JPH09119051A - 短繊維不織布 - Google Patents

短繊維不織布

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JPH09119051A
JPH09119051A JP7301949A JP30194995A JPH09119051A JP H09119051 A JPH09119051 A JP H09119051A JP 7301949 A JP7301949 A JP 7301949A JP 30194995 A JP30194995 A JP 30194995A JP H09119051 A JPH09119051 A JP H09119051A
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JP
Japan
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fiber
mol
polyester
component
glycol
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JP7301949A
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English (en)
Inventor
Bunpei Hosoi
文平 細井
Tetsuo Matsumoto
哲夫 松本
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Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性が優れた短繊維不織布を提供す
る。 【解決手段】 熱可塑性重合体からなる主体繊維30〜
90重量%と,下記(1)〜(4)を満足するポリエス
テルで形成されたバインダ繊維70〜10重量%とから
構成されたことを特徴とする短繊維不織布。 (1)芳香族ジカルボン酸成分の7〜50モル%がフタ
ル酸成分であり,グリコール成分の70〜95モル%が
エチレングリコール,かつ30〜5モル%がジエチレン
グリコールである。 (2)全酸成分に対するフタル酸成分のモル比(モル
%)と全グリコール成分に対するジエチレングリコール
のモル比(モル%)との総和が16〜110モル%であ
る。 (3)極限粘度が0.35以上である。 (4)色調b値が13以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,熱接着性を有する
熱融着型バインダ繊維を用いてなり,機械的特性が優れ
た短繊維不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年,枕や寝装具等あるいはマツトレス
等の生活資材用品の詰物,キルテイング品等の衣料品の
詰物の素材として,おむつ等の医療衛生材用素材とし
て,あるいはハードボードや植生シート等の産業資材用
の素材として種々の短繊維不織布が用いられている。一
般に,このような短繊維不織布は,主体繊維同士がバイ
ンダ繊維を介して接着されてなる構造を有するものであ
る。そして,このバインダ繊維としては,例えばポリプ
ロピレンを芯成分,ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型
ポリオレフイン系複合繊維(特開昭58−180614
号公報や同58−191215号公報),低軟化点コポ
リエステルからなる繊維,あるいは高軟化点ポリエステ
ルを芯成分,低軟化点コポリエステルを鞘成分とする芯
鞘型ポリエステル系複合繊維(米国特許第4,129,
675号)が知られている。これらのバインダ繊維を用
いてなる不織布は,層間剥離が少ない,嵩高な厚物を得
ることができる,耐洗濯性が優れる,ソフトな風合いが
得られる等の優れた特徴を有するものの,例えば次に示
すような種々の問題を有している。すなわち,ポリオレ
フイン系バインダ繊維を用いてなる不織布では,接着さ
れる主体繊維がポリオレフイン系である場合は主体繊維
とバインダ繊維間の接着力が高くて好ましいが,主体繊
維がポリエステル系である場合は,ポリオレフインとポ
リエステルとが相互に非相溶性であるため主体繊維とバ
インダ繊維間の接着力が乏しく,このためバインダ繊維
