JP5146051B2 - 靭性および変形能に優れた板厚:25mm以上の高強度鋼管用鋼材およびその製造方法 - Google Patents

靭性および変形能に優れた板厚:25mm以上の高強度鋼管用鋼材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、操業圧力の高いパイプライン等に用いて好適な、強度が高く、かつ靭性および変形能に優れた板厚:25mm以上の厚肉鋼管用鋼材とその製造方法に関するものである。
本発明は、特にUOEまたはプレスベンド法によって製造されるラインパイプ用鋼材として好適なものである。
天然ガス供給地の遠隔化に伴い、天然ガス輸送用パイプラインの長距離化が進んでいる。その結果、輸送効率向上のために操業圧力を増加させることを考慮して、高い操業圧力にも耐えうるようラインパイプの管厚を増大するか、高強度材とする設計が進められていることから、厚肉高強度鋼管の需要が高まっている。特に、天然ガス輸送用パイプラインにおいては、脆性亀裂伝播防止の観点から、DWTT(Drop Weight Tear Test)と呼ばれる落重引裂試験における延性破面率(SA値)が高いことが望まれている。一般に、鋼材の強度や板厚が増加すると、靭性は低下する傾向にある。厚肉鋼材の靭性を向上させるため、これまで、制御圧延や制御冷却、さらには、直接焼入れ−焼戻し技術などのTMCP技術や、圧延後に行うオンライン熱処理技術などが適用されてきた。
靭性の向上には、結晶粒の微細化が有効であることが従来から知られており、様々な検討がなされている。すなわち、合金設計をはじめとして、圧延時の加熱温度や圧延温度などを工夫することによる細粒化が検討されている。しかしながら、圧延−冷却で得られる厚肉鋼材のオーステナイト(γ)粒径は20〜30μm程度が限界で、圧延後の再加熱焼入れなどで得られる結晶粒径と比べて大きい。また、圧延−冷却まま、あるいは圧延−冷却−焼戻しプロセスでの靭性向上には限界があることから、特に板厚が25mmを超える厚肉鋼材においては、DWTT試験でのSA値を確保することが難しいのが現状であった。
さらに、大地震や凍土地帯における地盤変動によってラインパイプに大変形が生じた場合でも、亀裂発生に至らないように、高変形能を有するラインパイプが望まれるようになってきた。
鋼材の変形能の指標としては、降伏強度を引張強度で除した降伏比(YR値)がある。このYR値が低いほど、パイプに座屈が発生するまでの限界歪が向上する。
鋼材のミクロ組織を、軟質のフェライト相に、硬質のベイナイト相やマルテンサイト相を適度に分散させた複合組織とすることで、低いYR値を有する鋼材が得られることが知られている。
特許文献1には、焼入れ(Q)と焼戻し(T)の中間に、フェライトとオーステナイトの2相域から焼入れ(Q’)を施す熱処理によって、軟質相の中に硬質相が適度に分散した組織とした鋼板が提案されている。
特開昭55−97425号公報
特許文献2には、軟質相を加工フェライト、硬質相をベイナイト+マルテンサイトにすることにより低YR値化を達成した鋼材が提案されている。
特開平08−209291号公報
特許文献3には、ベイナイト中に硬質の島状マルテンサイトを分散させ、低YR値化を達成した鋼板が提案されている。
特開2006−265577号公報
しかしながら、特許文献1に示されるようなQ−Q’−Tプロセスは、製造性が著しく低いため、大量生産には適さなかった。
また、特許文献2のような圧延後の冷却制御により加工フェライトを導入することは、板厚:25mm以上の厚肉鋼材においては難しかった。
特許文献3は、圧延後の冷却および加熱の組合せで硬質の島状マルテンサイトを分散させるため、厚肉鋼材においても低いYR値を実現するためのミクロ組織制御は容易である。一方、母材靭性を向上させるためには、オーステナイト未再結晶域における累積圧下量を70%以上とする必要がある。しかしながら、厚肉鋼材ほど、靭性改善効果は小さく、単にオーステナイト未再結晶域での累積圧下量を増加させるだけでは目標とする高靭性(高SA値)を得ることはできなかった。
本発明は、上記の現状に鑑み、板厚:25mm以上の厚肉鋼材であっても、高い強度を有し、靭性および変形能に優れた鋼管用鋼材を、その有利かつ安価な製造方法と共に提供することを目的とする。
本発明において目標とする特性は次のとおりである。
・強度:API-5L X70(引張強度:565MPa以上)
・靭性:SA値≧90%、シャルピー衝撃値(vE-40)≧300J
・変形能:YR値≦80%
発明者らは、上記の目的を達成すべく、高強度と高変形能とを兼ね備えるベイナイトと島状マルテンサイトを有する鋼材において、板厚が25mm以上になると靭性が劣化する原因について、板厚:15mm程度の薄肉鋼材と比較しながら鋭意研究を行った。
