JPH09143204A - 活性化キトサンの製造方法 - Google Patents

活性化キトサンの製造方法

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JPH09143204A
JPH09143204A JP32788995A JP32788995A JPH09143204A JP H09143204 A JPH09143204 A JP H09143204A JP 32788995 A JP32788995 A JP 32788995A JP 32788995 A JP32788995 A JP 32788995A JP H09143204 A JPH09143204 A JP H09143204A
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Kazue Ieda
和重 家田
Takanori Yamanami
隆徳 山南
Shojiro Horiguchi
正二郎 堀口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価、且つ大量の塩を使用せずに、安全に活
性化キトサンを製造することができる方法を提供するこ
と。 【解決手段】 水中でキトサンを硫酸で処理することを
特徴とする活性化キトサンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応性を高めた、
キトサン誘導体の製造上有用である活性化キトサンの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】キチンを脱アセチル化して得られるキト
サンは、そのユニークな性質を利用して種々の分野への
応用が試みられている。例えば、医療分野では創傷被覆
剤として、化粧品分野では粉体特性の改良剤として、
又、塗料分野では増粘剤、分散剤あるいは被膜形成剤と
しての利用が試みられている。一方、キトサンの第1級
アミノ基を利用して種々の無機酸あるいは有機酸と反応
させて活性化キトサンを得、これを用いてキトサンの種
々の誘導体を製造する試みも盛んに行われている。
【0003】従来知られている活性化キトサンの製造方
法として、キトサンの酸水溶液をアルカリ水溶液中に添
加してキトサンを再沈殿させる方法がある。しかし、こ
の方法では、キトサンの酸水溶液の濃度を高めると、溶
液の粘度が著しく高粘度になるために、溶液の濃度を低
くしなければならず、処理量が非常に多量となる問題が
ある。
【0004】これを解決する方法として、不均一系での
処理が種々提案されている。不均一系での処理として知
られている方法としては、例えば以下の2通りの方法が
ある。その一つは特表昭63−503466号公報に開
示の、キトサンに酸を作用させる媒体として、キトサン
を溶解しない水溶性極性溶媒と水の混合溶媒を用い、キ
トサンをこの媒体に懸濁させた状態で酸と反応させる懸
濁系での処理方法である。
【0005】他の方法は特開平2−235905号公報
に開示の、キトサンに酸を作用させる媒体として高濃度
塩水溶液を用い、この媒体にキトサンを懸濁させて処理
する方法である。これらの2つの方法は、「キトサンが
酸水溶液に溶解する」という事実を前提に、キトサンが
溶解しないように高濃度の水溶性極性溶媒もしくは塩類
を添加してキトサンを懸濁状態として酸で処理を行うこ
とが特徴である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前者の方法
では、水溶性極性溶媒としてアルコール類やアセトン等
の高価、且つ危険な引火性物質である有機溶媒を使用す
ること、これらの溶媒の回収にも手間が掛かるなどの問
題がある。又、後者の方法では、塩類を大量に使用する
ために、塩水溶液中での処理後に処理生成物から塩類を
水洗除去しなければならず、大量の洗浄水を使用する結
果、大量の塩の水溶液を排出する問題がある。従って、
本発明の目的は、安価、且つ大量の塩を使用しないで、
安全にキトサンを活性化することができる方法を提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、キトサン
は、通常、酸水溶液には溶解するが、酸の中では特異的
に硫酸が水中でキトサンを溶解しないことに注目し、本
発明を完成するに至った。即ち、本発明は、水中でキト
サンを硫酸で処理することを特徴する活性化キトサンの
製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態を挙げて本
発明をさらに詳細に説明する。本発明で使用するキトサ
ンは、特に限定されず、いずれの脱アセチル化度、分子
量のものも使用することができる。キトサンは水中で硫
酸によって処理されるが、水中に存在するキトサンは硫
酸の添加によっても溶解せずに懸濁状態で存在して処理
される。
