JPH09151762A - エンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

エンジンの燃焼制御装置

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JPH09151762A
JPH09151762A JP7312716A JP31271695A JPH09151762A JP H09151762 A JPH09151762 A JP H09151762A JP 7312716 A JP7312716 A JP 7312716A JP 31271695 A JP31271695 A JP 31271695A JP H09151762 A JPH09151762 A JP H09151762A
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雅彦 加藤
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Kimihiro Nonaka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空燃比センサの異常時のエンジントラブルを
回避できるエンジンの燃焼制御装置を提供する。 【解決手段】 検出空燃比が目標空燃比となるよう燃料
供給量を補正制限値の範囲内でフィードバック制御する
ようにしたエンジンの燃焼制御装置において、エンジン
の運転状態を検出する運転状態検出手段と、上記補正制
限値を検出された運転状態に応じた値に設定する補正制
限値設定手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検出空燃比が目標空燃
比となるよう燃料供給量をフィードバック制御するよう
にしたエンジンの燃焼制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンの燃焼制御装置では、空
燃比センサにより燃焼ガスの酸素濃度から混合気の空燃
比を検出し、該空燃比が目標空燃比となるよう燃料供給
量をフィードバック制御する方法が採用されている。こ
の場合、図10に示すように、センサ出力がリッチ状態
を示している場合(同図a)は燃料供給量が徐々に減量
され(同図a′)、リーン状態を示している場合(同図
b)は燃料供給量が徐々に増量される(同図b′)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記空燃比
センサ(O2 センサ)の異常により、図10に破線又は
一点鎖線で示すように、該センサがセンシングしている
燃焼ガスの酸素濃度に関係なく検出信号が所定出力より
もリッチ側もしくはリーン側のままの状態になった場
合、燃焼制御コントローラ(ECU)は、燃料供給量
を、空燃比センサの出力がリッチ側であればリーン(減
量)方向へ、逆にリーン側であればリッチ(増量)方向
へ、フィードバック補正制御を行い、最終的には燃料供
給量を+側又は−側補正制限値いっぱいまで増減させて
しまうこととなる。
【0004】一方、燃焼が不安定になったり、ピスト
ン,コンロッッド等の可動部品が焼き付き等の損傷を受
けるまでの燃料供給量の増減率はエンジンの運転領域に
おいて異なることを本発明者は確認している。ところ
が、上記従来の燃焼制御装置では、上記フィードバック
制御における補正制限値は運転領域に関わらず一定であ
ることから、空燃比センサの異常により以下の問題点が
発生している。この問題点は2サイクルエンジンの場合
に特に顕著である。
【0005】高負荷,高回転域では過リッチによる出力
低下やピストン,コンロッド,クランク軸等の可動部品
の損傷の問題が発生し、部分負荷リーンセット運転域で
はエンジン回転が変動し易く、アイドル,極低速運転域
では回転フィーリングの低下や、バックファイア,エン
ジンストール等が発生するという問題がある。
【0006】ここで図10にも示すように、上記センサ
出力がリッチ状態又はリーン状態に所定時間以上固定さ
れた場合にはセンサ異常と判断して、オープン制御に切
り替える方法も採用されている。しかし、特に船外機等
