JPH09132155A - 電動式パワ−ステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動式パワ−ステアリング装置の制御装置

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JPH09132155A
JPH09132155A JP31485595A JP31485595A JPH09132155A JP H09132155 A JPH09132155 A JP H09132155A JP 31485595 A JP31485595 A JP 31485595A JP 31485595 A JP31485595 A JP 31485595A JP H09132155 A JPH09132155 A JP H09132155A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電流指令値に許容最大値を設定しても円滑な
操舵感覚を与えることができる電動式パワ−ステアリン
グ装置の制御装置を提供すること。 【解決手段】 定常的な状態における電流指令値の最大
値を比較的低い値に制限する第1の電流指令値制限器2
9と、別に過渡的状態の電流指令値の最大値を比較的高
い値に制限する第2の電流指令値制限器30を設け、2
つの電流指令値制限器の出力を加算器31で加算した値
を電流指令値Iとする。定常的な状態においては電流指
令値の最大値は比較的低い値に制限され、モ−タやモ−
タ駆動回路を発熱から保護することができる。急速なハ
ンドル操作などの過渡的な状態では電流指令値の最大値
は比較的高い値に制限されるから、電流指令値が頭打ち
にならず、円滑な操舵感覚を与えることができる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電動式パワ−ス
テアリング装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用の電動式パワ−ステアリング装置
の制御装置は、例えば図7に示すような構成を備えてい
る。即ち、図7は制御装置の主要部分を構成する制御回
路であつて主としてCPUから構成されるが、ここでは
そのプログラムで実行される機能を示している。その動
作を簡単に説明すると、まず、操向ハンドルの操作によ
りステアリングシヤフトに発生する操舵トルクをトルク
センサ61で検出し、また車速を車速センサ62で検出
し、それ等の検出信号を電流指令値演算器63に入力し
てモ−タ電流の制御目標値である電流指令値Iを演算す
る。
【0003】制御演算器64は前記した電流指令値Iと
モ−タ電流検出回路で検出されたモ−タ電流iに基づい
てモ−タ電流制御値Eを決定する電流フイ−ドバツク制
御回路であつて、前記した制御目標値である電流指令値
とモ−タ電流の検出値との差を電流制御値Eとしてモ−
タ制御回路65に出力する。
【0004】モ−タ制御回路65は、例えば4個の電界
効果型トランジスタ(FET)をブリツジに接続して第
1及び第2の2つのア−ムを備えたHブリツジ回路を構
成し、その入力端子間に電源を、出力端子間に前記モ−
タを接続した公知のモ−タ制御回路が使用される。この
ようなHブリツジ回路の駆動方法としては、いくつかの
方法があるが、代表的な駆動方法は、Hブリツジ回路の
対角位置にある2つのFETのうち、一方を電流制御値
Eに基づいて決定されるデユ−テイ比DのPWM信号
(パルス幅変調信号)で駆動し、他方をPWM信号の符
号に基づいてON/OFF制御して駆動する。
【0005】上記した電流指令値に応じてモ−タ電流を
制御する方法では、操舵トルクなどの増大により電流指
令値が大きくなるとモ−タ電流も増加するが、モ−タ電
流の増加に伴いモ−タやモ−タ駆動回路が発熱して焼損
するなど故障の原因となるので、電流指令値が予め設定
した所定値以上になつたときは、設定した所定値を最大
値として電流指令値を制限し、モ−タやモ−タ駆動回路
を保護する手段が採用されている(一例として特開平1
−186468号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電動式パワ−ステアリ
