JPH09132857A - 自動刺繍機 - Google Patents

自動刺繍機

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JPH09132857A
JPH09132857A JP31151295A JP31151295A JPH09132857A JP H09132857 A JPH09132857 A JP H09132857A JP 31151295 A JP31151295 A JP 31151295A JP 31151295 A JP31151295 A JP 31151295A JP H09132857 A JPH09132857 A JP H09132857A
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JP
Japan
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embroidery
data
function
sewing machine
control
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JP31151295A
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English (en)
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Akira Okuno
晃 奥野
Tsunetada Kasai
常工 葛西
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NIPPON DENPA KK
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NIPPON DENPA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部から読込んだ刺繍データを変質させるこ
となく、一過性の限定制御を簡単に実行できるように
し、メモリ容量が増大するのを防止する。 【解決手段】 刺繍データを、各針落ち点毎の枠移動量
データとなるHデータおよびVデータと、刺繍柄の作成
に必要な複数のファンクションを含んだミシン制御用デ
ータとなるFデータとから構成する。そして、Fデータ
を合計5個のファンクションエリアF1 ,F2 ,F3 ,
F4 ,F5 および3個のサブファンクションエリアSF1
,SF2 ,SF3 から構成し、サブファンクションエリアS
F1 ,SF2 ,SF3 を組合せて使用することにより、例え
ばNi 針目では「色替え禁止」の一過性ファンクション
を設定し、Nj 針目では「糸切り」の一過性ファンクシ
ョンを設定し、Nk 針目およびNL 針目では「プリセッ
ト停止」および「オートメンディング」の一過性ファン
クションを設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば刺繍布等の
刺繍対象物に刺繍データに基づいた刺繍柄を作成するの
に好適に用いられる自動刺繍機に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、刺繍用の下糸が配置される基台
と、該基台上に設けられ、前記下糸側と対向する位置で
上糸側の刺繍針を上,下に往復動させる刺繍機のヘッド
と、該ヘッドに設けられ、刺繍糸の色替えを行う色替え
機構と、前記ヘッドの下側に位置して前記基台上に移動
可能に設けられ、刺繍対象物(刺繍布)を保持する刺繍
枠等の移動枠と、該移動枠を前記基台上で各針落ち点毎
に枠移動させる枠移動機構と、前記各針落ち点毎の刺繍
データを記憶するデータ記憶手段と、該データ記憶手段
による各針落ち点毎の刺繍データに基づいて前記ヘッ
ド、色替え機構および枠移動機構を駆動制御し前記各針
落ち点からなる刺繍柄を前記刺繍布に作成する刺繍制御
手段とからなる自動刺繍機は知られている。
【0003】そして、この種の従来技術による自動刺繍
機は、前記データ記憶手段に記憶した複数(多数)の針
落ち点毎の刺繍データに基づき、刺繍機のヘッドで刺繍
針を上,下に往復動させつつ、枠移動機構で移動枠を水
平方向等に枠移動させることにより、該移動枠内に保持
した刺繍布に前記各針落ち点からなる刺繍柄を自動的に
作成するものである。
【0004】また、他の従来技術として刺繍機のヘッド
を複数個備え、該各ヘッド毎に刺繍糸の色替えを行う色
替え機構が設けられた多頭式自動刺繍機も知られてい
る。そして、この多頭式自動刺繍機では、枠移動機構で
移動枠を一括して枠移動させつつ、複数のヘッドでそれ
ぞれの刺繍針を運針させると共に、各色替え機構を作動
させて刺繍糸の色替えを行うことにより、複数色の刺繍
糸からなる刺繍柄を同時に複数枚作成できるようにして
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、例えば次回の刺繍作業時に予め決められた
針数位置等で、刺繍柄の作成に必要な特別の動作(限定
制御)を行わせる場合がある。そして、この場合には各
針落ち点毎の刺繍データを記憶するデータ記憶手段とは
別個のメモリ領域に前記針数位置等を格納しておき、刺
繍動作を開始した後には前記針数位置と現在の針落ち点
の位置とを常に比較しつつ、針落ち点の位置が該当する
針数位置に達したときに前記特別の動作(限定制御)を
実行させるようにしている。
【0006】しかし、従来技術にあっては、前記特別の
動作(限定制御)を行うべき特定の針数位置等を、各針
落ち点毎の刺繍データを記憶するデータ記憶手段とは別
個のメモリ領域に格納する構成としているから、このた
めのメモリ領域を追加する必要があり、RAMまたはR
OM等のメモリ容量が余分に増大し、装置の小型、軽量
化を図ることができないという問題がある。
【0007】また、ヘッドの駆動源となる主軸モータの
回転速度を1200rpm程度まで速くした場合には、
例えば50ms毎に1針分の枠移動(刺繍)が実行され
ることになるから、この種の刺繍機が備えた処理速度の
範囲内ではこの50msという短時間の間に、現在の針
落ち点の位置と特定の針数位置とを比較判定しつつ、1
針分の枠移動を完了させることが難しく、前記特別の動
作(限定制御)を実行させるためには主軸モータの回転
速度(刺繍速度)を遅く制限する必要があるという問題
がある。
【0008】さらに、最初に読込んだ刺繍データをその
ままにして特別な変更を加えることなく、限定制御を1
回だけ一過性をもって行いたい場合に、従来技術ではメ
モリ管理が複雑になってしまい、特定の専門技術者でな
い限り誤操作や誤動作を起こし易くなるという問題があ
る。
【0009】さらにまた、前記限定制御を行うために刺
繍データにファンクション変更等を加えようとすると、
針数の小さい方(刺繍の開始点側)から順番にファンク
ション変更を行わない限り、刺繍データを比較監視する
順番が狂ってしまうことが多く、後から小さい方の針数
位置にファンクション変更を加えたいときには、開始点
に戻ってファンクションの設定をやり直す必要があり、
作業性が非常に悪いという問題がある。
【0010】一方、他の従来技術のように、刺繍機のヘ
ッドを複数個備え、該各ヘッド毎に刺繍糸の色替えを行
う多頭式自動刺繍機にあっては、特定のヘッドのみで糸
切りや補修縫い等の動作(限定制御)を行う場合に、こ
の限定制御用のデータ(刺繍情報)を別個のメモリ領域
に予め格納しておく必要がある上に、限定制御を行うと
きには全てのヘッド側で刺繍速度を遅くするようにスピ
ード制限を実施しなければならないという問題がある。
【0011】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は外部から読込んだ刺繍データを
変質させることなく、一過性の限定制御を簡単に実行で
き、刺繍速度を可及的に速くできると共に、メモリ容量
が余分に増大するのを防止でき、一過性ファンクション
を付加(設定)するときの作業性等を大幅に向上できる
ようにした自動刺繍機を提供することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明は、刺繍用の下糸が配置される基台と、該
基台上に設けられ、前記下糸側と対向する位置で上糸側
の刺繍針を上,下に往復動させる刺繍ヘッドと、該刺繍
ヘッドに設けられ、刺繍糸の色替えを行う色替え機構
と、前記刺繍ヘッドの下側に位置して前記基台上に移動
可能に設けられ、刺繍対象物を保持する移動枠と、該移
動枠を前記基台上で各針落ち点毎に枠移動させる枠移動
機構と、前記各針落ち点毎の刺繍データを記憶するデー
タ記憶手段とを備え、該データ記憶手段による刺繍デー
タに基づいて前記刺繍ヘッド、色替え機構および枠移動
機構を駆動制御することにより前記各針落ち点からなる
刺繍柄を前記刺繍対象物に作成してなる自動刺繍機に適
用される。
【0013】そして、請求項1に記載の発明は、前記デ
ータ記憶手段で記憶した刺繍データを、前記各針落ち点
毎の枠移動量データと、少なくとも刺繍柄の作成に必要
