JPH09134519A - 多層磁気記録媒体およびその記録再生方法 - Google Patents

多層磁気記録媒体およびその記録再生方法

Info

Publication number
JPH09134519A
JPH09134519A JP7316129A JP31612995A JPH09134519A JP H09134519 A JPH09134519 A JP H09134519A JP 7316129 A JP7316129 A JP 7316129A JP 31612995 A JP31612995 A JP 31612995A JP H09134519 A JPH09134519 A JP H09134519A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
data
layer
magnetic powder
recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7316129A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Kishimoto
幹雄 岸本
Noriaki Otani
紀昭 大谷
Hirobumi Tagawa
博文 田川
Akihiko Ito
明彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Ltd filed Critical Hitachi Maxell Ltd
Priority to JP7316129A priority Critical patent/JPH09134519A/ja
Publication of JPH09134519A publication Critical patent/JPH09134519A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Recording Or Reproducing By Magnetic Means (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Credit Cards Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、磁気記録媒体の偽造、改ざんを
防止することができる。 【解決手段】 この発明は、磁気信号記録用の磁性層が
2層以上の層からなり、少なくとも1つの層にMnBi
磁性粉末を含有し、MnBi磁性粉末以外の他の磁性粉
末の保磁力が、以下の関係を満たす磁気記録媒体とする
ことにより、記録信号の書き換え機能を維持しながら、
偽造、改ざんを防止できるようにしたものである。 1.5<(最上層以外の磁性層に含有させる磁性粉末の
保磁力)/(最上層の磁性層に含有させる磁性粉末の保
磁力)<20

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、MnBi磁性粉
末を含有させた多層磁気記録媒体およびその記録再生方
法に関する。さらに詳しくは、この媒体を用いた磁気カ
−ドおよびこの磁気カ−ドへの信号の記録再生方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、記録再生が容易である
ためにビデオテープ、フロッピ−ディスク、クレジット
カード、プリペイドカード等として広く普及している。
ところが記録再生が容易であるという特徴は、逆に、記
録したデ−タが誤って消去されやすく、またデ−タの改
ざんも容易に行えるという問題を発生させており、たと
えば、磁気カ−ドの場合、最近、各種ドアやハンドバッ
グなど我々の身近なところに使用されるようになってき
ている強い磁界の磁石で消去されたり、磁気カ−ドのデ
−タが書き換えられて不正使用されるなどの事故や犯罪
が多発している。
【0003】特に他人のカ−ドの情報を読み取り、本人
のカ−ドにこの情報を記録することにより、他人の登録
番号でカ−ドを不正使用することが、最近大きな社会問
題になっている。
【0004】この対策としては、たとえば、光カ−ドの
ようにレ−ザ光により、記録媒体に不可逆な変化を起こ
させ、一度記録すると書き換えができない記録媒体や、
デ−タの改ざんが困難でセキュリティ−性の高いICカ
−ドなどが提案されているが、光カ−ドの場合は、光カ
−ドを記録、再生する光カ−ド専用の高価な装置を新た
に必要とし、またICカ−ドでは半導体を使用するため
高コストになるという難点があり、いずれも世界中に普
及している磁気カ−ドの記録、再生装置と代替するには
至らず、未だに期待されているほど普及していない。
【0005】そのため、磁気カ−ドの改ざんを防止する
方策が種々提案され、たとえば磁気カ−ドにホログラム
印刷や高度な印刷技術を駆使した印刷を施すことが行わ
れているが、この方法ではカ−ドの外見上の偽造を防止
する点では効力を発揮することができても、この改ざん
が、たとえば、不正な手段で入手した正規のカ−ドに、
他人のカ−ドから読み取ったデ−タを書き込むなどの方
法で行われた場合、書き込まれたデ−タが正規のもので
あるため、これを防止することができない。
【0006】これに対し、MnBi磁性粉末を記録素子
として使用する磁気記録媒体は、一度信号を記録すると
室温では容易に消去されることがないという特長を有す
ることが知られており、(特公昭52−46801号、
特公昭54−19244号、特公昭54−33725
号、特公昭57−38962号、特公昭57−3896
3号、特公昭59−31764号)、特に、磁気カ−ド
用のリ−ダが世界の隅々まで普及している今日、デ−タ
が誤って消去されたり、故意に書き換えられるなどの事
故や犯罪が多発しているクレジットカード、キャッシュ
カ−ドなどにおいて、不正使用を防止できるものとして
注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようにMnBi磁
性粉末を記録素子として使用した磁気記録媒体は、クレ
ジットカードやキャッシュカ−ドなど、再生のみで、1
度信号を記録すると書き換える必要のない媒体には最適
の媒体であるが、プリペ−ドカ−ドのように、カ−ドを
使用の都度デ−タを書き換える必要のある用途には適し
ていない。
【0008】すなわち、プリペ−ドカ−ド等のように、
使用に応じて例えば残高を書き換えていく方式のもので
は、磁気記録装置による記録信号の書き換えが必要とな
るため、MnBi磁性粉末のみを含有する磁性層では、
記録信号の書き換えが困難になり、上記用途には適さな
いものとなる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる現状に
鑑み目種々検討を行った結果なされたもので、MnBi
磁性粉末を含有させた多層磁気記録媒体とすることによ
り、書き換え機能を維持しながら、かつ偽造を防止でき
る強力なセキュリティ−機能を有する磁気記録媒体、お
よびこの機能を発揮させるための記録再生方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】すなわち本発明の磁気記録媒体は、低保磁
力の磁性層と高保磁力の磁性層を積層し、さらにこの磁
性層のどちらか一方に、1度記録すると、その後の書き
換え、消去が極めて困難になる性質を有するMnBi磁
性粉末を含有させた多層構造を有する。
【0011】この媒体の特徴について簡単に説明する。
まず任意の領域を直流消磁すると、この領域は書き換え
が可能な領域となる。ただし基本的に書き換え可能な領
域になるが、積層した磁性層にそれぞれ異なるデ−タを
重ね記録するため、通常の方法ではデ−タの読み取りは
困難である。
【0012】一方他の任意の領域には、デ−タを記録し
た後に直流消磁する。この消磁は記録後直ちに行っても
良いし、再生前に行っても良い。この消磁処理により、
MnBi磁性粉末を含有しない磁性層に記録されたデ−
タは消去されてしまうため、この消磁処理後再生すると
読み取りエラ−を引き起こす。したがってMnBi磁性
粉末を含有しない偽造媒体は排除され、媒体そのものの
偽造を防止できる。一方、MnBi磁性粉末を含有する
正規の媒体は、消磁処理によっても、MnBi磁性粉末
に記録されたデ−タは消去されないため、正常にデ−タ
が再生される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、保磁力
の異なる磁性層が2層以上積層されているものである
が、基本的には2層からなるもので実施できる。まず最
上層の第1層目の磁性粉は、低保磁力の磁性粉からな
り、下層の第2層目の磁性粉は第1層目の磁性粉の保磁
力の1.5〜20倍の範囲にあり、少なくともいずれか
の層にMnBi磁性粉末を含有するように構成されてい
る。
【0014】下層の磁性粉の保磁力を最上層の磁性粉の
保磁力の1.5倍より小さくすると、下層と最上層の保
磁力が近接し、後述するが、下層のデ−タを読み取る時
の最上層のデ−タの消去時に、下層のデ−タも消去され