その結果、厚肉鋼材と薄肉鋼材とでは圧延履歴が異なっていること、具体的には、オーステナイト未再結晶域において、圧延を開始する際の温度が、薄肉鋼材と比べて厚肉鋼板の方が高くなっていることが判明した。
そのため、厚肉鋼材と薄肉鋼材とで、ベイナイトと島状マルテンサイトの比率はほぼ同等であるが、厚肉鋼材では島状マルテンサイトが粗大となっていることが判明し、この島状マルテンサイトの粗大化が厚肉化による靭性劣化の原因であることを突き止めた。そして、島状マルテンサイトの平均粒径を1.5μm以下に抑制することで、板厚が25mm以上であっても高靭性が得られることを見出した。
厚肉鋼材のオーステナイト未再結晶域での圧延温度を、薄肉鋼材と同等とすべく、オーステナイト未再結晶域圧延を開始する温度を単純に下げた場合、圧延終了温度も低下し、Ar点未満となる。これにより、圧延中にフェライト変態が起こり、この軟質なフェライトによって強度低下を招く。さらに、その後の熱間圧延で塑性変形したフェライトによって、衝撃荷重が負荷された際の破面にセパレーションが発生し、衝撃吸収エネルギー(シャルピー衝撃値)の大幅な低下を招く。従って、圧延終了時においても、Ar点以上を確保するように圧延開始温度を設定する必要がある。
実際、板厚:30mmの鋼材の圧延実験において、オーステナイト未再結晶域圧延を比較的低温から開始し、圧延温度がAr点近傍まで低下した段階で鋼片を再加熱し、鋼片が所定温度に到達してから再びオーステナイト未再結晶圧延を継続することで、オーステナイト未再結晶域で必要な累積圧下量を確保したのち、加速冷却し、ついで最終加熱を施すことによって、ベイナイトと島状マルテンサイトの2相組織になり、しかも、島状マルテンサイトが十分に微細化された鋼材を得ることができた。
そして、かくして得られた鋼板は、高強度、高変形能はいうまでもなく、優れた靭性すなわち高SA値で高シャルピー衝撃値が得られることが確認できた。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたもので、その要旨構成は、次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.04〜0.08%、
Si:0.01〜0.50%、
Mn:1.5〜3.0%、
P:0.030%以下、
S:0.010%以下、
sol.Al:0.003〜0.100%、
Nb:0.010〜0.040%および
Ti:0.010〜0.020%
を含有し、かつ
Cu:0.01〜1.0%、
Ni:0.01〜2.0%、
Cr:0.01〜1.0%、
Mo:0.01〜1.0%、
V:0.003〜0.040%および
B:0.0004〜0.003%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、さらに下記(1)式で示すCeq値が0.38〜0.60を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、また鋼材のミクロ組織につき、鋼材全体に対するベイナイトと島状マルテンサイトの合計の面積率が90%以上で、かつ該島状マルテンサイトの面積率が5〜15%を満足し、さらに該島状マルテンサイトの平均粒径が1.5μm以下であることを特徴とする、靭性および変形能に優れた板厚:25mm以上の高強度鋼管用鋼材。

Ceq(質量%)=[%C]+[%Mn]/6+([%Cu]+[%Ni])/15+([%Cr]+[%Mo]+[%V])/5 ---(1)
ただし、[%X]は元素Xの含有量(質量%)
2.上記鋼管用鋼材が、さらに、質量%で、
Ca:0.0001〜0.0060%、
REM:0.0001〜0.0200%、
Zr:0.0001〜0.0100%および
Mg:0.0001〜0.0060%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする上記1に記載の高強度鋼管用鋼材。
3.上記1または2に記載の成分組成になる鋼片を、1050℃以上1150℃以下の温度域に加熱後、熱間圧延を開始し、オーステナイト再結晶域での圧延終了後、[Ar点+100]以下℃まで冷却したのち、
Ar点以上[Ar点+100]℃以下の温度域で圧下率:50%以下の途中圧延を行い、Ar点を下回る前に[Ar点+100]℃以上850℃以下の温度域まで再加熱する、[途中圧延−再加熱]の工程を少なくとも2回実施し、さらに最後のAr点以上での圧延を行って、Ar点以上[Ar点+100℃]以下の温度域における累積圧下率:70%以上を確保した後、
ただちに10℃/s以上80℃/s以下の速度で加速冷却を開始し、400℃以上600℃以下の温度域で加速冷却を停止したのち、600℃以上700℃未満の温度に最終加熱することを特徴とする、靭性および変形能に優れた板厚:25mm以上の高強度鋼管用鋼材の製造方法。
