JP2001108949A - コンタクトレンズの製造方法 - Google Patents

コンタクトレンズの製造方法

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JP2001108949A
JP2001108949A JP28606599A JP28606599A JP2001108949A JP 2001108949 A JP2001108949 A JP 2001108949A JP 28606599 A JP28606599 A JP 28606599A JP 28606599 A JP28606599 A JP 28606599A JP 2001108949 A JP2001108949 A JP 2001108949A
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Japan
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contact lens
group
meth
lens
acrylate
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JP28606599A
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English (en)
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Teruyuki Mizumoto
照之 水本
Tadao Kojima
忠雄 児島
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Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の水濡れ性を恒久的に維持し、さらに耐
汚染性に優れることで、装用感が良好なコンタクトレン
ズにおいて、外観上均一に形成された重合膜を有するレ
ンズを安定的に提供する。 【解決手段】 シリコンあるいはフッ素を含有する化合
物を組成成分として作製されたコンタクトレンズ基材表
面に薄膜形成する際に、基材加工直後に表面均一化工
程、表面親水化膜形成直後に表面クリーニング工程を導
入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンタクトレンズの
製造方法に関し、特に表面の水濡れ性を恒久的に維持
し、さらに耐汚染性に優れることで、装用感が良好なコ
ンタクトレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズは、その材質の硬さに
よって、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレ
ンズに分類される。さらに、ソフトコンタクトレンズ
は、水分を含有するか否かによって、含水ソフトコンタ
クトレンズと非含水ソフトコンタクトレンズに分類でき
る。
【0003】コンタクトレンズ表面の濡れ性を向上する
手段としては、種々の方法が提案されてきており、例え
ば、(1)特公昭58−43015号公報、(2)特公
平1−60052号公報、(3)特開平3−15816
号公報にはコンタクトレンズ表面に放電処理を行う方法
が開示されている。
【0004】さらに、(4)特公昭62−37370号
公報、(5)特公平4−41179号公報、(6)特公
平2−29094号公報、(7)特開平2−27822
4号公報には表面に薄膜を形成する方法が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術にあっ
て、(1)、(2)、(3)の公報に記載のコンタクト
レンズあるいはその製造方法は、コンタクトレンズ表面
を、空気、酸素、アルゴン、窒素等のガス雰囲気中にて
放電処理を行う方法であり、具体的には、コンタクトレ
ンズ表面に活性な化学種を衝突させることで、表面近傍
の化学結合を切断し、そこに親水性の官能基を導入する
反応であると考えられている。
【0006】しかしながら、これらの方法によって得ら
れるコンタクトレンズは、空気に接触させた状態で長時
間放置するとレンズ表面の濡れ性が低下するという欠点
を有していた。また、コンタクトレンズのケアとして一
般的に行われている擦り洗浄等によっても、濡れ性が低
下するという問題点を有し、表面の水濡れ性を恒久的に
維持するという点から満足のいくものは得られていな
い。
【0007】また、前記(4)、(5)の公報に記載の
コンタクトレンズは、その表面に親水性薄膜を形成する
ことでレンズ表面の濡れ性を向上させる方法であって、
時間経過に伴う濡れ性の悪化は少ないものの、装用時、
コンタクトレンズ表面への汚れ付着が見られ、良好な装