やすくなり、読み取りエラ−を起こしやすくなる。
【0015】一方、下層の磁性粉の保磁力を最上層の磁
性粉の保磁力の20倍より大きくした場合、上述のよう
な下層が消去されやすくなる問題はなくなるが、下層の
保磁力がMnBi磁性粉末の保磁力に近接し、デ−タ記
録後直流消磁する際に、大きな磁界を必要とし、MnB
i磁性粉末の出力が低下しやすくなるとともに、高保磁
力の下層への記録が不十分となりやすくなる。
【0016】したがって、最上層以外の磁性粉の保磁力
が最上層の磁性粉の保磁力の1.5〜20倍の範囲であ
れば、最上層、下層およびMnBi磁性粉末に記録され
た信号の読み取りエラ−を起こすことなく、良好な磁気
信号の記録再生が可能となる。
【0017】この最上層の第1層目には、磁性粉末とし
ては、γ−Fe23、Co−γ−Fe23、Ba−フェ
ライト磁性粉末、Sr−フェライト磁性粉末などの保磁
力が250Oeから1000Oeの範囲にある磁性粉末
が好適なものとして使用できる。特にγ−Fe23とし
ては保磁力が300Oe程度のものが、Co−γ−Fe
23としては保磁力が650Oe程度のものが、またB
a−フェライト磁性粉末、Sr−フェライト磁性粉末と
しては保磁力が800Oe程度のものが、すでに規格品
として実用化されているため、この保磁力のものを使用
することが特に好ましい。
【0018】また下層の第2層目には、下層の磁性粉の
保磁力が最上層の磁性粉の保磁力の1.5〜20倍とな
るような保磁力の磁性粉末を選択する。この磁性粉末と
しては、Ba−フェライト磁性粉末やSr−フェライト
磁性粉末などの保磁力が1500Oeから5000Oe
の範囲にある磁性粉末が好適なものとし使用される。特
にこれらのBa−フェライト磁性粉末やSr−フェライ
ト磁性粉末としては、保磁力が1800Oeあるいは保
磁力が2800Oe程度のものがすでに規格品として実
用化されているため、この保磁力のものを使用すること
が特に好ましい。
【0019】また、第1層目と第2層目に記録された信
号間の干渉を少なくして、それぞれの磁性層に記録され
たデ−タを効率よく再生するためには、第1層目に保磁
力が300Oe程度のγ−Fe23を使用する場合に
は、第2層目には保磁力が1800Oeあるいは保磁力
が2800Oe程度のBa−フェライト磁性粉末やSr
−フェライト磁性粉末を使用することが好ましく、また
第1層目に保磁力が650Oe程度のCo−γ−Fe2
3、あるいは保磁力が800Oe程度のBa−フェラ
イト磁性粉末やSr−フェライト磁性粉末を使用する場
合には、第2層目には保磁力が2800Oe程度のBa
−フェライト磁性粉末やSr−フェライト磁性粉末を使
用することが好ましい。
【0020】図1に最上層に保磁力が300Oeのγ−
Fe23磁性粉末を用い、下層に保磁力が2800Oe
のBa−フェライト磁性粉末を用いた2層構造の磁気記
録媒体のヒステリシス曲線の一例を示す。図1から明ら
かなように、保磁力の異なる磁性粉末を使用することに
より、磁化が2段階で変化するヒステリシス曲線とな
る。
【0021】上記磁性層の少なくとも一方にMnBi磁
性粉末を含有させるが、MnBi磁性粉末を含有させる
が、MnBi磁性粉末は、1度磁化すると、その後の消
磁が極めて困難になるという特異な性質をもった磁性粉
末である。
【0022】図2には、このMnBi磁性粉末を含有す
る磁性層の初期磁化曲線およびヒステリシス曲線の1例
を示す。低温に冷却して消磁(初期化)した後の初期磁
化曲線は、2000Oe程度の低磁界で飽和磁化に達
し、容易に磁化されることを示している。一方1度飽和
磁化されると、その後容易に磁化反転しなくなり、保磁
力は約14000Oeもの極めて大きな値を示す。
【0023】このMnBi磁性粉末の保磁力としては、
使用する磁気記録装置の磁気ヘッドの能力にもよるが、
16kOeの磁界を印加して300Kで測定した時に、
6000〜15000Oeの範囲であることが好まし
く、7000〜15000Oeの範囲にある場合、低温
での消磁、室温での信号の記録および再生が最も良好に
なる。
【0024】またMnBi磁性粉末とともに上記の磁性
粉末を含有させる磁性層の、MnBi磁性粉末と上記の
磁性粉末との含有割合は、重量比で2:8から8:2程
度とするのが好ましい。MnBi磁性粉末の含有割合が
多くなるほど、偽造防止を目的とした消去、書き換えの
困難な信号の出力が増加するが、書き換えできる信号の
出力が減少する。またMnBi磁性粉末の含有割合が少
なすぎると、偽造防止を目的とした消去、書き換えの困
難な信号の出力が小さくなり、正規の媒体でも偽造媒体
と判断してしまう確率が高くなる。したがってMnBi
磁性粉末と上記の磁性粉末との含有割合を、重量比で
2:8から8:2程度とした時に、書き換え機能を維持
しながら、かつ偽造を防止できるバランスの良い特性を
もった媒体が得られる。
【0025】また磁性層の厚さとしては、磁気カ−ドに
適用する場合には、通常第1層、第2層ともに1〜20
μm程度とすることが好ましく、全体の磁性層厚さとし
ては、2〜30μm程度とすることが好ましい。1μm
以上とすることにより十分な再生出力を得ることがで
き、また20μm以下とすることにより、下層の磁性層
への信号の記録が容易になる。
【0026】またこのデ−タを記録する磁性層の表面に
さらに、パ−マロイ粉やセンダスト粉を含有させたシ−
ルド層を形成させると、デ−タの読み取り、書き換えが
さらに困難になり、セキュリティ−性が一層向上する。
また通常磁気カ−ドに使用されている各種の保護層や隠
蔽層を形成しても、本発明の特徴を何ら損なわないこと
は言うまでもない。
【0027】図3に低保磁力磁性粉末を用いた第1層目
にMnBi磁性粉末を含有させた例を、また図4に高保
磁力磁性粉末を用いた第2層目にMnBi磁性粉末を含
有させた例を、図5に上下両層にMnBi磁性粉末を含
有させた例を示す。
【0028】次にこれらの媒体へのデ−タの記録再生方
法について説明する。記録再生方法として、第1層目に
保磁力が250Oeから1000Oeの範囲にある磁性
粉末(磁性粉末A)とMnBi磁性粉末とを含有する磁
性層を用い、第2層目に保磁力が1500Oeから50
00Oeの範囲にある磁性粉末(磁性粉末B)を含有す
る磁性層を用いた媒体を例にあげて説明する。第1層目
に保磁力が250Oeから1000Oeの範囲にある磁
性粉末(磁性粉末A)を含有する磁性層を用い、第2層
目に保磁力が1500Oeから5000Oeの範囲にあ
る磁性粉末(磁性粉末B)とMnBi磁性粉末とを含有
する磁性層を用いた媒体についても、基本的な記録再生
の方法は変わらない。
【0029】〈消去、書き換えの困難なデ−タ(デ−タ
a)の記録〉上述した磁性層構成の磁気記録媒体を低温
に冷却して消磁状態にした後、磁性層の任意の領域にデ
−タaを記録する。この状態で記録されたデ−タは、M
nBi磁性粉末だけでなく、磁性粉末Aにも磁性粉末B
にも記録される。また後述するが、このデ−タaは、デ
−タ記録後直ちに、あるいは再生時に直流磁界を印加し
て磁性粉末Aおよび磁性粉末Bに記録されているデ−タ
を消去し、その後MnBi磁性粉末に記録されているデ
−タを再生する。したがって、磁性粉末Aおよび磁性粉
末Bにはかならずしもデ−タが飽和記録される必要はな
い。要するに磁気記録装置がMnBi磁性粉末を記録で
きる磁界強度を有するものであれば良く、高保磁力磁性
粉末である磁性粉末Bを飽和記録するために必要な高磁
界記録装置は必要としない。
【0030】〈書き換え可能なデ−タ(デ−タb)の記
録〉次に、デ−タの書き換えを行う領域への記録は、低
温に冷却して消磁状態にした後、まず直流磁界を印加し
て磁化する。その後通常の方法によりデ−タbを記録す
る。この方法で記録されたデ−タは、通常の磁気記録媒
体と同様にデ−タの書き換えが可能となる。なぜなら媒
体を低温に冷却して消磁状態にした後直流磁界を印加す
ると、MnBi磁性粉末は磁化されて保磁力が極めて大
きくなるため、その後デ−タを記録するために磁気ヘッ
ドから磁界を印加してもMnBi磁性粉末の磁化はほと
んど変化せず、MnBi磁性粉末にはデ−タが記録され
ない。一方MnBi磁性粉末以外の磁性粉末Aおよび磁
性粉末Bには、磁気ヘッドから磁界によりデ−タbが記
録される。したがってこの領域には、通常の磁気記録媒
体と同様に、任意にデ−タの書き換えを行うことが可能
になる。
【0031】またこの書き換え可能な領域へのデ−タb
の記録方法として、磁性粉末Aを含有する第1層と、磁
性粉末Bを含有する第2層には異なるデ−タを重ね記録
することにより、この領域での記録デ−タのセキュリテ
ィ−性を高めることができる。このような第1層と第2
層に異なるデ−タを記録する方法としては、例えば、ま
ず磁気ヘッドに高磁界を発生させて低保磁力の磁性粉末
Aを含有する第1層と、高保磁力の磁性粉末Bを含有す
る第2層ともに同一のデ−タb1を書き込み、次に第1
層には記録できるが第2層には記録困難な低磁界により
デ−タb2を重ね書きする。この方法により、第1層の
デ−タのみがデ−タb2に書き換えられ、第1層と第2
