JPH09110120A - スキッドテーブル上の転動鋼管の停滞防止方法及びその実施装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼管がスキッドテーブル上を転動中に停滞し
て転動しなくならないように自動的に鋼管の連接状態を
解きほぐして順次転動させてスキッドテーブル傾斜面下
端部の跳出しレバーの位置へ送る方法及びその装置を提
供する。 【解決手段】 スキッドテーブル１と、スキッドテーブ
ル傾斜面下端部において一端を固定軸５に他端をエアー
シリンダー６のシリンダーヘッド７に回転自在に連接し
たアーム４を有し、エアーシリンダー６のシリンダーヘ
ッド７の前後進によりアーム４を回動させてスキッドテ
ーブル１下方からスキッドテーブル１上方へ跳出す跳出
しレバー３とからなる断面円形の鋼管２等の移送装置に
おいて、シリンダーヘッド７の後端部に上下動緩衝スプ
リング１１を内在する柱状の押上具８を高さ調節ネジで
１２立設し、該押上具８の頂部にローラ軸を水平とする
回転自在の押上ローラ９を設け、スキッドテーブル傾斜
面下端部での鋼管２の跳出し毎に、押上具８の押上ロー
ラ９を軌跡１７で移行させ、鋼管１を押し上げて停滞を
解きほぐし、鋼管２を転動させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は圧延、熱処理、検査
等の鋼管移送ラインにおいて各装置から次工程の処理装
置へ断面円形の鋼管等を移送する移送装置におけるスキ
ッドテーブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】圧延機で圧延された断面円形の鋼管や棒
鋼等は次工程の各種の処理工程へ、例えば、熱処理工程
等へ搬送される。この場合、鋼管や棒鋼等の重量物はロ
ーラコンベアやスキッドテーブル等を利用して移送及び
経路変更を行い次工程の処理工程へ移送される。ところ
で、スキッドテーブルは長尺の鋼管や棒鋼等の断面円形
材をスキッドテーブルの傾斜面を利用して転動して上端
から下端へ移送し、下端で次工程へ連なるローラコンベ
ア等へ跳出レバーにより跳ね上げて移すものである。ス
キッドテーブルの傾斜面の角度としては、本来転動する
円形材即ち鋼管の重量により定まる最適角が存在し、最
適角は径の大きな重い鋼管では２°ないし３°である。
しかし、径の細い軽い鋼管では最適角の角度はより大で
ある。しかし、スキッドテーブルで移送される鋼管は、
製造ロット毎に径の大きさや重さが相違する。そこで、
移送されるロット毎の鋼管に合わせてスキッドテーブル
の傾斜角を変更して最適角とする手段を有するスキッド
テーブルがある。

【０００３】しかし、ロットの変わる度に傾斜角を変更
することは煩雑であり、手間を要する。そこで、製造さ
れる鋼管の径及び重量に関係なく傾斜角を一定にする方
法が採られている。この場合、傾斜角は安全のため重量
の重い大径管の最適角に合わせて２°ないし３°に設定
されている。このため軽量の鋼管はスキッドテーブルの
傾斜面を下端まで転動しないで途中で停滞を起こしやす
い。このため、スキッドテーブルの傾斜面の下端部に到
達しなくなるので、次工程への跳出しレバーによる跳出
しができなくなり、人手により停滞を解いて転動させる
必要があるので作業性が悪くなる。

【０００４】スキッドテーブル上の鋼管の停滞原因は、
次の４つの落下転動阻害要因が重力による落下転動作用
に勝るためと考えられる。

【０００５】鋼管のたわみ（例えば外径２３mm、肉厚
３mm、長さ4500mmの鋼管は約3.5kgの重さがかかるので
細径鋼管にたわみが生じることがある。） 鋼管表面における隣接管との摩擦 鋼管面に付着した水の表面張力による隣接鋼管との接
着（前工程の冷却水などの水が残留していることによ
る。） 鋼管の残留磁気による隣接鋼管との接合（前工程の磁
気探傷による。）

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、スキッドテーブルを転動中にスキッドテー
ブル上で停滞して転動しなくならないように自動的に連
接状態を解きほぐして個々に順次転動させてスキッドテ
ーブル傾斜面下端部の跳出しレバーの位置へ送るスキッ
ドテーブル上の鋼管の転動防止方法及びその実施装置を
提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、請求項１の発明では、断面円形の鋼管等を
連続してスキッドテーブル傾斜面上を転動させてスキッ
ドテーブル傾斜面下端部で順次個々に跳出し、次工程の
搬送工程に移送する連続移送方法において、傾斜面下端
部における次工程への跳出し毎に、スキッドテーブル上
で連接状態にある複数の鋼管をスキッドテーブル前方の
鋼管から後方の鋼管へ向けて移動しながらスキッドテー
ブル面からスキッドテーブル上方を経て再びスキッドテ
ーブル面へ円弧状の軌跡で順次個々に鋼管を押し上げ、
次いで、次の跳出し準備体制に移行しながら上記の軌跡
を逆向きにスキッドテーブルの後方の鋼管から前方の鋼
管へ移動しながらスキッドテーブル面からスキッドテー
ブル上方を経て再びスキッドテーブル面へ円弧状の軌跡
で順次個々に鋼管を押し上げながら戻る動作を繰り返す
ことにより、連接状態の鋼管の停滞を解消して転動を継
続させることを特徴とするスキッドテーブル上の転動鋼
管の停滞防止方法である。

