JPH09143714A - スパッタリング装置 - Google Patents

スパッタリング装置

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JPH09143714A
JPH09143714A JP31142995A JP31142995A JPH09143714A JP H09143714 A JPH09143714 A JP H09143714A JP 31142995 A JP31142995 A JP 31142995A JP 31142995 A JP31142995 A JP 31142995A JP H09143714 A JPH09143714 A JP H09143714A
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magnetic
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sputtering
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JP31142995A
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Atsuhiro Abe
淳博 阿部
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚分布を改善し、ターゲットの使用効率を
上げ、アーキングを低減する。 【解決手段】 支持体2に対してスパッタリングを行う
スパッタリング装置において、マグネット22上に軟磁
性金属よりなる凸形状の磁性材28が配されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープ等の磁
気記録媒体の製造装置に属する技術分野に属し、特に、
磁性層となる磁性薄膜を真空蒸着により非磁性支持体上
に形成してなる磁気記録媒体の保護膜形成に好適なスパ
ッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、酸化
物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩
化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、
ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合剤中に分
散せしめた磁性塗料を非磁性支持体上に塗布、乾燥する
ことにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広く使用
されている。
【0003】これに対して、ビデオテープレコーダー
(VTR)等の分野においては、高画質化を図るため
に、高密度磁気記録化が一層強く要求されており、これ
に対応する磁気記録媒体として、Co−Ni系合金、C
o−Cr系合金、Co−O系等の金属磁性材料を、メッ
キや真空薄膜形成技術(真空蒸着法やスパッタリング
法、イオンプレーティング法等)によってポリエステル
フィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性
支持体上に磁性層として直接被着した、いわゆる強磁性
金属薄膜塗布型の磁気記録媒体が提案され注目を集めて
いる。
【0004】そして、この強磁性金属薄膜塗布型の磁気
記録媒体においては、電磁変換特性を向上させ、より大
きな出力を得ることが出来るようにするために、該磁気
記録媒体の磁性層を形成する場合、磁性層を斜めに蒸着
する斜め蒸着が提案され実用化されている。したがっ
て、このような金属薄膜媒体は、磁気特性的な優位さ故
に今後の高密度磁気記録媒体の主流となると考えられ
る。
【0005】ところで、これら強磁性金属薄膜塗布型の
磁気記録媒体は、耐久性、耐錆性に問題があると言われ
ており、従来、コーティングによる潤滑剤、防錆剤など
の有機材料の検討や、微粒子を磁性層形成前に非磁性支
持体上に予め塗布する、いわゆる下塗り技術の検討がな
されている。
【0006】しかしながら、これらの技術では、特殊な
環境化における使用や、業務用のような過酷な使用に充
分に対応することができず、新たな手法として、真空蒸
着、スパッタリング、プラズマCVD等の真空薄膜形成
手段による表面保護膜の検討が行われている。
【0007】このような状況の中、スパッタリング法に
よる保護膜形成技術により、耐久性、耐錆性に優れた磁
気記録媒体の製造装置が開発されているが、このスパッ
タリング法による保護膜の形成は、その成膜速度が遅い
ため生産性に劣るという不都合が生じる。
【0008】このような不都合を回避して、成膜速度を
向上させるために、ターゲットの下部にマグネットを配
