JPH0911308A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及び熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及び熱可塑性樹脂フィルム

Info

Publication number
JPH0911308A
JPH0911308A JP7183514A JP18351495A JPH0911308A JP H0911308 A JPH0911308 A JP H0911308A JP 7183514 A JP7183514 A JP 7183514A JP 18351495 A JP18351495 A JP 18351495A JP H0911308 A JPH0911308 A JP H0911308A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
filler
film
filter
particle size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7183514A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3449050B2 (ja
Inventor
Touchi Anzai
悼知 安斎
Yoshiaki Sugiyama
義昭 杉山
Yutaka Okuyama
豊 奥山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP18351495A priority Critical patent/JP3449050B2/ja
Publication of JPH0911308A publication Critical patent/JPH0911308A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3449050B2 publication Critical patent/JP3449050B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定のフィラーを含有する熱可塑性樹脂を特
定の条件で濾過することにより、フィルム製造における
要求品質と加工適性を両立させる。 【構成】 平均粒子径がδで粒子径の標準偏差σが0.
1δ以上である無機及び/または有機のフィラーを一種
以上含む熱可塑性樹脂を押出機を用いて溶融し、該溶融
熱可塑性樹脂を、前記フィラーと濾過精度ηが(1)式
を満足し、n番目のメディアの金属繊維の径dと目付け
量wの積(w・d)n が(2)、(3)式を満足し、か
つ、金属繊維の軸が溶融熱可塑性樹脂の流れに直交する
方向に配された、空隙率が35〜90%のメディアを積
層するとともに、目付け量wp が(4)式を満足する、
空隙率が25〜65%の金属粉末によるメディアを1層
以上前記金属繊維によるメディアよりも下流側に積層し
た、空気による流動抵抗rが35〜800mmH2 Oの
フィルターを通過させて濾過したあとに、口金より吐出
し急冷してシート状に成形することを特徴とする、熱可
塑性樹脂フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂フィル
ムの製造方法及びその方法により製造された熱可塑性樹
脂フィルムに関する。更に詳しくは、フィラーを添加し
た熱可塑性樹脂より磁気テープ用ベースフィルムに使用
される粗大突起の少ない熱可塑性樹脂フィルムやコンデ
ンサ用誘電体に使用される電気特性の改良された熱可塑
性樹脂フィルムを製造する方法、及びそのフィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムの中でもとりわけ
機械的特性、熱的特性、電気的特性などにおいて機能性
の高いポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,
6−ナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、アラミドなど
をベースにしたフィルムは、磁気材料用、コンデンサ
用、電気絶縁用、熱転写リボン用、孔版印刷用途などに
好まれて使われている。
【0003】これらの熱可塑性樹脂フィルムは、一般に
は広幅で製造されロール状に巻き取られて、コーティン
グ、印刷、蒸着、スパッタなどの方法により加工され
る。これらの熱可塑性樹脂フィルムは最終製品の特性は
もちろんのこと、これら加工工程における加工性がよい
ことも重要な品質特性である。近年特に適宜フィラーを
添加して熱可塑性樹脂フィルムの表面粗さを調整するこ
とですべり性を良くして加工性を向上させたり耐摩耗性
を向上する試みがなされ、熱可塑性樹脂フィルムの表面
が平坦、平滑である要求と、このすべり性、耐摩耗性が
良いという要求とを満たすために、添加するフィラーの
素材、微粒子形成状態、大きさ、添加量に格別の注意が
払われている(例えば特開平6−322243号公報な
ど)。また、熱可塑性樹脂製造段階でこれ等フィラーの
分散状態を改良する方法も各種提案されている(例えば
特開平2−11636号公報、特開平6−322242
号公報など)。特に磁気材料用途やコンデンサ用途など
でフィルム表面の平坦性と共に平滑性が強く求められる
ようになり、これらフィラー自身が持つ特性を考慮した
選択に重大な関心が払われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる問
題点に鑑み、熱可塑性樹脂に無機および/または有機の
フィラーを添加しても平坦性、平滑性などのフィルム品
質が損なわれない方法を鋭意研究した結果、本発明に達
したものである。
【0005】加工性、すなわち熱可塑性樹脂フィルムの
表面粗さ、すべり性などで代表される品質と最終製品の
要求品質、すなわち熱可塑性樹脂フィルムの平坦性、平
滑性、耐摩耗性、電気特性などで代表される品質は、共
に添加したフィラーの特性に依存する。特にこれらの特
性を代表する指標としてフィラーの平均粒子径を用いる
ことがある。
【0006】本発明者らはこれら熱可塑性樹脂フィルム
の品質とフィラーの粒子径の関係において、添加したフ
ィラーの平均粒子径よりもやや大きめの粒子径がこれら
の品質を決定していることに着目し、本発明に達した。
勿論、フィラー製造段階及び/または熱可塑性樹脂製造
段階でこの粒子径分布をコントロールして可能な限り狭
い範囲に分布させ、最も好ましい粒子径分布を得て、品
質を決定する粒子径分布と平均粒子径を実質的に一致さ
せることも可能ではあるが、このようにして調整された
ものを使用しても、製膜のために再度押出機を用いて溶
融すると粒子が再凝集して目的とする平坦、平滑な熱可
塑性樹脂フィルムの表面が得られ難いことがある。
【0007】本発明の目的は、熱可塑性樹脂に添加した
フィラーの平均粒子径よりも例えば数倍以上粗いフィラ
ーを物理的にカットすることによって、目標とする品質
のフィルムを比較的容易に得ることにある。
【0008】また、本発明の別の目的は、凝集粒子を含
む熱可塑性樹脂フィルム中の粒子の分散性を良くするこ
とにある。
【0009】本発明のさらに別の目的は、フィラーの粗
粒部分をカットするために、ゲル、異物などを除く従来
のフィルターに比べて耐濾過圧が大きく、濾過能力を向
上させたフィルターを提供することにある。
【0010】本発明のさらに別の目的は、粗大突起の少
ない磁気材料用ベースフィルムや、電気特性の改良され
