ア
ルキルエステルを用いることもでき、これらを単独もし
くは混合して用いることもできる。ここで、前記の酸の
低級アルキルエステルを構成する低級アルキル基として
は、炭素数1〜4のメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s
ec−ブチル基、tert−ブチル基などを例示するこ
とができる(以下の低級アルキルエステルを構成する低
級アルキル基も同じ)。
としては、前記の2価カルボン酸のほかに、前記の2価
カルボン酸の酸無水物、前記の2価カルボン酸の低級ア
ルキルエステルを用いることもでき、これらを単独もし
くは混合して用いることもできる。ここで、前記の酸の
低級アルキルエステルを構成する低級アルキル基として
は、炭素数1〜4のメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s
ec−ブチル基、tert−ブチル基などを例示するこ
とができる(以下の低級アルキルエステルを構成する低
級アルキル基も同じ)。
【0043】本発明に用いられる3価以上の多価アルコ
ールとしては、3〜6価のアルコールが好ましく、例え
ば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロー
ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリ
オール、グリセロール、2−メチルプロパントリオー
ル、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,
5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどを挙げることが
できる。
ールとしては、3〜6価のアルコールが好ましく、例え
ば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロー
ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリ
オール、グリセロール、2−メチルプロパントリオー
ル、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,
5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどを挙げることが
できる。
【0044】本発明に用いられる3価以上の多価カルボ
ン酸としては、3価または4価のカルボン酸が好まし
く、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シ
クロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレン
トリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、ピロメリット
酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジ
カルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプ
ロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,
2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三
量体酸などを挙げることができる。
ン酸としては、3価または4価のカルボン酸が好まし
く、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シ
クロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレン
トリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、ピロメリット
酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジ
カルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプ
ロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,
2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三
量体酸などを挙げることができる。
【0045】また、本発明における多価カルボン酸成分
としては、前記の多価カルボン酸のほかに、前記の多価
カルボン酸の酸無水物、前記の多価カルボン酸の低級ア
ルキルエステルを用いることもでき、これらを単独もし
くは混合して用いることができる。
としては、前記の多価カルボン酸のほかに、前記の多価
カルボン酸の酸無水物、前記の多価カルボン酸の低級ア
ルキルエステルを用いることもでき、これらを単独もし
くは混合して用いることができる。
【0046】本発明においては、3価以上の多価アルコ
ールと多価カルボン酸成分とは、両方を併用して共重合
成分として用いても良いし、あるいは、いずれか一方の
みを共重合成分として用いても良い。
ールと多価カルボン酸成分とは、両方を併用して共重合
成分として用いても良いし、あるいは、いずれか一方の
みを共重合成分として用いても良い。
【0047】ここで、3価以上の多価アルコールと多価
カルボン酸成分との総含有量は、全構成成分に対して3
〜25モル%、好ましくは5〜20モル%であるのが良
い。多価アルコールおよび/又は多価カルボン酸成分の
含有割合が3モル%未満の場合、ポリエステル樹脂にお
ける架橋割合が低いため溶融時の弾性が低くなり、耐オ
フセット性が低下する原因となる。逆に、多価アルコー
ルおよび/又は多価カルボン酸成分の含有割合が25モ
ル%を超える場合、ポリエステル樹脂は架橋割合が高く
なりすぎ、溶融時の弾性は高いものの、逆に硬質で軟化
点が高いものとなり、ダイマージオールを共重合させる
ことで得られるポリエステル樹脂としての溶融混練性お
よびトナーとしての低温定着性が損なわれる。
カルボン酸成分との総含有量は、全構成成分に対して3
〜25モル%、好ましくは5〜20モル%であるのが良
い。多価アルコールおよび/又は多価カルボン酸成分の
含有割合が3モル%未満の場合、ポリエステル樹脂にお
ける架橋割合が低いため溶融時の弾性が低くなり、耐オ