置し、これによってターゲット表面に形成されている漏
洩磁界を利用するマグネトロン型スパッタリング装置が
用いられている。
【0009】このマグネトロン型スパッタリング装置に
は、円形のマグネットを用いてこれを変身して回転さ
せ、より広範囲に均一にターゲット上に磁界を発生させ
る構成のものと、角型のマグネットを用いるものとがあ
る。なお、磁気テープ等の非磁性支持体という長尺物に
対しては、このうちの円形のマグネットを用いるものは
好ましくないとされている。
【0010】図7及び図8に示すものは、上記角型のマ
グネットを用いたマグネトロン型連続スパッタリング装
置のカソードターゲット101である。
【0011】このカソードターゲット101は、電源に
接続されカソード電極としての機能を有するバッキング
プレート102と、バッキングプレート102上に接着
される角形ターゲット103と、角形ターゲット103
等を冷却する冷却機構部104と、バッキングプレート
102下に角形ターゲット103と対向するように配置
されるマグネット106と、このマグネット106を収
納するカソードケース107とから構成されている。
【0012】マグネット106は、断面がE状を呈し
て、センターポールと、このセンターポールの周囲を取
り囲む矩形環状のマグネットリングとから構成されてお
り、これらセンターポールとマグネットリングは、互い
に異なる極性(例えば、センターポールがS極、マグネ
ットリングがN極)とされている。
【0013】冷却機構部104は、角形ターゲット10
3等を冷却するためのもので、この冷却機構部104の
両端部に水等の冷媒が流される配管104a,104b
が着脱可能に設けられている。この冷却機構部104
は、マグネット106を収納するカソードケース107
に設置固定されてなる。
【0014】したがって、この従来のスパッタリング装
置を使用して、冷却キャン109に搬送されるベースフ
ィルム108に対してスパッタリングを行う場合には、
電離(プラズマ)されたアルゴンイオンを加速すること
により、その運動エネルギーにより角形ターゲット10
3の原子をはじき出して、そのはじき出された原子がベ
ースフィルム108に堆積され、目的とする薄膜を形成
することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来装置では、非磁性支持体であるベースフィルム1
08が冷却キャン109により図中時計方向に走行され
るが、このとき角形ターゲット103と対向するように
配置されるマグネット106の形状に対応して、ターゲ
ット103の表面が部分的に侵食される、いわゆるエロ
ージョンの問題が生じる。エロージョンは、マグネット
106の発生する磁界が角形ターゲット103表面付近
で湾曲してプラズマを閉じこめているため、このプラズ
マ密度の高い部分のみが集中的にスパッタリング(消
費)される現象である。
【0016】このように、スパッタリングが均一でない
場合には、スパッタリングされにくい部分が使用するこ
とができなくなり、角形ターゲット103の使用効率が
低下する。また、エロージョンの進行は、スパッタリン
グレートを減少させるとともに、ターゲット103の寿
命を短くする等の問題がある。
【0017】また、薄膜の成膜時に角形ターゲット10
3の表面に形成される磁場は、湾曲状であるために、こ
のまま搬送されるベースフィルム108上に保護膜を成
膜すると、ターゲット103上での磁束密度が高い(濃
い)部分は、厚い膜が被着され、磁束密度が低い(薄
い)部分は、薄い膜が被着される。
【0018】さらに、このような角形ターゲットの表面
に湾曲した磁場が発生する従来装置では、プラズマ密度
が低い部分は、逆に、スパッタ膜が付着して、ダストの
原因となり、さらに、付着した膜が絶縁膜である場合
は、それが帯電してアーキングを生じさせ、ベースフィ
ルムに損傷を与えていた。
【0019】そこで、本発明は、このような実情に鑑み
て提案されたものであって、いわゆるマグネトロン型連
続スパッタリング装置において、ターゲットの使用効
率、成膜レート等を向上させるとともに、スパッタリン
グ装置に見られるアーキングの発生を抑制することを目
的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明のスパッタリング
装置は、上記の目的を達成するために、電源に接続され
カソード電極としての機能を有するバッキングプレート
と、バッキングプレート上に接着されるターゲットと、
バッキングプレート下にターゲットと対向するように配
置されるマグネットとを備え、支持体に対してスパッタ
リングを行うスパッタリング装置において、マグネット
上に該マグネットから発せられる磁束を絞る軟磁性、高
透磁率金属よりなる磁性材が配されてなることを特徴と
する。
【0021】また、前記軟磁性、高透磁率金属よりなる