ング装置では、急激にハンドル操作を行うとモ−タの慣
性モ−メントの影響で電流指令値が一時的に増大する。
この場合、前記したように電流指令値の最大値に制限を
設けているときは、電流指令値が許容される最大値以上
になると電流指令値は最大値に抑えられるから、電動式
パワ−ステアリング装置から供給される操舵補助トルク
が突然頭打ちとなる。この結果急激にハンドル操作が重
くなり、操舵感覚に違和感を受ける。
【0007】図8は、急激にハンドル操作を行つた場合
の、時間に対する操舵角度の変化を示した図で、このと
きの、操舵補助トルクとハンドルを操作するときの操舵
力の変化を図9に示す。操舵補助トルクは線(a)のよ
うに変化し、操舵力は線(b)のように変化する。
【0008】即ち、急激にハンドル操作を行うと、始め
は操舵角度の増大に応じて操舵補助トルクが急激に増加
してハンドル操作を補助するから、ハンドルを操作する
ときの操舵力はわずかで済む。この後、ハンドルを切つ
た状態で保つように操作角度を維持すると操舵力は減少
し、この結果操舵補助トルクも減少する。図9の点pは
この状態を示している。
【0009】一方、モ−タは慣性モ−メントの影響を受
けて回転を続けステアリング機構を回転し続けようとす
るので、これを抑えるため電流指令値は負方向に一時的
に増大し、操舵補助トルクも負方向に増大するが、電流
指令値が予め設定されている最大電流指令値以上になる
と、操舵補助トルクは頭打ちとなる。図9の点rはこの
状態を示している。
【0010】このときのハンドル操作は、ハンドルがモ
−タの慣性モ−メントの影響で回転を続けようとするの
を抑えるように操作するから、操舵力は負方向に増加す
るが、このとき操舵補助トルクが頭打ちとなると突然に
ハンドル操作が重くなり、操舵力が急に増加して操舵感
覚に違和感を受ける。図9の点sはこの状態を示してお
り、操舵補助トルクが頭打ちとなつた瞬間、操舵力が急
に増加していることを示している。
【0011】この発明は上記課題を解決し、電流指令値
に許容最大値を設定しても円滑な操舵感覚を与えること
ができる電動式パワ−ステアリング装置の制御装置を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決するもので、少なくともステアリングシヤフトに発生
する操舵トルクに基づいて演算された電流指令値と検出
されたモ−タ電流値から演算した電流制御値に基づいて
ステアリング機構に操舵補助力を与えるモ−タの出力を
制御するモ−タ電流制御手段を備えた電動式パワ−ステ
アリング装置の制御装置において、少なくとも検出され
た操舵トルクに基づいて比較的安定したステアリング操
作の行われる定常状態における第1の電流指令値を演算
する第1の電流指令値演算手段と、少なくとも検出され
た操舵トルクに基づいて比較的急速なステアリング操作
の行われる過渡的な状態における第2の電流指令値を演
算する第2の電流指令値演算手段と、前記第1の電流指
令値の最大値を制限する第1の制限値が設定され、第1
の電流指令値を第1の制限値で制限して出力する第1の
電流指令値制限手段と、前記第2の電流指令値の最大値
を制限する第2の制限値が設定され、第2の電流指令値
を第2の制限値で制限して出力する第2の電流指令値制
限手段と、前記第1及び第2の電流指令値制限手段から
の出力の合計を電流指令値としてモ−タ電流制御手段に
出力する演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】そして、第1の電流指令値制限手段に設定
される第1の制限値は前記第2の電流指令値制限手段に
設定される第2の制限値よりも小さく設定する。また、
第2の電流指令値演算手段は、少なくとも検出された操
舵トルクの変化率に基づいて電流指令値を演算するよう
にするとよい。
【0014】
【発明の実施の形態】少なくとも検出された操舵トルク
に基づいて比較的安定したステアリング操作の行われる
定常状態における第1の電流指令値と、少なくとも検出
された操舵トルクに基づいて比較的急速なステアリング
操作の行われる過渡的な状態における第2の電流指令値
