JPH09101402A - 合成樹脂光伝送体及びその製造方法 - Google Patents

合成樹脂光伝送体及びその製造方法

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JPH09101402A
JPH09101402A JP27263495A JP27263495A JPH09101402A JP H09101402 A JPH09101402 A JP H09101402A JP 27263495 A JP27263495 A JP 27263495A JP 27263495 A JP27263495 A JP 27263495A JP H09101402 A JPH09101402 A JP H09101402A
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JP
Japan
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monomer
synthetic resin
fluorine
optical transmission
resin optical
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Application number
JP27263495A
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English (en)
Inventor
Naoko Nakajima
尚子 中嶋
Takayuki Kato
孝行 加藤
Satoru Honda
哲 本田
Kazumasa Matsumoto
和正 松本
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色収差や像面湾曲などの収差補正用レンズと
して使用可能なGRINレンズに適した合成樹脂光伝送体及
び製造方法を提供することである。 【解決手段】 フッ素を含むモノマーと網状重合体を形
成するモノマーを混合し(ステップ1)、この混合物の
一部をゲル化し(ステップ2)、この混合モノマーの屈
折率よりも大きな屈折率と小さなアッベ数を有するモノ
マーを該ゲル化物に拡散し(ステップ3)、この拡散済
みゲル化物を重合し硬化する(ステップ4)ことにより
フッ素含有合成樹脂光伝送体を製造する合成樹脂光伝送
体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカメラ、光ディス
ク、内視鏡、光通信用レンズなど結像光学系に用いられ
る屈折率分布型プラスチックレンズによる合成樹脂光伝
送体及びその製造方法に関し、特に、色収差や像面湾曲
の補正に配慮された合成樹脂光伝送体及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックによるラジアル屈折
率分布型レンズ(以下GRINレンズ)の開発が試みられて
いる。レンズの材料としてプラスチックを用いた場合、
材料の選択に制限はあるが、例えば『応用物理』第54巻
第2 号123-129(1985) に示されているように大口径・低
コスト化・小型軽量において有利であることから、カメ
ラ等の複合レンズ系への応用が期待されている。
【0003】特に近年のカメラや内視鏡などでは、広角
でありかつ小型であることが要求されている。しかし、
このような小型な広角の光学系では色収差の発生が大き
く、そのために補正用のレンズが多くなるという欠点を
有している。
【0004】以上のような問題に対処すべく、少ないレ
ンズ枚数で上記色収差を補正するものとして特開平5-13
4171号公報に記載されたレンズ系が公知である。この公
開公報に記載されたレンズ系は、正の後群に軸外で分散
が大きくなるような凹型分布のGRINレンズを用いて、各
群で発生する色収差とは逆の方向に色収差を発生させ、
全体での色収差を小さく抑えるよう構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら実際の製
品としてのGRINレンズは、光ファイバー等の接続レンズ
やファクシミリ等の集光レンズアレイなど、結像歪みの
比較的問題にならない分野で実用化されているのみであ
る。
【0006】このように現実に使用されている製品が少
ない理由の1つは、公知の製造方法によって作製された
プラスチックGRINレンズのレンズ性能(屈折率分布の2
乗分布性)が思わしくなく、歪みの少ない結像レンズ用
