JP2006326396A - 噴霧盤、噴霧装置及び噴霧乾燥機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 噴霧される液滴への浮遊粒子の付着の抑制が図られた噴霧盤、噴霧装置及び噴霧乾燥機を提供する。
【解決手段】 本発明に係る噴霧盤34においては、上部取付円板52に形成された貫通孔52aを介して上下取付円板50に原液が供給されると、原液は上下取付円板50の周縁方向に流れ、噴霧用コロ62の周面62aに沿って上昇して膜状となる。膜状となった後、原液は、液滴状となって噴霧用コロ62の周面62aから離脱し、上下取付円板50から外方に噴霧される。なお、上部取付円板52の上面52bにはピン55が立設されているため、このピン55によって貫通孔52aへ向かう空気の流れが遮られる。それにより、上下取付円板50内に流入する空気の量が抑制される。そのため、浮遊粒子の上下取付円板50内への吸い込みが抑制され、噴霧盤34から噴霧される液滴に浮遊粒子が付着する事態が抑制される。
【選択図】 図5
【解決手段】 本発明に係る噴霧盤34においては、上部取付円板52に形成された貫通孔52aを介して上下取付円板50に原液が供給されると、原液は上下取付円板50の周縁方向に流れ、噴霧用コロ62の周面62aに沿って上昇して膜状となる。膜状となった後、原液は、液滴状となって噴霧用コロ62の周面62aから離脱し、上下取付円板50から外方に噴霧される。なお、上部取付円板52の上面52bにはピン55が立設されているため、このピン55によって貫通孔52aへ向かう空気の流れが遮られる。それにより、上下取付円板50内に流入する空気の量が抑制される。そのため、浮遊粒子の上下取付円板50内への吸い込みが抑制され、噴霧盤34から噴霧される液滴に浮遊粒子が付着する事態が抑制される。
【選択図】 図5
Description
本発明は、遠心式の噴霧装置に用いる噴霧盤、この噴霧盤を用いた噴霧装置、及びこの噴霧装置を用いた噴霧乾燥機に関するものである。
従来、薬剤や食料品などの流体や、セラミックスラリー等である原液を、噴霧盤や加圧ノズルによって液滴状にして高温ガス中に噴霧し、瞬時に乾燥固化させることで原液を粒子化する噴霧乾燥機が一般に知られている。このような噴霧乾燥機は、原液の粒子化の際に、原液のろ過や分離、機械的濃縮等の処理を省略できるという特長があり、多くの場合球状の粒子を得ることができる。
このような噴霧乾燥機のうち、噴霧盤を備えるタイプの噴霧乾燥機は、例えば、下記特許文献1に開示されている。この文献に記載の噴霧盤80は、図7の(a)及び(b)に示すように、上下取付円板81を構成する上部取付円板82と下部取付円板83との間に、円錐状の噴霧用コロ84が配置された構造を有している。そして、上部取付円板82の中央部には、原液を供給する原液供給管86が配置される円形断面の貫通孔82aが形成されている。
この噴霧盤80を用いて原液の噴霧をおこなう際には、高速回転する上下取付円板81に、上部取付円板82側から、上記貫通孔82aを介して原液供給管86による原液の供給をおこなう。すると、原液は遠心力によって上下取付円板81の周縁方向に流れる。そして、原液は、上下取付円板81の周縁に配置された噴霧用コロ84まで達すると、噴霧用コロ84の周面84aに沿って上昇した後、液滴状になって噴霧される。
特開平9−131550号公報
この噴霧盤80を用いて原液の噴霧をおこなう際には、高速回転する上下取付円板81に、上部取付円板82側から、上記貫通孔82aを介して原液供給管86による原液の供給をおこなう。すると、原液は遠心力によって上下取付円板81の周縁方向に流れる。そして、原液は、上下取付円板81の周縁に配置された噴霧用コロ84まで達すると、噴霧用コロ84の周面84aに沿って上昇した後、液滴状になって噴霧される。
