JPH09105635A - 振動角速度計用振動子及びその製造方法 - Google Patents

振動角速度計用振動子及びその製造方法

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JPH09105635A
JPH09105635A JP7287822A JP28782295A JPH09105635A JP H09105635 A JPH09105635 A JP H09105635A JP 7287822 A JP7287822 A JP 7287822A JP 28782295 A JP28782295 A JP 28782295A JP H09105635 A JPH09105635 A JP H09105635A
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JP
Japan
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vibrator
electrode
plate
angular velocity
electrodes
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JP7287822A
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English (en)
Inventor
Shunji Watanabe
俊二 渡辺
Tatsushi Nomura
達士 野村
Tetsuo Hattori
徹夫 服部
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型化及び製造工程の簡略化を図る。しか
も、正確な角速度の測定を可能にするとともに、電極間
の絶縁を確実に確保する。 【構成】 圧電材料からなる四角柱形状の部材2,3間
に、電極4を挟んで形成する。部材2の上面に、部材2
の長さ方向に延びる複数の電極6,7,8を、部材2の
幅方向に互いに間隔をあけて形成する。部材3の下面に
電極を形成する。部材2の上面における電極6,7,8
間に、凹部9,10を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機、船舶、自
動車等のナビゲーションシステムやこれらの姿勢制御
等、或いはスチールカメラ、ビデオカメラの手振れや振
動感知に使用する振動角速度計で用いられる振動角速度
計用振動子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】振動角速度計は、振動している物体に回
転角速度が与えられると、その振動方向と垂直な方向に
コリオリ力を生ずるという力学現象を利用したジャイロ
スコープの一種である。
【0003】振動角速度計に使用する振動子の従来例を
図14及び図15にそれぞれ示し、これらの図を用いて
振動角速度計の原理を説明する。
【0004】図14は、従来例の振動子100を示す図
であり、図14(a)はその斜視図、図14(b)はそ
の長さ方向から見た正面図を示す。この振動子100で
は、断面が正方形の四角柱部材110が、弾性常数が温
度変化に対して変化が少ないエリンバー合金で作製され
ている。四角柱部材100の各側面には、両面に銀ペー
スト電極(図示せず)を形成した圧電材料例えばPZT
(チタン酸ジルコン酸鉛)製の板111,112,11
3,114がそれぞれ貼り付けられている。PZT板1
11,112には振動用電圧が印加され、これらの逆圧
電効果による振動によりPZT板111,112が振動
することにより四角柱部材110が図14(b)中の上
下方向に振幅を持つように単振動する。四角柱部材11
0が、この単振動をしているときに四角柱部材110の
長さ方向に平行な軸の周りにある角速度を持って回転す
ると、図14(b)中の左右方向にコリオリ力が発生
し、該コリオリ力によって、四角柱部材110が図14
(b)中の左右方向に凹凸を持つように振動する。この
振動によりPZT板113,114の電極に正圧電効果
により電圧が発生し、該電圧の差動をとることによりコ
リオリ力による角速度の大きさに比例した信号を取り出
すことができる。
【0005】図15は他の従来の振動子200を示す図
であり、図15(a)はその斜視図、図15(b)はそ
の長さ方向から見た正面図である。この振動子200は
図14に示す振動子100の変形である。この振動子2
00では、断面が正三角形のエリンバー合金製の三角柱
部材210の各側面に、図14中のPZT板111,1
12,113,114と同様のPZT板211,21
2,213がそれぞれ貼り付けられている。PZT板2
13には振動用電圧が印加され、これらの逆圧電効果に
よる振動によりPZT板213が振動することにより三
角柱部材210が図15(b)中の上下方向に振幅を持
つように単振動する。PZT板211,212は、図1
4中のPZT板113,114と同様にコリオリ力感知
用として使用されるが、コリオリ力の方向に対して垂直
に配置されないため、該コリオリ力の方向余弦成分を感
知することとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の振動子10
0,200の場合、エリンバー合金製の部材110,2
10を使用している。このエリンバー合金は鉄、ニッケ
ル、クロムを主成分とする合金であり、決してその加工
は容易ではなく、さらに振動子として使用するためにそ
の形状加工には寸法精度が必要である。また、前記従来
の振動子100,200では、部材110,210の側
面に精度良くPZT板111〜114,211〜213
を貼り付ける必要があり、この貼り付け精度が悪いと感
知した信号のバランスが悪くなってしまう。これらの加
工、貼り付け工程に要する時間は多大なものであった。
また、振動子100,200は、その構造上小型化が困
難であった。
【0007】そこで、本発明者らは、これらの従来の振
動角速度計用振動子100,200に代わり、小型化可
能でかつ製造の容易な振動角速度計用振動子を既に提案
した(特願平6−207082)。
【0008】この振動子300について、図16を参照
して説明する。図16はこの振動子を示す図であり、図
16(a)はその斜視図、図16(b)はその長さ方向