とを演算し、定常状態における第1の電流指令値の最大
値を比較的低い値に制限し、過渡的な状態における第2
の電流指令値の最大値を通常の比較的急速なステアリン
グ操作では制限されることのない比較的高い値に制限す
る。
【0015】第1の電流指令値と第2の電流指令値との
合計を電流指令値としてモ−タ電流を制御することによ
り、比較的急速なステアリング操作の行われる過渡的な
状態においては電流指令値は制限を受けないので操舵補
助トルクが頭打ちとならず、円滑な操舵感覚を与えるこ
とができる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
図1は電動式パワ−ステアリング装置の構成の概略を説
明する図で、操向ハンドル1の軸2は減速ギア4、ユニ
バ−サルジョイント5a、5b、ピニオンラツク機構7
を経て操向車輪のタイロツド8に結合されている。軸2
には操向ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセン
サ3が設けられており、また、操舵力を補助するモ−タ
10がクラツチ9、減速ギア4を介して軸2に結合して
いる。
【0017】パワ−ステアリング装置を制御する電子制
御回路13は、バツテリ14からイグニツシヨンキ−1
1により操作されるリレ−を経て電力が供給される。電
子制御回路13は、トルクセンサ3で検出された操舵ト
ルクと車速センサ12で検出された車速に基づいて電流
指令値の演算を行い、後述するようにその最大値を制限
して得た電流指令値に基づいてモ−タ10に供給する電
流を制御する。
【0018】クラツチ9は電子制御回路13により制御
される。クラツチ9は通常の動作状態では結合してお
り、電子制御回路13によりパワ−ステアリング装置の
故障と判断された時、及び電源がOFFとなつている時
に切離される。
【0019】図2は、電子制御回路13のブロツク図で
ある。この実施例では電子制御回路13は主としてCP
Uから構成されるが、ここではそのCPU内部において
プログラムで実行される機能を示してある。例えば、安
定化補償器21は独立したハ−ドウエアとしての安定化
補償器21を示すものではなく、CPUで実行される安
定化補償機能を示す。
【0020】以下、電子制御回路13の機能と動作を説
明する。トルクセンサ3から入力された操舵トルク信号
は、安定化補償器21で操舵系の安定を高めるために安
定化補償され、微分補償器24及び静特性マツプ25に
入力される。また、車速センサ12で検出された車速も
車速演算器23で車速デ−タに変換され、微分補償器2
4及び静特性マツプ25に入力される。
【0021】微分補償器24は、安定化補償された操舵
トルク及び車速デ−タに基づいて比較的急速なステアリ
ング操作の行われる過渡的な状態における電流指令値I
t を演算し出力する。
【0022】また、静特性マツプ25は比較的安定した
ステアリング操作の行われる定常状態における電流指令
値のテ−ブルを記憶保持しており、安定化補償された操
舵トルク及び車速デ−タに基づいて静特性マツプをサ−
チし、摩擦補整前の定常状態における電流指令値Isoを
出力する。
【0023】摩擦補整制御器26は、操舵トルク、車速
デ−タ及びモ−タ角速度に基づいてステアリング機構の
摩擦に基づく負荷等を補整する摩擦補整値Ms を出力す
るもので、摩擦補整値Ms は、加算器28により前記定
常状態における電流指令値Isoに加算される。以下の説
明では、静特性マツプ25から出力された電流指令値I
soと摩擦補整値Ms とが加算された値を、定常状態にお
ける電流指令値Is (Is =Iso+Ms )と呼ぶことに
する。
【0024】第1電流指令値制限器29は、比較的安定
したステアリング操作の行われる定常的な状態における
電流指令値Is の最大値を制限するものである。予め設
定された許容最大値、即ち第2の制限値Ismaxが格納さ
れており、静特性マツプ25から入力され摩擦補整され
た電流指令値Is が第1の制限値Ismax以下であれば
(Is ≦Ismax)、そのまま電流指令値Is を出力する
が、第1の制限値Ismaxを越えている場合(Is >Ism