なお、本発明において、圧下率、累積圧下率および途中圧延とは以下のことをいうものとする。
圧下率
パス数にかかわらず、圧延開始から終了まで冷却や再加熱なしに行う1回の圧延での合計圧下率のことをいう。
累積圧下率
前記した定義による圧延を複数回行った場合において、各回の圧下の総量による圧下率のことをいう。
途中圧延
Ar点以上[Ar点+100]℃以下の温度域において、圧延後の再加熱を伴って繰り返し行う場合の圧延のことをいう。
本発明によれば、板厚:25mm以上の厚肉鋼材であっても、高強度、高変形性は勿論のこと、優れた靭性を有する鋼管用鋼材を、比較的安価に得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、成分組成における%は、質量%を表すものとする。
C:0.04〜0.08%
Cは、島状マルテンサイトを分散させ低降伏比を得るのに有効な元素である。C量が0.04%未満では、その添加効果に乏しく、一方、0.08%を超えると、島状マルテンサイトの硬度が上昇し、母材部の衝撃吸収エネルギー(シャルピー衝撃値)が低下するので、C量は0.04〜0.08%とする。靭性と降伏比をより良好に両立させるためには、C量は、0.05〜0.07%の範囲とすることが好ましい。
Si:0.01〜0.50%
Siは、脱酸に必要な元素であるが、0.01%未満ではその効果は小さく、一方、0.50%を超えると溶接性および母材部の衝撃吸収エネルギー(シャルピー衝撃値)を著しく低下させるため、Si量は0.01〜0.50%とする。溶接熱影響部の靭性向上の観点からは、0.01〜0.10%の範囲とすることが好ましい。
Mn:1.5〜3.0%
Mnは、焼入性向上元素であり、多量に添加することで加速冷却時に変態生成するベイナイトの強度を向上させる効果がある。Mn量が1.5%未満では、API-5L X70級の強度を確保することができず、一方、3.0%を超えて添加すると、鋼片の鋳造時に不可避的に発生する偏析部に濃化し、その濃化部が靭性(DWTT性)劣化の原因となるので、Mn量は1.5〜3.0%とする。強度を確保しつつ偏析の悪影響を抑えるためには、1.6〜2.0%の範囲とすることが好ましい。
P:0.030%以下、S:0.010%以下
PおよびSはいずれも、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であり、母材部や溶接熱影響部の靭性を劣化させるため、経済性を考慮して可能な限り低減することが好ましいが、P:0.030%以下、S:0.010%以下であれば許容される。
sol.Al:0.003〜0.100%
Alは、脱酸元素であるが、sol.Al量が0.003%未満ではその効果は充分ではなく、一方、0.100%を超えると靭性の劣化を招くので、sol.Al量は0.003〜0.100%とする。好ましくは、0.003〜0.040%の範囲である。
Nb:0.010〜0.040%
Nbは、オーステナイト未再結晶域を低温側に拡大する作用があるので、後述するオーステナイト未再結晶温度域で強圧下することによるベイナイトおよび島状マルテンサイトの微細化を達成するために有用な元素である。特に、Ar点近傍まで確実にオーステナイトの再結晶を遅延させるためには、少なくとも0.010%以上の添加が必要であるが、一方でNbは炭化物形成元素であるため含有量が0.040%を超えると、後述する加速冷却後に加熱を施した際、ベイナイト中に合金炭化物を形成し、著しい析出硬化を伴う靭性劣化を招くので、Nb量は0.010〜0.040%とする。多層溶接される場合の溶接熱影響部においても、上述の析出硬化による靭性劣化を引き起こすことから、Nb量は、0.010〜0.020%の範囲とすることが好ましい。
Ti:0.010〜0.020%
Tiは、鋼中で窒化物を形成し、窒化物のピンニング効果でγ粒の粗大化を防ぐ効果があり、母材部および溶接熱影響部でのミクロ組織粗大化防止の観点で有用である。Ti量が0.010%未満では、この効果は得られない。一方、Ti量が0.020%を超えると靭性の著しい低下をもたらすため、Tiは0.010〜0.020%とする。
Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Cr:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、V:0.003〜0.040およびB:0.0004〜0.003%のうちから選んだ1種または2種以上
これらの元素はいずれも、加速冷却時の焼入性を向上させる効果があり、ベイナイトを強化する目的から、1種または2種以上を選んで添加する。以下、それぞれの元素についての限定理由について述べる。
Cu:0.01〜1.0%