としては性能不足であったためである。
【0007】すなわち、従来の一般的なレンズの結像性
能より劣るため、複合レンズ系には使用できない状態で
あった。また、第2の理由は、カメラなど良好な画像を
結像するためには、一般に各種の結像歪み(収差)をな
くす必要が有り、このためにレンズを複数枚用いてい
る。従来のGRINレンズでは収差を補正するための構成材
料の適正な選択がなされていなかったため、収差を効率
よく補正することができなかった。
【0008】第3の理由は、収差補正には重要な凹型分
布のGRINレンズが実質上存在していないためである。第
4の理由は、カメラなどで使用される大きさ(直径が約
3mmから約20mm)のGRINレンズを構成すること
が、製造方法の点で困難であるからである。
【0009】以上のように、光学設計上ではGRINレンズ
の光学的特性の特徴は種々の特許公報や文献で明らかと
されているものの、その特徴を達成すべきプラスチック
GRINレンズの材料構成や作製方法は十分な検討がなされ
ていない結果、実質上、カメラや内視鏡など高度な画像
結像が必要な複合レンズ系の収差補正としてのGRINレン
ズが実現できない状態にあった。
【0010】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであって、第1の目的は、色収差や像面湾曲
などの収差補正用レンズとして使用可能なGRINレンズに
適した合成樹脂光伝送体を提供することにある。
【0011】第2の目的は、上記の合成樹脂光伝送体を
作成可能にする合成樹脂光伝送体の製造方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本件出願の発明者は、従
来提案されているプラスチックGRINレンズにおける各種
の問題点を改良すべく鋭意研究を行った結果、広角であ
りかつ小型であることが要求されるカメラなどについて
のプラスチックGRINレンズとしては以下の条件を満たす
ことが重要であることを見出し、本発明を完成させたも
のである。
【0013】φGS+φGM/N0d<0 N0d<1. 60 φGS=(N0d−1){(1/ R1 )−(1/ R2 )} φGM=−2N1dt ここで、φGSは上記GRINレンズの面形状による屈折力、
N0dは上記GRINレンズの光軸上のd線の屈折率、R1 、
R2 は両面の近似曲率半径、φGMは上記プラスチックGR
INレンズの媒質による屈折力、tはレンズの軸上厚、N
1dはd線に対する屈折率分布Nd を光軸から距離rとし
てNd =N0d+N1dr2 +・・・・と表した時の2次項
の係数である。なお、ここでφGS+φGMはレンズのパワ
ーを示す。
【0014】この条件の示すところによれば、像面湾曲
補正を効率よく行うためには、凹分布型GRINレンズであ
り、中心の屈折率が低く、中心部と外周部の屈折率差が
大きいほど良いことがわかった。なお、この場合、屈折
率分布性は2乗分布性であることが必要である。
【0015】色収差の補正効果は、『光学』第22巻第2
号p95 〜100 などに示されているようにφGMに比例して
高く、ν10の逆数に比例して高くなることが知られてい
る。ここで、ν10はGRINレンズのアッベ数を示し、 ν10=N1d/(N1F−N1C) で示される。
【0016】N1dは上記で述べたようにGRINレンズの屈
折率分布の2次項の係数を示す。同様にN1F、N1Cはそ
れぞれF線、C線の光に対する屈折率分布の2次項の係
数を示しす。
【0017】従って、プラスチックGRINレンズにおい
て、以上のような条件を満たす屈折率分布状態を実現す
れば良いことが判明した。そこで、この指針に沿って、
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、上記第1の目的を
達成するために、プラスチック材料に少なくともフッ素
の濃度を中心部から外周部に沿って徐々に少なくなるよ
うに分布させることによって、中心部の屈折率が低くな
ることを見出した。更に、フッ素を分布させることによ
り、従来にはないGRINレンズのアッベ数を小さくできる
ことを新たに見出した。
【0018】従って、以下の(1)の合成樹脂光伝送体
の発明により上述した目的を達成することができる。 (1)中心部の屈折率が外周部の屈折率に比べて低い屈
折率分布を有する合成樹脂光伝送体において、中心部か
ら外周部に行くに従って、フッ素濃度が徐々に低くなる
ことを特徴とした合成樹脂光伝送体。
