JPH09137027A - 室温硬化性フッ素ポリマー系組成物 - Google Patents

室温硬化性フッ素ポリマー系組成物

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JPH09137027A
JPH09137027A JP8157687A JP15768796A JPH09137027A JP H09137027 A JPH09137027 A JP H09137027A JP 8157687 A JP8157687 A JP 8157687A JP 15768796 A JP15768796 A JP 15768796A JP H09137027 A JPH09137027 A JP H09137027A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐候性、電気特性、加工性、耐薬品
性、耐溶剤性および撥油性に優れるばかりでなく、速硬
化性および深部硬化性にも優れる室温硬化性フッ素ポリ
マー系組成物の提供。 【解決手段】(A) 主鎖中にパーフルオロアルキレン構造
およびパーフルオロポリエーテル構造からなる群から選
ばれる少なくとも1種を有し、かつ分子鎖両末端に加水
分解性シリル基を有する直鎖状フッ素ポリマー化合物、
(B) 1分子中にカルボニル基を少なくとも1個有する有
機化合物(例えばアセトン)、および、(C) (C−1)
1分子中に第1級アミノ基を少なくとも1個有する化合
物(例えばエチルアミン)、又は(C−2)1分子中に
プロトンを少なくとも1個有し、その水中における酸解
離定数(pka) が2以下である化合物(例えばマレイン
酸)を含有してなる室温硬化性フッ素ポリマー系組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、縮合硬化型の室温硬化
性フッ素ポリマー系組成物に関するものであり、特に速
硬化性及び深部硬化性に優れる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】縮合硬化型の室温硬化性組成物として
は、主鎖がオルガノポリシロキサン構造又はポリオキシ
アルキレン構造からなり、分子鎖両末端に架橋点を有す
るものを主成分とするものが、従来より知られている。
当該組成物は、硬化前は液状であるので加工性に優れて
おり、しかも得られる硬化物は耐熱性、耐候性、電気特
性、加工性等が優れていることから、様々な分野で使用
されている。しかし、耐薬品性、耐溶剤性及び撥油性に
劣るのでその用途が限られる。これに対し、主鎖が含フ
ッ素ポリマー構造からなり、分子鎖の両末端に加水分解
性基を有するフッ素ポリマーを主成分とし、さらに架橋
剤及び場合によっては触媒を含有してなる室温硬化性フ
ッ素ポリマー系組成物が、例えば、特公昭63-61336号公
報、米国特許3950588 号及びヨーロッパ特許0151877 号
に記載されている。これらの組成物の硬化は、前記のフ
ッ素ポリマーの末端に有する加水分解性基と架橋剤とが
大気中の水により脱水縮合して架橋することにより進行
する。この室温硬化性フッ素系ポリマー系組成物は、硬
化前は加工性に優れ、硬化により得られる硬化物は耐熱
性、耐候性、電気特性に優れるばかりでなく、耐薬品
性、耐溶剤性及び撥油性にも優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の室温硬化性フッ素ポリマー系組成物は、大気中に放
置しても、主鎖がオルガノポリシロキサンやポリオキシ
アルキレンからなるポリマーを主成分とする硬化性組成
物に比べて硬化速度が遅く、特に深部の硬化には長時間
を要する。例えば、前記の硬化性フッ素ポリマー系組成
物を、大気中、室温でその表面から5mmまで硬化させ
るのに、1〜2週間の時間を要する。すなわち、速硬化
性及び深部硬化性が著しく劣るという欠点を有する。こ
れは、大気中の水分がフッ素ポリマー内に透過しにくい
ためである。したがって、本発明の目的は、速硬化性及
び深部硬化性にも優れた室温硬化性フッ素ポリマー組成
物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の(A) 〜
(C) の3成分を必須成分として配合することにより、上
記の課題を解決したものである。すなわち、本発明によ
れば、(A) 主鎖中にパーフルオロアルキレン構造及びパ
ーフルオロポリエーテル構造からなる群から選ばれる少
なくとも1種を有し、かつ分子鎖両末端に加水分解性シ
リル基を有する直鎖状フッ素ポリマー化合物、(B) 1分