Cuは、強度を増加させる効果がある。Cu量が0.01%未満では、この効果は得られない。一方、Cu量が1.0%を超えると熱間脆性により鋼板表面の性状を劣化させる。好ましいCu量は、0.1〜0.5%の範囲である。
Ni:0.01〜2.0%
Niは、母材の強度を増加させるとともに、靭性も向上させる効果がある。Ni量が0.01%未満では、この効果は得られない。一方、Ni量が2.0%を超えても、この効果は飽和し経済性を損なうだけである。好ましいNi量は、0.1〜0.8%の範囲である。
Cr:0.01〜1.0%
Crは、強度を増加させるのに有用である。Cr量が0.01%未満では、この効果は得られない。一方、Cr量が1.0%を超えると靭性を劣化させる。好ましいCr量は、0.1〜0.5%の範囲である。
Mo:0.01〜1.0%
Moは、強度を増加させるのに有用である。Mo量が0.01%未満では、この効果は得られない。一方、Moが1.0%を超えると著しく靭性を劣化させるとともに経済性を損なう。好ましいMo量は、0.1〜0.4%である。
V:0.003〜0.040%
Vは、炭化物を形成し強度を向上させるのに有用である。V量が0.003%未満では、この効果は得られない。一方、V量が0.040%を超えると炭化物量が過剰となり靭性の劣化を招くおそれがある。好ましいV量は、0.01〜0.03%の範囲である。
B:0.0004〜0.003%
Bは、オーステナイト粒界に偏析し、粒界フェライトの変態生成を抑制することで強度を向上させるのに有用である。B量が0.0004%未満では、この効果は得られない。一方、B量が0.003%を超えても、この効果は飽和する。好ましいB量は、0.0008〜0.0020%の範囲である。
以上、基本成分について説明したが、本発明では、上記の成分組成範囲を満足するだけでは不十分で、次式(1)に示すCeq値について所定の範囲を満足させることが必要である。
Ceq(質量%)=[%C]+[%Mn]/6+([%Cu]+[%Ni])/15+([%Cr]+[%Mo]+[%V])/5 ---(1)
ただし、[%X]は元素Xの含有量(質量%)
Ceq値:0.38〜0.60
Ceq値は、合金元素の添加による鋼の強度や硬さへの影響の指標となるものである。Ceq値が0.38未満の場合、板厚:25mmの鋼板でAPI-5L X70以上の強度を得ることができない。一方、Ceq値が0.60を超える場合には、溶接性が劣化し、特にパイプの円周を溶接する際の低温割れが避けられない。従って、Ceq値は0.38〜0.60の範囲とした。
また、本発明では、上記した基本成分の他、以下に述べる成分を必要に応じて適宜含有させることができる。
Ca:0.0001〜0.0060%、REM:0.0001〜0.0200%、Zr:0.0001〜0.0100%およびMg:0.0001〜0.0060%のうちから選んだ1種または2種以上
Ca、REM、ZrおよびMgはいずれも、鋼中のSを固定して鋼材の靭性を向上させる効果がある。Ca、REM、ZrおよびMgの量がそれぞれ0.0001%未満では、この効果が得られない。一方、Ca、REM、ZrおよびMgの量がそれぞれ、0.0060%、0.0200%、0.0100%および0.0001%を超えると、鋼中の介在物量が増加することによりかえって靭性の劣化を招く。従って、各元素とも上記の範囲が好ましい。
本発明において、上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。但し、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。
次に、本発明の鋼材において、前記の面積率のミクロ組織とした理由について説明する。
ベイナイトと島状マルテンサイトの面積率の合計が90%以上
ベイナイトと島状マルテンサイトの面積率の合計が90%以上のとき、鋼材は所望の強度と変形能を兼ね備え、すなわち低降伏比を有することができる。好ましいベイナイトと島状マルテンサイトの面積率の合計は、95%以上である。
ここで、ベイナイトは、フェライトに比べ低温で変態生成する組織であることから、API規格X70以上の強度を容易に達成することができる。ベイナイトの面積率が75%未満では、所望の強度を達成することができない。一方、ベイナイトの面積率が95%を超えると後述する島状マルテンサイトの面積率:5%以上が得られなくなり、低降伏比を達成できないことが問題となる。従って、ベイナイトの面積率は75〜95%の範囲であることが好ましい。
島状マルテンサイトの面積率:5〜15%
島状マルテンサイトは、ベイナイトよりもさらに硬質な相であり、ベイナイト中に分散させることで、鋼材に低降伏比を与えることができる。島状マルテンサイトの面積率が5%未満の場合、硬質相分散による引張強度の増加が十分でなく、一方、面積率が15%を超えると、シャルピー衝撃吸収エネルギーが著しく低下し靭性を損なうので、島状マルテンサイトの面積率は5〜15%とする。好ましい島状マルテンサイトの面積率は、6〜13%の範囲である。