な複数のファンクションを含んだミシン制御用データと
から構成し、さらに該刺繍データのミシン制御用データ
に対し限定制御用の一過性ファンクションを付加するフ
ァンクション付加手段と、該ファンクション付加手段に
よる一過性ファンクションに基づいて予め決められた限
定制御を実行したときに、前記刺繍データのミシン制御
用データからこの一過性ファンクションを消去するファ
ンクション消去手段とを備えてなる構成を採用してい
る。
【0014】このように構成することにより、ファンク
ション付加手段で限定制御用の一過性ファンクションを
刺繍データのミシン制御用データに付加したときには、
その後の刺繍時に一過性ファンクションに基づいた限定
制御を自動的に実行でき、この限定制御を実行したとき
には、ファンクション消去手段で前記刺繍データのミシ
ン制御用データからこの一過性ファンクションを自動的
に消去できる。
【0015】また、請求項2に記載の発明では、前記一
過性ファンクションは、前記刺繍データのミシン制御用
データに含まれる複数のファンクションとは別の一過性
をもったミシン制御用ファンクションを追加する構成と
している。
【0016】これにより、刺繍柄の作成前または作成途
中等で特別の動作(限定制御)を行わせる必要が生じた
ときには、前記刺繍データのミシン制御用データに含ま
れる複数のファンクションとは別の一過性をもったミシ
ン制御用ファンクションを、一過性ファンクションとし
て適宜に追加することができる。
【0017】さらに、請求項3に記載の発明では、前記
一過性ファンクションは、前記刺繍データのミシン制御
用データに含まれる複数のファンクションのうち、少な
くとも一のファンクションに該当するミシン制御を一過
性をもって禁止させる構成としている。
【0018】これにより、刺繍柄の作成前または作成途
中等で前記刺繍データに基づいたミシン制御の一部を禁
止させる必要が生じた場合(例えば色替え機構による色
替えを一時的に禁止して試し縫い等を行う場合)には、
前記刺繍データのミシン制御用データ(例えば色替えフ
ァンクション)に一過性ファンクションを付加すること
により、この一過性ファンクションに基づいた限定制御
を自動的に行うことができ、例えば試し縫いが終ったと
きにはこの一過性ファンクションをファンクション消去
手段で自動的に消去できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って説明する。
【0020】ここで、図1ないし図12は本発明の第1
の実施例による自動刺繍機を、多頭式自動刺繍機に適用
した場合を例に挙げて示している。
【0021】図において、1は多頭式自動刺繍機の本体
を構成する刺繍機本体(以下、ミシン本体1という)を
示し、該ミシン本体1は、基台としての支持台2と、該
支持台2上に左右方向に伸長して設けられ、後述の各ミ
シンヘッド7が取付けられるヘッドホルダ3とから大略
構成され、該ヘッドホルダ3の上方には照明具4が設け
られている。また、前記支持台2の上部側には後述の移
動枠14等を介して刺繍布12が配設され、これらの下
側には針板および下糸が巻回された複数の下糸ボビン
(いずれも図示せず)等が配設されている。
【0022】5は支持台2上に設けられた駆動源として
の主軸モータを示し、該主軸モータ5は支持台2上を左
右方向に延びた主軸6を回転駆動し、該主軸6を介して
各ミシンヘッド7の駆動部を作動させることにより後述
の各刺繍針11を上,下に往復動(運針)させるもので
ある。
【0023】7,7,…は支持台2上に位置してヘッド
ホルダ3に所定間隔をもって列設された刺繍ヘッドを構
成するミシンヘッドを示し、該各ミシンヘッド7はヘッ
ドホルダ3にそれぞれ取付けられたヘッド本体8を有
し、該各ヘッド本体8内には、前記主軸6の回転によっ
て各刺繍針11を上,下に駆動する駆動部(図示せず)
と、刺繍糸(上糸)の選択を行う色替え機構としての色
替え用アクチュエータ9(図2参照)と、ジャンプソレ
ノイド10等とが設けられている。
【0024】ここで、該ジャンプソレノイド10は各ミ
シンヘッド7毎にそれぞれ設けられたロータリソレノイ
ド等からなり、色替え用アクチュエータ9による刺繍糸
の色替え時、または飛び柄の刺繍時に移動枠14のX,
Y方向移動量(枠移動量)が一定の移動量(例えば1
2.7mm)を越えるとき、さらには後述の補修縫いを
行うとき等に、前記ミシンヘッド7の駆動部と各刺繍針
11側との係合を一時的に解除させ、このときに刺繍針
11を支持台2の上方で一時的に運針停止状態に保持す
るものである。
【0025】11,11,…は各ミシンヘッド7のヘッ
ド本体8から下向きに突出した複数本の刺繍針を示し、
該各刺繍針11には各ヘッド本体8毎にそれぞれ複数色
の刺繍糸(上糸)が装着されている。そして、該各刺繍
針11は各ミシンヘッド7の駆動部により色替え用アク
チュエータ9を介して選択的に駆動され、図6に示す刺
繍布12に向けて運針されることにより所望色の刺繍糸
を用いた刺繍を実行する。
【0026】13,13,…は各ミシンヘッド7の上側
に設けられた刺繍糸用の上糸案内部を示し、該各上糸案
内部13の背面側には複数色の各刺繍糸がそれぞれ巻回
された複数の上糸ボビンを載置するボビン台(いずれも
図示せず)等が設けられている。
【0027】14は各ミシンヘッド7の下側に位置して
支持台2上に移動可能に設けられた移動枠を示し、該移
動枠14には各ミシンヘッド7に対応して複数の刺繍枠
(図示せず)が着脱可能に取付けられ、これらの各刺繍
枠は刺繍対象物となる刺繍布12(図6参照)をそれぞ
れ展張状態で保持するようになっている。そして、移動
枠14は枠移動機構としての枠移動用アクチュエータ1
5(図2参照)により支持台2上で各刺繍枠と共にX,
Y方向に枠移動され、このときに各刺繍布12には図6
に示すように、各刺繍針11の運針に応じて刺繍データ
による所定の刺繍柄が形成(実現)される。
【0028】16は支持台2の前側に左右方向に伸長し
て設けられた運転棒を示し、該運転棒16は両端側が支
持台2から垂下された左,右の支持ブラケット16A,
16Aに摺動可能に取付けられ、当該多頭式自動刺繍機
を作動・停止させる手動スイッチを構成している。そし
て、オペレータが運転棒16を、例えば左方向に摺動変
位させると主軸モータ5等が作動し、右方向に摺動変位
させたときには主軸モータ5等が停止するようになる。
【0029】17,17,…は各ミシンヘッド7にそれ
ぞれ設けられ、補修縫い用の操作スイッチを構成するオ
ートメンディングスイッチを示し、該各オートメンディ
ングスイッチ17は糸切れの発生時等に、オペレータに
よって各ミシンヘッド7毎に手動操作され、各ミシンヘ
ッド7毎に独立して後述の補修縫いを実行させるもので
ある。そして、オペレータが各ミシンヘッド7のうち、
少なくともいずれか一のオートメンディングスイッチ1
7を閉成したときには、後述する表示器24のメニュー
表示領域24Aに図4に示す如きメニュー表示が自動的
に行われる。
【0030】18,18,…は各ミシンヘッド7にそれ
ぞれ設けられた糸切れ表示ランプを示し、該各糸切れ表
示ランプ18は各ミシンヘッド7のいずれかで糸切れが
発生したときに、各糸切れセンサ19からの信号に基づ
て点灯し、ミシンのオペレータ等にいずれのミシンヘッ
ド7側で糸切れが発生しているかを報知するものであ
る。
【0031】19は各ミシンヘッド7毎に個別に設けら
れる糸切れセンサ(図2中に1個のみ図示)を示し、該
各糸切れセンサ19は各ミシンヘッド7側で刺繍糸(上
糸)または下糸の糸切れが発生したときにこれを個別に
検知し、その検知信号を後述のコントロールユニット2
7に出力するようになっている。そして、該糸切れセン
サ19はコントロールユニット27と共に刺繍停止手段
を構成し、糸切れの検知時に刺繍作業(刺繍針11の運
針および枠移動等)を自動的に停止させるようになって
いる。
【0032】20は各ミシンヘッド7に対応してミシン
本体1の支持台2側に設けられる糸切り機構(図2中に
1個のみ図示)を示し、該各糸切り機構20はソレノイ
ド等の電磁アクチュエータにより駆動され、例えば下糸
に絡んでいる刺繍糸(上糸)をコントロールユニット2
7からの制御信号に基づき強制的に切断するものであ
る。
【0033】即ち、該各糸切り機構20は、例えば刺繍
糸の色替えを行うために現在の刺繍糸を切って色替え用
アクチュエータ9で色替えを実行するとき、または刺繍
針11を各ジャンプソレノイド10で運針停止状態に保
持しつつ、移動枠14を予め決めた所定の移動量以上に
枠移動させるとき等に刺繍糸を強制的に切断し、これに
よって所定の移動量を越える枠移動を補償し、各ミシン
ヘッド7の刺繍糸等に余分なテンション(張力)が作用
するのを防止するようになっている。
【0034】21は支持台2上の右側に搭載された刺繍
機用制御装置(以下、制御装置21という)を示し、該
制御装置21は箱形状をなす制御装置本体22と、該制
御装置本体22の前面下側に設けられ、後述する絵付き
専用スイッチ28および補助スイッチ29等が配設され
た操作部23と、該操作部23の上側に設けられた表示
手段としての表示器24と、操作部23の下側に配設さ