子中にカルボニル基を少なくとも1個有する有機化合
物、及び、(C) (C−1)1分子中に第1級アミノ基を
少なくとも1個有する有機化合物及び(C−2)1分子
中にプロトンを少なくとも1個有し、その水中における
酸解離定数(pKa) が2以下である化合物よりなる群から
選ばれる1種の化合物を含有してなる室温硬化性フッ素
ポリマー系組成物が提供される。
【発明の実施の形態】
【0005】以下、本発明を詳しく説明する。
【0006】(A) 直鎖状フッ素ポリマー化合物 (A) 成分の直鎖状フッ素ポリマー化合物(以下、フッ素
ポリマー(A) という)は、該組成物の主成分である。
【0007】このフッ素ポリマー(A) の好ましい例は、
下記の一般式(1): Y-[ R1 -( Rf -R2 ) a -Rf -R1]-Y (1) 〔式中、Rf はパーフルオロアルキレン基、2価のパー
フルオロポリエーテル基又はパーフルオロアルキレン基
と2価のパーフルオロポリエーテル基の組合せからなる
2価の基であり、R1 及びR2 は同一でも異なってもよ
く、置換又は非置換の2価炭化水素基(ただし、該炭化
水素基は酸素原子、窒素原子及びケイ素原子の1種又は
2種以上を含んでもよい)であり、aは0以上の整数で
あり、Yは加水分解性シリル基である〕で示されるもの
である。一般式(1) において、Rf により表されるパー
フルオロアルキレン基としては、例えば、一般式(2) : −Cp 2p− (2) 〔ただし、pは1〜10の整数であり、好ましくは1〜6
の整数である〕で示す直鎖状又は分岐状のものが挙げら
れる。
【0008】また、Rfにより表される2価のパーフル
オロポリエーテル基としては、一般式(3) : -(Rf '-O) q - (3) 〔式中、複数のRf' は同一又は異なり、炭素原子数1
〜6、好ましくは炭素原子数1〜3の直鎖状又は分岐状
のパーフルオロアルキレン基であり、qは1〜500 の整
数、好ましくは2〜400 の整数、さらに好ましくは10〜
200 の整数である〕で示すものが挙げられる。一般式
(3) において、式:-(Rf '-O) - の構造単位の具体例と
しては、-CF2O-, -CF2CF2O-, -CF2CF2CF2O-, -CF(CF3)C
F2O-, -CF2CF2CF2CF2O-,-CF2CF2CF2CF2CF2CF2O-, 及び
-C(CF3)2O-等が挙げられる。特に好ましいのは、-CF2O
-, -CF2CF2O-, -CF2CF2CF2O- 及び -CF(CF3)CF2O- であ
る。
【0009】Rf の具体例としては、-C4F8-,-C6F12-,
-[CF(CF3)OCF2]3[CF2OCF(CF3)]2-,-[CF(CF3)OCF2]15[CF
2OCF(CF3)]15-,-[CF(CF3)OCF2] m [CF2OCF(CF3)]n -
〔ただし、n+mは平均値で38である〕,-CF2CF2OCF2
(CF2)2CF2OCF2CF2-,-CF2CF2OCF2CF(CF3)OCF2(CF2)2CF2O
-CF(CF3)CF2OCF2CF2-,-CF2(OCF2CF2) n (OCF2)mOCF2-
〔ただし、nは平均値で5〜50の整数、mは平均値で1
〜10の整数である〕,-CF(CF3)[OCF(CF3)CF2] n (OCF2)m
OCF(CF3)-〔ただし、nは平均値で5〜50の整数、mは
平均値で1〜10の整数である〕,-CF2CF2(OCF2CF2CF2)
n OCF2CF2 -〔ただし、nは平均で5〜100 の整数であ
る〕,-[CF(CF3)OCF2]n [CF2OCF(CF3)]m-〔ただし、n+
mは平均値で2〜 200の整数、好ましくは30〜110 の整
数である〕及び-[CF(CF3)OCF2]n (CF2)2 [CF2OCF(CF3)]
m -〔ただし、n+mは平均値で20〜110 の整数であ
る〕が挙げられる。
【0010】R1 及びR2 は、炭素原子数1〜20の置換
又は非置換の2価炭化水素基が好ましく、特に炭素原子
数2〜10の炭化水素基が好ましい。具体的には、メチレ
ン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、
ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基; シク
ロヘキシレン基等のシクロアルキレン基; フェニレン
基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェ
ニレン基等のアリーレン基;これらの基の水素原子の一
部又は全部をハロゲン原子で置換した基;及び置換又は