層に異なるデ−タb2、デ−タb1を記録することがで
きる。
【0032】したがってこの領域は基本的に書き換え可
能であるが、積層した磁性層にそれぞれ異なるデ−タが
重ね記録されているため、通常の方法ではデ−タの読み
取りが困難になり、セキュリティ−性が向上する。
【0033】次にデ−タの再生方法について説明する。
【0034】〈消去、書き換えの困難なデ−タ(デ−タ
a)の再生〉デ−タaを記録後直ちに、あるいは再生時
にこの領域に直流磁界を印加して消磁する。この消磁に
より、第1層および第2層に含有されている磁性粉末A
および磁性粉末Bに記録されているデ−タは消去される
が、MnBi磁性粉末は1度デ−タを記録すると保磁力
は極めて大きくなるため、デ−タは消去されない。この
状態で再生することによりMnBi磁性粉末に記録され
ているデ−タを再生することができる。
【0035】一方MnBi磁性粉末を含有しない磁性層
を用いた偽造媒体においては、どのような層構成にして
も、この消磁処理によりデ−タが消去されてしまう。し
たがって再生すると読み取りエラ−となり、偽造媒体を
排除することができる。
【0036】さらにMnBi磁性粉末を含有する磁性層
を用いた正規の媒体においては、MnBi磁性粉末に1
度書き込んだデ−タは書き換えできないため、正規の媒
体のデ−タを改竄することも当然防止できる。
【0037】したがってデ−タaを記録した領域を消磁
後再生することにより、デ−タの改竄防止のみならず、
正規の媒体以外は排除されるため、媒体のそのものの偽
造を防止することができる。
【0038】この消磁処理は、磁気ヘッドに直流磁界を
印加することにより容易に行うことができるが、磁気ヘ
ッドとともに永久磁石を設置し、再生する前に常に永久
磁石からの磁界が、この領域に印加されるような構成に
することによっても行うことができる。
【0039】このデ−タaとしては、例えばカ−ドに適
用する場合には、カ−ドの発行番号や発行場所等の、書
き換える必要のない固有情報を記録することが好まし
い。このような固有情報をプリペ−ドカ−ドに記録して
おくと、改竄、偽造防止のみならず、クレジットカ−ド
やキャッシュカ−ドと同様に、カ−ド毎に異なる固有情
報が記録されているために、発行したカ−ド全てについ
て使用状況を追跡することも可能になる。
【0040】〈書き換え可能なデ−タ(デ−タb)の再
生〉書き換え可能なデ−タbとしては、デ−タb1、デ
−タb2の2種類のデ−タが記録されている。通常の再
生方法では2種類のデ−タが混在して読み取り困難とな
る。
【0041】まずデ−タb1を秘匿デ−タ、デ−タb2
をダミ−デ−タとする場合には、第1層目は消去される
が、第2層目は消去されない低磁界を磁気ヘッドで発生
させて、第1層目に記録されているデ−タb2のみを消
去する。その後再生することにより、秘匿デ−タb1の
みを正常に読み取ることができる。
【0042】またデ−タb1、デ−タb2ともに秘匿デ
−タの場合には、再生した信号をフィルタ−等を通して
2種類の信号を分離再生することにより、デ−タb1、
デ−タb2を正常に読み取ることができる。またこの2
種類のデ−タb1、b2を照合、あるいはデ−タ処理に
より加工して真のデ−タを取り出す機構にしておけば、
一層強力なセキュリティ−が得られる。
【0043】また通常の方法によるデ−タbの読み取り
を困難にするために、本例では1本のトラックにデ−タ
b1、デ−タb2を重ね書きする例について説明した
が、多数本トラックに記録することも、デ−タb1、デ
−タb2を重ね書きするトラックと重ね書きしないトラ
ックとを形成することも可能である。
【0044】図5は、デ−タaを記録するためのトラッ
クと、デ−タbを記録するためのトラックを各1本ずつ
形成した例を示す。また図6は、デ−タa用のトラック
を1本、デ−タb用のトラックを2本形成した例を示
す。
【0045】この書き換え可能な領域には、例えばプリ
ペ−ドカ−ドに適用する場合には、残り金額、使用日
時、使用場所等、使用の都度書き換える必要のあるデ−
タを記録することが好ましい。
【0046】以上説明したように、本発明の媒体はMn
Bi磁性粉末を含有させた多層磁気記録媒体とすること
により、書き換え機能を維持して、かつ媒体の偽造やデ
−タの改竄を防止できる、従来の媒体ではなし得なかっ
た全く新規な機能を実現したものである。さらに本発明
の多層磁気記録媒体は、書き換え可能な領域にもセキュ
リティ−性が付与されており、本発明の媒体をプリペ−
ドカ−ド等の磁気カ−ドに適用した場合には、特にその
威力を発揮する。
【0047】
【実施例】以下、本発明の多層磁気記録媒体およびその
記録再生方法について実施例をあげて説明する。
【0048】〔実施例1〕 《MnBi磁性粉末の作製》粒子サイズが200メッシ
ュになるように粉砕したMn粉末およびBi粉末を、M
nとBiがモル比で55:45になるように秤量し、ボ
−ルミルを用いて十分混合した。
【0049】次にこれらの混合物を、加圧プレス機を用
いて、3トン/cm2の圧力で直径20mm、高さ10
mmの円柱状に成型した。この成型体を密閉式のアルミ
容器に入れ、真空に引いた後、窒素ガスを0.5気圧導
入した。次にこの容器を電気炉に入れ、270℃の温度
で10日間熱処理した。熱処理後、MnBiインゴット
を空気中に取り出し、乳鉢で軽く粗粉砕した。
【0050】次にこの粗粉砕したMnBi粉末を、遊星
ボールミルを用いて微粉砕した。内容積1000ccの
ボ−ルミルポットに、直径3mmのジルコニアボ−ルを
内容積の1/3を占めるように充填した。この中に、粗
粉砕したMnBi粉末500gと、溶媒としてトルエン
を500g入れ、回転数150rpmで4時間粉砕し
た。
【0051】上記の方法により得られたMnBi磁性粉
末に、以下の方法で安定化処理を施した。トルエンに浸
した状態でMnBi磁性粉を取り出し、熱処理容器に移
して室温で約2間真空乾燥した。次に同じ容器に入れた
まま、酸素を1000ppm含有する窒素ガスを1気圧
導入し、40℃の温度において、15時間熱処理を行っ
た。
【0052】引き続き第2段階の熱処理として、容器に
充填されている酸素混合ガスを真空引きして除去した
後、窒素ガスを0.5気圧導入し、温度を330℃まで
上昇させた後、この温度で2時間加熱処理した。
【0053】上記の方法により、最終的に得られたMn
Bi磁性粉末の平均粒子径は、1.8μmで、300K
で最大磁界16kOeの磁界を印加して測定した保磁力
および磁化量は、それぞれ8500Oeおよび46.3
emu/gであった。
【0054】《第1層目用磁性塗料の作製》磁性粉末と
して、上記の方法で作製したMnBi磁性粉末とBaフ
ェライト磁性粉末を用い、以下の組成物 MnBi磁性粉末(Hc:8500Oe) 70 重量部 Baフェライト磁性粉末(Hc:790Oe) 30 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 をボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。Baフェライト磁性粉末としては、平均粒子サイ
ズ0.7μm、保磁力790Oe、飽和磁化53.1e
mu/gのものを用いた。
【0055】《第2層目用磁性塗料の作製》磁性粉末と
して、平均粒子サイズ0.9μm、保磁力2800O
e、飽和磁化53.4emu/gのBaフェライト磁性
粉末を用い、以下の組成 Baフェライト磁性粉末(Hc:2800Oe) 100 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 でボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。
【0056】《磁性塗膜の作製》まず前述の第2層目用
磁性塗料を、厚さ190μmのPETベ−スフイルム上
に、乾燥後の厚さが10μmになるように2000Oe
の長手配向磁場を印加しながら塗布した。
【0057】次にこの第2層目の磁性層表面に、前述の
第1層目用磁性塗料を乾燥後の厚さが8μmになるよう
に、同じく2000Oeの長手配向磁場を印加しながら
塗布した。
【0058】なお本実施例では、磁性塗料組成として、
最も基本的な組成のものについて説明したが、磁性塗料
中に各種の添加剤を添加しても、本発明の特徴を何ら損
なうものではない。また本実施例は、信号記録用の磁性
層のみを形成した最も基本的な構成のものについて説明
したが、この磁性層の表面に、さらにセキュリティ−性
を高めるための磁気シ−ルド層や、各種の保護層、隠蔽
層を形成しても、本発明の特徴を何ら損なうものではな
い。
【0059】《磁気カ−ドの作製および記録再生方法》
前述の磁性塗膜を磁気カ−ドの形状に打ち抜いて磁気カ
−ドを作製した。
【0060】まずこのカ−ドを液体窒素に浸すことによ
り冷却し、このあと速やかに1000Oeの交番磁界を
印加して初期化した。信号の記録再生は以下の方法によ
り行った。
【0061】〈消去、書き換えの困難なデ−タ(デ−タ
a)の記録〉磁気カ−ドリ−ダライタ(三和ニュ−テッ