れたフロッピーディスク装置25と、制御装置本体22
の裏面に設けられた複数の外部機器接続用スロット26
と、制御装置本体22の内部または支持台2の背面側等
に設けられたコントロールユニット27とから大略構成
されている。
【0035】ここで、前記コントロールユニット27は
CPU,メモリ等から構成され、その入力側には図2に
示す如く運転棒16、各オートメンディングスイッチ1
7、各糸切れセンサ19、外部機器接続用スロット2
6、絵付き専用スイッチ28、補助スイッチ29、後述
の枠移動用スイッチ30、フロッピーディスク装置25
およびテープリーダ(図示せず)等が接続されている。
そして、コントロールユニット27の出力側には主軸モ
ータ5、色替え用アクチュエータ9、ジャンプソレノイ
ド10、枠移動用アクチュエータ15、糸切り機構2
0、糸切れ表示ランプ18、表示器24およびテープパ
ンチャ(図示せず)等が接続されている。
【0036】また、該コントロールユニット27の内部
にはROM,RAM等のメモリからなる記憶手段として
の第1〜第4メモリ27A〜27D等が形成されてい
る。そして、第1メモリ27A内には、ミシン本体1の
作動制御に必要な多数のコマンドと、これらの各コマン
ドに対応した絵図形パターン(図5参照)と、後述の図
8ないし図12に示す如き刺繍制御処理用のプログラム
と、主軸モータ5および枠移動用アクチュエータ15等
の各駆動機構を制御する専用プログラム等とが記憶され
ている。
【0037】一方、第2メモリ27Bは本実施例による
データ記憶手段を構成し、例えばフロッピーディスク装
置25等から読込んだ刺繍データを更新可能に記憶する
ものである。また、第3メモリ27Cはヘッド記憶手段
等を構成し、糸切れの発生時等に該当するミシンヘッド
7がいずれのヘッド番号であるかを更新可能に記憶する
と共に、後述する補修縫いの開始位置を更新可能に記憶
するものである。さらに、第4メモリ27Dは後述の判
定時間T0 および判定値α等を更新可能に記憶するもの
である。
【0038】また、フロッピーディスク装置25はフロ
ッピーディスク(記憶媒体)に記憶された図7に示す如
き刺繍データをコントロールユニット27の第2メモリ
27Bに読込んだり、該第2メモリ27Bに記憶された
刺繍データをフロッピーディスクに書込んだりするもの
である。
【0039】ここで、図7に示す刺繍データは、各針落
ち点毎の枠移動量データとなるそれぞれ1バイトのHデ
ータおよびVデータと、刺繍柄の作成に必要な複数のフ
ァンクションを含んだミシン制御用データとなる1バイ
トのFデータとからなる所謂Uコード(合計3バイト)
の刺繍データにより構成され、Hデータは各針落ち点毎
のX軸方向移動量を示し、Vデータは各針落ち点毎のY
軸方向移動量を示している。また、Fデータは合計5個
のファンクションエリアF1 ,F2 ,F3 ,F4 ,F5
および3個のサブファンクションエリアSF1 ,SF2 ,SF
3 からなり、各ファンクションエリアF1 〜F5 を組合
せて使用することにより、例えば「ジャンプ」、「糸切
り」、「色替え」、「ボーリング」および「ストップ」
等の刺繍柄の作成に必要なミシン制御をファンクション
として実行させるものである。
【0040】一方、Fデータのサブファンクションエリ
アSF1 ,SF2 ,SF3 は後述の如く組合せて使用すること
により、例えば「色替え禁止」、「糸切り」、「プリセ
ット停止」および「オートメンディング」等の一過性フ
ァンクションを指定するものである。また、Hデータ,
Vデータは1ビットが0.1mmの移動量に相当する7ビッ
トの2進法で1,2,4,8,16,32,64とな
り、最後のHマーク,VマークがX,Y軸移動量のプラ
スまたはマイナスの移動方向を指定し、移動方向がプラ
ス(正)のときにはHマーク,Vマークの位置に識別子
(黒抜きの丸印)を入れ、マイナス(負)となるときに
は後述するNk 針目のVデータのようにVマークの位置
に識別子を入れることなく白抜きの丸印で表している。
【0041】そして、例えば1針目となるNi 針目では
X,Y軸方向移動量を(0,0)とし、Fデータのファ
ンクションエリアF1 ,F4 を組合せて使用することに
より予め決められた色の刺繍糸を色替えファンクション
として指定している。また、このNi 針目ではサブファ
ンクションエリアSF1 ,SF3 を組合せて使用することに
より「色替え禁止」の一過性ファンクションが指定さ
れ、Ni 針目以降の各針落ち点からなる刺繍柄の作成を
色替えなしで行う、例えば試し縫い等の限定制御が実行
される。
【0042】次に、Nj 針目ではX,Y軸方向移動量を
(0.8,1)とするために、Hデータを+0.8mmとし、
Vデータを+1mmと指定している。そして、Fデータは
サブファンクションエリアSF1 ,SF2 を組合せて使用す
ることにより「糸切り」の一過性ファンクションが指定
されている。また、Nk 針目はX,Y軸方向移動量を
(1.1,−0.2)とするために、Hデータを+1.1mmと
し、Vデータを−0.2mmと指定している。そして、この
場合のFデータはサブファンクションエリアSF2のみを
使用することにより「プリセット停止(以下、PS停止
という)」の一過性ファンクションが指定されている。
【0043】さらに、NL 針目ではX,Y軸方向移動量
を(+0.1,+2.1)とするため、Hデータを+0.1mm
とし、Vデータを+2.1mmと指定している。そして、こ
の場合のFデータはサブファンクションエリアSF1 のみ
を使用することにより「オートメンディング(以下、A
Mという)」の一過性ファンクションが指定されてい
る。なお、図7に示すNi ,Nj ,Nk ,NL 針目の刺
繍データは連続する針落ち点のデータを示したものでは
なく、あくまでも「色替え禁止」、「糸切り」、「PS
停止」および「AM」等の一過性ファンクションを例示
して説明したものである。
【0044】一方、前記テープリーダは紙テープ(記憶
媒体)に記憶された刺繍データをコントロールユニット
27の第2メモリ27Bに読込むもので、テープパンチ
ャは第2メモリ27Bに記憶された刺繍データに基づい
て紙テープをパンチングするものである。また、外部機
器接続用スロット26はRS232C,SCSI等の規
格に基づくものであり、通信回線等を介して他の刺繍機
または外部記憶装置等とコントロールユニット27との
間でデータの入出力を行うものである。
【0045】次に、前記制御装置21の操作部23およ
び表示器24について図3および図4を参照して説明す
る。
【0046】28A〜28Jは操作部23上に配設され
た9つの絵付き専用スイッチ(全体として絵付き専用ス
イッチ28という)を示し、該各絵付き専用スイッチ2
8A〜28Jは、前記コントロールユニット27の第1
メモリ27Aに記憶された多数のコマンドのうち、使用
頻度の高いコマンドが割り当てられ、これらのコマンド
を実行させるための専用スイッチとなっている。また、
該絵付き専用スイッチ28A〜28Jの表面には図2に
示すように、割り当てられたコマンドに対応した絵図形
が描かれている。
【0047】即ち、絵付き専用スイッチ28Aには刺繍
データの入出力等の設定に関する機能を呼び出すコマン
ドが割り当てられ、該絵付き専用スイッチ28Aの表面
にはその機能を表わす絵図形が描かれている。そして、
例えばフロッピーディスク装置25を介してフロッピー
ディスクから刺繍データを読込むときには、該絵付き専
用スイッチ28Aがオペレータによって押下される。ま
た、テープリーダやテープパンチャ等を介して刺繍デー
タのやり取りを行うときにも該絵付き専用スイッチ28
Aを押下する。
【0048】次に、絵付き専用スイッチ28Bには刺繍
データの選択に関する機能を呼び出すコマンドが割り当
てられ、該絵付き専用スイッチ28Bの表面にはその機
能を表わす絵図形が描かれている。そして、例えばコン
トロールユニット27の第2メモリ27B内に記憶され
た複数の刺繍データから所望の刺繍データを選択する場
合には、該絵付き専用スイッチ28Bがオペレータによ
って押下される。
【0049】また、絵付き専用スイッチ28Cには手動
(マニュアル)操作に関する機能を呼び出すコマンドが
割り当てられ、絵付き専用スイッチ28Cの表面にはそ
の機能を表わす絵図形が描かれている。そして、例え
ば、アップリケ等の置縫いや枠交換時等には該絵付き専
用スイッチ28Cがオペレータによって押下される。
【0050】さらに、絵付き専用スイッチ28Dには空
縫いに関する機能を呼び出すコマンドが割り当てられ、
絵付き専用スイッチ28Dの表面にはその機能を表わす
絵図形が描かれている。そして、空縫いを行うときには
該絵付き専用スイッチ28Dがオペレータによって押下
される。
【0051】次に、絵付き専用スイッチ28Eには主軸
モータ5の回転数(速度rpm)を制御するコマンドが
割り当てられ、絵付き専用スイッチ28Eの表面にはそ
の機能を表わす絵図形が描かれている。そして、主軸モ
ータ5の回転数を変更するときには該絵付き専用スイッ
チ28Eがオペレータによって押下される。
【0052】一方、絵付き専用スイッチ28Fには色替