フセット性が低下する原因となる。逆に、多価アルコー
ルおよび/又は多価カルボン酸成分の含有割合が25モ
ル%を超える場合、ポリエステル樹脂は架橋割合が高く
なりすぎ、溶融時の弾性は高いものの、逆に硬質で軟化
点が高いものとなり、ダイマージオールを共重合させる
ことで得られるポリエステル樹脂としての溶融混練性お
よびトナーとしての低温定着性が損なわれる。
【0048】本発明のポリエステル樹脂は、酸価が3m
gKOH/g以下、さらに好ましくは1mgKOH/g
以下であることが好ましい。酸価が3mgKOH/gを
超える場合、溶融時においてカルボキシル基に起因する
エステル交換、分解反応などが生じ易くなるため、ポリ
エステル樹脂の高次構造の崩壊および溶融粘性の低下が
起こり易く、本発明のトナーの耐オフセット性を有しな
がら低温定着性に優れるという特性を失う原因となる。
すなわち、酸価が3mgKOH/g以下であることによ
り、トナー製造の際、着色剤、帯電安定剤などを混練す
るための再溶融工程での物性低下を低減することがで
き、また、得られるトナーに使用環境(湿度・温度)の
変化にかかわらず良好な帯電安定性を付与することがで
きるのである。これらの理由により、本発明のポリエス
テル樹脂の酸価は、1mgKOH/g以下、さらには
0.5mgKOH/g以下であることが好ましい。
gKOH/g以下、さらに好ましくは1mgKOH/g
以下であることが好ましい。酸価が3mgKOH/gを
超える場合、溶融時においてカルボキシル基に起因する
エステル交換、分解反応などが生じ易くなるため、ポリ
エステル樹脂の高次構造の崩壊および溶融粘性の低下が
起こり易く、本発明のトナーの耐オフセット性を有しな
がら低温定着性に優れるという特性を失う原因となる。
すなわち、酸価が3mgKOH/g以下であることによ
り、トナー製造の際、着色剤、帯電安定剤などを混練す
るための再溶融工程での物性低下を低減することがで
き、また、得られるトナーに使用環境(湿度・温度)の
変化にかかわらず良好な帯電安定性を付与することがで
きるのである。これらの理由により、本発明のポリエス
テル樹脂の酸価は、1mgKOH/g以下、さらには
0.5mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0049】本発明のポリエステル樹脂は、数平均分子
量(Mn)が3000〜15000であることが好まし
い。数平均分子量(Mn)が3000未満の場合、ポリ
エステル樹脂は高分子量体の含有比率が低くなり、耐オ
フセット性に劣るものとなる。逆に、数平均分子量(M
n)が15000を超える場合、耐オフセット性は良好
となるものの、高分子量体の含有比率が高いため粉砕性
が悪く、しかも軟化点および定着開始温度が高くなり、
低温定着性が損なわれることとなる。これらの理由によ
り、本発明のポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)
は、10000以下であることがさらに好ましい。
量(Mn)が3000〜15000であることが好まし
い。数平均分子量(Mn)が3000未満の場合、ポリ
エステル樹脂は高分子量体の含有比率が低くなり、耐オ
フセット性に劣るものとなる。逆に、数平均分子量(M
n)が15000を超える場合、耐オフセット性は良好
となるものの、高分子量体の含有比率が高いため粉砕性
が悪く、しかも軟化点および定着開始温度が高くなり、
低温定着性が損なわれることとなる。これらの理由によ
り、本発明のポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)
は、10000以下であることがさらに好ましい。
【0050】本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移
温度が55〜75℃、軟化点が80〜155℃の範囲に
あることが好ましい。ガラス転移温度が55℃未満の場
合、耐ブロッキング性が低下し、充分な保存安定性が得
られにくくなる。逆に、ガラス転移温度が75℃を超え
る場合、樹脂の粉砕性が低下するとともに、定着性に悪
影響を及ぼすようになり、好ましくない。また、軟化点
が80℃未満では、トナー粒子が破壊され易く微粉が生
成し易くなり、キャリア表面に付着し、トナー粒子の帯
電性が低下し、耐オフセット性も低下することとなる。
逆に、軟化点が155℃を超える場合、最低定着温度が
高くなるなど好ましくない現象が発生する。
温度が55〜75℃、軟化点が80〜155℃の範囲に
あることが好ましい。ガラス転移温度が55℃未満の場
合、耐ブロッキング性が低下し、充分な保存安定性が得
られにくくなる。逆に、ガラス転移温度が75℃を超え
る場合、樹脂の粉砕性が低下するとともに、定着性に悪
影響を及ぼすようになり、好ましくない。また、軟化点
が80℃未満では、トナー粒子が破壊され易く微粉が生
成し易くなり、キャリア表面に付着し、トナー粒子の帯
電性が低下し、耐オフセット性も低下することとなる。
逆に、軟化点が155℃を超える場合、最低定着温度が
高くなるなど好ましくない現象が発生する。
【0051】次に、本発明のトナーバインダー用ポリエ
ステル樹脂の製造方法について説明する。本発明のポリ
エステル樹脂は、通常のポリエステル合成法、すなわち
酸成分とジオール成分とを一括あるいは多段の分割添加
により反応系に投入しながら、180℃以上の温度条件
下でエステル化反応またはエステル交換反応を行うこと
によって、あるいは必要に応じて低沸点のジオールを真
空下または窒素気流下で系外へ除去することによって重
縮合を行い、製造する。
ステル樹脂の製造方法について説明する。本発明のポリ
エステル樹脂は、通常のポリエステル合成法、すなわち
酸成分とジオール成分とを一括あるいは多段の分割添加
により反応系に投入しながら、180℃以上の温度条件
下でエステル化反応またはエステル交換反応を行うこと
によって、あるいは必要に応じて低沸点のジオールを真
空下または窒素気流下で系外へ除去することによって重
縮合を行い、製造する。
【0052】このとき、まず、前記のエステル化反応ま
たはエステル交換反応によって低分子量のポリエステル
架橋体を製造し、次いで、この低分子量架橋体の反応系
内に連結剤として2価カルボン酸又は2価アルコールを
添加して、さらにエステル化反応またはエステル交換反
応を行うことによって、低分子量ポリエステル架橋体の
少なくとも一部が2価カルボン酸又は2価アルコールを