ここで、高速で回転される上下取付円板81の内部気圧は、環境空気の気圧よりも低い状態(すなわち負圧状態)となっている。そのため、上下取付円板81には、噴霧盤80の周囲に浮遊する微細な粒子(以下、浮遊粒子と称す。)を含んだ多量の空気が、上部取付円板82の貫通孔82aから図7(a)の矢印Rの流入経路を通って流入する。この浮遊粒子が噴霧盤80から噴霧される液滴と結合すると、図8の写真に示すように浮遊粒子が付着した粒子が形成される。それにより、所望の粒径を有する粒子を作製しようとした場合に、各粒子の粒径が、実際の粒径よりも大きく測定されてしまうような事態が生じることがあった。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、噴霧される液滴への浮遊粒子の付着の抑制が図られた噴霧盤、噴霧装置及び噴霧乾燥機を提供することを目的とする。
本発明に係る噴霧盤は、上部取付円板と下部取付円板とを有する上下取付円板と、上下取付円板の間の略周縁に沿って配置された略円錐状の複数の噴霧用コロとを備え、上下取付円板の上部取付円板の中央部には貫通孔が形成されており、且つ、上部取付円板の上面の貫通孔よりも外周縁側には柱状部材が立設されていることを特徴とする。
この噴霧盤においては、上部取付円板に形成された貫通孔を介して上下取付円板に原液が供給されると、原液は上下取付円板の周縁方向に流れ、噴霧用コロの周面に沿って上昇して膜状となる。膜状となった後、原液は、液滴状となって噴霧用コロの周面から離脱し、上下取付円板から外方に噴霧される。この上下取付円板の内部が負圧状態になった際には、上部取付円板の上記貫通孔から噴霧盤の周囲の空気が上下取付円板内に流入するが、上部取付円板の上面に立設された柱状部材が貫通孔周りを公転するため、この柱状部材によって貫通孔へ向かう空気の流れが遮られる。それにより、上下取付円板内に流入する空気の量が抑制される。そのため、噴霧盤の周囲に浮遊粒子が存在している場合には、その浮遊粒子の上下取付円板内への吸い込みが抑制され、噴霧盤から噴霧される液滴に浮遊粒子が付着する事態が抑制される。
本発明に係る噴霧装置は、上部取付円板と下部取付円板とを有する上下取付円板と、上下取付円板の間の略周縁に沿って配置された略円錐状の複数の噴霧用コロとを有する噴霧盤と、噴霧盤の上方に位置し、噴霧盤の上下取付円板を回転させる回転軸と、上下取付円板に上部取付円板側から原液を供給する原液供給手段と、を収容したケーシングとを備え、噴霧盤の上下取付円板の上部取付円板の中央部には、原液供給手段が配置される貫通孔が形成されており、且つ、上部取付円板の上面の貫通孔よりも外周縁側には柱状部材が立設されていることを特徴とする。
この噴霧装置においては、上部取付円板に形成された貫通孔を介して上下取付円板に原液が供給されると、原液は上下取付円板の周縁方向に流れ、噴霧用コロの周面に沿って上昇して膜状となる。膜状となった後、原液は、液滴状となって噴霧用コロの周面から離脱し、上下取付円板から外方に噴霧される。回転軸によって回転されて上下取付円板の内部が負圧状態になった際には、上部取付円板の上記貫通孔から噴霧盤の周囲の空気が上下取付円板内に流入するが、上部取付円板の上面に立設された柱状部材が貫通孔周りを公転するため、この柱状部材によって貫通孔へ向かう空気の流れが遮られる。それにより、上下取付円板内に流入する空気の量が抑制される。そのため、噴霧盤の周囲に浮遊粒子が存在している場合には、その浮遊粒子の上下取付円板内への吸い込みが抑制され、噴霧盤から噴霧される液滴に浮遊粒子が付着する事態が抑制される。
本発明に係る噴霧乾燥機は、上部取付円板と下部取付円板とを有する上下取付円板と、上下取付円板の間の略周縁に沿って配置された略円錐状の複数の噴霧用コロとを有する噴霧盤と、噴霧盤の上方に位置し、噴霧盤の上下取付円板を回転させる回転軸と、上下取付円板に上部取付円板側から原液を供給する原液供給手段と、を収容したケーシングと、噴霧盤を収容する噴霧乾燥室と、噴霧乾燥室内に、噴霧盤から噴霧される原液を加熱乾燥するための高温ガスを供給するガス供給手段とを備え、噴霧盤の上下取付円板の上部取付円板の中央部には、原液供給手段が配置される貫通孔が形成されており、且つ、上部取付円板の上面の貫通孔よりも外周縁側には柱状部材が立設されていることを特徴とする。