たコンデンサ用ベースフィルムなどを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は次の手段によ
って達成されることができる。すなわち、平均粒子径が
δで粒子径の標準偏差σが0.1δ以上である無機及び
/または有機のフィラーを一種以上含む熱可塑性樹脂を
押出機を用いて溶融し、該溶融熱可塑性樹脂を、前記フ
ィラーと濾過精度ηが(1)式を満足し、n番目のメデ
ィアの金属繊維の径dと目付け量wの積(w・d)n
(2)、(3)式を満足し、かつ、金属繊維の軸が溶融
熱可塑性樹脂の流れに直交する方向に配された、空隙率
が35〜90%のメディアを積層するとともに、目付け
量wp が(4)式を満足する、空隙率が25〜65%の
金属粉末によるメディアを1層以上前記金属繊維による
メディアよりも下流側に積層した、空気による流動抵抗
rが35〜800mmH2Oのフィルターを通過させて
濾過したあとに、口金より吐出し急冷してシート状に成
形することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法、およびこの方法によって製造された熱可塑性樹脂フ
ィルムである。
【0012】上記において、 2.5<η/δ<50 (1) 400<(w・d)n <16000 (2) 0.2≦(w・d)n+1 /(w・d)n ≦2.5 (3) 500≦Wp ≦20000 (4) ここでnはフィルターを構成するメディアの上流側から
の番号である。
【0013】上記フィルターには、金属繊維及び金属粉
末を焼結したメディアで構成したフイルターを用いる。
そしてこの金属繊維及び/または金属粉末は、ステンレ
ス金属より構成されることが好ましい。
【0014】フィルターを通過する時の熱可塑性樹脂の
溶融粘度は200〜12000ポイズに調整することが
好ましい。
【0015】また、一次粒子径が0.01〜1μmで平
均粒子径δが0.2〜3μmでその標準偏差σが0.2
δ以上の凝集フィラーを一種以上含む熱可塑性樹脂を用
いたフィルム表面の中心線平均粗さRaと10点平均粗
さRz、最大粗さRmaxとが、 Rmax≦(2δ)1/3 Rz Rz≦10δ1/2 Ra で、Raが10〜200nmである、コンデンサ用ベー
スフィルムに適した熱可塑性樹脂フィルムを製造するこ
とができる。このフィルム中のフィラーの平均粒子径θ
は熱可塑性樹脂中のフィラーの平均粒子径δの1/2以
下で、その標準偏差ψが0.6θ以下である。
【0016】さらに、平均粒子径δが0.01〜1μm
でその標準偏差σが0.1δ以上のフィラーを一種以上
含む熱可塑性樹脂を用いたフィルム表面の中心線平均粗
さRaが15nm以下で、H2以上の粗大突起が5個/
100cm2 以下である、磁気材料用ベースフィルムに
適した熱可塑性樹脂フィルムを製造することができる。
【0017】また、これらの熱可塑性樹脂フィルムにお
いては、シート状に成形された後に、縦及び/または横
方向に延伸、熱固定して、一軸または二軸延伸フィルム
とすることが好ましく、その厚みは、二軸延伸フィルム
の場合0.5〜25μmが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明を、好ましい態様とと
もに詳細に説明する。本発明に使用する熱可塑性樹脂と
しては、機械的特性、熱的特性、電気的特性などにおい
て機能性の高い熱可塑性樹脂である、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポ
リエステル、、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、ポリアミド、アラミドなどが好
ましい。本発明は、特に熱可塑性樹脂をシート状に溶融
押出して、さらに縦および横方向に二軸延伸し、熱処理
した寸法安定性、機械・熱安定性に優れた磁気材料用、
コンデンサ用、電気絶縁用、熱転写リボン用、孔版印刷
用途などに利用される熱可塑性樹脂フィルムに好適であ
る。
【0019】また、本発明では最終の品質およびハンド
リング性を改良するために、無機および/または有機の
フィラーを用いる。ここでいう最終の品質とは、製品と
なって機能する形態における品質を指す。すなわち磁気
材料用途の場合を例にとると、録画または録音されたも
のがより忠実に再現されることであり、ベースフィルム
に要求される平坦性、均一な突起の形成、粗大突起の制
限、熱・機械的安定性、ヘッドタッチ性等のあらゆる品
質特性を指す。また、コンデンサ用途を例にとると、機
器に組み込まれた後のコンデンサが設計通りに機能する
ことであり、耐電圧特性、周波数特性、容量の均一性及
び熱・機械的な衝撃に対する安定性などの品質特性を指
す。またハンドリング性とは、最終品質を達成するため
に加工する途中段階における品質のことである。すなわ
ち磁気材料を例にとると、磁性粉塗布工程の適性がよい
こと、テープの巻き特性がよいこと、高速でダビングで
きること、これらの加工工程でしわや表面の削れ、脱落
などがないことなどである。また、コンデンサ用途を例
にとると、蒸着加工中のしわや、熱によるしわが発生し
難く、巻き特性が良かったり、コンデンサの素子巻き特
性が良いことである。いずれの特性もベースフィルムの
品質特性としては、フィルム表面の粗さや、すべり性に
よって代表されるものであるが、空気巻き込み性、表面
の密着性などで代表される二次特性で表現できる場合も
ある。
【0020】本発明で用いる無機のフィラーとしては、
二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、炭酸
カルシウム、アルミナ、タルク、カオリンなどの無機系
の不活性粒子がある。またこれらの不活性粒子の凝集体
を使用してもよい。さらに、有機のフィラーとしては、
スチレン、シリコーン、ポリメチルメタクリレート、ポ
リアミドイミドなどの高耐熱性高分子の粒子が好まし
く、これら有機のフィラーは、単独使用で、または前記
無機フィラーと併用して用いてもよい。
【0021】本発明で用いるフィラーの平均粒子径は、
0.01から3μmの範囲が好ましい。0.01μm以
下であると、フィラーを添加してもフィルムの表面が加
工工程および最終製品の品質を改良する度合いが小さく
なるばかりか、効果を発現させるために添加量を増やす
と後の延伸工程で厚みむらを引き起こし易くなったり、
破れ易くなって延伸が難しくなるので好ましくない。一
方、3μmより大きいと、最終製品としてのフィルムの
厚みとの関係で大きくなりすぎるおそれがあり、このよ
うなフィラーを使用した熱可塑性樹脂を本発明フィルム
の好ましい厚み及び要求品質に適用することは実用的で
ない。
【0022】また、磁気材料用途などの表面が極めて平
滑なタイプを必要とする場合には、添加するフィラーは
単分散のフィラーで、平均粒子径が0.01から1μm
のフィラーを1種以上添加することが好ましい。一方、
コンデンサ用途などの比較的表面が粗いタイプでは、単
分散のフィラーに加えて凝集フィラーを適宜使用するこ
とができる。この場合には、単分散のフィラーの平均粒
子径(一次粒子径)を0.01から1μm、凝集フィラ
ーの平均粒子径を0.2から3μmとするのが好適であ
る。なお、本発明においては、数種類の粒子を添加した
場合の粒子径については、より大きい方の粒子径分布の
平均値を持って平均粒子径と言う。ここで凝集粒子の平
均粒子径が0.2μm以下では効果が出ない。また3μ
m以上では、本発明に係る濾過を使用するとフィルター
にかかる負荷が大きくなりすぎ実用的でない。
【0023】本発明で使用するフィラーは、その平均粒
子径δの他にその分布の広がりを示す標準偏差σが0.
