JP6078315B2 - ハイドロサイクロン分級装置 - Google Patents
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Description
そして、その旋回過程ではスラリーに強力な遠心力が作用し、各中空部の内周壁に近いほど比重又は粒度の大きい固体粒子となる傾向で半径方向に分布しながら旋回することになる。
一方、各中空部の中心軸付近では逆に上昇流が発生し、スラッジとして除去された固体粒子以外のろ液がその上昇流によって上方へ移送されて上部排出路から外部へ排出される。
しかし、前記ハイドロサイクロン分級装置では、スラリーの旋回流に作用する遠心力を利用して固体粒子の分級を行っているため、高い分級精度が要求される場合や固体粒子の分離粒子径を変更する場合や異なる質量の個体粒子を分離して成分分離を行う場合などにおいては、スラリーの供給速度を変更したり、サイクロン本体の逆円錐状の中空部における内面傾斜角度を変更する等の方法が採られるが、要求される分級条件に柔軟に対応することが困難である場合が多い。
そして、スラリーは円筒状の中空部101における羽根板104の立設固定区間よりも上部に設けたスラリー供給路105から内周面の接線方向へ導入されるが、スラリーは円管102の羽根板104の高速回転によってその旋回が促進され、スラリーに作用する遠心力を増大させて比較的比重の軽い微粒子も補足分離が可能になるとされている。
なお、このサイクロン式濾過装置では、長く構成された円筒状の中空部101における分級作用を大きく見込めるためか、サイクロン本体部100の下部に設けられた逆円錐状の中空部106は短く構成されている。
この装置では、サイクロン本体部200は円筒状の中空部201と逆円錐状の中空部202とからなり、円筒状の中空部201には接線方向からスラリーを供給するスラリー供給路203が、逆円錐状の中空部202の下端にはスラッジを排出する下部排出路204が設けられていると共に、サイクロン本体部200の上方からその中央部へ貫通・垂下させた円管205の先端が上部排出口205aとされ、サイクロン本体部200の天井部において前記円管205を中心固定軸として回転する羽根車206が設けられている点に特徴がある。
そして、サイクロン本体部200の天井部分に相当するプーリー210の下端面に羽根車206が取り付けられているが、羽根車206は環状板206aの下側面に4枚の羽根板206bを90°の中心角毎に放射方向へ取り付けた構成からなり、モータ(図示せず)によって駆動されるベルト213を介してプーリー210が回転せしめられることにより羽根車206が回転するようになっている。
なお、下記特許文献2では、羽根車206の構成のものだけでなく、単に環状板206aだけからなる天板や、環状板206aに対して羽根板206bの代わりに円管205と同軸状に円筒を取り付けたものを整流部材として用いる場合についても提案がなされている。
このハイドロサイクロン分級装置は、スラリー供給路203からスラリーを供給しながら羽根車206や整流部材を回転させることにより、分級点の変更範囲をより大きくでき、分級精度も向上させることができるとされている。
(1) サイクロン本体内でより滑らかな旋回流を形成することが分級性能の向上につながる。
(2) 円管の管径を小さくし、また円管の挿入長さを大きくして上部排出口の位置を低くするほど分級性能が向上するが、圧力損失が大きくなり、圧力損失は円管の管径のほぼ2乗に逆比例して増大する。
(3) サイクロン本体における逆円錐状の中空部が長くなるにしたがい、分級点や分級精度指数が共に向上する。
前記特許文献2においては、羽根板206bを用いずに、環状板206aだけからなる天板、又は円管205と同軸状に円筒を取り付けて整流部材とすることも開示している。
しかし、その場合には、乱流や脈流の発生を抑制できるとしても、天板や円筒の表面に対するスラリーの摩擦だけに依存した旋回流の加速は殆んど期待できず、前記特許文献2の段落[0052]に説明されているように前記表面の面粗さを大きくしたとしても、その効果は極めて限定的であろうと推察される。
すなわち、スラリー供給路から第1中空部へ供給されたスラリーは第1中空部の内壁面に案内されて旋回流となるが、回転駆動手段が回転軸を高速回転させることにより羽根車の各羽根が旋回流を加速させる。