非置換のアルキレン基とアリーレン基の組合せが例示さ
れる。
【0011】R1 及びR2 は、その構造中に酸素原子、
窒素原子及びケイ素原子の1種又は2種以上を含んでも
よい。この場合、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子
は、それぞれ、−O−又は−CO−結合;−NR’−結
合〔R’は、水素原子、アリール基又は炭素原子数1〜
8、特に1〜6のアルキル基である〕;下記に示すよう
な直鎖状又は環状のオルガノシロキシ基・オルガノシリ
レン基として炭化水素基内に又は炭化水素基の末端に存
在することができる。
【0012】
【化1】 〔ただし、R''は炭素原子数1〜8の置換又は非置換の
1価炭化水素基であり、R''' は前記R1 及びR2 と同
様のアリーレン基又は炭素原子数1〜6のアルキレン基
であり、nは0〜10の整数、好ましくは0〜5の整数
である。〕 上記のR''としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-
ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアル
キル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロ
ヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル
基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イ
ソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の
アルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナ
フチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル
基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;及びこれら
の基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換し
た基(例えば、クロロメチル基、ブロモエチル基、クロ
ロプロピル基、トリフルオロプロピル基)が挙げられ
る。
【0013】R1 及びR2 の具体例として、下記の基を
例示することができる。
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】一般式(1) におけるaの範囲は、通常、0
以上であり、好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5
である。
【0020】該フッ素ポリマー(A) の両末端に有する加
水分解性シリル基としては、例えば、下記一般式(4) : −SiR''3-b b (4) 〔ここで、Xは加水分解性基であり、R''は前記と同じ
意味であり、bは1〜3の整数である〕で示されるもの
がある。一般式(4) の加水分解性基(X) としては、カル
ボキシル基、ケトオキシム基、アルコキシ基、アルケノ
キシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基及びフッ
素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を例示するこ
とができる。
【0021】(A) 成分の直鎖状化合物は、25℃におい
て、通常25〜1,000,000 cSt、好ましくは100 〜100,000
cStの粘度であればよい。この粘度が低すぎると物理的
強度に優れた硬化物が得られないことがある。逆に、粘
度が高すぎると、得られる組成物の粘度が高く、その結
果、組成物の使用時における作業性が悪くなることがあ
る。
【0022】(B) カルボニル基含有有機化合物 (B) 成分のカルボニル基含有有機化合物( 以下、カルボ
ニル化合物(B) という) は、分子中にカルボニル基を少
なくとも1 個有する必要がある。
【0023】本発明の組成物は、従来の縮合硬化型の室
温硬化性フッ素ポリマー系組成物と異なり、架橋に必要
とする水を大気中から供給するだけではなく、この(B)
成分が後述する(C−1)成分と以下の反応式: R3 2C=O + H2 NR4 −−→ R3 C =NR4 + H2 O で表される脱水縮合反応によっても、或いは後述する
(C−2)成分を触媒として、以下の反応式:
【0024】
【化8】
