JP2007016085A - フッ素系共重合体、重合性組成物、硬化性樹脂組成物、反射防止フィルム、偏光板および画像表示装置 - Google Patents
フッ素系共重合体、重合性組成物、硬化性樹脂組成物、反射防止フィルム、偏光板および画像表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
Description
また、特許文献6には、含フッ素共重合体と無機微粒子を併用することにより、皮膜強度および界面密着性を改良し、耐傷性を向上させる手段が記載されている。しかし、この手段では、無機微粒子が含フッ素共重合体のマトリックスに十分に分散されず、皮膜中で無機微粒子の粗密が発生しヘイズの上昇が起こる場合があることがわかった。この問題は、防眩性を有しない表面の平滑な低反射フィルムで特に問題となる。
(1)下記一般式(1)で表される構造単位および下記一般式(2)で表される構造単位を含む、共重合体。
一般式(1)
一般式(2)
(2)下記一般式(1)で表される構造単位、下記一般式(2)で表される構造単位および下記一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
(3)前記一般式(1)で表される構造単位を20モル%以上、前記一般式(2)で表される構造単位を0.05モル%以上、前記一般式(3)で表される構造単位を20%モル以上含む(2)に記載の共重合体。
(4)前記一般式(1)中のR1およびR2の少なくとも一方が、フッ素原子を含む炭素数2〜6のアルキル基、またはフッ素原子を含むアリール基である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の共重合体。
(5)前記一般式(3)中のR5およびR6が共にメチル基である、(2)〜(4)のいずれか1項に記載の共重合体。
(6)重量平均分子量が2,000〜1,000,000である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の共重合体。
(7)下記一般式(4)で表される化合物とポリシロキサン含有化合物とを含む重合性組成物。
一般式(4)
(8)下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表される化合物と、ポリシロキサン含有化合物とを含む重合性組成物。
一般式(4)
一般式(5)
(9)前記一般式(4)中のR1およびR2の少なくとも一方が、フッ素原子を含む炭素数2〜6のアルキル基、またはフッ素原子を含むアリール基である、(7)または(8)に記載の重合性組成物。
(10)前記一般式(5)のR5およびR6が共にメチル基である、(8)または(9)に記載の重合性組成物。
(11)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の共重合体、および溶剤を含有する、硬化性樹脂組成物。
(12)(11)に記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化膜。
(13)(11)に記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化膜からなる低屈折率層を有する、反射防止フィルム。
(14)偏光子と該偏光子の少なくとも片側に設けられた保護フィルムとを有し、前記保護フィルムが(13)に記載の反射防止フィルムである、偏光板。
(15)(13)に記載の反射防止フィルムを有する画像表示装置。
本発明で用いられる共重合体は、少なくとも、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、一般式(2)で表される繰り返し単位を含む共重合体である。
一般式(1)中、R1およびR2がアリール基の場合、炭素数6〜8であることが好ましい。具体的にはフェニル基、p−トリル基などが好ましい例として挙げられる。
さらに、R1およびR2の少なくとも一方はフッ素原子を1つ以上含む。該フッ素原子を含むR1および/またはR2は、フッ素原子を含む炭素数2〜6のアルキル基(例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基(ヘキサフルオロイソプロピル基)などが挙げられる。)、またはフッ素原子を含むアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であることが好ましい。
一般式(2)中、R3およびR4がアリール基の場合、炭素数6〜8であることが好ましい。具体的にはフェニル基、p−トリル基などが好ましい例として挙げられる。
一般式(3)
一般式(3)中のR5がアリール基である場合、炭素数6〜9であることが好ましく、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基などが好ましい例として挙げられる。
一般式(3)中のR5がアルコキシ基である場合、炭素数1〜7であることが好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェニルオキシ基などが挙げられる。
一般式(3)中のR5がアミノ基である場合は炭素数1〜7であることが好ましく、具体的にはN,N−ジメチルアミノ基、ピペリジノ基、アニリノ基などが挙げられる。
R5として好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基またはトリフルオロメチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
特に、一般式(3)中のR5およびR6が共に炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、ともにメチル基であることが最も好ましい。
本発明の重合体は、例えば、下記一般式(4)で表される化合物とシロキサンユニット源を含む重合性組成物から合成することができる。一般式(4)で表される化合物は2種以上用いてもよい。