【0009】硫酸水溶液中のキトサンは、約50〜60
℃の温度を境に、これ以下の温度では溶解せずに懸濁し
た状態のままであるが、これ以上の温度では溶解する。
従って、キトサンの水懸濁液に硫酸を添加した後に、こ
の懸濁溶液を上記温度以上に加熱するとキトサンは硫酸
水溶液に溶解し、更に硫酸による処理は進行する。処理
後、処理液の温度を上記温度以下に冷却することにより
処理されたキトサンを析出させることができる。
【0010】硫酸処理に際しては、先ずキトサンを十分
な攪拌下に水に懸濁させる。この時、キトサンの活性化
を阻害しない程度に、水溶性極性溶媒、塩類、酸類を共
存させてもよい。水に対するキトサンの添加量は、特に
限定されないが、高濃度になると硫酸との接触が不十分
となるので0.1〜30重量%程度が好ましい。
【0011】次に、硫酸をキトサンの水懸濁液に十分な
攪拌下に添加して処理を行う。処理には、前記のよう
に、キトサンを懸濁状態で処理する場合と溶解した状態
で処理する場合とがある。溶解状態での処理は加熱下の
処理であることも加わって、懸濁状態での処理よりも処
理時間が短縮されることと硫酸による加水分解が促進さ
れて分子量をより低下させ得る利点がある。添加する硫
酸の濃度(量)は、特に限定されず、キトサンの脱アセ
チル化度、目標とするキトサンの活性化の程度に応じて
適宜決められる。処理時間は、処理の態様(懸濁状態で
あるか溶液状態であるか)及び目標の活性化の程度によ
って差異があるが、例えば、懸濁状態での処理では1〜
10時間、溶液状態での処理では0.5〜4時間程度で
ある。
【0012】前記の通り、処理を上記の境界温度以下で
行った場合には、処理されたキトサンは硫酸水溶液中に
懸濁した状態で存在しているから、濾過等の公知の手段
で処理溶液から容易に単離することができる。一方、処
理を境界温度以上で行った場合には、処理されたキトサ
ンは硫酸水溶液に溶解しているが、この硫酸水溶液を境
界温度以下に冷却することによって処理されたキトサン
を析出させることができるから、この場合も処理された
キトサンを容易に単離することができる。
【0013】いずれの場合も、処理溶液から処理生成物
である活性化キトサンを単離する前に、過剰の硫酸をア
ルカリで中和することが好ましい。又、必要により生成
するキトサンの硫酸塩をフリーのキトサンに戻すことも
できる。アルカリとしては、アルカリ金属(ナトリウ
ム、カリウム、リチウム等)やアルカリ土類金属(カル
シウム、バリウム、マグネシウム等)の水酸化物、炭酸
塩、炭酸水素塩等及び有機アミン類等が使用できる。単
離された含水活性化キトサンは、水洗浄、濾過を繰り返
して中和生成物である硫酸塩を除去し、乾燥される。
【0014】
【実施例】次に、実施例、比較例及び参考例を挙げて本
発明を具体的に説明する。尚、文中の部及び%は、特に
断りのない限り、重量基準である。
【0015】実施例1 10リットルセパラブルフラスコに、フレークキトサン
(1%濃度で10cps、溶媒は1%酢酸水溶液、以下
も同様;脱アセチル化度98%)360gとイオン交換
水5000gを入れ、室温で、撹拌下に、95%硫酸1
10gを添加した。添加終了後そのまま室温で4時間撹
拌を継続したが、キトサンは溶けずにスラリー状のまま
であった。10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜8
まで中和した後、濾過によって処理生成物を単離した。
水洗、濾過を繰り返して硫酸ナトリウムを洗浄除去し、
活性化キトサンの含水物1550g(キトサン純分22
%)を得た。
【0016】参考例1 撹拌機付きオートクレーブに、実施例1で得られた活性
化キトサン含水物全量と、イオン交換水2000gを仕
込み、プロピレンオキシド700gを添加して昇温、7
0℃で8時間反応させた。途中、4時間目にプロピレン
オキシド700gを追加して反応させた。この反応でヒ
ドロキシプロピルキトサン410gが得られた。これを
5%濃度でエチルアルコールに溶解させると、非常に透
明な溶液が得られた。
【0017】比較例1 実施例1による活性化を行わずに、フレークキトサンを
そのままで参考例1と同様な反応を行った。仕込むイオ
ン交換水の量は含水物中の水を考慮して、参考例1の場
合と同じになるように3209gとした。ヒドロキシプ
ロピルキトサン400gが得られたが、これを5%濃度
でエチルアルコールに溶解させると、溶液は白濁を呈し
た。
【0018】実施例2 10リットルセパラブルフラスコに、フレークキトサン
(0.5%濃度で1500cps、脱アセチル化度75
%)360gとイオン交換水5000gを入れ、室温
で、撹拌下、95%硫酸200gを添加した。添加終了
後、室温で4時間撹拌を続けたが、キトサンは溶けずに
スラリー状のままであった。10%水酸化ナトリウム水
溶液でpH7〜8まで中和し、濾過によって処理生成物
を単離した。水洗、濾過を繰り返して硫酸ナトリウムを
