JPH09111340A - 高強度低降伏比鉄筋用鋼材及びその製造方法 - Google Patents

高強度低降伏比鉄筋用鋼材及びその製造方法

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JPH09111340A
JPH09111340A JP7370796A JP7370796A JPH09111340A JP H09111340 A JPH09111340 A JP H09111340A JP 7370796 A JP7370796 A JP 7370796A JP 7370796 A JP7370796 A JP 7370796A JP H09111340 A JPH09111340 A JP H09111340A
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JP
Japan
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rolling
yield
strength
steel
ferrite
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Application number
JP7370796A
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English (en)
Inventor
Yoshihiko Kamata
芳彦 鎌田
Norihito Kunitani
法仁 訓谷
Fukukazu Nakazato
福和 中里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超高層ビルの鉄筋コンクリート用に利用できる
耐震性能と曲げ性能に優れた鉄筋用鋼材及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】特定の化学組成を有し、最大粒径30μ
m以下で平均粒径が20μm以下のフェライトを面積率
で35〜65%有するフェライト・パーライト組織であ
る高強度低降伏比鉄筋用鋼材。その製造方法は、10
50〜1250℃の温度に加熱して粗圧延した後、70
0〜1050℃で中間圧延及び最終スタンドを除く仕上
げ圧延の合計圧下量が減面率で30%以上となるように
圧延し、更に仕上げ圧延の最終スタンドでの圧延を、減
面率が10%以上で圧延仕上げ温度が750〜1050
℃の範囲に制御し、その後直ちに400〜600℃の温
度まで0.1〜10℃/sの冷却速度で加速冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度低降伏比鉄
筋用鋼材及びその製造方法に関し、より詳しくは、明瞭
な降伏棚を有して耐震性に優れると共に曲げ性能にも優
れた高強度低降伏比鉄筋用鋼材及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】建築物の高層化が進む今日、建築資材と
して従来よりも高い強度を有する高強度鉄筋に対する要
望が大きい。しかし、鉄筋を高強度化すると降伏比(降
伏強度/引張強度)が高くなり、耐震性能を含めた鉄筋
の性能が低下することが知られている。
【0003】巨大地震により大きな揺れが生じ、建物に
かかる強度が降伏強度を超えた場合でも降伏比が低く降
伏伸びの大きい鉄筋を用いておれば、塑性変形を起こし
て地震のエネルギーを吸収できるので、建物全体の倒壊
を防ぐことが可能である。そのため、地震活動期に入っ
たといわれる現今、特に降伏強度が685MPa以上、
降伏比が0.8以下、降伏伸びが1.4%以上で、且つ
優れた曲げ性能を有して耐震性能に優れる高強度低降伏
比鉄筋が求められている。なお「降伏伸び」とは、引張
試験の経過中、試験片平行部が降伏し始めた時から、ほ
ぼ一定の応力状態で歪が増加し、次に滑らかに応力が増
加し始めるまでの標点間の長さの変化の標点距離に対す
る百分率である。又、上記の一定の応力状態で歪が増加
する領域を「降伏棚」という。
【0004】こうした高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造
方法として、例えば特開平4−56727号公報には、
VとTiを多量に添加した鋼を用いて圧延終了温度を9