から見た正面図である。
【0009】振動子300は、圧電材料であるPZTか
らなる四角柱形状の部材320,330と、部材320
の下面と部材330の上面との間に挟んで銀ペーストに
より形成された電極351と、部材320の上面に、部
材320の長さ方向に延びるとともに部材320の幅方
向に互いに間隔をあけて部材320の両側位置にそれぞ
れ銀ペーストにより形成された電極341,342と、
部材330の下面の全面に銀ペーストにより形成された
電極352と、から構成されている。部材320の上面
には凹部等は形成されておらず、部材320の上面は単
なる平面とされている。
【0010】この振動子300では、電極351をアー
ス電極にし、電極352と電極351との間に振動電圧
を印加すると、振動子300の全体が、電極351,3
52の面と垂直な方向に凹凸が発生するように振動す
る。振動子300が長さ方向に平行な軸の周りにある角
速度をもって回転したとすると、コリオリ力に相当する
電圧が逆位相で電極341,342に発生する。電極3
41,342に発生する電圧には、コリオリ力に相当す
る電圧のみならず電極341,342の面と垂直な方向
の屈曲振動(励振)による電圧も含まれるが、電極34
1の電圧と電極342の電圧との差動をとって励振によ
る成分をキャンセルすることにより、コリオリ力に相当
する信号のみを得ることができ、したがって、振動子3
00の角速度を測定することができる。
【0011】前記振動子300では、図14及び図15
に示す従来の振動子100,200に比べて小型化及び
製造工程の簡略化は達成できるものの、次のような問題
があった。すなわち、振動子300では、電極341,
342は、銀ペーストをスクリーン印刷するか、あるい
は、部材320の上面全面に付いた電極をマスキングに
よりマスクし、サンドブラストにより不要部分の電極を
取り除くか又は酸エッチングにより取り除くかする必要
がある。しかし、これらの方法では、電極341,34
2の寸法、面積を安定して一致させることは困難であ
る。このため、電極341,342の寸法、面積が一致
しないことなり、電極341,342から得られるコリ
オリ力に相当する信号の値が両者で異なってしまい、そ
の結果正確な角速度を測定できないという不具合を生じ
る。また、酸エッチング法により取り除く前記方法を採
用する場合には、特に、電極341,342間に銀ペー
ストの残滓が取りきれずに残ってしまい、両電極34
1,342間で絶縁不良を起こしてしまう。
【0012】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、小型化及び製造工程の簡略化を図ることができ、し
かも、正確に角速度を測定できるとともに電極間の絶縁
を確実に確保することができる振動角速度計用振動子及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様による振動角速度計用振動子
は、圧電材料からなる四角柱形状の第1及び第2の部材
と、前記第1の部材の第1の面と前記第2の部材の第1
の面との間に挟んで形成された第1の電極と、前記第1
の部材の前記第1の面と相対する前記第1の部材の第2
の面に、前記第1の部材の長さ方向に延びるとともに前
記第1の部材の幅方向に互いに間隔をあけて形成された
複数の外部電極と、前記第2の部材の前記第1の面と相
対する第2の面に形成された第2の電極と、を備え、前
記第1の部材の前記第2の面における前記複数の外部電
極間に凹部が形成されたものである。
【0014】本発明の第2の態様による振動角速度計用
振動子は、前記第1の態様による振動角速度計用振動子
において、前記複数の外部電極が、前記第1の部材の幅
方向の両側位置にそれぞれ形成された略同一面積を有す
る第3及び第4の電極と、前記第1の部材の幅方向の略
中央の位置に形成された第5の電極とからなるものであ
る。
【0015】本発明の第3の態様による振動角速度計用
振動子は、前記第1の態様による振動角速度計用振動子
において、前記複数の外部電極が、前記第1の部材の幅
方向の両側位置にそれぞれ形成された略同一面積を有す
る第3及び第4の電極からなるものである。
【0016】本発明の第4の態様による振動角速度計用
振動子は、圧電材料からなる四角柱形状の第1の部材
と、四角柱形状の第2の部材と、前記第1の部材の第1
の面と前記第2の部材の第1の面との間に挟んで形成さ
れた第1の電極と、前記第1の部材の前記第1の面と相
対する前記第1の部材の第2の面に、前記第1の部材の
長さ方向に延びるとともに前記第1の部材の幅方向に互
いに間隔をあけて形成された複数の外部電極と、を備
え、前記第1の部材の前記第2の面における前記複数の
外部電極間に凹部が形成されたものである。
【0017】本発明の第5の態様による振動角速度計用
振動子は、前記第4の態様による振動角速度計用振動子
において、前記複数の外部電極が、前記第1の部材の幅
方向の両側位置にそれぞれ形成された略同一面積を有す
る第2及び第3の電極と、前記第1の部材の幅方向の略
中央の位置に形成された第4の電極とからなるものであ
る。
【0018】本発明の第6の態様による製造方法は、前
記第1乃至第5のいずれかの態様による振動角速度計用
振動子を製造する方法であって、前記第1の部材の前記
第2の面の全面に電極を形成し、その後、全面に前記電
極が形成された前記第1の部材の前記第2の面に溝加工
を施して、前記電極を前記複数の外部電極に分割すると
同時に前記凹部を形成するものである。
【0019】本発明の第7の態様による振動角速度計用
振動子の製造方法は、第1の面の全面に電極が形成され
た圧電材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と相
対する第2の面と、第1の面の全面に電極が形成された
圧電部材からなる第2の板状部材の前記第1の面と相対
する第2の面とが、電極を挟んで接合されてなる接合部
材を用意する段階と、前記接合部材を所望の個々の振動
角速度計用振動子の寸法に合わせて厚み方向に切断する
とともに、前記第1の板状部材の前記第1の面に溝加工
を施す段階(この段階における前記切断と前記溝加工は
いずれを先に行ってもよい)と、を備えたものである。
この第7の態様による製造方法は、前記第1乃至第3の