を多量に用いなければ不織布の機械的特性が向上しない
という問題がある。一方,ポリエステル系バインダ繊
維,特に酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を採
用し,かつグリコール成分としてエチレングリコールを
採用してなるコポリエステル系バインダ繊維を用いてな
る不織布では,接着処理工程で溶融時のコポリエステル
の流動性が悪いため接着自体が不十分となるため,仮に
接着ができても接着力が向上しないため,バインダ繊維
を多量に用いなければ不織布の機械的特性が向上しない
という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,前記問題を
解決し,熱接着性を有する熱融着型バインダ繊維を用い
てなり,機械的特性が優れた短繊維不織布を提供しよう
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,前記問題
を解決すべく鋭意検討の結果,本発明に到達した。すな
わち,以下の構成をその要旨とするものである。熱可塑
性重合体からなる主体繊維30〜90重量%と,下記
(1)〜(4)を満足するポリエステルで形成されたバ
インダ繊維70〜10重量%とから構成されたことを特
徴とする短繊維不織布。 (1)芳香族ジカルボン酸成分の7〜50モル%がフタ
ル酸成分であり,グリコール成分の70〜95モル%が
エチレングリコール,かつ30〜5モル%がジエチレン
グリコールである。 (2)全酸成分に対するフタル酸成分のモル比(モル
%)と全グリコール成分に対するジエチレングリコール
のモル比(モル%)との総和が16〜110モル%であ
る。 (3)極限粘度が0.35以上である。 (4)色調b値が13以下である。熱可塑性重合体から
なる主体繊維30〜90重量%と,下記(1)〜(4)
を満足するポリエステルを一構成要素として形成された
バインダ繊維70〜10重量%とから構成され,かつ前
記ポリエステルがバインダ繊維において繊維軸方向に連
続すると共に繊維表面の少なくとも一部を占有している
ことを特徴とする短繊維不織布。 (1)芳香族ジカルボン酸成分の7〜50モル%がフタ
ル酸成分であり,グリコール成分の70〜95モル%が
エチレングリコール,かつ30〜5モル%がジエチレン
グリコールである。 (2)全酸成分に対するフタル酸成分のモル比(モル
%)と全グリコール成分に対するジエチレングリコール
のモル比(モル%)との総和が16〜110モル%であ
る。 (3)極限粘度が0.35以上である。 (4)色調b値が13以下である。
【0005】
【発明の実施の形態】次に,本発明の短繊維不織布に関
して,詳細に説明する。本発明の短繊維不織布の特徴
は,特定のポリエステルバインダ繊維を用いてなる点に
ある。より具体的には,このバインダ繊維は,少なくと
も芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなり
上記(1)〜(4)を満足するポリエステル(以下,ポ
リエステルAという。)から形成されるものである。あ
るいは,このバインダ繊維は,少なくとも芳香族ジカル
ボン酸成分とグリコール成分とからなり上記(1)〜
(4)を満足するポリエステルを一構成要素として形成
され,かつバインダ繊維において該ポリエステルが繊維
軸方向に連続すると共に繊維表面の少なくとも一部を占
有しているものである。
【0006】本発明におけるポリエステルAの第1の特
徴は,芳香族ジカルボン酸成分の7〜50モル%が無水
フタル酸及び/又はフタル酸であり,グリコール成分の
70〜95モル%がエチレングリコール,30〜5モル
%がジエチレングリコールである点にある。芳香族ジカ
ルボン酸成分中の無水フタル酸及び/又はフタル酸の割
合いが7モル%未満であると,ポリエステルAの軟化温
度が高くなり,得られたバインダ繊維を用い熱接着処理
を施して不織布を作成するに際して処理温度を高くしな
ければならず,このとき必然的に主体繊維が軟化するた
め不織布強力や嵩高性が低下し,しかも綿の風合いが損
なわる。一方,無水フタル酸及び/又はフタル酸の割合
いが50モル%を超えると,ガラス転移温度が低下して
溶融紡出糸条が融着したり,あるいはチツプや綿を貯蔵
するに際して擬似的な接着いわゆるブロツキング現象を
