JPH09143489A - 動植物原料からのフレーバーの抽出方法 - Google Patents

動植物原料からのフレーバーの抽出方法

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JPH09143489A
JPH09143489A JP8094852A JP9485296A JPH09143489A JP H09143489 A JPH09143489 A JP H09143489A JP 8094852 A JP8094852 A JP 8094852A JP 9485296 A JP9485296 A JP 9485296A JP H09143489 A JPH09143489 A JP H09143489A
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flavor
animal
oil
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extraction
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JP8094852A
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Satoru Shiraishi
悟 白石
Makoto Takahashi
誠 高橋
Hiroaki Tojo
博昭 東條
Naoto Yamamoto
直人 山本
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T Hasegawa Co Ltd
Original Assignee
T Hasegawa Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動植物原料から嗜好性に富んだフレーバーを
高濃度、高収率で抽出する方法を提供する。 【解決手段】 動植物原料を圧力150Kg/cm2
下の液体状態又は亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭
素を抽剤として抽出するに際し、該動植物原料に水、ア
ルコール類、多価アルコール類、油脂類などの熟成補助
材料を添加混合し、熟成した後、抽出することにより、
嗜好性に富んだ動植物原料のフレーバーが高濃度、高収
率で得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動植物原料からフ
レーバーを抽出する方法に関し、香味変調乃至変質を伴
うことなしに動植物原料の特徴的な且つ優れた嗜好性を
有する香味を強く保有し、且つその優れた香味バランス
と優れた保香性、呈味持続性及び保存安定性をもって維
持できる顕著に改善された動植物原料からのフレーバー
の抽出方法に関する。更に詳しくは、動植物油脂類、加
熱調理食品類、発酵生産物、香辛料類などの動植物原料
の一種もしくは二種以上の混合物を、圧力150Kg/
cm2以下の液化状態又は亜臨界状態又は超臨界状態の
二酸化炭素を抽剤として抽出処理するに際し、あらかじ
め該動植物原料に熟成補助材料を添加混合し、熟成した
後、抽出することを特徴とする動植物原料から嗜好性に
優れたフレーバーを高濃度、高収率で抽出する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】上述したごとき動植物原料はその風味に
天然特有の好ましい風味を有し、従来、主としてそのま
まあるいは各種各様に調理して食されたり、加工食品な
どの原料として利用されている。
【0003】一方、動植物原料のフレーバー成分を分離
採取し、香気成分を分析する研究も行われており、例え
ば、動植物原料を水蒸気蒸留してフレーバー成分を採取
する方法、あるいは該原料から有機溶媒を使用して、フ
レーバー成分を分別採取する方法などが知られている。
【0004】しかしながら、従来の水蒸気蒸留法或いは
溶媒抽出法によるフレーバー成分の採取方法によれば、
該処理中の熱、光、酸素等の因子により、フレーバーの
劣化、油の酸化分解によるオフフレーバーの生成等の不
都合な変質、劣化が避け難かった。従って、得られるフ
レーバーは、動植物原料本来の好ましいバランス、及び
芳醇なまろやかさを欠き、また持続性を欠くという難点