この噴霧乾燥機においては、上部取付円板に形成された貫通孔を介して上下取付円板に原液が供給されると、原液は上下取付円板の周縁方向に流れ、噴霧用コロの周面に沿って上昇して膜状となる。膜状となった後、原液は、液滴状となって噴霧用コロの周面から離脱し、上下取付円板から外方に噴霧される。回転軸によって回転されて上下取付円板の内部が負圧状態になった際には、上部取付円板の上記貫通孔から噴霧盤の周囲の空気が上下取付円板内に流入するが、上部取付円板の上面に立設された柱状部材が貫通孔周りを公転するため、この柱状部材によって貫通孔へ向かう空気の流れが遮られる。それにより、上下取付円板内に流入する空気の量が抑制される。そのため、噴霧盤の周囲に浮遊粒子が存在している場合には、その浮遊粒子の上下取付円板内への吸い込みが抑制され、噴霧盤から噴霧される液滴に浮遊粒子が付着する事態が抑制される。
本発明によれば、噴霧される液滴への浮遊粒子の付着の抑制が図られた噴霧盤、噴霧装置及び噴霧乾燥機が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明に係る噴霧盤、噴霧装置及び噴霧乾燥機を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
図1に、本発明の実施形態に係る噴霧乾燥機10の概略構成図を示す。この噴霧乾燥機10は、セラミックスラリー等である原液を液滴状にして噴霧すると共に、液滴状にした原液を乾燥固化することによって、原液から微細な球状の粒子を得るためのものであり、スプレードライヤとも称される。そして、噴霧乾燥機10は、噴霧乾燥室12と、噴霧乾燥室12の頂部に設けられた噴霧装置14と、噴霧装置14の周辺から噴霧乾燥室12内に熱風(すなわち、高温ガス)を供給するガス供給手段16とを備えている。
噴霧装置14は、さらに、2つの軸受け40A,40Bを有すると共に回転軸32を保持するハウジング42と、そのハウジング42及び原液供給管36を一体的に収容すると共に下方に向かうに従って漸次縮径しているロート状ケーシング44と、モータ30を覆うと共に噴霧装置14全体を釣止するためのモータカバー46とを備えている。なお、ケーシング44は、漸次縮径している上端側の可変径部48と、円筒状を有する下端側の均一径部49とを有しており、均一径部49は回転軸32の軸線方向に延びている。
このような構成を有する噴霧装置14においては、モータ30を駆動することにより、回転軸32が回転し、回転軸32に取り付けられた噴霧盤34が回転する。そして、回転している噴霧盤34に対して、原液供給管36から原液を供給すると、噴霧盤34の回転に伴う遠心力により噴霧盤34から原液の液滴が水平方向に沿う方向(図3の矢印A方向)に噴霧される。そして、噴霧された液滴は、図1に示した噴霧乾燥室12内において瞬時に乾燥固化されて粒子となり、その大部分が沈下して噴霧乾燥室12の底部の回収ポケット18に回収され、その一部は熱風に搬送されて排気口20を通りサイクロン24によって回収される。
次に、上述した噴霧盤34の構成について、図3及び図4を参照しつつ詳しく説明する。図3に示すように、噴霧盤34は、回転軸32と直交する上下取付円板50を有している。この上下取付円板50は、平行に配された上部取付円板52及び下部取付円板54と、上部取付円板52と下部取付円板54とを連結する複数の連結軸56とによって構成されている。
下部取付円板54の中央部には、回転軸32と螺合するためのナット部58が形成されており、このナット部58において下部取付円板54と回転軸32とを結合させて袋ナット60で締結することにより上下取付円板50と回転軸32とが一体的に回転する。