そして、羽根車の円板は前記加速室と下側の中空部とを仕切る役割を果たし、円板と第1中空部の内壁面との間に構成されている環状流路を通じて、加速された高速旋回流だけが第1中空部の内壁面に沿って下側へ押し出されてゆく。
その場合、加速室では羽根車の羽根がスラリーの流速よりも早く回転しているため、その室内では乱流や脈流が発生しているが、羽根車の円板による仕切り機能によって環状流路だけで下側の中空部と通じており、室内の乱流や脈流の影響が下側の中空部へ伝播することを大幅に抑制できる。
また、加速室での乱流や脈流は特に各羽根板の最外周部付近で発生する傾向があり、加速室で加速されたスラリーの旋回流は前記付近から第1中空部の内壁面と羽根車の円板の外周面との間の環状流路を通過して下降してゆくため、その下降する旋回流に前記の乱流や脈流の影響が生じ易いが、各羽根板の最外周部が円板の最外周部より内側になるように構成しておくと、下降する旋回流と前記の乱流等とを離隔できるため、その影響を抑制して滑らかな旋回流が得られる。
したがって、本発明によれば、回転駆動手段を制御して羽根車の回転速度を変更することによりスラリーの旋回流の速度を変更でき、また滑らかな旋回流を環状流路から下側の第1中空部と第2中空部へ下降させることができるため、分級点をより小さい値から広い範囲で高精度に可変設定できる。
一方、スラッジとして固体粒子が除かれた後のろ液は第2中空部の下方から第1排出路の周囲を旋回しながら上昇し、羽根車の円板の下側に開口している第1排出路の管口からその管内を通じてサイクロン本体部の外部へ排出される。
上記特許文献1及び2では、回転軸を管体としてろ液を排出させる第1排出路を構成しているため、羽根や羽根車をベルト駆動方式で回転させざるを得ないが、本発明の場合には回転軸とは別の独立した第1排出路が設けられているため、羽根車はモータ等による直接駆動方式で回転させることができる。
圧力損失を少なくして分級性能の低下を生じさせないようにするためである。
これは、スラリー供給路の開口部の前方で羽根車を回転させると第1中空部に流入した直後のスラリーが撹拌されて乱流と脈流が多発し易く、むしろ流入した直後のスラリーが第1中空部の内壁面で一旦落ち着いた旋回流となった後に羽根車で加速した方が滑らかな旋回流が得られるからである。
円板の外周縁部分での旋回流の細かな乱れを抑制できると共に、加速されたスラリーの旋回流を加速室から環状流路を通じてより円滑に下降させることができる。
これは、スラリー供給路から第1中空部に流入したスラリーの旋回流の圧力分布は外周側が大きく中心側が小さい状態になり、実際にはスラリーは旋回しながら中心方向へ巻き込まれる傾向があるからであり、旋回流を効率的に加速させるには各羽根板の表面積を内側において大きくしておく方が効果的である。
これは、上記非特許文献1に示されているように、逆円錐状の中空部が長くなるにしたがって分級点や分級精度指数が共に向上するという傾向に基づく。
また、回転駆動手段であるモータと回転軸とを軸結合させた直接駆動方式により羽根車をより高速回転させることができ、前記効果と相俟って、従来よりも分級点を大幅に小さくすることも可能であり、ろ過装置としても適用できる。
<実施形態1>
この実施形態のハイドロサイクロン分級装置の構成は図1に示される。
同図において、1は中空筒体で構成されたサイクロン本体部であり、その内部には円筒状の第1中空部1aとその下側に連続した逆円錐状の第2中空部1bが構成されている。
このサイクロン本体部1の上端と下端にはそれぞれフランジ2,3が付設されており、フランジ2は軸受部4を備えた固定板5に、フランジ3は固定基台6にそれぞれボルトで締着されることにより、サイクロン本体部1が固定板5と固定基台6の間に固定されている。
なお、フランジ2と固定板5の当接面やフランジ3と固定基台6の当接面には適宜シール部材が施されている。
スラリーはこのスラリー供給路7を通じて外部から第1中空部1aへ供給されるが、スラリー供給路7の方向は第1中空部1aの内壁の接線方向と略平行な方向になるように固定されている。
そして、固定板5に取り付けられている軸受部4は回転軸8をサイクロン本体部1の中心軸と同軸上に軸支しており、その回転軸8の下端は第1中空部1aにおける前記スラリー供給路7より下側まで垂下し、その下端に羽根車9が取り付けられている。