に採用されるマリンエンジンでは、以下の理由により、
センサ異常時にオープン制御に切り替えることが必ずし
もエンジンを不具合の生じない状態に維持できるとは限
らない。
【0007】即ち、上記マリンエンジンでは、陸上機関
と同様にインジェクタ,レギュレータ,ポンプ等の燃料
系パーツのばらつき、空気流量算出誤差等のばらつきが
あり、さらに水中排気による背圧のばらつきが加わる。
しかもこの背圧は、同一エンジンであっても船の大き
さ,搭載重量,船速等により大きく変化し、エンジンば
らつき全体の10〜40%を占める。これらのばらつき
がオープン制御における燃料供給量の制御精度を低下さ
せるので、上述のようにオープン制御に切り替えること
は必ずしも得策とは言えない。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、空燃比センサの異常時のエンジン出力の低
下やエンジントラブルを回避できるエンジンの燃焼制御
装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、検出
空燃比が目標空燃比となるよう燃料供給量を補正制限値
の範囲内でフィードバック制御するようにしたエンジン
の燃焼制御装置において、エンジンの運転状態を検出す
る運転状態検出手段と、上記補正制限値を検出された運
転状態に応じた値に設定する補正制限値設定手段とを備
えたことを特徴としている。
【0010】請求項2の発明は、高負荷・高回転域の上
記補正制限値を低負荷・低回転域の上記補正制限値より
も小さく設定し、請求項3の発明は、低負荷・低回転域
の上記補正制限値を他の運転領域よりも小さく設定した
点をそれぞれ特徴とし、請求項4の発明は、燃料供給量
の増量側補正制限値と減量側補正制限値とを別個に設定
したことを特徴とし、また請求項5の発明は、減量側制
限値を増量側制限値より小さく設定したことを特徴とし
ている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1ないし図7は本発明の一
実施形態の2サイクルエンジンの燃焼制御装置を説明す
るための図であり、図1は本装置が適用された2サイク
ルエンジンの概略構成図、図2は上記エンジンの運転領
域を示す図、図3,4は該運転領域における燃料供給量
の増量側,減量側補正制限値を示すマップ図、図5,6
は動作を説明するためのフローチャート図、図7は燃料
噴射量の変化を示す図である。
【0012】図1において、1は船外機用水冷式2サイ
クル3気筒クランク軸縦置エンジンであり、これはシリ
ンダブロック2のシリンダボア3a内にピストン3を摺
動自在に挿入配置し、該ピストン3をコンロッド4でク
ランク軸5に連結した構造のものである。
【0013】上記シリンダブロック2の合面にはシリン
ダヘッド6が装着されており、該シリンダヘッド6に形
成された燃焼凹部内には点火プラグ7が挿入されてい
る。なお、2aは排気ポート,2bは掃気ポートであ
る。上記シリンダヘッド6には筒内圧を測定するための
圧力センサ31が装着され、上記クランク軸5にはクラ
ンク角度(エンジン回転数)を検出するためのクランク
角センサ(運転状態検出手段)33が配設されている。
またクランク室8には吸気温度を測定するための温度セ
ンサ32と、クランク室内圧を測定するための圧力セン
サ34とが設けられている。さらに、排気ガスの背圧α
を検出するための圧力センサ36及びエンジン温度を検
出するための温度センサ37が設けられている。
【0014】また番気筒と番気筒との排気ポート2
a,掃気ポート2bより燃焼室側寄り部分同士はバイパ
ス通路40で連通されており、該通路40の途中部分
に、燃焼ガスの酸素濃度から空燃比を検出するためのO
2 センサ(空燃比センサ)35が設けられている。な
お、一般に2サイクルエンジンの場合には新気吹き抜け
の現象があり、このため導入された新気の一部が燃焼ガ
スとともに排出されるので、従来のようにO2 センサを
単に排気管に取り付けるだけでは正確な空燃比を検出で
きなかったが、O2 センサ35を上記パイパス通路40
に配設することにより、新気の混入しない燃焼ガスのみ