ク製;CRS−700)を用いて、記録電流200mA
で、デ−タaを記録した。このデ−タaとしては、0か
ら9までの10個の数字を記録した。
【0062】次に、同じ磁気カ−ドリ−ダライタを用い
て、磁気ヘッドに200mAの直流電流を流して、デ−
タaを記録したトラックを直流消磁した。
【0063】〈書き換え可能なデ−タ(デ−タb)の記
録〉磁気カ−ドリ−ダライタ(三和ニュ−テック製;C
RS−700)を用いて、磁気ヘッドに200mAの直
流電流を流して、デ−タaを記録したトラックとは異な
るトラックをまず直流消磁した。
【0064】次に、同じ磁気カ−ドリ−ダライタを用い
て、記録電流200mAで、書き換え可能なデ−タbと
して、AからJまでのアルファベットを10文字(デ−
タb1)を記録した。つまりデ−タaの記録時の操作と
は逆の操作を行った。
【0065】次に記録電流を50mAにして、デ−タb
2として、aからjまでのアルファベット10文字をデ
−タb1を記録したトラックと同じトラック上に重ねて
記録した。この場合、デ−タb1を秘匿デ−タ、デ−タ
b2をダミ−デ−タと定義付けした。
【0066】〈消去、書き換えの困難なデ−タ(デ−タ
a)の再生〉磁気カ−ドリ−ダライタ(三和ニュ−テッ
ク製;CRS−700)を用いて、デ−タaを記録した
トラックを再生した。再生デ−タは0から9までの10
個の数字であり、記録したデ−タaが正常に再生され
た。
【0067】〈書き換え可能なデ−タ(デ−タb)の再
生〉磁気カ−ドリ−ダライタ(三和ニュ−テック製;C
RS−700)を用いて、デ−タbを記録したトラック
を再生したところ、読み取りエラ−を引き起こし、デ−
タ再生不能であった。
【0068】次に、磁気ヘッドに50mAの直流電流を
流して、デ−タbを記録したトラックを直流消磁した。
その後、このトラックを同じ磁気カ−ドリ−ダライタを
用いて、再生した。再生デ−タはAからJまでのアルフ
ァベットを10文字であり、秘匿デ−タであるデ−タb
1が正常に再生された。
【0069】〈書き換え(改ざん)試験〉磁気カ−ドリ
−ダライタ(三和ニュ−テック製;CRS−700)を
用いて、記録電流200mAで、デ−タaが記録されて
いるトラックに、KからTまでの大文字のアルファベッ
ト10文字を重ね記録した。
【0070】次にこのトラックを再生したところ、再生
エラ−を起こし、デ−タの書き換えはできないことを確
認した。またこのトラックを直流消磁した後再生する
と、先に記録したデ−タaである、0から9までの10
個の数字が正常に再生されることを確認した。
【0071】次に、同じ磁気カ−ドリ−ダライタを用い
て、AからJまでの記録電流200mAで、大文字のア
ルファベット10文字が記録されているトラックに、新
たにデ−タb1として、記録電流200mAで、Kから
Tまでのアルファベットを10文字を重ね記録した。ま
ずこの状態で再生したところ、先に記録されていたAか
らJまでの文字は、あとから記録したKからTまでの文
字に書き換えられていることを確認した。
【0072】さらに記録電流を50mAにして、ダミ−
デ−タb2として、kからtまでのアルファベット10
文字をデ−タb1を記録したトラックと同じトラック上
に重ねて記録した。この状態で再生したところ、読み取
りエラ−を引き起こし、デ−タ再生不能であった。
【0073】次に、磁気ヘッドに50mAの直流電流を
流して、デ−タb1とデ−タb2が記録されているトラ
ックを直流消磁した。その後、このトラックを同じ磁気
カ−ドリ−ダライタを用いて再生した。再生デ−タはK
からTまでのアルファベットを10文字であり、ダミ−
デ−タb2であるkからtまでのアルファベット10文
字は消去されて、秘匿デ−タであるデ−タb1が正常に
再生された。このトラックの特徴である、書き換えは可
能であるが、通常の手段ではデ−タの読み取りが困難な
セキュリティ−性を有していることを確認した。
【0074】〔実施例2〕実施例1における磁性塗料の
組成において、第1層目用磁性塗料に使用したHc:7
90OeのBaフェライト磁性粉末に変えて、Hc:6
50OeのCo−γ−Fe23を用いた以外は、実施例
1と同様に磁性塗膜を作製した。さらに実施例1と同様
の方法でデ−タa、デ−タbを記録再生し、また書き換
え試験を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られ
た。
【0075】〔実施例3〕実施例1における磁性塗料の
組成において、第1層目用磁性塗料に使用したHc:7
90Oeのバリウムフェライト磁性粉末に変えて、H
c:300Oeのγ−Fe23を用いた以外は、実施例
1と同様に磁性塗膜を作製した。
【0076】次に実施例1に示したデ−タa、デ−タb
の記録再生、および書き換え試験を行った。書き換え可
能なデ−タ(デ−タb)の記録時のダミ−デ−タb2の
記録電流を50mAから20mAに変更し、かつ秘匿デ
−タb1の再生時の直流消磁電流を50mAから20m
Aに変更した以外は、実施例1と同様の方法でデ−タ
a、デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行った
ところ、実施例1と同様の結果が得られることを確認し
た。
【0077】〔実施例4〕 《第1層目用磁性塗料の作製》磁性粉末として、Baフ
ェライト磁性粉末を用い、以下の組成物 Baフェライト磁性粉末(Hc:790Oe) 100 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 をボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。Baフェライト磁性粉末としては、平均粒子サイ
ズ0.7μm、保磁力790Oe、飽和磁化53.1e
mu/gのものを用いた。
【0078】《第2層目用磁性塗料の作製》磁性粉末と
して、実施例1で述べた方法で作製したMnBi磁性粉
末と、平均粒子サイズ0.9μm、保磁力2800O
e、飽和磁化53.4emu/gのBaフェライト磁性
粉末を用い、以下の組成 MnBi磁性粉末(Hc:8500Oe) 70 重量部 Baフェライト磁性粉末(Hc:2800Oe) 30 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 でボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。
【0079】《磁性塗膜の作製》まず前述の第2層目用
磁性塗料を、厚さ190μmのPETベ−スフイルム上
に、乾燥後の厚さが20μmになるように2000Oe
の長手配向磁場を印加しながら塗布した。
【0080】次にこの第2層目の磁性層表面に、前述の
第1層目用磁性塗料を乾燥後の厚さが4μmになるよう
に、同じく2000Oeの長手配向磁場を印加しながら
塗布した。
【0081】《磁気カ−ドの作製および記録再生方法》
前述の磁性塗膜を磁気カ−ドの形状に打ち抜いて磁気カ
−ドを作製した。
【0082】まずこのカ−ドを液体窒素に浸すことによ
り冷却し、このあと速やかに1000Oeの交番磁界を
印加して初期化した。信号の記録再生は、実施例1に記
載した方法と同じ方法により行った結果、実施例1で得
られた結果と同じ結果が得られた。
【0083】つまり実施例1と実施例4の本質的な差異
は、実施例1では、MnBi磁性粉末を第1層目の磁性
層に含有させたのに対して、本実施例では、MnBi磁
性粉末を第2層目の磁性層に含有させたことである。
【0084】〔実施例5〕実施例4における磁性塗料の
組成において、第1層目用磁性塗料に使用したHc:7
90OeのBaフェライト磁性粉末に変えて、Hc:6
50OeのCo−γ−Fe23を用いた以外は、実施例
4と同様に磁性塗膜を作製した。さらに実施例1と同様
の方法でデ−タa、デ−タbを記録再生し、また書き換
え試験を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られ
た。
【0085】〔実施例6〕実施例4における磁性塗料の
組成において、第1層目の磁性塗料に使用したHc:7
90OeのBaフェライト磁性粉末に変えて、Hc:3
00Oeのγ−Fe23を用いた以外は、実施例4と同
様に磁性塗膜を作製した。
【0086】次に実施例1に示したデ−タa、デ−タb
の記録再生、および書き換え試験を行った。書き換え可
能なデ−タ(デ−タb)の記録時のダミ−デ−タb2の
記録電流を50mAから20mAに変更し、かつ秘匿デ
−タb1の再生時の直流消磁電流を50mAから20m
Aに変更した以外は、実施例1と同様の方法でデ−タ
a、デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行った
ところ、実施例1と同様の結果が得られることを確認し
た。
【0087】〔実施例7〕実施例4における磁性塗膜の
作製において、第2層目の磁性層の乾燥後の厚さを20
μmから5μmに、かつ第1層目の磁性層の乾燥後の厚
さを4μmから1μmに変更した以外は、実施例4と同