【0019】また、フッ素含有量の分布形状が凸型の2
乗分布であり、少なくとも2乗分布に対するずれ量が4
0%以内、好ましくは30%以内であれば上記効果が効
率良く働くことを見出した。
【0020】すなわち、フッ素含有量の分布形状の凸型
の2乗分布を具体的に規定した場合、以下の(2)の合
成樹脂光伝送体の発明により上述した目的を達成するこ
とができる。
【0021】(2)前記フッ素濃度の半径方向に対する
値CN1(r)が以下の [A]式であり、中心から半径20%
までのフッ素濃度の半径方向に対する値CN2(r)を以下
の[B] 式で近似し、 [B]式の値CN2(r)のずれ率Z(r)
を以下の [C]式で定義したとき、ずれ率Z(r) %が以下
の [D]式を満足することを特徴とした上述の記載の合
成樹脂光伝送体。 CN1(r)=CN(0)+A2r2 +A4r4 +A6r6 +… [A] CN2(r)=CN(0)+A2r2 [B] Z(r)=|{(−A4r4−A6r6−・・・・)/A2r2}×100| [C] Z(r) ≦40 [D] 尚、ここで、CN(0) は中心におけるフッ素濃度、A1
,A2 ,A4 ,A6 は係数である。
【0022】ここで、上式を詳しく説明する。本発明の
合成樹脂光伝送体のフッ素濃度分布は[A] 式で示される
ものであり、完全な2乗分布ではない。そこで、本件出
願の発明者は新たに合成樹脂光伝送体の中心から半径20
%までを最小自乗法を用いて[B] 式に近似できることを
見出した。そして、本来の分布式である[A] 式と近似し
た[B] 式とを用いて、ずれ率を表す[C] 式を算出した。
また、各種実験で確認したところでは、この[C] 式で示
されるずれ率が40以下のときに前述した目的を達成し
うることを確認した。
【0023】更に、本発明者らは上記のごとくフッ素を
所望のようにプラスチック材料に分布させ、所望の特性
を得るために、以下の(3)に示す製造方法が適してい
ることも新たに見出した。これを図1を参照して説明す
る。 (3)フッ素含有合成樹脂光伝送体を製造するに際し、 フッ素を含むモノマーと網状重合体を形成するモノマ
ーを混合する工程(図1ステップ1)、 該混合物の一部をゲル化する工程(図1ステップ
2)、 該混合モノマーの屈折率よりも大きな屈折率と小さな
アッベ数を有するモノマーを該ゲル化物に拡散する工程
(図1ステップ3)、 該拡散済みゲル化物を重合し硬化する工程(図1ステ
ップ4)、の各工程によることを特徴とする合成樹脂光
伝送体の製造方法。
【0024】フッ素を含むモノマー(フッ素モノマー)
の例としては、2,2,2 トリフルオロエチルメタクリレー
ト(以下3FMA)、2,2,3,3 テトラフルオロプロピル
メタクリレート(以下4FMA)、2,2,3,3,3 ペンタフ
ルオロプロピルメタクリレート(以下5FMA)、2,2,
2 トリフルオロ,1トリフルオロメチルエチルメタクリレ
ート(以下6FMA)、1H,1H,5Hオクタフルオロペンチ
ルメタクリレート(以下8FMA)、2,2,2 トリフルオ
ロエチルアクリレート(以下3FA)、2,2,3,3 テトラ
フルオロプロピルアクリレート(以下4FA)、2,2,3,
3,3 ペンタフルオロプロピルアクリレート(以下5F
A)、2,2,2 トリフルオロ,1トリフルオロメチルエチル
アクリレート(以下6FA)、1H,1H,5Hオクタフルオロ
ペンチルアクリレート(以下8FA)、などが挙げられ
る。
【0025】これらフッ素モノマーのうち、レンズとし
て作製した後の透過率を測定した結果、図2のようにな
り、フッ素を含む単官能モノマーのフッ素含有数が3以
上5以下の場合に、透過率が良いことがわかった。
【0026】ただし、この時の網状重合体を形成するモ
ノマーはトリメチロールプロパントリアクリレート(東
亞合成化学工業株式会社製:製品名アロニックスM30
9、以下M309)で、拡散剤としてジアリルテレフタ
レート(以下DAT)を用いた。なお、M309の代わ
りにジエチレングリコールビスアリルカーボネート(P
PG(Pittsuburgh Plate Glass Industries)社製:製
品名CR−39、以下CR−39)を用いてもほぼ同様
な結果を得ている。
【0027】また、上記の混合工程では、フッ素モノ
マーと網状重合体を形成するモノマーを混合する。該網
状重合体を形成するモノマーは、ゲル状態を形成するた
めのものであり、単官能フッ素モノマーだけではゲル状
態が形成できない。
【0028】この網状重合体を形成するモノマーの例と
しては例えばM309、CR−39、ジペンタエリスリ
