JPH09131550A - 噴霧盤、噴霧装置および噴霧乾燥装置 - Google Patents

噴霧盤、噴霧装置および噴霧乾燥装置

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JPH09131550A JP29087395A JP29087395A JPH09131550A JP H09131550 A JPH09131550 A JP H09131550A JP 29087395 A JP29087395 A JP 29087395A JP 29087395 A JP29087395 A JP 29087395A JP H09131550 A JPH09131550 A JP H09131550A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴霧用コロの上端部の強度を所定以上に保持
し、噴霧量が多量になっても所望の噴霧パターンが得ら
れる噴霧用コロを用いた噴霧盤と噴霧装置、および噴霧
乾燥装置を提供する。 【解決手段】 上下取付円板12,13の間のほぼ周縁
に沿ったほぼ同心円上に複数の噴霧用コロ11を固定又
は回転可能に取り付けて構成された噴霧盤であり、噴霧
用コロ11をほぼ円錐状に形成し、その上端部を円錐面
15から上方に向って径が大きくなるようにアーク状に
形成した。噴霧盤21と、この噴霧盤21に原液を供給
する原液供給手段23を備えた噴霧装置である。噴霧装
置を頂部に設け、噴霧装置から噴霧された原液を加熱乾
燥するための加熱ガス導入手段26を設けた噴霧乾燥装
置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は遠心式の噴霧装置
に用いる噴霧盤、この噴霧盤を用いた噴霧装置、および
噴霧装置を用いた噴霧乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】 遠心式の噴霧装置に用いる噴霧盤1と
しては、従来から、図5に示すように、上下取付円板
2,3の間にその周縁に沿ったほぼ同心円上に着脱自在
に噴霧用コロ4を取り付けたものが一般的に使用されて
いる。なお、5は噴霧盤1の回転軸、9は噴霧用コロ4
の軸である。しかしながら、図5に示す噴霧盤1は、噴
霧用コロ4が円筒形であるため、原液が円筒形周面の下
部ほど厚くなり、上部ほど薄く付着し、噴霧化の際に噴
霧液の粒度分布が広くなる、即ち粒子径が不均一になる
という欠点があった。
【0003】 そこで、本出願人は上記欠点を解決する
ため、図4に示すように、噴霧用コロ4の形状を上下に
向けた円錐形とし、その円錐面と底面とのなす角度を6
0°以下とした噴霧盤1を提案した(実公昭61−10
767号参照)。この噴霧盤1によれば、原液の付着厚
さが円錐面の上下においてほぼ均一となり、噴霧液の粒
度分布が狭くなる、粒子径が均一になるという利点を有
し、実用的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 しかし、上記した噴
霧盤を用いて噴霧操作を繰り返すうちに、噴霧用コロの
上端部と上部取付円板に摩耗が生じることがあり、それ
により噴霧パターンが乱れ、噴霧用コロ及び上部取付円
板の耐久性に多少問題があることが判明した。そこで、
この点について検討を進めたところ、噴霧用コロの上端
部の強度が弱いこと及び液の流れが良すぎることが原因
であることがわかった。また、原液量が所定以上に多く
なったり、高速で回転する場合には、原液の噴霧パター
ンが上方に広がり、液の上部取付円板を伝わる量が増大
して、不必要な微粒が増えたり、乾燥性の良い原液で
は、上部取付円板に付着が生じるという問題があった。
【0005】 したがって、本発明は上記した従来の問
題に鑑みてなされたものであり、前記した円錐形形状の
噴霧用コロの利点を生かしつつ、噴霧用コロの上端部の
強度を所定以上に保持し、かつ噴霧量が多量になっても
所望の噴霧パターンを得られるようにした噴霧用コロを
用いた噴霧盤と噴霧装置、および噴霧乾燥装置を提供す
ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明によ
れば、上下取付円板の間のほぼ周縁に添ったほぼ同心円
上に複数の噴霧用コロを固定又は回転可能に取り付けて
構成された噴霧盤であって、該噴霧用コロをほぼ円錐状
に形成するとともに、その上端部を円錐面から上方に向
って径が大きくなるようにアーク状に形成したことを特