え用アクチュエータ9を制御するコマンドが割り当てら
れ、絵付き専用スイッチ28Fの表面にはその機能を表
わす絵図形が描かれている。そして、刺繍糸の色を変更
するときには該絵付き専用スイッチ28Fがオペレータ
によって押下される。
【0053】また、絵付き専用スイッチ28Gには糸切
り機構20を制御するコマンドが割り当てられ、絵付き
専用スイッチ28Gの表面にはその機能を表わす絵図形
が描かれている。そして、刺繍作業の途中で刺繍糸を切
断するときには該絵付き専用スイッチ28Gがオペレー
タによって押下される。
【0054】さらに、絵付き専用スイッチ28Hには高
速色替え(例えば、色指定の変更等)を制御するコマン
ドが割り当てられ、絵付き専用スイッチ28Hの表面に
はその機能を表わす絵図形が描かれている。そして、例
えばボビン台にセットされた刺繍糸の色に対応させて色
指定データを順次または一括変更するときには該絵付き
専用スイッチ28Hを押下し、刺繍糸の色指定変更等を
行う。
【0055】さらにまた、絵付き専用スイッチ28Jは
運転準備モードと運転モードとに運転切換を行なうコマ
ンドが割り当てられ、絵付き専用スイッチ28Jの表面
にはその機能を表わす絵図形が描かれている。ここで、
運転モードとは刺繍機本体をいつでも運転が開始できる
状態にするモードであり、絵付き専用スイッチ28Jを
押下し運転モードに切換えた後は、運転棒16を操作す
れば刺繍機の運転を開始することができる。また、運転
準備モードとは、運転モード以前に刺繍柄の刺繍データ
の設定等を行なうための運転準備の状態をいう。
【0056】29A〜29Dは操作部23上の上側に列
設された4つの補助スイッチ(全体として補助スイッチ
29という)を示し、該各補助スイッチ29A〜29D
にはコントロールユニット27の第1メモリ27Aに記
憶された各コマンドのうち、各絵付き専用スイッチ28
A〜28Jに割り当てられたコマンド以外のコマンド
が、該各絵付き専用スイッチ28A〜28Jによるコマ
ンドに従属して選択的に割り当てられている。
【0057】30A〜30Eは枠移動用スイッチ(全体
として枠移動用スイッチ30という)を示し、該各枠移
動用スイッチ30A〜30Eのうち、各枠移動用スイッ
チ30B〜30Eはオペレータによって手動操作される
ときに枠移動用アクチュエータ15を作動させ、移動枠
14をそれぞれX方向,Y方向にその操作時間に応じた
移動量だけ移動させる。また、枠移動用スイッチ30E
は移動枠14の原点位置を設定する原点スイッチを構成
し、オペレータが押圧操作したときに移動枠14を枠移
動用アクチュエータ15により原点位置に復帰させる。
31A,31Bは電源スイッチを示し、該電源スイッチ
31AはON用のスイッチであり、電源スイッチ31B
はOFF用のスイッチである。
【0058】また、表示器24は、LCD(液晶ディス
プレイ),CRT等から構成され、文字、絵図形等を表
示するものである。そして、該表示器24は下側位置の
メニュー表示領域24Aと上側位置のメッセージ表示領
域24Bとにソフトウェア的に分割されている。
【0059】ここで、メニュー表示領域24Aは、各補
助スイッチ29A〜29Dと上,下に近接して配置され
た4個の表示部からなり、該メニュー表示領域24Aに
は図4および図5に示すように、前記各補助スイッチ2
9A〜29Dに割り当てられたコマンドに対応した各メ
ニューが絵図形パターンとしてそれぞれ表示される。ま
た、メッセージ表示領域24Bには、前記各絵付き専用
スイッチ28A〜28Jまたは各補助スイッチ29A〜
29Dのいずれかが押下されたときに、これによって実
行されるコマンドに対応したメッセージが絵図形パター
ンとして表示される。
【0060】なお、「コマンド」とは、制御装置21お
よびミシン本体1に備えられた各機能を呼び出す処理命
令であり、各機能に一対一に対応づけられ、コントロー
ルユニット27の第1メモリ27Aに記憶されている。
そして、各コマンドのうち、使用頻度の高いものは上述
の如く各絵付き専用スイッチ28A〜28Jに割り当て
られ、それ以外のコマンドは前記補助スイッチ29A〜
29Dに選択的に割り当てられている。そして、各絵付
き専用スイッチ28A〜28Jや補助スイッチ29A〜
29Dを押下することにより、いずれかのコマンドが選
択されると、当該コマンドに対応した機能が実行され
る。
【0061】また、各補助スイッチ29A〜29Dに選
択的に割り当てられるコマンドの絵図形は、表示器24
のメニュー表示領域24Aに絵図形パターンとして表示
される。即ち、コントロールユニット27の第1メモリ
27Aには図5に示すような絵図形パターンがデータと
して記憶されている。そして、各絵付き専用スイッチ2
8A〜28J等の操作に従って、表示器24のメニュー
表示領域24Aには、各補助スイッチ29A〜29Dに
割り当てられた各コマンドの内容が絵図形パターンとし
て表示される。
【0062】ここで、図5に示す絵図形パターンを例に
挙げて説明すると、絵図形パターンaは刺繍データの記
憶媒体から第2メモリ27Bに刺繍データを読込むこと
を示し、絵図形パターンbは刺繍データを第2メモリ2
7Bから他の刺繍データ記憶媒体、例えばフロッピーデ
ィスクや紙テープ等に出力することを示し、絵図形パタ
ーンcはフロッピーディスク内に書き込んだ柄番のリス
トを柄番、柄名、針数等として表示するための機能を示
している。
【0063】また、絵図形パターンdはメモリに追加書
込みを行なうモードを示し、絵図形パターンeはフロッ
ピーディスク装置25を介して刺繍データの入出力を行
う機能を示し、絵図形パターンfはテープリーダやテー
プパンチャを介して刺繍データの入出力を行う機能を示
している。さらに、絵図形パターンgは例えば通信回線
を介する外部機器との間で刺繍データの入力を行う機能
を示し、絵図形パターンhは移動枠14を手動操作で枠
移動させながら刺繍データを変更して記憶させる機能を
示し、絵図形パターンiは刺繍データの入出力の設定等
の機能を示している。
【0064】一方、絵図形パターンj,kは色替え用ア
クチュエータ9を正方向,逆方向に直接作動させて各ミ
シンヘッド7の刺繍針11の選択(刺繍糸の色替え)を
する機能を示し、絵図形パターンmは変更した刺繍針1
1の針番をコントロールユニット27の第2メモリ27
Bに記憶させるコマンド(確定コマンド)の機能を示し
ている。
【0065】また、コントロールユニット27の第1メ
モリ27Aに記憶された絵図形パターンの中には、図形
だけでなく文字,記号またはこれらを結合したものも含
まれている。そして、これらの文字は使用言語の如何に
拘らず理解できる程度の言うなれば万国共通化した文字
であり、図5中の絵図形パターンa,gには「IN」の
文字が含まれ、絵図形パターンbには「OUT」の文字
が含まれている。これらは一見して把握することができ
る文字であると共に、英語が使用言語でない国籍の作業
者であっても容易に理解できる文字である。
【0066】さらに、これらの文字の中には当業者間で
慣用化した名称等も含まれており、例えば、図5中の絵
図形パターンpの「MSU」は「機械セットアップ」の
略であり、絵図形パターンqの「MC」は「機械条件」
の略である。これらは当業者で一般的に用いられる略称
であるため、一見してそれと把握できる。なお、図5は
絵図形パターンの一例を示すものであり、コントロール
ユニット27の第1メモリ27A内には図5に示す絵図
形パターンの他に、例えば図4のメニュー表示領域24
Aに表示している絵図形パターンr,s,t,u、メッ
セージ表示領域24Bに表示している絵図形パターン
v、さらには拡大,縮小,交互縫い(靴下縫い),反
転,配列,ボーリング,帽子枠,原反,枠限界,刺繍柄
表示等に関するメニューまたはメッセージを表わす絵図
形パターンが記憶されている。
【0067】ここで、当該多頭式自動刺繍機により刺繍
布12に図6に示す如く、サテンステッチからなる刺繍
柄を作成する場合を例に挙げると、刺繍布12(移動枠
14)をX,Y方向に枠移動させつつ、左側,中央,右
側のミシンヘッド7,7,…側でそれぞれ刺繍針11を
順次運針させることにより、針落ち点Sk ,Sk+1 ,S
k+2 ,…,Sl ,Sl+1 ,Sl+2 ,…,Sm ,Sm+1 ,
Sm+2 等からなるサテンステッチの刺繍柄が作成され
る。そして、これらの刺繍柄は各ミシンヘッド7毎に同
一模様をなす刺繍柄として作成されるものである。
【0068】また、刺繍柄の作成途中で糸切れが発生し
刺繍動作が停止した状態で、糸切れの発生したミシンヘ
ッド7のオートメンディングスイッチ17をオペレータ
が押下(閉成)し補修制御を選択したときには、図4に
示す如く表示器24のメニュー表示領域24Aに絵図形
パターンr,s,t,uが表示され、メッセージ表示領
域24Bには絵図形パターンv等と共に、作成途中にあ
る刺繍柄に対応した針落ち点Sk ,Sk+1 ,Sk+2 ,
…,Sl ,Sl+1 ,Sl+2 ,…,Sm ,Sm+1 ,Sm+2
,Sm+3 等がグラフィック表示される。
【0069】そして、例えば針落ち点Sm+3 の位置で刺
繍動作が停止したときには、メッセージ表示領域24B