ax)は、第1の制限値Ismaxを電流指令値Is (Is =
Ismax)として出力する。
【0025】第2電流指令値制限器30は、比較的急速
なステアリング操作の行われる過渡的な状態における電
流指令値It の最大値を制限するものである。予め設定
された許容最大値、即ち第2の制限値Itmaxが格納され
ており、微分補償器24から入力された電流指令値It
が第2の制限値Itmax以下であれば(It ≦Itmax)、
そのまま電流指令値It を出力するが、第2の制限値I
tmaxを越えている場合(It >Itmax)は、第2の制限
値Itmaxを電流指令値It (It =Itmax)として出力
する。
【0026】加算器31は、第1電流指令値制限器29
の出力Is と第2電流指令値制限器30の出力It とを
加算し、モ−タ電流の制御のための電流指令値I(I=
Is+It )として出力する。
【0027】比較器32は電流指令値Iとモ−タ電流検
出回路35で検出されたモ−タ電流iとを比較するもの
で、比較の結果はモ−タ電流制御値Eとしてモ−タ電流
制御器33に出力される。モ−タ電流制御器33はモ−
タ電流制御値Eに基づいてPWM信号のデユ−テイ比D
を決定し、デユ−テイ比DのPWM信号と、PWM信号
の符号により決定されるモ−タの回転方向信号とをモ−
タ駆動回路34に出力する。モ−タ駆動回路34はデユ
−テイ比DのPWM信号とモ−タ回転方向信号によりF
ET1 〜FET4 からなるHブリツジ回路を駆動し、モ
−タを回転駆動する。
【0028】モ−タ角速度推定器36は、モ−タ電流制
御値Eとモ−タ電流検出回路35で検出されたモ−タ電
流iとに基づいてモ−タ角速度を推定演算し、得られた
モ−タ角速度値は摩擦補整制御器26に入力される。
【0029】図3にモ−タ駆動回路34の構成の一例を
示す。モ−タ駆動回路34はゲ−ト駆動回路41、FE
T1 〜FET4 からなるHブリツジ回路等から構成され
る。FET1 (FET2 )はデユ−テイ比DのPWM信
号に基づいてゲ−トがON/OFFされ、実際にモ−タ
に流れる電流iの大きさが制御される。FET3 (FE
T4 )は、PWM信号の符号により決定されるモ−タの
回転方向に応じてON/OFF駆動される。
【0030】FET3 が導通状態にあるときは、電流は
FET1 、モ−タ10、FET3 、抵抗R1 を経て流
れ、モ−タ10に正方向の電流が流れる。また、FET
4 が導通状態にあるときは、電流はFET2 、モ−タ1
0、FET4 、抵抗R2 を経て流れ、モ−タ10に負方
向の電流が流れる。
【0031】モ−タ電流検出回路35は、抵抗R1 の両
端における電圧降下に基づいて正方向電流の大きさを検
出し、また、抵抗R2 の両端における電圧降下に基づい
て負方向電流の大きさを検出する。検出されたモ−タ電
流値iは比較器32にフイ−ドバツクされるとともに、
モ−タ角速度推定器36へ出力される。
【0032】次に、第1電流指令値制限器29における
第1の制限値Ismaxと第2電流指令値制限器30におけ
る第2の制限値Itmaxの意義、及び第1電流指令値制限
器29と第2電流指令値制限器30の動作について説明
する。
【0033】モ−タやモ−タ駆動回路の発熱は主として
定常的な電流により発生する。したがつて、モ−タやモ
−タ駆動回路を発熱から保護するには、比較的安定した
ステアリング操作の行われる定常的な状態における電流
指令値の最大値を制限することで達成することができ
る。
【0034】しかし、比較的安定したステアリング操作
の行われる定常的な状態が継続される場合にはモ−タに
は定常的な電流が流れ続けているから、モ−タやモ−タ
駆動回路を発熱から保護する目的を達成するには、電流
指令値の最大値は比較的低い値に制限する必要がある
(例えば許容最大値の1/2など)。このため、従来の
電動式パワ−ステアリング装置では、発明が解決しよう
とする課題で説明したように、急速なステアリング操作
の後ハンドルをその位置で止めたような場合には、電流
指令値が許容最大値を越えるために制限されて操舵補助
力が頭打ちとなり、突然にハンドルが重く感じられるこ
とになる。