態様による振動角速度計用振動子を製造するために用い
ることができる。
【0020】本発明の第8の態様による振動角速度計用
振動子の製造方法は、第1の面の全面に電極が形成され
た圧電材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と相
対する第2の面と、第1の面の全面に電極が形成された
圧電部材からなる第2の板状部材の前記第1の面と相対
する第2の面とが、電極を挟んで接合されてなる接合部
材を用意する段階と、前記接合部材の前記第2の板状部
材の前記第1の面の側を仮に支持板に接合する段階と、
前記支持板に仮に接合された前記接合部材を所望の個々
の振動角速度計用振動子の寸法に合わせて厚み方向に前
記支持板の表面に達する程度に切り込んで切断するとと
もに、前記第1の板状部材の前記第1の面に溝加工を施
す段階(この段階における前記切断と前記溝加工はいず
れを先に行ってもよい)と、前記切断されるとともに溝
加工が施された前記接合部材を前記支持板から取り外す
段階と、を備えたものである。この第8の態様による製
造方法も、前記第1乃至第3の態様による振動角速度計
用振動子を製造するために用いることができる。
【0021】本発明の第9の態様による振動角速度計用
振動子の製造方法は、第1の面の全面に電極が形成され
た圧電材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と相
対する第2の面と、第2の板状部材の第1の面とが、電
極を挟んで接合されてなる接合部材を用意する段階と、
前記接合部材を所望の個々の振動角速度計用振動子の寸
法に合わせて厚み方向に切断するとともに、前記第1の
板状部材の前記第1の面に溝加工を施す段階(この段階
における前記切断と前記溝加工はいずれを先に行っても
よい)と、を備えたものである。この第9の態様による
製造方法は、前記第4及び第5の態様による振動角速度
計用振動子を製造するために用いることができる。
【0022】本発明の第10の態様による振動角速度計
用振動子の製造方法は、第1の面の全面に電極が形成さ
れた圧電材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と
相対する第2の面と、第2の板状部材の第1の面とが、
電極を挟んで接合されてなる接合部材を用意する段階
と、前記接合部材の前記第2の板状部材の前記第1の面
と相対する第2の面の側を仮に支持板に接合する段階
と、前記支持板に仮に接合された前記接合部材を所望の
個々の振動角速度計用振動子の寸法に合わせて厚み方向
に前記支持板の表面に達する程度に切り込んで切断する
とともに、前記第1の板状部材の前記第1の面に溝加工
を施す段階(この段階における前記切断と前記溝加工は
いずれを先に行ってもよい)と、前記切断されるととも
に溝加工が施された前記接合部材を前記支持板から取り
外す段階と、を備えたものである。この第10の態様に
よる製造方法も、前記第4及び第5の態様による振動角
速度計用振動子を製造するために用いることができる。
【0023】前記第1乃至第5の態様による振動角速度
計用振動子は、前記第7乃至第10の態様のように、接
合部材を用意しこれに対して切断及び溝加工を行うこと
により一度に複数製造することができるので、前述した
図14及び図15に示す従来の振動子に比べて、小型化
及び製造工程の簡略化を図ることができる。
【0024】また、前記第1乃至第5の態様による振動
角速度計用振動子では、前述した図16に示す振動子と
異なり、第1の部材の第1の面における複数の外部電極
間に凹部が形成されているので、第6乃至第10の態様
のように、予め所定の面の全面に電極が形成された圧電
部材の当該面に溝加工を施すことにより、当該電極の不
要部分が完全に削り取られ、所望の複数の外部電極を得
ることができる。このため、確実に複数の外部電極間の
絶縁を確保することができる。のみならず、この溝加工
や切断は、例えばダイシングソーを用いることにより極
めて精度良く行うことができるので、複数の外部電極の
寸法、面積、位置の精度が極めて高くなり、これによ
り、前述した図16に示す振動子において生じていたよ
うな不具合が生ずることなく、正確に角速度を測定する
ことができる。さらに、前記溝加工や切断を例えばダイ
シングソーを用いることにより極めて精度良く行うこと
ができるので、溝加工の加工量(溝の幅、深さ等の寸
法)の精度が極めて高くなることから、溝加工の加工量
を所定の値に設定しておくことにより、振動子の縦方向
と横方向の基準振動数をほぼ一致させることができる。
このため、振動子の縦方向と横方向の基準振動数合わせ
が全く不要になるか、あるいは、両者の基準振動数が一
致していない場合であってもそのずれが極めて小さくな
るので基準振動数合わせが容易になる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明による振動角速度計
用振動子及びその製造方法について、図面を参照して詳
細に説明する。
【0026】(実施の形態1)まず、本発明の第1の実
施の形態による振動角速度計用振動子1について、図1
を参照して説明する。図1は本実施の形態による振動子
1を示す図であり、図1(a)はその斜視図、図1
(b)はその長さ方向から見た正面図である。
【0027】図1に示すように、振動子1は、圧電材料
からなる四角柱形状(厳密に四角柱でなくてもよい)の
第1及び第2の部材2,3と、第1の部材2の第1の面
(図1では下面)と第2の部材3の第1の面(図1では
上面)との間に挟んで形成された電極4と、第1の部材
2の前記第1の面に相対する第1の部材2の第2の面
(図1では上面)に、第1の部材2の長さ方向に平行に
延びるとともに第1の部材2の幅方向(図1(b)中の
左右方向)に互いに間隔をあけて形成された外部電極
6,7,8と、第2の部材3の前記第1の側面に相対す
る第2の部材3の第2の面(図1では下面)に形成され
た電極5と、を備えている。第1の部材2の前記第2の
面における電極6,7,8間に凹部9,10が形成され
ている。電極6,7は、第1の部材2の幅方向の両側位
置にそれぞれ形成され、略同一面積を有している。電極
8は、第1の部材2の幅方向の略中央の位置に形成され
ている。
【0028】本実施の形態では、第1及び第2の部材