があり、加えて残留溶剤も問題であった。
【0005】近年、他分野においてこのような欠点を解
決する試みがなされている。例えば、コーヒーを流体相
の超臨界CO2により80気圧(ゲージ)より高い圧力
と31.3℃より高い温度で循環的に抽出する、焙煎コ
ーヒーからアロマ成分を含むコーヒー油を製造する方法
(特公昭51−33185号公報)、また、コーヒーか
らカフェインの除去あるいは大豆から大豆油を超臨界状
態の炭酸ガスで抽出するに際し、水、エタノール、エチ
ルエーテル等のごとき溶媒を抽出促進剤として使用し
て、抽出効率を高める方法(特開昭61−22129号
公報)の提案も知られている。
【0006】さらに、種子油及び胚油からの粗製植物性
脂肪及び油を処理するにあたり、粗製の脂肪及び油を過
臨界ガスで精製し、場合によりそれらの成分、例えば、
グリセリド、遊離脂肪酸、アルデヒド、ケトン、臭気物
質などに分別する提案(特開昭55−52393号公
報)、更にまた亜臨界又は超臨界状態の二酸化炭素を抽
剤として、ナッツ類、豆類の脂質を抽出脱脂すると共に
脂質を分離する工程と、脱脂後のナッツ類、豆類に各種
香味料を添加含浸させる工程とからなるナッツ類、豆類
食品の製造法(特開昭63−94951号公報)、及び
液状または超臨界の二酸化炭素により種実から油脂を抽
出する提案(特開昭60−127397号公報)などが
知られている。
【0007】また、本発明者らは動植物油脂類から優れ
た嗜好性を有するフレーバーを製造する目的で、先に例
えば、動植物油脂類の一種もしくは二種以上の混合物か
らフレーバー成分を、水及び/又はアルコールの存在す
る系もしくは存在しない系で亜臨界もしくは超臨界状態
の炭酸ガスで抽出することによる動植物油脂類フレーバ
ーの製法を提案した(特開平3−22956号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ごとき伝統的手法で動植物原料からフレーバー成分を採
取する場合において、水蒸気蒸留法あるいは有機溶媒法
により得られたフレーバーは、原料本来の特徴的な香
気、嗜好性に欠け、更に加えて香味バランスにも欠け、
またフレーバーの持続性も欠ける難点があった。
【0009】また前述した、液体又は亜臨界又は超臨界
の炭酸ガスを抽剤に用いる従来提案(特公昭51−33
185号公報、特開昭61−22129号公報、特開昭
55−52393号公報、特開昭63−94951号公
報、特開昭60−127397号公報)には、動植物原
料から嗜好性の高いフレーバー成分を選択的に抽出し、
これを着香料として利用しようなどということに関して
は全く言及していないし、また示唆もされていない。
【0010】さらに前記したように、特開平3−229
56号公報で提案された動植物油脂類フレーバーは、動
植物油脂類を亜臨界または超臨界状態の炭酸ガスで抽出
することにより、嗜好性の高い動植物油脂類フレーバー
が得られるが、必ずしも満足できるものではなく特に、
フレーバーの収率の点での改善が強く求められている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するため、従来から行われている超臨界炭酸ガ
ス抽出に関する研究を鋭意押し進めた結果、動植物原料
からフレーバー成分を抽出するに際し、該動植物原料
に、あらかじめ水、アルコール類、多価アルコール類、
油脂類などの熟成補助材料を添加混合し、熟成した後、
圧力150Kg/cm2以下の液化状態又は亜臨界状態
又は超臨界状態の二酸化炭素にて抽出することにより、
従来の欠点を一挙に解決することを見いだし本発明を完
成した。
【0012】従って本発明の目的は、動植物原料にあら
かじめ熟成補助材料を添加混合し、熟成した後、前記し
た二酸化炭素で抽出することにより、従来の課題を一挙
に解決することのできる動植物原料から嗜好性に富んだ
フレーバーを高濃度、高収率で効率良く抽出する新規な
抽出方法を提供するにある。
【0013】以下、本発明の態様を更に具体的に説明す
る。
【0014】本発明の動植物原料からのフレーバーの抽
出に利用できる動植物原料としては、例えば、コーヒー
オイル、ゴマ油、アーモンド油、カカオバター、ココナ
ッツバター、カシューナッツ油、ピーナッツ油、ブラジ
ルナッツ油、ペカン油、マカデミアナッツ油、ヘーゼル
ナッツ油、ピスタチオ油、ウオルナッツ油、松の実油、