の酸素濃度を検出でき、正確な空燃比を検出できるよう
になる。
【0015】上記各クランク室8には吸気通路10がシ
リンダボア3aを介して連通するようにそれぞれ接続さ
れている。該各吸気通路10のクランク室側開口近傍に
は、吸気の逆流を防止するためのリードバルブ11が配
設されている。また上記各吸気通路10には該吸気通路
内に燃料を噴射するためのインジェクタ12が装着され
ており、該インジェクタ12には燃料供給装置13が接
続されている。なお、インジェクタを全気筒共通として
もよい。この場合には吸気マニホールドの集合部に設け
ることになる。また上記吸気通路10内にはスロットル
バルブ15が配設されており、該スロットルバルブ15
の回動量すなわちスロットル開度はスロットルセンサ
(運転状態検出手段)41により検出されるようになっ
ている。さらに船外機本体50には、トリム角βを検出
するためのトリム角検出センサ42が設けられている。
【0016】上記燃料供給装置13は、船体側に配設さ
れた燃料タンク28と、該タンク内の燃料が低圧燃料ポ
ンプ29,水分離フィルタ38を介して供給され、一旦
貯留される船外機側のサブタンク27と、該サブタンク
27内の燃料を上記インジェクタ12に供給する高圧燃
料ポンプ25と、上記燃料の圧力を調節するプレッシャ
レギュレータ26とを備えている。なお27aは上記サ
ブタンク27内のフロートを示しており、該フロート2
7aのレベルに応じて上記低圧燃料ポンプ29が作動さ
れて燃料が供給される。
【0017】上記エンジン1はエンジン燃焼制御装置と
して機能するECU30を備えている。該ECU30に
は上記筒内圧検出センサ31,吸気温検出センサ32,
クランク角度検出センサ33,クランク室内圧検出セン
サ34,O2 センサ35,背圧検出センサ36,エンジ
ン温度検出センサ37,スロットル角検出センサ41,
大気圧検出センサ,シストスイッチ,冷却水温度検出セ
ンサ,及びエンジン振動センサの各検出信号が入力され
ている。またECU30の出力制御信号は、上記点火プ
ラグ7及びインジェクタ12にそれぞれ入力されてい
る。
【0018】上記ECU30には、運転状態(エンジン
回転数,負荷)に基づいて設定される燃料供給量の+側
(増量側),−側(減量側)の補正制限値が記録された
図4に示すマップデータと、所定の運転状態における燃
料供給量の基本値が記録された基本マップデータ(不図
示)と、リッチ,及びリーン状態における上記燃料供給
量の基本値に対する補正係数を示すP,I値,及びP
´,I´値が記録されたマップデータ(不図示)とがそ
れぞれ記憶されている。
【0019】次に、本実施形態装置の動作について説明
する。上記エンジン1が始動されると、上記サブタンク
27内の燃料が高圧燃料ポンプ25により高圧にされて
インジェクタ12に供給される。該インジェクタ12に
より、上記吸気通路10に供給された燃料は空気と混合
しつつクランク室8内に導入され、掃気ポート2bを介
して燃焼室内に導入され、点火プラグ7により点火され
て、ピストン3によりクランク軸5が駆動される。その
後、排気ガスが排気ポート2aを通って外部に排出され
る。このとき、O2 センサ35により燃焼ガスの酸素濃
度から空燃比が検出されて、該検出された空燃比が目標
空燃比となるよう燃料供給量がフィードバック制御され
る。
【0020】本発明の基本的技術思想は、上記燃料供給
量のフィードバック制御において、その補正制限値を運
転状態に応じた値に設定した点にあり、図2,図3は補
正制限値の設定方法の一具体例を概念的に示している。
なお、補正制限値は、エンジン1回転当たりの基本燃料
供給量に対して加味できる制御係数P,Iの最大増減量
を対基本燃料噴射量の%で示したものである。
【0021】本実施形態では、運転領域を、エンジン回
転数と負荷とに基づいて、Aゾーン(高負荷・高回転
域)と、Bゾーン(中負荷・中回転域:パーシャル・リ
ーンセット域)と、Cゾーン(低負荷・低回転域:アイ
ドル・トロール域)と、Dゾーン(急加減速域:過渡
域)と、A〜Dゾーン以外の運転域とに分けて別個に補
正制限値を設定し、さらに各ゾーンにおいて+側(増量