様に磁性塗膜を作製した。さらに実施例1と同様の方法
でデ−タa、デ−タbを記録再生し、また書き換え試験
を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0088】〔実施例8〕実施例1における第1層目用
の磁性塗料の組成において、MnBi磁性粉末とBaフ
ェライト磁性粉末の添加割合を、MnBi磁性粉末70
重量部、Baフェライト磁性粉末30重量部から、Mn
Bi磁性粉末40重量部、Baフェライト磁性粉末60
重量部に変更した以外は、実施例1と同様に磁性塗膜を
作製した。さらに実施例1と同様の方法でデ−タa、デ
−タbを記録再生し、また書き換え試験を行ったとこ
ろ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0089】〔実施例9〕実施例1における第1層目用
の磁性塗料の組成において、MnBi磁性粉末70重量
部、Baフェライト磁性粉末30重量部から、MnBi
磁性粉末40重量部、Co−γ−Fe23磁性粉末60
重量部に変更した以外は、実施例1と同様に磁性塗膜を
作製した。さらに実施例1と同様の方法でデ−タa、デ
−タbを記録再生し、また書き換え試験を行ったとこ
ろ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0090】〔実施例10〕実施例1における第1層目
用の磁性塗料の組成において、MnBi磁性粉末70重
量部、Baフェライト磁性粉末30重量部から、MnB
i磁性粉末40重量部、γ−Fe23磁性粉末60重量
部に変更した以外は、実施例1と同様に磁性塗膜を作製
した。さらに実施例1と同様の方法でデ−タa、デ−タ
bを記録再生し、また書き換え試験を行った。デ−タb
2の記録電流を50mAから20mAに変更し、かつデ
−タb1の再生時の直流消磁電流を50mAから20m
Aに変更した以外は、実施例1と同様の方法でデ−タ
a、デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行い、
実施例1と同様の結果を得た。
【0091】〔実施例11〕実施例4における第2層目
用の磁性塗料の組成において、MnBi磁性粉末および
Baフェライト磁性粉末の添加割合を、MnBi磁性粉
末70重量部、Baフェライト磁性粉末30重量部か
ら、MnBi磁性粉末40重量部、Baフェライト磁性
粉末60重量部に変更した以外は、実施例4と同様に磁
性塗膜を作製した。さらに実施例1と同様の方法でデ−
タa、デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行っ
たところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0092】〔実施例12〕実施例4における磁性塗料
の組成において、第2層目用の磁性塗料の組成における
MnBi磁性粉末およびBaフェライト磁性粉末の添加
割合を、MnBi磁性粉末70重量部、Baフェライト
磁性粉末30重量部から、MnBi磁性粉末40重量
部、Baフェライト磁性粉末60重量部に変更し、かつ
と第1層目用の磁性塗料の組成におけるBaフェライト
磁性粉末に変えて、Hcが650OeのCo−γ−Fe
23を用いた以外は、実施例4と同様に磁性塗膜を作製
した。さらに実施例1と同様の方法でデ−タa、デ−タ
bを記録再生し、また書き換え試験を行ったところ、実
施例1と同様の結果が得られた。
【0093】〔実施例13〕実施例4における磁性塗料
の組成において、第2層目用の磁性塗料の組成における
MnBi磁性粉末およびBaフェライト磁性粉末の添加
割合を、MnBi磁性粉末70重量部、Baフェライト
磁性粉末30重量部から、MnBi磁性粉末40重量
部、Baフェライト磁性粉末60重量部に変更し、かつ
と第1層目用の磁性塗料の組成におけるBaフェライト
磁性粉末に変えて、Hcが300Oeのγ−Fe23
用いた以外は、実施例4と同様に磁性塗膜を作製した。
【0094】さらに実施例1と同様の方法でデ−タa、
デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行った。デ
−タb2の記録電流を50mAから20mAに変更し、
かつデ−タb1の再生時の直流消磁電流を50mAから
20mAに変更した以外は、実施例1と同様の方法でデ
−タa、デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行
い、実施例1と同様の結果を得た。
【0095】〔実施例14〕実施例3における磁性塗料
の組成において、第2層目用磁性塗料に使用したHc:
2800OeのBaフェライト磁性粉末に変えて、H
c:5000OeのSmCo磁性粉末を用いた以外は、
実施例3と同様に磁性塗膜を作製した。
【0096】さらに実施例1と同様の方法でデ−タa、
デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行った。デ
−タb1の記録電流を200mAから500mAに変更
し、かつデ−タb2の記録電流と、デ−タb1の再生時
の直流消磁電流を50mAから20mAに変更した以外
は、実施例1と同様の方法でデ−タa、デ−タbを記録
再生し、また書き換え試験を行い、実施例1と同様の結
果を得た。
【0097】〔実施例15〕 《第1層目用磁性塗料の作製》磁性粉末として、実施例
1の方法で作製したMnBi磁性粉末とBaフェライト
磁性粉末を用い、以下の組成物 MnBi磁性粉末(Hc:8500Oe) 50 重量部 Baフェライト磁性粉末(Hc:790Oe) 50 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 をボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。Baフェライト磁性粉末としては、平均粒子サイ
ズ0.7μm、保磁力790Oe、飽和磁化53.1e
mu/gのものを用いた。
【0098】《第2層目用磁性塗料の作製》磁性粉末と
して、平均粒子サイズ0.9μm、保磁力2800O
e、飽和磁化53.4emu/gのBaフェライト磁性
粉末を用い、以下の組成 MnBi磁性粉末(Hc:8500Oe) 30 重量部 Baフェライト磁性粉末(Hc:2800Oe) 70 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 でボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。
【0099】《磁性塗膜の作製》まず前述の第2層目用
磁性塗料を、厚さ190μmのPETベ−スフイルム上
に、乾燥後の厚さが15μmになるように2000Oe
の長手配向磁場を印加しながら塗布した。
【0100】次にこの第2層目の磁性層表面に、前述の
第1層目用磁性塗料を乾燥後の厚さが6μmになるよう
に、同じく2000Oeの長手配向磁場を印加しながら
塗布した。
【0101】《磁気カ−ドの作製および記録再生方法》
前述の磁性塗膜を磁気カ−ドの形状に打ち抜いて磁気カ
−ドを作製した。
【0102】まずこのカ−ドを液体窒素に浸すことによ
り冷却し、このあと速やかに1000Oeの交番磁界を
印加して初期化した。信号の記録再生は実施例1に記載
した方法と同じ方法により行った結果、実施例1で得ら
れた結果と同じ結果が得られた。
【0103】つまり実施例1および実施例4と、実施例
15の本質的な差異は、実施例1ではMnBi磁性粉末
を第1層目に含有させ、実施例4ではMnBi磁性粉末
を第2層目に含有させたのに対して、本実施例では、第
1層目と第2層目の両層にMnBi磁性粉末を含有させ
た点である。
【0104】〔実施例16〕 《第1層目用磁性塗料の作製》磁性粉末として、実施例
1の方法で作製したMnBi磁性粉末とBaフェライト
磁性粉末を用い、以下の組成物 MnBi磁性粉末(Hc:8500Oe) 70 重量部 Baフェライト磁性粉末(Hc:1000Oe) 30 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 をボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。Baフェライト磁性粉末としては、平均粒子サイ
ズ0.7μm、保磁力790Oe、飽和磁化53.1e
mu/gのものを用いた。
【0105】《第2層目用磁性塗料の作製》磁性粉末と
して、平均粒子サイズ0.4μm、保磁力1500O
e、飽和磁化134.6emu/gのメタル磁性粉末を
用い、以下の組成 メタル磁性粉末(Hc:1500Oe) 100 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 でボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。
【0106】《磁性塗膜の作製》まず前述の第2層目用
磁性塗料を、厚さ190μmのPETベ−スフイルム上
に、乾燥後の厚さが8μmになるように2000Oeの