に表示した針落ち点Sm+3 の位置にトンボマーク+が自
動的に付され、この位置が停止位置として自動的に針数
と共に表示される。また、このときの絵図形パターンv
は各ミシンヘッド7のうち、いずれのミシンヘッド7で
糸切れが発生したかを、例えばヘッド番号「01」とし
て絵付き表示したものである。
【0070】一方、メニュー表示領域24Aの絵図形パ
ターンrは移動枠14を逆向きに枠移動(逆進)させる
ために、例えば針落ち点Sk ,Sk+1 ,Sk+2 ,…,S
m+3に沿ってトンボマーク+を1針毎に逆方向に進める
機能を示し、絵図形パターンsは正方向に進める機能を
示している。また、絵図形パターンtはトンボマーク+
を100針分だけ一挙に進める機能を示し、絵図形パタ
ーンuは後述のプリセット停止を行うための機能を表示
している。
【0071】さらに、データ記憶手段を構成するコント
ロールユニット27の第2メモリ27Bは図7に例示す
るように刺繍データを格納し、この刺繍データのFデー
タには前述の如くサブファンクションエリアSF1 ,SF2
,SF3 を組合せて使用することにより「AM」、「P
S停止」等の一過性ファンクションが更新可能に設定さ
れる。また、コントロールユニット27の第4メモリ2
7Dには、オートメンディングスイッチ17により「P
S停止」が指定されたか否かを判定するための判定時間
T0 (例えば3秒程度)と、逆進移動量の判定値α等と
が更新可能に格納され、この判定値αは例えば5〜10
針分の枠移動量に相当する値に設定されるものである。
【0072】本実施例による多頭式自動刺繍機は上述の
如き構成を有するもので、次にコントロールユニット2
7による刺繍制御処理について図8ないし図12を参照
して説明する。
【0073】まず、処理動作がスタートすると、ステッ
プ1でコントロールユニット27の第3メモリ27C内
に「PS停止(プリセット停止)」を行うべきミシンヘ
ッド7のヘッド番号が格納されているか否かを判定し、
「NO」と判定したときには「PS停止」が設定されて
いない場合であるから、ステップ2に移って通常の刺繍
制御を行い、前記刺繍データに基づいて主軸モータ5、
色替え用アクチュエータ9、ジャンプソレノイド10お
よび枠移動用アクチュエータ15等を駆動制御すること
により、例えば図6に示す如く針落ち点Sk ,Sk+1 ,
Sk+2 ,…,Sl ,Sl+1 ,Sl+2 ,…,Sm ,Sm+1
,Sm+2 等からなるサテンステッチの刺繍柄を作成す
る。
【0074】そして、ステップ3では刺繍柄の作成途中
に糸切れ等が発生し停止信号が出力されているか否かを
判定し、「NO」と判定する間はステップ4に移って刺
繍柄の作成作業が完了したか否かを判定し、ステップ4
で「NO」と判定する間はステップ2に戻って刺繍制御
を続行させる。また、ステップ4で「YES」と判定し
たときには図6に例示する刺繍柄の作成が完了した場合
であるから、これによって刺繍制御の処理動作を終了さ
せる。
【0075】一方、ステップ3で「YES」と判定した
ときには、例えば各ミシンヘッド7毎に設けた各糸切れ
センサ19からの検知信号により「糸切れ」と判定して
前記停止信号が出力された場合、またはオペレータが目
視により例えば「下糸切れ」と判定して運転棒16等の
操作で停止信号を出力させた場合であるから、ステップ
5に移って全てのミシンヘッド7側で刺繍柄の作成動作
をスローダウンさせながら自動的に停止させる。
【0076】ここで、図6に示すように中央のミシンヘ
ッド7側において針落ち点Sl の位置で実際の糸切れが
発生し、その後の針落ち点(例えば針落ち点Sl+1 ,
…,Sm のいずれか)の位置で停止信号が出力されるこ
とにより、主軸モータ5および枠移動用アクチュエータ
15等を徐々にスローダウンさせて、針落ち点Sm+3 の
位置で刺繍動作が停止した場合を例に挙げると、ステッ
プ6およびステップ7では図4に例示する如く表示器2
4のメッセージ表示領域24Bに表示した針落ち点Sm+
3 の位置でトンボマーク+が自動的に停止するようにな
り、この位置を停止位置として針数を表示器24のメッ
セージ表示領域24Bに自動表示すると共に、例えば運
転棒16で刺繍作業を停止させたことを表示する。
【0077】次に、ステップ8では糸切れの発生してい
るミシンヘッド7側で刺繍針11に刺繍糸を通す糸処理
を実行させ、ステップ9に移ってオートメンディングス
イッチ17による補修制御の選択操作が行われたか否か
を判定する。そして、オペレータの目視により補修縫い
の開始位置が、例えば2〜6針程度の僅かな逆進位置と
なり、オペレータが大きな補修縫いを必要としないと判
断したときにはステップ9で「NO」と判定され、ステ
ップ10で運転棒16による再スタート操作がなされる
ことにより、ステップ11に移って2〜6針程度の自動
逆進が2針分毎のツインバック制御によって実行され
る。
【0078】なお、この場合の自動逆進をツインバック
制御によって行うのか、3針分毎のトリプルバック制御
によって行うのかを適宜に選択できるようにしてもよ
い。そして、ステップ11による逆進動作の後には、ス
テップ2に戻って刺繍制御が行われることにより、例え
ば2〜6針分程度の重ね縫いが全てのミシンヘッド7側
で実行されつつ、針落ち点Sm+3 以降の刺繍作業が自動
的に再開されることになる。
【0079】一方、ステップ9で「YES」と判定した
ときには、例えば下糸切れ等が原因となって刺繍柄に欠
落が発生し実際の糸切れ位置(針落ち点Sl の位置)か
ら停止位置(針落ち点Sm+3 の位置)までが数10針〜
数100針にも及び、オペレータは大幅な補修縫いが必
要と判断して糸切れの発生したミシンヘッド7のオート
メンディングスイッチ17を閉成(押下)し、これによ
って補修制御が選択され、表示器24のメニュー表示領
域24Aおよびメッセージ表示領域24Bには図4に例
示する表示がなされた場合である。そこで、図9に示す
ステップ12〜ステップ14に移って補助スイッチ29
A〜29Dを操作することにより補修縫いの開始位置を
指定(指示)するようにオペレータに促す。
【0080】即ち、補修制御が選択された場合には表示
器24のメニュー表示領域24Aに絵図形パターンr,
s,t,uが表示されることにより、これらが補助スイ
ッチ29A,29B,29C,29Dにそれぞれ割り当
てられ、メッセージ表示領域24Bには絵図形パターン
v等が表示されると共に、作成途中にある刺繍柄に対応
した針落ち点Sk ,Sk+1 ,Sk+2 ,…,Sl ,Sl+1
,Sl+2 ,…,Sm ,Sm+1 ,Sm+2 ,Sm+3 等がグ
ラフィック表示される。
【0081】そこで、オペレータは糸切れの発生したミ
シンヘッド7側の刺繍柄(刺繍布12)を目視で確認し
つつ、実際に糸切れの発生した位置(例えば針落ち点S
l の位置)から2〜4針分程度の重ね縫いが要求される
補修縫いの開始位置を、例えば針落ち点Sk の位置とし
て特定(指定)するために、メッセージ表示領域24B
上のトンボマーク+を前記停止位置(針落ち点Sm+3 の
位置)から補修縫いの開始位置へと一挙に移動させるよ
うに、ステップ12で補助スイッチ29A,29Cを押
下してトンボマーク+の位置を100針分毎に逆向きに
移動させる。そして、ステップ13では補助スイッチ2
9A,29Bを押下してトンボマーク+の位置を1針分
毎に正,逆向きに移動させる。
【0082】次に、ステップ14では前記ステップ1
2,13の操作によりトンボマーク+を補修縫いの開始
位置(例えば針落ち点Sk の位置)へと移動したか否か
を判定し、「NO」と判定する間はステップ13による
操作を繰り返す。そして、ステップ14で「YES」と
判定したときには、図4に例示した補助スイッチ29D
が押下されることにより、ステップ15に移って補修縫
いの開始位置を、例えば針落ち点Sk の位置として第3
メモリ27Cに記憶する。なお、この補修縫いの開始位
置は後述するステップ21での枠移動量Sr の演算に用
いるもので、刺繍データ自体に何等変更を加えるもので
はない。また、このときに糸切れの発生したミシンヘッ
ド7のヘッド番号をヘッド記憶手段となる第3メモリ2
7C等に記憶するようにしてもよい。
【0083】次に、ステップ16では前記補助スイッチ
29Dを押下する時間Tが、3秒程度の一定時間T0 以
上であったか否かを判定し、「YES」と判定したとき
にはオペレータが数100針に及ぶ補修縫いが必要と判
断し、この補修縫いを次回の刺繍時に行うように「PS
停止」を選択した場合であるから、ステップ17に移っ
て次回の刺繍時に補修縫いの開始位置となる針落ち点
(例えば針落ち点Sk )の刺繍データに、図7中に例示
したNk 針目と同様に「PS停止」の一過性ファンクシ
ョンを付加する。
【0084】そして、次なるステップ18では「PS停
止」を行うべきミシンヘッド7のヘッド番号を前記第3
メモリ27Cに格納(記憶)する。この結果、次回の刺
繍時には前記ステップ1で「YES」と判定することに
より、このヘッド番号に該当するミシンヘッド7を前記
補修縫いの開始位置(針落ち点Sk の位置)まで、後述
するステップ34の如く「PS停止」させるようにす