00℃以下とする技術が提案されている。しかしなが
ら、このような高価な元素を多量に添加する場合のコス
トアップは膨大である。更に、降伏比はその実施例から
も明らかなように0.8を超えており、所望の高強度低
降伏比鉄筋用鋼材を確実に製造できるものではない。
【0005】特開昭62−86125号公報には、熱間
仕上げ圧延に際して表層部のみに制御冷却を行い、次い
で自己焼戻しさせて表層部が焼戻しマルテンサイト、内
部がフェライト・パーライト組織もしくはベイナイト、
又はこれらの混合組織からなる鋼材を製造する方法が提
案されている。しかし、この強制冷却−自己焼戻しを用
いた技術には、曲げ試験時に表層の焼戻しマルテンサイ
ト層から割れが生じるという問題があった。
【0006】特開平2−213415号公報には、特定
の化学組成を有する鋼片を用いて圧延終了後に鋼材の表
面を冷却し、次いで復熱させて、表層部に微細なフェラ
イトと粒状炭化物(又は)層状炭化物を生成させるか、
更にその後再度急冷して、表層部を内部より軟質とする
高強度・高靭性棒鋼の製造方法が開示されている。しか
し、この技術を用いた場合に得られる降伏強度は、その
実施例からも明らかなように高々63kgf/mm2
(618MPa)である。従って、前記公報に提案され
た技術を用いても、所望の高強度低降伏比鉄筋用鋼材が
確実に得られるものではない。
【0007】一方、本発明者らも特開平6−13644
1号公報及び特開平6−228635号公報で「高強度
低降伏比鉄筋用棒鋼の製造方法」及び「高強度低降伏比
鉄筋用鋼の製造方法」を提案した。このうち特開平6−
136441号公報で提案した方法によれば高強度低降
伏比鉄筋用棒鋼は得られるものの、表層部が焼戻しマル
テンサイト組織であるためマルテンサイトへの変態時に
変態歪に基づく曲がりが発生し、これを矯正しなければ
ならないという問題があった。又、特開平6−2286
35号公報で提案した方法は、細径の高強度低降伏比鉄
筋用棒鋼に対して有効ではあるが、太径、なかでも呼び
名D51のような超太径の鉄筋用棒鋼に対しては、必ず
しも所望の特性が得られるというものでもなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑
みなされたもので、その目的は明瞭な降伏棚を発現して
1.4%以上の降伏伸びを有し、降伏強度が685MP
a以上であって、且つ降伏比が0.8以下である曲げ性
能に優れた高強度低降伏比鉄筋用鋼材及びその製造方法
を提供することにある。特に、上記特性を満足させるこ
とで耐震性能を大幅にアップし、先の兵庫県南部地震の
ような巨大地震が起こっても鉄筋自体が塑性変形を起こ
して地震のエネルギーを吸収し、建物全体の倒壊を防ぐ
ことに寄与できるような、曲げ性能に優れた高強度低降
伏比鉄筋用鋼材及びその製造方法を提供することを最大
の目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために種々検討を重ねた結果、下記の知見を
得た。
【0010】降伏棚を有し、且つ降伏伸びが1.4%
以上ある鋼材を用いた鉄筋の耐震性は極めて優れる。
【0011】兵庫県南部地震クラスの巨大地震の発生
時にも鉄筋自体が塑性変形を起こして地震のエネルギー
を吸収し、建物全体の倒壊を防ぐためには、少なくとも
鉄筋には降伏強度が685MPa以上、降伏比が0.8
以下、降伏伸びが1.4%以上の特性が必要である。
【0012】大きな降伏棚を発現して降伏伸びを大き
くし、曲げ特性も良好とするには鉄筋用鋼材の組織をフ
ェライト・パーライト組織とすれば良い。
【0013】フェライト・パーライト組織において、
685MPa以上の大きな降伏強度と0.8以下の降伏
比及び1.4%以上の降伏伸びを確保するには、フェラ
イトの粒径を最大粒径が30μm以下、且つ平均粒径が
20μm以下となし、更に前記のフェライトを面積率で
35〜65%有するようにすれば良い。
【0014】上記の組織は、特定の化学組成を有す
る鋼を1050〜1250℃の温度域に加熱して粗圧延
を行い、次いで700〜1050℃の温度域で、中間圧
延及び最終圧延スタンドを除く仕上げ圧延の合計圧下量
が減面率で30%以上となるように圧延し、更に仕上げ
圧延の最終スタンドでの圧延を、減面率が10%以上で
圧延仕上げ温度が750〜1050℃の範囲に制御し、
その後直ちに400〜600℃の温度域の温度まで0.