徴とする噴霧盤、が提供される。本発明の噴霧盤におい
ては、噴霧用コロの上端部であって、コロの高さ全体の
40%以下の部分を、円錐面から上方に向って径が大き
くなるようにアーク状に形成すると、原液の流れが上端
部近辺で下方向に抑制され、通常の噴霧では、上端部に
至るまで均一の液膜状の噴霧となり、また、噴霧量が多
量のときや高速回転での噴霧の際にも、過度な上方への
噴霧を抑制することになり、ほぼ均一な微粒子が形成さ
れることになり、好ましい。
【0007】 また本発明によれば、上記構成の噴霧盤
と、該噴霧盤に原液を供給する原液供給手段とを備えた
噴霧装置、が提供される。さらに、本発明によれば、上
記構成の噴霧装置を装置頂部に設けるとともに、該噴霧
装置から噴霧された原液を加熱乾燥するための加熱ガス
導入手段を設けたことを特徴とする噴霧乾燥装置、が提
供される。
【0008】
【発明の実施の形態】 図1は、本発明に係る噴霧盤の
一例を示す一部断面側面図で、10は噴霧盤の回転軸、
11は上下取付円板12,13の間のほぼ周縁に添った
ほぼ同心円上に固定又は回転可能に取り付けた複数の噴
霧用コロを示す。また、図2は本発明の噴霧盤に用いる
噴霧用コロの一例を示す断面図である。原液供給管14
から直接あるいは液分配器を介して下部取付円板13上
に供給された原液は、上下取付円板12,13の回転に
従ってその付着性と粘性によって同様に回転し、遠心力
により周縁方向に流れて噴霧用コロ11に至り、噴霧用
コロ11の下部周面に付着し上昇を開始する。
【0009】 このとき、原液の流れは、噴霧用コロ1
1の円錐面15と底面16とになす角度αが0に近づく
ほど、原液が抵抗や乱れも少なく噴霧用コロ11の円錐
面15の表面上を均一に上昇することができるが、コロ
11の太さに限度があり、コロ11の取付け本数を減ら
すこととなり、角度αを0とすることは逆に不利とな
る。
【0010】 従って、この角度αは特に限定はされな
いが、60°以下が好ましく、20〜40°がさらに好
ましい。また、下取付円板13の表面から立ち上がる2
次曲面のごとく0°に近い角度から始まる曲線の回転体
が望ましい。この角度αが60°を超えると、著しく抵
抗が大きくなって、原液の噴霧用コロ11の円錐面15
への上昇が妨げられ、原液の均一微粒化が効果的に達成
されなくなる。
【0011】 図6は原液の均一上昇を示す模式図であ
り、図6に示すように、ある原液は噴霧用コロ11の下
部周面に付着し上昇を開始し、上下取付円板12,13
の回転に従って同様に回転することにより生じる遠心力
により噴霧用コロ11の円錐面15を上昇しつづけ、円
錐面15の上端付近において円錐面15を離れ噴霧され
る。また、他の原液は、その少し下、またその少し下と
コロ11の高さ方向に均一な膜状となって噴霧される。
この際、原液はその比重、粘度などにより相違はある
が、下部周面にやや厚く、上部周面でやや薄く形成され
る。このように、原液は噴霧用コロ11の円錐面15の
高さ方向にほぼ均一な量で噴霧され、その結果、均一な
微粒子が噴霧されることになる。
【0012】 一方、原液量が所定以上に多量になり、
あるいは高速回転で噴霧を行なう場合には、噴霧用コロ
11の円錐面15上に存在する多量の原液が所定以上の
大きな力でコロ11の上端部に上昇することになる。つ
まり、噴霧用コロ11の円錐面15は傾斜しているた
め、液の上昇パターンが上方に大きくなり易い。本発明
の噴霧用コロ11は、その上端部17において、具体的
には噴霧用コロ11の高さ全体の上部40%以下、望ま
しくは上部20%以下、さらに望ましくは上部5〜15
%の部分を、円錐面15から上方に向って径が大きくな
るようにアーク状に形成(R取り)しているため、噴霧
用コロ11の円錐面15上の原液の流れは、上端部17
近辺では下方向に抑制されることになり、所定量の噴霧
においては、上端部17に至るまで均一の液膜状の噴霧
となり、また、噴霧量が多量のときや高速回転での噴霧
の際にも、過度な上方への噴霧を抑制することになり、
ほぼ均一な微粒子が形成されることになる。
【0013】 ここで、噴霧用コロ11の下端部18お
よび上端部17の径、その差、円錐曲面の変化の程度
は、原液の比重、粘度等、また噴霧用コロ11が上下取
付円板12,13に固定されているか、回転自在になっ
ているかにより最適なものが選定される。
【0014】 図3は本発明の噴霧盤を用いた噴霧乾燥
装置の一例を示す一部断面図である。20は乾燥室で、
乾燥室20の頂部に本発明の噴霧盤21が設けられ、回
転軸22により回転されるようになっている。23は原