2,3は、圧電セラミック(例えば、チタン酸ジルコン
酸鉛(PZT))からなり、それらの厚みは0.5m
m、幅は1mm、長さは9mmとされている。電極4,
5,6,7,8は銀ペーストで形成されている。電極4
は第1の部材2の下面全面及び第2の部材3の上面全面
に渡って形成されている。電極5は第2の部材3の下面
全面に形成されている。電極6,7,8の幅はそれぞれ
0.2mmとされ、凹部(溝)9,10の幅もそれぞれ
0.2mmとされている。もっとも、本発明では、この
ような材質及び寸法に限定されるものではない。なお、
本実施の形態では、第1及び第2の部材2,3の分極方
向は、略厚み方向(図1中の上下方向)とされている。
【0029】次に、振動子1の製造方法の一例につい
て、図2乃至図7を参照して説明する。図2乃至図7
は、振動子1の製造工程を示す概略斜視図である。
【0030】まず、厚み0.5mm、縦7cm、横7c
mのPZTからなる2枚の板状部材21,22用意し、
これらの両面にはそれぞれ全面に銀ペーストにて電極を
形成する。この電極を利用して部材21,22共に厚み
方向に分極処理を施す。このように電極を形成し分極処
理を施した状態の板状部材21,22を図2に示す。た
だし、図2においては、前記電極は省略して示してい
る。なお、後述する図3乃至図7及び図10において
も、前記電極は省略して示している。
【0031】次に、図3に示すように、電極が形成され
分極処理が施された板状部材21,22をエポキシ性接
着剤等の接着剤(図示せず)を用いて接合し、接合部材
20とする。この際使用する接着剤としては、粘度が低
く接着層厚が厚くならないものを選択する。部材21、
22の表面の銀ペースト電極の表面の微小な凹凸による
両者間の電気的接続を保証するするためと、接合した際
の接着剤の厚みむらによる接合部材20の厚みの均一性
を保証するためである。これらは、接着剤を均一に塗布
し、所定温度で熱処理を行い、熱処理中に接合部材20
に均一荷重をかけるにより達成される。
【0032】次に、接合部材20は、接合部材20より
大きい図示しない平面精度が確保されたガラス平面板等
の支持板上に例えば蝋(後に両者を分離できる他の接着
剤でもよい)づけにて接合部材20の部材22側の面を
仮に接合する。この接合の際にも、所定温度にて均一荷
重のもとで接合作業を行い、接合精度を確保する。すな
わち、接合部材20の上面は、前記支持板の上面(基準
面)と精度良く平行にされている。
【0033】なお、板状部材21,22間の接合に使用
する接着剤が高温で熱処理を必要とする場合には、この
熱処理で板状部材21,22の分極が弱まるおそれがあ
るので、そのような場合は、接合した電極部分とそれと
相対する2電極との間で再度分極処理を行えば、板状部
材21,22の分極を容易に復活させることができる。
接合前には板状部材21,22に分極処理を施すことな
く、接合後にのみ分極処理を行ってもよい。
【0034】次に、図4に示すように、接合部材20の
上面に形成された電極上に、振動子1の長さ9mm及び
ダイシングソーの切りしろ0.2mmを含んだ9.2m
m間隔にて、横方向に平行に幅0.5mmのクリーム半
田帯をスクリーン印刷にて形成し、所定の温度にて熱処
理を行い、半田帯23を形成する。図では理解し易いよ
うに半田帯23は3本のみ示しているが、実際は7本形
成する。この半田帯23は、将来振動子1の各電極6,
7,8への導線の半田付けを容易にするためのものであ
る。もっとも、本発明では、このような半田帯23は必
ずしも形成しておく必要はない。
【0035】その後、図5に示すように、半田帯23に
垂直な方向に所定ピッチにてダイシングソーにて前記支
持板の表面に達する程度まで接合部材20に切り込み、
接合部材20を切断する。このピッチは、ダイシングソ
ーの切断刃の厚みを考慮し、切断された片の幅が振動子
1の幅1mmになるようにする。切断された各々の片
は、前記支持板と蝋で接着されているため、バラバラに
なることなく、前記支持板に固定されている。したがっ
て、後述する図6及び図7に示すような切断及び溝加工
も精度良く行うことができる。
【0036】次いで、図6に示すように、半田帯23の
側辺に沿ってダイシングソーにてガラス基板の表面に達
する程度まで切り込み、接合部材20を切断する。この
ピッチは切断された片の長さが振動子1の所定長さにな
るように設定する。
【0037】その後、図7に示すように、同じダイシン
グソーの刃を接合部材20の上面から30μmの切り込
み量になるように調節して、半田帯23と垂直な切断線
と平行に振動子1の電極6と8が同じ幅の0.2mmに
なるように切り込み溝(図1中の凹部9,10に相当)
を入れる。接合部材20の各片は前記支持板に蝋にて固
着されているため、この溝加工作業はダイシングソーの
持っている極めて高い精度で実施される。溝の幅を大き
くしたいときは、ダイシングソーの刃の幅を変えて溝加
工をすれば良い。電極下のPZT部まで削り取り、溝を
構成することにより、確実に電極6,7,8間の不要な
銀ペースト電極を取り除くことができ、各電極6、7、
8間の絶縁を保証することができる。そして、図5乃至
図7に説明したように、接合部材20の切断及び溝加工
をダイシングソーにより極めて精度良く行うことができ
るので、電極6,7,8の寸法、面積、位置の精度が極
めて高くなる。
【0038】以上の加工が終了した後、前記支持板を加
熱して蝋を溶かし、接合部材20の各片を前記支持板よ
り剥し、有機溶剤で洗浄し、付着した蝋を除去する。こ
れにより接合部材20の各片が振動子1となり、振動子
1が完成する。
【0039】以上の工程により、図1に示す1mm×1
mm×9mmの小型の振動型角速度計用振動子1を一度
に多量に製造することができる。すなわち、本実施の形
態による振動子1は、以上説明した工程により製造する
ことができるので、前述した図14及び図15に示す従
来の振動子に比べて、小型化及び製造工程の簡略化を図
ることができる。
【0040】ところで、本実施の形態では、図4に示す
工程、図5に示す工程、図6に示す工程及び図7に示す
工程の順で切断及び溝加工が行われていたが、これらの
工程の順序は任意に変更してもよい。また、本実施の形
態では、図3に示す接合部材20を用意する際して、2
枚とも両面に電極を形成した板状部材21,22を使用