1〜10℃/sの冷却速度で加速冷却することによって
得られる。
【0015】上記知見に基づく本発明は下記(1)に示
した高強度低降伏比鉄筋用鋼材及び(2)に示した高強
度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方法を要旨とする。
【0016】(1)重量%で、C:0.15〜0.50
%、Si:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜
2.50%、Cr:0.02〜2.00%、V:0.0
1〜0.40%、Nb:0.005〜0.40%、N:
0.003〜0.02%、Cu:0〜0.50%、N
i:0〜0.50%、Mo:0〜0.50%及びAl:
0.08%以下を含有し、残部はFe及び不可避不純物
の化学組成からなり、組織が、最大粒径30μm以下で
平均粒径が20μm以下のフェライトを面積率で35〜
65%有するフェライト・パーライト組織であることを
特徴とする高強度低降伏比鉄筋用鋼材。
【0017】(2)圧延工程が粗圧延、中間圧延及び仕
上げ圧延の各工程からなる高強度低降伏比鉄筋用鋼材の
製造方法であって、重量%で、C:0.15〜0.50
%、Si:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜
2.50%、Cr:0.02〜2.00%、V:0.0
1〜0.40%、Nb:0.005〜0.40%、N:
0.003〜0.02%、Cu:0〜0.50%、N
i:0〜0.50%、Mo:0〜0.50%及びAl:
0.08%以下を含有し、残部はFe及び不可避不純物
からなる化学組成を有する鋼を、1050〜1250℃
の温度域に加熱して粗圧延を行い、次いで700〜10
50℃の温度域で、中間圧延及び最終圧延スタンドを除
く仕上げ圧延の合計圧下量が減面率で30%以上となる
ように圧延し、更に仕上げ圧延の最終スタンドでの圧延
を、減面率が10%以上で圧延仕上げ温度が750〜1
050℃の範囲に制御し、その後直ちに400〜600
℃の温度域の温度まで0.1〜10℃/sの冷却速度で
加速冷却することを特徴とする高強度低降伏比鉄筋用鋼
材の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各要件について詳
しく説明する。なお、成分含有量の「%」は「重量%」
を意味する。
【0019】(A)鋼材の化学組成 C:Cは、強度を高めるのに有効な元素である。しか
し、その含有量が0.15%未満では所望の高強度が得
られない。一方、0.50%を超えるとパーライト分率
(面積率)の増加が起こり、そのため逆にフェライトの
面積率が低くなって靭性と曲げ特性の劣化をきたすこと
となる。従って、Cの含有量を0.15〜0.50%と
した。なお、Cの好ましい含有量は0.20〜0.50
%である。
【0020】Si:Siは、鋼の脱酸の安定化及び強度
の向上を図る作用がある。しかし、その含有量が、0.
15%未満では所望の効果が得られず、1.50%を超
えると靭性の低下を招くようになる。このため、Siの
含有量を0.15〜1.50%とした。
【0021】Mn:Mnは、強度を向上させる作用を有
する。しかし、その含有量が0.30%未満では所望の
効果が得られない。一方、2.50%を超えると焼入れ
性が著しく高くなって所望の組織と機械的性質が得られ
なくなる。従って、Mnの含有量を0.30〜2.50
%とした。
【0022】Cr:Crは、Mnと同様に強度を高める
作用がある。更に、パーライトコロニーを細かくして延
性を向上させる効果も有する。しかし、その含有量が
0.02%未満では上記の効果が得られない。一方、
2.00%を超えて含有させると、焼入れ性が著しく上
昇して所望の組織と機械的性質が得られなくなる。従っ
て、Crの含有量を0.02〜2.00%とした。
【0023】V:Vは、オーステナイト相からフェライ
ト相への変態の際に、その窒化物や炭窒化物がフェライ
ト相に分散析出してフェライトを強化する。又、結晶粒
の微細化を促進して降伏棚を発現させ、低い降伏比を維
持しつつ強度を向上させる作用を有する。しかし、その
含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、
0.40%を超えて含有させても強度向上効果は飽和
し、製造コストを上昇させるだけである。従って、Vの
含有量を0.01〜0.40%とした。
【0024】Nb:Nbは、その窒化物や炭窒化物が、
オーステナイト結晶粒の粗大化を抑えるとともに析出強
化に寄与する極めて重要な元素である。しかし、その含
有量が0.005%未満では添加効果に乏い。一方、
0.40%を超えて含有させても強度向上効果は飽和
し、製造コストを上昇させるだけである。このため、N
bの含有量を0.005〜0.40%とした。なお、N
bの好ましい含有量は、0.01〜0.10%である。
【0025】N:Nは、Nb及びVとフェライト中で窒
化物や炭窒化物を形成し、強度を高めるとともに結晶粒
を微細化して鋼を強靭化する作用がある。しかし、その
含有量が0.003%未満では所望の効果が得られず、
0.02%を超えると却って靭性の低下をもたらすよう
になる。従って、Nの含有量を0.003〜0.02%
とした。なお、Nの好ましい含有量は、0.005〜
0.02%である。
【0026】Cu:Cuは添加しなくても良い。添加す
れば強度を高める作用がある。この効果を確実に得るに
は、Cuは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和する。更に熱間加工性の劣化をも招くし、コス
トアップにもつながる。従って、Cu含有量を0〜0.