ここに、軸受部4はラジアルベアリング10で回転軸8を軸支していると共に、サイクロン本体部1の各中空部1a,1bからの液漏れが生じないように回転軸10との間にメカニカルシール11が施されている。
また更には、管部材からなる第2排出路13が外部から第2中空部1bの下端近傍の側壁部を貫通して前記第1排出路12の周囲(水平底3aの上側)に開口している。
なお、第1排出路12と同水平底3aの間にはシール部材が施されており、第2排出路13は第2中空部1bの下端近傍の側壁部とフランジ3に対して溶接により水密固定されている。
なお、固定板5と各支柱14及びモータ取り付け板15と各支柱14の間は隅角に板材を溶接することにより補強されている。
具体的には、回転軸8の先端面に対して円板9aが溶接されていると共に、羽根板9bは長方形の板材からなり、その隣接する二辺の面が回転軸8と円板9aにそれぞれ溶接された構成になっている。
そして、軸受部4は回転軸8を軸支すると共に羽根車9の上下方向位置も定めているが、羽根車9における羽根板9bの最上部がスラリー供給路7の第1中空部1aに対する開口部7aの最下位置よりも下側になるように設定してある。
先ず、スラリー供給路7から中空部1aに供給されたスラリーは中空部1aの内壁に沿って旋回流となるが、その旋回流は未だ羽根車9の羽根板9bよりも上側にあるために羽根板9bに直接当たることはなく、それ以降の周回過程で羽根車9の位置へ下降し、スラリーはその流入速度よりも高速回転している羽根板9bによって加速される。
そして、加速されたスラリーの高速旋回流はスラリー供給路7から流入直後の旋回流よりも第1中空部1aの内壁側に強く押しやられた流れとなるが、その高速旋回流が前記環状流路18を通じて下方の第1中空部1aへ下降してゆく。
すなわち、羽根車9の円板9aは、第1中空部1aを仕切って上側を羽根板9bによる加速室19とし、その円板9aの周囲に形成されている環状流路18から加速後の高速旋回流だけを下降させ、加速室19で発生する乱流や脈流が下方へ影響しないようにする役割を果たしている。
そして、スラリーの高速旋回流が第1中空部1aと第2中空部1bの内壁面に沿って螺旋状に下降する過程においては、スラリーに作用する遠心力によって分散した固体粒子の内の粒度又は比重の大きい固体粒子が内壁面側へ押しやられ、旋回流の螺旋下降に伴って内壁面に沿って下降し、第2中空部1bの水平底3a付近にスラッジとなって堆積するが、そのスラッジは第2排出路13を通じてサイクロン本体部1の外部へ排出される。
但し、その単位時間当たりの排出量はスラリーの種類や分級条件によりバルブ20で調整される。
また、この実施形態の装置の構成によれば、加速室19が仕切られているため、羽根車9の回転速度を一定にしてスラリー供給路7からのスラリー流入速度を変化させると、環状流路18から下降する高速旋回流の軸方向の下降速度を前記流入速度に比例させることができ、スラリー流入速度によって分級点を制御することも可能である。
この実施形態は羽根車の構成に係り、図3はその羽根車を適用した場合のスラリー供給路、加速室及び羽根車の配置部分を示し、図4は羽根車自体の平面図と断面図である。
この羽根車31の羽根板31bは実施形態1のものと同様であるが、円板31aにおける各羽根板31bより外側にある環状部分31cが下側へ傾斜させて形成されている点に特徴がある。
また、実施形態1の円板9aの場合には、高速回転する円板9aの外周端面の近傍で生じた乱流が環状流路18を通過する高速旋回流に影響を与え易いが、傾斜面としたことでそれを抑制できる。
しがたって、この実施形態2の羽根車31を適用すると、より滑らかな高速旋回流を下降させることができ、分級性能の向上が図れる。
この実施形態も羽根車の構成に係る。図5はその羽根車の平面図と正面図であるが、ハイドロサイクロン分級装置では、前記実施形態1や2と同様に回転軸8の先端に取り付けられて、サイクロン本体部1の第1中空部1aにおいて第1スラリー供給部7の下側位置で回転する。
同図から明らかなように、この実施形態に係る羽根車32の円板32aに対する各羽根板32bの配置や固定の仕方は実施形態1の場合(図2)と同様であるが、各羽根板32bは内側(回転軸8側)が高く外側(外周側)が低くなっている。