したが、板状部材21,22のうちの1枚は、片面のみ
に電極を形成したものであってもよい。その場合は、片
面のみに電極を形成した板状部材における電極を形成し
ていない面を他の板状部材の電極面と接合して、図3に
示す接合部材20を得ればよい。
【0041】なお、図1中の凹部9,10の深さは、理
解を容易にするため、実際より深く描いてある。本実施
の形態では、凹部9,10の断面形状は、矩形形状とさ
れているが、これに限定されるものではなく、例えば、
V字状や円弧状であってもよい。また、図1中では、半
田帯23は省略している。
【0042】なお、振動子1の縦方向(厚み方向)の基
準振動数(又は共振周波数)と横方向(幅方向)の基準
周波数(共振周波数)を一致させることが好ましい。こ
の振動数合わせは、通常、例えば、振動子1を振動させ
ながら側面をレーザー等で削ることにより振動数を調整
することによって、行われる。本実施の形態では、接合
部材20の前記溝加工や切断を極めて精度良く行うこと
ができるので、溝加工の加工量(溝の幅、深さ等の寸
法)の精度が極めて高くなることから、溝加工の加工量
を所定の値に設定しておくことにより、振動子1の縦方
向と横方向の基準振動数をほぼ一致させることができ
る。このため、振動子1の縦方向と横方向の基準振動数
合わせが全く不要になるか、あるいは、両者の基準振動
数が一致していない場合であってもそのずれが極めて小
さくなるので基準振動数合わせが容易になる。また、本
実施の形態による振動子1を実際に製造したところ、形
成した溝が狭くて浅かったためか、縦方向と横方向の基
準振動数差が観測されず、振動数合わせは不要であっ
た。
【0043】次に、本実施の形態による振動子1を使用
した振動角速度計の一例について、図8を参照して説明
する。図8はこの振動角速度計を示す構成図である。
【0044】この振動角速度計は、図8に示すように、
振動子1の他に、振動子1を自励振駆動する自励振回路
30と、振動子1からの信号に基づいて振動子1に作用
するコリオリ力に相当する検出信号を得る検出回路50
と、を備えている。
【0045】振動子1の電極4が基準電極(アース電
極)として用いられ、自励振回路30の出力端が電極5
に接続され、自励振回路30の入力端が電極8に接続さ
れ、検出回路50の2つの入力端がそれぞれ電極6,7
に接続されている。なお、電極6,7,8への接続は、
前記半田帯23に相当する部分に導線を半田付けするこ
とにより行われる。
【0046】自励振回路30により電極4と電極5との
間に励振用電圧(駆動電圧)が印加されると、振動子1
の第2の部材3が電極4,5の面と垂直な方向(図1中
の上下方向)に屈曲振動(単振動)し、したがって、振
動子1の全体がこの方向に屈曲振動する。部材2,3の
長さ方向に延びた任意の軸を中心として振動子1が回転
し角速度が与えられると、部材2,3の幅方向にコリオ
リ力が発生し、このコリオリ力により振動子1がこの方
向に屈曲振動が発生する。この屈曲振動により、コリオ
リ力に対応する信号(電圧)が逆位相でそれぞれ電極
6,7に発生する。電極6,7に発生する電圧には、こ
の信号のみならず、電極4,5の面と垂直な方向の振動
子1の屈曲振動(励振)による電圧も同位相で含まれ
る。
【0047】検出回路50は、電極6の信号と電極7の
信号との差動をとって励振による成分をキャンセルする
ことにより、コリオリ力に対応する信号のみを得、更に
その差動波形の包絡線を復調し、復調された信号をコリ
オリ力の検出信号として出力する。したがって、振動子
1の回転速度(角速度)を測定することができる。な
お、検出回路50の具体的な回路構成自体は、周知であ
る。
【0048】自励振回路30は、オペアンプ41及び抵
抗器42,43からなる反転増幅器44と、抵抗器4
5,46及びコンデンサ47,48からなる2段のRC
フィルタにより構成されたローパスフィルタ49と、か
ら構成されている。電極8からの出力電圧が反転増幅器
44により反転増幅され、その増幅された電圧がローパ
スフィルタ49により位相調整され、その位相調整され
た電圧が駆動電圧として電極5に供給される。これによ
り、ループゲインが1以上となるように正帰還がかけら
れ、振動子1が自励振駆動される。
【0049】ところで、振動子1の電極6,7は同じ面
積を持つことが好ましい。なぜならば、両者の面積が異
なると、両電極6,7に発生する逆位相のコリオリ力に
起因する信号電圧のバランスがくずれてしまい、正確に
角速度を測定することができないからである。また、電
極8の設定位置は、正確に部材2の幅方向の中心である
ことが好ましい。なぜならば、電極8の位置が部材の幅
方向の中央の位置からずれると、自励振回路30に入力
する信号が、コリオリ力が存在する時に、そのコリオリ
力に応じて変化してしまい、精度良い自励振が達成でき
ず、正確に角速度を測定することができないからであ
る。この点、本実施の形態による振動子1では、前述し
たように、電極6,7,8の寸法、面積、位置の精度が
極めて高いので、振動子1の電極6,7を正確に同一面
積にするとともに電極8を正確に部材2の幅方向の中央
の位置に配置することができ、したがって、正確に角速
度を測定することができる。
【0050】なお、前述した振動子1の製造方法では、
接合部材20を一旦前記支持板に仮に接合しているが、
本発明では必ずしもこのように接合部材20を支持板に
仮に接合しておく必要はない。
【0051】(実施の形態2)次に、本発明の第2の実
施の形態による振動角速度計用振動子60について、図
9を参照して説明する。
【0052】図9は本実施の形態による振動子60を示
す図であり、図9(a)はその斜視図、図9(b)はそ
の長さ方向から見た正面図である。図9において、図1
中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、
その説明は省略する。
【0053】本実施の形態による振動子60が前記図1
に示す第1の実施の形態による振動子1と異なる所は、
図1中の電極8が取り除かれ、電極6,7間に1つの幅
の広い溝である凹部11が形成されている点のみであ
る。
【0054】次に、この振動子60の製造方法の一例に
ついて、前述した図2乃至図7に加えて、図10を参照
して説明する。図10は、振動子60の製造工程を示す
斜視図である。