ぎんなん油、ひまわり油、かぼちゃ種子油、オリーブ
油、牛脂、豚脂、チキンオイル、マトン脂、バター、バ
ターオイル、サーモンオイル、たら油、いわし油、醤油
オイル、などの動植物油脂類;例えば、アーモンド、カ
シューナッツ、ピーナッツ、ブラジルナッツ、ペカン、
マカデミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ココ
ナッツ、松の実、ぎんなん、栗、くるみ、栃の実、ご
ま、ひしの実、ひまわりの実、かぼちゃ種、などの種実
類焙焼品;例えば、玄米茶、麦茶、麦こがし、パン類、
ポップコーン、コーンフレーク、クラッカー類、煎餅・
おかき類、などの穀類焙焼品;例えば、バニラ、ジンジ
ャー、ローレル、カルダモン、ガーリック、クローブ、
オールスパイス、シナモン、ナッツメグ、マスタード、
ペッパー、カプシカム、パプリカ、バジルなどの香辛料
類;例えば、バター、ミルク、チーズ、クリーム、ヨー
グルト、全脂粉乳、脱脂粉乳などの乳製品およびこれら
の酵素処理品;例えば、味噌、醤油、ミリン、漬物、な
どの発酵生産物;例えば、牛、豚、羊、鶏、アヒル、カ
モ、七面鳥、などを一般に行われている調理方法、例え
ば、煮る、焼く、燻製等により調理した肉類調理品;例
えば、イワシ、アジ、ムロアジ、サバ、サケ、カツオ、
ウナギ、イカ、タコ、貝類、エビ、カニ、などの魚介類
を乾燥、焙焼、燻製処理した、例えば、カツオ節類、焼
きサケ、焼きスルメ、ウナギ蒲焼きなどの魚介類調理品
などの一種もしくは二種以上の混合物を挙げることがで
きる。
【0015】本発明においては、上記の如き動植物原料
を液化状態又は亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素
を抽剤としてフレーバーを抽出処理するに際し、あらか
じめ該動植物原料に水、アルコール類、多価アルコール
類、油脂類などの熟成補助材料を添加混合し、熟成した
後に抽出する。かかるアルコール類としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、
t−ブタノールなどを、より好ましくはエタノールを挙
げることができる。多価アルコール類としては、例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリン、ソルビット、マルチット、キシリット、1,3
−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールな
どを、より好ましくはグリセリン、プロピレングリコー
ルを挙げることができる。油脂類としては、例えば、大
豆油、ごま油、コーン油、菜種油、米糠油、綿実油、ひ
まし油、落花生油、オリーブ油、パーム油、サフラワー
油、小麦胚芽油、椰子油、ヒマワリ油、つばき油、ココ
ア脂、イワシ油、サケ油、サバ油、サメ油、マグロ油、
鯨油、イルカ油、イカ油、サンマ油、にしん油、たら
油、牛脂、鶏油、豚脂、バターなどの動植物油脂類及び
それらの硬化油類、中鎖飽和脂肪酸トリグリセライド
(以下、MCTと称する)などを挙げることができる。
殊にMCTを好ましく例示することができる。かかるM
CTとしては、例えば、カプロン酸トリグリセリド、カ
プリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、
ラウリン酸トリグリセリド、及びこれらの任意の混合物
の如き炭素原子数6〜12の中鎖飽和脂肪酸のトリグリ
セリドを挙げることができる。殊にカプリル酸トリグリ
セリド及びカプリン酸トリグリセリド及びこれらの任意
の混合物を好ましく挙げることができる。これらのMC
T混合物は市場で安価に且つ容易に入手することができ
る。
【0016】本発明で用いる熟成補助材料の使用量は動
植物原料などの種類、抽出条件などによって適宜に選択
することができる。一般的には前記のごとき動植物原料
などに対して約1〜約100重量%の範囲がしばしば採
用される。
【0017】本発明においては、動植物原料を液化状態
又は亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素で抽出処理
する前に、上記動植物原料と熟成補助材料を添加混合し
た後、混合物の熟成処理を行うことが必要となる。かか
る熟成処理方法としては、特に制限されるものではな