一般式(4)
一般式(4)中のR1およびR2は、それぞれ、一般式(1)におけるR1またはR2と同義であり、好ましい範囲も同義である。
この不飽和化合物にはトランス体(フマル酸ジエステル)と、シス体(マレイン酸ジエステル)があるが、どちららでもよく、好ましくはトランス体である。
反応式A
一般式(5)中、R5およびR6は、それぞれ、一般式(3)におけるR5またはR6と同義であり、好ましい範囲も同義である。
(1)シロキサンユニットを持つフマレートをモノマーの一つとして側鎖に導入する方法
(2)シロキサンユニットを持つビニルモノマーを用いて側鎖に導入する方法
(3)シロキサンユニットを有する開始剤を用いて主鎖に導入する方法
下記一般式(6)で表される化合物(フマル酸エステルまたはマレイン酸エステル)を原料の一つとして用いることが好ましい。
で表される置換基である。R7およびR8のうち一方のみがSU−1である場合、他方はアルキル基またはアリール基を表す。)
R7およびR8が、アリール基の場合、該アリール基は、炭素数6〜8のものが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基などを好ましい例として挙げることができる。
R9〜R13がアリール基の場合、該アリール基は、炭素数6〜8であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基などを挙げることができる。
R9〜R13としては、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
L1は好ましくは炭素数5以下のアルキレン基である。
pは好ましくは30〜500の整数である。
一般式(4)で表される化合物および一般式(5)で表される化合物と共重合しうる任意の含シロキサンビニルモノマーを原料とすることが可能であり、例えば、下記一般式(7)で表される化合物、下記一般式(8)で表される化合物および一般式(9)で表される化合物で表される化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、SU−1中のR9〜R13、L1、p、nの定義および好ましい例については上記一般式(6)中で述べた定義と同義であり、好ましい範囲も同義である。
分子内にシロキサンユニットを有する開始剤を用いることにより、主鎖にシロキサンユニットを導入することが可能である。シロキサンユニットを有する開始剤の種類は特に限定されないが、例として、下記一般式(10)で表される構造単位を有するシロキサンユニット含有アゾ開始剤が挙げられる。
一般式(10)中のR15〜R18がアリール基の場合、該アリール基は、炭素数6〜8のものが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基などを挙げることができる。
また、Xは、好ましくは30〜500の整数である。
また、これらシロキサンユニット含有アゾ開始剤を用いて重合する場合、他の一般的なラジカル重合開始剤を併用してもよい。
さらに、一般式(3)で表される構造単位を含む場合、一般式(1)で表される構造単位を20モル%以上、一般式(2)で表される構造単位を0.05〜20モル%、一般式(3)で表される構造単位を20%モル以上含むことが好ましい。本発明の共重合体は、これらの構造単位の合計が100モル%となってもよいが、これら以外の構造単位を含んでいてもよい。
一般式(2)で表される構造単位を20モル%以下とすることにより、相分離を起こして樹脂の透明性が下がるのをより効果的に抑止でき、0.05モル%以上とすることにより、反射防止フィルムとしたときに、より十分な耐傷性および防汚性が得られる。
また、一般式(1)で表される構造単位を30モル%以上含むことがより好ましい。
さらに、一般式(2)で表される構造単位を0.5〜15モル%含むことがより好ましい。
加えて、一般式(3)で表される構造単位を30モル%以上含むことがより好ましい。
また、本発明の共重合体の屈折率は1.50以下であることが好ましく、より好ましくは1.45以下である。
さらに、本発明の共重合体のガラス転移温度温度(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましい。
水性媒体中で行うプロセスの場合には、さらに無機のフリーラジカル発生剤、例えば過硫酸塩または「レドックス」化合物を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、実際上、硬化性を有することが好ましく、共重合体それ自体が十分な硬化性を有しない場合には、さらに各種架橋性化合物、添加剤および重合開始剤などを加え三次元架橋構造やIPN(Inter Penetrating Network)構造を取らせることにより、必要な硬化性を付与したり、硬化特性を改善したりしてもよい。そして、架橋性化合物が用いられる場合に、当該架橋性化合物と共重合体との混合物を硬化性樹脂組成物として用いること、または特定の共重合体と架橋性化合物の全部を反応させた反応生成物またはそれらの一部のみを反応させた状態のものを硬化性樹脂組成物として用いることもできる。
一つ目は、共重合体の側鎖に水酸基、アミノ基などの官能基を付与し、多官能イソシアネートなどの多官能架橋剤と反応させることで3次元架橋構造を取らせる様式、二つ目は共重合体の側鎖に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を付与し、重合開始剤と反応させて3次元架橋構造を取らせる様式、そして3つ目は単官能、多官能の重合性基を有する化合物を共重合体中に添加し混合状態で重合させ、それらの間に直接の結合は無いが、各重合体同士の絡み合いを生じさせる様式で硬化特性を改善するものである。
以下にこれらの硬化様式について具体的に説明する。