長手配向磁場を印加しながら塗布した。
【0107】次にこの第2層目の磁性層表面に、前述の
第1層目用磁性塗料を乾燥後の厚さが8μmになるよう
に、同じく2000Oeの長手配向磁場を印加しながら
塗布した。
【0108】《磁気カ−ドの作製および記録再生方法》
前述の磁性塗膜を磁気カ−ドの形状に打ち抜いて磁気カ
−ドを作製した。
【0109】まずこのカ−ドを液体窒素に浸すことによ
り冷却し、このあと速やかに1000Oeの交番磁界を
印加して初期化した。信号の記録再生は、実施例1に記
載した方法と同じ方法により行った結果、実施例1で得
られた結果と同じ結果が得られた。
【0110】〔比較例1〕 《第1層目用磁性塗料の作製》磁性粉末として、平均粒
子サイズ0.7μm、保磁力790Oe、飽和磁化5
3.1emu/gのBaフェライト磁性粉末を用いて、
以下の組成物 Baフェライト磁性粉末(Hc:790Oe) 100 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 をボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。
【0111】《第2層目用磁性塗料の作製》磁性粉末と
して、平均粒子サイズ0.9μm、保磁力2800O
e、飽和磁化53.4emu/gのBaフェライト磁性
粉末を用い、以下の組成 Baフェライト磁性粉末(Hc:2800Oe) 100 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 でボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。
【0112】《磁性塗膜の作製》まず前述の第2層目用
磁性塗料を、厚さ190μmのPETベ−スフイルム上
に、乾燥後の厚さが10μmになるように2000Oe
の長手配向磁場を印加しながら塗布した。
【0113】次にこの第2層目の磁性層表面に、前述の
第1層目用磁性塗料を乾燥後の厚さが4μmになるよう
に、同じく2000Oeの長手配向磁場を印加しながら
塗布した。
【0114】《磁気カ−ドの作製および記録再生方法》
前述の磁性塗膜を磁気カ−ドの形状に打ち抜いて磁気カ
−ドを作製した。このあと1000Oeの交番磁界を印
加して初期化した。
【0115】〈デ−タaの記録〉実施例1と同様の方法
により行った。
【0116】〈デ−タbの記録〉実施例1と同様の方法
により行った。
【0117】〈デ−タaの再生〉磁気カ−ドリ−ダライ
タ(三和ニュ−テック製;CRS−700)を用いて、
デ−タaを記録したトラックを再生したところ,再生エ
ラ−となった。これは、デ−タaを記録した後の直流消
磁により、デ−タaが消去されてしまったためである。
【0118】〈デ−タbの再生〉磁気カ−ドリ−ダライ
タ(三和ニュ−テック製;CRS−700)を用いて、
デ−タbを記録したトラックを再生したところ、読み取
りエラ−を引き起こし、デ−タ再生不能であった。
【0119】次に、磁気ヘッドに50mAの直流電流を
流して、デ−タbを記録したトラックを直流消磁した。
その後、このトラックを同じ磁気カ−ドリ−ダライタを
用いて、再生した。再生デ−タはAからJまでのアルフ
ァベットを10文字であり、秘匿デ−タであるデ−タb
1が正常に再生された。
【0120】〈書き換え(改ざん)試験〉まずデ−タa
として、0から9までの10個の数字が記録されている
トラックに、磁気カ−ドリ−ダライタ(三和ニュ−テッ
ク製;CRS−700)を用いて、記録電流200mA
で、KからTまでの大文字のアルファベット10文字を
重ね記録した。
【0121】次にこのトラックを再生した。再生デ−タ
は、後から記録したKからTまでの大文字のアルファベ
ットであり、デ−タは書き換えられており、書き換え防
止機能は有していなかった。
【0122】次にデ−タb1として、同じ磁気カ−ドリ
−ダライタを用いて、記録電流200mAで、KからT
までのアルファベットを10文字を、先に記録されてい
るAからJまでのアルファベットを10文字に重ね記録
した。まずこの状態で再生したところ、先に記録されて
いたAからJまでの文字は、あとから記録したKからT
までの文字に書き換えられていることを確認した。
【0123】さらに記録電流を50mAにして、ダミ−
デ−タb2として、kからtまでのアルファベット10
文字をデ−タb1を記録したトラックに重ねて記録し
た。この状態で再生したところ、読み取りエラ−を引き
起こし、デ−タ再生不能であった。
【0124】次に、磁気ヘッドに50mAの直流電流を
流して、デ−タb1、デ−タb2を記録したトラックを
直流消磁した。その後、このトラックを同じ磁気カ−ド
リ−ダライタを用いて、再生した。再生デ−タはKから
Tまでのアルファベットを10文字であり、秘匿デ−タ
であるデ−タb1が正常に再生された。このトラックの
特徴である、書き換えは可能であるが、通常の手段によ
るデ−タの読み取りが困難なセキュリティ−性を有して
いることを確認した。
【0125】この比較例1で示したカ−ドでは、デ−タ
aの特徴である消去、書き換えが困難な特徴は有してい
ないが、デ−タbの特徴である、書き換え可能で、かつ
通常の手段による読み取りが困難なセキュリテイ−は有
していることがわかった。
【0126】〔比較例2〕 《磁性塗料の作製》磁性粉末として、平均粒子サイズ
0.9μm、保磁力2800Oe、飽和磁化53.4e
mu/gのBaフェライト磁性粉末を用い、以下の組成 Baフェライト磁性粉末(Hc:2800Oe) 100 重量部 VAGH(UCC社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体) 15 重量部 T−5201(大日本インキ製ポリウレタン樹脂) 10 重量部 メチルイソブチルケトン 50 重量部 トルエン 50 重量部 でボ−ルミルを用いて24時間分散して磁性塗料を作製
した。
【0127】《磁性塗膜の作製》上記の磁性塗料を、厚
さ190μmのPETベ−スフイルム上に、乾燥後の厚
さが14μmになるように2000Oeの長手配向磁場
を印加しながら塗布した。
【0128】《磁気カ−ドの作製および記録再生方法》
この磁性塗膜を磁気カ−ドの形状に打ち抜いて磁気カ−
ドを作製した。このあと1000Oeの交番磁界を印加
して初期化した。
【0129】〈デ−タaの記録〉実施例1と同様の方法
により行った。
【0130】〈デ−タbの記録〉実施例1において示し
た記録方法において、磁性層はBaフェライト磁性粉末
を用いた単層構造のため、ダミ−デ−タは記録せずに、
秘匿であるAからJまでのデ−タb1のみを記録した。
【0131】〈デ−タaの再生〉磁気カ−ドリ−ダライ
タ(三和ニュ−テック製;CRS−700)を用いて、
デ−タaを記録したトラックを再生したところ,再生エ
ラ−となった。これは、デ−タaを記録した後の直流消
磁により、デ−タaが消去されてしまったためである。
【0132】〈デ−タbの再生〉磁気カ−ドリ−ダライ
タ(三和ニュ−テック製;CRS−700)を用いて、
デ−タbを記録したトラックを再生したところ、デ−タ
b1であるAからJまでのアルファベット10文字を正
常に再生した。
【0133】〈書き換え(改ざん)試験〉まずデ−タa
として、0から9までの10個の数字が記録されている
トラックに、磁気カ−ドリ−ダライタ(三和ニュ−テッ
ク製;CRS−700)を用いて、記録電流200mA
で、KからTまでの大文字のアルファベット10文字を
重ね記録した。
【0134】次にこのトラックを再生した。再生デ−タ
は、後から記録したKからTまでのアルファベットであ
り、デ−タは書き換えられており、書き換え防止機能は
有していなかった。
【0135】次にデ−タb1として、同じ磁気カ−ドリ
−ダライタを用いて、記録電流200mAで、KからT
までのアルファベットを10文字を、先に記録されてい
るAからJまでのアルファベットを10文字に重ね記録
し、再生したところ、あとから記録したKからTまでの
文字に書き換えられていることを確認した。
【0136】この比較例2で示したカ−ドでは、デ−タ
aの特徴である消去、書き換えが困難な特徴も、デ−タ
bの特徴である、通常の手段による読み取りが困難なセ
キュリテイ−性も有していないことがわかった。
【0137】〔比較例3〕実施例2における磁性塗料の
組成において、第2層目用の磁性塗料に使用したHc:
2800OeのBaフェライト磁性粉末に変えて、実施
例1の第1層目用の磁性塗料に使用したHc:790O
eのBaフェライト磁性粉末を使用した以外は、実施例
2と同様に磁性塗膜を作製した。
【0138】さらに実施例1と同様の方法でデ−タa、
デ−タbを記録再生し、また書き換え試験を行なった。
その結果、第1層目にはMnBi磁性粉末が含まれてい
るために、デ−タaは、各実施例の磁気記録媒体と同様
に、消去、書き換えが困難な特徴を示した。
【0139】しかしデ−タbは、読み取りが容易であ
り、さらに読み取ったデ−タは、先に記録した秘匿デ−
タであるデ−タb1ではなく、後から記録したダミ−デ