く、従来既知の熟成方法、例えば、加熱熟成、超音波照
射による熟成または遠赤外線照射による熟成、これらの
熟成方法の併用等を採用することができる。
【0018】上記した如き加熱熟成における熟成処理条
件としては、例えば、約10℃〜約60℃、約1時間〜
約24時間で、好ましくは約30℃〜約50℃、約1時
間〜約10時間で撹拌又は静置条件下に行うことができ
るが、特に撹拌下で行うことが好ましい。10℃未満で
は上記の動植物原料と熟成補助材料との熟成効果が十分
でなく、60℃以上ではフレーバーが変化する恐れがあ
るので好ましくない。また、1時間未満では熟成効果が
十分に認められず、また24時間以上処理を行っても熟
成効果に影響はなく、作業効率の面からも24時間以内
でよい。さらに上記した加熱熟成の際に、超音波または
遠赤外線を照射することにより、熟成時間を短縮するこ
とができる。
【0019】本発明においては、上記のごとき動植物原
料と熟成補助材料の混合・熟成物を圧力150Kg/c
2以下の液化状態又は亜臨界状態又は超臨界状態の二
酸化炭素で抽出を行うが、該二酸化炭素に水及び/又は
アルコール類等を添加した系で行うこともできる。この
ようなアルコール類としては、例えば、メタノール、エ
タノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール
等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、グリセリン、ソルビット、マルチット、
キシリット、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブ
チレングリコール等のごとき多価アルコール類を例示す
ることができる。これらのアルコール類は、単独もしく
は任意の混合物として利用することができる。これらの
アルコール類の中で、特にエタノール、プロピレングリ
コール、グリセリン及びこれらの任意の混合物をより好
ましく例示することができる。特に好ましい態様として
は、水及びグリセリン及び/又はプロピレングリコール
の組み合わせがあげられる。この場合、得られたフレー
バーから上記溶媒を分離することなくそのまま各用途に
供することができ、分離時におけるフレーバーの風味の
変化及び逸散などのトラブルが回避できる等の利点があ
る。
【0020】本発明の液体状態又は亜臨界状態又は超臨
界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(31.0°C)及
び臨界圧力(72.9 atm)付近或いはそれを超える流体
であって、圧力150Kg/cm2以下の液化状態又は
亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素が好ましい。特
に圧力100Kg/cm2以下の液化状態又は亜臨界状
態又は超臨界状態の二酸化炭素が好ましい。圧力が15
0Kg/cm2を越えると油脂の抽出率が高くなり、得
られた抽出物は香味バランスに欠け、またフレーバーの
持続性にも欠けるので好ましくない。同じく、温度は液
化状態又は亜臨界状態又は超臨界状態であれば特に制約
を受けないが、例えば、約10℃〜約60℃を採用する
ことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の動植物原料から、
嗜好性に富んだフレーバーを抽出する際の実施態様をさ
らに詳しく説明する。
【0022】二酸化炭素を抽出塔へ導入する方法として
は、特に制限されるものではなく、例えば、二酸化炭素
を圧縮機を用いて所定の圧力まで圧縮し、熱交換器を通
して所定の温度にし、液体状態又は亜臨界状態又は超臨
界状態にして抽出塔へ導入する方法、または二酸化炭素
を抽出塔へ導入後、加温、加圧して液体状態又は亜臨界
状態又は超臨界状態に相変化する方法を採用することが
できる。抽出塔にはあらかじめ原料の動植物原料と熟成
補助材料をその抽出塔で添加混合し、約1時間〜約24
時間、熟成しておく。また、別の容器で添加混合し、約
1時間〜約24時間、熟成した後、抽出塔に仕込んで行
うこともできる。
【0023】二酸化炭素による抽出は、圧力150Kg
/cm2以下で、通常約10℃〜約60℃程度の温度範
囲で約30分〜約5時間程度かきまぜ或いは静置してお
こなわれる。香気成分と熟成補助材料を含有した二酸化