【０００８】請求項２の発明では、スキッドテーブル
と、スキッドテーブル傾斜面下端部において一端を固定
軸に他端をエアーシリンダーのシリンダーヘッドに回転
自在に連接したアームを有し、エアーシリンダーのシリ
ンダーヘッドの前後進により該アームを回動させてスキ
ッドテーブル下方からスキッドテーブル上方へ跳出す跳
出しレバーとからなる断面円形の鋼管等の移送装置にお
いて、シリンダーヘッド後端部に上下動緩衝スプリング
を内在する柱状の押上具を高さ調節ネジで立設し、該押
上具の頂部にローラ軸を水平とする回転自在の押上ロー
ラを設けたことを特徴とするスキッドテーブル上の転動
鋼管の停滞防止装置である。

【０００９】

【作用】本発明の方法は、傾斜面下端部における次工程
への跳出し毎にスキッドテーブル上で連接状態にある複
数の鋼管をスキッドテーブル前方の鋼管から後方の鋼管
へ向けて移動しながら鋼管をスキッドテーブル面からス
キッドテーブル上方に押し上げ再びスキッドテーブル面
へ下ろす動作を円弧状の軌跡で行うので、スキッドテー
ブル上で連接状態で転動しにくくなった鋼管が解きほぐ
されて再度転動するようになる。さらに、次の跳出し準
備体制に移りながら上記の円弧状軌跡を逆向きにスキッ
ドテーブルの後方の鋼管から前方の鋼管へ移動しながら
鋼管をスキッドテーブル面からスキッドテーブル上方に
押し上げ再びスキッドテーブル面へ下ろす動作を行うの
で、さらにスキッドテーブル上の鋼管は解きほぐされ、
一層転動するようになる。この動作をスキッドテーブル
傾斜面下端部での跳出しの都度継続して繰り返すので、
鋼管は常に解きほぐされて転動し停滞するものは無くな
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を参照し
て説明する。図１は本発明の方法を実施する装置の側面
の概略図で、同図において１は傾斜面を有するスキッド
テーブル、２はスキッドテーブル１上を転動する鋼管で
ある。３はスキッドテーブルの傾斜面下端部で転動して
きた鋼管２を跳出し鋼管支持具１３に載置する跳出しレ
バーである。跳出しレバー３はシリンダー６のシリンダ
ーヘッド７の先端部に一端が枢着され他端が固定軸５に
枢着されたアーム４に固定されて、固定軸５の周りをシ
リンダー６の駆動で回動する。８はシリンダーヘッド７
の後端部上に立設された押上具で、図２の（ｂ）の一部
断面図に見られるように、シリンダーヘッド７に高さ調
節ねじ１２で固定された押上具８は下方にスプリング１
１を内蔵し、上下動が該スプリング１１で緩衝されてお
り、上方には水平なピン軸で押上ローラ９が回転自在に
配設されている。

【００１１】図２の（ａ）は押上具８の上部を示す側面
図である。１図の１４はスキッドテーブルから跳出され
た鋼管２を跳出し鋼管支持具１３から受けるローラコン
ベアで、鋼管２をローラ１５に載置して次工程へ移送す
る。

【００１２】図３はスキッドテーブル及びローラコンベ
アの概略を示す平面図である。同図において左方のロー
ラコンベア１４から送られてきた鋼管は移送コースを変
更するため、左方のスキッドテーブル１の傾斜面上端部
へ移された後、右方の傾斜面下端側へ転動する。右方の
傾斜面下端で跳出しレバー３で跳出された鋼管は跳出し
鋼管支持具１３を転動して右方のローラコンベア１４上
に乗せられてローラ１５で次工程へ移送される。