−タであるデ−タb2であった。これは秘匿デ−タを記
録する第2層目用の磁性粉の保磁力と、MnBi磁性粉
末とともに含有させる第1層目用の磁性粉の保磁力の差
異が小さいために、デ−タb1とデ−タb2を分離して
記録再生することが困難なためである。
【0140】このように比較例3で示したカ−ドでは、
デ−タaの特徴である消去、書き換えが困難な特徴は有
しているが、デ−タbの特徴である、通常の手段による
読み取りが困難なセキュリテイ−性は有していないこと
がわかった。
【0141】〔比較例4〕実施例3における磁性塗料の
組成において、第2層目用の磁性塗料に使用したHc:
2800OeのBaフェライト磁性粉末に変えて、H
c:7000OeのNdFeB磁性粉末を使用した以外
は、実施例3と同様に磁性塗膜を作製した。さらに実施
例1と同様の方法でデ−タa、デ−タbを記録再生し、
また書き換え試験を行なった。デ−タb1の記録電流を
200mAから500mAに変更し、かつデ−タb2の
記録電流と、デ−タb1の再生時の直流消磁電流を50
mAから20mAに変更した以外は、実施例1と同様の
方法でデ−タa、デ−タbを記録再生し、また書き換え
試験を行なった。その結果、第1層目にはMnBi磁性
粉末が含まれているために、デ−タaは、各実施例の磁
気記録媒体と同様に、消去、書き換えが困難な特徴を示
した。
【0142】一方デ−タbは、秘匿デ−タであるデ−タ
b1と、ダミ−デ−タであるデ−タb2とが混在して読
み取りエラ−を起こした。次に直流消磁を行なうと、デ
−タb2が消去されてデ−タb1が再生されるようにな
ったが、読み取りエラ−を起こす割合が多くなった。こ
れは第2層目に使用した磁性粉の保磁力が、第1層目に
使用した磁性粉の保磁力に比べて20倍以上と大き過ぎ
るため、書き込みが不十分となり、波形歪を生じている
ためである。
【0143】このように比較例4で示したカ−ドでは、
デ−タaの特徴である消去、書き換えが困難な特徴も、
デ−タbの特徴である、通常の手段による読み取りが困
難な特徴も有しているが、第2層目に使用した磁性粉の
保磁力が大き過ぎるため、秘匿デ−タであるデ−タb1
そのものの読み取りエラ−を起こしやすくなる。
【0144】表1に本実施例および比較例のカ−ドにつ
いて、デ−タa、デ−タbの記録再生および書き換えテ
ストを行った結果をまとめて示す。なお各磁性粉末の保
磁力は、東英工業製の振動試料型磁力計を用いて、温度
300Kにおいて16kOeの磁界を印加して測定した
値である。
【0145】
【表1】
【0146】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層磁気
記録媒体は、磁性層が基本的に保磁力の異なる2層から
構成されており、これらの層のどちらかの層にMnBi
磁性粉末を含有させることにより、従来の磁気記録媒体
では実現できなかった極めて高いセキュリティ−性を実
現したものである。
【0147】すなわち、本発明の磁気記録媒体は、1度
記録するとその後の消去,書き換えが極めて困難なデ−
タと、通常の手段では読み取り困難であるが、基本的に
は従来の磁気記録媒体と同様に書き換え可能なデ−タの
2種類のデ−タを記録再生できる。
【0148】この特徴は、表1からも明らかである。ま
ずデ−タaとしては、本発明の多層磁気記録媒体を初期
化後、通常の方法で記録する。本発明の磁気記録媒体で
ある実施例1〜16の多層磁気記録媒体においては、初
期再生デ−タも、このデ−タaを記録したトラックを消
磁後再生して得られるデ−タも、同じ初期記録デ−タで
あり、このデ−タが消去されないことを示している。一
方従来の媒体である、比較例1、2の媒体では、初期再
生デ−タは初期記録デ−タであるが、このトラックを消
磁後再生するとデ−タは消去されてしまい、再生エラ−
を引き起こす。さらにこのデ−タを書き換えようとし
て、他のデ−タをオ−バ−ライト記録すると、MnBi
磁性粉末に記録されている消去できないデ−タと、もう
一方の磁性粉末に記録されている書き換え後のデ−タが
混在し、再生エラ−を引き起こす。すなわちこのデ−タ
は、1度記録すると、その後の消去のみならず書き換え
が極めて困難なデ−タであることを示している。一方通
常の磁気記録媒体である比較例1、2の媒体では、容易
にデ−タの書き換えが行われる。
【0149】また比較例3、4の媒体では、MnBi磁
性粉末を含有するために、デ−タaは消去、書き換えと
もに困難な特徴を示すが、比較例4の媒体では出力が低
下する傾向を示した。
【0150】この1度記録するとその後の消去、書き換
えが極めて困難なデ−タaとしては、例えばカ−ドに適
用する場合には、発行番号や発行場所、金額等の書き換
える必要のない、あるいは書き換えされてはいけない固
有情報を記録することが好ましい。
【0151】次に書き換え可能なデ−タbとしては、本
発明の多層磁気記録媒体を初期化後、このデ−タを記録
するトラックをまず直流消磁し、その後秘匿デ−タであ
るデ−タb1を記録し、さらに通常手段による読み取り
を困難にするためのダミ−デ−タを低保磁力層であるの
第1層に記録される。本発明の磁気記録媒体である実施
例1〜16の媒体および比較例1、3、4の媒体では、
いずれも初期再生デ−タは再生エラ−を引き起こし、読
み取り不能となる。これは、第1層と第2層に異なるデ
−タが記録されており、2種類のデ−タが混在するため
である。しかし低保磁力層である第1層を消磁した後再
生すると、第1層に記録されているダミ−デ−タが消去
され、秘匿デ−タである第2層のデ−タが再生可能にな
る。
【0152】このような低保磁力と高保磁力に2種類の
磁性層から構成されていない比較例2の媒体では、初期
再生において、秘匿デ−タが容易に読み出されてしま
う。
【0153】また第1磁性層と第2磁性層に使用する磁
性粉末の保磁力の差異の小さい比較例3の媒体では、重
ね記録により、秘匿デ−タであるデ−タb1そのものが
ダミ−デ−タであるデ−タb2に書き換えられてしま
い、本来の目的を達成できていない。
【0154】また第1磁性層と第2磁性層に使用する磁
性粉末の保磁力の差異が大き過ぎる比較例4の媒体で
は、秘匿デ−タであるデ−タb1の記録そのものが困難
になり、読み取りエラ−を起こしやすくなる。
【0155】また本発明の磁気記録媒体である実施例1
〜16の媒体も比較例1の媒体も、通常の手段によるデ
−タの読み取りが困難であるセキュリティ−性は有して
いるが、従来の磁気記録媒体と同様に、基本的にデ−タ
の書き換え可能であり、従来の媒体との互換性を有して
いる。
【0156】このデ−タbとしては、例えばカ−ドに適
用する場合には、残り金額、使用日時、使用場所等、使
用の都度書き換える必要のあるデ−タを記録することが
好ましい。
【0157】以上説明したように、本発明の多層磁気記
録媒体を磁気カ−ドに適用すると、特に大きな威力を発
揮する。例えばプリペ−ドカ−ドに適用した場合には、
デ−タaとして、そのカ−ドの金額、発行場所、発行日
時等の書き換えする必要のない、あるいは書き換えされ
てはいけないデ−タを記録する。またデ−タbとして、
カ−ドを使用の都度書き換える必要のある、残り金額、
使用場所等にデ−タを記録する。さらにこのデ−タb
は、基本的に書き換え可能であるが、通常の手段ではデ
−タの読み取りが困難であり、デ−タbも高いセキュリ
ティ−性を有している。このような特性をもった磁気記
録媒体は、これまで存在せず、本発明のMnBi磁性粉
末を用いて多層磁性層構造とすることにより、初めて実
現したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】上層に保磁力300Oeのγ−Fe23磁性粉
末を用い、下層に保磁力2800OeのBa−フェライ
ト磁性粉末を用いた磁気記録媒体のヒステリシス曲線の
一例を示した図である。
【図2】MnBi磁性粉末を用いた磁気記録媒体の初期
磁化曲線およびヒステリシス曲線の一例を示した図であ
る。
【図3】本発明の多層磁気記録媒体を磁気カ−ドに適用
したときの、断面構造の一例を示した図である。
【図4】本発明の多層磁気記録媒体を磁気カ−ドに適用
したときの、断面構造の一例を示した図である。
【図5】本発明の多層磁気記録媒体を磁気カ−ドに適用
したときの、断面構造の一例を示した図である。
【図6】本発明の多層磁気記録媒体を磁気カ−ドに適用
したときの、記録トラックの配置の一例を示した図であ
る。
【図7】本発明の多層磁気記録媒体を磁気カ−ドに適用
したときの、記録トラックの配置の一例を示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/047 H01F 1/06 J (72)発明者 伊藤 明彦 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気信号の記録再生が可能な磁気記録媒
    体において、磁性層が2層以上の層からなり、少なくと
    も1つの層にMnBi磁性粉末を含有し、MnBi磁性
    粉末以外の他の磁性粉末の保磁力が、以下の関係を満た