用感を得るという点からは不十分であった。
【0008】そこで、前記(6)、(7)の公報におい
ては、プラズマ処理した後に、重合性モノマーと接触さ
せることで、レンズ表面にグラフト重合膜を形成したコ
ンタクトレンズを得ている。この技術によると、表面の
水濡れ性を恒久的に維持し、さらにレンズ使用時の耐汚
染性に優れることで、良好な装用感を得ることが可能に
なった。しかしながら前記(6)、(7)記載のコンタ
クトレンズ製造方法は得られたレンズの中に、重合膜が
ポツ、ヌケ、まだら等外観上不均一な膜形成となるもの
が見受けられ、商品品質、生産性の観点から均一な重合
膜が、安定的に得られる方法が求められていた。
【0009】そこで本発明は、以上の表面処理されたコ
ンタクトレンズの抱える問題点を解決するもので、その
目的とするところは、表面の水濡れ性を恒久的に維持
し、さらに耐汚染性に優れ、装用感が良好なコンタクト
レンズにおいて、外観上均一に形成された重合膜を有す
るレンズを安定的に提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のコンタクトレンズの製造方法は、シリコン含
有(メタ)アクリレート、フッ素含有(メタ)アクリレ
ート、あるいはフッ素含有フマレートのうち、少なくと
も1つの化合物を組成成分として含有する重合体から作
製されたコンタクトレンズにおいて、少なくとも(a)
コンタクトレンズ形状に加工するレンズ加工工程と、
(b)加工されたコンタクトレンズ表面両面の状態を均
一にする表面均一化工程と、(c)コンタクトレンズ基
材表面の活性化処理を行うコンタクトレンズ基材表面活
性化工程と、(d)コンタクトレンズ基材を親水性モノ
マーを含有する溶液に浸漬しこのコンタクトレンズ基材
表面に親水性モノマーをグラフト重合するグラフト重合
工程と、(e)コンタクトレンズ基材表面の残留物を洗
浄・除去する表面クリーニング工程と、をこの順序で有
することを特徴とする。
【0011】さらに本発明は、前記(b)の表面均一化
工程が少なくとも水を含むウェット工程から成ることを
特徴とする。さらに本発明は、前記(b)の表面均一化
工程が少なくとも溶剤を用いる超音波洗浄を行う工程か
ら成ることを特徴とする。
【0012】さらに本発明は、前記(e)の表面クリー
ニング工程が少なくとも水を含むウェット工程から成る
ことを特徴とする。さらに本発明は、前記(e)の表面
クリーニング工程が少なくとも溶剤を用いる超音波洗浄
を行う工程から成ることを特徴とする。
【0013】上記構成によれば、表面に親水性薄膜を形
成することにより、表面の水濡れ性を恒久的に維持し、
さらにレンズ使用時の耐汚染性に優れ、良好な装用感が
得られるコンタクトレンズの製造が可能となる。
【0014】さらに上記構成によれば、重合前に、レン
ズ加工による表面状態の部分的な差異が表面均一化工程
によりキャンセルされ、また、重合後の表面残留物が表
面クリーニング工程によりに除去されるることで、重合
膜にポツ、ヌケ、まだら等が無く外観上均一な膜形成が
可能となる。
【0015】また本発明のコンタクトレンズの製造方法
は、前記コンタクトレンズ基材表面活性化工程を、常圧
又は減圧下でコンタクトレンズ基材表面を放電処理する
ことによって行うことを特徴とする。
【0016】上記構成によれば、基材表面活性化の再現
性が良いため、安定した重合膜の形成が可能になる。
【0017】また本発明のコンタクトレンズの製造方法
は、前記シリコン含有(メタ)アクリレートが、下記一
般式(1)で表される化合物であることを特徴とする。
【0018】
【化5】
【0019】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
示し、XおよびYは炭素数1〜5のアルキル基、フェニ
ル基またはZ基からなる群より選ばれる有機基であり、
aは1〜3の整数を示す) ここでZは、下記一般式(2)で表される基を示すもの
とする。
【0020】
【化6】
【0021】(式中、Aは炭素数1〜5のアルキル基ま
たはフェニル基を示し、bは0〜5の整数を示す) 上記構成によれば、コンタクトレンズ内部にシロキサン
基が存在することで、酸素透過性が向上し、装用時の角
膜への負担が低減される。また本発明のコンタクトレン
ズの製造方法は、前記フッ素含有(メタ)アクリレート
が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特
徴とする。
【0022】
【化7】
【0023】(式中、R2は水素原子またはメチル基、
−Cij2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含有基
を示し、iは1〜18の整数、jは1〜2iの整数を示
す) 上記構成によれば、コンタクトレンズの内部にフルオロ
