JPH09131840A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

積層ポリエステルフィルム

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JPH09131840A
JPH09131840A JP7293996A JP29399695A JPH09131840A JP H09131840 A JPH09131840 A JP H09131840A JP 7293996 A JP7293996 A JP 7293996A JP 29399695 A JP29399695 A JP 29399695A JP H09131840 A JPH09131840 A JP H09131840A
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laminated
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polyester resin
acid
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育 高田
Jun Hirata
純 平田
Takashi Mimura
尚 三村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポ
リエステル樹脂とメラミン系架橋剤を主たる構成成分と
する積層膜が設けられ、該ポリエステル樹脂が側鎖にカ
ルボン酸及び/又はその塩を有することを特徴とする積
層ポリエステルフィルムに関するものである。 【効果】本発明によって得られる積層ポリエステルフィ
ルムは、紫外線硬化型インキ、磁性塗料などとの易接着
性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層ポリエステルフ
ィルムに関し、更に詳しくは易接着性に優れた積層ポリ
エステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル二軸配向フィルムはその機
械的性質、寸法安定性、耐熱性、透明性、電気的性質な
どに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材
料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ
材料などの多くの用途の基材フィルムとして広く使用さ
れている。しかし、表面が高度に結晶配向されているた
め、各種塗料、接着剤、インキなどとの密着性が乏しい
などの欠点を有している。そのため従来からポリエステ
ルフィルム表面に種々の方法により易接着性付与の検討
がなされてきた。
【0003】易接着化の方法としては、基材ポリエステ
ルフィルム表面のコロナ放電処理、紫外線照射処理、プ
ラズマ処理などによる表面活性化法、酸、アルカリ、ア
ミン水溶液などの薬剤による表面エッチング法、フィル
ム表面にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹
脂などの各種樹脂をプライマ層として設ける方法(特開
昭55−15825号、特開昭58−78761号、特
開昭60−248232号など)が既に知られている。
特に、塗布によって上記プライマ層を設け易接着性を付
与する方法として、結晶配向が完了する前のポリエステ
ルフィルムに上記樹脂成分を含有する塗剤を塗布し、乾
燥後、延伸、熱処理を施して結晶配向を完了させる方法
(インラインコート法)が工程簡略化や製造コストの点
で有力視され、盛んに行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の技術には次のような問題点がある。水溶性あるいは水
分散性アクリル樹脂を積層した場合には、被覆物である
各種インキとの密着性は優れているものの基材ポリエス
テルフィルムとの接着性が不十分となり、またポリエス
テル樹脂を積層した場合には逆に基材との密着性は良好
であるが、被覆物との十分な密着性が得られないという
欠点があった。
【0005】また、スルホン酸塩基を含有するポリエス
テル樹脂を積層した場合には、スルホン酸塩基が親水性
であるため、インキ塗布時の吸着水の問題などで、やは
り十分な密着性が得られないなどの問題があった。
【0006】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、被覆
物となる各種インキとの密着性に優れた積層ポリエステ
ルフィルムを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
フィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂とメラ
ミン系架橋剤を主たる構成成分とする積層膜が設けら
れ、該ポリエステル樹脂が側鎖にカルボン酸及び/又は
その塩を有することを特徴とする積層ポリエステルフィ
ルムをその骨子とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルフィルムの
ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖
とする高分子の総称であって、好ましいポリエステルと
しては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−
ナフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−
α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4
−ジカルボキシレート等から選ばれた少なくとも1種の
構成成分を主要構成成分とするものが挙げられる。これ
ら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもい
ずれでもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判
断するとエチレンテレフタレートを主要構成成分とする
ポリエステルが特に好ましい。また、電子写真、感熱記
録、各種印刷などの記録用受像シートなど、基材に熱が
作用する用途や印刷インキでも紫外線硬化型インキなど
硬化時に樹脂の収縮を伴う用途においては、耐熱性や剛
性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に
好ましい。
【0009】また、これらポリエステルには、更に他の
ジカルボン酸成分やジオール成分が20モル%以下共重
合されていてもよい。
【0010】また、磁気記録カード用途などにおいて
は、基材フィルムとして白色ポリエステルフィルムが好
適に用いられるが、この白色ポリエステルフィルムは、
白色に着色されたポリエステルフィルムであれば特に限
定されるものではないが、好ましくは白色度が85〜1
50%、更に好ましくは90〜130%であり、光学濃
度が0.5〜5、好ましくは1.2〜3のものが好適で
ある。例えば、磁気記録カードにおいて白度が小さい基
材を使用した場合、磁気記録層などによる着色が透過し
表面の印刷層の美観が損なわれ易く、一方、光学濃度が
小さい場合、十分な光線反射が得られず、肉眼で見た場
合白さが減少する、反対面の影響が出る、あるいは磁気
記録読み取り時測定法によってはトラブルとなる場合が
ある等の理由による。
【0011】このような光学濃度、白色度を得る方法
は、特に限定されないが、通常は無機粒子あるいはポリ
エステルと非相溶の樹脂の添加により得ることができ
る。添加する量は特に限定されないが、無機粒子の場合
5〜35重量%、好ましくは8〜25重量%である。一
方、非相溶性の樹脂を添加する場合は5〜35体積%、
好ましくは8〜25体積%である。
【0012】使用する無機粒子は特に限定されないが、
平均粒径0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.5μ
mの無機粒子をその代表として挙げることができる。具
体的には、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシ
ウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、タルク、クレー
等あるいはこれらの混合物であり、これらの無機粒子は
他の無機化合物、例えばリン酸カルシウム、酸化チタ
ン、雲母、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチ
ウム、フッ化カルシウム等と併用してもよい。また、上
述した無機粒子の中でもモース硬度が5以下、好ましく
は4以下のものを使用する場合、白色度が更に増すため
より好ましい。
【0013】ポリエステルと非相溶の樹脂としては、特
に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート
やポリエチレン−2,6−ナフタレートと混合する場合
についていえば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、変性オレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキシ
ド等を挙げることが可能で、当然、上述した無機粒子と
併用してもよい。特に、無機粒子やポリエステルと非相
溶の樹脂を混合して二軸延伸し、内部に空洞を有する、
比重が0.5〜1.3g/cm3 の白色ポリエステルフ
ィルムは印刷適性が良好になるので好ましい。
【0014】更に、このポリエステル中には、公知の各
種添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定
剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機ま
たは無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが本
発明の効果を阻害しない程度に添加されていてもよい。
【0015】上述したポリエステルの極限粘度(25℃
のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2
dl/gが好ましく、更に好ましくは0.5〜0.8d
l/gの範囲にあるものが本発明の内容に好適である。
【0016】更に積層膜との密着性を向上させる点か
ら、基材ポリエステルフィルムのカルボキシル末端基量
が37当量/トン以上が好ましく、更に好ましくは40
当量/トン以上であることが望ましい。
【0017】上記ポリエステルを使用したポリエステル
フィルムは、積層膜が設けられた状態においては二軸配
向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステ
ルフィルムとは、未延伸状態のポリエステルシートまた
はフィルムを長手方向及び幅方向に各々2.5〜5倍程
度延伸され、その後熱処理を施し、結晶配向を完了させ
たものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示
すものをいう。
【0018】ポリエステルフィルムの厚みは特に限定さ
れるものではないが、機械的強度、熱伝導性の点から、
通常0.5〜500μm、好ましくは1〜300μmで
ある。また、得られたフィルムを公知の方法で貼り合わ
せ、更に厚いフィルムとすることもできる。
【0019】本発明の積層膜の構成成分であるポリエス
テル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有する
ものであり、かつ、側鎖にカルボン酸及び/又はその塩
を有するものである。このようなポリエステル樹脂は、
公知のジカルボン酸とジオールから重縮合して得られる
ポリエステル樹脂に、多価カルボン酸を共重合すること
によって得ることができるものである。
【0020】ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成
分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や
3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカル
ボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソ
フタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス
フェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニル
インダンジカルボン酸などを挙げることができる。これ
らの芳香族ジカルボン酸は、積層膜の強度や耐熱性の点
で、全ジカルボン酸成分の30モル%以上、好ましくは
35モル%以上、更に好ましくは40モル%以上が望ま
しい。脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダ
イマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,
2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸など及びそれらのエステル形成性誘導
体が挙げられる。
【0021】ポリエステル樹脂のグリコール成分として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,
4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラ
メチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チ
オジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレ
ンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)
ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、
o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’
−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピ
リデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサ
ン−1,4−ジオールなどを挙げることができる。
【0022】また、多価カルボン酸としては、例えばト
リメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、
無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,
2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,
4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタ
ンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラ
ヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン
−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテト
ラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,
3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,
5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコ
ールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェ
ニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−
テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸などある
いはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ア
ンモニウム塩が挙げられるが、これに限定されるもので