【００１３】本発明方法を上記装置において説明する。
スキッドテーブル１上を転動する鋼管は２は連続して送
られるとスキッドテーブル傾斜面下端側で図１に示すよ
うに連接して転動途中で停滞状態となり、最下端の鋼管
を跳出しレバー３で跳出して除去しても、後続の鋼管は
転動しなくなる。ところが、本発明の方法では、跳出し
レバー３の矢印１６方向への跳出し動作に連動して、図
の１点鎖線で示すように、シリンダーヘッド７のエアー
シリンダー側への後退につれてシリンダーヘッド７は上
昇する。従って、シリンダーヘッド７の後端部に立設し
た押上具８は上昇しながら右方へ後退するので、図１及
び図４に示すように押上ローラ９はその上面が軌跡１７
を描いて右から左に移行しながら図４の１８で示す区間
でスキッドテーブル１の上側に突出し、その区域にある
鋼管を右側のものから順次個々に上へ押し上げる。この
押上により個々の鋼管の連接が解かれ、動きやすくなり
スキッドテーブル１上を転動することとなる。一方、こ
の間スキッドテーブル傾斜面下端の先端の鋼管１は、跳
上げレバー３で跳出し鋼管支持具１３上に載置されて転
動し右側のローラコンベア１３上に受けられる。ここ
で、シリンダーヘッド７は動きを逆転して右側に移行す
る。このシリンダーヘッド７の右側への移行に連れて跳
出しレバー３はスキッドテーブル１の下方に戻り、次の
跳出しの準備体制に移行する。この時、同時に押上具８
もシリンダーヘッド７と共に移動するので、押上具８の
押上ローラ９は左側から右側へ軌跡１７に従って動き、
この際にも連接する鋼管を押上げて停滞をなくす作用を
する。即ち、１回の跳出し動作で押上具８は２回の押上
動作をする。上記のように毎回の跳出し動作毎に常に押
上動作を本発明は行うので停滞することはない。また、
シリンダーヘッド７への押上具８の立設は下部押上具８
の下部を高さ調節ねじでおこなっているので、押上具８
の押上ローラ９がスキッドテーブル上へ突出する高さを
調節することができ、一回の押上具８の移動で３本ない
し４本の鋼管を押上げるようにするなど、最適の押上高
さとなるようにする。また、押上具８は押上ローラ９で
鋼管１と接触するので、摩擦抵抗が少なく鋼管を傷つけ
ることがない。さらに、押上ローラ９が鋼管１に優しく
接触するように、押上具８は内部に緩衝スプリングを備
えて押上ローラ９の上下動を受けているので衝撃を緩和
し、この点でも鋼管１を傷つけることはない。押上ロー
ラ９は高周波焼入して耐久性を持たせている。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明は鋼管を移
送するスキッドテーブルにおいて、鋼管をスキッドテー
ブル傾斜面下端部で跳出しレバーで跳出して次工程へ移
送する既設の移送手段に押上具を付設するのみで、スキ
ッドテーブル上で鋼管が停滞して転動しなくなって移送
の障害を防止することがてき、且つ、停滞防止が人手に
よることなく自動化しているので極めて優れた効果を有
するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法を実施する装置の概略側面図であ
る。

【図２】スキッドテーブル上の鋼管を押上げる押上具の
概略図で、（ａ）は一部切断した側面図で、（ｂ）は一
部断面で示す正面図である。

【図３】本発明におけるスキッドテーブルの概略を示す
平面図である。

【図４】移動する押上具の押上ローラ上面の軌跡を説明
する図である。

【符号の説明】

１ スキッドテーブル ２ 鋼管 ３ 跳出しレバー ４ アーム ５ 固定軸 ６ シリンダー ７ シリンダーヘッド ８ 押上具 ９ 押上ローラ １０ ピン軸 １１ 緩衝スプリング １２ 高さ調節ねじ １３ 跳出し鋼管支持具 １４ ローラコンベア １５ ローラ １６ 跳出し方向 １７ 軌跡 １８ ローラ通過区域

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面円形の鋼管等を連続してスキッドテ
   ーブル傾斜面上を転動させてスキッドテーブル傾斜面下
   端部で順次個々に跳出し、次工程の搬送工程に移送する
   連続移送方法において、傾斜面下端部における次工程へ
   の跳出し毎に、スキッドテーブル上で連接状態にある複
   数の鋼管をスキッドテーブル前方の鋼管から後方の鋼管
   へ向けて移動しながらスキッドテーブル面からスキッド
   テーブル上方を経て再びスキッドテーブル面へ円弧状の
   軌跡で順次個々に鋼管を押し上げ、次いで、次の跳出し
   準備体制に移行しながら上記の軌跡を逆向きにスキッド
   テーブルの後方の鋼管から前方の鋼管へ移動しながらス
   キッドテーブル面からスキッドテーブル上方を経て再び
   スキッドテーブル面へ円弧状の軌跡で順次個々に鋼管を
   押し上げながら戻る動作を繰り返すことにより、連接状
   態の鋼管の停滞を解消して転動を継続させることを特徴
   とするスキッドテーブル上の転動鋼管の停滞防止方法。
2. 【請求項２】 スキッドテーブルと、スキッドテーブル
   傾斜面下端部において一端を固定軸に他端をエアーシリ
   ンダーのシリンダーヘッドに回転自在に連接したアーム
   を有し、エアーシリンダーのシリンダーヘッドの前後進
   により該アームを回動させてスキッドテーブル下方から
   スキッドテーブル上方へ跳出す跳出しレバーとからなる
   断面円形の鋼管等の移送装置において、シリンダーヘッ
   ド後端部に上下動緩衝スプリングを内在する柱状の押上
   具を高さ調節ネジで立設し、該押上具の頂部にローラ軸
   を水平とする回転自在の押上ローラを設けたことを特徴
   とするスキッドテーブル上の転動鋼管の停滞防止装置。