生じたりして,好ましくない。したがって,本発明で
は,芳香族ジカルボン酸成分中の無水フタル酸及び/又
はフタル酸の割合いを7〜50モル%,好ましくは15
〜35モル%とする。グリコール成分中のエチレングリ
コールの割合いが70モル%未満(すわなちジエチレン
グリコールの割合いは30モル%を超える。)である
と,ポリエステルAの耐熱性や耐候性が低下する。一
方,エチレングリコールの割合いが95モル%を超える
(すなわちジエチレングリコールの割合いが5モル%未
満である。)と,ポリエステルAの軟化温度が200℃
を超えて高くなり,得られたバインダ繊維を用い熱接着
処理を施して不織布を作成するに際して処理温度を高く
しなければならず,このとき必然的に主体繊維が軟化す
るため不織布強力や嵩高性が低下し,しかも綿の風合い
が損なわれるため,好ましくない。したがって,本発明
では,グリコール成分中のエチレングリコール/ジエチ
レングリコールの割合いを70〜95モル%/30〜5
モル%,好ましくは80〜90モル%/20〜10モル
%とする。
【0007】次に,本発明におけるポリエステルAの第
2の特徴は,全酸成分に対する無水フタル酸及び/又は
フタル酸のモル比(モル%)と全グリコール成分に対す
るジエチレングリコールのモル比(モル%)との総和
(すなわち変性割合いを意味する。)が16〜110モ
ル%である点にある。この総和が16モル%未満である
と,ポリエステルAの軟化温度が200℃を超えて高く
なり,得られたバインダ繊維を用い熱接着処理を施して
不織布を作成するに際して処理温度を高くしなければな
らず,このとき必然的に主体繊維が軟化するため不織布
強力や嵩高性が低下し,しかも綿の風合いが損なわる。
一方,この総和が110モル%を超えると,ポリエステ
ルAの軟化温度が80℃より低くなり,このポリエステ
ルAを溶融紡糸するに際しての製糸性が低下したり,ま
たガラス転移温度が低下するため溶融紡出糸条が融着し
たり,あるいはポリエステルAのチツプや綿を貯蔵する
に際して擬似的な接着いわゆるブロツキング現象を生じ
たりする。したがって,本発明では,上記総和を16〜
110モル%,好ましくは40〜80モル%とする。
【0008】また,本発明におけるポリエステルAの第
3の特徴は,極限粘度が0.35以上である点にある。
極限粘度が0.35未満であると,このポリエステルA
を溶融紡糸するに際して,特にポリエステルAを一構成
要素として用い他の熱可塑性重合体と複合溶融紡糸する
に際して,製糸性が低下する。したがって,本発明で
は,極限粘度が0.35以上,好ましくは0.45以上
とする。
【0009】さらに,本発明におけるポリエステルAの
第4の特徴は,色調b値が13以下である点にある。色
調b値が13を超えると,ポリエステルAを用いて得た
バインダ繊維の色調が悪化する。したがって,本発明で
は,色調b値を13以下,好ましくは10以下とする。
【0010】このようなポリエステルAは,例えば,所
定温度に加熱され窒素ガスで制圧されたエステル化反応
条件下で,無水フタル酸(又はフタル酸)とエチレング
リコールとから得たエステル化反応物とテレフタル酸と
エチレングリコールとから得たエステル化反応物及びジ
エチレングリコールの所定量を重合反応缶に移送し,常
法により所定の極限粘度のコポリエステルが得られるま
で重縮合反応を行うことによって製造することができ
る。なお,重縮合反応は,通常,重縮合触媒の存在下で
行われ,一般的なアンチモン,ゲルマニウム,錫,チタ
ン,コバルト等の金属化合物や硫黄酸化物を用いて行
う。
【0011】本発明におけるバインダ繊維は,上記ポリ
エステルA単体からなるものであるが,ポリエステルA
を一構成要素として形成されかつ該ポリエステルAが繊
維軸方向に連続すると共に繊維表面の少なくとも一部を
占有しているものでもあってもよい。後者の繊維とは,
このポリエステルAとこれに対し相溶性を有する熱可塑
性重合体とが複合されてなり,かつポリエステルAが繊
維軸方向に連続すると共に繊維表面の少なくとも一部を
占有している構造を具備するものである。複合形態とし
ては,例えば一般的な接合型の他に,多層接合型,同心
芯鞘型,偏心芯鞘型あるいは海島型等種々の形態が挙げ
られる。ここで肝要なことは,いずれの複合形態であっ
ても上述したように,該ポリエステルAが繊維軸方向に