【0055】この振動子60の製造方法は、途中まで前
記第1の実施の形態による振動子1の製造方法と同じで
あり、まず、図2乃至図7に関連して説明した工程を行
い、図示しない前記支持板上に蝋づけにて接合された接
合部材20が図7に示した状態になるようにする。ただ
し、図5における接合部材20の切断ピッチを、前記第
1の実施の形態の場合よりも0.05mmだけ大きくし
ておく。
【0056】図7に関連して説明した工程の後、図10
に示すように、図7の工程で形成した溝を補助溝として
利用し、図9中の電極6,7間の凹部11に相当する溝
をダイシングソーにて形成する。本実施の形態では、こ
の溝の幅が0.5mmと格段に広くなるため切断用の刃
を使用できない。そこで、この溝を加工するため、幅広
の刃に交換し、切削加工する。この際、図7の工程で形
成された細い溝が補助溝となるので、部材21の電極
6,7を形成した部分が欠けてしまうことなく、溝の幅
を0.5mmの幅に加工することが可能である。振動子
60の幅と高さを同じに設定すると、図10に示す溝加
工により縦方向と横方向の基準振動数に差が出てしまう
ため、前述したように幅方向に前もって0.05mm程
余裕を持たせておき、溝加工の深さ、幅の量を適切に設
定しておくことにより両方向の基準振動数を一致させる
ようにしておく。この実施の形態の場合、溝幅0.5m
mで深さを50μm削れば両方向の基準振動数が一致
し、振動数合わせが不要であった。
【0057】以上の加工が終了した後、前記支持板を加
熱して蝋を溶かし、接合部材20の各片を前記支持板よ
り剥し、有機溶剤で洗浄し、付着した蝋を除去する。こ
れにより接合部材20の各片が振動子60となり、振動
子60が完成する。
【0058】本実施の形態においては溝の幅は0.5m
mと広い幅を持たせたが、図6の状態となった後にダイ
シングソーの幅を0.2mmの切断用の刃をそのまま溝
加工用に使用し、幅方向に0.2mmの狭い溝を一本形
成し、電極6,7を形成してもよい。この場合には溝深
さを深くしない限り、横方向と縦方向の基準振動数一致
させるべく前記0.05mmの余裕をとったりする必要
はないし、かつ、ダイシングソーの刃を交換する必要も
なく、より簡略化された工程で多数の振動子60を作製
することができる。
【0059】次に、本実施の形態による振動子60を使
用した振動角速度計の一例について、図11を参照して
説明する。図11はこの振動角速度計を示す構成図であ
る。
【0060】この振動角速度計は、図10に示すよう
に、振動子60の他に、振動子60を自励振駆動する自
励振回路70と、振動子60からの信号に基づいて振動
子60に作用するコリオリ力に相当する検出信号を得る
検出回路90と、を備えている。
【0061】振動子60の電極4が基準電極(アース電
極)として用いられ、自励振回路70の出力端が電極5
に接続され、自励振回路70の2つの入力端がそれぞれ
電極6,7に接続され、検出回路90の2つの入力端も
それぞれ電極6,7に接続されている。
【0062】自励振回路70により電極4と電極5との
間に励振用電圧(駆動電圧)が印加されると、振動子1
の第2の部材3が電極4,5の面と垂直な方向(図9中
の上下方向)に屈曲振動(単振動)し、したがって、振
動子60の全体がこの方向に屈曲振動する。部材2,3
の長さ方向に延びた任意の軸を中心として振動子60が
回転し角速度が与えられると、部材2,3の幅方向にコ
リオリ力が発生し、このコリオリ力により振動子60が
この方向に屈曲振動が発生する。この屈曲振動により、
コリオリ力に対応する信号(電圧)が逆位相でそれぞれ
電極6,7に発生する。電極6,7に発生する電圧に
は、この信号のみならず、電極4,5の面と垂直な方向
の振動子1の屈曲振動(励振)による電圧も同位相で含
まれる。
【0063】検出回路90は、電極6の信号と電極7の
信号との差動をとって励振による成分をキャンセルする
ことにより、コリオリ力に対応する信号のみを得、更に
その差動波形の包絡線を復調し、復調された信号をコリ
オリ力の検出信号として出力する。したがって、振動子
60の回転速度(角速度)を測定することができる。な
お、検出回路90の具体的な回路構成自体は、周知であ
る。
【0064】自励振回路70は、抵抗器71,72から
なる加算回路73と、オペアンプ74及び抵抗器75,
76からなる反転増幅器77と、抵抗器78,79及び
コンデンサ80,81からなる2段のRCフィルタによ
り構成されたローパスフィルタ82と、から構成されて
いる。加算回路73により電極6からの信号と電極7か
らの信号との和がとってコリオリ力に対応する信号成分
をキャンセルすることにより、励振による成分のみの信
号を得、この信号が反転増幅器77により反転増幅さ
れ、その増幅された電圧がローパスフィルタ82により
位相調整され、その位相調整された電圧が駆動電圧とし
て電極5に供給される。これにより、ループゲインが1
以上となるように正帰還がかけられ、振動子1が自励振
駆動される。
【0065】ところで、本実施の形態による振動子60
においても、電極6,7は同じ面積を持つことが好まし
い。なぜならば、第1の実施の形態と同様に、両者の面
積が異なると、両電極6,7に発生する逆位相のコリオ
リ力に起因する信号電圧のバランスがくずれてしまい、
正確に角速度を測定することができないからである。の
みならず、電極6,7の面積が異なると、加算回路73
の出力信号が、コリオリ力が存在する時に、そのコリオ
リ力に応じて変化してしまい、精度良い自励振が達成で
きず、正確に角速度を測定することができないからであ
る。この点、本実施の形態による振動子60では、第1
の実施の形態による振動子1と同様に、電極6,7の寸
法、面積、位置の精度が極めて高いので、振動子1の電
極6,7を正確に同一面積にすることができ、したがっ
て、正確に角速度を測定することができる。
【0066】本実施の形態によれば、これ以外について
も、前記第1の実施の形態による振動子1と同様の利点
が得られることは、明らかである。
【0067】(実施の形態3)次に、本発明の第3の実
施の形態による振動角速度計用振動子95について、図
12を参照して説明する。
【0068】図12は本実施の形態による振動子95を
示す図であり、図12(a)はその斜視図、図12
(b)はその長さ方向から見た正面図である。図12に