一方、用いる(多官能)架橋剤は低分子でも、オリゴマーでも、高分子であってもよい。用いる(多官能)架橋剤の種類により(I)アミノ樹脂を用いる硬化、(II)多官能イソシアネートを用いる硬化、(III)カチオン重合性架橋剤を用いる硬化に分けることができる。(I)のアミノ樹脂による硬化を行う場合、用いるアミノ樹脂としては尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂などが挙げられるが、硬化膜の性能やコストの面からメラミン樹脂が特に好ましい。また、(II)の多官能イソシアネートを用いた硬化を行う場合、用いる多官能イソシアネート化合物としては、トリフェニルメタントリイソシアナート、トルイレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどが挙げられるが、反応性の面から、トルイレンジイソシアナートが特に好ましい。(III)カチオン重合性架橋剤による硬化を行う場合、用いる架橋剤はカチオン重合性基としてエポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基などの開環重合性基を持つもの好ましく、特にエポキシ基を持つものが好ましい。これら(I)、(II)、(III)の架橋方式は単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせてもよい。(I)、(II)、(III)で用いられる架橋性化合物としてはここに示されている化合物に限らず、例えば、文献「架橋剤ハンドブック」(大成社)に示されている架橋剤を使用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、熱の作用によりラジカルを発生するもの(熱重合開始剤)、または、光の作用によりラジカルを発生するものの(光重合開始剤)いずれのも利用可能である。
また、最新UV硬化技術(P−359,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
次に本発明の共重合体を有する硬化性樹脂組成物からなる低屈折率層を有する反射防止フィルム(低反射積層体とも称することがある)への適用について詳述する。
本発明の反射防止フィルムは、種々の層構成を取り得るが、透明な基材上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層された層構成になっている。低反射積層体の最も単純な構成は、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。さらに反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、支持体として機能している。
・基材フィルム/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。
また、帯電防止層は導電性共重合体粒子または金属酸化物微粒子(例えば、ATO、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
上記の例は、いわゆる防眩性の無い反射防止フィルムの構成例を示したが、防眩性の反射防止フィルムにも好ましく適用することができる。この場合、上記のどの層にも、防眩性を付与することは可能である。
本発明の反射防止フィルムの高・中屈折率層・ハードコート層を形成する素材について以下に説明する。
本発明の反射防止フィルムの高・中屈折率層の屈折率は、1.50〜2.40であることが好ましく、さらに好ましくは1.50〜1.80である。
本発明の高・中屈折率層には、皮膜形成バインダーを少なくとも含み、さらに層の屈折率を高めるため、および硬化収縮を低減するために無機フィラーを含有することができる。
[皮膜形成バインダー]
本発明において、高・中屈折率層等の各層を形成するための皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、膜強度、塗布液の安定性、膜の生産性などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダーとは、例えば、無機微粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上を占めるものをいう。好ましくは、20質量%〜100質量%、さらに好ましくは30質量%〜95質量%である。
飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有する共重合体であることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有する共重合体であることがさらに好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダー共重合体としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合体または共重合体が好ましい。
高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、および窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
光、熱ラジカル重合開始剤としては、前述のものが使用できる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダー共重合体は塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。また、本発明においてはポリエーテルを主鎖として有する共重合体を使用することもできる。多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。共重合体の架橋反応性部位がカチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)を有する場合、光で酸触媒を発生する重合開始剤を添加することが好ましい。