側)と−側(減量側)とで別個に補正制限値を設定して
いる。これらの制限値は、これらの制限値いっぱいまで
燃料供給量が増減された状態でエンジンを連続運転して
もエンジントラブル等の発生しない値に設定される。
【0022】この場合、上記補正制限値は、大(20
%),中(10〜12%),小(5〜7%)と3段階に
区分けされている。そしてまず、上記Aゾーンでは、+
側,−側補正制限値は共に小(5〜7%)で、かつ、+
側の方が−側より大きくなるよう設定される。具体的に
は、図4のマップデータに示すように、+側補正制限値
は7%に、−側補正制限値は5%にそれぞれ設定されて
いる。
【0023】上記Bゾーンでは、+側補正制限値は中
(10〜12%)に、−側補正制限値は小(5〜7%)
に、かつ、+側の方が−側より大きくなるよう設定され
る。具体的には上記マップデータに示すように、+側補
正制限値は10%に、−側補正制限値は7%にそれぞれ
設定されている。
【0024】上記Cゾーンでは、+側,−側補正制限値
は共に中(10〜12%)に、かつ、+側と−側とが略
一致するよう設定される。具体的には上記マップデータ
に示すように、+側,−側補正制限値は共に10%,及
び12%に設定されている。
【0025】上記Dゾーンでは、+側補正制限値は大
(20%)に、−側補正制限値は小(5〜7%)に、か
つ、+側の方が−側より大きくなるよう設定される。具
体的には上記マップデータに示すように、+側補正制限
値は20%に、−側補正制限値は7%にそれぞれ設定さ
れている。
【0026】また上記A〜Dゾーン以外の運転域では、
+側,−側補正制限値は共に大(20)に、かつ、+側
と−側とが略一致するよう設定される。具体的には上記
マップデータに示すように、+側,−側補正制限値は共
に20%に設定されている。
【0027】図3(a),(b),(c)はそれぞれ上
記A,B,Cゾーンにおける補正制限値と燃焼安定域
(斜線領域)との関係を示す。同図から明らかなよう
に、燃焼安定域は、運転ゾーンによって広狭があるが、
本実施形態の補正制限値は、同図に破線で示すように、
何れのゾーンにおいても、+側,−側の何れにおいても
上記燃焼安定域内に納まるように設定されている。
【0028】これに対して従来の補正制限値は、何れの
ゾーンにおいても同じ値で、かつ+側,−側制限値の両
方とも同じ値、例えば20%程度に設定されているの
で、同図に一点鎖線で示すように、安定燃焼域からはみ
出す場合がある。
【0029】次に、本実施形態装置による燃料供給量の
制御動作を図5,6に基づいて説明する。燃料供給量の
制御が開始されると、上記クランク角センサ33,スロ
ットル開度センサ41からのエンジン回転数,スロット
ル開度が読み込まれる(ステップS1,S2)。
【0030】次に、上記読み込まれたデータに応じて、
図4の各マップデータより、+側,−側補正制限値が読
み込まれ(ステップS3,S4)、また、上記O2 セン
サ35からの空燃比検出信号が読み込まれる(ステップ
S5)。
【0031】そして、上記O2 センサ35からの空燃比
検出信号が、図7のaに示すようにリッチ状態を示して
おれば(ステップS6)、上記ECU30に記憶された
マップデータより減量補正係数P値,I値がそれぞれ読
み込まれ(ステップS7)、該P値,I値と上記燃料供
給量の運転状態に応じた基本値とから燃料の減量値が算
出される(ステップS8)。
【0032】ステップS9において上記減量値が上記−
側補正制限値と比較される。通常のO2 センサ35が正
常の運転状態では、上記減量値が上記−側補正制限値よ
り小さいので、該減量値に基づいてFD値(インジェク
タ通電時間)が設定され(ステップS11)、このよう
にして図7のa′に示すように燃料供給量が段階的に減
量される。
【0033】そして上記燃料供給量の減量により空燃比
がリーン側に反転すると、上記ステップS6において、
上記センサ35からの空燃比検出信号が図7のbに示す
ようにリーン状態を示し、上記ECU30に記憶された
マップデータより増量補正係数P´値,I´値がそれぞ
れ読み込まれ(ステップS12)、該P´値,I´値と
上記燃料供給量の基本値とから燃料の増量値が算出され