連続すると共に繊維表面の少なくとも一部を占有してい
る構造とすることである。バインダ繊維にこのような構
造を具備せしめることにより,この繊維を介した主体繊
維同士の熱接着により形成された不織布において,接着
点が多数しかも良好に形成され,したがって不織布の形
態保持性のみならず不織布強力が向上する。バインダ繊
維の複合形態を,複合繊維を溶融紡糸するに際しての製
糸性の観点からみると,芯鞘型を選択する(ここでは,
鞘成分がポリエステルAである。)のが製糸性が良好と
なり好ましい。後者の繊維において,ポリエステルAに
対し相溶性を有する熱可塑性重合体としては,ポリエチ
レンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステル,ナイロン6やナイロン66等のポリアミ
ド,ポリエチレンやポリプロピレン等に代表されるポリ
オレフイン等が挙げられる。なお,経済性の観点からみ
れば,ポリエチレンテレフタレートを採用するのが好ま
しい。
【0012】本発明におけるバインダ繊維の単糸繊度は
特に限定されるものではないが,好ましくは1〜5デニ
ール,より好ましくは2〜4デニールであるのがよい。
この単糸繊度が1デニール未満であると,繊維が細過ぎ
るためバインダ繊維を製造するに際して溶融紡糸時の製
糸性や以降の延伸性が低下し,一方,単糸繊度が5デニ
ールを超えると,繊維が太過ぎるため得られた不織布に
粗硬感が生じたり,あるいはのため,いずれも好ましく
ない。
【0013】本発明における主体繊維の素材は,ポリエ
ステルAと熱接着が可能な熱可塑性重合体であれば特に
限定されるものではなく,例えばポリエチレンテレフタ
レートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル,ナイロン6やナイロン66あるいはナイロン610
等のポリアミド,各種ポリエチレンやポリプロピレン等
に代表されるポリオレフイン等が採用可能であるが,ポ
リエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレー
トあるいはこれらを主体とするコポリエステルを採用す
るのがの点で好ましい。
【0014】本発明の短繊維不織布は,上記熱可塑性重
合体からなる主体繊維30〜90重量%とポリエステル
Aで形成されたバインダ繊維70〜10重量%とから構
成されるものである。あるいは,上記主体繊維30〜9
0重量%とポリエステルAを一構成要素として形成され
かつ該ポリエステルAが繊維軸方向に連続すると共に繊
維表面の少なくとも一部を占有しているバインダ繊維7
0〜10重量%とから構成されるものである。本発明の
不織布では,上記バインダ繊維が70〜10重量%の範
囲で存在することが必要である。バインダ繊維が70重
量%を超えると,この繊維を介して主体繊維同士を熱接
着して形成した不織布において,主体繊維の存在が少な
過ぎるため十分な不織布強力が得られない。一方,バイ
ンダ繊維が10重量%未満であると,この繊維を介して
主体繊維同士を熱接着して形成した不織布において,接
着点が十分に形成されず,不織布強力が向上しないばか
りか不織布の形態保持性すら得られない。したがって,
本発明では,主体繊維/バインダ繊維の存在比(重量
比)を30〜90重量%/70〜10重量%とする。
【0015】本発明の短繊維不織布は,次の方法により
効率よく製造することができる。まず,ポリエチレンテ
レフタレートに代表されるような通常の熱可塑性重合体
からなる主体繊維を製造する。すなわち,重合体を複数
の紡糸孔が穿設された紡糸口金から溶融紡出し,紡出長
繊維群を冷却した後引き取り,集束して10万デニール
程度を超える未延伸トウとし,得られた未延伸トウを例
えば複数段熱ローラ延伸装置を用い延伸して延伸トウと
し,延伸トウに押込み型捲縮付与装置により機械捲縮を
施した後,所定長に切断して短繊維とする。このとき,
単糸繊度は用途にもよるが,通常,2〜4デニール程度
とするのがよい。また,切断長は,30〜80mm,好
ましくは40〜60mm程度とするのがよい。他方,上
記ポリエステルAを少なくとも一構成要素とするバイン
ダ繊維を製造する。すなわち,ポリエステルA単独を複
数の紡糸孔が穿設された紡糸口金から溶融紡出し,ある
いはポリエステルAと他の熱可塑性重合体とを複数の複