1δ以上であり、本発明ではこのようなフィラーが添加
されたものを対象としている。標準偏差が0.1δ以下
であれば、粒子径の分布が狭い範囲に限られているの
で、押出機で溶融した後に再凝集したフィラーの分散に
は効果を発揮するが、本発明の目的の一つの「平均粒子
径よりも、数倍以上粗い粗大粒子をフィルターで濾過す
る」という大きな理由がなくなる。
【0024】また、フィラーの好ましい添加量は、0.
001から1重量%であるが、濾過の能力が十分であれ
ば、この範囲に限定せず使用してよい。もちろん、0.
001重量%以下ではフィラー添加の効果がない。尚、
フィラー製造段階または熱可塑性樹脂製造段階で本発明
のフィルターを使用して平均粒子径の数倍から数十倍以
上の粗い粒子をカットしフィラーの分布を規制し、押出
機を用いて溶融しシート成形するときに本発明方法を使
用して広幅の口金より吐出すると、更に効果的であり好
ましい。
【0025】金属繊維により構成されるメディア各層
は、金属繊維の軸がメディア層に平行になるように、す
なわち溶融熱可塑性樹脂の流れに対して直交する方向
(直角方向)に配することで本発明の効果が顕著にな
る。ここで金属繊維軸が流れに直角方向以外にも配され
ていると、見掛け上メディアの空隙率が大きくなって好
ましいようにも見えるが、濾過に有効な金属繊維間の空
隙にロスが生じて、厚みの極薄い層を積層して精度良く
濾過するという本発明の機能が失われるので却って好ま
しくない。
【0026】また、金属繊維により構成されるメディア
は、材料径と目付け量が前述の(2)、(3)式の関係
を満足するように構成される。(2)式は、例えば強度
の必要なメディアで太径の材料を用いる場合は、目付け
量を少なくし、濾過精度をコントロールするメディアに
は細径の材料を用いて、目付け量を多くすることが重要
である。本発明においては、(2)式の範囲は400よ
りも大きく、16000未満とされる。400以下では
十分な濾過ができないので好ましくない。また、160
00以上では濾過層の厚み方向密度が上がり、内部での
濾過の効率が下がるので好ましくない。
【0027】また、(3)式は積層して構成されるメデ
ィアの全体の様子を示し、効果的な濾過を達成するため
に重要である。積層数は2層以上であれば特に限定しな
いが、好ましくは3層以上更に好ましくは4層以上であ
る。また数十層積層してあたかも(w×d)n が連続し
たような構成にして積層すると、大きな濾過能力が得ら
れるので好ましい。
【0028】これらのメディアはその空隙率が35〜9
0%である。好ましくは50〜80%であり、更に好ま
しくは65〜75%である。35%以下では有効な濾過
ができ難くなるので好ましくない。また90%以上では
メディアが濾過圧に耐えきれなくなるので好ましくな
い。さらに積層する隣同士のメディアの空隙率の差は1
5%以下、更には10%以下であることが好ましいが、
これに限定されない。
【0029】また、各メディアの目付け量は、100〜
10000g/m2 が好ましい。100g/m2 未満で
は濾過が十分できないし、10000g/m2 を越える
と濾過詰まりが速くなるので好ましくない。ここで目付
け量とはメディアを構成している材料の単位濾過面積当
たりの重量である。また、材料径は0.5〜30μmで
ある。0.5μm未満では材料の入手が難しいので現実
的でない。また30μmを越えると本発明が目的とする
濾過精度を得られにくいので好ましくない。ここで金属
繊維の材料径とは通常はその平均径であり、金属繊維状
で長径と短径を有する異径材料を用いる場合はその短径
をもって材料径と言う。
【0030】本発明においては、上記のように構成した
金属繊維を積層したメディアに対し、熱可塑性樹脂が通
過する下流側に金属粉末を焼結したメディアが積層され
る。すなわち、金属粉末をその目付け量が500〜20
000g/m2 でその空隙率が25〜65%になるよう
に焼結し、積層する。金属粉末はアトマイズ法などによ
って得られる2〜200μmの球形の粉末より焼結する
ことが好ましいがこの限りではない。また金属粉末の目
付け量が500g/m2 未満では積層する効果が出難い
し、20000g/m2 を越えると本来の濾過精度及び
能力を決める金属繊維層に比べて不用意に大きな容積を
取るので好ましくない。好ましくは800〜10000
g/m2 であり、さらに好ましくは1000〜5000
g/m2である。また、空隙率を25%未満にすると、
積層厚みを本メディア層の効果が出なくなるほど薄くし
ないと圧力損失が大きくなる。また65%を越えると、
金属粉末同士の結合力が弱くなって、使用中に金属粉末
が脱落してきたりして好ましくない。好ましくは30〜
60%、更に好ましくは35〜55%である。
【0031】本発明において上記のような積層は、単体
のメディアをそれぞれ焼結後に積層しても、又単体のメ
ディアを構成する金属繊維及び/または金属粉末を、例
えば不織布層として構成した後に一体焼結してもよい。
ここで焼結とは、その物質の融点よりも低い温度で粉体
粒子を結合させたものであって、その特徴は例えば「金
属便覧(社団法人日本金属学会編、丸善発行)」に詳述
されている通りである。
【0032】ここで金属粉末を焼結したメディアを使用
する目的は、その上層の細かい金属繊維のメディアで発
生した濾過圧を受ける機能に加えて、この金属繊維を焼
結した層を通過して均一に濾過された熱可塑性樹脂中の
フィラーが、例えば後述の図1に示すような金属粉末同
士の焼結によってできた複雑な断面を有する空洞のトン
ネル内を流れ、時間的にも空間的にも複雑な速度分布を
生ずるためにフィラー等をばらばらにする機能があるた
めと考えている。前記目的のために本発明における金属
粉末焼結層は、金属繊維層の下流側に積層することとし
ているが、金属繊維層の最上流側に積層して、あらかじ
めフィラーを細かくして濾過精度の細かい金属繊維層に
導くことも可能である。しかし、濾過詰まりの速さを考
慮すると、本発明のように、精度の良い濾過が終わった
後に金属粉末焼結層を積層した方が金属粉末層の厚みを
薄くできる等のメリットがあるので好ましい。
【0033】また、濾過精度は、金属繊維及び/または
金属粉末同士の間隙及び熱可塑性樹脂が通過する長さで
決まるが、熱可塑性樹脂に添加したフィラーが本発明方
法によって熱可塑性樹脂フィルム中に存在して、目的と
する品質特性を最も効果的に発揮するために重要であ