なお、ベイナイトと島状マルテンサイトの残部組織として、セメンタイト、パーライトおよび残留オーステナイトを含み得るが、これらの合計が10%未満であれば許容することができる。
島状マルテンサイトの平均粒径:1.5μm以下
ベイナイト中に分散させる島状マルテンサイトの平均粒径が1.5μmを超える場合、脆性破壊の起点となりやすく、特に、平均粒径が1.5μmを超える島状マルテンサイトが多数存在すると靭性(SA値)が著しく低下する。従って、島状マルテンサイトの平均粒径は、1.5μm以下とする必要がある。好ましくは1.2μm以下である。
なお、島状マルテンサイトの平均粒径は、画像処理により求めた島状マルテンサイトの円相当直径(島状マルテンサイトの面積を円の面積に換算した際の当該円の直径)の平均値とする。
次に、本発明に従う鋼板の製造方法および製造条件の限定理由について説明する。
なお、本発明における鋼片および鋼材温度は、鋼片および鋼材の表面と中心部の平均温度を示すものとする。
上記の好適成分組成になる溶鋼を、転炉、電気炉等によって溶製し、連続鋳造法または造塊−分塊法等によりスラブ等の鋼片とする。なお、溶製方法、鋼片製造方法については、上記した方法に限定されるものではない。
その後、鋼片を1050℃以上1150℃以下の温度域に加熱し、オーステナイト再結晶域での圧延を終了後、[途中圧延−再加熱]からなる処理(以下、この処理をオーステナイト未再結晶域圧延という)を複数回行い、その後加速冷却ついで最終加熱を行う。
以下、鋼片製造後の各工程を詳細に説明する。
鋼片加熱
鋼片製造後、鋼片温度が室温まで低下してから、あるいは高温の状態で、鋼片を加熱炉に挿入して1050℃以上に加熱する。加熱温度は、靭性確保の観点からは低温である方が好ましいが、1050℃未満では添加したNbが充分に固溶せず、オーステナイト未再結晶域を低温側に拡大することができない。一方、1150℃を超える温度に加熱すると、初期オーステナイト粒が粗大化し靭性劣化の原因となる。よって、加熱温度は、1050℃以上1150℃の範囲とした。好ましくは、1070℃以上1130℃以下の範囲である。
オーステナイト再結晶域圧延
鋼片加熱後、オーステナイト再結晶域で熱間圧延を行うことで、オーステナイトの再結晶組織を細粒化することができる。十分な細粒化効果を得るためには20%以上の圧下率で熱間圧延を行うことが好ましい。この鋼材において、オーステナイト再結晶温度は、概ね900℃程度である。
なお、オーステナイト再結晶域での熱間圧延後、鋼片を[Ar点+100℃]以下まで冷却する。冷却方法は空冷でも水冷でも良いが、オーステナイト未再結晶域圧延までの時間を短縮することができる水冷の方が、再結晶オーステナイト(γ)の成長を抑制する効果が高く、細粒化により有効である。空冷および水冷の場合の冷却速度は、概ね0.1℃/s、5℃/sである。オーステナイト未再結晶域に達するまでの時間をより短縮するために、オーステナイト再結晶域での熱間圧延の途中から水冷を開始しても良い。
なお、Ar点は、次式(2)を用いて簡易的に計算することが可能である。
Ar点(℃)=910−310×[%C]−80×[%Mn]−20×[%Cu]−55×[%Ni]-15×[%Cr]−80×[%Mo] ・・・(2)
ただし、[%X]は元素Xの含有量(質量%)
オーステナイト未再結晶域圧延
ミクロ組織をベイナイトと島状マルテンサイトすることによって、高強度と高変形能を得ることができるが、靭性を向上させるためには、硬質で脆い島状マルテンサイトを微細に生成させる必要がある。そのためには、オーステナイト再結晶域圧延の後、本発明に従うオーステナイト未再結晶域圧延を行う必要がある。
このオーステナイト未再結晶圧延は、[途中圧延−再加熱]の処理と最後のAr点以上での圧延からなる。途中圧延している間に鋼片の温度は次第に低下していくが、一定の温度範囲内で繰り返し途中圧延を行うために再加熱を行うのが、本発明のオーステナイト未再結晶域圧延の特徴である。
オーステナイト未再結晶圧延の条件には、圧延温度、圧下率、再加熱温度、[途中圧延−再加熱]の繰返し数、最後のAr点以上での圧延における終了温度およびAr点以上[Ar点+100℃]以下の温度域における累積圧下率がある。以下、これらの条件の限定理由について説明する。
圧延温度:Ar点以上[Ar点+100℃]以下
島状マルテンサイトを微細に生成させるためには、オーステナイトが再結晶しない温度域の中でも、できる限り低い温度域で集中して圧延することが有効であり、かような途中圧延を施すことによって微細化効果は、より顕著なものとなる。