上部取付円板52は、円形断面の貫通孔52a(直径70mm)が中央部に形成された環状円板であり、貫通孔52aには上記原液供給管36が挿入される。上部取付円板52の外径(本実施形態では100mm)は、下部取付円板54の外径と略同一となっている。
上部取付円板52の上面52bには、内縁(すなわち、貫通孔52aの縁)に沿って、6本のピン(柱状部材、2mm径)が上下取付円板50の回転軸線Iから等距離の位置に等角度間隔で立設されている。このピン55は、断面円形の円柱部材であり、基端部側が上部取付円板52の上面に形成された図示しない穴に挿入されることにより上部取付円板52に取り付けられている。また、ピン55は、上部取付円板52に対して直交する方向、つまり回転軸32の軸線方向に延在している。ここで、上下取付円板50の回転軸線Iと各ピン55との離間距離D1は、回転軸線Iからケーシング44の均一径部49の外周面49aまでの距離D2よりも微小長さ(例えば、2mm)だけ大きくなっている。そのため、上部取付円板52に設けられた各ピン55は、上部取付円板52の上方に近接配置されるケーシング44の均一径部49の外周面49aに沿って、微小長さの離間距離が保たれるように延びている。また、上部取付円板52のピン55は、ケーシング44の均一径部49の上端に達する高さまで延びている。
上部取付円板52と下部取付円板54とを連結する複数本(本実施形態では18本)の連結軸56は、図4に示すように、上下取付円板50の周縁に沿って同心円状に等角度間隔で配置されている。そして、各連結軸56の周りには、噴霧用コロ62が回動自在に設けられている。つまり、この噴霧用コロ62も、連結軸56と同様に、下部取付円板54の周縁(すなわち、上下取付円板50の周縁)に沿って配置されている。この噴霧用コロ62は、下部取付円板54から上部取付円板へ向かって漸次縮径する略円錐状を有している。なお、噴霧用コロ62は、適宜回動しないように連結軸56に固定してもよい。
以上のような構成を有する噴霧盤34によって液滴の噴霧をおこなう際には、回転軸32により上下取付円板50を回転させている状態で、上部取付円板52側から上下取付円板50に貫通孔52aを介した原液供給管36による原液の供給をおこなう。すると、上下取付円板50に供給された原液は、遠心力によって下部取付円板54の上面54aを上下取付円板50の周縁方向に流れる。そして、原液が噴霧用コロ62まで達すると、噴霧用コロ62の周面62aに沿ってすくい上げられるように上昇して膜状となる。このとき、この膜状の原液の厚さは、噴霧用コロ62の高さ方向に関して略均一となっている。原液は、噴霧用コロ62において膜状となった後、液滴状になって噴霧用コロ62の周面62aから離脱し、図3の矢印Aに示すように上下取付円板50から外方に噴霧される。このように、噴霧用コロ62によって原液を一旦均一厚さの膜状にすることで、噴霧される液滴の径がある程度均一化される。
続いて、噴霧盤34による噴霧がおこなわれている際の噴霧盤34周辺の空気の流れについて、図5を参照しつつ説明する。
上述したように、噴霧盤34によって噴霧された液滴は、噴霧乾燥室12内において瞬時に乾燥固化されて粒子となり回収ポケット18やサイクロン24で回収される。ところが、噴霧乾燥室12内において形成される粒子には、所望の粒径に略一致する標準的な粒径を有する粒子(以下、標準粒径粒子と称す。)の他に、標準粒径粒子の粒径に比べて著しく粒径の小さい微細な粒子(以下、微細粒子と称す。)も形成されることがある。そして、標準粒径粒子は、自重によって噴霧乾燥室12内を落下して回収ポケット18やサイクロン24で回収されるが、上記微細粒子は、自重が小さいために落下せずに噴霧乾燥室12内を浮遊する状態となる。