【0025】〔式中、R5 および R6 は水素原子又は
有機基である〕で表される脱水縮合反応によっても組成
物中に水を供給する。したがって、水が組成物中の深部
にも直接生じるため、深部においても迅速に硬化させる
ことができる。
【0026】カルボニル化合物(B) としては、例えばア
セトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、アセチ
ルアセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プ
ロピオン酸メチル、アクリル酸エチル、ブチロラクト
ン、アセト酢酸エチル等のエステル類;ジメチルホルム
アミド、ジエチルアセトアミド、ブチロラクタム等のア
ミド類;酢酸、プロピオン酸、安息香酸等のカルボン酸
類;アセトアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、ベンズア
ルデヒド等のアルデヒド類;カルボニル基を官能基とし
て有するシランカップリング剤;カルボニル基を有する
ポリマー及びオリゴマー;およびこれらの化合物の水素
原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたもの
が挙げられる。
【0027】ここで、カルボニル化合物(B) は後述する
アミノ化合物(C−1)と反応させるときの立体障害性
を考慮すると、カルボニル化合物(B) のカルボニル基の
α位にある炭素原子は、1級、2級又は芳香族環の一部
であることが好ましい。当該炭素原子が3級であると、
立体障害性により所望の効果を得られない場合がある。
また、このカルボニル化合物(B)は、後述するプロト
ンを有する化合物(C−2)との脱水縮合反応性を考慮
すると、カルボニル化合物(B) のカルボニル基に隣接す
る炭素原子の一つは、1級炭素原子であることが好まし
い。この隣接する炭素原子のすべてが2級もしくは3級
の炭素原子または芳香族環の一部であると、反応性が劣
り所望の効果を得られない場合がある。したがって、カ
ルボニル化合物(B) の好ましい例は、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノ
ン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノ
ン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、アセチルアセ
トン、アセト酢酸エチル、アセトアルデヒド、n−ブチ
ルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヘキサクロロアセト
ンおよびパーフルオロ−3−ペンタノンであり、特に好
ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタ
ノン、シクロヘキサノン、アセト酢酸エチル、アセチル
アセトン、ヘキサクロロアセトンおよびパーフルオロ−
3−ペンタノンである。カルボニル化合物(B) はこれら
の有機化合物の1種類に限定されず、2種類以上使用し
てもよい。
【0028】カルボニル化合物(B) の量は、フッ素ポリ
マー(A) 100 gに対して、カルボニル基換算で0.001 〜
0.5 モル、好ましくは0.01〜0.2 モルとなる量が適当で
ある。カルボニル基が少なすぎると、深部硬化性を十分
に発現できないことがある。逆に、多すぎると、硬化
後、目的とするゴム強度、弾性のような物性を得ること
ができないことがある。
【0029】(C−1)アミノ基含有有機化合物 (C−1)成分のアミノ基含有有機化合物(以下、アミ
ノ化合物(C−1)という) は、分子中に少なくとも1
個のアミノ基を有する必要がある。このようなアミノ化
合物(C−1)としては例えば、メチルアミン、エチル
アミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、アニリン等
のアミン類;アミノ基を有するγ- アミノプロピルトリ
エトキシシラン等のシランカップリング剤;及びアミノ
基を有するポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
【0030】前述のようにアミノ化合物(C−1)とカ
ルボニル化合物(B) とを反応させるときの立体障害性を
考慮すると、アミノ化合物(C−1)のアミノ基のα位
にある炭素原子は、1級、2級又は芳香族環の一部であ
ることが好ましい。当該炭素原子が3級であると、立体
障害性により所望の効果を得られない場合がある。した