50%とした。
【0027】Ni:Niは添加しなくても良い。添加す
れば強度を高める作用がある。前記効果を確実に得るに
は、Niは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和し、コストアップにつながるばかりである。従
って、Ni含有量を0〜0.50%とした。
【0028】Mo:Moは添加しなくても良い。添加す
れば強度を高める作用がある。この効果を確実に得るに
は、Moは0.02%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.50%を超えると前記効
果が飽和し、コストアップにつながるばかりである。従
って、Mo含有量を0〜0.50%とした。
【0029】Al:Alは、強化に有効なNbとVの窒
化物や炭窒化物の形成を阻害して強度の低下をもたら
し、特にその含有量が0.08%を超えると、強度の低
下が著しくなる。従って、Alの含有量の上限を0.0
8%とした。
【0030】(B)鋼材の組織 後の実施例でも詳しく述べるが、鋼材が所定の化学組成
を有し、その組織が最大粒径30μm以下で平均粒径が
20μm以下のフェライトを面積率で35〜65%有す
るフェライト・パーライト組織である場合に、鋼材は大
きな降伏棚を発現して1.4%以上の降伏伸びが安定し
て得られるようになり、高強度で曲げ特性も良好とな
る。
【0031】すなわち、鋼材に所望の強度、伸び及び曲
げ特性を付与するためには、先ず鋼材の組織をフェライ
ト・パーライト組織にする必要がある。この場合、フェ
ライトの最大粒径が30μmを超えるか平均粒径が20
μmを超えると、降伏伸びが減少して1.4%以上の降
伏伸びが安定して得られなくなり、又所望の高強度が得
難くなる。従って、フェライトは最大粒径が30μm以
下で、且つ平均粒径が20μm以下とした。前記サイズ
のフェライトの面積率が35%を下回る場合には、降伏
伸びが減少して1.4%以上の降伏伸びが安定して得ら
れなくなり、一方、面積率が65%を超えると、強度の
低下を招き所望の高強度が得られない。このため、前記
サイズのフェライトの面積率を35〜65%とした。
【0032】(C)熱間圧延 (C−1)加熱 本発明においては、VとNbの析出硬化を利用して高強
度化を達成する。このためには、VとNbを圧延前の加
熱時にオーステナイト中へ充分に固溶させておかなけれ
ばならない。そこで、前記の化学組成を有する鋼を10
50℃以上に加熱する。一方、1250℃を超えて加熱
すると、オーステナイト粒の粗大化が著しく所望の組織
と機械的性質が得られない。従って、本発明において
は、加熱を1050〜1250℃の温度域に限定した。
【0033】(C−2)中間圧延及び最終スタンドを除
く仕上げ圧延 上記温度域に加熱して粗圧延した後の、中間圧延及び最
終スタンドを除く仕上げ圧延は、700〜1050℃の
温度域で合計圧下量が減面率で30%以上となるように
行う必要がある。前記の圧延を1050℃を超える温度
で行うと、再結晶が著しくなって微細な組織が得られ
ず、所望の強度を達成できない。一方、700℃を下回
る温度での圧延は、鋼材の変形抵抗が大きくなって圧延
機への負荷が極めて大きくなる。従って、前記圧延の温
度を700〜1050℃とした。
【0034】前記圧延における合計圧下量が減面率で3
0%未満の場合には、微細な再結晶粒が得られず所望の
組織と機械的性質を達成できない。従って、前記温度域
における前記圧延の合計圧下量を減面率で30%以上と
した。この合計圧下量が大きければ大きいほど再結晶粒
が微細化する。従って、前記圧延の合計圧下量の上限は
後述の仕上げ圧延の最終スタンドで少なくとも10%の
圧延が行え、且つ所望の寸法形状の得られるように決定
すれば良い。
【0035】(C−3)仕上げ圧延の最終スタンドでの
圧延 仕上げ圧延の最終スタンドでの圧延は、微細な再結晶粒