る。濾過精度は熱可塑性樹脂フィルムの厚み、使用フィ
ラーの大きさ、要求品質から決定されるべきであり、よ
り平坦性、平滑性が求められる場合には、10μm以下
の濾過精度、更に平坦、平滑性を要求される場合は5μ
m以下の濾過精度が求められることがある。更に超平滑
面のフィルムが求められる場合には、1μm以下の濾過
精度のフィルターが用いることができるし、更に0.5
μm以下の濾過精度のものの使用も可能である。一方、
粗い表面のフィルムが求められる場合には、30μm以
下の濾過精度のものが用いられることがある。
【0034】更に本発明においては、熱可塑性樹脂に使
用したフィラーの平均粒子径と濾過精度は前述の(1)
式の関係を保つことが必要である。ここで濾過精度とは
JIS−Z8901−1974に規定された11種また
はダストACFTDを用い、その95%がカットされる
粒子径(μm)をいう。すなわち(1)式においては、
フィラーの平均粒子径よりも2.5倍を越え、50倍未
満よりも粗い側の粒子を95%以上濾過することによっ
て本発明が達成される。すなわち、この範囲よりも粗い
側の粒子を物理的に除去することが重要である。(1)
式の範囲は、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜
20である。2.5以下ではフィラーを濾過する負荷が
極めて高くなるので好ましくない。また50以上では本
発明の効果が出難くなるので好ましくない。一方、
(1)式はフィラーがフィルターを通過する難しさも表
しており、本発明に従ってフィラーの選定と濾過精度が
十分考慮されている場合には、濾過操作が容易になるの
で好ましい。
【0035】更にまた、本発明のフィルターは、空気に
よる流動抵抗値が35〜800mmH2 Oの範囲にあ
る。35mmH2 O未満の流動抵抗を示すメディアでは
前記添加フィラーの粗粒部分のカットや凝集の分散効果
が劣り、捕集効率も悪くなる。また、空気による流動抵
抗値が800mmH2 Oを越えると、濾過抵抗が高すぎ
て溶融熱可塑性樹脂を通過させることが難しくなるので
好ましくない。好ましくは、50〜600mmH2 O、
更に好ましくは、60〜500mmH2 Oである。
【0036】このようにして積層したフィルターを用い
ることによって、例えば同じ容積を持つケーシングに本
発明のメディアより構成されたフィルターを納めたとき
に、使用するフィルターの枚数は少なくなり、見かけの
濾過面積は小さくなっても、実質的な濾過能力は向上す
る。
【0037】本発明で用いるフィルターメディアの金属
としては、ステンレス、ブロンズ、銅などを用いること
ができるが、熱可塑性樹脂との活性の問題、再生再使用
の観点からステンレス製とするのが好ましい。ステンレ
スの中でもSUS304、SUS316、SUS316
L、SUS430等が好適であるがこれに限定しない。
【0038】本発明で用いることのできる押出機は、例
えばスクリュー式の押出機で、単軸または二軸の押出機
とするのがよいが、熱可塑性樹脂にその融点より数十℃
以上になるような異常昇温等がなく、均一溶融できるこ
とが重要である。
【0039】本発明でフィルターを通過して濾過できる
熱可塑性樹脂の溶融粘度の範囲としては、例えば200
〜12000ポイズの範囲に調整される。200ポイズ
未満では、本発明のフィルターでは濾過抵抗が上がらず
本発明のメディアの全面を有効に利用することが難しく
なるので好ましくない。一方、12000ポイズを越え
る溶融粘度では、本発明のフィルタを通過して濾過しよ
うとすると濾過抵抗が大きくなりすぎて、メディアの変
形やメディア層の圧壊が起こる危険性が増すので好まし
くない。熱可塑性樹脂は溶融状態によって粘度が変わ
る。すなわち、熱可塑性樹脂の分子量や溶融温度によっ
てその溶融粘度が変わるので、例えば、本発明のように
構成したフィルターを通過させる場合には、その溶融粘
度をコントロールして200〜12000ポイズに調整
することが重要である。こうすることによって、異常に
濾過抵抗が高くなってフィルターの破損を招いたり、異
常に濾過抵抗が低くなって起こる溶融熱可塑性樹脂の不
均一な流れを防止して、均質な熱可塑性樹脂の吐出が可
能となり、かつ、フィルターの捕集効率も含めて最適な
状態での使用が可能となる。
【0040】ここで、溶融した熱可塑性樹脂の溶融粘度
を本発明の溶融粘度に調整する装置としては、例えば、
前記押出機の外部加熱温度を制御する方法が一般的であ
る。フィルター装置の手前に温度計を設置し、溶融した
熱可塑性樹脂の温度より、温度−粘度の関係によって粘
度を算出し、押出機の温度コントロールユニットにフィ
ードバックして調整することができる。更に好ましい調
整方法としては、フィルターに入る直前の溶融熱可塑性
樹脂の粘度を調整すると容易に調整でき、かつ調整範囲
が広くなり、更に熱可塑性樹脂の熱劣化も抑えられるの
で好ましい。すなわち、加熱と冷却が同時にできるジャ
ケットが付いたもので、内部で熱可塑性樹脂と熱交換で
きる構造の溶融粘度調節装置を通過させることにより、
短時間に熱可塑性樹脂の温度を調整して、溶融粘度を調
整することができる。熱交換した後の熱可塑性樹脂に温
度むらが生じないように、スタティックミキサー等を、
温度調節装置内またはその出口側に併設すると更によ
い。本溶融粘度調節装置においても、その出口側で熱可
塑性樹脂の温度を検出し、温度−粘度の関係によって温
度コントロールユニットにフィードバックして調節す
る。
【0041】上記において、熱交換を容易にするジャケ
ット内には、熱交換の効率及び温度むらの点から液体を
封入して温度コントロールユニットとの間を循環させる
ことが好ましいがこの限りではなく、電熱器、空気、水
などを組み合わせた熱交換システムでもよい。また、本
発明で使用する溶融粘度調節装置は、フィルターを通過
後の熱可塑性樹脂にも適用して異常に高い温度に長時間
保持されないようにすることが好ましいが、本発明フィ
ルター通過後口金で吐出されるまでの時間が短時間であ
ればこの限りでない。
【0042】更に、フィルター装置に入る前に溶融熱可
塑性樹脂の圧力を検出し、異常に高い圧力がフィルター
にかからないようにするとともに、フィルター詰まりを
検知するための圧力計を設置するとよい。
【0043】本発明における口金は、T型、コートハン
ガ型、フィッシュテール型などの形状で用いることが好
ましい。さらに本発明における口金の上流側に2台以上