介して連結されたポリエステル樹脂を得ることが好まし
い。なぜなら、このように一部が連結された低分子量架
橋体は、全体が過度に高分子量化することがないため、
溶融粘度を低く制御することができ、本発明の目的とす
るトナー特性をさらに向上させることができるからであ
る。なお、低分子量ポリエステル架橋体は少なくとも一
部において連結されておれば良く、全構成単位が連結さ
れている必要はない。
たはエステル交換反応によって低分子量のポリエステル
架橋体を製造し、次いで、この低分子量架橋体の反応系
内に連結剤として2価カルボン酸又は2価アルコールを
添加して、さらにエステル化反応またはエステル交換反
応を行うことによって、低分子量ポリエステル架橋体の
少なくとも一部が2価カルボン酸又は2価アルコールを
介して連結されたポリエステル樹脂を得ることが好まし
い。なぜなら、このように一部が連結された低分子量架
橋体は、全体が過度に高分子量化することがないため、
溶融粘度を低く制御することができ、本発明の目的とす
るトナー特性をさらに向上させることができるからであ
る。なお、低分子量ポリエステル架橋体は少なくとも一
部において連結されておれば良く、全構成単位が連結さ
れている必要はない。
【0053】この場合、低分子量ポリエステル架橋体
は、酸価が10mgKOH/g以下、好ましくは5mg
KOH/g以下であるのが良い。酸価が10mgKOH
/gを超えると、溶融状態で低分子量ポリエステル架橋
体が個々独立には存在し難く、2価カルボン酸または2
価アルコールによる連結よりも低分子量ポリエステル架
橋体同士が直接にエステル結合により連結してしまう傾
向となり、低分子量ポリエステル架橋体間の屈曲性が低
く溶融粘性が高くなり、トナー特性において低温定着性
に劣る傾向となる。
は、酸価が10mgKOH/g以下、好ましくは5mg
KOH/g以下であるのが良い。酸価が10mgKOH
/gを超えると、溶融状態で低分子量ポリエステル架橋
体が個々独立には存在し難く、2価カルボン酸または2
価アルコールによる連結よりも低分子量ポリエステル架
橋体同士が直接にエステル結合により連結してしまう傾
向となり、低分子量ポリエステル架橋体間の屈曲性が低
く溶融粘性が高くなり、トナー特性において低温定着性
に劣る傾向となる。
【0054】また、低分子量ポリエステル架橋体は、数
平均分子量(Mn)が2000以下でなければならず、
好ましくは500〜1500であるのが良い。数平均分
子量(Mn)が2000を超えると、連結して得られる
ポリエステル樹脂は溶融流動性が大幅に低下し、従って
低温定着性に劣るものとなる。
平均分子量(Mn)が2000以下でなければならず、
好ましくは500〜1500であるのが良い。数平均分
子量(Mn)が2000を超えると、連結して得られる
ポリエステル樹脂は溶融流動性が大幅に低下し、従って
低温定着性に劣るものとなる。
【0055】さらに、低分子量ポリエステル架橋体は、
数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比
(Mw/Mn)、すなわち分散度が2.5以上でなけれ
ばならない。分散度(Mw/Mn)が2.5未満である
と、これを2価カルボン酸または2価アルコールにより
連結して得られるポリエステル樹脂のトナー特性におい
て、耐オフセット性が低下する傾向となる。
数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比
(Mw/Mn)、すなわち分散度が2.5以上でなけれ
ばならない。分散度(Mw/Mn)が2.5未満である
と、これを2価カルボン酸または2価アルコールにより
連結して得られるポリエステル樹脂のトナー特性におい
て、耐オフセット性が低下する傾向となる。
【0056】低分子量ポリエステル架橋体を得るに際し
ては、酸成分とアルコール成分との仕込み比率が重要で
ある。つまり、2価カルボン酸を連結剤とする場合に
は、仕込み比率、すなわち全酸成分のモル数をP、全ア
ルコール成分のモル数をQとしたときに、Q/Pで表さ
れる値が、1.1〜3.0となることが好ましい。仕込
み比率(Q/P)が3.0より大きくなる場合、低分子
量ポリエステル架橋体の数平均分子量(Mn)が低く抑
えられるという点では好ましいと認めらるが、未反応の
アルコール成分が多量に残存し、3価以上の多価アルコ
ールを構成成分とする場合には、3価以上の多価アルコ
ールの反応割合が低下する傾向となる。これにより、全
体として3価以上の多価成分の含有割合が減少すること
となり、ひいては分散度(Mw/Mn)を2.5以上に
制御することが困難となり、耐オフセット性が低下する
原因となる。逆に、仕込み比率(Q/P)が1.1より
小さくなる場合、酸成分とアルコール成分のモルバラン
スが均衡に近づくため、低分子量ポリエステル架橋体
は、従来の一括添加型のポリエステル樹脂のように嵩高
く、数平均分子量(Mn)が大きい高分子量の構造体と
なる。すなわち、低分子量ポリエステル架橋体において
酸価を10mgKOH/g以下に制御する過程において
既に数平均分子量(Mn)が5000以上の大きな構造
体となる。従って、重合時に樹脂が急速にゲル化を起こ
し、反応のコントロールが極めて困難な状態となる。
ては、酸成分とアルコール成分との仕込み比率が重要で
ある。つまり、2価カルボン酸を連結剤とする場合に
は、仕込み比率、すなわち全酸成分のモル数をP、全ア
ルコール成分のモル数をQとしたときに、Q/Pで表さ
れる値が、1.1〜3.0となることが好ましい。仕込
み比率(Q/P)が3.0より大きくなる場合、低分子
量ポリエステル架橋体の数平均分子量(Mn)が低く抑
えられるという点では好ましいと認めらるが、未反応の
アルコール成分が多量に残存し、3価以上の多価アルコ
ールを構成成分とする場合には、3価以上の多価アルコ
ールの反応割合が低下する傾向となる。これにより、全
体として3価以上の多価成分の含有割合が減少すること
となり、ひいては分散度(Mw/Mn)を2.5以上に
制御することが困難となり、耐オフセット性が低下する
原因となる。逆に、仕込み比率(Q/P)が1.1より
小さくなる場合、酸成分とアルコール成分のモルバラン
スが均衡に近づくため、低分子量ポリエステル架橋体
は、従来の一括添加型のポリエステル樹脂のように嵩高
く、数平均分子量(Mn)が大きい高分子量の構造体と
なる。すなわち、低分子量ポリエステル架橋体において