る。
【0085】また、ステップ19では今回の刺繍作業を
糸切れの発生していないミシンヘッド7側でのみ完了さ
せるように、糸切れの発生したミシンヘッド7側では運
針動作を停止させ、残りの各ミシンヘッド7側で前記停
止位置(針落ち点Sm+3 の位置)から刺繍動作を再開さ
せる。そして、その後は前記ステップ2以降の処理を繰
り返すことにより刺繍が完了すると、図6に例示したよ
うに糸切れの発生した中央のミシンヘッド7側を残し
て、糸切れのない他の各ミシンヘッド7側ではそれぞれ
の刺繍枠から刺繍が完了した刺繍布12を次なる刺繍布
12に交換させ、糸切れの発生したミシンヘッド7側で
は刺繍枠から刺繍布12を交換することなく、現在の刺
繍布12を次回の刺繍にそのまま持ち越すようにする。
【0086】一方、前記ステップ16で「NO」と判定
したときにはオペレータが、今回の刺繍時に補修縫いを
「AM(オートメンディング)」として実行した方が全
体の刺繍作業を効率的に行えると判断した場合であるか
ら、この場合には次なるステップ20に移って「AM」
の一過性ファンクションを、図7中のNL 針目と同様に
して前記停止位置となる針落ち点Sm+3 の刺繍データに
付加する。
【0087】そして、図10に示すステップ21では停
止位置(針落ち点Sm+3 の位置)から補修縫いの開始位
置(針落ち点Sk の位置)まで逆方向に一括して枠移動
(逆進)するのに必要な枠移動量Sr を前記刺繍データ
に基づいて演算する。次に、ステップ22ではこの枠移
動量Sr が逆進移動量の判定値α(例えば5〜10針分
の枠移動量)以上であるか否かを判定し、「YES」と
判定したときにはステップ23に移って糸切れの発生し
ていないミシンヘッド7側でも糸切り機構20を作動さ
せることによって刺繍糸を強制的に切断させる。
【0088】即ち、移動枠14が予め決めた所定の移動
量(判定値α)以上に枠移動されるときには、糸切れの
発生していない各ミシンヘッド7側で刺繍糸(下糸を含
む)に余分なテンション(張力)を与えてしまい、刺繍
柄の品質を低下させる原因になるから、この場合には糸
切れの発生していないミシンヘッド7側でも糸切り機構
20を作動させることによって刺繍糸を強制的に切断さ
せ、これにより所定の移動量を越える枠移動を補償し、
各ミシンヘッド7の刺繍糸等に余分なテンション(張
力)が作用するのを防止する。
【0089】次に、ステップ24では前記枠移動量Sr
の演算結果に基づき移動枠14を前記停止位置(針落ち
点Sm+3 の位置)から補修縫いの開始位置(針落ち点S
k の位置)まで逆方向に一括して枠移動(逆進制御)さ
せ、逆進動作が完了した時点でステップ25により運転
棒16を手動操作して再スタートを実行し、ステップ2
6に移って糸切れの発生したミシンヘッド7側でのみ前
記開始位置(針落ち点Sk の位置)から補修縫いを実行
する。
【0090】そして、ステップ27では刺繍データに付
加された「AM」の一過性ファンクションを検出したか
否かにより、この補修縫いが開始位置(針落ち点Sk の
位置)から前記停止位置(針落ち点Sm+3 の位置)まで
行われたか否かを判定し、「YES」と判定するまでは
ステップ26による補修縫いを続行させる。また、ステ
ップ27で「YES」と判定したときには「AM」の一
過性ファンクションが検出され、このときの補修縫いが
停止位置(針落ち点Sm+3 の位置)に達した場合である
から、ステップ28に移って「AM」の一過性ファンク
ションを刺繍データ中から自動的に消去させる。また、
第3メモリ27Cにヘッド番号を記憶しているときに
は、このヘッド番号も自動的に消去する。
【0091】そして、次なるステップ29では予め「再
開時停止」が選択されているか否かを判定し、「YE
S」と判定したときにはステップ30に移って前記補修
縫いを停止位置(針落ち点Sm+3 の位置)で一時的に停
止させ、オペレータに停止位置まで補修縫いが行われた
ことを知らせるようにする。
【0092】次に、ステップ31でオペレータが運転棒
16を手動操作して再スタートを行うと、図11に示す
ステップ32で糸切り機構20による糸切りが有ったか
否かを判定し、「YES」と判定したときには全てのミ
シンヘッド7側で糸切りが行われているから、ステップ
33に移って全てのミシンヘッド7側で重ね縫いを行う
ために、例えば針落ち点Sm+3 の位置から針落ち点Sm+
1 (Sl+2 )の位置等へと2〜4針分程度のツインバッ
クまたはトリプルバック(ステッチバック)を行い、こ
の針落ち点Sm+1 (Sl+2 )の位置から2〜4針分程度
の重ね縫いを実行させつつ、図8中のステップ2に戻っ
て通常通りの刺繍作業を再開させる。
【0093】また、前記ステップ29で「NO」と判定
したときには、前記補修縫いを停止位置(針落ち点Sm+
3 の位置)で一時的に停止(再開時停止)させることな
く、図11に示すステップ32に移って糸切りの有無を
判定し、「NO」と判定したときには、図6に例示した
左,右のミシンヘッド7側等では糸切り機構20による
糸切りは行われいない場合であるから、図8に示したス
テップ2にそのまま戻り、例えば針落ち点Sm+3 の位置
から全てのミシンヘッド7側で通常通りの刺繍作業を再
開させる。
【0094】かくして、1回目の刺繍制御が前述の如く
完了し再び同一の刺繍柄を繰り返し作成する場合に、次
回の刺繍制御によりステップ1で「YES」と判定した
場合には、前回の刺繍制御時にステップ17で「PS停
止」の一過性ファンクションを付加しつつ、ステップ1
8において「PS停止」を行うべきミシンヘッド7のヘ
ッド番号を前記第3メモリ27Cに格納(記憶)してい
る場合であるから、図12に示すステップ34の処理を
行うようにする。
【0095】即ち、ステップ1で「YES」と判定した
場合には、図6に例示したように糸切れの発生した中央
のミシンヘッド7側を残して、糸切れのない他の各ミシ
ンヘッド7側ではそれぞれの刺繍枠から刺繍が完了した
刺繍布12を次なる刺繍布12に交換し、糸切れの発生
したミシンヘッド7側では刺繍枠から刺繍布12を交換
することなく、現在の刺繍布12を次回の刺繍にそのま
ま持ち越すようにした状態となっている。
【0096】そこで、図12に示すステップ34では前
回の刺繍制御時に「PS停止」されたミシンヘッド7
(例えば図6に示す中央のミシンヘッド7)を除いて他
の各ミシンヘッド7で刺繍制御を実行し、次のステップ
35では前記ステップ3と同様に刺繍柄の作成途中に停
止信号が出力されているか否かを判定し、「NO」と判
定したときにはステップ36に移って刺繍データ中に付
加された「PS停止」の一過性ファンクションを検出し
たか否かにより、前記補修縫いの開始位置(例えば針落
ち点Sk の位置)まで他の各ミシンヘッド7による刺繍
が実行されたか否かを判定する。
【0097】そして、ステップ36で「YES」と判定
し、次回の刺繍制御による刺繍柄の作成が前記開始位置
(針落ち点Sk の位置)まで達したときには、ステップ
37に移って「PS停止」の一過性ファンクションを刺
繍データ中から自動的に消去すると共に、第3メモリ2
7Cからヘッド番号を消去する。次に、図8に示すステ
ップ2に戻ってここまで「PS停止」されてきたミシン
ヘッド7(例えば図6に示す中央のミシンヘッド7)側
で運針を開始させ、この開始位置(針落ち点Sk の位
置)から全てのミシンヘッド7側で刺繍柄を作成させる
ようにする。
【0098】而して、本実施例によれば、複数のミシン
ヘッド7,7,…で刺繍作業を実行している途中におい
て、いずれかのミシンヘッド7側で糸切れが発生して刺
繍動作を停止したときに、この停止位置(例えば針落ち
点Sm+3 の位置)を表示器24のメッセージ表示領域2
4Bに自動表示させると共に、オペレータが刺繍柄を目
視で確認することにより、実際に糸切れの発生した位置
(例えば針落ち点Slの位置)から2〜4針分程度の重
ね縫いが要求される補修縫いの開始位置(例えば針落ち
点Sk の位置)をミシンヘッド7のヘッド番号と共に第
3メモリ27Cに自動的に記憶させる構成としている。
【0099】そして、このときに要求される補修縫いの
量(縫い代の長さ)等に応じて適宜に「AM(オートメ
ンディング)」や「PS停止(プリセット停止)」の一
過性ファンクションを刺繍データのFデータ(ミシン制
御用データ)に付加し、「AM」や「PS停止」が完了
したときにはこれらの一過性ファンクションを自動的に
消去する構成としたから、その後の補修縫いを含めた刺
繍柄の作成作業全体を効率的に行うことができると共
に、刺繍柄の品質を確実に向上でき、自動刺繍機として
の信頼性を高めることができる。
【0100】即ち、オペレータが数100針に及ぶ補修
縫いが必要と判断し、この補修縫いを次回の刺繍時に行
うように「PS停止」を選択した場合には、糸切れの発
生したミシンヘッド7側では運針動作を停止させ、残り
の各ミシンヘッド7側でのみ停止位置(針落ち点Sm+3
の位置)から刺繍を再開させ刺繍が完了すると、図6に
例示したように糸切れの発生した中央のミシンヘッド7
側を残して、糸切れのない他の各ミシンヘッド7側でそ
れぞれの刺繍枠から刺繍が完了した刺繍布12を次なる