おいて、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一
符号を付し、その説明は省略する。
【0069】本実施の形態による振動子95が前記図1
に示す第1の実施の形態による振動子1と異なる所は、
図1中の電極5が取り除かれている点のみである。な
お、本実施の形態では、部材3の圧電現象を全く利用せ
ず、部材3は圧電的に不活性であるので、部材3の材料
としては、圧電材料のみならず圧電的に本来不活性な材
料、例えば、アルミナやガラス等を用いてもよい。
【0070】このように振動子95が振動子1と異なる
所が電極5が取り除かれている点のみであるので、振動
子95も振動子1と同様にして製造することができる。
【0071】次に、本実施の形態による振動子95を使
用した振動角速度計の一例について、図13を参照して
説明する。図13はこの振動角速度計を示す構成図であ
る。
【0072】この振動角速度計は、図13に示すよう
に、振動子95の他に、振動子95を自励振駆動する自
励振回路70と、振動子95からの信号に基づいて振動
子95に作用するコリオリ力に相当する検出信号を得る
検出回路90と、を備えている。
【0073】この振動角速度計の自励振回路70及び検
出回路90は、図11中の自励振回路70及び検出回路
90と全く同一であるので、同一構成要素には同一符号
を付し、その説明は省略する。ただし、この振動角速度
計では、振動子95の電極4が基準電極(アース電極)
として用いられ、自励振回路70の出力端が電極8に接
続され、自励振回路70の2つの入力端がそれぞれ電極
6,7に接続され、検出回路90の2つの入力端もそれ
ぞれ電極6,7に接続されている。
【0074】この振動角速度計では、自励振回路70に
より電極4と電極8との間に励振用電圧(駆動電圧)が
印加されると、振動子1の第1の部材2が電極4,5の
面と垂直な方向(図9中の上下方向)に屈曲振動(単振
動)し、したがって、振動子60の全体がこの方向に屈
曲振動する。このように振動子60の励振方法が異なる
だけで、他の動作については、前述した図11に示す振
動角速度計の動作と同様である。
【0075】本実施の形態による振動子95によって
も、前記第1の実施の形態による振動子1と同様の利点
が得られることは、明らかである。
【0076】以上、本発明の各実施の形態について説明
したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
接合部材を用意しこれに対して切断及び溝加工を行うこ
とにより一度に複数製造することができるので、小型化
及び製造工程の簡略化を図ることができ、しかも、正確
に角速度を測定できるとともに電極間の絶縁を確実に確
保することができる。また、本発明によれば、振動子の
縦方向と横方向の基準振動数合わせが全く不要になる
か、あるいは、両者の基準振動数が一致していない場合
であってもそのずれが極めて小さくなるので基準振動数
合わせが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による振動子を示す
図であり、(a)はその斜視図、(b)はその正面図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施の形態よる振動子の製造工
程を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による振動子の製造
工程であって図2に示す工程に引き続く工程を示す概略
斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による振動子の製造
工程であって図3に示す工程に引き続く工程を示す概略
斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による振動子の製造
工程であって図4に示す工程に引き続く工程を示す概略
斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による振動子の製造
工程であって図5に示す工程に引き続く工程を示す概略
斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態による振動子の製造
工程であって図6に示す工程に引き続く工程を示す概略
斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態による振動子を用い
た振動角速度計を示す構成図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による振動子を示す
図であり、(a)はその斜視図、(b)はその正面図で
ある。
【図10】本発明の第2の実施の形態よる振動子の製造
工程を示す概略斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態による振動子を用
いた振動角速度計を示す構成図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態による振動子を示
す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその正面図
である。
【図13】本発明の第3の実施の形態による振動子を用
いた振動角速度計を示す構成図である。
【図14】従来の振動子の一例を示す図であり、(a)
はその斜視図、(b)はその正面図である。
【図15】従来の振動子の他の例を示す図であり、
(a)はその斜視図、(b)はその正面図である。
【図16】本発明の基礎となった振動子を示す図であ
り、(a)はその斜視図、(b)はその正面図である。
【符号の説明】
1,60,95 振動子 2 第1の部材 3 第2の部材 4,5,6,7,8 電極 9,10,11 凹部 21,22 板状部材 23 半田帯 30,70 自励振回路 50,90 検出回路

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電材料からなる四角柱形状の第1及び
    第2の部材と、 前記第1の部材の第1の面と前記第2の部材の第1の面
    との間に挟んで形成された第1の電極と、 前記第1の部材の前記第1の面と相対する前記第1の部