酸価を10mgKOH/g以下に制御する過程において
既に数平均分子量(Mn)が5000以上の大きな構造
体となる。従って、重合時に樹脂が急速にゲル化を起こ
し、反応のコントロールが極めて困難な状態となる。
【0057】本発明においてエステル化反応またはエス
テル交換反応を行う際には、反応を促進させるために、
通常のエステル化触媒、エステル交換触媒を使用するこ
とができる。また、必要に応じて減圧下にて製造するこ
ともできる。
テル交換反応を行う際には、反応を促進させるために、
通常のエステル化触媒、エステル交換触媒を使用するこ
とができる。また、必要に応じて減圧下にて製造するこ
ともできる。
【0058】以上により得られる本発明のポリエステル
樹脂は、着色剤などとの混練性に優れ、かつトナー用途
において優れた低温定着性と耐オフセット性を両立した
物性を有する。さらに、帯電安定性、粉砕性に優れた特
性を保持した、酸価3mgKOH/g以下、数平均分子
量(Mn)3000〜15000、ガラス転移温度55
〜75℃、軟化点80〜155℃を満足するポリエステ
ル樹脂を提供することができる。
樹脂は、着色剤などとの混練性に優れ、かつトナー用途
において優れた低温定着性と耐オフセット性を両立した
物性を有する。さらに、帯電安定性、粉砕性に優れた特
性を保持した、酸価3mgKOH/g以下、数平均分子
量(Mn)3000〜15000、ガラス転移温度55
〜75℃、軟化点80〜155℃を満足するポリエステ
ル樹脂を提供することができる。
【0059】本発明のポリエステル樹脂には、トナーバ
インダー用樹脂としての性能を損なわない範囲内、すな
わちポリエステル樹脂中40重量%以下、さらに好まし
くは20重量%以下の範囲内で、公知の熱可塑性樹脂、
例えば本発明以外のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エチレン−
エチルアクリレート樹脂、フェノール樹脂、スチレン−
ブタジエン樹脂、キシレン樹脂、ブチラール樹脂などを
混合または変性により添加しても良い。これらの熱可塑
性樹脂の中ではスチレン−アクリル酸系エステル共重合
体などのスチレン−アクリル系樹脂が特に好ましい。
インダー用樹脂としての性能を損なわない範囲内、すな
わちポリエステル樹脂中40重量%以下、さらに好まし
くは20重量%以下の範囲内で、公知の熱可塑性樹脂、
例えば本発明以外のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エチレン−
エチルアクリレート樹脂、フェノール樹脂、スチレン−
ブタジエン樹脂、キシレン樹脂、ブチラール樹脂などを
混合または変性により添加しても良い。これらの熱可塑
性樹脂の中ではスチレン−アクリル酸系エステル共重合
体などのスチレン−アクリル系樹脂が特に好ましい。
【0060】本発明のトナーは、前記の本発明のトナー
バインダー用ポリエステル樹脂に着色剤が配合されたも
のである。本発明のトナーを製造するには、前記本発明
のポリエステル樹脂を主成分とするトナーバインダー用
樹脂中に、着色剤および必要に応じて各種添加剤を配合
し、ボールミルなどにより混合し、混練、粉砕、分級の
各工程を行えば良い。このとき、トナーの粒径は、1〜
30μm、好ましくは5〜20μmとすることが適当で
ある。
バインダー用ポリエステル樹脂に着色剤が配合されたも
のである。本発明のトナーを製造するには、前記本発明
のポリエステル樹脂を主成分とするトナーバインダー用
樹脂中に、着色剤および必要に応じて各種添加剤を配合
し、ボールミルなどにより混合し、混練、粉砕、分級の
各工程を行えば良い。このとき、トナーの粒径は、1〜
30μm、好ましくは5〜20μmとすることが適当で
ある。
【0061】本発明のトナーに含有する着色剤として
は、公知のものがすべて使用でき、カーボンブラック、
ニグロシン染料、ベンジジンイエロー、キナクリドン、
ローダミンB、フタロシアニンブルー、アニリンブル
ー、カルコオイルブルー、クロームイエロー、ウルトラ
マリンブルー、メチレンブルー、ローズベンガル等、ま
たはこれらの混合物を挙げることができる。
は、公知のものがすべて使用でき、カーボンブラック、
ニグロシン染料、ベンジジンイエロー、キナクリドン、
ローダミンB、フタロシアニンブルー、アニリンブル
ー、カルコオイルブルー、クロームイエロー、ウルトラ
マリンブルー、メチレンブルー、ローズベンガル等、ま
たはこれらの混合物を挙げることができる。
【0062】必要に応じて添加される添加剤としては、
荷電制御剤、磁性体などを挙げることができる。荷電制
御剤としては、正の荷電制御剤では、ニグロシン系染
料、三級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタ
ン系染料、四級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂
などを挙げることができる。負の荷電制御剤としては、
例えば含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチ
ル酸のアルキル誘導体の金属錯体などを挙げることがで
きる。これらの荷電制御剤はトナーバインダー用樹脂に
対して、0.1〜8.0重量%、好ましくは0.2〜
5.0重量%配合される。
荷電制御剤、磁性体などを挙げることができる。荷電制
御剤としては、正の荷電制御剤では、ニグロシン系染
料、三級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタ
ン系染料、四級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂
などを挙げることができる。負の荷電制御剤としては、
例えば含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチ
ル酸のアルキル誘導体の金属錯体などを挙げることがで
きる。これらの荷電制御剤はトナーバインダー用樹脂に
対して、0.1〜8.0重量%、好ましくは0.2〜
5.0重量%配合される。
【0063】また、前記の荷電制御剤等のほか、特性改
良剤として、ワックス等のオフセット防止剤や疎水性シ
リカ等の流動性向上剤が考えられるが、本発明のポリエ
ステル樹脂をバインダー樹脂として用いる場合は、これ
らの特性改良剤を加えることなく、良好なバインダーと
しての性能を発揮することができる。また、添加する場