る(ステップS13)。
【0034】ステップS14において、上記増量値が上
記+側補正制限値と比較される。通常のO2 センサ35
が正常の運転状態では、上記増量値は上記+側補正制限
値より小さいので、該増量値に基づいて上記FD値が設
定され(ステップS16)、このようにして図7のb′
に示すように燃料供給量が段階的に増量される。
【0035】そして上記O2 センサ35が上記リッチ状
態を示している場合に、図7に破線cで示すようにリッ
チ状態に固定されてしまう異常になった場合には、上記
減量処理が繰り返され、ステップS9において減量値が
−側補正制限値c′より大きくなり、その後は、減量値
は−側補正制限値c′に一定に保持されることなる。
【0036】同様に上記O2 センサ35が上記リーン状
態を示している場合に、図7に一点鎖線dで示すように
異常になった場合には、上記増量処理が繰り返され、ス
テップS14において増量値が+側補正制限値d′より
大きくなり、その後は、増量値は+側補正制限値d′に
一定に保持されることなる。
【0037】このように、補正制限値を運転ゾーンに応
じた最適値とするとともに、O2 センサ35の異常時に
は、燃料供給量の増減値を補正制限値に一定に保持す
る、いわゆるはりつき制御を行うようにしたので、補正
制限値を何れの運転域においても燃焼安定域内に収める
ことができ、O2 センサ35が異常な状態になっても、
エンジンの燃焼が不安定になったり、可動部品が損傷し
たりする問題を回避できる。
【0038】本実施形態の作用効果を図8,図9に基づ
いて、従来の、補正制限値を運転域に関わらず一定とし
としてフィードバック制御し、かつ異常時にはオープン
制御に切り替えるようにした場合と比較してをさらに詳
述する。
【0039】図8は上記A〜Cゾーンにおける過渡運転
状態を除く定常運転状態において、定常時フィードバッ
クポイントP1を目標値としてフィードバック制御を行
っているときにセンサが異常となった場合を示してい
る。
【0040】従来装置では、センサ出力がリーン側又は
リッチ側で固定されてしまうと、燃料供給量は、例えば
共に20%に設定されている+側又は−側の補正制限値
に向かって増量又は減量され、その途中又は該制限値に
達した後に所定時間が経過するとセンサ異常と判断され
てオープン制御に切り替えられる。この際、2サイクル
エンジンでは特に−側補正制限値(P2)いっぱいまで
減量されると可動部品の焼き付き等の損傷の恐れがあ
る。また焼き付きに到る前にオープン制御に切り替えら
れた場合でも、特にマリンエンジンでは燃料供給系のば
らつきが大きことから燃料供給量の精度が低く、該ばら
つきの範囲で例えばP3になってしまう可能性があり、
このような場合には出力が急激に変化し、回転変動によ
るフィーリングの悪化,動力伝達機構廻りの損傷の恐れ
がある。
【0041】これに対して本実施形態の場合には、+
側,−側補正制限値は、該制限値におけるはりつき制御
が継続してもエンジントラブルの生じない範囲に設定さ
れているので、該制限値の範囲内で燃料供給量が例えば
P4ポイントまで減量されても、上述の焼き付き,回転
変動等の問題が生じることはない。
【0042】図9は急加速時等の過渡運転状態を示して
いる。過渡運転状態においてポイントP1′を目標にし
てオープン制御が行われている時にセンサ出力がリッ
チ,リーンの何れかに固定された場合、従来装置では、
過渡状態が終了するとまず上記オープン時のポイントP
1′から−側又は+側制限値まで燃料供給量が増減さ
れ、所定時間経過後にセンサ異常と判断され、再びオー
プン制御となり、再び上記オープン時のポイントP1′
に戻る。この場合にも、上記定常時と同様に、焼き付
き,回転変動等の問題が生じるが、本実施形態では、補
正制限値が運転域に応じて設定されているので、これら
の問題が生じることはない。
【0043】なお、上記Cゾーンにおける補正制限値を
他のゾーンにおける値よりも一層小さく設定しても良
く、このようにしたのが請求項3の発明である。このよ
うに設定した場合にはバックファイヤの発生を抑制でき
る。