合紡糸孔が穿設された複合紡糸口金から溶融紡出し,以
降は主体繊維の場合とほぼ同様にしてバインダ繊維を作
成する。次いで,得られた上記主体繊維を原綿とし,こ
れに対し所定の混合比で上記バインダ繊維を混打綿機を
用いて混綿し,得られた混合綿を例えばローラーカード
機を用い開繊してウエブを形成する。このとき,ウエブ
の目付けは,不織布の用途に応じて適宜選択すればよ
い。以降,得られたウエブに熱風循環式熱処理機を用い
熱接着処理を施すことによってバインダ繊維を介して主
体繊維同士を繊維間交点で熱接着し,目的の短繊維不織
布を得ることができる。
【0016】
【作用】本発明の短繊維不織布は,少なくとも芳香族ジ
カルボン酸成分とグリコール成分とからなるポリエステ
ルで形成された繊維をバインダ繊維として用いてなるも
のであり,該ポリエステルは軟化温度が低く,しかも軟
化時の流動性が良好であるため,バインダ繊維に要求さ
れる熱接着性が優れ,したがって高い不織布強力を具備
することになる。
【0017】
【実施例】次に,実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。なお,実施例における各種特性の測定及び評価
は,次の方法により実施した。 重合体の極限粘度:重合体の極限粘度を次の方法により
測定した。すなわち,フエノールと四塩化エタンとの等
重量混合液を溶媒とし,温度20℃の条件で常法により
測定した。 重合体の融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱
量計DSC−2型を用い,昇温速度20℃/分で測定し
た融解吸収熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)とし
た。 重合体の軟化温度(℃):柳本社製自動融点測定装置A
MP−1型を用い,昇温速度10℃/分でシリコン浴中
での針入温度を求め,得られた温度を軟化温度(℃)と
した。 重合体の結晶化温度(℃)とガラス転移温度(℃):パ
ーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用
い,昇温速度20℃/分で測定した。 重合体の色調b値:日本電色社製Σ80型色差計を用い
て測定した。このb値は,黄青系の色相を表すものであ
って,+は黄色,−は青色を示す。 不織布の引張り強力(g/25mm幅):オリエンテツ
ク社製定速伸長型引張り試験機UTM−4−100型を
用い,JIS L−1096に記載のストリツプ法にし
たがい測定した。すなわち,試料幅が25mmで試料長
が100mmの試料片10片を準備し,各試料毎に温度
25℃かつ引張速度100mm/分で測定して最大引張
り強力(g)を求め,得られた各引張り強力値の平均値
を試料幅25mmで除して,不織布の引張り強力(g/
25mm幅)とした。
【0018】実施例1 無水フタル酸(以下,PAと略称する。)とエチレング
リコール(以下,EGと略称する。)とからなるスラリ
を攪拌装置と充填塔を備えたエステル化反応装置に投入
し,常圧下で攪拌しながら温度200℃,充填塔温度1
30℃の条件下で,生成する水を反応系外に除去しつつ
5時間エステル化反応を行い,エステル化反応率が95
%の反応物イを得た。別途,ビス(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレート及び/又はその低重合体の存在する
エステル化反応缶に対し,テレフタル酸(以下,TPA
と略称する。)とEGとからなるスラリ(TPA/EG
のモル比は1/1.6)を連続的に供給し,温度250
℃,内圧0.05kg/cm2 Gの条件下で滞留時間8
時間反応させ,エステル化反応率が95%の反応物ロを
得た。次いで,得られた反応物イ及びロを表1に示した
ようなモル比で重縮合反応缶に移送し,引き続き表1に
示したモル比のジエチレングリコール(以下,DEGと
略称する。)と重縮合触媒としての三酸化アンチモン2
×10-4モル/酸成分モルをそれぞれ添加した後,反応
器の温度を30分間で265℃まで昇温し,反応器の内
圧を60分後に1トール以下になるまで除々に減じた。
続いて,この条件下で攪拌しながら重縮合反応を3時間
行い,表1に示したようなコポリエステルAを得た。得
られたコポリエステルAの各種特性を表1に示す。