高屈折率層には、層の屈折率を高めるため、および硬化収縮を低減するために、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子サイズが、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
高屈折率層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2の組み合わせ等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理またはチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、高屈折率層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、さらに好ましくは30〜70%である。
なお、このようなフィラーは、粒子サイズが光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダー共重合体に該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
反射防止フィルムには、さらに、ハードコート層、防湿層、帯電防止層、下塗り層や保護層を設けてもよい。ハードコート層は、透明支持体に耐傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。ハードコート層は、アクリル系共重合体、ウレタン系共重合体、エポキシ系共重合体、シリコン系共重合体、シリカ系化合物等を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してよい。アクリル系共重合体は、多官能アクリレートモノマー(例えば、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート)の重合反応により合成することが好ましい。ウレタン系共重合体の例には、メラミンポリウレタンが含まれる。シリコン系共重合体としては、シラン化合物(例えば、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン)と反応性基(例えば、エポキシ、メタクリル)を有するシランカップリング剤との共加水分解物が好ましく用いられる。2種類以上の共重合体を組み合わせて用いてもよい。シリカ系化合物としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。ハードコート層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上である好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。支持体の上には、ハードコート層に加えて、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
本発明の反射防止フィルムが上記範囲のヘイズ値および平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴わずに、反射防止性が得られる。
本発明の反射防止フィルムの支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成する共重合体としては、セルロースエステル(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム株式会社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
平均分子量
共重合体の平均分子量は、得られた共重合体の一部をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。本発明における共重合体の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質とした値である。
なお、装置は、HLC−8220(東ソー製)、カラムはTSKgel SuperHZM-H ( 4.6 mmI.D.×15 cm )、TSKgel SuperHZ4000 ( 4.6 mmI.D.×15 cm )、 TSKgel SuperHZ2000 ( 4.6 mmI.D.×15 cm ) の3本を連結して使用した。
試料濃度は2質量%、インジェクト量は10μl、流速0.35 ml/minで、RI検出器を用いて行った。
示差走査熱量計(品番:DSC6200、セイコー電子社製)を用いて10℃/分で昇温して測定した。
屈折率計(DR−M2、ATAGO社製)を用い、観測波長589nm、測定温度25℃にて屈折率測定を行った。
平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。後に示す表1では、450〜650nmの鏡面平均反射率で表した。
反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。
膜表面をスチールウール#0000を用いて、200gの荷重下で10回擦った後に、傷のつくレベルを確認した。判定は次の基準に従った。
全く傷がつかない :◎
わずかに傷がつく :○
細かい傷が目立つ :△
傷が著しい :×
表面の耐汚染性の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、サンプル表面に指紋を付着させてから、それをクリーニングクロスで拭き取ったときの状態を観察して、以下のように指紋およびマジック付着性を評価した。
指紋が完全に拭き取れる :◎
指紋がやや見える :○
指紋がほとんど拭き取れない :×
低屈折層の無機微粒子の粗密のムラを評価する指標として、サンプルを黒紙の上に置き、サンプル直上50cmから拡散白色光をあてて、そのサンプルの散乱のムラの状態を観察して、以下のように評価した。