刺繍布12に交換させ、糸切れの発生したミシンヘッド
7側では刺繍枠から刺繍布12を交換することなく、現
在の刺繍布12を次回の刺繍にそのまま持ち越すように
している。
【0101】この結果、次回の刺繍時には「PS停止」
されたミシンヘッド7(例えば図6に示す中央のミシン
ヘッド7)を除いて他の各ミシンヘッド7側で刺繍制御
を実行し、「PS停止」の一過性ファンクションが設定
付与された補修縫いの開始位置(例えば針落ち点Sk の
位置)に達すると、ここまで「PS停止」されてきたミ
シンヘッド7側でも運針を開始させ、この開始位置(針
落ち点Sk の位置)から全てのミシンヘッド7側で刺繍
柄を作成させることにより、次回の刺繍時に各ミシンヘ
ッド7で一括して刺繍柄を作成でき、糸切れの発生時に
移動枠14を逆向きに移動させる逆進制御を特別に行う
ことなく、補修縫いを含めた刺繍柄の作成作業全体を効
率的に行うことができる。
【0102】そして、この場合には補修縫いの開始位置
(例えば針落ち点Sk の位置)となる刺繍データに「P
S停止」の一過性ファンクションを付加するのみで、当
該刺繍データを実質的に変更することなく、「PS停
止」の処理を実行できるから、従来技術のように限定制
御(例えばPS停止)を行うべき針数位置を刺繍データ
と別個のメモリ領域に格納しておく必要がなくなり、メ
モリ容量を必要最小限の容量に減らすことができ、装置
の小型、軽量化を図ることができると共に、「PS停
止」等の限定制御を行うために刺繍速度を遅く制限する
必要もなくなり、刺繍速度を確実に速くすることができ
る。
【0103】また、オペレータが糸切れの発生した刺繍
柄を目視で確認することにより、今回の刺繍時に補修縫
いを実行した方が全体の刺繍作業を効率的に行えると判
断した場合には、前記停止位置となる針落ち点Sm+3 の
刺繍データに「AM」の一過性ファンクションを付加す
ると共に、停止位置(針落ち点Sm+3 の位置)から補修
縫いの開始位置(針落ち点Sk の位置)まで逆方向に一
括して枠移動(逆進)するのに必要な枠移動量Sr を前
記刺繍データにより演算し、この演算結果に基づき移動
枠14を前記停止位置から補修縫いの開始位置まで一挙
に枠移動(逆進制御)させるようにしたから、このとき
の逆進動作を短時間で迅速に行うことができると共に、
前記開始位置からの補修縫いを効果的に行うことがで
き、刺繍柄の品質を確実に向上できる。
【0104】そして、この場合でも停止位置となる針落
ち点(例えば針落ち点Sm+3 )の刺繍データに一過性フ
ァンクションを付加するのみで、当該刺繍データを実質
的に変更することなく、「AM(オートメンディン
グ)」の処理を実行できるから、従来技術のように限定
制御(例えばAM)を行うべき針数位置を刺繍データと
別個のメモリ領域に格納しておく必要がなくなり、メモ
リ容量を必要最小限の容量に減らすことができると共
に、「AM」等の限定制御を行うために刺繍速度を遅く
制限する必要もなくなり、刺繍速度を確実に速くするこ
とができる。
【0105】さらに、前記逆進制御(ステッチバック)
により移動枠14が予め決めた所定の移動量(判定値
α)以上に枠移動されるときには、糸切れの発生してい
ないミシンヘッド7側で糸切り機構20を作動させ、刺
繍糸を強制的に切断させる構成としているから、これに
よって所定の移動量を越える移動枠14の枠移動を補償
でき、各ミシンヘッド7の刺繍糸等に余分なテンション
(張力)が作用するのを防止でき、これによって刺繍柄
の品質を向上させることができる。
【0106】そして、前記逆進制御(ステッチバック)
の過程で糸切り機構20による糸切りが行われた場合に
は、図11に示すステップ33等の処理で全てのミシン
ヘッド7側で重ね縫いを行うために、例えば針落ち点S
m+3 の位置から針落ち点Sm+1 (Sm )の位置等へと2
針分または3針分程度のステッチバックを行い、この針
落ち点Sm+1 (Sm )の位置から重ね縫いを実行させつ
つ、通常通りの刺繍作業を再開させる構成としているか
ら、糸切りを行った後の全てのミシンヘッド7による刺
繍時にも重ね縫い部分を確保して「糸のほつれ」等を確
実に防止でき、刺繍柄の品質を高めることができる。
【0107】従って、本実施例によれば、外部から読込
んだ刺繍データを変質させることなく、「AM(オート
メンディング)」や「PS停止(プリセット停止)」等
の一過性をもった限定制御を簡単に実行でき、刺繍速度
を可及的に速くできると共に、メモリ容量が余分に増大
するのを防止でき、一過性ファンクションを付加(設
定)するときの作業性等を大幅に向上させることができ
る。
【0108】そして、従来技術のように特定の専門技術
者等を必要とすることなく、限定制御用の一過性ファン
クションを刺繍データに簡単に付加できると共に、限定
制御の実行後はこの一過性ファンクションを自動的に消
去でき、誤操作や誤動作等を起こす可能性を大幅に減じ
ることができる。
【0109】また、前記限定制御を行うための一過性フ
ァンクションを刺繍データに付加する場合に、従来技術
のように針数の小さい方(刺繍の開始点側)から順番に
ファンクション変更を行う等の煩雑な作業をなくすこと
ができ、一過性ファンクションの設定、消去作業を大幅
に簡略化できる等の効果を奏する。
【0110】なお、前記第1の実施例では、図8ないし
図12に示すプログラムのうち、ステップ17およびス
テップ20が本発明によるファンクション付加手段の具
体例を示し、ステップ28およびステップ37がファン
クション消去手段の具体例を示している。
【0111】また、前記第1の実施例では、例えば1回
の刺繍作業に亘って「PS停止」の処理を1回のみ行う
場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、
例えば2回以上の「PS停止」をヘッド番号の異なるミ
シンヘッド7で行う場合にも適用できる。そして、この
場合にはコントロールユニット27の第3メモリ27C
内に「PS停止」を行うべき各ミシンヘッド7のヘッド
番号に優先順位を与えるようにし、「PS停止」の一過
性ファンクションを検出する毎に優先順位に沿って各ミ
シンヘッド7による刺繍を開始させる構成とすればよ
い。
【0112】次に、図13は本発明の第2の実施例を示
し、本実施例では前記第1の実施例と同一の構成要素に
同一の符号を付し、その説明を省略するものとするに、
本実施例の特徴は、刺繍データに「色替え禁止」の一過
性ファンクションを付加することにより、例えば試し縫
い等の刺繍制御(限定制御)を行う構成としたことにあ
る。
【0113】即ち、図13に示す刺繍制御処理では、ス
テップ41で試し縫い等を行うために色替え禁止を実施
するか否かを判定し、「YES」と判定したときにはス
テップ42に移って最初の1針目となる刺繍データに、
図7中のNi 針目と同様にして「色替え禁止」の一過性
ファンクションを付加する。
【0114】そして、次なるステップ43で運転棒16
により運転開始が行われると、ステップ44に移って各
針落ち点毎の刺繍データを順次読出し、ステップ45で
各針落ち点毎の刺繍データにFデータが設定されている
か否かを判定する。そして、ステップ45で「NO」と
判定したときには刺繍データの枠移動量データであるH
データ、Vデータに基づいて刺繍制御を行うと共に、ス
テップ47で刺繍作業が完了したか否かを判定し、「Y
ES」と判定したときには刺繍柄の作成が完了した場合
であるから、これによって刺繍制御の処理動作を終了さ
せる。
【0115】また、前記ステップ45で「YES」と判
定したときにはステップ48に移ってFデータのサブフ
ァンクションエリアSF1 ,SF2 ,SF3 (図7参照)に
「色替え禁止」の一過性ファンクションが設定されてい
るか否かを判定する。そして、ステップ48で「YE
S」と判定したときにはステップ49に移って色替え禁
止による単一色の刺繍(例えば試し縫い)を実行し、次
なるステップ50で前記一過性ファンクションを自動的
に消去する。
【0116】一方、前記ステップ48で「NO」と判定
したときには「色替え禁止」の一過性ファンクションが
設定されていない場合であるから、ステップ51に移っ
て刺繍データの枠移動量データであるHデータ、Vデー
タおよびミシン制御用のデータであるFデータに基づい
て通常の刺繍制御を行うようにする。
【0117】かくして、このように構成される本実施例
でも、一過性ファンクションによる「色替え禁止」等の
限定制御を簡単に行うことができ、前記第1の実施例と
ほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0118】なお、前記第2の実施例では、図13に示
すプログラムのうち、ステップ42が本発明のファンク
ション付加手段の具体例であり、ステップ50がファン
クション消去手段の具体例である。
【0119】また、前記第2の実施例では、刺繍データ
に「色替え禁止」の一過性ファンクションを付加するこ
とにより、試し縫い等の刺繍制御(限定制御)を行う場
合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、図