【0044】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明に係るエ
ンジンの燃焼制御装置によれば、フィードバック制御に
おける補正制限値を、エンジン運転状態に応じて設定す
るようにしたので、補正制限値を運転状態に応じた最適
値とすることができ、可動部品の焼き付き等の損傷,回
転変動等の問題を、燃料供給系のばらつきに起因して制
御精度が低くなる可能性の高いオープン制御に切り替え
る方法に比較してより確実に回避できる効果がある。
【0045】請求項2の発明では、高負荷・高回転域の
補正制限値を低負荷・低回転域の補正制限値よりも小さ
く設定したので、高負荷・高回転域では、過リッチによ
る出力低下、及び可動部品の損傷を防止できる効果があ
り、請求項3の発明では、低負荷・低回転域の補正制限
値を他の運転域よりも一層小さくしたので、バックファ
イヤの発生を抑制できる効果がある。
【0046】請求項4の発明では、増量側補正制限値と
減量側補正制限値とを別個に設定ししたので、例えば請
求項5の発明のように、減量側制限値を増量側制限値よ
り小さく設定でき、特に空燃比が過リーンの場合の可動
部品の焼き付き等の損傷を回避できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のよる燃焼制御装置が適用
された2サイクルエンジンの概略構成図である。
【図2】上記実施形態の運転領域(ゾーン)を示す図で
ある。
【図3】上記実施形態の燃焼安定域と補正制限値との関
係を示す図である。
【図4】上記実施形態の補正制限値を示すマップ図であ
る。
【図5】上記実施形態装置の動作を説明するためのフロ
ーチャート図である。
【図6】上記実施形態装置の動作を説明するためのフロ
ーチャート図である。
【図7】上記実施形態装置のセンサ出力と燃料噴射量と
の関係を示す図である。
【図8】上記実施形態装置の作用効果を説明するための
図である。
【図9】上記実施形態装置の作用効果を説明するための
図である。
【図10】従来装置におけるセンサ出力と燃料噴射量と
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 2サイクルエンジン 30 ECU(補正制限値設定手段) 33 クランク角センサ(運転状態検出手段) 41 スロットル開度センサ(運転状態検出手段)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出空燃比が目標空燃比となるよう燃料
    供給量を補正制限値の範囲内でフィードバック制御する
    ようにしたエンジンの燃焼制御装置において、エンジン
    の運転状態を検出する運転状態検出手段と、上記補正制
    限値を検出された運転状態に応じた値に設定する制限値
    設定手段とを備えたことを特徴とするエンジンの燃焼制
    御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記制限値設定手段
    が、高負荷・高回転域の上記補正制限値を低負荷・低回
    転域の上記補正制限値よりも小さく設定することを特徴
    とするエンジンの燃焼制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、上記制限値設定手段
    が、低負荷・低回転域の上記補正制限値を他の運転域の
    上記補正制限値よりも小さく設定することを特徴とする
    エンジンの燃焼制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3の何れかにおいて、上
    記制限値設定手段が、燃料供給量の増量側補正制限値と
    減量側補正制限値とを別個に設定することを特徴とする
    エンジンの燃焼制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、上記制限値設定手段
    が、減量側制限値を増量側制限値より小さく設定するこ
    とを特徴とすエンジンの燃焼制御装置。
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