そのため、回転軸32によって高速回転されて上下取付円板50内が負圧になると、噴霧盤34の周囲に浮遊する微細粒子(以下、浮遊粒子とも称す。)を含んだ空気が、上部取付円板52の貫通孔52aから上下取付円板50内に流れ込もうとする。なお、上下取付円板50が回転しているときには、上部取付円板52の上面52bに立設されたピン55が貫通孔52a周りを公転し、そのピン55の公転軌跡によって円管状の仮想壁部55Aが形成される(図4参照)。そのため、空気の流通経路は、図5の矢印RAに示したとおりとなる。つまり、噴霧盤34の周囲の空気は、ケーシング44の均一径部49と仮想壁部55Aとの間の空隙を通って貫通孔52aに向かう。なお、図5の矢印RBは、ピン55がない場合の仮想的な空気の流通経路を示している。
この図5から明らかなように、上部取付円板52にピン55が設けられている場合(矢印RAの流通経路)は、ピン55によって形成される仮想壁部55Aによって、噴霧盤34の周囲から直接貫通孔52aへ向かう空気の流れ(矢印RBの流通経路)が遮られるため、上下取付円板50内への空気の流入が阻害される。加えて、上部取付円板52のピン55を設けたことによって、噴霧盤34の周囲から貫通孔52aを経由して上下取付円板50の内部に至る空気の流通経路の伸長化が図られている。
すなわち、噴霧盤34の周囲の空気は、上下取付円板50の内部に流入しにくい状態となっており、浮遊粒子を含んだ空気の上下取付円板50への流入量が低減されている。それに伴い、上下取付円板50内に吸い込まれる浮遊粒子の数が減少するため、噴霧盤34から噴霧される液滴に浮遊粒子が付着する事態が抑制される。従って、上部取付円板52にピン55が設けられた上述の噴霧盤34、噴霧装置14及び噴霧乾燥機10を用いることで、噴霧される液滴への浮遊粒子の付着の抑制が実現されている。
それにより、浮遊粒子が液滴に付着した結果生じると考えられる浮遊粒子が周りに付着した標準粒径粒子(図8参照)の形成が抑制されている。従って、噴霧盤34、噴霧装置14及び噴霧乾燥機10を用いて形成された粒子の粒径が、実際の粒径よりも大きく測定されてしまう事態も有意に抑制されている。
なお、上記浮遊粒子が所定量の空気中に含まれる割合(浮遊粒子含有率)は、噴霧盤34の上側に向かうにつれて次第に減少する。そのため、上部取付円板52にピン55を設けて、図5に示すように空気の流入位置を従来の位置PBから位置PAに上昇させたことで、より有効に浮遊粒子の上下取付円板50への流入量の低減が実現されている。より効果的に浮遊粒子の吸い込み量を低減するために、ピン55を伸長させて、ケーシング44の可変径部48に沿うようにすることも可能である。浮遊粒子の上下取付円板50への吸い込み量を低減するその他の方法としては、例えば、ピン55をケーシング44に対してできるだけ近接させて空気の流通経路を狭小化する方法等が挙げられる。
上述したピン55の断面形状は、円形断面に限らず、楕円形断面や多角形断面、環状断面等に変更することができ、ピン55の数も、6本に限定されず、1本や10本など適宜増減することができる。ピン55の数を増加させていくと、上述した仮想壁部55Aと実質的に同一なピン集合体が形成されることとなる。ただし、仮想壁部55Aのような壁部やピン集合体を設けた場合には、上下取付円板50が回転する際の空気抵抗等の負荷が大きくなりすぎ、モータ30のエネルギー損失が増大してしまう。そのため、ピン55の断面形状や数は、上下取付円板50が回転する際の負荷を考慮して決定することが好ましい。
本発明に係る噴霧盤の効果を明らかなものとするため、以下、実施例及び比較例を用いて説明する。
発明者らは、上述した実施形態に係る噴霧盤34と同様の噴霧盤(以下、噴霧盤Aと称す。)と、従来技術に係る噴霧盤80と同様の噴霧盤(以下、噴霧盤Bと称す。)とを用意して、それぞれの噴霧盤を用いてセラミックスラリーを粒子化する実験をおこなった。そして、両噴霧盤A,Bを比較するために、それぞれの噴霧盤によって粒子化された粒子の粒度分布を測定した。なお、粒径に影響を与える噴霧盤の周速(25m/sec)等の諸条件は、両噴霧盤A,Bにおいて同一にして実験をおこなった。