トールペンタ及びヘキサアクリレート(東亞合成化学工
業株式会社製:製品名アロニックスM400、以下M4
00)などが使用できるが、ビニル系、アリル系、アク
リル系、メタクリル系、スチレン系、アセチレン系モノ
マー等の2つ以上の不飽和基を有するモノマーで、1種
または複数混合して使用しても良い。しかしながら、フ
ッ素の効果を維持するためには以下の条件を満足しなけ
ればならない。
【0029】網状重合体を形成するモノマーの屈折率と
フッ素モノマーの屈折率差の絶対値≦0.15 網状重合体を形成するモノマーのアッベ数とフッ素モノ
マーのアッベ数差の絶対値≦40 上記条件を満足しない場合は、モノマー混合時に白濁が
生じて透明なゲルが作製できないことが実験の結果判明
した。
【0030】また、上記の混合物ゲル化工程では、混
合モノマーに、重合開始剤を適量添加し、熱や光など既
知の手段で重合を開始しゲルを作製する。重合開始剤と
して公知の熱重合もしくは光重合開始剤を使用すること
が好ましく、公知のラジカル開始剤を使用できる。例え
ばジイソプロピルパーオキシジカーボネート(以下IP
P)、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリ
ル、tert- ブチルヒドロパーオキシドなどが挙げられ
る。
【0031】ゲル母材の重合転化率(別途定義)は5 〜
30%であることが好ましい。5 %以下では形状を保持し
たゲル状態とならず、また30%以上では重合が進みすぎ
ているためにそのゲル構造中へモノマーが拡散しづら
い。
【0032】重合転化率を以下の(1)式に示す。この
重合転化率は重合に用いたモノマー重量:W(M)に対
する、重合後のポリマー重量:W(P)の比率(百分
率:%)でありる。
【0033】 ゲル化率(%)={W(P)}/{W(M)}×100 …(1) なお、W(P)は従来法に基づき、モノマーを溶解し、
ポリマーを溶解しない溶剤を用いてゲル母材を所定の方
法で処理した際の溶解しない部分の重量である。
【0034】更に、上記重合転化率を満足してもフッ素
を含むモノマー(MF)と網状重合体を形成するモノマ
ー(MA)の配合比が下記の条件の式(2)を満足しな
ければ安定なゲルが作製できない。
【0035】 5:95≦MA:MF≦40:60 …(2) この(2)式の条件において、歩留まり率を70%以上
に保つことが可能である。ここで、歩留まり率とは、1
000個製作した場合における評価可能な個数の割合で
ある。
【0036】なお、更に好ましくは、以下の(3)式を
満足すると良い。 15:85≦MA:MF≦40:60 ……(3) この(3)式の条件において、特に、MAの割合を15
%以上としたことで、歩留まり率を80%以上に保つこ
とが可能になる。
【0037】ここで言う安定なゲルとは重合転化率ムラ
のないものをいう。ここで配合比と重合転化率ムラの関
係を図3に示す。この重合転化率ムラの発生は、評価不
可能な個体の発生を意味しており、歩留まり率と同じ意
味をなしている。尚、重合転化率ムラはゲル母材中心部
のゲルと外周部のゲルの重合転化率差を測定することに
よって行なった。
【0038】また、上記の拡散工程では、以下のよう
にすることで、工程の混合モノマーの屈折率よりも大
きな屈折率と小さなアッベ数を有する拡散モノマーを工
程のゲル化物(ゲル母材)に拡散する。
【0039】ここで、拡散モノマーとして使用できる条
件は、母材の混合モノマーの屈折率よりも必ず大きく、
母材の混合モノマーのアッベ数よりも必ず小さいことが
必要である。拡散モノマーの例としては例えばジアリル
テレフタレート(DAT)、ジアリルイソフタレート
(以下DAI)、ジアリルフタレート(以下DAP)、
ビスフェノールA EO変性ジアクリレート(以下PA-EO
A)、安息香酸ビニル(以下VB)、などが挙げられ
る。
【0040】特に拡散モノマーとしては、単官能である
と良い。発明者は、多官能と単官能に拡散速度の差異が
あることを見出し、特に、単官能は多官能より拡散速度
が速いこと見出した。この拡散速度の様子を表1に示
す。
【0041】従って、拡散するモノマーとして単官能を
用いた場合に拡散工程の時間が短く、作業効率が良くな
ることを見出した。また、拡散度合いは、本発明の中心
部あるいは周辺部の拡散材の拡散状況を屈折率、吸収率
等でモニタし拡散条件を決定する製造方法によれば、拡
散の状況が簡便に確認できるので好ましい。尚、適切な
拡散の終了状況を決定した後は時間で拡散を判断しても
よい。