がって、アミノ化合物(C−1)としては例えば、エチ
ルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ベンジルアミ
ン、アニリン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、
α−アミノプロピルトリエトキシシラン及びγ−アミノ
プロピルメチルポリシロキサンが好ましい。
【0031】また、アミノ化合物(C−1)はこれら有
機化合物の1種類に限定されず、2種類以上使用しても
よい。アミノ化合物(C−1)の量は、化合物(A) 100
gに対して、アミノ基換算で通常、0.001 〜0.5 モル、
好ましくは0.01〜0.2 モルになる量が適当である。アミ
ノ基量が少なすぎると、深部硬化性を十分に発現できな
いことがある。逆に多すぎると、硬化後、目的とするゴ
ム強度、弾性等の物性を得ることができないことがあ
る。
【0032】(C−2)プロトンを有する化合物 (C−2)成分は、カルボニル化合物(B) の縮合反応に
触媒として作用するものであり、1分子中にプロトンを
少なくとも1個有し、その水中における酸解離定数(pK
a) が2以下の化合物であることを必要とする(以下、
この化合物を触媒(C−2)という)。pKa が2を超え
る化合物の場合、酸性度、すなわち、プロトンの解離度
が小さく、カルボニル化合物(B) の縮合反応に有効に作
用しない。触媒(C−2)としては、例えばマレイン
酸、5−アミノサリチル酸、2,4−ジニトロ安息香
酸、ニトロ酢酸、シュウ酸等のカルボン酸;ピクリン酸
等のフェニルアルコール;ジクロロ酢酸、トリクロロ酢
酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオ
ロ酪酸等のカルボニル基のα位炭素の一部または全部が
ハロゲン原子で置換されたカルボン酸;塩化水素、臭化
水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素酸;および亜硫
酸、硫酸、硝酸、次亜塩素酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、
過マンガン酸、p−トルエンスルホン酸、フルオロ硫
酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のオキソ酸が挙げ
られる。これらの化合物の中で、フッ素により変性され
ているものは、フッ素ポリマー(A) との相溶性に優れる
ため好ましい。また、ハロゲン化水素酸およびオキソ酸
は、取扱いが危険であるため、ほかのカルボン酸類のほ
うが好ましい。したがって、最も好ましいものは、ジフ
ルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロ酪酸等
のカルボニル基のα位炭素の一部または全部がフッ素原
子で置換されたカルボン酸である。触媒(C−2)はこ
れら有機化合物の1種類に限定されず、2種類以上使用
してもよい。
【0033】触媒(C−2)の量は、フッ素ポリマー
(A) 100 gに対して、0.0001〜0.2 モルが好ましく、よ
り好ましくは0.001 〜0.1 モルである。この触媒量が少
なすぎると、深部硬化性を十分に発現できないことがあ
る。逆に、多すぎると、硬化後、目的とするゴム強度、
弾性のような物性を得ることができないことがある。
【0034】その他の配合剤 本発明の室温硬化性組成物には硬化物の物性を調整する
等のために、種々の配合剤を添加することも可能であ
る。例えば、有機スズエステル、有機チタン酸エステ
ル、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラ
ン等の縮合触媒;メチルトリメトキシシラン、メチルト
リプロペノキシシラン、ビニルトリブタノキシムシラ
ン、メチルトリアセトキシシラン等の保存安定剤;煙霧
質シリカ、沈降性シリカ、二酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、石英粉末、炭素粉末、タルク、ベントナイト等の
補強剤;アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質
充填剤;顔料、染料等の着色剤;ベンガラ、酸化セリウ
ム等の耐熱性向上剤;耐寒性向上剤;脱水剤;防錆剤;
トリオルガノシロキシ単位及びSiO2 単位からなる網
状ポリシロキサン等の液状補強剤;及びγ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン等の接着性向上剤が挙げ