合でも少量の添加量で十分な改良効果を得ることができ
る。
良剤として、ワックス等のオフセット防止剤や疎水性シ
リカ等の流動性向上剤が考えられるが、本発明のポリエ
ステル樹脂をバインダー樹脂として用いる場合は、これ
らの特性改良剤を加えることなく、良好なバインダーと
しての性能を発揮することができる。また、添加する場
合でも少量の添加量で十分な改良効果を得ることができ
る。
【0064】本発明のトナーは、普通、鉄粉、フェライ
ト、造粒マグネタイトなどのキャリアと混合することに
よって二成分現像剤とされるが、その混合比はキャリア
100重量部に対して0.3〜20重量部とすることが
好ましい。なお、本発明のトナーは磁性体が含有される
ときはそのまま一成分現像剤として、また磁性体が含有
されないときは非磁性一成分現像剤として静電荷像の現
像に供される。
ト、造粒マグネタイトなどのキャリアと混合することに
よって二成分現像剤とされるが、その混合比はキャリア
100重量部に対して0.3〜20重量部とすることが
好ましい。なお、本発明のトナーは磁性体が含有される
ときはそのまま一成分現像剤として、また磁性体が含有
されないときは非磁性一成分現像剤として静電荷像の現
像に供される。
【0065】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、樹脂の物性およびそれを用いて得られるトナー特性
の評価については、以下に記す各種測定法および評価法
にて行った。
お、樹脂の物性およびそれを用いて得られるトナー特性
の評価については、以下に記す各種測定法および評価法
にて行った。
【0066】・ガラス転移温度(℃);示差熱分析装置
(DSC測定装置)を用い、次の操作を行って測定し
た。粉末状サンプル10mgをアルミ製パンに入れ、昇
温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温し、2
50℃において5分放置し、その後10℃/分で20℃
まで冷却する。その後、昇温速度10℃/分で測定し、
ガラス転移領域におけるDSCサーモグラムのピークの
立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜
を示す接線との接点の温度(℃)を、ガラス転移温度
(以下、Tgと記す)とした。
(DSC測定装置)を用い、次の操作を行って測定し
た。粉末状サンプル10mgをアルミ製パンに入れ、昇
温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温し、2
50℃において5分放置し、その後10℃/分で20℃
まで冷却する。その後、昇温速度10℃/分で測定し、
ガラス転移領域におけるDSCサーモグラムのピークの
立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜
を示す接線との接点の温度(℃)を、ガラス転移温度
(以下、Tgと記す)とした。
【0067】・数平均分子量(Mn)および分散度(M
w/Mn);本発明において数平均分子量(Mn)、お
よび数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)と
の比である分散度(Mw/Mn)を算出するための重量
平均分子量の値は、ゲルパーメーションクロマトグラフ
ィーによって測定した値から算出した。測定条件は、温
度40℃で、溶媒としてクロロホルムを1ml/分の流
速で流し、試料濃度10mg/mlのクロロホルムの試
料溶液を0.5ml注入して測定する。なお、カラムと
しては、1×103 〜2×106 の分子量領域を適確に
測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数
本組み合わせて行った。試料の分子量測定にあたって
は、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチ
レン標準試料により作成された検量線の対数値とカウン
ト数との関係から算出した。検出器にはRI(屈折率)
検出器を用いた。
w/Mn);本発明において数平均分子量(Mn)、お
よび数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)と
の比である分散度(Mw/Mn)を算出するための重量
平均分子量の値は、ゲルパーメーションクロマトグラフ
ィーによって測定した値から算出した。測定条件は、温
度40℃で、溶媒としてクロロホルムを1ml/分の流
速で流し、試料濃度10mg/mlのクロロホルムの試
料溶液を0.5ml注入して測定する。なお、カラムと
しては、1×103 〜2×106 の分子量領域を適確に
測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数
本組み合わせて行った。試料の分子量測定にあたって
は、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチ
レン標準試料により作成された検量線の対数値とカウン
ト数との関係から算出した。検出器にはRI(屈折率)
検出器を用いた。
【0068】・軟化点(℃);フローテスター((株)
島津製作所製 CFT−500型)を用いて、測定条件
を、荷重20kg/cm2 、ノズル1mmφ×10m
m、予備加熱80℃で5分間、昇温速度3℃/分とし、
サンプル量1.5gとして測定記録し、フローテスター
のプランジャー降下量−温度曲線(軟化流動曲線)にお
けるS字曲線の高さをhとしたとき、高さがh/2とな
るときの温度(℃)を軟化点とした。
島津製作所製 CFT−500型)を用いて、測定条件
を、荷重20kg/cm2 、ノズル1mmφ×10m
m、予備加熱80℃で5分間、昇温速度3℃/分とし、
サンプル量1.5gとして測定記録し、フローテスター
のプランジャー降下量−温度曲線(軟化流動曲線)にお
けるS字曲線の高さをhとしたとき、高さがh/2とな
るときの温度(℃)を軟化点とした。
【0069】・酸価(mgKOH/g);低分子量ポリ
エステル架橋体およびポリエステル樹脂の酸価はJIS
−K−0070に規定される方法により測定した。
エステル架橋体およびポリエステル樹脂の酸価はJIS
−K−0070に規定される方法により測定した。
【0070】・耐ブロッキング性;トナーを50℃、相
対湿度40%の条件下で48時間放置したときの凝集の