から所望の微細フェライト・パーライト組織を得るため
に未再結晶域圧延とする必要がある。そのため前記圧延
の仕上げ温度は750〜1050℃に制御しなければな
らない。なお、前記圧延における圧下量は、仕上げ温度
を確保し、且つ所望の寸法形状を得るために減面率で1
0%以上とする必要がある。この圧下量の上限は特に設
ける必要はなく、設備制約面や寸法形状面からの上限と
すれば良い。
【0036】(D)圧延後の加速冷却 熱間圧延終了後は、フェライト変態を抑制して圧延後に
放冷した場合よりも一層微細なフェライト・パーライト
組織とするために、直ちに冷却速度を制御して加速冷却
することが必要である。この加速冷却の冷却速度が0.
1℃/s未満の場合には、所望の微細なフェライト・パ
ーライト組織が得られない。又、10℃/sを超える場
合には、ベイナイトやマルテンサイトといった所謂「低
温変態組織」となってしまって、所望の機械的性質を得
ることができない。従って、加速冷却の冷却速度は0.
1〜10℃/sとしなければならない。前記冷却速度で
の加速冷却は、圧延後直ちに400〜600℃の温度域
の温度まで行う必要がある。加速冷却を600℃を超え
る温度で停止した場合には、所望の微細なフェライト・
パーライト組織が得られない。一方、400℃を下回る
温度域の温度まで加速冷却すればベイナイトやマルテン
サイトといった所謂「低温変態組織」となってしまう。
このため、いずれの場合にも所望の機械的性質が得られ
ない。なお、加速冷却後の冷却は放冷とすれば良い。
【0037】ところで、既に述べたように兵庫県南部地
震クラスの巨大地震の発生時にも、鉄筋自体が塑性変形
を起こして地震のエネルギーを吸収し、建物全体の倒壊
を防ぐためには、少なくとも鉄筋が降伏強度:685M
Pa以上、降伏比:0.8以下、且つ降伏伸び:1.4
%以上の機械的性質を有することが必要である。なお、
降伏強度に関しては、構造物の降伏機構を確実にし、且
つ設計強度上の必要な割り増しである「安全係数」を小
さくするために、785MPa程度を上限として規制す
ることが好ましい。降伏比は、小さければ小さいほど降
伏後の歪集中による破断を防ぐことができるため、降伏
比の下限は特に規制しなくても良い。又、降伏伸びは、
大きければ大きいほど耐震性が良くなるので、降伏伸び
の上限も特に規制する必要はない。
【0038】一方、鉄筋用鋼材の強度上昇及び太径化に
よって、その破断伸びは低下する傾向にある。一般に、
破断伸びは降伏伸びや曲げ特性と相関を有する。更に、
破断伸びが小さいと歪エネルギーの吸収が小さいため、
地震などによって過大な歪エネルギーが加わると破断を
生じ易くなる。このため、耐震性の観点からは、破断伸
びも大きければ大きいほど良い。従って、鉄筋としての
用途を考えた場合、破断伸びとして、従来のJISSD
345〜SD490と同等の破断伸びを確保することが
好ましい。
【0039】
【実施例】表1〜4に示す化学組成の鋼を通常の方法に
よって溶製した。表1〜4において、鋼A〜Sは本発明
の対象鋼(以下、「本発明鋼」という)、鋼a〜lは成
分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れ
た比較鋼である。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】次いで、これらの鋼を通常の方法によって
鋼片となし、表5〜10に示す条件で圧延と加速冷却を
行い、JIS G 3112に規定される呼び名D32とD51の
鉄筋用棒鋼を製造した。なお、加速冷却を終了した後は
放冷した。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】こうして得られた棒鋼について、実体引張
試験と実体曲げ試験を行った。又、組織観察用試験片を
切り出して組織観察を行った。
【0052】表11〜16に試験結果を示す。組織は、