【0042】そして、上記の重合硬化工程では、の
工程の拡散済みゲル母材を最終重合し硬化させる。この
工程の重合は、熱,紫外線,あるいは電子線等を与える
ことによって行なうことができる。
【0043】尚、以上の各工程は金型を用いて行っても
良いし、ロッドを作製してその後切断研磨してレンズと
しても良い。従って、以上の上記(3)〜に示した
ような工程の合成樹脂光伝送体の製造方法によること
で、(1)及び(2)に述べた所望の特性の合成樹脂光
伝送体を得ることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下に、実施の態様を実験例と比
較例とにより詳細に説明する。ここでは、合成樹脂光伝
送体としてプラスチックGRINレンズの場合を例にして幾
つかの条件で実際に作製してその結果を評価した。
【0045】尚、屈折率分布の測定方法は以下のように
して行なった。カールツァイス社製干渉顕微鏡インター
ファコを用いてプラスチックGRINレンズを観測した際に
得られる干渉縞の傾きを解析することにより、所定の光
学的解析手法を用いて屈折率の分布関数として求めた。
【0046】収差補正効果は、d線、F線、C線の屈折
率分布を上記と同じ方法で求め、中心屈折率は既存のア
ッベ計または、浸液法を用いて求めた。これらのデータ
を基に既存の光学設計プログラム(CODE−V:サイ
バネットシステム社製)を用いて、像面湾曲(ペッツバ
ール和)及び色収差を求めた。
【0047】光透過率は、分光光度計を用いて、420 〜
800nm の波長における外部透過率の最小透過率を求め
た。尚、測定はレンズの厚さ3mm でおこなった。 <実験例1>フッ素含有モノマーとして4FMA(大阪
有機株式会社製)とM309(東亞合成化学工業株式会
社製)を重量配合比=97:3で混合する。この時重合
開始剤:IPP(日本油脂社製)を0.05wt%添加する。
【0048】次に直径14mmφ、長さ100mm の円筒容器に
入れ40℃に加熱することにより重合転化率10%のゲル母
材を形成した。直径30mmφ、長さ150mm の円筒容器に拡
散モノマーとしてDAT(ダイソー社製)にIPPを2w
t %を添加し混合したものと上記ゲル母材を注入し、15
℃、20時間保持して、ゲル母材中に拡散させる。
【0049】その後、モノマーを取り去り、温度プログ
ラム付きの加熱装置にて40℃から90℃に30時間かけて昇
温し重合を行い硬化させ、GRINロッドを得た。GRINロッ
ドを、マルチワイヤーソーで平板に切断し、両面を平面
研磨することによって、厚み3mm の平面GRINレンズを得
た。
【0050】作製したレンズを前述した手段にて分析し
た像面湾曲補正比、色収差補正比、透過率、拡散時間、
歩留まりを表1に示す。 <実験例2>フッ素含有モノマーとして4FMA(大阪
有機株式会社製)とM309(東亞合成化学工業株式会
社製)を重量配合比=95:5とした以外は実施の態様
1と同じ方法でGRINロッドを作製する。作製したGRINロ
ッドは、マルチワイヤーソーで平板に切断し、両面を平
面研磨することによって、厚み3mm の平面GRINレンズに
加工する。
【0051】作製したレンズを前述した手段にて分析し
た像面湾曲補正比、色収差補正比、透過率、拡散時間、
歩留まりを表1に示す。 <実験例3>フッ素含有モノマーとして4FMA(大阪
有機株式会社製)とM309(東亞合成化学工業株式会
社製)を重量配合比=85:15とした以外は実施の態
様1と同じ方法でGRINロッドを作製する。
【0052】作製したGRINロッドは、マルチワイヤーソ
ーで平板に切断し、両面を平面研磨することによって、
厚み3mm の平面GRINレンズに加工する。作製したレンズ
を前述した手段にて分析した像面湾曲補正比、色収差補
正比、透過率、拡散時間、歩留まりを表1に示す。
【0053】<実験例4>フッ素含有モノマーとして4
FMA(大阪有機株式会社製)とM309(東亞合成化
学工業株式会社製)を重量配合比=85:15で混合す
る。この時重合開始剤:IPPを0.05wt%添加する。
【0054】次に直径14mmφ、長さ100mm の円筒容器に
入れ40℃に加熱することにより重合転化率10%のゲル母
材を形成した。直径30mmφ、長さ150mm の円筒容器に拡
散モノマーとしてVB(東京化成社製)にIPPを3wt
%を添加し混合したものと上記ゲル母材を注入し、15
℃、15時間保持して、ゲル母材中に拡散させる。
【0055】その後、モノマーを取り去り、温度プログ
ラム付きの加熱装置にて40℃から90℃に30時間かけて昇