圧延温度がAr点未満の場合、途中圧延中にフェライトが変態生成し、この軟質なフェライトによって引張強度の低下を招く。このフェライトは、オーステナイト未再結晶域圧延後の加熱、圧延、加速冷却工程でもフェライトを消失させることはできない。一方、[Ar点+100℃]を超える温度で途中圧延すると、オーステナイト回復が一部で生じるため、圧延によるオーステナイト加工の効果が失われ、島状マルテンサイトを十分に微細化できない。従って、圧延温度は、Ar点以上[Ar点+100℃]以下の範囲とした。好ましくは、Ar点以上[Ar点+80℃]以下の範囲である。
圧下率:50%以下
途中圧延を[Ar点+100]℃から開始する場合、圧下率が50%を超えると、1回の途中圧延の全パス終了時には鋼片の温度がAr未満となるおそれが大きく、Ar点以上[Ar点+100℃]以下で圧延を続けることができない。従って、圧下率は50%以下とした。しかしながら、1回の途中圧延における圧下率が低すぎると、再加熱する回数が増え、生産効率の低下を招くため、少なくとも30%の圧下率で圧延を行うことが好ましい。
再加熱温度:[Ar点+100℃]以上850℃以下
圧延温度がAr点を下回ることを防ぐために、途中圧延中に鋼片を再加熱する。再加熱温度が[Ar点+100℃]未満の場合、途中圧延を再開しても圧延パス間の温度低下によってすぐに圧延温度がAr点より低くなってしまうため、少なくとも[Ar点+100℃]まで再加熱する必要がある。一方、再加熱温度が850℃を超えると、鋼片内で回復・再結晶が生じてしまい、島状マルテンサイトの微細化効果が損なわれる。
なお、[Ar点+100℃]を超えて再加熱した場合、[Ar点+100]℃までの冷却速度については特に制限されることはないが、空冷とすることが好ましい。
0.06質量%C-0.15質量%Si-1.78質量%Mn-0.010質量%P-0.003質量%S-0.028質量%Al-0.030質量%Nb-0.012質量%Ti-0.045質量%Niの成分組成になる鋼材から、直径:10mm、高さ:12mmの円柱試験片を製作し、加工フォーマスター試験機にて2段圧縮試験を行い、再加熱温度の上昇による回復挙動を調査した。図1に試験結果を示す。なお、2段圧縮試験におけるオーステナイト化温度は1100℃、1段目圧縮温度は、途中圧延の終了温度を想定した750℃とし、2段目圧縮温度を780℃、800℃、820℃、840℃、860℃、880℃、900℃の7水準に変化させた。ここで、供試鋼のAr点は743℃である。
図1に示したように、2段目圧縮温度が840℃以下では、軟化度が20%以下であるため、回復はほとんど発生していないと考えられる。一方、850℃を超える温度では、軟化度が50%を超え、かつ温度の上昇に伴い軟化度が大きく上昇していることから、850℃を超える温度域では回復が生じていると考えられる。従って、再加熱温度は850℃以下とする必要がある。
[途中圧延―再加熱]の繰返し数:少なくとも2回
途中圧延中に再加熱して、Ar点以上[Ar点+100℃]以下の温度域で圧延を繰り返し行うことで、所望の累積圧下率を得ることができる。途中圧延と最後のAr点以上での圧延における圧下の総量である累積圧下率:70%以上を確保するためには、少なくとも2回、[途中圧延−再加熱]を繰返す必要がある。なお、累積圧下率:70%以上を確保できれば、繰返し数は少ない方が生産性は高いため、好ましくは2回である。
最後のAr点以上での圧延における終了温度:Ar点以上
[途中圧延−再加熱]を少なくとも2回繰返された鋼片は、最後にAr点以上での圧延が行われる。
最後のAr点以上での圧延(以後、この圧延を「最終圧延」と呼ぶ場合がある)は、その後に再加熱を行わないことから、圧延終了温度が重要である。圧延終了温度がAr点未満の場合、圧延終了から加速冷却開始までの間にフェライトが変態生成し、強度低下を招く。従って、圧延終了温度をAr点以上とした。一方、圧延終了温度が[Ar点+100℃]℃を超えると圧延中にオーステナイトの回復が起こり、最終圧延でのオーステナイト加工の効果が消失し、微細な島状マルテンサイトが得られなくなるため、圧延終了温度は[Ar点+100℃]℃以下が好ましい。
Ar点以上[Ar点+100℃]以下の温度域における累積圧下率:70%以上
途中圧延と最後のAr点以上での圧延における圧下率の総量である累積圧下率が70%未満の場合には、薄肉品におけるオーステナイト未再結晶域での圧下率と同等とならず、島状オーステナイトの平均粒径が粗大となり、高靭性(高SA値)を得ることができないため、累積圧下率は70%以上とした。好ましくは75%以上である。
最後のAr点以上での圧延が行われ、加速冷却された後、さらに最終加熱される。以下、最終圧延後の加速冷却および最終加熱における条件の限定理由について説明する。
加速冷却速度:10℃/s以上80℃/s以下