られる。
【0035】室温硬化性組成物の調製 本発明の第一室温硬化性組成物を1液型として調製する
場合、前記の(A),(B)及び(C) 成分及び必要に応じてそ
の他の配合剤を乾燥雰囲気中で均一に混合することによ
り、該組成物を得ることができる。そして、当該組成物
を硬化前の状態で保存するために、カルボニル化合物
(B) 又は成分(C) をマイクロカプセル化することも可能
である。また、上記組成物を2液型として調製する場
合、例えば、フッ素ポリマー(A)の一部及びカルボニル
化合物(B) を含む液と、フッ素ポリマー(A) の残部及び
成分(C) を含む液との2液梱包とし、硬化物を使用する
ときにこれら2液を混合する。この2液型は、例えば、
二連カートリッジに同体積ずつ梱包し、ミキサー付きノ
ズルより混合しながら押し出しするというように、2液
を1:1に配分することも可能であるので、作業しやす
いという効果がある。混合時の温度は、室温〜60℃の範
囲がよい。
【0036】
【実施例】本発明の条件を満たす実施例及び条件を満た
さない比較例により、本発明を具体的に説明する。なお
実施例の式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を表
す。
【0037】〔実施例1〕室温硬化性組成物の調製 下記式:
【0038】
【化9】 〔式中、aは平均値1であり、Rfは式:
【0039】
【化10】 (ここで、m+nは平均値で38である)で表され、R2
【0040】
【化11】 で表される2価の基である〕
【0041】 で示される直鎖状化合物〔粘度34200 cSt(25℃) 、分子鎖両末端がトリメトキシ シリル基で封鎖〕 100 g メチルエチルケトン(カルボニル基換算で0.03モル) 2.16g ノルマルブチルアミン(アミノ基換算で0.03モル) 2.19g ジブチルスズジラウレート 0.2 g 沈降性シリカ 25g 煙霧質シリカ 4g 及び ビニルトリメトキシシラン 1g を無水の状態で混合して、室温硬化性組成物を調製し
た。速硬化性の試験 得られた組成物の速硬化性を試験するため、当該組成物
を深さ2mmの型に流し込んで成形した。次に、得られ
たシートを20℃、50%RHの雰囲気下で24時間放置し
た。24時間後、シート全体の硬化が確認された。そし
て、当該硬化物のゴム物性を、JIS-K-6301に準拠して測
定した。その結果、硬さは55(JIS-Aに規定されたスプリ
ング式硬さ試験機A型で測定) 、伸びは120%、そして、
引張強度は28(Kgf/cm2) であった。深部硬化性の試験 得られた組成物の深部硬化性を試験するため、当該組成
物を直径20mm、長さ100 mmのガラス製円筒管に注入
した。次に、この円筒管を20℃、50%RHの雰囲気下で
24時間放置した。この円筒管を破壊して、組成物を取り
出したところ、硬化により生成したゴム状部分の厚み
は、100mm であった。
【0042】〔比較例1〕メチルエチルケトン及びノル
マルブチルアミンを使用しなかった以外は実施例1と同
じ方法で組成物を調製し、この組成物について実施例1
と同様の条件で試験を行った。しかし、当該実験条件で
は、得られる組成物はゴム状にほとんど硬化しないた
め、硬化物のゴム物性を測定できなかった。また、得ら
れた組成物を円筒管内で硬化させ、当該硬化物のゴム状
部分の厚みを測定した。その結果は0.6 mmであった。
【0043】〔実施例2〕 下記式:
【0044】
【化12】 〔式中、aは平均値3であり、Rfは式:
【0045】
【化13】 (ここで、m+nは平均値で38である)で表され、R2
【0046】
【化14】 で表される2価の基である〕
【0047】 で示される直鎖状化合物〔粘度32500 cSt (25℃)、分子鎖末端がメチルジイソ プロペノキシシリル基で封鎖〕 100 g メチルエチルケトン(カルボニル基換算で0.02モル) 1.44g γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミノ基換算で0.02モル) 4.42g ジブチルスズジラウレート 0.2 g 煙霧質シリカ 8g 及び ビニルトリメトキシシラン 1g を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。
得られた組成物の速硬化性を試験するため、実施例1と
同様の条件で試験を行った。そして、得られた硬化物の
ゴム物性をJIS-K-6301に準拠して測定した。その結果を
表1に示す。
【0048】〔実施例3〕 下記式:
【0049】
【化15】 〔式中、aは平均値2であり、Rfは式:
【0050】
【化16】 (ここで、m+nは平均値で38である)で表され、R2
【0051】
【化17】 で表される2価の基である〕
【0052】 で示される直鎖状化合物〔粘度84700 cSt (25℃)、分子鎖両末端がトリメトキ シシリル基で封鎖〕 100 g シクロヘキサノン(カルボニル基換算で0.02モル) 1.96g シクロヘキシルアミン(アミノ基換算で0.02モル) 1.98g ジブチルスズジオクトエート 0.5 g 煙霧質シリカ 8g 及び メチルトリ(メチルエチルケトオキシミノ)シラン 2g を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。
得られた組成物の速硬化性を試験するため、実施例1と
同様の条件で試験を行った。そして、得られた硬化物の
ゴム物性をJIS-K-6301に準拠して測定した。その結果を
表1に示す。
【0053】〔実施例4〕 下記式:
【0054】
【化18】 〔式中、Rfは式:
【0055】
【化19】 (ここで、m+nは平均値で94である)で表される2価の基である〕
【0056】 で示される直鎖状化合物〔粘度18700 cSt (25℃)、分子鎖両末端がトリメトキ シシリル基で封鎖〕 100 g シクロヘキサノン(カルボニル基換算で0.025 モル) 2.45g ノルマルブチルアミン(アミノ基換算で0.025 モル) 1.83g ジブチルスズジメトキサイド 0.2 g コロイダル炭酸カルシウム 50g 及び ビニルメトキシシラン 1g を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。
得られた組成物の速硬化性を試験するため、実施例1と
同様の条件で試験を行った。そして、得られた硬化物の
ゴム物性をJIS-K-6301に準拠して測定した。その結果を
表1に示す。
【0057】〔実施例5〕 下記式:
【0058】
【化20】 〔式中、aは平均値2であり、Rfは式:
【0059】
【化21】 (ここで、m+nは平均値で38である)で表され、R2
【0060】
【化22】 で表される2価の基である〕
【0061】 で示される直鎖状化合物〔粘度24200 cSt (25℃)、分子鎖両末端がトリメトキ シシリル基で封鎖〕 100 g シクロヘキサノン(カルボニル基換算で0.025 モル) 2.45g ノルマルブチルアミン(アミノ基換算で0.025 モル) 1.83g ジブチルスズジメトキサイド 0.2 g コロイダル炭酸カルシウム 30g 煙霧質シリカ 6g 及び ビニルメトキシシラン 1g を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。
得られた組成物の速硬化性を試験するため、実施例1と
同様の条件で試験を行った。そして、得られた硬化物の
ゴム物性をJIS-K-6301に準拠して測定した。その結果を
表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】〔実施例6〕 実施例1で用いた直鎖状化合物〔粘度34200 cSt(25℃) 、分子鎖両末端がトリ メトキシシリル基で封鎖〕 100 g シクロヘキサノン(0.06モル) 5.88g トリフルオロ酢酸(0.006モル) 0.68g ジブチルスズジラウレート 0.2 g 沈降性シリカ 25g 煙霧質シリカ 4g および ビニルトリメトキシシラン 1g を無水の状態で混合して、室温硬化性組成物を調製し
た。速硬化性の試験 得られた組成物の速硬化性を試験するため、深さ2mm
の型に流し込んで成形した。さらに、20℃、50%RHの
雰囲気下で48時間放置したところ、48時間後、シート全
体の硬化が確認された。硬化物のゴム物性を、JIS-K-63
01に準拠して測定した。その結果、硬さは54(JIS-A の
スプリング式硬さ試験機A 型で測定) 、伸びは140%、そ
して、引張強度は23(Kgf/cm2) であった。深部硬化性の試験 得られた組成物の深部硬化性を試験するため、直径20m
m、長さ100 mmのガラス製円筒管に注入した。さら
に、20℃、50%RHの雰囲気下で48時間放置し、その
後、円筒管を破壊して、組成物を取り出したところ、硬
化により生成したゴム状部分の厚みは、100mm であっ
た。
【0064】〔比較例2〕比較例1で調製した組成物に
ついて実施例6と同様の条件で試験を行った。しかし、
速硬化性の試験では、組成物はほとんど硬化しなかった
ため、硬化物のゴム物性を測定できなかった。また、深
部硬化性の試験では、ゴム状に硬化した部分の厚みは0.