磁性材が凸形状を呈することを特徴とする。
【0022】また、電源に接続されたバッキングプレー
トと、バッキングプレート上に接着されるターゲット
と、バッキングプレート下にターゲットと対向するよう
に配置されるマグネットとを備え、支持体に対してスパ
ッタリングを行うスパッタリング装置において、マグネ
ットの外側に電源に接続されて電流が供給される電磁コ
イルが配されてなることを特徴とする。
【0023】また、前記電磁コイルの位置がターゲット
の表面よりも下方に位置するように配されてなることを
特徴とする。
【0024】まず、マグネット上に軟磁性、高透磁率金
属よりなる磁性材が配されてなる本発明によれば、マグ
ネットから発せられる磁束は、上記磁性材で絞られて、
ターゲット表面に放出する。また、ターゲット表面の広
い範囲に平行磁場を発生させる。
【0025】したがって、ターゲットの表面全体のプラ
ズマ密度が高くなり、スパッタリングレートを増加させ
るとともに、ターゲット使用効率が上げられる。また、
角型のマグネットを用いたマグネトロン型連続スパッタ
リング装置では、従来のように、幅方向の両端部の膜厚
が厚くなることがなくなり、均一な膜厚分布が得られ
る。
【0026】次に、マグネットの外側に電源に接続され
て電流を供給する電磁コイルが配されてなる本発明によ
れば、この電磁コイルに下向きの磁場を発生させると、
上記マグネットからの湾曲状の磁束が外側に押しやられ
る。他方、電磁コイルに上向きの磁場を発生させると、
上記マグネットからの湾曲状の磁束が内側に押しやられ
る。
【0027】このように、電磁コイルに供給する電流に
よってマグネットから発せられる磁界をスパッタリング
中に広げることができ、ターゲット上のプラズマの位置
を移動させることができる。したがって、支持体上に均
一な膜厚分布が得られる。
【0028】ここで、本発明が適用されるスパッタリン
グ装置としては、円形のマグネットを用いたマグネトロ
ン型スパッタリング装置であると、角型のマグネットを
用いたマグネトロン型スパッタリング装置であるとを問
わない。
【0029】なお、軟磁性金属よりなる磁性材料として
は、パーマロイ、軟鉄等が好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施の形
態を実験結果に基づいて説明する。
【0031】(実施の形態1)図1に示すように、スパ
ッタリング装置は、頭部と低部にそれぞれ設けられた排
気口15から排気されて内部が真空状態となされた真空
室1内に、図中の時計回り方向に定速回転する送りロー
ル3と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロー
ル4とが設けられ、これら送りロール3から巻取りロー
ル4にテープ状の非磁性支持体であるベースフィルム2
が順次走行するようになされている。
【0032】そして、これら送りロール3から巻取りロ
ール4側に上記ベースフィルム2が走行する中途部に
は、各ロール3,4の径よりも大径となされた冷却キャ
ン5が設けられている。この冷却キャン5の周面には、
ベースフィルム2が巻き付けられ、したがって冷却キャ
ン5も前記ロール3,4と同期して図中の時計回り方向
に定速回転する構成とされる。
【0033】また、上記送りロール3、巻取りロール
4、及び、冷却キャン5は、それぞれベースフィルム2
の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものであり、ま
た、冷却キャン5には、内部に図示しない冷却装置が設
けられ、上記ベースフィルム2の温度上昇による変形等
を抑制し得るようになされている。
【0034】したがって、ベースフィルム2は、送りロ
ール3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン5の
周面を通過し、巻取りロール4に巻取られて行くように
なされている。尚、上記送りロール3と記冷却キャン5
との間及び該冷却キャン5と上記巻取りロール4との問
にはそれぞれガイドロール6,7が配設され、上記送り
ロール3から冷却キャン5及び該冷却キャン5から券取
りロール4にわたって走行するベースフィルム2に所定
のテンションをかけ、該ベースフィルム2が円滑に走行
するようになされている。
【0035】また、上記真空室1内には、上記冷却キャ
ン5の下方にカソード8が設けられ、このカソード8の
上面にターゲット21として金属磁性材料9が接着され
ている。
【0036】ここでカソード8は、図2に示すように、
電源に接続されカソード電極としての機能を有するバッ
キングプレート23と、バッキングプレート23上に接
着される角形ターゲット21と、角型ターゲット21を
冷却する冷却水路30と、前記バッキングプレート23
の裏側に配置されるマグネット22と、これらを収納す