    すことを特徴とする磁気記録媒体。 1.5<(最上層以外の磁性層に含有させる磁性粉末の
    保磁力)/(最上層の磁性層に含有させる磁性粉末の保
    磁力)<20
  2. 【請求項2】 磁気信号の記録再生が可能な磁性層のう
    ち、MnBi磁性粉末以外の他の磁性粉末の保磁力が、
    最上層の磁性層に使用する磁性粉末は250Oeから1
    000Oeであり、最上層以外の磁性層に使用する磁性
    粉末は1500Oeから5000Oeであることを特徴
    とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁気信号の記録再生が可能な磁性層に含
    まれる磁性粉末の保磁力が、MnBi磁性粉末の保磁力
    より低いことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 磁気信号の記録再生が可能な磁性層のう
    ち、最上層の磁性層にMnBi磁性粉末を含有すること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】MnBi磁性粉末の保磁力が、16kOe
    の磁界を印加して300Kで測定した時に、6000O
    e〜15000Oeの範囲であることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 各磁性層の厚みが、1〜20μmであ
    り、磁性層全体の厚みが2〜30μmであることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 磁性層がカ−ド状基材上に形成されてい
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 磁性層が2層以上の層からなり、少なく
    とも1つの磁性層にMnBi磁性粉末を含有し、MnB
    i磁性粉末以外の他の磁性粉末の保磁力が、以下の関係
    を満たす磁気記録媒体への信号の記録方法において、媒
    体を低温に冷却して消磁状態にした後、磁性層の任意の
    領域に信号を記録し、さらにこの領域とは異なる領域に
    直流磁界を印加した後に信号を記録することを特徴とす
    る信号の記録方法。 1.5<(最上層以外の磁性層に含有させる磁性粉末の
    保磁力)/(最上層の磁性層に含有させる磁性粉末の保
    磁力)<20
  9. 【請求項9】 磁性層が2層以上の層からなり、少なく
    とも1つの磁性層にMnBi磁性粉末を含有し、MnB
    i磁性粉末以外の他の磁性粉末の保磁力が、以下の関係
    を満たす磁気記録媒体への信号の記録再生方法におい
    て、媒体を低温に冷却して消磁状態にした後に信号を記
    録し、直流磁界を印加した後に信号を再生することを特
    徴とする信号の記録再生方法。 1.5<(最上層以外の磁性層に含有させる磁性粉末の
    保磁力)/(最上層の磁性層に含有させる磁性粉末の保
    磁力)<20
JP7316129A 1995-11-08 1995-11-08 多層磁気記録媒体およびその記録再生方法 Pending JPH09134519A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7316129A JPH09134519A (ja) 1995-11-08 1995-11-08 多層磁気記録媒体およびその記録再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7316129A JPH09134519A (ja) 1995-11-08 1995-11-08 多層磁気記録媒体およびその記録再生方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09134519A true JPH09134519A (ja) 1997-05-20

Family

ID=18073580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7316129A Pending JPH09134519A (ja) 1995-11-08 1995-11-08 多層磁気記録媒体およびその記録再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09134519A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19900447C2 (de) * 1999-01-08 2002-05-29 Joachim Schoenes Ferromagnetisches Schichtmaterial und Verfahren zu seiner Herstellung
US6753076B2 (en) 2000-07-14 2004-06-22 Lintec Corporation Forgery-preventive identification medium and method for ascertaining the genuineness thereof

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19900447C2 (de) * 1999-01-08 2002-05-29 Joachim Schoenes Ferromagnetisches Schichtmaterial und Verfahren zu seiner Herstellung
US6753076B2 (en) 2000-07-14 2004-06-22 Lintec Corporation Forgery-preventive identification medium and method for ascertaining the genuineness thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4237189A (en) Polymodal magnetic recording media process for making and verifying the same and compositions useful therein
US4281043A (en) Polymodal magnetic recording media and compositions useful therein
JP3488761B2 (ja) 磁性粉末およびその製造方法、並びにこの製造方法で得られた磁性粉末を用いた磁気記録媒体とこの磁気記録媒体の記録再生方法および記録再生装置
JPH09134519A (ja) 多層磁気記録媒体およびその記録再生方法
JP2626858B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2706714B2 (ja) 磁気記録媒体とその製造方法
JP2649756B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP3456232B2 (ja) 磁気記録媒体及びその読み取り方法
JP3044124B2 (ja) 磁気カードおよびその不正使用防止方法
JP2736852B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2632275B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2626856B2 (ja) 磁気記録媒体及びその情報処理方法
JPH07121864A (ja) 磁気記録媒体とその製造方法
JP2649765B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2001160202A (ja) MnBi磁性粉末とこれ以外の他の磁性粉末を用いた磁気カードの処理システム、読み取り装置および処理方法
JP2597328B2 (ja) 3磁性層磁気カードの記録再生方法
JP2000048345A (ja) ストライプ用磁気テ―プとこれを用いた磁気カ―ドおよびその製造方法
JPH10269556A (ja) 磁気記録媒体およびその使用方法
JPH09297917A (ja) 磁気記録媒体およびその記録再生方法
JP3651039B2 (ja) 磁気記録方法及び磁気カードとその製造方法
JPH1040535A (ja) 磁気カード
JP2969565B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH09102117A (ja) 磁気記録媒体およびその記録再生方法、並びにそのための記録再生装置
JPS63273202A (ja) 磁気記録再生方法および装置
JPH08161733A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031224