はない。
【0023】これらの共重合によって得られるポリエス
テル樹脂のガラス転移点は、40℃以下、好ましくは3
5℃以下、更に30℃以下である場合、基材フィルム及
び被覆物との密着性が向上するので特に望ましい。
【0024】また、ポリエステル樹脂としては、変性ポ
リエステル共重合体、例えばアクリル、ウレタン、エポ
キシ等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体
等を用いることも可能である。
【0025】好ましいポリエステル樹脂としては、酸成
分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、ト
リメリット酸、ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、グリコール成分とし
てエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれ
る共重合体が挙げられる。
【0026】本発明のポリエステル樹脂は、従来から公
知の製造技術によって製造することができる。また、カ
ルボン酸を末端及び/又は側鎖に多く有するポリエステ
ル樹脂を得る方法としては、特開昭54−46294号
公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−
240318号公報、特開昭53−26828号公報、
特開昭53−26829号公報、特開昭53−9833
6号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭6
1−124684号公報、特開昭62−240318号
公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合し
た樹脂により製造することができるが、これら以外の方
法であってもよい。
【0027】本発明の積層膜の構成成分であるメラミン
系架橋剤は、従来公知のもので特に限定されないが、メ
ラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られ
るメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミン
に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエ
ーテル化した化合物、及びこれらの混合物が挙げられ
る。又、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上
の多量体からなる縮合物のいずれでもよく、これらの混
合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコール
としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール
などを挙げることができる。官能基としては、イミノ
基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキ
シメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有する
もので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール
基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹
脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。
その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。
更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例え
ばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよ
い。
【0028】ポリエステル樹脂とメラミン系架橋剤は任
意の比率で混合してもよいが、本発明の効果をより顕著
に発現させるには以下の比率(固形分重量比とする)で
混合するとよい。ポリエステル樹脂100重量部に対
し、メラミン系架橋剤を0.5〜40重量部、好ましく
は1〜30重量部、更に好ましくは2〜20重量部であ
るのが望ましい。
【0029】本発明の積層膜は前記2種の構成成分を主
成分とした塗剤を塗布し、乾燥、熱処理したものであ
り、主成分とは上記2種が積層膜中において50重量%
以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90
重量%以上を占めることをいう。
【0030】また、積層膜中には本発明の効果を阻害し
ない範囲内で、他の樹脂、例えば本発明以外のポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などを
配合してもよい。
【0031】更に、積層膜中には本発明の効果を阻害し
ない範囲内で公知の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安
定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔
料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止
剤、核剤などを配合しても良い。
【0032】特に、本発明の塗剤中に無機粒子を添加配
合し二軸延伸したものは、易滑性が向上するので更に好
ましい。
【0033】添加する無機粒子の代表例としては、シリ
カ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオ
リン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を挙げること
ができる。無機粒子は、平均粒径0.01〜10μmが
好ましく、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ま
しくは0.08〜2μmであり、塗剤中の固形分に対す
る配合比は特に限定されないが、重量比で0.05〜8
重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部で
ある。
【0034】本発明の積層膜を設けるのに好ましい方法
としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に塗布
し、基材フィルムと共に延伸する方法が最も好適であ
る。例えば溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステ
ルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、塗布
する面にコロナ放電処理を施し、連続的にその処理面に
塗剤を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱さ
れたゾーンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜5
倍程度延伸される。さらに連続的に150〜250℃の
加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了させる方法によって
得られる。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆性
の点で水系が好ましい。
【0035】このような方法によって設けられた積層膜
は、その上に設けられる各種インキなどの被覆物との密
着性に優れると同時に、基材ポリエステルフィルムとの
密着性に優れる。
【0036】塗膜の厚みは特に限定しないが、通常は
0.01〜5μm、好ましくは0.02〜2μm、更に
好ましくは0.05μm〜0.5μmの範囲が好まし
い。積層膜の厚みが薄すぎると密着性不良となる場合が
ある。
【0037】基材フィルム上への塗布の方法は公知の塗
布方法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、
ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレ
ーコート法などを用いることができる。
【0038】次に、本発明の積層ポリエステルフィルム
の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以
下PETと略称する)を基材フィルムとした例について
説明するが、当然これに限定されるものではない。
【0039】PETペレットを十分に真空乾燥した後、
押出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出
し、冷却固化せしめて未延伸PETシートを作成する。
このシートを70〜120℃に加熱したロールで長手方
向に2.5〜5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得
る。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その
処理面に所定の濃度の本発明の水系塗剤を塗布する。塗
布後、フィルム端部をクリップで把持して70〜150
℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥した後、幅方向
に2.5〜5倍に延伸する。引き続き160〜250℃
の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、
結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で必要に応じ
て幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施
してもよい。この場合、用いる塗布液は環境汚染や防爆
性の点で水系が好ましい。
【0040】尚、上記例において、積層膜が設けられる
基材フィルムにもメラミン系樹脂、ポリエステル樹脂か
ら選ばれる少なくとも1種を含有せしめることができ
る。この場合は、積層膜と基材フィルムとの接着性が向
上する、積層ポリエステルフィルムの易滑性が向上する
などの効果がある。メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂
を含有させる場合には、その添加量が5ppm以上20
重量%未満であるのが、易接着性、易滑性の点で好まし
い。もちろん、メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂は基
材フィルム上に設けるコーティング組成物(本発明の積
層ポリエステルフィルムの再生ペレットなどを含む)で
あっても良い。
【0041】このようにして得られた積層ポリエステル
フィルムは、種々の被覆物、例えば磁性塗料、紫外線硬
化型インキ、ジアゾ感材、セルロ−ス系インキ、トナー
組成物などの易接着性に優れる。従って、この積層ポリ
エステルフィルムは種々の用途に有用であり、磁気テー
プ、フロッピーディスク、磁気記録カード、OHP用
途、包装材料、グラフィック用途、各種印刷材料などに
使用できる。
【0042】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法及び効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0043】(1)塗布層の厚み 日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用
い、積層膜を設けた二軸配向ポリエステルフィルムの断
面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30
個の平均値とした。
【0044】(2)密着性−1 “ダイフェラコート”CAD4301(大日精化工業
(株)製)100重量部に“スミジュール”N−75
(住友バイエル(株)製)1重量部を加え、バーコータ
を用いて塗布し、100℃で5分間乾燥し、積層膜上に
約8μm厚みとした。
【0045】塗料乾燥膜に1mm2 のクロスカットを1
00個入れ、日東電工(株)製ポリエステル粘着テープ
をその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90度方
向に急速剥離し、残存した個数により4段階評価(◎:
100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜4
9)した。(◎)、(○)を接着性良好とした。
【0046】(3)密着性−2 紫外線硬化型インキとして“FLASH DRY”FD
−OL墨(東洋インキ製造(株)製)を用い、ロールコ
ート法で積層膜上に約2.0μm厚みに塗布した。その
後、照射強度80W/cmの紫外線を照射距離9cmで
8秒間照射し硬化させた。
【0047】塗料乾燥膜に1mm2 のクロスカットを1
00個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上
に貼り付け、指で強く押し付けた後、90度方向に急速
剥離し、残存した個数により4段階評価した。評価基準
は密着性−1に従った。
【0048】(4)平面性 上記(3)で塗布、硬化させた紫外線硬化型インキ積層
体について、積層体の平面性をインキ面を上にしてガラ
ス板上に置き、カールの程度を目視で測定し、以下の基
準で判定した。
【0049】 ◎:全くカールがなく、極めて平面性がよい ○:端部がわずかにカールしているが良好 △:中央部付近までカールが及んでいる ×:カールが著しい
【0050】(5)ガラス転移点(Tg) パーキンエルマ社製DSCIIを用い、10mgサンプリ
ングし、昇温速度20℃/minで測定した。
【0051】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を説明する
が、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0052】実施例1 実質的に粒子を含まないPET(固有粘度0.65dl
/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加
熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状
に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30
℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せ
しめた。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール群を
通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸配向
フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放電処理
を施し、その処理面に以下に示す水系塗剤を塗布した。
塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら
予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に
125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、更に
225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、基材PETフィ
ルム厚みが188μm、積層膜の厚みが0.15μmの
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0053】「水系塗剤」 (A):ポリエステル樹脂 ・酸成分 テレフタル酸 28モル% イソフタル酸 9モル% トリメリット酸 10モル% セバシン酸 3モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 18モル% 1,4−ブタンジオール 17モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:20℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0054】(B):メチロール化メラミン樹脂 (A)の固形分100重量部に対し、(B)を固形分比