液供給管、24は液分配器で、ともに噴霧盤21の上方
に設置されて、原液供給管23からの原液を噴霧盤21
へ供給するように形成されている。25は噴霧盤21の
回転軸22の支持枠で、26は加熱ガス導入部である。
また、27は微粉体の排出口、28はサイクロン、29
は排気口である。
【0015】 上記のように構成された噴霧乾燥装置に
おいて、原液供給管23から導入された原液は、液分配
器24でほぼ均一に分配されて噴霧盤21に供給され
る。噴霧盤21においては、前記したように、原液はほ
ぼ均一な微粒子になり、しかも噴霧用コロ11の円錐面
15上の原液の流れが上端部17近辺では下方向に抑制
されることになり、所定量の噴霧においては、上端部1
7に至るまで均一の液膜状の噴霧となり、また、噴霧量
が多量のときや高速回転での噴霧の際にも、過度な上方
への噴霧を抑制することになり、ほぼ均一な微粒子が形
成されることになる。
【0016】 そして、噴霧盤21から噴霧されたほぼ
均一な微粒子(微液滴)は、噴霧盤21の周囲に加熱ガ
ス導入部26から吹き込まれる加熱ガスにより瞬時に加
熱乾燥され、微粉体となる。そして、微粉体は自身の重
量により乾燥室20の底部に大部分沈下し、排出口27
よりを介して取り出されるが、微粉体の一部は加熱ガス
に同伴されて排気口29を通りサイクロン28から回収
される。
【0017】
【実施例】 次に、本発明を実施例に基づき更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるもので
はない。
【0018】(実施例1)噴霧乾燥装置を使用して、本
発明に係る噴霧盤と従来の噴霧盤とを比較した。使用し
た噴霧乾燥装置は、大川原化工機(株)製OC−16型
の乾燥室径が1600mmφの装置であり、原液として
チタン酸バリウムの55重量%スラリーを用い、熱風
(加熱ガス)温度が200℃、排風温度が約95℃、ス
ラリー供給量が約14kg/hrの条件で、各種の噴霧
盤の造粒乾燥テストを各々約2時間実施した。その結果
を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】 表1のうち、テストNo.1〜2は実公
昭61−10767号に基づいたコロ形状の噴霧盤(図
7参照、寸法:高さ10mm、下部径が12mmφ、上
端径が5.1mmφ)、テストNo.3〜4は下端部は
実公昭61−10767号に基づき、上部45%に大き
くRを取り(アーク状に形成し)、鼓状(回転双曲体に
類似のもの)に形成した噴霧盤(図8参照、寸法:高さ
10mm、下部径が12mmφ、上端径が11mm
φ)、テストNo.5〜6は本発明による噴霧盤で、上
端部にコロの高さの約10%のRを取った(アーク状に
形成した)もの(図9参照、寸法:高さ10mm、下部
径が12mmφ、上端径が6.5mmφ)である。
【0021】 なお、上部取付円板下面におけるそれぞ
れの摩耗痕は、深さ、長さ、幅とも異なっており、主に
深さと数から次のように判断して、表1に示した。 多:深さが30μmを超すものがあり、数がコロ一個あ
たり、コロ面又は上部取付円板下面に3個以上見られた
もの 小:深さが30μm〜10μm程度であり、数がコロ一
個あたり、コロ面又は上部取付円板下面に1〜4個見ら
れたもの 微小:深さが20μmより小さく、数がコロ一個あた
り、コロ面又は上部取付円板下面に0〜3個見られたも
【0022】 また、上部取付円板下面の付着は、運転
終了時に掻き取ったもので、0.5g超を中、0.2〜
0.5gを小、0.2g未満を微小とした。乾燥室壁面
の付着は、幅100mm、高さ300mmのステンレス
板への付着量で判断し、5g超を有、5〜1gを少々、
1g未満を無とした。
【0023】 表1の結果から明らかなように、上端部
のRが大きすぎると、摩耗、付着(スケーリング)につ
いては効果があるが、得られる微粉体の平均粒子径D50
が大となり、また、微粉体の粒度分布の程度を示すD50
+σ/D50−σ[対数正規分布における標準偏差の正、
負の位置による粒子径の比]の値が大きくなり、粒度分
布が広くなってしまい、良い微粒化特性を示さない。一
方、本発明の噴霧盤によれば、平均粒子径D50、D50
σ/D50−σとして、実公昭61−10767号に基づ
く噴霧盤と同等の値を保持し、かつ、上部取付円板下面
の摩耗・付着も少なく、またコロ上端の摩耗が少ないた
め、長期間の使用にも耐え得る耐久性の良好な噴霧盤を
得ることができる。
【0024】(実施例2)摩耗性の強いセラミックスス