るカソードケース25より構成されている。
【0037】バッキングプレート23は、その上に低融
点の金属で角形ターゲット21を接着してしる。したが
って、バッキングプレート23の表面は、平面が四角形
状の角形ターゲット21を接着するために、該ターゲッ
ト21よりも大きな面積を有する。このバッキングプレ
ート23は、熱伝導性に優れた銅で形成されているが、
熱伝導性に優れた材質であれば、これには限定されるも
のではない。
【0038】マグネット22は、図2及び図3に示すよ
うに、縦断面がE字状を呈し、平面形状が矩形環状を呈
し、フェライト等の永久磁石によって形成されている。
そして、このマグネット22は、所定の長さを有するセ
ンターポール22aと、このセンターポール22aの周
囲を取り囲む矩形環状のマグネットリング22bとから
構成されており、これらセンターポール22aとマグネ
ットリング22bは、互いに異なる極性(例えば、セン
ターポール22aがS極、マグネットリング22bがN
極)とされている。
【0039】カソードケース25は、筺体状を呈し、上
部にマグネット22の端部を覆うシールド板26が配さ
れ、下部に後述する冷媒が流される配管30a,30b
を通す貫通穴が設けられている。また、カソードケース
25の側面側には、絶縁礙子27がネジ部材を介して固
定されている。
【0040】冷却機構部30は、図2に示すように、角
形ターゲット21やバッキングプレート23等をプラズ
マ熱から保護するためのもので、この冷却水路30の両
端部に水等の冷媒が流される配管30a,30bが着脱
可能に設けられている。この冷却水路30は、マグネッ
ト22を収納するカソードケース25に設置固定されて
なる。
【0041】したがって、角形ターゲット21やバッキ
ングプレート23等の温度上昇に対して、上記配管30
a,30bから冷媒を冷却水路30に流すことにより
(図2中、INからOUTへ)、これら角形ターゲット
21等を冷却することができる。
【0042】そして特に、マグネット22上に該マグネ
ット22の磁束を一定方向に集中させる磁性材28が配
されてなる。この磁性材28は、高透磁率の軟磁性金属
よりなる例えばパーマロイ、軟鉄等が用いられる。この
磁性材28は、断面凸型を呈して、マグネット22上に
配されるととともに、断面凸型形状の上部がバッキング
プレート23の下部に接着して取り付けられている。
【0043】この磁性材28は、ターゲット21表面に
集中して放出され、広い範囲に平行磁場を発生させるも
のである。したがって、この磁性材28の断面形状は上
記凸型以外にも、台形型、三角型等種々のものが考えら
るが、磁束を絞る観点から上記凸型が好ましい。また、
この凸型は加工上も優れたものである。
【0044】なお、このようなマグネット上に凸型の磁
性材28を設けることは、カソード形状が、角型のも
の、円形のものを問わず適用できる。
【0045】したがって、この実施の形態2のスパッタ
リング装置を使用して、ベースフィルム2に対してスパ
ッタリングを行う場合には、電離(プラズマ)されたア
ルゴンイオンを加速することにより、その運動エネルギ
ーにより角形ターゲット21の原子をはじき出して、そ
のはじき出された原子がベースフィルム2に堆積され、
目的とする薄膜を形成することができる。ここで、ベー
スフィルム2が熱に対して弱い場合には冷却キャン5に
よって冷却される。
【0046】そして、上記構成のスパッタリング装置に
おいては、マグネット22から発せられる磁束は、上記
磁性材28で絞られて、極狭い範囲から角形ターゲット
21上に放出され、角形ターゲット21の表面の広い範
囲に平行磁場を発生させる。
【0047】すなわち、本実施の形態1では、マグネッ
ト22からの磁束が絞られて角形ターゲット21の表面
で解放される。
【0048】この平行磁場の状態は、磁束を模式的に示
す図4に示すように、従来装置の場合と比較すると明ら
かである。すなわち、従来の装置では(図4(A))、
一方側のマグネット22(例えば、センターポール22
a)から放出されると、すぐに発散し、角形ターゲット
21上に湾曲した磁場を形成するが、角形ターゲット2
1に平行な磁場範囲は狭い。これに対して、本実施の形
態1では(図4(B))、一方側のマグネット22(例
えば、センターポール22a)から集中して放出されて
いるとともに、角形ターゲット21表面上での平行磁場
範囲が広くなっている。
【0049】したがって、本実施の形態1では、従来装
置の場合よりも、角形ターゲット21の表面全体のプラ
ズマ密度が高い範囲が広がるために、スパッタリングレ
ートを増加させるとともに、ターゲット使用効率が上げ
られる。また、角型のマグネット22を用いたマグネト
ロン型連続スパッタリング装置では、従来のように、非
磁性支持体であるベースフィルム2の幅方向の両端部の
膜厚が極端に厚くなることがなくなり、均一な膜厚分布