発生の程度を観察した。そして、凝集塊が認められなか
った場合を○、凝集塊が若干生じた場合を△、凝集塊が
著しく認められた場合を×と評価した。
対湿度40%の条件下で48時間放置したときの凝集の
発生の程度を観察した。そして、凝集塊が認められなか
った場合を○、凝集塊が若干生じた場合を△、凝集塊が
著しく認められた場合を×と評価した。
【0071】・オフセット発生温度(℃);実施例およ
び比較例で得た各電子写真用トナーを4部と、樹脂被覆
を施していないフェライトキャリア(パウダーテック社
製 FL−1530)を96部とを混合して二成分系現
像剤を作成した。次に、この現像剤を使用して市販の複
写機((株)東芝製 BD−9110)にてA4の転写
紙に縦2cm、横5cmの帯状の未定着画像を複数作成
した。次いで、表層がテフロン(ポリテトラフルオロエ
チレンの商品名:登録商標)で形成された熱定着ローラ
ーと、表層がシリコーンゴムで形成された圧力定着ロー
ラーとが対になって回転する定着機を、ローラー圧力が
1kg/cm2 およびローラー速度が200mm/秒に
なるように調節し、前記熱定着ローラーの表面温度を段
階的に上昇させて、A4の転写紙に縦2cm、横5cm
の帯状の画像を複写した。そして、転写紙の余白部にオ
フセットによる汚れが発生するか否かの観察を行い、オ
フセットが発生したときの最低の熱定着ロールの表面温
度をオフセット発生温度(℃)とし、耐オフセット性の
評価とした。
び比較例で得た各電子写真用トナーを4部と、樹脂被覆
を施していないフェライトキャリア(パウダーテック社
製 FL−1530)を96部とを混合して二成分系現
像剤を作成した。次に、この現像剤を使用して市販の複
写機((株)東芝製 BD−9110)にてA4の転写
紙に縦2cm、横5cmの帯状の未定着画像を複数作成
した。次いで、表層がテフロン(ポリテトラフルオロエ
チレンの商品名:登録商標)で形成された熱定着ローラ
ーと、表層がシリコーンゴムで形成された圧力定着ロー
ラーとが対になって回転する定着機を、ローラー圧力が
1kg/cm2 およびローラー速度が200mm/秒に
なるように調節し、前記熱定着ローラーの表面温度を段
階的に上昇させて、A4の転写紙に縦2cm、横5cm
の帯状の画像を複写した。そして、転写紙の余白部にオ
フセットによる汚れが発生するか否かの観察を行い、オ
フセットが発生したときの最低の熱定着ロールの表面温
度をオフセット発生温度(℃)とし、耐オフセット性の
評価とした。
【0072】・最低定着温度(℃);前記の定着機で形
成された定着画像に対して、1kgの荷重を載せた、幅
15mmの砂消しゴムのエッジ部による摺擦を施し、次
式に従い定着率を算出し、定着率が70%を超えるとき
の定着ローラーの温度(℃)を最低定着温度とした。な
お、画像濃度は、反射濃度計(マクベス社製 RD−9
14)を用いて測定した。 定着率(%)=[摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前
の定着画像の画像濃度]×100
成された定着画像に対して、1kgの荷重を載せた、幅
15mmの砂消しゴムのエッジ部による摺擦を施し、次
式に従い定着率を算出し、定着率が70%を超えるとき
の定着ローラーの温度(℃)を最低定着温度とした。な
お、画像濃度は、反射濃度計(マクベス社製 RD−9
14)を用いて測定した。 定着率(%)=[摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前
の定着画像の画像濃度]×100
【0073】・転写紙の耐巻き付き性 前記の各現像剤と定着機(熱定着ローラーの表面温度は
170℃に設定した)でコピー試験を行い、転写紙の熱
定着ローラーへの耐巻き付き性評価を行った。転写紙を
連続して500枚、転写機に挿入し、熱定着ローラーへ
の巻き付きの起こらなかった場合を○、巻き付きが1枚
以上の転写紙で起こった場合を×とした。
170℃に設定した)でコピー試験を行い、転写紙の熱
定着ローラーへの耐巻き付き性評価を行った。転写紙を
連続して500枚、転写機に挿入し、熱定着ローラーへ
の巻き付きの起こらなかった場合を○、巻き付きが1枚
以上の転写紙で起こった場合を×とした。
【0074】実施例1 表1に示す仕込み組成に従い、酸成分として、テレフタ
ル酸、無水トリメリット酸、アルコール成分として、式
(4)に示すダイマージオール(東亜合成化学(製)ペ
スポールHP−1000(登録商標))、ポリオキシエ
チレン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンを温度計、ステンレス製撹拌器、流下式
コンデンサーを備えた反応器に入れ、窒素ガス雰囲気下
で内温220℃にて撹拌回転数200r.p.m.で反応を行
った。エステル化が開始し、反応系より水の留出が始ま
り、そして水の留出が終了するまで約5時間反応を行っ
た。得られたポリエステルは酸価2.0mgKOH/g
を、数平均分子量(Mn)1100、Mw/Mnが3.
0である低分子量架橋体であることが確認された。続い
て、この低分子架橋体の反応系に、連結剤としてイソフ
タル酸を表1の割合だけに添加し、内温220℃、撹拌
回転数200r.p.m.の条件下にて低分子架橋体の連結反
応を行った。反応系からの水の流出が終了した時点で系
内を10torr以下に減圧し反応を続けた。この時点での
撹拌トルクメーターは0kg−cmを示した。反応開始
から約2.5時間経過した後、反応系の溶融粘度は徐々
に上昇した。この後、撹拌トルクが3.5kg−cmに
到達した時点で反応を終了させた。また、留出液中に水
以外の留出物は認められなかった。得られたポリエステ
ル樹脂(A1)の物性を、表1に示す。
ル酸、無水トリメリット酸、アルコール成分として、式
(4)に示すダイマージオール(東亜合成化学(製)ペ
スポールHP−1000(登録商標))、ポリオキシエ
チレン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンを温度計、ステンレス製撹拌器、流下式
コンデンサーを備えた反応器に入れ、窒素ガス雰囲気下
で内温220℃にて撹拌回転数200r.p.m.で反応を行
った。エステル化が開始し、反応系より水の留出が始ま
り、そして水の留出が終了するまで約5時間反応を行っ
た。得られたポリエステルは酸価2.0mgKOH/g
を、数平均分子量(Mn)1100、Mw/Mnが3.