アルキル基が存在することで、酸素透過性が向上し、装
用時の角膜への負担が低減される。
【0024】また本発明のコンタクトレンズの製造方法
は、前記フッ素含有フマレートが、下記一般式(4)で
表される化合物であることを特徴とする。
【0025】
【化8】
【0026】(式中、R3およびR4は同一または異なる
基であって、 R3およびR4の少なくとも一方の基が−
mn2m+1-nで示される直鎖状または分岐状のフッ素
含有基を示し、mは1〜18の整数、nは1〜2mの整
数を表し、また一方のみが−C mn2m+1-nの場合、他
方は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のア
ルケニル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基
を示す) 上記構成によれば、コンタクトレンズの内部にフルオロ
アルキル基が存在することで、酸素透過性が向上し、装
用時の角膜への負担が低減されるとともに、強度が向上
し、装用中もしくはハンドリングの際に破損することが
ないため、安全に使用できる。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態のコン
タクトレンズの製造方法を図面を参照して説明する。
【0028】本発明の製造方法によるコンタクトレンズ
1は視力矯正能力を有するレンズ基材3と、表面の水濡
れ性を恒久的に維持する親水性薄膜2とから構成される
(図1)。
【0029】表面の親水性薄膜形成に使用する化合物
は、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アク
リルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)ア
クリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系モノマー、
(メタ)アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−(メ
タ)アクリロイルピロリドンなどのN−ビニルラクラム
類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシエチルアクリレートなどの水酸基含有アルキル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタク
リレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートな
どのエーテル基含有アルキル(メタ)アクリレート、ポ
リビニルアルコール等が挙げられ、これらの化合物は、
単独もしくは2種以上を混合して使用することができ
る。
【0030】また、架橋剤として、1,2−エチレング
リコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、並
びに1,3−及び1,4−ブタン、1,5−ペンタン及
び1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート類及びジ
メタクリレート類;ジエチレン−、トリエチレン−及び
テトラエチレングリコール、並びにネオペンチルグリコ
ール、ジ(2−ヒドロキシエチル)スルホン及びチオジ
エチレングリコールのジアクリレート類及びジメタクリ
レート類;トリメチロールプロパントリアクリレート及
びトリメタクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテ
トラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリ
レート及びテトラメタクリレート、ジ−ペンタエリトリ
トールモノヒドロキシペンタアクリレート;ビスフェノ
ール−A−及びエトキシル化ビスフェノール−A−ジメタ
クリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシア
ヌレートトリアクリレート;アリルアクリレート及びメ
タクリレート;ジアリルフタレート、トリアリルメラミ
ン;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、またはN,
N’−メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスメ
タクリルアミド、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルスルホン、ジビニルエーテル、ブタンジオ
ールジビニルエーテル;等が挙げられ、これらの化合物
は、単独もしくは2種以上を混合して使用することがで
きる。
【0031】まず、レンズ加工工程について説明する。