D32の場合は表面から8mmの部位を、又、D51の
場合は表面から12mmの部位を、それぞれ光学顕微鏡
で観察して判定したものである。上記の表の組織欄にお
けるF はフェライト、P はパーライト、B はベイナイト
をそれぞれ意味する。引張試験における降伏伸びは応力
−歪曲線から求めた。曲げ特性は、D32の場合は曲げ
半径30mmで、D51の場合は曲げ半径50mmで、
それぞれ90度曲げた後の割れ発生の有無で評価した。
表において○は割れ発生無し、×は割れ発生有りを意味
する。
【0053】表11〜16の結果から、本発明で規定す
る化学組成を有し、且つ本発明で規定する条件で「熱間
圧延−加速冷却」の処理を施された鋼材にあっては規定
の組織を有するので、所定の降伏強度、降伏伸び及び降
伏比が得られ、更に曲げ特性も優れていることが明らか
である。
【0054】
【表11】
【0055】
【表12】
【0056】
【表13】
【0057】
【表14】
【0058】
【表15】
【0059】
【表16】
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による高強
度低降伏比鉄筋用鋼材は耐震性能に優れているので、超
高層ビルの鉄筋コンクリート用として利用することがで
きる。この高強度低降伏比鉄筋用鋼材は本発明方法によ
って、比較的容易に低コストで製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.15〜0.50%、S
    i:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜2.50
    %、Cr:0.02〜2.00%、V:0.01〜0.
    40%、Nb:0.005〜0.40%、N:0.00
    3〜0.02%、Cu:0〜0.50%、Ni:0〜
    0.50%、Mo:0〜0.50%及びAl:0.08
    %以下を含有し、残部はFe及び不可避不純物の化学組
    成からなり、組織が、最大粒径30μm以下で平均粒径
    が20μm以下のフェライトを面積率で35〜65%有
    するフェライト・パーライト組織であることを特徴とす
    る高強度低降伏比鉄筋用鋼材。
  2. 【請求項2】圧延工程が粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧
    延の各工程からなる高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造方
    法であって、重量%で、C:0.15〜0.50%、S
    i:0.15〜1.50%、Mn:0.30〜2.50
    %、Cr:0.02〜2.00%、V:0.01〜0.
    40%、Nb:0.005〜0.40%、N:0.00
    3〜0.02%、Cu:0〜0.50%、Ni:0〜
    0.50%、Mo:0〜0.50%及びAl:0.08
    %以下を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなる
    化学組成を有する鋼を、1050〜1250℃の温度域
    に加熱して粗圧延を行い、次いで700〜1050℃の
    温度域で、中間圧延及び最終圧延スタンドを除く仕上げ
    圧延の合計圧下量が減面率で30%以上となるように圧
    延し、更に仕上げ圧延の最終スタンドでの圧延を、減面
    率が10%以上で圧延仕上げ温度が750〜1050℃
    の範囲に制御し、その後直ちに400〜600℃の温度
    域の温度まで0.1〜10℃/sの冷却速度で加速冷却
    することを特徴とする高強度低降伏比鉄筋用鋼材の製造
    方法。
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