ラリー(この実施例ではアルミナスラリー)を原液とし
て用いた噴霧乾燥装置について、本発明に係る噴霧盤と
従来の噴霧盤とを比較した。使用した噴霧乾燥装置は、
乾燥室径が4500mmφで、原液の固形分濃度が60
重量%のスラリーを150kg/hrで供給し、入口熱
風(加熱ガス)温度が220℃、排風温度が110℃の
条件で運転した。
【0025】 従来の実公昭61−10767号に基づ
く噴霧盤は、噴霧用コロがジルコニア製、上部取付円板
および下部取付円板はともにSUS304製であり、上
部取付円板の摩耗、コロの摩耗で約3ヶ月で得られる微
粉体の粒度分布が変わり、噴霧盤の取り替えが必要であ
った。そこで、本発明の噴霧用コロ(高さが10mm、
上端部のRが1.2mm、下部径が12mmφ、上端径
が6.5mmφで、材質はジルコニア製)、上部取付円
板および下部取付円板がともにSUS304製である噴
霧盤に交換して、使用した。
【0026】 その結果、5ヶ月を経過しても微粉体の
粒度分布はほぼ一定で、6ヶ月以上の耐久性が見込まれ
るものであった。すなわち、本発明の噴霧盤によれば、
寿命は従来のものに比し約2倍になるとともに、装置運
転途中での微粉体の粒度分布の測定の頻度の低減、得ら
れる微粉体の品質の安定等、顕著な効果が得られた。
【0027】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれ
ば、噴霧盤の噴霧用コロを特定形状に形成したので、原
液はほぼ均一な微粒子になり、噴霧用コロの円錐面上の
原液の流れが上端部近辺では下方向に抑制され、所定量
の噴霧においては、上端部に至るまで均一の液膜状の噴
霧となり、また、噴霧量が多量のときや高速回転での噴
霧の際にも、過度な上方への噴霧を抑制することにな
り、ほぼ均一な微粒子が形成され、耐久性が増大すると
いう顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る噴霧盤の一例を示す一部断面側
面図である。
【図2】 本発明の噴霧盤に用いる噴霧用コロの一例を
示す断面図である。
【図3】 本発明の噴霧盤を用いた噴霧乾燥装置の一例
を示す一部断面図である。
【図4】 従来の遠心式噴霧装置に用いる噴霧盤の一例
を示す断面図である。
【図5】 従来の遠心式噴霧装置に用いる噴霧盤の他の
例を示す断面図である。
【図6】 原液の均一上昇を示す模式図である。
【図7】 実公昭61−10767号に基づいたコロ形
状の噴霧盤を示す説明図である。
【図8】 下端部は実公昭61−10767号に基づ
き、上端部に大きくRを取り鼓状に形成した噴霧盤を示
す説明図である。
【図9】 本発明による噴霧盤の一実施例を示す説明図
である。
【符号の説明】
10…噴霧盤の回転軸、11…噴霧用コロ、12…上部
取付円板、13…下部取付円板、15…噴霧用コロの円
錐面、16…噴霧用コロの底面、17…噴霧用コロの上
端部、18…噴霧用コロの下端部、20…乾燥室、21
…噴霧盤、22…回転軸、23…原液供給管、24…液
分配器、25…噴霧盤の回転軸の支持枠、26…加熱ガ
ス導入部、27…微粉体の排出口、28…サイクロン、
29…排気口。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下取付円板の間のほぼ周縁に沿ったほ
    ぼ同心円上に複数の噴霧用コロを固定又は回転可能に取
    り付けて構成された噴霧盤であって、 該噴霧用コロをほぼ円錐状に形成するとともに、その上
    端部を円錐面から上方に向って径が大きくなるようにア
    ーク状に形成したことを特徴とする噴霧盤。
  2. 【請求項2】 該噴霧用コロの上端部であって、コロの
    高さ全体の40%以下の部分を、円錐面から上方に向っ
    て径が大きくなるようにアーク状に形成した請求項1記
    載の噴霧盤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の噴霧盤と、該噴霧
    盤に原液を供給する原液供給手段とを備えたことを特徴
    とする噴霧装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の噴霧装置を装置頂部に設
    けるとともに、該噴霧装置から噴霧された原液を加熱乾
    燥するための加熱ガス導入手段を設けたことを特徴とす
    る噴霧乾燥装置。
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