温し重合を行い硬化させ、GRINロッドを得た。GRINロッ
ドを、マルチワイヤーソーで平板に切断し、両面を平面
研磨することによって、厚み3mm の平面GRINレンズを得
た。
【0056】作製したレンズを前述した手段にて分析し
た像面湾曲補正比、色収差補正比、透過率、拡散時間、
歩留まりを表1に示す。 <比較例1>母材を形成するモノマーとしてCR−39
に重合開始剤:IPPを2.0wt %添加する。
【0057】次に直径14mmφ、長さ100mm の円筒容器に
入れ50℃に加熱することにより重合転化率25%のゲル母
材を形成した。直径30mmφ、長さ150mm の円筒容器に拡
散モノマーとしてDAI(ダイソー社製)にIPPを2w
t %を添加し混合したものと上記ゲル母材を注入し、15
℃、20時間保持して、ゲル母材中に拡散させる。
【0058】その後、モノマーを取り去り、温度プログ
ラム付きの加熱装置にて40℃から90℃に30時間かけて昇
温し重合を行い硬化させ、GRINロッドを得た。GRINロッ
ドを、マルチワイヤーソーで平板に切断し、両面を平面
研磨することによって、厚み3mm の平面GRINレンズを得
た。
【0059】作製したレンズを前述した手段にて分析し
た像面湾曲補正比、色収差補正比、透過率、拡散時間、
歩留まりを表1に示す。 <比較例2>シリコン含有モノマーとしてRTV(トー
レシリコーン株式会社製)とM309(東亞合成化学工
業株式会社製)を重量配合比=97:3で混合した。こ
の時重合開始剤:IPP(ジイソプロピルパーオキシジ
カーボネート)を0.05wt%添加した。
【0060】次に直径14mmφ、長さ100mm の円筒容器に
入れ40℃に加熱することにより重合転化率10%のゲル母
材の形成を試みたが、相溶性が悪くゲル母材が作製でき
なかった。尚、相溶性が悪いとは、あるモノマーと他の
モノマーとを混合した際に、白濁などの濁りを生じて透
明度が悪化する状態を言う。
【0061】<比較例3>フッ素含有モノマーとして6
FMA(大阪有機株式会社製)とM309(東亞合成化
学工業株式会社製)を重量配合比=95:5で混合す
る。この時重合開始剤:IPP(ジイソプロピルパーオ
キシジカーボネート)を0.05wt%添加する。
【0062】次に直径14mmφ、長さ100mm の円筒容器に
入れ40℃に加熱することにより重合転化率10%のゲル母
材を形成した。直径30mmφ、長さ150mm の円筒容器に拡
散モノマーとしてDAT(ダイソー社製)にIPPを2w
t %を添加し混合したものと上記ゲル母材を注入し、15
℃、20時間保持して、ゲル母材中に拡散させる。
【0063】その後、モノマーを取り去り、温度プログ
ラム付きの加熱装置にて40℃から90℃に30時間かけて昇
温し重合を行い硬化させ、GRINロッドを得た。GRINロッ
ドを、マルチワイヤーソーで平板に切断し、両面を平面
研磨することによって、厚み3mm の平面GRINレンズを得
た。
【0064】作製したレンズを前述した手段にて分析し
た像面湾曲補正比、色収差補正比、透過率、拡散時間、
歩留まりを表1に示す。 <評価結果>以上のような各実施例及び比較例を比較,
評価すると、以下の表1のようにまとめることができ
る。
【0065】
【表1】
【0066】尚、ここで、歩留まりとはレンズ1000個作
製するために投入したレンズ素材に対する完成した評価
可能なレンズの数である。また、像面湾曲補正比と色収
差補正比は比較例1の試料を基準として、その補正能力
比を算出した。
【0067】この表1に示したように、本発明の各実施
例によると、像面湾曲補正比,色収差補正比,透過率,
拡散時間及び歩留まりの点で全般に比較例より優れた効
果を得ることが出来た。
【0068】特に、実験例3では歩留まりを格段に向上
させることができ、また、実験例4では歩留まりを向上
させると共に拡散時間を短縮することができるようにな
った。
【0069】尚、比較例3については、透過率が低くな
っており実用的ではない。
【0070】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、中心部の屈
折率が外周部の屈折率に比べて低い屈折率分布を有する
合成樹脂光伝送体において、中心部から外周部に行くに
従って、フッ素濃度が徐々に低くなることを特徴とした
発明によれば、従来にはない色収差と像面湾曲の収差補
正能力を有する。この合成樹脂光伝送体を使用した撮像
用光学系はレンズ枚数が低減され、光学系の長さが短く