で5重量部混合し、積層膜形成塗剤とした。
【0055】実施例2 実施例1の塗剤を用い積層膜の厚みを0.08μmとな
るようにした以外は、実施例1と同様にして積層PET
フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0056】比較例1 実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤を添加せずに用い
た以外は実施例1と同様にして積層PETフィルムを得
た。結果を表1に示す。
【0057】比較例2 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に示
す。
【0058】・酸成分 テレフタル酸 42モル% 5−ナトリウムスルホイソフタル酸 8モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 47モル% ジエチレングリコール 3モル% 上記酸成分とグリコール成分からなる、側鎖にカルボン
酸基を有さないポリエステル樹脂(Tg:72℃)の水
分散体。
【0059】実施例3 実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤の添加量をポリエ
ステル樹脂100重量部に対し10重量部(固形分比)
とした以外は、実施例1と同様にして積層PETフィル
ムを得た。結果を表1に示す。
【0060】実施例4 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に示
す。
【0061】・酸成分 テレフタル酸 23モル% イソフタル酸 9モル% トリメリット酸 15モル% セバシン酸 3モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 18モル% 1,4−ブタンジオール 17モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:19℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0062】実施例5 実施例1においてポリエステルフィルムをポリエチレン
テレフタレートフィルムからポリエチレン−2,6−ナ
フタレート(以下PENと略称する)フィルムに変えた
以外は実施例1と同様にして積層PENフィルムを得
た。結果を表1に示す。
【0063】実施例6 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表2に示
す。
【0064】・酸成分 テレフタル酸 5モル% イソフタル酸 35モル% 5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
10モル% ・グリコール成分 ジエチレングリコール 20モル% ネオペンチルグリコール 25モル% 1,4−ブタンジオール 5モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:32℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0065】実施例7 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表2に示
す。
【0066】・酸成分 イソフタル酸 40モル% 5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
10モル% ・グリコール成分 ジエチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 35モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:55℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0067】実施例8 実施例1のPETペレットの代わりに、酸化チタンを1
6重量%微分散したPET(固有粘度0.62dl/
g)ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして積
層白色PETフィルムを得た。得られた積層白色PET
フィルムは、厚みが188μm、光学濃度1.5、白色
度85%であった。結果を表2に示す。
【0068】実施例9 実施例8において、ポリエステルフィルムをPETフィ
ルムからPENフィルムに変えた以外は実施例8と同様
にして積層白色PENフィルムを得た。結果を表2に示
す。
【0069】実施例10 基材フィルムとして、実施例1で得られた積層PETフ
ィルムを粉砕し、ペレット化したものを、ポリエチレン
テレフタレートに30重量%添加し、溶融押し出しした
以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得
た。塗剤としては実施例1で用いたものと同様のものを
用いた。
【0070】かくして得られたフィルムの特性を表2に
示すが、易接着性に優れると同時に、易滑性にも優れて
いた。
【0071】
【表1】
【表2】
【0072】
【発明の効果】本発明によって作成される積層ポリエス
テルフィルムは、特定のポリエステル樹脂とメラミン系
架橋剤を主体とする組成物を積層することにより、紫外
線硬化型インキ、磁性塗料などとの易接着性に優れた効
果を発現するものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/18 B32B 27/18 Z C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFDF C09D 167/02 PKX C09D 167/02 PKX // B29K 67:00 B29L 9:00 C08L 67:03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、ポリエステル樹脂とメラミン系架橋剤を主たる構成
    成分とする積層膜が設けられ、該ポリエステル樹脂が側
    鎖にカルボン酸及び/又はその塩を有することを特徴と
    する積層ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 積層膜において、固形分重量比でポリエ
    ステル樹脂100重量部に対し、メラミン系架橋剤を
    0.5〜40重量部含有してなることを特徴とする請求
    項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフィルムがポリエチレンテ
    レフタレートフィルム又はポリエチレン−2,6−ナフ
    タレートフィルムであることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 積層膜を設けるに際し、結晶配向が完了
    する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層
    膜形成塗剤を塗布後、少なくとも一方向に延伸、熱処理
    を施し、結晶配向を完了させることによって得られるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムが、ポリエステル
    樹脂、メラミン系架橋剤、あるいはこれらの反応生成物
    の少なくとも1種を、5ppm以上20重量%未満含有
    した組成物からなることを特徴とする請求項1〜請求項
    4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 積層膜中のポリエステル樹脂が、スルホ
    ン酸塩基を含有しないことを特徴とする請求項1〜請求
    項5のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 積層膜を形成するポリエステル樹脂のガ
    ラス転移点が40℃以下であることを特徴とする請求項
    1〜請求項6のいずれかに記載の積層ポリエステルフィ
    ルム。
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