生地レンズの加工方法はコンタクトレンズ材質、及び要
求性能等に応じて、棒状またはボタン状原料材料から切
削・研磨により作製するレースカット法、レンズ成形型
に原料を注入し固めるモールド法、型を注入した原料と
ともに回転させレンズを得るスピンキャスト法等、任意
に選択することができる。
【0032】上記方法でコンタクトレンズ形状に加工さ
れた生地レンズは引き続き表面均一化工程により、薄膜
形成する前のレンズの表面両面の状態を均一にする。そ
の方法としては、洗浄、研磨、アルカリ処理等が挙げら
れる。特に処理の簡便性から水を含むウェット工程での
洗浄が好ましく用いられる。また洗浄はレンズ片面毎、
又は両面同時に行うことができる。
【0033】超音波洗浄機を用いたウェット工程の一例
を以下に説明する。加工方法により、レンズ形成型又は
レンズ支持ツールから取り出されたレンズを超音波洗浄
機等に浸漬し、所定時間洗浄する。この際、必要に応じ
水中に界面活性剤を添加することもできる。超音波洗浄
機は特に限定されるものではないが、周波数25kHz
から80kHzの範囲の装置で行うことが好ましい。こ
の範囲外では本加工方法においては十分な表面の均一化
が行われず、またレンズ自体にキズ等の損傷を生じさせ
る場合があり好ましくない。洗浄時間は生産性を考慮し
て、1時間以内の範囲で設定する。洗浄中の槽の温度は
レンズのダメージを考慮して60℃以下で行うことが好
ましい。出力は処理するレンズの枚数、装置の大きさに
応じて最適条件に設定する。
【0034】生地加工終了から上記表面均一化工程は一
連の工程として時間をおかず行うのが好ましく、作業の
事情で加工レンズをライン中に保留しておく場合でも、
24時間以内に処理することが好ましい。表面均一化工
程を通さず長期に放置した場合、表面に形成された膜が
外観上部分的にムラが生じ、不良となる場合があり、好
ましくない。
【0035】また他の装置としては、界面活性剤を含む
水と共に表面を高圧ジェット洗浄、ブラッシング洗浄、
スポンジ、不織布、不織紙等での擦り洗浄を行い均一化
を行うことも可能である。
【0036】また、特定の装置を使用しない場合は、界
面活性剤の種類、量、浸漬時間を最適化し浸漬のみで均
一化することもできる。続いて薄膜形成の形態について
説明する。
【0037】まず、活性点の導入方法について説明す
る。本発明に使用する装置の一例を図2に示す。本装置
は、処理を行うプラズマチャンバー4、プラズマチャン
バー内の気体を排気するための真空ポンプ5、放電させ
るための電源装置6、から構成されている。さらに、プ
ラズマチャンバー4には、プラズマチャンバー内にガス
を導入するためのガス導入部8が接続されており、バル
ブ14を介してチャンバーに接続されている。真空ポン
プ5は、メインバルブ10を間にはさんで、排気管11
によってプラズマチャンバー4と接続されている。排気
管11はまた、リークバルブ15を介してリークポート
9へ接続されている。プラズマチャンバー内に設置され
た電極12は、電源装置6と接続しており、金属製のプ
ラズマチャンバーは、アース13に接続されている。同
じくプラズマチャンバー内に設置された試料台(基板)
7はプラズマチャンバーとは電気的に絶縁されている。
【0038】シリコン含有化合物あるいはフッ素含有化
合物のうち、少なくとも一つの化合物をその組成成分と
し、常法により作製されたコンタクトレンズを、試料台
7上に置く。試料台上への置き方は、どのような形態で
もかまわないが、例えば、コンタクトレンズを凸面(以
下、FC面と称す)を上にして処理した後、反転して凹
面(以下、BC面と称す)を上にして処理する方法、コ
ンタクトレンズ表面を覆う面積を最小限にした固定治具
を使用し、それにコンタクトレンズを固定する方法、等
がある。特に、後者の方法は、コンタクトレンズの両面
を同時に処理できる点で有利である。この方法でコンタ
クトレンズを固定する場合、レンズを垂直方向に立てた
形態で処理するが、レンズを任意の角度に傾けて処理し
てもよい。こうすることで、レンズの形状による影響、
つまり、FC面とBC面で処理レベルが異なる現象を、
レンズの傾斜角を最適化することによって、キャンセル
できることがわかっている。
【0039】つぎに、リークバルブ15を閉じメインバ
ルブ10を開いてプラズマチャンバー内の気体を十分排
気した後、バルブ14を開いて、ガス導入管より酸素を
導入する。
【0040】導入ガスの流量あるいは排気量を調整して
プラズマチャンバー内を所望の圧力とし、圧力が安定し
たところで、電圧を印可して放電処理を行う。
【0041】放電処理の処理圧力は限定されるものでは
ないが、0.01Torrから5Torrの範囲で行う
ことが好ましい。処理圧力が0.01Torrより小さ
くなると、コンタクトレンズ表面へのダメージが大きく
なり、面アレや変色、場合によっては強度の低下を招く