の押出機を設置して、フィードブロックを用いて積層す
るタイプや、口金内で積層する口金を用いてもよい。当
然、これらのそれぞれの押出機と口金との間には本発明
に係るフィルターを用いて本発明で目的とする濾過を行
うことができる。
【0044】また、熱可塑性樹脂シートは、該熱可塑性
樹脂のガラス転移点温度以下に温度コントロールされた
回転するドラム上に吐出して急冷することによって成形
することができる。冷却効率を上げるために、静電キャ
スト法や空気ジェットを吹き付ける方法、薄い水膜をド
ラム上に形成する方法などを利用して回転ドラムに密着
させると急冷効率が上がるので好ましい。
【0045】さらに、熱可塑性樹脂シートは、縦延伸機
でガラス転移点温度近辺以上に加熱され、3〜7倍に縦
延伸され、さらにクリップで両耳を把持されて横延伸機
に導かれて同じくガラス転移点温度近辺以上に加熱され
て3〜5倍に横延伸し、溶融点以下の温度で熱固定され
ることで極めて高い品質の二軸延伸熱可塑性樹脂フィル
ムを得ることができる。
【0046】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明
する。使用した測定法は次の方法によった。 (1)フィラーの平均粒子径、標準偏差 透過型電子顕微鏡写真により粒子の面積を求め、同じ面
積を有する円の直径として全観測粒子よりその平均値と
標準偏差を求める。
【0047】(2)フィルム中のフィラーの平均粒子
径、標準偏差 熱可塑性樹脂フィルムをプラズマ法によって表面の熱可
塑性樹脂を取り除き、走査型電子顕微鏡写真を撮り、粒
子の面積を求め、同じ面積を有する円の直径として全観
測粒子よりその平均値と標準偏差を求める。
【0048】(3)濾過精度 試験粉体JIS−Z8901ー1974の11種または
ダストACFTDを蒸留水中に分散させてHIACで粒
度分布を測定し、フィルターを通過させた後の粒度分布
と比較してその95%カット値をもって濾過精度とす
る。
【0049】(4)空隙率 メディアの容積と使用した材料の量及び比重より空間部
分の容積を求め百分率で表す。
【0050】(5)目付け量 メディアの単位濾過面積当たりに使用した材料の重量で
表す(単位:g/m2)。
【0051】(6)材料径 顕微鏡写真により粒子の材料径を測定し、その平均径を
求める。長径と短径を有する異径の場合は短径をもって
測定し、その平均径とする。
【0052】(7)フィルターメディアの断面 フィルターメディアをエポキシ樹脂で固めた後にメディ
アの縦断面または平断面に沿って切断し、切断面を研磨
した後に金属顕微鏡写真を撮り金属繊維軸の配置方向、
材料径、空隙状態を観察する。
【0053】(8)流動抵抗 空気を流す孔を有する半球状の上下一対のカップで有効
直径40mmのフィルターの外周をシールして、0.5
l/min.・cm2 の空気を流したときの上下のカッ
プ内の空気圧の差をマノメータより読み取る。
【0054】(9)表面粗さ JIS−B0601に従ってRa、Rz、Rmaxを長
さ4mm、カットオフ0.8mmで10点測定しその平
均をとる。
【0055】(10)絶縁破壊電圧 JIS−C2318に従って素子法で電気絶縁特性を測
定し、その時の平均の破壊電圧を比較する。
【0056】(11)極限粘度 オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定す
る。
【0057】(12)溶融粘度 加熱溶融した熱可塑性樹脂を高化式フローテスターによ
り粘度を測定し、温度−粘度曲線の検量線を作成する。
熱可塑性樹脂の溶融時の粘度は温度を検出して、検量線
より算出する。
【0058】(13)粗大突起 平滑なガラス円筒面に熱可塑性樹脂フィルムを貼り付け
て、ナトリウムランプの光線を当てたときにできるニュ
ートン環を顕微鏡観察して2重環以上の個数を100c
2 の面積について数える。
【0059】[実施例]フィルターとして材質がSUS
316Lで各種線径のステンレス金属繊維とSUS43
0の金属粉末を用い、表1、3、5のメディアを積層し
て構成し焼結した。表中上段側を上流側とした。このと
きの空気による流動抵抗を同表に示し、金属繊維による
メディア層の縦断面と流れに直角方向(金属繊維軸方
向)の平断面の代表的な実施例を図1に示した。図1の
顕微鏡写真においては、白い部分が金属繊維または金属
粉末の断面を表しており、左側の写真が、上流側から1
01、102、103の部分を有するフィルターの縦断
面を示しており、右側の写真が、それぞれの部分10
1、102、103の平面方向(フィルター面と平行方
向)における断面図(平断面図)を示している。
【0060】また、フィルター装置としては、図2に示
すように、前記メディアを、上流側の金属繊維のメディ
ア1、1′、その下流側の金属繊維のメディア2、
2′、その下流側の金属粉末のメディア3、3′からな
る、直径12インチの円盤状のフィルターに成形し、こ
の円盤状のフィルターを2枚合わせて、2枚のフィルタ
ーの内側に濾過圧に耐え且つ溶融熱可塑性樹脂が流れ得
る空間を確保するための支持体として材質がSUS30
4のステンレス金網4を用い、外周を溶接し(溶接部
5)、内周部に、中央部に円い排出孔7を有するシール
リング6を溶接して(溶接部5′)溶融熱可塑性樹脂を
フィルターの径方向中央部に集めるようにした。
【0061】この円盤状のフィルター10を重ねて図3
のように組立てフィルター装置とした。図3において
は、円盤状のフィルター10が、複数、フィルターツリ
ー30を支持体として積層、組み立てられ、フィルター
ケーシング20、20′内に収められている。溶融熱可
塑性樹脂は、熱可塑性樹脂導入孔40から導入され、各
フィルター10で濾過された後、熱可塑性樹脂排出孔5
0から排出される。
【0062】そして図4に示すように、押出機としては
直径90mmの単軸押出機60を用い、そのモータ61
の回転数をモータ制御装置62を介して制御することに
より、スクユー回転数、ホッパー63から投入される原
料の溶融、吐出量等を制御した。また、熱可塑性樹脂の
溶融粘度調節装置70として温度調節のために液体を循
環させるジャケット72を備えたハイミキサー71を用
いてこの間を通過させ、熱可塑性樹脂の粘度を調節し
た。温度−粘度の変換は予め熱可塑性樹脂の品種毎にフ
ローテスターにより粘度を測定して求め、検量線をコン