炭素相をセパレーターに導き、減圧することによって抽
出物を二酸化炭素から分離する。二酸化炭素と抽出物の
分離は上記減圧法の他、例えば、温度変化法によっても
よく、また抽出塔を2系列として半連続的操作で行うこ
ともできる。
【0024】上記のごとくして得られた動植物原料から
抽出されたフレーバーに、所望により本発明方法以外の
手段で得られた動植物原料のフレーバー又は化学合成に
よる香料化合物などを混合した調合香料などを配合する
こともできる。またこのようにして得られた動植物原料
のフレーバーに糖類、デキストリン、サイクロデキスト
リン、澱粉、アラビアガム、ゼラチン、カゼイン、植物
蛋白質及びこれらの混合物の如き任意の賦形剤を添加す
ることができる。このような賦形剤を含有した動植物原
料のフレーバーを、例えば、ホモジナイザーを用いて均
質化処理して乳状液として利用することができる。更に
該乳状液を噴霧乾燥、凍結乾燥のごとき任意の既知の乾
燥手段により、粉末状もしくは顆粒状とすることもでき
る。
【0025】本発明よって得られる動植物原料のフレー
バーは、例えば、清涼飲料水、シャーベット、アイスク
リームなどの冷菓類、シロップ、キャンディー類、ジャ
ム、フルーツプリザーブ類、ケーキ、ババロア、ムース
等の洋菓子類、風味調味料、たれ類、液体調味料等の調
味料類;スープ類、調理食品、総菜類、スナック類及び
珍味類などの広い分野において利用することができる。
これらの飲食品又は調味料に対する配合量としては、例
えば、約0.01〜約1.0重量%、好ましくは、約
0.05〜約0.5重量%の如き配合量を例示すること
ができる。
【0026】以下実施例により本発明の態様を更に詳し
く説明する。
【0027】
【実施例】
実施例1 内容量5リットルの耐圧抽出塔にカカオバター1000
gおよびODO(日清製油製のMCT)50gを添加混
合し、撹拌しながら40℃で3時間熟成した。その後、
抽出温度40℃、圧力100kg/cm2 にて、超臨界
状態の二酸化炭素で抽出した。ついで、 抽出ガスをセパ
レーターに導き、セパレーター内の温度40℃、圧力5
0kg/cm2 の条件で分離し、抽出物23.6g(カ
カオバターの重量に対して2.36%の収率)を得た
(本発明品1)。
【0028】比較例1 実施例1と同じ抽出塔にカカオバター1000gを充填
し、ODOを添加しなかった以外は実施例1と同一条件
で、二酸化炭素にて抽出し、抽出物8.0g(カカオバ
ターの重量に対して0.8%の収率)を得た(比較品
1)。
【0029】比較例2 実施例1と同じ抽出塔にカカオバター1000gを充填
し、抽出温度40℃、圧力250Kg/cm2の条件
で、二酸化炭素にて抽出し、実施例1と同一条件で分離
し、抽出物32.8g(カカオバターの重量に対して3.
28%の収率)を得た(比較品2)。
【0030】比較例3 実施例1と同じ抽出塔にカカオバター1000gおよび
ODO(日清製油製のMCT)50gを添加混合し、熟
成処理を行わないで直ちに二酸化炭素を導入して、実施
例1と同一条件で抽出し、抽出物9.0g(カカオバタ
ーの重量に対して0.9%の収率)を得た(比較品
3)。
【0031】官能評価 下記表1に実施例1で得られた本発明品1および比較例
1、2、3で得られた比較品1、2、3の収率および専
門パネラー10名による官能評価を示したが、本発明品
は比較品に比べ、濃厚で芳醇なカカオ本来の香味を有し
ており、香味の強さ、収率の点でも優れていた。
【0032】表1 品 名 収 率 香味の質 香味の強さ 本発明品1 3.26% ◎ +++ 比較品1 0.8% ○ ++ 比較品2 3.28% △ + 比較品3 0.9% ○ ++ (注)香味の質 :良好 ◎>○>△ 不良 香味の強さ:強い +++>++>+ 弱い
【0033】実施例2 内容量3リットルの撹拌釜に、市販のバターオイル10
00gとPANASATE875(日本油脂製のMC
T)80gを添加混合し、40℃にて5時間撹拌下に熟
成した。この熟成物を内容量5リットルの耐圧抽出塔に
充填し、抽出温度30℃、圧力80Kg/cm2にて、
亜臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出し、淡赤褐色の抽
出物35.5gを得た。このものは従来の水蒸気蒸留物
と比較したところ、軽く快いローストフレーバーを有
し、こく味のある軽いバター特有の芳香と調理したとき