【0035】そこで、この発明では、比較的安定したス
テアリング操作の行われる定常的な状態における第1の
電流指令値と、急速なステアリング操作の行われる過渡
的な状態における第2の電流指令値との性質の異なる2
つの電流指令値とを演算し、定常状態における第1の電
流指令値の最大値を比較的低い値に制限し、過渡的な状
態における第2の電流指令値の最大値を通常の比較的急
速なステアリング操作では制限されることのない比較的
高い値に制限するようにして課題を解決したものであ
る。
【0036】即ち、前記した過渡的な状態(例えば急速
なステアリング操作の後ハンドルをその位置で止めたよ
うな場合)においては、微分補償器24から大きな電流
指令値It が出力されるが、第2電流指令値制限器30
の許容最大値は通常の比較的急速なステアリング操作で
は制限されることのない比較的高い値に設定されている
から、微分補償器24からの出力It は制限されること
なく出力され、摩擦補整された静特性マツプ25から出
力された電流指令値Is と加算器31で加算されて電流
指令値Iとして出力され、モ−タ電流が制御される。
【0037】なお、操舵トルクの変動が少ない比較的安
定したステアリング操作の行われる状態では、微分補償
器24からは電流指令値It は殆ど出力されない。した
がつて微分補償器24の出力It は過渡的状態の電流指
令値ということができる。
【0038】この場合、操舵補助トルクは図4で線
(a)で示すように変化し、操舵補助力が頭打ちとなら
ないから、ハンドルを操作するときの操舵力は図4で線
(b)で示すように滑らかに変化し、突然にハンドルが
重く感じられるようなことはなくなる。この過渡的な状
態の場合は定常状態よりも大きなモ−タ電流が流れる
が、過渡的な状態のためにモ−タ電流が流れる時間は短
時間であるから、モ−タやモ−タ駆動回路が発熱して焼
損することはない。
【0039】また、定常的な状態においては電流指令値
は主として摩擦補整された静特性マツプ25から出力さ
れた電流指令値Is であり、その最大値は比較的低い値
に制限されるから、モ−タやモ−タ駆動回路を発熱から
保護することができる。
【0040】以上説明した第1の実施例では、微分補償
器24には安定化補償された操舵トルクが入力されるよ
うに構成されているが、これに代えて微分補償器24に
操舵トルクを直接入力するように構成してもよい。この
第2の実施例の構成を図5に示す。第2の実施例の回路
構成素子は第1の実施例のものと変わらないので、同一
回路構成素子には同一符号を付して詳細な説明は省略す
る。
【0041】また、以上説明した第1の実施例では、微
分補償器24には安定化補償された操舵トルクが入力さ
れるように構成されているが、これに代えて静特性マツ
プから読み出され、摩擦補整値で補整された定常状態に
おける電流指令値を入力するように構成してもよい。こ
の場合は、定常状態における電流指令値に含まれる比較
的急速なステアリング操作が行われた過渡的状態のトル
ク成分が微分補償器24に入力されるから、第1の実施
例の場合と同様に機能する。この第3の実施例の構成を
図6に示す。第3の実施例の回路構成素子も第1の実施
例のものと変わらないので、同一回路構成素子には同一
符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の電動式
パワ−ステアリング装置の制御装置は、少なくとも検出
された操舵トルクに基づいて比較的安定したステアリン
グ操作の行われる定常状態における第1の電流指令値を
演算する第1の電流指令値演算手段と、少なくとも検出
された操舵トルクに基づいて比較的急速なステアリング
操作の行われる過渡的な状態における第2の電流指令値
を演算する第2の電流指令値演算手段とを設けると共
に、第1の電流指令値制限手段により定常状態における
第1の電流指令値の最大値を比較的低い値に制限し、第
2の電流指令値制限手段により過渡的な状態における第
2の電流指令値の最大値を通常の比較的急速なステアリ
ング操作では制限されることのない比較的高い値に制限
し、最大値の制限された第1及び第2の電流指令値の合
計を電流制御値としてモ−タ電流を制御するものであ