ピュータに入力しておき、温度より粘度に換算し、目的
の粘度との差を算出して必要な温度を液体の温度コント
ロールユニットにフィードバックした。
【0063】また、フィルター装置80の入口に圧力検
出装置81を設置して、フィルターにかかる圧力を測定
し、かつ、異常に高い圧力がかかったときは押出機のモ
ータ61を停止するようなインタロックを作動させるよ
うにした。また、熱可塑性樹脂がフィルターを通過開始
してからフィルター装置80の入口の圧力が250kg
/cm2 になるまでの全通過量を、その圧力の上昇速度
から計算し、単位濾過面積当たりの濾過能力とした。広
幅の口金90として、550mm幅のT型口金を用い、
直径700mmの回転冷却体としての冷却ドラム92上
に吐出した。冷却ドラム92の表面温度は25℃とし
た。また、熱可塑性樹脂シートをドラム92に密着させ
るために静電ピニング91を用いた。
【0064】実施例1、2(表1、表2) 熱可塑性樹脂として、一次粒子径が0.02μmで、平
均粒子径が2.6μmでその標準偏差が0.5μmの凝
集シリカを0.2重量%と、平均粒子径が0.4μmの
珪酸アルミニウムを0.15重量%添加した固有粘度が
0.62のポリエチレンテレフタレートを用いた(実施
例1)。また、一次粒子径が0.02で、平均粒子径
1.8μmでその標準偏差が0.4μmの凝集シリカを
0.1重量%と、平均粒子径が0.4μmの珪酸アルミ
ニウムを0.2重量%を添加した固有粘度が0.63の
ポリエチレンテレフタレートを用いた(実施例2)。常
法により乾燥し、前記押出機で280℃で溶融押出した
後、粘度調節装置、フィルター装置を通させて濾過し
た。濾過に用いたフィルターの構成及び特性、及び熱可
塑性樹脂の調整について表1に示した。この後、回転冷
却体で急冷し、縦延伸機で110℃で4.5倍に延伸
し、さらに横延伸機で115℃で3.8倍に延伸して、
200℃で熱固定し、150℃で冷却した。熱固定から
冷却にかけて横方向に3%緩和させ、2.0μmの二軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。フィ
ルムの特性値とともに、コンデンサ素子を作成しその耐
電圧特性を表2に示した。
【0065】比較例1、2、3(表1、表2) それぞれ実施例1、2と同じ処方のポリエチレンテレフ
タレートを用いて、フィルター装置に表1に示した比較
例1、2、3のメディアを用いて実施例とおなじ装置で
回転冷却体上に吐出し、成形後二軸延伸し熱固定したポ
リエチレンテレフタレートフィルムの特性値とともに、
コンデンサ素子を作成しその耐電圧特性を表2に示し
た。ここで比較例2はSUS316Lよりなる金属繊維
を焼結した単層のメディアより構成したフィルターを用
いた。また比較例3はSUS430の金属粉末を焼結し
た単層のメディアより構成したフィルターを用いた。
【0066】実施例3、4、5(表3、表4) 熱可塑性樹脂として、平均粒子径が0.12μmの合成
シリカ粒子を0.2重量%含み、更に平均粒子径δ、そ
の標準偏差σが表4の炭酸カルシウム粒子を各々0.1
5重量%添加した固有粘度が0.61〜0.63のポリ
エチレンテレフタレートを常法により乾燥し、前記押出
機で280℃で溶融押出した後、粘度調節装置、フィル
ター装置を通して濾過した。濾過に用いたフィルターの
構成及び特性を表3に示した。
【0067】この後、回転冷却体で急冷し、縦延伸機で
98℃で3.6倍に延伸し、さらに横延伸機で105℃
で3.9倍に延伸して、200℃で熱固定して、150
℃で冷却した。熱固定から冷却にかけて横方向に3.3
%緩和させ、7μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムを得て、通過開始時および終了時の表面粗
さ、表面突起などの特性値を表4に示した。
【0068】比較例4、5、6、7(表3、表4) 実施例3と同じフィルターを用い、平均粒子径が1.4
μm、標準偏差が0.3μmのフィラーを含むポリエチ
レンテレフタレートで(比較例4)、また実施例3と同
じポリエステルを比較例5のフィルターを用いて、更に
実施例3と同じポリエステルを比較例6のフィルターを
用いて、実施例4のポリエステルを比較例7のフィルタ
ーを用いて通過させ、それぞれ実施例とおなじ装置で回
転冷却体上に吐出し、成形後二軸延伸し熱固定したポリ
エチレンテレフタレートフィルムの特性値を表4に示し
た。ここで比較例7のフィルターはSUS316L金属
繊維の単層のメディアより構成したフィルターである。
【0069】比較例8 実施例3において粘度調節装置の温度を調整して溶融粘
度を170ポイズとした。口金から吐出してきた溶融熱
可塑性樹脂はフィルターを均一に流れなかったために、
粘度むら、色むらが生じてシートにすることができなか
った。
【0070】比較例9 実施例3のポリエチレンテレフタレートをその乾燥前に
加熱減圧装置に入れて固相重合し、固有粘度0.82を
得た。押出機および粘度調整装置の温度を290℃とし
て実施例3のフィルター装置に送り込んだが入口の圧力
計が250kg/cm2 以上になって、インタロックが
入り、押出機のモータが停止した。このときの溶融粘度
は換算で13000ポイズであった。
【0071】実施例6 熱可塑性樹脂として一次粒子径が0.02μmで、平均
粒子径が2.0μmでその標準偏差が0.5μmのシリ
カ凝集粒子を0.1重量%と、平均粒子径が0.4μm
の燐酸カルシウムを0.2重量%含んだ固有粘度が0.
63のポリエチレンテレフタレートを常法により乾燥
し、前記押出機で285℃で溶融押出した後、粘度調整
装置、フィルターを通して濾過した。濾過に用いたフィ
ルターの構成および特性を表5に示した。
【0072】この後回転冷却体で急冷し、縦延伸機で1
00℃で3.3倍延伸し、更に110℃で3.6倍横延
伸した後、225℃で熱固定して150℃で冷却した。
熱固定から冷却にかけて3%横方向に緩和させ、1.2
μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。そ
の特性及び耐電圧特性を表6に示した。
【0073】比較例10(表5、表6) 実施例と同じ処方のポリエチレンテレフタレートを用
い、表5のフィルターを通過させて、実施例と同じ装置
で回転冷却体上に吐出し、成形後二軸延伸し、熱固定し
たポリエチレンテレフタレートフィルムの特性及び耐電