したがって、羽根板32bを内周側において面積が大きく、外側にかけて小さくなるようにしておけば、旋回流をより効率的に加速できる。
また、この実施形態のように外周側が低くなっていると、羽根板32bの外周側における乱流や脈流の発生も少なくなり、加速された高速旋回流は滑らかなものとなって分級性能を向上させることができる。
この実施形態はサイクロン本体部の形状に特徴のあるハイドロサイクロン分級装置に係る。
図6はそのハイドロサイクロン装置の構成を示す断面図(モータ部は省略)であるが、実施形態1に係る図1と同一の符号で示されている機構要素等は同実施形態で説明したものと同一である。
すなわち、中空円筒状の第1中空部40aの大部分が羽根車9によるスラリーの加速室になっており、羽根車9の円板9aの下側が直に逆円錐状の第2中空部40bになっている。
また、その場合には第2中空部40bをそれだけ長く設計することができ、上記非特許文献1においても示唆されているように、その意味でも分級性能の向上が望める。
Claims (6)
- スラリー中に分散した固体粒子を粒度の大きさ又は比重の大きさによって分級するハイドロサイクロン分級装置であって、
円筒状の第1中空部とその下側に連続して下方が小径となる逆円錐状の第2中空部とが同軸状に形成されているサイクロン本体部と、
前記サイクロン本体部の外部から前記第1中空部へスラリーを供給する通路として、前記第1中空部の内壁の接線方向と略平行な方向に構成されているスラリー供給路と、
前記第1中空部の天井壁の上側で前記サイクロン本体部の前記第1中空部の中心軸と同軸上に軸支されており、前記天井壁を貫通して前記スラリー供給路の位置よりも下側の位置まで垂下した回転軸と、
円板の片側面に複数の羽根板が等分の中心角をもって配置されていると共に、前記各羽根板を、それぞれの最外周部が前記円板の最外周部より内側となるように、前記円板の中心から等距離の位置に立設させた構成からなり、前記円板における前記羽根板の立設面を上側にして、前記回転軸の中心軸が前記円板の中心を通過すると共に、前記回転軸の中心軸と前記円板の板面とが垂直な関係となるように、前記回転軸の先端部に固定された羽根車と、
円管部材からなり、前記サイクロン本体部の外部から前記第2中空部の下端部を貫通して、前記回転軸に取り付けられた前記羽根車の下方まで直伸した第1排出路と、
前記サイクロン本体部の外部から前記第2中空部の下端近傍で前記第1排出路の周囲へ通じる第2排出路と、
前記スラリー供給路から前記第1中空部へ供給されるスラリーの旋回方向へ前記羽根車を回転させるように、前記サイクロン本体部の上側で前記回転軸を回転駆動させる回転駆動手段と
を備えたことを特徴とするハイドロサイクロン分級装置。 - 前記第1中空部の内壁面と前記羽根車の円板の外周面との間に構成される環状流路の面積及び前記第1排出路の断面積が、前記スラリー供給路の断面積より大きく設定されている請求項1に記載のハイドロサイクロン分級装置。
- 前記羽根車における前記羽根板の最上部が前記スラリー供給路の前記第1中空部に対する開口部の最下位置よりも下側となるように、前記回転軸を前記第1中空部の天井壁の上側で軸支した請求項1又は請求項2に記載のハイドロサイクロン分級装置。
- 前記羽根車における前記各羽根板より外側にある前記円板の環状部分が下側へ傾斜させて形成されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載のハイドロサイクロン分級装置。
- 前記羽根車における前記各羽根板の内周側の高さが外周側の高さより大きく設定されている請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のハイドロサイクロン分級装置。
- 前記サイクロン本体部における前記第1中空部と前記第2中空部の境界が、前記羽根車における前記円板の位置又はその位置より僅かに下側に設定されている請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載のハイドロサイクロン分級装置。
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