    材の第2の面に、前記第1の部材の長さ方向に延びると
    ともに前記第1の部材の幅方向に互いに間隔をあけて形
    成された複数の外部電極と、 前記第2の部材の前記第1の面と相対する第2の面に形
    成された第2の電極と、 を備え、 前記第1の部材の前記第2の面における前記複数の外部
    電極間に凹部が形成されたことを特徴とする振動角速度
    計用振動子。
  2. 【請求項2】 前記複数の外部電極は、前記第1の部材
    の幅方向の両側位置にそれぞれ形成された略同一面積を
    有する第3及び第4の電極と、前記第1の部材の幅方向
    の略中央の位置に形成された第5の電極とからなること
    を特徴とする請求項1記載の振動角速度計用振動子。
  3. 【請求項3】 前記複数の外部電極は、前記第1の部材
    の幅方向の両側位置にそれぞれ形成された略同一面積を
    有する第3及び第4の電極からなることを特徴とする請
    求項1記載の振動角速度計用振動子。
  4. 【請求項4】 圧電材料からなる四角柱形状の第1の部
    材と、 四角柱形状の第2の部材と、 前記第1の部材の第1の面と前記第2の部材の第1の面
    との間に挟んで形成された第1の電極と、 前記第1の部材の前記第1の面と相対する前記第1の部
    材の第2の面に、前記第1の部材の長さ方向に延びると
    ともに前記第1の部材の幅方向に互いに間隔をあけて形
    成された複数の外部電極と、 を備え、 前記第1の部材の前記第2の面における前記複数の外部
    電極間に凹部が形成されたことを特徴とする振動角速度
    計用振動子。
  5. 【請求項5】 前記複数の外部電極は、前記第1の部材
    の幅方向の両側位置にそれぞれ形成された略同一面積を
    有する第2及び第3の電極と、前記第1の部材の幅方向
    の略中央の位置に形成された第4の電極とからなること
    を特徴とする請求項4記載の振動角速度計用振動子。
  6. 【請求項6】 前記第1の部材の前記第2の面の全面に
    電極を形成し、その後、全面に前記電極が形成された前
    記第1の部材の前記第2の面に溝加工を施して、前記電
    極を前記複数の外部電極に分割すると同時に前記凹部を
    形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載の振動角速度計用振動子を製造する方法。
  7. 【請求項7】 第1の面の全面に電極が形成された圧電
    材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と相対する
    第2の面と、第1の面の全面に電極が形成された圧電部
    材からなる第2の板状部材の前記第1の面と相対する第
    2の面とが、電極を挟んで接合されてなる接合部材を用
    意する段階と、 前記接合部材を所望の個々の振動角速度計用振動子の寸
    法に合わせて厚み方向に切断するとともに、前記第1の
    板状部材の前記第1の面に溝加工を施す段階と、 を備えたことを特徴とする振動角速度計用振動子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 第1の面の全面に電極が形成された圧電
    材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と相対する
    第2の面と、第1の面の全面に電極が形成された圧電部
    材からなる第2の板状部材の前記第1の面と相対する第
    2の面とが、電極を挟んで接合されてなる接合部材を用
    意する段階と、 前記接合部材の前記第2の板状部材の前記第1の面の側
    を仮に支持板に接合する段階と、 前記支持板に仮に接合された前記接合部材を所望の個々
    の振動角速度計用振動子の寸法に合わせて厚み方向に前
    記支持板の表面に達する程度に切り込んで切断するとと
    もに、前記第1の板状部材の前記第1の面に溝加工を施
    す段階と、 前記切断されるとともに溝加工が施された前記接合部材
    を前記支持板から取り外す段階と、 を備えたことを特徴とする振動角速度計用振動子の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 第1の面の全面に電極が形成された圧電
    材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と相対する
    第2の面と、第2の板状部材の第1の面とが、電極を挟
    んで接合されてなる接合部材を用意する段階と、 前記接合部材を所望の個々の振動角速度計用振動子の寸
    法に合わせて厚み方向に切断するとともに、前記第1の
    板状部材の前記第1の面に溝加工を施す段階と、 を備えたことを特徴とする振動角速度計用振動子の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 第1の面の全面に電極が形成された圧
    電材料からなる第1の板状部材の前記第1の面と相対す
    る第2の面と、第2の板状部材の第1の面とが、電極を
    挟んで接合されてなる接合部材を用意する段階と、 前記接合部材の前記第2の板状部材の前記第1の面と相
    対する第2の面の側を仮に支持板に接合する段階と、 前記支持板に仮に接合された前記接合部材を所望の個々
    の振動角速度計用振動子の寸法に合わせて厚み方向に前
    記支持板の表面に達する程度に切り込んで切断するとと
    もに、前記第1の板状部材の前記第1の面に溝加工を施
    す段階と、 前記切断されるとともに溝加工が施された前記接合部材
    を前記支持板から取り外す段階と、 を備えたことを特徴とする振動角速度計用振動子の製造
    方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003000591A (ja) * 2001-06-18 2003-01-07 Ueda Japan Radio Co Ltd 超音波振動子、及びその製造方法

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