圧特性を表6に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂に添加
したフィラーの平均粒子径より粗いフィラーを物理的に
カットすることによって、目標とするフィルム品質を比
較的容易に得ることができる。
【0081】更に、凝集粒子を含む熱可塑性樹脂フィ
ルムの粒子の分散性が良くなり、大きな突起の出現を阻
止できる。
【0082】また、フィラーの粗粒部分をカットするた
めに、ゲル、異物などを除く従来のフィルターに比べて
耐濾過圧が大きく、濾過能力を向上させたフィルター
を提供できる。
【0083】さらに、粗大突起の少ない磁気材料用ベ
ースフィルム、電気特性の改良されたコンデンサ用ベ
ースフィルムなどを加工適性と要求品質を両立させなが
ら簡単に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる金属繊維層に金属粉末層を焼結
したメディアより構成されたフィルターの縦断面及び流
れに直角方向(金属繊維軸方向)の平面断面を表わす、
顕微鏡写真である。
【図2】実施例で用いたフィルターの断面図である。
【図3】実施例で用いたフィルター装置の断面図であ
る。
【図4】本発明に係る熱可塑性樹脂シート成形装置の略
構成図である。
【符号の説明】
1、1′ 上流側の金属繊維のメディア 2、2′ 下流側の金属繊維のメディア 3、3′ 下流側の金属粉末のメディア 4 SUS金網 5、5′ 溶接部 6 シールリング 7 排出孔 10 フィルター 20、20′ フィルターケーシング 30 フィルターツリー 40 熱可塑性樹脂導入孔 50 熱可塑性樹脂排出孔 60 押出機 61 モータ 62 モータ制御装置 63 ホッパー 70 溶融粘度調整装置 71 ハイミキサー 72 温度調整ジャケット 73 温度コントロールユニット 80 フィルター装置 81 圧力検出装置 90 口金 91 静電ピニング 92 回転冷却体 101、102 金属繊維層 103 金属粉末層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径がδで粒子径の標準偏差σが
    0.1δ以上である無機及び/または有機のフィラーを
    一種以上含む熱可塑性樹脂を押出機を用いて溶融し、該
    溶融熱可塑性樹脂を、前記フィラーと濾過精度ηが
    (1)式を満足し、n番目のメディアの金属繊維の径d
    と目付け量wの積(w・d)n が(2)、(3)式を満
    足し、かつ、金属繊維の軸が溶融熱可塑性樹脂の流れに
    直交する方向に配された、空隙率が35〜90%のメデ
    ィアを積層するとともに、目付け量wp が(4)式を満
    足する、空隙率が25〜65%の金属粉末によるメディ
    アを1層以上前記金属繊維によるメディアよりも下流側
    に積層した、空気による流動抵抗rが35〜800mm
    2 Oのフィルターを通過させて濾過したあとに、口金
    より吐出し急冷してシート状に成形することを特徴とす
    る、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。 2.5<η/δ<50 (1) 400<(w・d)n <16000 (2) 0.2≦(w・d)n+1 /(w・d)n ≦2.5 (3) 500≦wp ≦20000 (4) ここでnはフィルターを構成するメディアの上流側から
    の番号である。
  2. 【請求項2】 金属繊維の径dが0.5〜30μm、目
    付け量wが100〜10000g/m2 の金属繊維によ
    るメディアを2層以上積層して構成したフィルターを用
    いる、請求項1の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 金属繊維及び/または金属粉末がステン
    レス金属より構成されたフィルターを用いる、請求項1
    または2の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 溶融熱可塑性樹脂の粘度μを200〜1
    2000ポイズに調整してフィルターを通過させる、請
    求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法。
  5. 【請求項5】 口金より吐出し急冷してシート状に成形
    したあとに、縦及び/または横方向に延伸し、しかる後
    に熱固定されたフィルムの厚みが0.5〜25μmであ
    る、請求項1ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 一次粒子径が0.01〜1μmで平均粒
    子径δが0.2〜3μm、粒子径の標準偏差σが0.2
    δ以上の凝集フィラーを一種以上含む熱可塑性樹脂を用
    い、フィルム表面の中心線平均粗さRaと10点平均粗
    さRz、最大粗さRmaxとが、 Rmax≦(2δ)1/3 Rz Rz≦10δ1/2 Ra を満足し、かつ、Raが10〜200nmとなるように
    フィルムを製膜する、請求項1ないし5のいずれかに記
    載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 フィルム中のフィラーの平均粒子径θを
    熱可塑性樹脂中の凝集フィラーの平均粒子径δの1/2
    以下とし、その標準偏差ψを0.6θ以下とする、請求
    項1ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 平均粒子径δが0.01〜1μmでその
    標準偏差σが0.1δ以上のフィラーを一種以上含む熱
    可塑性樹脂を用い、フィルム表面の中心線平均粗さRa
    が15nm以下で、H2以上の粗大突起が5個/100
    cm2 以下となるようにフィルムを製膜する、請求項1
    ないし5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂がポリエステルである、請
    求項1ないし8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法。
  10. 【請求項10】 一次粒子径が0.01〜1μm、平均
    粒子径δが0.2〜3μm、粒子径の標準偏差σが0.