ムラが無く一様に観察される :○
白色の散乱ムラがサンプルの一部に観察される:△
白色の散乱ムラがサンプルの一面に観察される:×
容量300mlのフラスコに(3−2)41.6g(100mmol)、(5−1)9.0g(90mmol)、(C−3)0.88g(10mmol)、アゾ基含有ポリジメチルシロキサン重合開始剤VPS1001(和光純薬製)2.0g、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)「V601」(和光純薬製)0.092g(0.4mmol))を入れ、これに50gのメチルエチルケトンを加え、アルゴンで置換後、65℃で24時間溶液重合を行った。得られた共重合体溶液をそのままヘキサン中に注ぎ、再沈精製を2回行い、含フッ素共重合体39.1gを得た。得られた共重合体はTg=102℃、重量平均分子量(Mw)=58,000、屈折率1.385であった。
(3−2)を等モルの(3−1)に変更し、共重合体合成例1と同様にして共重合体を30.2g白色粉体として得た。得られた共重合体はTg=94℃、重量平均分子量(Mw)=66,000、屈折率1.416であった。
共重合体合成例1で得られた(P−22)の10質量%MEK溶液100gに対して、硬化剤としてメトキシ化メチルメラミン「サイメル303」(三井サイテック株式会社製)を1.5g添加し、70℃で5時間加熱反応処理をした。次いでこれに硬化触媒であるp−トルエンスルホン酸0.1gを添加して低屈折率層形成組成物を調整した。
この低屈折率層形成組成物を固形分6質量%まで希釈し、支持体(TAC、富士写真フイルム株式会社製)上に膜厚5μmのハードコート層(屈折率1.53)を設けた基材に、ワイヤーバーコーター(#3)を用いて塗布し、120℃で60分加熱して100nmの硬化膜を形成した。評価結果を表1に示した。
(P−22)を共重合体合成例2で得られた同重量の(P−24)に変えて、他は実施例1と同様にして硬化膜を形成した。評価結果を表1に示した。
特開平11−228631号公報に記載の実施例1の低屈折率層形成組成物を調整し、以下実施例1と同様にして硬化膜を形成した。評価結果を表1に示した。
メタクリロイル基を側鎖に有する含フッ素共重合体
共重合体合成例1で得られた共重合体(P−22)20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下メタクリロイルクロライド(和光純薬製)5.0gを滴下した後、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルで抽出し、有機相を水洗、濃縮し、ヘキサンに加えて再沈した。さらにTHFに溶解してヘキサンで再沈殿させることにより含フッ素共重合体を白色粉体として13g得た。重量平均分子量(Mw)=64000、屈折率1.392であった。
(P−22)を共重合体合成例2で得られた同重量の(P−24)に変えて、共重合体合成例3同様に含フッ素共重合体を合成した。得られた共重合体(白色粉体)は13g、重量平均分子量(Mw)=61000、屈折率1.421であった。
上記共重合体合成例3で得られた共重合体10質量%MEK溶液100gに対して光重合開始剤としてイルガキュア907(チガバイギー社製)0.5g添加し、低屈折率層形成組成物とした。
この低屈折率層形成組成物を固形分6質量%に希釈し、TAC上に膜厚5μmのハードコート層(屈折率1.53)を設けた基材にワイヤーバーコーター(#3)を用いて塗布し、80℃で1分間乾燥した。次いで窒素雰囲気下で紫外線を照射し、硬化膜を形成した。評価結果を表1に示す。
用いる共重合体を、上記共重合体合成例4で得られたものに変えて、実施例3と同様にして硬化膜を形成した。評価結果を表1に示す。
特許登録第3498381号公報に記載の参考例11の低屈折率層形成組成物を調整し、以下実施例3と同様にして硬化膜を形成した。評価結果を表1に示す。
Claims (15)
- 前記一般式(1)で表される構造単位を20モル%以上、前記一般式(2)で表される構造単位を0.05モル%以上、前記一般式(3)で表される構造単位を20%モル以上含む請求項2に記載の共重合体。
- 前記一般式(1)中のR1およびR2の少なくとも一方が、フッ素原子を含む炭素数2〜6のアルキル基、またはフッ素原子を含むアリール基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合体。
- 前記一般式(3)中のR5およびR6が共にメチル基である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の共重合体。
- 重量平均分子量が2,000〜1,000,000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体。
- 前記一般式(4)中のR1およびR2の少なくとも一方が、フッ素原子を含む炭素数2〜6のアルキル基、またはフッ素原子を含むアリール基である、請求項7または8に記載の重合性組成物。
- 前記一般式(5)のR5およびR6が共にメチル基である、請求項8または9に記載の重合性組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の共重合体、および溶剤を含有する、硬化性樹脂組成物。
- 請求項11に記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化膜。
- 請求項11に記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化膜からなる低屈折率層を有する、反射防止フィルム。
- 偏光子と該偏光子の少なくとも片側に設けられた保護フィルムとを有し、前記保護フィルムが請求項13に記載の反射防止フィルムである、偏光板。
- 請求項13に記載の反射防止フィルムを有する画像表示装置。
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