のうま味のある芳香を有し、これらがバランスよく調和
し、持続性も有していた。また、MCTを使用しないで
同一条件にて抽出したものに比べ、抽出物の収率および
抽出物の流動性の面で改善されていた。
【0034】実施例3 実施例1と同じ抽出塔に、チキンオイル1KgとODO
(日清製油製のMCT)0.1Kgを充填し、50℃に
て3時間撹拌下、熟成した。この熟成物にさらにグリセ
リン0.05Kgと水0.10Kgを添加して、抽出温度
25℃、圧力100Kg/cm2にて、液化状態の二酸
化炭素を用いて抽出し、分離塔内の圧力を50Kg/c
2にして、水及びグリセリンを除去して25.5gの抽
出物を得た。このものは従来品の有機溶媒による抽出物
に比べ、良質なチキン特有の香味を有し、優れた持続性
を有していた。また、MCTを添加して、熟成処理を行
っていないものに比べ、抽出物の収率および抽出物の流
動性の面で改善されていた。
【0035】実施例4 内容量3リットルの撹拌釜に、コーヒーオイル1Kgと
ODO(日清製油製のMCT)50gを充填し、超音波
発生装置にて超音波照射しながら5時間撹拌下に熟成し
た。この熟成物を抽出温度40℃、圧力100Kg/c
2にて、超臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出し、淡
黄色の抽出物42.5gを得た。このものは従来の有機
溶媒による抽出物に比べ良質なコーヒー特有のロースト
感を有し、優れた持続性を有していた。またMCTを添
加して、熟成処理を行っていないものに比べ、抽出物の
収率および抽出物の流動性の面で優れていた。
【0036】実施例5 内容量3リットルの撹拌釜に、ローストピーナッツ粉砕
物1500gと水100gを充填し、超音波発生装置に
て超音波照射しながら3時間熟成した。この熟成物を抽
出温度40℃、圧力100Kg/cm2にて、超臨界状
態の二酸化炭素を用いて抽出し、淡黄色の抽出物42.
8gを得た。このものは従来の有機溶媒による抽出物に
比べ良質なローストピーナッツ特有のロースト感を有
し、優れた持続性を有していた。また水を添加して、熟
成処理を行っていないものに比べ、ローストピーナッツ
特有の香気香味に優れ、かつ抽出物の収率および抽出物
の流動性の面で優れていた。
【0037】実施例6 内容量3リットルの撹拌釜に、麦茶粉砕物500gとエ
タノール100gを充填し、超音波発生装置にて超音波
照射しながら5時間熟成した。この熟成物を抽出温度2
0℃、圧力100Kg/cm2にて、亜臨界状態の二酸
化炭素を用いて抽出し、淡褐色の抽出物76.2gを得
た。このものは従来の有機溶媒による抽出物に比べ良質
な麦茶特有のロースト感を有し、優れた持続性を有して
いた。またエタノールを添加して、熟成処理を行ってい
ないものに比べ、香味および抽出物の収率の面で優れて
いた。
【0038】実施例7 内容量3リットルの耐圧抽出塔に味噌2000gおよび
グリセリン200gを添加混合し、撹拌しながら40℃
で3時間熟成した。その後、抽出温度40℃、圧力10
0kg/cm2 にて、超臨界状態の二酸化炭素で抽出し
た。ついで、 抽出ガスをセパレーターに導き、セパレー
ター内の温度35℃、圧力40kg/cm2 の条件で分
離し、抽出物30.4gを得た。このものは従来の有機
溶媒による抽出物に比べ良質な味噌特有の発酵感を有
し、優れた持続性を有していた。またグリセリンを添加
して、熟成処理を行っていないものに比べ、香味および
抽出物の収率の面で優れていた。
【0039】実施例8 内容量3リットルの撹拌釜に、酵素処理バター1000
gとODO(日清製油製のMCT)50gを充填し、4
5℃で3時間撹拌下に熟成した。この熟成物を抽出温度
45℃、圧力100Kg/cm2にて、超臨界状態の二
酸化炭素を用いて抽出し、淡黄色の抽出物45.6gを
得た。このものは従来の有機溶媒による抽出物に比べフ
レッシュなバター感を有し、優れた持続性を有してい
た。またMCTを添加して、熟成処理を行っていないも
のに比べ、香味および抽出物の収率の面で優れていた。
【0040】実施例9 内容量3リットルの撹拌釜に、ローストビーフ粉砕物1
000gとエタノール100gを充填し、超音波発生装
置にて超音波照射しながら3時間熟成した。この熟成物
を抽出温度40℃、圧力100Kcm2にて、超臨界状
態の二酸化炭素を用いて抽出し、淡褐色の抽出物80.