    2δ以上の無機及び/又は有機の凝集フィラーを一種以
    上含む熱可塑性樹脂を用いて成形されたフィルムであっ
    て、フィルム表面の中心線平均粗さRaと10点平均粗
    さRz、最大粗さRmaxとが、 Rmax≦(2δ)1/3 Rz Rz≦10δ1/2 Ra を満足し、かつ、Raが10〜200nmである熱可塑
    性樹脂フィルム。
  11. 【請求項11】 フィルム中のフィラーの平均粒子径θ
    が、フィルムの原料となる熱可塑性樹脂中の凝集フィラ
    ーの平均粒子径δの1/2以下で、その標準偏差ψが
    0.6θ以下である、請求項10の熱可塑性樹脂フィル
    ム。
  12. 【請求項12】 平均粒子径δが0.01〜1μmでそ
    の標準偏差σが0.1δ以上のフィラーを一種以上含む
    熱可塑性樹脂を用いたフィルムであって、フィルム表面
    の中心線平均粗さRaが15nm以下で、H2以上の粗
    大突起が5個/100cm2 以下である、請求項10ま
    たは11の熱可塑性樹脂フィルム。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂がポリエステルである、
    請求項10ないし12のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    フィルム。
JP18351495A 1995-06-26 1995-06-26 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 Expired - Lifetime JP3449050B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18351495A JP3449050B2 (ja) 1995-06-26 1995-06-26 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18351495A JP3449050B2 (ja) 1995-06-26 1995-06-26 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0911308A true JPH0911308A (ja) 1997-01-14
JP3449050B2 JP3449050B2 (ja) 2003-09-22

Family

ID=16137182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18351495A Expired - Lifetime JP3449050B2 (ja) 1995-06-26 1995-06-26 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3449050B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001074936A (ja) * 1999-06-29 2001-03-23 Konica Corp 光学フィルム及びその製造方法
JP2007144932A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Konica Minolta Opto Inc セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置
JP2012006236A (ja) * 2010-06-24 2012-01-12 Teijin Dupont Films Japan Ltd 熱可塑性樹脂フィルムの製造装置及び製造方法
JP2012228799A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 樹脂成形体の製造方法
JP2013534472A (ja) * 2010-07-09 2013-09-05 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム ディスク状フィルターエレメント

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001074936A (ja) * 1999-06-29 2001-03-23 Konica Corp 光学フィルム及びその製造方法
JP2007144932A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Konica Minolta Opto Inc セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置
JP2012006236A (ja) * 2010-06-24 2012-01-12 Teijin Dupont Films Japan Ltd 熱可塑性樹脂フィルムの製造装置及び製造方法
JP2013534472A (ja) * 2010-07-09 2013-09-05 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム ディスク状フィルターエレメント
US9776111B2 (en) 2010-07-09 2017-10-03 Purolator Advanced Filtration Disc shaped filter element
JP2012228799A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 樹脂成形体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3449050B2 (ja) 2003-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0567974B1 (en) Laminated film
JP3449050B2 (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP3601728B2 (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
EP1310446B1 (en) Film roll and method for producing a film roll
EP1162227B1 (en) Polyester film roll
JP5752897B2 (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP3601729B2 (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造装置及び製造方法
JPH11156920A (ja) 樹脂フィルムの製造方法
JP4273629B2 (ja) 濾過フィルター装置
TW509619B (en) Process for producing polyester sheet and film
JP2000001246A (ja) フィルムロール
JP3415963B2 (ja) ポリエステル組成物及びポリエステルフイルム
JPH02194924A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムロール
JP2019116093A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
CN109383044A (zh) 一种干膜保护膜流延工艺生产的方法
JP2004299057A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
WO2021193186A1 (ja) ポリマーフィルムおよび通信用基板
JPS60107319A (ja) 熱可塑性樹脂の成形方法
US5804119A (en) Process for producing biaxially oriented polyester film as a base film for a photographic film
JP2004091753A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2575515B2 (ja) 粒子をポリマーに均一に分散させる方法
JP3323409B2 (ja) 積層二軸配向ポリエステルフイルム
JP2002144410A (ja) シート冷却装置
JP4940985B2 (ja) 金属蒸着ポリエステルフィルム
JP2004160876A (ja) 熱可塑性エラストマーシートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090711

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090711

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100711

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100711

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130711

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140711

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term