【0019】次に,上記で得られたコポリエステルAの
チツプと,極限粘度が0.68,融点が256℃のポリ
エチレンテレフタレートのチツプとを通常の複合溶融紡
糸装置を用いて溶融した後,同心芯鞘型複合紡糸孔が2
25穿孔された複合紡糸口金を通し,紡糸温度を280
℃,上記コポリエステルが鞘成分,ポリエチレンテレフ
タレートが芯成分となるごとく配し〔複合比(重量比)
は1/1〕,総吐出量を250g/分として溶融紡出
し,紡出長繊維群を冷却した後,引き取り速度を800
m/分として引き取り,集束して約10万デニールの未
延伸トウとし,得られた未延伸トウを延伸して延伸トウ
とし,引き続き延伸トウに熱ドラム装置を用いて熱処理
を施した後,機械捲縮を施し,長さ51mmに切断して
単繊維繊度が4デニールの短繊維とした。延伸に際して
は2段熱ローラ延伸装置を用い,延伸速度を150m/
分,第1段ローラ温度を80℃,第2段ローラ温度を室
温,第3段ローラの周速度に対する第1段ローラの周速
度の比すなわち全延伸倍率を3.2とした。また,機械
捲縮を施すに際しては押し込み式クリンパーを用い,捲
縮付与数を18個/25mmとした。次いで,別途作成
したポリエチレンテレフタレート繊維(長さ51mm,
単繊維繊度2デニール)を主体繊維とし,これに対し上
記で得られた短繊維をバインダ繊維として用い,主体繊
維/バインダ繊維の混合比(重量比)を70/30とし
て混打綿機を用いて混綿し,得られた混合綿をローラー
カード機を用い開繊してウエブを形成し,以降,得られ
たウエブに熱風循環式熱処理機を用い,温度150℃,
加熱空気の風速2m/分の条件下で熱接着処理を施すこ
とによってバインダ繊維を介して主体繊維同士を繊維間
交点で熱接着させ,目付けが50g/m2 の短繊維不織
布を得た。得られた短繊維不織布の引張り強力を表1に
示す。
【0020】実施例2〜8 反応物イやロに係るPA,TPA,EG,さらにイとロ
の反応に係るDEG,これらのモル比,及びバインダ繊
維の混合比(重量比)を表1に示したように変更した以
外は,実施例1と同様にして,目付けが50g/m2
短繊維不織布を得た。得られたコポリエステルAの各種
特性と,短繊維不織布の引張り強力を表1に示す。
【0021】実施例9 バインダ繊維の芯成分として極限粘度が0.60,融点
が236℃のナイロン6を用いたこと,及びバインダ繊
維の混合比(重量比)を表1に示したように変更した以
外は,実施例1と同様にして,目付けが50g/m2
短繊維不織布を得た。得られた短繊維不織布の引張り強
力を表1に示す。
【0022】実施例10 反応物イに係るPAの代わりにフタル酸を用いた以外
は,実施例1と同様にして,目付けが50g/m2 の短
繊維不織布を得た。得られたコポリエステルAの各種特
性と,短繊維不織布の引張り強力を表1に示す。
【0023】実施例11 バインダ繊維の芯成分として極限粘度が0.75,融点
が229℃のポリブチレンテレフタレートを用いたこと
以外は,実施例1と同様にして,目付けが50g/m2
の短繊維不織布を得た。得られた短繊維不織布の引張り
強力を表1に示す。
【0024】実施例12 バインダ繊維の複合形態を同心芯鞘型に代わり接合型
〔複合比(重量比)は1/1〕とした以外は,実施例1
と同様にして,目付けが50g/m2 の短繊維不織布を
得た。得られた短繊維不織布の引張り強力を表1に示
す。
【0025】比較例1〜4 反応物イやロに係るPA,TPA,EG,さらにイとロ
の反応に係るDEG,これらのモル比,及びバインダ繊
維の混合比(重量比)を表1に示したように変更した以
外は,実施例1と同様にして,目付けが50g/m2
短繊維不織布を得た。得られたコポリエステルAの各種
特性と,短繊維不織布の引張り強力を表1に示す。
【0026】比較例5及び6 主体繊維に対するバインダ繊維の混合比(重量比)を5
重量%(比較例5),80重量%(比較例6)とした以
外は,実施例1と同様にして,目付けが50g/m2
短繊維不織布を得た。得られた短繊維不織布の引張り強
力を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】本発明の構成要件を満足する実施例1〜1
2で得られた短繊維不織布は,熱接着性が良好でかつ不
織布強力の高いものであった。これに対し,比較例1で