洗浄除去し、活性化キトサンの含水物1600g(キト
サン純分21%)を得た。
【0019】参考例2 10リットルセパラブルフラスコに、実施例2で得た活
性化キトサン含水物を全量仕込み、さらにイソプロピル
アルコール3500gを添加して解膠した。次いで、グ
リシドール500gと70%トリメチルグリシジルアン
モニウムクロライド150gを添加して、昇温、60℃
で20時間反応させた。反応後、単離して650gの生
成物を得た。生成物を0.5%濃度で水に溶解させる
と、透明で均一な溶液となった。
【0020】比較例2 実施例2による処理を行わずに、フレークキトサンをそ
のままで、含水物中の水を考慮した他は同一条件で参考
例2と同様にして反応を行ったところ、650gの生成
物が得られた。この生成物を0.5%濃度で水に溶解さ
せると、生成物粒子表面はよく溶解するが、中心部が溶
解せず、未反応キトサンと思われる不透明な不溶解分が
多量に存在した。また、透明なゲル状物も存在し、透明
均一な水溶液は得られなかった。
【0021】実施例3 10リットルセパラブルフラスコに、キトサン(0.5
%濃度で1500cps、脱アセチル化度82%)36
0gとイオン交換水5000gを入れ、室温で、撹拌
下、95%硫酸550gを添加した。添加終了後、撹拌
下に80℃に昇温し、80℃で1時間保った。キトサン
は溶解していた。酸加水分解を受けて低分子量化したこ
とと温度が高いために溶液の粘度は低く、キトサンの濃
度が高いにもかかわらず、撹拌は容易であった。この溶
液を冷却していくと55℃付近で活性化キトサンが析出
し、スラリー状となった。濾過によって活性化キトサン
を単離した。水洗、濾過を繰り返して過剰の硫酸を洗浄
除去し、活性化キトサン(キトサン硫酸塩)の含水物1
750g(キトサン純分17%)を得た。
【0022】参考例3 10リットルセパラブルフラスコに、実施例3で得られ
た活性化キトサン含水物全量とイオン交換水3500g
を添加して解膠した。45℃に昇温し、35%過酸化水
素40gを添加して10時間反応させて低分子化を行っ
た。反応後、2%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7〜
8に中和し、生成物を濾過によって単離した。水洗、濾
過を繰り返した後、乾燥して255gの生成物を得た。
生成物を1%酢酸水溶液に1%濃度で溶解し、B型粘度
計(30rpm)で測定した20℃の粘度は3.5cp
sであった。
【0023】比較例3 実施例3による処理を行わずに、フレークキトサンを含
水物中の水を考慮した以外は参考例3と同一条件で反応
を行って320gの生成物を得た。得られた生成物の粘
度を参考例3と同じ条件で測定したところ15cpsで
あった。
【0024】
【発明の効果】以上の本発明によれば、高価で、危険な
有機溶媒を使うことなく、安全・安価な水中で処理で
き、又、大量の塩類を排出することなく効率的に活性化
キトサンを製造することができる。本発明で得られる活
性化キトサン(キトサン硫酸塩)は、種々の化合物と反
応させてキトサン誘導体を製造する出発物質として有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山南 隆徳 東京都中央区日本橋馬喰町1−7−6 大 日精化工業株式会社内 (72)発明者 堀口 正二郎 東京都中央区日本橋馬喰町1−7−6 大 日精化工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中でキトサンを硫酸で処理することを
    特徴とする活性化キトサンの製造方法。
  2. 【請求項2】 懸濁状態のキトサンを処理する請求項1
    に記載の活性化キトサンの製造方法。
  3. 【請求項3】 キトサンの水懸濁液に硫酸を添加した
    後、加熱してキトサンを溶解させる請求項1に記載の活
    性化キトサンの製造方法。
  4. 【請求項4】 処理後、処理溶液を冷却して処理生成物
    を析出させる請求項3に記載の活性化キトサンの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 処理後、処理溶液をアルカリで中和する
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性化キトサンの
    製造方法。
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CN105968231A (zh) * 2016-07-21 2016-09-28 中国科学院海洋研究所 一种不同分子量β-C-2,3,6-壳聚糖硫酸酯及其制备方法
CN106188339A (zh) * 2016-07-21 2016-12-07 中国科学院海洋研究所 一种免疫增强剂及其制备方法

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