7に例示したFデータのサブファンクションエリアSF1
,SF2 ,SF3 を適宜に組合せることにより、例えばス
ピード切替え、糸切りまたはボーラ等の動作を禁止させ
る一過性ファンクションの限定制御も実行できるもので
ある。そして、ボーラファンクションを付したFデータ
の位置でサブファンクションエリアSF2 ,SF3 を組合せ
て使用することにより「ボーラ禁止」の一過性ファンク
ションを設定すれば、ボーラ刃を使わずに(布に穴あけ
をしない状態で)試し縫いを行うことができる。
【0120】一方、前記各実施例では、制御装置21を
支持台2上に設けるものとして説明したが、本発明はこ
れに限らず、制御装置21を支持台2とは別の場所に設
け、支持台2に設けたミシン本体1と制御装置21とを
ケーブル,通信回線等を介して接続する構成としてもよ
いものである。
【0121】さらに、前記各実施例では、制御装置21
の操作部23に9個の絵付専用スイッチ28A〜28J
を設け、刺繍データの入出力制御、刺繍データの選択、
手動操作、空縫い、主軸モータの回転数制御、色替え制
御、糸切り制御、高速色替え制御、運転切換に関する機
能を呼び出すコマンドをそれぞれに割り当てるものとし
て述べたが、刺繍機として必要な機能の増減に応じて絵
付き専用スイッチの数を10個以上としてもよく、一方
8個または7個程度としてもよい。また、補助スイッチ
29A〜29Dについても、4個に限ることなく、3個
または5個以上設ける構成としてもよい。
【0122】さらにまた、本発明は絵付専用スイッチ2
8A〜28Jや補助スイッチ29A〜29Dを有する制
御装置21を備えた多頭式自動刺繍機に限らず、例えば
制御装置(操作部)側に所謂対話キーとなる複数のソフ
トキーを有し、絵付専用スイッチ等は特別に装備してい
ない多頭式または単頭式の自動刺繍機にも適用できるも
のである。
【0123】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1に記載の発
明では、刺繍データのミシン制御用データに対し限定制
御用の一過性ファンクションをファンクション付加手段
で付加すると共に、該ファンクション付加手段による一
過性ファンクションに基づいて予め決められた限定制御
を実行したときには、ファンクション消去手段により前
記刺繍データのミシン制御用データからこの一過性ファ
ンクションを消去する構成としたので、外部から読込ん
だ刺繍データを変質させることなく、ファンクション付
加手段で限定制御用の一過性ファンクションを刺繍デー
タのミシン制御用データに簡単に付加でき、その後の刺
繍時に一過性ファンクションに基づいた限定制御を自動
的に実行できると共に、この限定制御を実行したときに
はミシン制御用データからこの一過性ファンクションを
自動的に消去できる。従って、一過性の限定制御を必要
に応じて容易に実行でき、刺繍速度を可及的に速くでき
ると共に、メモリ容量が余分に増大するのを防止でき、
一過性ファンクションを付加(設定)したり、消去した
りするときの作業性を大幅に向上できる。
【0124】また、請求項2に記載の発明では、一過性
ファンクションにより刺繍データのミシン制御用データ
に含まれる複数のファンクションとは別の一過性をもっ
たミシン制御用ファンクションを追加する構成としてい
るから、刺繍柄の作成前または作成途中等で特別の動作
(限定制御)を行わせる必要が生じたときには、前記刺
繍データのミシン制御用データに含まれる複数のファン
クションとは別の一過性をもったミシン制御用ファンク
ションを、例えば「糸切り」、「AM(オートメンディ
ング)」および「PS停止(プリセット停止)」等の一
過性ファンクションとして適宜に追加でき、これらの限
定制御を効率的に行うことができる。
【0125】さらに、請求項3に記載の発明では、一過
性ファンクションにより刺繍データのミシン制御用デー
タに含まれる複数のファンクションのうち、少なくとも
一のファンクションに該当するミシン制御を一過性をも
って禁止させる構成としているから、刺繍柄の作成前ま
たは作成途中等で前記刺繍データに基づいたミシン制御
(例えば色替え、スピード切替え、糸切りまたはボーラ
等の動作)を禁止させる必要が生じた場合にも簡単に対
処でき、限定制御の実行後には一過性ファンクションを
自動的に消去して、元データが変質する等の問題を解消
できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による多頭式自動刺繍機
を示す正面図である。
【図2】図1に示す多頭式自動刺繍機の制御ブロック図
である。
【図3】図1の制御装置を拡大して示す正面図である。
【図4】糸切れによる停止時の画面表示を示す表示器お
よび各補助スイッチ等の拡大図である。
【図5】コントロールユニットの第1メモリに記憶した
絵図形パターンを示す説明図である。
【図6】各ミシンヘッド毎の刺繍柄を示す各針落ち点等
の説明図である。
【図7】刺繍データを構成するHデータ、Vデータおよ
びFデータの説明図である。
【図8】本発明の第1の実施例による多頭式自動刺繍機
の刺繍制御処理を示す流れ図である。
【図9】図8に続く刺繍制御処理を示す流れ図である。
【図10】図9に続く刺繍制御処理を示す流れ図であ
る。
【図11】図10に続く刺繍制御処理を示す流れ図であ
る。
【図12】図8に続く刺繍制御処理を示す流れ図であ
る。
【図13】本発明の第2の実施例による多頭式自動刺繍
機の刺繍制御処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
1 ミシン本体(刺繍機本体) 2 支持台(基台) 5 主軸モータ 7 ミシンヘッド(刺繍ヘッド) 9 色替え用アクチュエータ(色替え機構) 10 ジャンプソレノイド 11 刺繍針 12 刺繍布 14 移動枠(刺繍枠) 15 枠移動用アクチュエータ(枠移動機構) 16 運転棒 17 オートメンディングスイッチ 18 糸切れ表示ランプ 19 糸切れセンサ 20 糸切り機構 21 刺繍機用制御装置 23 操作部 24 表示器(表示手段) 25 フロッピーディスク装置 27 コントロールユニット 27A 第1メモリ 27B 第2メモリ(データ記憶手段) 27C 第3メモリ(ヘッド記憶手段) 28 絵付き専用スイッチ 29 補助スイッチ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刺繍用の下糸が配置される基台と、該基
    台上に設けられ、前記下糸側と対向する位置で上糸側の
    刺繍針を上,下に往復動させる刺繍ヘッドと、該刺繍ヘ
    ッドに設けられ、刺繍糸の色替えを行う色替え機構と、
    前記刺繍ヘッドの下側に位置して前記基台上に移動可能
    に設けられ、刺繍対象物を保持する移動枠と、該移動枠
    を前記基台上で各針落ち点毎に枠移動させる枠移動機構
    と、前記各針落ち点毎の刺繍データを記憶するデータ記
    憶手段とを備え、該データ記憶手段による刺繍データに
    基づいて前記刺繍ヘッド、色替え機構および枠移動機構
    を駆動制御することにより前記各針落ち点からなる刺繍
    柄を前記刺繍対象物に作成してなる自動刺繍機におい
    て、 前記データ記憶手段で記憶した刺繍データを、前記各針
    落ち点毎の枠移動量データと、少なくとも刺繍柄の作成
    に必要な複数のファンクションを含んだミシン制御用デ
    ータとから構成し、さらに該刺繍データのミシン制御用
    データに対し限定制御用の一過性ファンクションを付加
    するファンクション付加手段と、該ファンクション付加
    手段による一過性ファンクションに基づいて予め決めら
    れた限定制御を実行したときに、前記刺繍データのミシ
    ン制御用データからこの一過性ファンクションを消去す
    るファンクション消去手段とを備える構成としたことを
    特徴とする自動刺繍機。
  2. 【請求項2】 前記一過性ファンクションは、前記刺繍
    データのミシン制御用データに含まれる複数のファンク
    ションとは別の一過性をもったミシン制御用ファンクシ
    ョンを追加する構成としてなる請求項1に記載の自動刺
    繍機。
  3. 【請求項3】 前記一過性ファンクションは、前記刺繍
    データのミシン制御用データに含まれる複数のファンク
    ションのうち、少なくとも一のファンクションに該当す
    るミシン制御を一過性をもって禁止させる構成としてな
    る請求項1に記載の自動刺繍機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006034676A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Brother Ind Ltd 刺繍ミシンの制御装置
CN114657717A (zh) * 2022-03-18 2022-06-24 浙江大豪科技有限公司 金片的叠片绣方法、装置、设备及介质

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