4gを得た。このものは従来の有機溶媒による抽出物に
比べ良質なロースト感およびビーフ感を有し、優れた持
続性を有していた。またエタノールを添加して、熟成処
理を行っていないものに比べ、香味および抽出物の収率
の面で優れていた。
【0041】実施例10 内容量3リットルの撹拌釜に、バニラ細断物1000g
とエタノール100gを充填し、超音波発生装置にて超
音波照射しながら5時間熟成した。この熟成物を抽出温
度40℃、圧力100Kg/cm2にて、超臨界状態の
二酸化炭素を用いて抽出し、淡黄色の抽出物74.2g
を得た。このものは従来の有機溶媒による抽出物に比べ
良質なバニラ感を有し、優れた持続性を有していた。ま
たエタノールを添加して、熟成処理を行っていないもの
に比べ、抽出物の収率および抽出物の流動性の面で優れ
ていた。
【0042】実施例11 内容量3リットルの撹拌釜に、ホワイトペッパー粉砕物
1500gと水150gを充填し、超音波発生装置にて
超音波照射しながら3時間熟成した。この熟成物を抽出
温度40℃、圧力100Kg/cm2にて、超臨界状態
の二酸化炭素を用いて抽出し、淡黄色の抽出物30.5
gを得た。このものは従来の有機溶媒による抽出物に比
べ良質なペッパー特有のスパイス感を有し、優れた持続
性を有していた。また水を添加して、熟成処理を行って
いないものに比べ、香味および抽出物の収率の面で優れ
ていた。
【0043】実施例12 内容量3リットルの撹拌釜に、カツオ節粉砕物1500
gとエタノール150gを充填し、超音波発生装置にて
超音波照射しながら5時間熟成した。この熟成物を抽出
温度40℃、圧力100Kg/cm2にて、超臨界状態
の二酸化炭素を用いて抽出し、淡黄色の抽出物98.6
gを得た。このものは従来の有機溶媒による抽出物に比
べ良質なカツオ節特有の節感を有し、優れた持続性を有
していた。またエタノールを添加して、熟成処理を行っ
ていないものに比べ、抽出物の収率および抽出物の流動
性の面で優れていた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、動植物原料を液化状態
又は亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素を抽剤とし
て抽出処理するに際し、あらかじめ該動植物原料に熟成
補助材料を添加混合し、熟成した後、抽出することによ
り安定性に優れ、フレーバー強度の大きい香気香味成分
を含有する動植物原料のフレーバーを効率良く且つ高収
率をもって工業的に極めて有利に製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 直人 神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川香 料株式会社技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動植物原料を圧力150Kg/cm2
    下の液化状態又は亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭
    素を抽剤として抽出処理するに際し、あらかじめ該動植
    物原料に熟成補助材料を添加混合し、熟成した後、抽出
    することを特徴とする動植物原料からのフレーバーの抽
    出方法。
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