6 mmであった。
【0065】〔実施例7〕 下記式:
【0066】
【化23】 〔式中、aは平均値2であり、Rfは、式:
【0067】
【化24】 (ここで、m+nは平均値で38である)で表され、R2 は、式:
【0068】
【化25】 で表される2価の基である〕
【0069】 で示される直鎖状化合物〔粘度75500 cSt (25℃)、分子鎖両末端がメチルジイ ソプロペノキシシリル基で封鎖〕 100 g メチルエチルケトン(0.05モル) 3.60g p−トルエンスルホン酸(0.01モル) 1.72g ジブチルスズジラウレート 0.2 g 煙霧質シリカ 8g および ビニルトリメトキシシラン 1g を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。
得られた組成物の速硬化性を、実施例6と同様の条件で
試験した。そして、得られた硬化物のゴム物性をJIS-K-
6301に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
【0070】〔実施例8〕 下記式:
【0071】
【化26】 〔式中、aは平均値2であり、Rfは、式:
【0072】
【化27】 (ここで、m+nは平均値で38である)で表され、R2 は、式:
【0073】
【化28】 で表される2価の基である〕
【0074】 で示される直鎖状化合物〔粘度27300 cSt (25℃)、分子鎖両末端がメチルジア セトキシシリル基で封鎖〕 100 g アセト酢酸エチル(0.04モル) 5.12g 下記式: CF3CF2CF2OCF(CF3)COOH で示されるカルボン酸(0.01 モル) 3.30g 粉砕シリカ 40g および メチルトリアセトキシシラン 1.5 g を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。
得られた組成物の速硬化性を、実施例6と同様の条件で
試験した。そして、得られた硬化物のゴム物性をJIS-K-
6301に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
【0075】〔実施例9〕 下記式:
【0076】
【化29】 〔式中、Rfは式:
【0077】
【化30】 (ここで、m+nは平均値で94である)で表される2価
の基である〕
【0078】 で示される直鎖状化合物〔粘度20600 cSt (25℃)、分子鎖両末端がメチルジア セトキシシリル基で封鎖〕 100g シクロヘキサノン(0.05モル) 4.90 g 下記式: CF3CF2CF2OCF(CF3)COOH で示されるカルボン酸(0.01 モル) 3.30g ジブチルスズジメトキサイド 0.2 g 煙霧質シリカ 10g および メチルトリアセトキシシラン 1.5 g を無水の状態で混合して室温硬化性組成物を調製した。
得られた組成物の速硬化性を、実施例6と同様の条件で
試験した。そして、得られた硬化物のゴム物性をJIS-K-
6301に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【発明の効果】本発明の室温硬化性フッ素ポリマー系組
成物は、耐熱性、耐候性、電気特性、加工性、耐薬品
性、耐溶剤性及び撥油性に優れるばかりでなく、従来の
この種の組成物が劣っていた速硬化性及び深部硬化性に
も優れている。したがって、自動車用オイルシール材、
化学装置のシーリング材、電気電子用シーリング材、ポ
ッティング材等に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/17 KJK C08K 5/17 KJK C08L 71/02 LQC C08L 71/02 LQC (72)発明者 樽見 康郎 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 木村 恒雄 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 荒井 正俊 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 主鎖中にパーフルオロアルキレン構造
    及びパーフルオロポリエーテル構造からなる群から選ば
    れる少なくとも1種を有し、かつ分子鎖両末端に加水分
    解性シリル基を有する直鎖状フッ素ポリマー化合物、
    (B) 1分子中にカルボニル基を少なくとも1個有する有
    機化合物、及び、(C) (C−1)1分子中に第1級アミ
    ノ基を少なくとも1個有する有機化合物及び (C−2)
    1分子中にプロトンを少なくとも1個有し、その水中に
    おける酸解離定数(pKa) が2以下である化合物よりなる
    群から選ばれる1種の化合物を含有してなる室温硬化性
    フッ素ポリマー系組成物。
  2. 【請求項2】(A) 成分が、下記の一般式: Y-[ R1 -( Rf -R2 ) a -Rf -R1]-Y 〔式中、Rf はパーフルオロアルキレン基、2価のパー
    フルオロポリエーテル基又はパーフルオロアルキレン基
    と2価のパーフルオロポリエーテル基の組合せからなる
    2価の基であり、R1 及びR2 は同一でも異なってもよ
    く、置換又は非置換の2価炭化水素基(ただし、該炭化
    水素基は酸素原子、窒素原子及びケイ素原子の1種又は
    2種以上を含んでもよい)であり、aは0以上の整数で
    あり、Yは加水分解性シリル基である〕で示される化合
    物である、請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の組成物を硬化させ
    ることからなる硬化物の製造方法。
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