粒度分布の測定結果は、図6のグラフに示すとおりであった。なお、図6のグラフの横軸は粒径(μm)を示しており、縦軸は累積分率(%)を示している。また、このグラフにおいては、噴霧盤Aで粒子化した粒子の粒度分布(累積度数曲線)は実線で示しており、噴霧盤Bで粒子化した粒子の粒度分布(累積度数曲線)は破線で示している。
このグラフから明らかなように、噴霧盤Aを用いた場合には、噴霧盤Bを用いた場合に比べて、粒径の大きな粒子の低減が図られている。これは、噴霧盤Aを用いた場合には、浮遊粒子が標準粒径粒子に付着する事態が抑制されているが、噴霧盤Bを用いた場合には、多くの標準粒径粒子に浮遊粒子が付着したために実際の粒径よりも測定値が大きくなったためであると考えられる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、ピンは、上部取付円板と一体であってもよい。また、ピンは、必ずしも上部取付円板の内縁に沿って設ける必要はなく、貫通孔よりも上部取付円板の外周縁側であれば、上部取付円板の外縁に沿うように設けてもよく、外縁と内縁との間の任意の位置に設けてもよい。さらに、ピンは、必ずしも一直線状である必要はなく、必要に応じて屈曲させたり湾曲させたりすることもできる。上述した噴霧乾燥機は、セラミック粒子以外の粒子を作製する際に利用してもよい。
10…噴霧乾燥機、12…噴霧乾燥室、14…噴霧装置、16…ガス供給手段、32…回転軸、34…噴霧盤、36…原液供給管、50…上下取付円板、52…上部取付円板、52a…貫通孔、54…下部取付円板、55…ピン、62…噴霧用コロ。
Claims (3)
- 上部取付円板と下部取付円板とを有する上下取付円板と、前記上下取付円板の間の略周縁に沿って配置された略円錐状の複数の噴霧用コロとを備え、
前記上下取付円板の前記上部取付円板の中央部には貫通孔が形成されており、且つ、前記上部取付円板の上面の前記貫通孔よりも外周縁側には柱状部材が立設されている、噴霧盤。 - 上部取付円板と下部取付円板とを有する上下取付円板と、前記上下取付円板の間の略周縁に沿って配置された略円錐状の複数の噴霧用コロとを有する噴霧盤と、
前記噴霧盤の上方に位置し、前記噴霧盤の前記上下取付円板を回転させる回転軸と、前記上下取付円板に前記上部取付円板側から原液を供給する原液供給手段と、を収容したケーシングとを備え、
前記噴霧盤の前記上下取付円板の前記上部取付円板の中央部には、前記原液供給手段が配置される貫通孔が形成されており、且つ、前記上部取付円板の上面の前記貫通孔よりも外周縁側には柱状部材が立設されている、噴霧装置。 - 上部取付円板と下部取付円板とを有する上下取付円板と、前記上下取付円板の間の略周縁に沿って配置された略円錐状の複数の噴霧用コロとを有する噴霧盤と、
前記噴霧盤の上方に位置し、前記噴霧盤の前記上下取付円板を回転させる回転軸と、前記上下取付円板に前記上部取付円板側から原液を供給する原液供給手段と、を収容したケーシングと、
前記噴霧盤を収容する噴霧乾燥室と、
前記噴霧乾燥室内に、前記噴霧盤から噴霧される原液を加熱乾燥するための高温ガスを供給するガス供給手段とを備え、
前記噴霧盤の前記上下取付円板の前記上部取付円板の中央部には、前記原液供給手段が配置される貫通孔が形成されており、且つ、前記上部取付円板の上面の前記貫通孔よりも外周縁側には柱状部材が立設されている、噴霧乾燥機。
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- 2005-05-23 JP JP2005149810A patent/JP2006326396A/ja active Pending
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