が得られる。また、プラスマ範囲が広がるために、角形
ターゲット21に付着しデポジション膜が減少され、絶
縁膜である場合にはアーキングが減る。
【0050】(実験1)次に、上記構成のスパッタリン
グ装置を使用して、薄膜の成膜レートを測定した。その
結果、従来装置に比べ約10%程度成膜レートが上がっ
ているが明らかになった。さらに、角形ターゲット21
の両端部分と中央部分での膜厚差も抑制される結果得ら
れた。
【0051】これは、図4を用いて説明したように、本
実施の形態1は、従来装置よりも、角形ターゲット21
の表面に広い範囲に均一に平行磁場が発生したためであ
る。
【0052】(実施の形態2)本実施の形態2は、マグ
ネット22の外側に電磁コイル31が配されてなる。
【0053】すなわち、この電磁コイル31は、電源に
接続されて電流を供給することにより、電磁石になるも
ので、図5に示すように、筺体状のカソードケース25
の外周を囲むようにして配されている。そして、この電
磁コイル31の高さは、角形ターゲット21の表面より
も下方に位置させることが好ましい。本実施の形態2で
は、角形ターゲット21の底面よりも下方に位置するよ
うに配置されている。
【0054】また、上記電磁コイル31は、コイルカバ
ー32に収納されて、このコイルカバー32が上記カソ
ードケース25にネジ部材を介して固定されている。コ
イルカバー32の内側には、熱電導性の良好な金属板3
3が設けられ、この金属板33に冷却パイプ34が溶接
されている。したがって、電磁コイル31は、それ自身
の発熱とスパッタの輻射熱により加熱されるが、冷却パ
イプ34により冷却されるようになされている。また、
電磁コイル31は、カソードケース25から絶縁するた
めに絶縁礙子35を介して固定されている。
【0055】また、この実施の形態2は、実施の形態1
と異なり、冷却水路30はバッキングプレート23内に
設けられている。また、カソードケース25の下部に
は、絶縁礙子36がネジ部材を介して固定されている点
で、実施の形態1と相違している。なお、その他の構成
は、実施の形態1と同様であるため、同一部材は同一符
号をもって示し、重複した説明を省略する。
【0056】本実施の形態2によれば、この電磁コイル
31に下向きの磁場を発生させると、上記マグネット2
2からの湾曲状の磁束が外側に押しやられる。他方、電
磁コイル31に上向きの磁場を発生させると、上記マグ
ネット22からの湾曲状の磁束が内側に押しやられる。
【0057】このように、電磁コイル31に供給する電
流によってマグネット22から発せられる磁界をスパッ
タリング中に広げることができ、角形ターゲット21の
表面のプラズマの位置を移動させることができる。した
がって、ベースフィルム2上に均一な膜厚分布が得られ
る。
【0058】(実験2)次に、上記構成のスパッタリン
グ装置を使用して、薄膜の成膜レートと幅分布を測定し
た。ここでは電磁コイル31に4A程度の電流を流し、
40G程度の垂直磁場を加えた。なお、電磁コイル31
に、直径1mmのポリイミド線を用い、約300ターン
巻いた。
【0059】その結果、幅平均値で10%成膜レートが
上がると同時に幅分布は5%以内に改善された。
【0060】実際にスパッタリングしているときに、電
磁コイル31に電流を流し(下向きに)40G程度の垂
直磁場を加えると、図6(B)に示すように、プラズマ
が広がり(図中矢印方向)、ターゲット21表面付近の
プラズマの集中している部分29bは、5mm程度外側
に移動した。
【0061】逆に、上向きに40G程度の垂直磁場を加
えると、図6(C)に示すように、プラズマは狭まり
(図中矢印方向)、ターゲット21表面付近のプラズマ
の集中している部分29bは、5mm程度内側に移動し
た。なお、図6において、(A)が電流が0Aの場合で
ある。また、図6において、29aは、プラズマの範囲
を示す。
【0062】このように、ターゲット21表面のプラズ
マ密度の濃い部分は電磁コイル31の電流により移動す
ることが確認することができたので、幅分布の許す範囲
で電磁コイル31の電流を操作すれば、エロージョンが
広がり、ターゲット21を有効利用することができる。
【0063】したがって、本実施の形態2は マグネッ
ト22の外周に電磁コイル31を配置してなることか
ら、垂直磁界をスパッタリング中に広げることができ、
角形ターゲット21の表面の平行磁場の成分を増やすこ
とができる。このため、スパッタリング速度を増加させ
るとともに、ターゲット使用効率を上げることができ
る。 また、本実施の形態2では、垂直磁場の範囲が狭
くなるために、角形ターゲット21に再付着してできる
デポジション膜が少なく、真空室1内のダストの発生が
少なくなる。また、角形ターゲット21の付着したデポ
ジション膜が絶縁膜の場合、アーキングを低減させるこ
とができる。