は,コポリエステルAの変性割合が110モル%を超え
ており軟化温度が低く,このコポリエステルAを溶融紡
糸するに際しての製糸性が低下し,ガラス転移温度が低
下するため溶融紡出糸条が融着し,またこのチツプを貯
蔵するに際してチツプ間の擬似的な接着いわゆるブロツ
キング現象を生じ,さらにコポリエステル自体の色調が
悪化し,バインダ繊維として実用可能なものを得ること
ができなかった。比較例2では,コポリエステルAの極
限粘度が低過ぎて,このコポリエステルAを溶融紡糸す
るに際しての製糸性が低下するため,バインダ繊維とし
て実用可能なものを得ることができなかった。また,比
較例3と4では,コポリエステルAの軟化温度や融点が
高いため,得られたバインダ繊維と主体繊維を混合した
後に熱接着処理を施しても,繊維間交点に強力な熱接着
を施すことができず,したがって得られた不織布は,引
張り強力の低いものであった。さらに,比較例5では,
バインダ繊維の存在比が低過ぎるため,バインダ繊維を
介して主体繊維同士を熱接着するに際し接着点が十分に
形成されず,したがって得られた不織布は,引張り強力
の低いものであった。一方,比較例6では,バインダ繊
維の存在比が高過ぎること,すなわち主体繊維の存在が
少な過ぎるため,したがって得られた不織布は,引張り
強力の低いものであった。
【0029】
【発明の効果】本発明の短繊維不織布は,熱可塑性重合
体からなる主体繊維30〜90重量%と,少なくとも芳
香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなるポリ
エステルで形成されたバインダ繊維70〜10重量%と
から構成された不織布であり,また,熱可塑性重合体か
らなる主体繊維30〜90重量%と,少なくとも芳香族
ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなるポリエス
テルを一構成要素として形成されたバインダ繊維70〜
10重量%とから構成された不織布であり,該バインダ
繊維の優れた熱接着性によって優れた機械的性能を発現
する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性重合体からなる主体繊維30〜
    90重量%と,下記(1)〜(4)を満足するポリエス
    テルで形成されたバインダ繊維70〜10重量%とから
    構成されたことを特徴とする短繊維不織布。 (1)芳香族ジカルボン酸成分の7〜50モル%がフタ
    ル酸成分であり,グリコール成分の70〜95モル%が
    エチレングリコール,かつ30〜5モル%がジエチレン
    グリコールである。 (2)全酸成分に対するフタル酸成分のモル比(モル
    %)と全グリコール成分に対するジエチレングリコール
    のモル比(モル%)との総和が16〜110モル%であ
    る。 (3)極限粘度が0.35以上である。 (4)色調b値が13以下である。
  2. 【請求項2】 熱可塑性重合体からなる主体繊維30〜
    90重量%と,下記(1)〜(4)を満足するポリエス
    テルを一構成要素として形成されたバインダ繊維70〜
    10重量%とから構成され,かつ前記ポリエステルがバ
    インダ繊維において繊維軸方向に連続すると共に繊維表
    面の少なくとも一部を占有していることを特徴とする短
    繊維不織布。 (1)芳香族ジカルボン酸成分の7〜50モル%がフタ
    ル酸成分であり,グリコール成分の70〜95モル%が
    エチレングリコール,かつ30〜5モル%がジエチレン
    グリコールである。 (2)全酸成分に対するフタル酸成分のモル比(モル
    %)と全グリコール成分に対するジエチレングリコール
    のモル比(モル%)との総和が16〜110モル%であ
    る。 (3)極限粘度が0.35以上である。 (4)色調b値が13以下である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004061180A1 (ja) * 2003-01-07 2004-07-22 Teijin Fibers Limited ポリエステル繊維構造物

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