0である低分子量架橋体であることが確認された。続い
て、この低分子架橋体の反応系に、連結剤としてイソフ
タル酸を表1の割合だけに添加し、内温220℃、撹拌
回転数200r.p.m.の条件下にて低分子架橋体の連結反
応を行った。反応系からの水の流出が終了した時点で系
内を10torr以下に減圧し反応を続けた。この時点での
撹拌トルクメーターは0kg−cmを示した。反応開始
から約2.5時間経過した後、反応系の溶融粘度は徐々
に上昇した。この後、撹拌トルクが3.5kg−cmに
到達した時点で反応を終了させた。また、留出液中に水
以外の留出物は認められなかった。得られたポリエステ
ル樹脂(A1)の物性を、表1に示す。
【0075】
【化8】 ……(4)
【0076】実施例2〜4 酸成分としては、テレフタル酸、琥珀酸、無水トリメリ
ット酸を、アルコール成分として、実施例1と同一のダ
イマージオール、ポリオキシエチレン[2.2]−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリメ
チロールプロパンを、連結剤として、イソフタル酸、琥
珀酸を用いて、実施例1と同様の製造方法によりポリエ
ステル樹脂A2〜A4を得た。各仕込み組成、得られた
ポリエステル樹脂(A2〜A4)の物性を、表1に示
す。
ット酸を、アルコール成分として、実施例1と同一のダ
イマージオール、ポリオキシエチレン[2.2]−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリメ
チロールプロパンを、連結剤として、イソフタル酸、琥
珀酸を用いて、実施例1と同様の製造方法によりポリエ
ステル樹脂A2〜A4を得た。各仕込み組成、得られた
ポリエステル樹脂(A2〜A4)の物性を、表1に示
す。
【0077】比較例1〜5 酸成分として、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、琥珀酸、無水トリメリット酸を、アルコ
ール成分として、実施例1と同一のダイマージオール、
ポリオキシエチレン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン
[3.5]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、トリメチロールプロパンを、連結剤として、
イソフタル酸、琥珀酸を用いて、実施例1と同様の製造
方法によりポリエステル樹脂B1〜B5を得た。各仕込
み組成、得られたポリエステル樹脂(B1〜B5)の物
性を、表1に示す。
ジカルボン酸、琥珀酸、無水トリメリット酸を、アルコ
ール成分として、実施例1と同一のダイマージオール、
ポリオキシエチレン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン
[3.5]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、トリメチロールプロパンを、連結剤として、
イソフタル酸、琥珀酸を用いて、実施例1と同様の製造
方法によりポリエステル樹脂B1〜B5を得た。各仕込
み組成、得られたポリエステル樹脂(B1〜B5)の物
性を、表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】「樹脂特性およびトナー特性の評価」前記
実施例および比較例で得られたポリエステル樹脂A1〜
A4およびB1〜B5を各々用いて、トナーを製造し
た。すなわち、ポリエステル樹脂100重量部、カーボ
ンブラック(三菱化成工業(株)製 MA−100)
6.5重量部、クロム含金属染料(オリエント化学工業
(株)製 S−34)2部、ポリプロピレン(三洋化成
工業(株)製 ビスコール330P)2部とをスーパー
ミキサーで混合し、二軸押出機により溶融混練し、冷却
した後、ハンマーミルにより粗粉砕し、さらにジェット
ミルにより微粉砕し、次いで分級機により粒径を整え、
平均粒径が10μmの粒度のトナーを製造した。さら
に、これらのトナー4重量部にフェライトキャリア96
重量部を加え現像剤とし、これを用いてトナー特性の評
価を行った。これらの樹脂特性およびトナー特性の評価
結果を表2に示す。
実施例および比較例で得られたポリエステル樹脂A1〜
A4およびB1〜B5を各々用いて、トナーを製造し
た。すなわち、ポリエステル樹脂100重量部、カーボ
ンブラック(三菱化成工業(株)製 MA−100)
6.5重量部、クロム含金属染料(オリエント化学工業
(株)製 S−34)2部、ポリプロピレン(三洋化成
工業(株)製 ビスコール330P)2部とをスーパー
ミキサーで混合し、二軸押出機により溶融混練し、冷却
した後、ハンマーミルにより粗粉砕し、さらにジェット
ミルにより微粉砕し、次いで分級機により粒径を整え、
平均粒径が10μmの粒度のトナーを製造した。さら
に、これらのトナー4重量部にフェライトキャリア96
重量部を加え現像剤とし、これを用いてトナー特性の評
価を行った。これらの樹脂特性およびトナー特性の評価
結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】表2の結果から明らかなように、本発明の
実施例に係わるトナー1〜4は、いずれも、耐ブロッキ
ング性、低温定着性、耐オフセット性、耐巻き付き性の
点において特に優れたトナー特性を示すものであった。
しかも、これらのトナーは、いずれも帯電の環境依存性
も少なく、高速で良好な画像を環境条件によらず安定に
形成することができるものであった。
実施例に係わるトナー1〜4は、いずれも、耐ブロッキ
ング性、低温定着性、耐オフセット性、耐巻き付き性の
点において特に優れたトナー特性を示すものであった。
しかも、これらのトナーは、いずれも帯電の環境依存性
も少なく、高速で良好な画像を環境条件によらず安定に
形成することができるものであった。
【0082】これに対し、比較例1に係るトナーにおい
ては、ダイマージオールの共重合量が高いため、樹脂の
混練特性が良好であり、トナーの耐オフセット性および
低温定着性に優れた特性を有するが、ポリエステル樹脂
のガラス転移温度が低下するためトナーの耐ブロッキン
グ性に劣るものであった。
ては、ダイマージオールの共重合量が高いため、樹脂の
混練特性が良好であり、トナーの耐オフセット性および
低温定着性に優れた特性を有するが、ポリエステル樹脂
のガラス転移温度が低下するためトナーの耐ブロッキン
グ性に劣るものであった。
【0083】比較例2に係るトナーにおいては、架橋成
分量が過多であるため、軟化点が高くなり、粉砕性およ
び低温定着性が劣るものであった。比較例3に係るトナ
ーにおいては、架橋成分量が十分でないため得られるポ
リエステル樹脂は架橋構造の少ない高分子量体となり、
従って粉砕性が悪く、さらに軟化点が高くなることから
低温定着性および耐オフセット性において大きく劣るも
のとなった。
分量が過多であるため、軟化点が高くなり、粉砕性およ
び低温定着性が劣るものであった。比較例3に係るトナ
ーにおいては、架橋成分量が十分でないため得られるポ
リエステル樹脂は架橋構造の少ない高分子量体となり、
従って粉砕性が悪く、さらに軟化点が高くなることから
低温定着性および耐オフセット性において大きく劣るも
のとなった。
【0084】比較例4に係るトナーにおいては、オキシ
エチレン基の長いエーテル化ビスフェノールを含有して
いるため、低温定着性は良好であるものの、溶融時の粘
着性が増大するため、耐巻き付き性に極めて劣るもので
あった。また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低
いため、トナーの耐ブロッキング性にも劣るものであっ
た。
エチレン基の長いエーテル化ビスフェノールを含有して
いるため、低温定着性は良好であるものの、溶融時の粘
着性が増大するため、耐巻き付き性に極めて劣るもので
あった。また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低
いため、トナーの耐ブロッキング性にも劣るものであっ
た。
【0085】比較例5に係るトナーにおいては、本発明
の特徴であるダイマージオールを含有していないため、
着色剤を混練させる工程でポリエステル樹脂の架橋構造
が破壊され、トナーの耐オフセット性に劣るものとなっ
た。
の特徴であるダイマージオールを含有していないため、
着色剤を混練させる工程でポリエステル樹脂の架橋構造
が破壊され、トナーの耐オフセット性に劣るものとなっ
た。
【0086】
【発明の効果】本発明により得られるポリエステル樹脂