る。
【0043】これにより、定常的な状態においては主と
して比較的低い値に最大値が制限された第1の電流指令
値から出力された電流指令値でモ−タ電流が制御される
から、モ−タやモ−タ駆動回路を発熱から保護すること
ができる。
【0044】そして、例えば急速なステアリング操作の
後ハンドルをその位置で止めたような場合など過渡的な
状態では主として比較的高い値に最大値が制限された第
2の電流指令値から出力された電流指令値でモ−タ電流
が制御されるから、通常行なわれる急速なステアリング
操作では操舵補助力が頭打ちとなることはなく、円滑な
操舵感覚を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動式パワ−ステアリング装置の構成の概略を
説明する図。
【図2】電子制御回路の第1実施例の構成を示すブロツ
ク図。
【図3】モ−タ駆動回路の構成の一例を示すブロツク
図。
【図4】この発明の制御回路による操舵補助トルクと操
舵力の変化を説明する図。
【図5】電子制御回路の第2実施例の構成を示すブロツ
ク図。
【図6】電子制御回路の第3実施例の構成を示すブロツ
ク図。
【図7】従来の電動式パワ−ステアリング装置の制御回
路の構成を示すブロツク図。
【図8】時間に対する操舵角度の変化を説明する図。
【図9】従来の制御回路による操舵補助トルクと操舵力
の変化を説明する図。
【符号の説明】
3 トルクセンサ 10 モ−タ 11 イグニツシヨンキ− 12 車速センサ 13 電子制御回路 14 バツテリ 21 安定化補償器 23 車速演算器 24 微分補償器 25 静特性マツプ 26 摩擦補整制御器 28 加算器 29 第1電流指令値制限器 30 第2電流指令値制限器 31 加算器 32 比較器 33 モ−タ電流制御器 34 モ−タ駆動回路 35 モ−タ電流検出回路 36 モ−タ角速度推定器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともステアリングシヤフトに発生
    する操舵トルクに基づいて演算された電流指令値と検出
    されたモ−タ電流値から演算した電流制御値に基づいて
    ステアリング機構に操舵補助力を与えるモ−タの出力を
    制御するモ−タ電流制御手段を備えた電動式パワ−ステ
    アリング装置の制御装置において、 少なくとも検出された操舵トルクに基づいて比較的安定
    したステアリング操作の行われる定常状態における第1
    の電流指令値を演算する第1の電流指令値演算手段と、 少なくとも検出された操舵トルクに基づいて比較的急速
    なステアリング操作の行われる過渡的な状態における第
    2の電流指令値を演算する第2の電流指令値演算手段
    と、 前記第1の電流指令値の最大値を制限する第1の制限値
    が設定され、第1の電流指令値を第1の制限値で制限し
    て出力する第1の電流指令値制限手段と、 前記第2の電流指令値の最大値を制限する第2の制限値
    が設定され、第2の電流指令値を第2の制限値で制限し
    て出力する第2の電流指令値制限手段と、 前記第1及び第2の電流指令値制限手段からの出力の合
    計を電流指令値としてモ−タ電流制御手段に出力する演
    算手段とを備えたことを特徴とする電動式パワ−ステア
    リング装置の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の電流指令値制限手段に設定さ
    れる第1の制限値は前記第2の電流指令値制限手段に設
    定される第2の制限値よりも小さいことを特徴とする請
    求項1記載の電動式パワ−ステアリング装置の制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記第2の電流指令値演算手段は、少な
    くとも検出された操舵トルクの変化率に基づいて電流指
    令値を演算することを特徴とする請求項1記載の電動式
    パワ−ステアリング装置の制御装置。
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