なり、コンパクトな撮像光学系を形成できるようにな
る。
【0071】また、フッ素濃度の半径方向に対する値及
びそのずれ率を定義した発明によれば、更に良好な色収
差と像面湾曲の収差補正能力を有する合成樹脂光伝送体
を実現できる。
【0072】更に、上記のレンズを容易に作製する方法
を見出したことにより、コスト、レンズ性能、実用面で
も極めてすぐれたレンズを提供できる。尚、上記作製方
法においては、母材の配合比を規定することにより、安
定にゲルが作製でき、歩留まりが向上する。また、フッ
素含有モノマーの含有数を規定することにより、レンズ
の透明性を高めることができ明るいレンズを提供でき
る。
【0073】更に、拡散モノマーを規定することにより
拡散時間の短縮が図れ、生産性に優れたレンズを提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の態様の一例のプラスチックラジ
アルGRINレンズ製造方法の手順を示すフローチャートで
ある。
【図2】本発明の実施の態様によって得られたフッ素数
と透過率との関係を示す特性図である。
【図3】本発明の実施の態様によって得られた配合比と
歩留まり率との関係を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 和正 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心部の屈折率が外周部の屈折率に比べ
    て低い屈折率分布を有する合成樹脂光伝送体において、
    中心部から外周部に行くに従って、フッ素濃度が徐々に
    低くなることを特徴とした合成樹脂光伝送体。
  2. 【請求項2】 前記フッ素濃度の半径r方向に対する値
    CN1(r)が以下の[A]式であり、中心から半径20%ま
    でのフッ素濃度の半径r 方向に対する値CN2(r)を以下
    の[B] 式で近似し、[B] 式の値CN2(r)のずれ率Z(r)
    を以下の[C] 式で定義したとき、ずれ率Z(r) が以下の
    [D] 式を満足することを特徴とした請求項1記載の合成
    樹脂光伝送体。 CN1(r)=CN(0)+A2r2 +A4r4 +A6r6 +… [A] CN2(r)=CN(0)+A2r2 [B] Z(r)=|{(−A4r4−A6r6−・・・・)/A2r2}×100| [C] Z(r) ≦40 [D] 尚、ここで、CN(0) は中心(r=0 )におけるフッ素濃
    度、A1 ,A2 ,A4,A6 は係数である。
  3. 【請求項3】 フッ素を含むモノマーと網状重合体を形
    成するモノマーを混合し、この混合物の一部をゲル化
    し、この混合モノマーの屈折率よりも大きな屈折率と小
    さなアッベ数を有するモノマーを該ゲル化物に拡散し、
    この拡散済みゲル化物を重合し硬化する、ことによりフ
    ッ素含有合成樹脂光伝送体を製造することを特徴とする
    合成樹脂光伝送体の製造方法。
  4. 【請求項4】 フッ素を含むモノマー(MF)と網状重
    合体を形成する際のモノマー(MA)との重量配合比
    が、 5:95≦MA:MF≦40:60 であることを特徴とする請求項3記載の合成樹脂光伝送
    体の製造方法。
  5. 【請求項5】 フッ素を含むモノマーにおける単位モノ
    マーあたりのフッ素含有数が3以上5以下であることを
    特徴とする請求項3記載の合成樹脂光伝送体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記混合モノマーの屈折率よりも大きな
    屈折率と小さなアッベ数を有するモノマーを前記ゲル化
    物に拡散する際におけるモノマーが単官能であることを
    特徴とする請求項3記載のフッ素含有合成樹脂光伝送体
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000035517A (ja) * 1998-07-17 2000-02-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光伝送体、光伝送体アレイ、イメージセンサー、レンズプレートおよび画像形成装置
JPWO2017150613A1 (ja) * 2016-03-04 2019-02-07 富士フイルム株式会社 光学フィルム、偏光板および画像表示装置

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