【0064】以上、実施の形態1と実施の形態2により
本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されず、マ
グネット上に軟磁性金属よりなる磁性材が配されてなる
とともに、マグネットの外側に電源に接続されて電流を
供給する電磁コイルが配されてなるものであっても良い
ことは勿論である。
【0065】
【発明の効果】本発明は、マグネット上に軟磁性金属よ
りなる磁性材が配されてなるためにマグネットから発せ
られる磁束が絞られて、ターゲット表面に集中した平行
磁場を発生させる。したがって、ターゲットの表面全体
のプラズマ密度が高くなり、スパッタリングレートを増
加させるとともに、ターゲット使用効率が上げられる。
また、角型のマグネットを用いたマグネトロン型連続ス
パッタリング装置では、従来のように、非磁性支持体の
幅方向の両端部の膜厚が厚くなることがなくなり、均一
な膜厚分布が得られるとともに、ターゲットに付着した
デポジション膜が絶縁膜の場合のアーキングが減少され
る。
【0066】他方、マグネットの外側に電源に接続され
て電流を供給する電磁コイルが配されてなる本発明によ
れば、電磁コイルに供給する電流によって、ターゲット
上のプラズマの位置を移動させることができる。したが
って、支持体上に均一な膜厚分布が得られるとともに、
ターゲットに付着したデポジション膜が絶縁膜の場合の
アーキングが減少される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスパッタリング装
置の構成を模式的に示す図である。
【図2】上記スパッタリング装置のカソードの構造を示
す断面図である。
【図3】マグネットの形状を示す平面図である。
【図4】マグネットの磁束を比較して示す模式図であ
り、(A)が従来装置の場合で、(B)が上記スパッタ
リング装置の場合である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のスパッタリング装
置の構成を一部破断して示す断面図である。
【図6】マグネットの磁束を比較して示す模式図であ
り、(A)が電流が0Aの場合で、(B)が4Aの場合
で、(C)が電流が−4Aの場合である。
【図7】従来のスパッタリング装置の概略構成を示す模
式図である。
【図8】従来のスパッタリング装置のカソードの構造を
示す断面図である。
【符号の説明】
2 非磁性支持体(ベースフィルム) 5 冷却キャン 8 カソード 21 角形ターゲット 22 マグネット 25 カソードケース 28 (凸形状の)磁性材 29b プラズマの集中している部分 31 電磁コイル 34 冷却パイプ H1 ターゲットの底面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電源に接続されカソード電極としての機
    能を有するバッキングプレートと、バッキングプレート
    上に接着されるターゲットと、バッキングプレート下に
    ターゲットと対向するように配置されるマグネットとを
    備え、支持体に対してスパッタリングを行うスパッタリ
    ング装置において、 マグネット上に軟磁性金属よりなる磁性材が配されてな
    ることを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記軟磁性金属よりなる磁性材が凸形状
    を呈することを特徴とする請求項1記載のスパッタリン
    グ装置。
  3. 【請求項3】 電源に接続されカソード電極としての機
    能を有するバッキングプレートと、バッキングプレート
    上に接着されるターゲットと、バッキングプレート下に
    ターゲットと対向するように配置されるマグネットとを
    備え、支持体に対してスパッタリングを行うスパッタリ
    ング装置において、 マグネットの外側に電源に接続されて電流が供給される
    電磁コイルが配されてなることを特徴とするスパッタリ
    ング装置。
  4. 【請求項4】 前記電磁コイルの位置がターゲットの表
    面よりも下方に位置するように配されてなることを特徴
    とする請求項3記載のスパッタリング装置。
JP31142995A 1995-11-29 1995-11-29 スパッタリング装置 Withdrawn JPH09143714A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009228011A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Shinmaywa Industries Ltd シートプラズマ成膜装置、及びシートプラズマ調整方法

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