最終圧延を終えた鋼材は、ベイナイトの面積率を所望の範囲にしてAPI-5L X70級以上の強度を確保するため、加速冷却される。加速冷却は、最終圧延終了後、鋼材温度がAr点を下回らないよう直ちに実施する。加速冷却速度が10℃/s以下の場合、板厚中央部でフェライト変態が生じ、ベイナイト主体の鋼組織にすることができないため強度低下を招く。一方、冷却速度が80℃/sを超えても、鋼組織をベイナイト主体のものとする効果は飽和する。従って、冷却速度は、10℃/s以上80℃/s以下の範囲とした。好ましくは15〜40℃/sの範囲である。
加速冷却停止温度:400℃以上600℃以下
加速冷却停止温度が400℃未満の場合、ベイナイト変態がほとんど終了するため、加速冷却後の最終加熱時に島状マルテンサイトの変態生成がなされない。一方、加速冷却停止温度が600℃を超える場合、パーライトが多量に生成し、ベイナイト主体の鋼組織とすることが難しくなる。従って、加速冷却停止温度は400℃以上600℃以下の範囲とする。好ましくは450℃以上580℃以下の範囲である。
最終加熱温度:600℃以上700℃以下
加速冷却後、鋼材は直ちに最終加熱される。加速冷却中に進行しているベイナイト変態の途中で鋼材に最終加熱を施すことにより、未変態オーステナイトにCが濃化され、島状マルテンサイトを変態生成させることができる。最終加熱温度が600℃未満の場合、この効果が発揮されない。一方、最終加熱温度が700℃を超えると、一部、ベイナイトがオーステナイトになる再変態が生じ、再変態部がその後の空冷過程でフェライトとなり強度低下を招く。従って、最終加熱温度は600℃以上700℃以下の範囲とした。好ましくは620℃以上680℃以下の範囲である。
なお、最終加熱後の冷却速度については特に制限はないが、0.5℃/s程度とすることが好ましい。
表1に示す組成の鋼片を、表2に示す加熱温度に加熱後、熱間圧延を開始し、オーステナイト再結晶域での圧延終了後、[Ar点+100]℃以下まで水冷してから、表2に示すオーステナイト未再結晶域圧延、加速冷却および最終加熱を行い、板厚:25〜38mmの鋼材を製造した。
Figure 0005146051
Figure 0005146051
かくして得られた厚鋼材のミクロ組織観察のため、鋼材の厚さ方向1/4の位置より、圧延長手方向に平行な断面を観察する顕微鏡サンプルを採取した。サンプルは観察面を鏡面研磨した後、2段エッチング処理を行ってから、走査型電子顕微鏡を用いて、1000倍の倍率で無作為に5視野ミクロ組織写真を撮影し、画像処理装置にて、ベイナイトおよび島状マルテンサイトの面積率を測定した。また、観察された島状マルテンサイトの円相当直径を測定し、平均値を算出した。
次に得られた厚鋼材より、API-5Lに準拠した全厚引張試験片を採取し、引張試験を行い、降伏強度、引張強度および降伏比(降伏強度と引張強度の比)を求めた。
また、鋼材の厚さ方向1/4の位置からJIS Z 2202に準拠したVノッチ標準寸法のシャルピー衝撃試験片を採取してJIS Z 2242に準拠して-40℃でシャルピー衝撃試験を行い、衝撃吸収エネルギーを求めた。
さらに、API-5Lに準拠したDWTT試験片を採取し、-40℃で試験を行い、SA値を求めた。表3に厚鋼材のミクロ組織調査結果および試験結果を示す。
Figure 0005146051
本発明に適合した発明例No.1〜6はいずれも、ベイナイトと島状マルテンサイトの面積率の合計が90%以上で、島状マルテンサイトの面積率が5〜15%の範囲であり、かつ島状マルテンサイトの平均粒径が1.5μm以下に微細化されているため、APL-5L X70の下限降伏強度485MPa、および下限引張強度565MPaをいずれも上回る高強度を有し、かつ降伏比は80%以下と高い変形能も兼備していた。また、-40℃でのシャルピー衝撃試験で得られた吸収エネルギーが300J以上かつ、同じく-40℃でのDWTT試験で得られたSA値が90%以上と、高い靭性値を示した。
これに対して、オーステナイト未再結晶域での累積圧下量が50%で、その後再加熱、再圧延することなく圧延終了した比較例7は、圧延による組織微細化効果が十分ではなかったため、島状マルテンサイトの平均粒径が2.2μmと大きく、靭性(SA値)が著しく低下した。
1回目のオーステナイト未再結晶域において、圧延開始温度が[Ar点+100℃]を超えた比較例8は、組織微細化効果が十分ではなかったため、島状マルテンサイトの平均粒径が2.1μmと大きく、靭性(SA値)が著しく低下した。
1回目のオーステナイト未再結晶域圧延において、圧延終了温度がAr点を下回った比較例9は、その圧延中にフェライトが変態生成し、最終ミクロ組織まで残った結果、強度が目標値に達しなかった。