を用いたトナー特性においては、耐オフセット性、低温
定着性、耐ブロッキングに優れかつ耐巻き付き性が良好
であり、さらに湿熱環境下においても帯電安定性が良好
に保持され、また酸価が低いことで自己帯電量が小さ
く、多量の帯電制御剤を添加すること無く容易に正帯
電、負帯電の両方に使用できる。
を用いたトナー特性においては、耐オフセット性、低温
定着性、耐ブロッキングに優れかつ耐巻き付き性が良好
であり、さらに湿熱環境下においても帯電安定性が良好
に保持され、また酸価が低いことで自己帯電量が小さ
く、多量の帯電制御剤を添加すること無く容易に正帯
電、負帯電の両方に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 智子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 佐々木 直美 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 奥谷 晴夫 静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社 巴川製紙所技術研究所内
Claims (5)
- 【請求項1】 (a)式(1)で表されるエーテル化
ビスフェノールと、全アルコール成分に対して0.5〜
20モル%の式(2)で表されるダイマージオールとか
らなる2価アルコール成分、および(b)2価カルボン
酸および/または2価カルボン酸の酸無水物および/ま
たは2価カルボン酸の低級アルキルエステルからなる2
価カルボン酸成分、および(c)3価以上の多価アルコ
ール、および/または(d)3価以上の多価カルボン酸
および/または3価以上のカルボン酸の酸無水物および
/または3価以上のカルボン酸の低級アルキルエステル
からなる3価以上の多価カルボン酸成分、を構成成分と
して共重合されてなり、かつ、前記(c)と(d)との
総含有量が全構成成分に対して3〜25モル%であるこ
とを特徴とするトナーバインダー用ポリエステル樹脂。 【化1】 ……(1) 但し、R1 =エチレン基又はプロピレン基、R2 =エチ
レン基又はプロピレン基である。そして、mおよびnは
各々整数であり、しかもmとnとの和の平均値が2.1
〜3.0である。 【化2】 ……(2) 但し、R3 〜R6 はいずれも不飽和基を含まず実質的に
直鎖状であり、R3 、R4 はアルキル基、R5 、R6 は
アルキレン基であって、R3 、R4 、R5 、R6 の炭素
数の総和は22〜34である。 - 【請求項2】 低分子量ポリエステル架橋体にて構成
され、この低分子量ポリエステル架橋体は、酸価が10
mgKOH/g以下、数平均分子量(Mn)が2000
以下、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)
との比(Mw/Mn)が2.5以上であり、かつこの低
分子量ポリエステル架橋体の少なくとも一部が、連結剤
として配合された2価カルボン酸又は2価アルコールで
連結されてなることを特徴とする請求項1記載のトナー
バインダー用ポリエステル樹脂。 - 【請求項3】 酸価が3mgKOH/g以下、数平均
分子量(Mn)が3000〜15000であることを特
徴とする請求項1または2記載のトナーバインダー用ポ
リエステル樹脂。 - 【請求項4】 ガラス転移温度が55〜75℃の範
囲、軟化点が80〜155℃の範囲であることを特徴と
する請求項1から3までのいずれか1項に記載のトナー
バインダー用ポリエステル樹脂。 - 【請求項5】 請求項1から4までのいずれか1項に
記載のトナーバインダー用ポリエステル樹脂に着色剤が
配合されてなることを特徴とするトナー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30963595A JPH09152742A (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | トナーバインダー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30963595A JPH09152742A (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | トナーバインダー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09152742A true JPH09152742A (ja) | 1997-06-10 |
Family
ID=17995417
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30963595A Withdrawn JPH09152742A (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | トナーバインダー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09152742A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011504199A (ja) * | 2007-11-21 | 2011-02-03 | エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド | ポリエステル樹脂及びこれを含むトナー |
WO2015118893A1 (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-13 | 株式会社リコー | トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、及び画像形成装置 |
WO2022014434A1 (ja) * | 2020-07-17 | 2022-01-20 | 三菱ケミカル株式会社 | 脂肪族-芳香族ポリエステル樹脂及びその成形品 |
-
1995
- 1995-11-29 JP JP30963595A patent/JPH09152742A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011504199A (ja) * | 2007-11-21 | 2011-02-03 | エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド | ポリエステル樹脂及びこれを含むトナー |
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CN106164128A (zh) * | 2014-02-04 | 2016-11-23 | 株式会社理光 | 调色剂用聚酯树脂、调色剂、显影剂和图像形成装置 |
JPWO2015118893A1 (ja) * | 2014-02-04 | 2017-03-23 | 株式会社リコー | トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、及び画像形成装置 |
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AU2015214832B2 (en) * | 2014-02-04 | 2017-11-02 | Ricoh Company, Ltd. | Polyester resin for toner, toner, developer, and image formation device |
RU2664797C1 (ru) * | 2014-02-04 | 2018-08-22 | Рикох Компани, Лтд. | Полиэфирная смола для тонера, тонер, проявитель и устройство формирования изображения |
WO2022014434A1 (ja) * | 2020-07-17 | 2022-01-20 | 三菱ケミカル株式会社 | 脂肪族-芳香族ポリエステル樹脂及びその成形品 |
EP4183822A4 (en) * | 2020-07-17 | 2024-01-10 | Mitsubishi Chemical Corporation | ALIPHATIC-AROMATIC POLYESTER RESIN AND ARTICLE MOLDED THEREFROM |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030204 |