1回目のオーステナイト未再結晶域圧延後の再加熱温度が850℃を上回った比較例10は、再加熱時に生じた回復現象により、オーステナイト未再結晶域圧延の効果を損なってしまい、組織微細化効果が不十分で島状マルテンサイト平均粒径が1.5μm以下とならず、変形性(SA値)が著しく低下した。
加速冷却の速度が10℃/s未満の比較例11は、加速冷却でベイナイト変態が起こらず、フェライト−パーライト組織と島状マルテンサイトとなったことにより降伏強度と引張強度が目標を下回った。
加速冷却の停止温度が400℃未満の比較例12は、加速冷却後の未変態オーステナイトが少なかったため、島状マルテンサイトの面積率が発明範囲を下回ったことにより、降伏比が80%以上であった。一方、加速冷却の停止温度が600℃を超える比較例13は、ベイナイト変態が不十分で一部パーライト組織が生成し、ベイナイト+島状マルテンサイトの面積率が発明範囲を下回ったことにより、降伏強度、引張強度とも目標を下回った。
最終加熱温度が600℃未満の比較例14は、再加熱時の未変態オーステナイトへのCの濃化が不十分で、島状マルテンサイトの面積率が発明範囲を下回ったことにより、降伏比が80%以上であった。一方、最終加熱温度が700℃以上の比較例15は、再加熱中にベイナイトがオーステナイトに再変態してしまい、その後の空冷でフェライトが生成したため、ベイナイト+島状マルテンサイトの面積率が発明範囲を下回ったことにより、降伏強度、引張強度とも目標を下回った。
成分組成の範囲が本発明の範囲外であった比較例16〜21については、圧延条件等は本発明の範囲であるものの、強度、降伏比、衝撃吸収エネルギー(シャルピー衝撃値)および靭性(SA値)のいずれかが目標を満足しなかった。
加工フォーマスター試験における2段目圧縮温度と軟化度との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.04〜0.08%、
    Si:0.01〜0.50%、
    Mn:1.5〜3.0%、
    P:0.030%以下、
    S:0.010%以下、
    sol.Al:0.003〜0.100%、
    Nb:0.010〜0.040%および
    Ti:0.010〜0.020%
    を含有し、かつ
    Cu:0.01〜1.0%、
    Ni:0.01〜2.0%、
    Cr:0.01〜1.0%、
    Mo:0.01〜1.0%、
    V:0.003〜0.040%および
    B:0.0004〜0.003%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、さらに下記(1)式で示すCeq値が0.38〜0.60を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、また鋼材のミクロ組織につき、鋼材全体に対するベイナイトと島状マルテンサイトの合計の面積率が90%以上で、かつ該島状マルテンサイトの面積率が5〜15%を満足し、さらに該島状マルテンサイトの平均粒径が1.5μm以下であることを特徴とする、靭性および変形能に優れた板厚:25mm以上の高強度鋼管用鋼材。

    Ceq(質量%)=[%C]+[%Mn]/6+([%Cu]+[%Ni])/15+([%Cr]+[%Mo]+[%V])/5 ---(1)
    ただし、[%X]は元素Xの含有量(質量%)
  2. 前記鋼管用鋼材が、さらに、質量%で、
    Ca:0.0001〜0.0060%、
    REM:0.0001〜0.0200%、
    Zr:0.0001〜0.0100%および
    Mg:0.0001〜0.0060%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼管用鋼材。
  3. 請求項1または2に記載の成分組成になる鋼片を、1050℃以上1150℃以下の温度域に加熱後、熱間圧延を開始し、オーステナイト再結晶域での圧延終了後、[Ar点+100]以下℃まで冷却したのち、
    Ar点以上[Ar点+100]℃以下の温度域で圧下率:50%以下の途中圧延を行い、Ar点を下回る前に[Ar点+100]℃以上850℃以下の温度域まで再加熱する、[途中圧延−再加熱]の工程を少なくとも2回実施し、さらに最後のAr点以上での圧延を行って、Ar点以上[Ar点+100℃]以下の温度域における累積圧下率:70%以上を確保した後、
    ただちに10℃/s以上80℃/s以下の速度で加速冷却を開始し、400℃以上600℃以下の温度域で加速冷却を停止したのち、600℃以上700℃未満の温度に最終加熱することを特徴とする、靭性および変形能に優れた板厚:25mm以上の高強度鋼管用鋼材の製造方法。
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