ため好ましくない。一方、処理圧力が5Torrより大
きくなると、安定した放電状態の維持が困難となるため
好ましくない。
【0042】放電処理に使用する電源は、直流でも交流
でも可能であるが、安定した放電状態を維持するために
は、例えば13.56MHzの高周波電源を用いること
が適している。放電時の電力密度としては、0.01W
/cm2から1W/cm2の範囲で行うのが好ましく、
0.01W/cm2より低いと、処理されにくくなり、
反対に1W/cm2より高いとコンタクトレンズ表面へ
のダメージが大きくなるため好ましくない。
【0043】その他、処理レベルに関係するパラメータ
ーとしては、処理時間、電極基板間距離、ガス流量等が
挙げられるが、それらは、コンタクトレンズ材質、要求
性能等に応じて最適条件に設定する。
【0044】次に、グラフト重合処理について説明す
る。まず重合用原料として水溶性モノマーを所定の割合
で溶解する。水溶性モノマーは、単独もしくは2種以上
を混合して使用することができる。またこの際、架橋剤
を1種又は2種以上加えることができる。また低温で重
合を行うために必要に応じ硫酸第一鉄アンモニウム(モ
ール塩)等の還元剤を所定量加え、溶解して使用するこ
とができる。
【0045】重合反応を行う容器はどの様な形状でも構
わないが、例えば試験管状、ビーカー状のものが使用で
きる。所定の割合に調製されたモノマー溶液を重合容器
に所定量注入し、放電処理されたコンタクトレンズを溶
液中に浸漬し、系内を十分脱気する。系内の温度は放電
処理の方法、重合性モノマーの種類・量によって異なる
が、25℃〜60℃の範囲で行うことが望ましい。温度
が25℃より低くなると生産性が悪化するばかりでな
く、水濡れ性の悪いレンズも見受けられるようになり、
また60℃より高くなると、コンタクトレンズ基材への
ダメージが現れ、表面もポップコーン状の重合ムラが発
生してくるようになるため好ましくない。重合時間は他
の処理条件に応じて最適に設定されるが、安定性及び生
産性を考慮して10分から10時間の範囲で行うことが
望ましい。また重合中は必要に応じ容器内を撹拌するこ
ともできる。
【0046】重合が終了したレンズは系外に取り出し、
続いて表面クリーニング工程においてレンズ表面に残留
している未反応物を超音波洗浄、温水等を用いて十分洗
浄・除去し、これにより所望の、表面に膜形成されたコ
ンタクトレンズを得ることができる。
【0047】表面クリーニング工程において用いる超音
波洗浄機は特に限定されるものではないが、周波数25
kHzから80kHzの範囲の装置で行うことが好まし
い。この範囲外では本加工方法においては十分な表面の
クリーニングが行われず、またレンズ自体にキズ等の損
傷を生じさせる場合があり好ましくない。洗浄時間は生
産性を考慮して、1時間以内の範囲で設定する。洗浄中
の槽の温度はレンズのダメージを考慮して60℃以下で
行うことが好ましい。出力は処理するレンズの枚数、装
置の大きさに応じて最適条件に設定する。また必要に応
じ界面活性剤を水中に添加することもできる。さらに、
界面活性剤を含む槽、水のみの槽と、分離してクリーニ
ングすることも可能である。
【0048】また超音波洗浄機等の特別の機械を用いな
い場合は、温水を用いて抽出することもできる。未反応
モノマーの抽出効率を上げるために必要に応じ温水を撹
拌することや、温水中に界面活性剤、アルコール等を添
加することもできる。槽の温度は超音波洗浄機を使用す
る場合と同じく、レンズのダメージを考慮して60℃以
下で行うことが好ましい。
【0049】続いて、コンタクトレンズ基材を構成する
成分について詳細に説明する。現在上市されているコン
タクトレンズの多くは、(メタ)アクリル酸エステルを
主成分としており、それらの単独、もしくは複数のモノ
マーを、共重合することによって得られる。(メタ)ア
クリル酸エステルの種類は非常に多く、その中からコン
タクトレンズとしての性能を十分発揮できるモノマーを
選択し、さらにその組成比を最適化することで、性能向
上を図ってきた。
【0050】その中で、主に酸素透過性を向上する目的
で使用されるのがシリコン含有(メタ)アクリレートで
ある。シリコン含有(メタ)アクリレートは、下記一般
式(1)で示されるものを挙げることができる。
【0051】
【化9】
【0052】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
示し、XおよびYは炭素数1〜5のアルキル基、フェニ
ル基またはZ基からなる群より選ばれる有機基であり、
aは1〜3の整数を示す) ここでZは、下記一般式(2)で表される基を示すもの
とする。
【0053】
【化10】
【0054】(式中、Aは炭素数1〜5のアルキル基ま
たはフェニル基を示し、bは0〜5の整数を示す) また、アルキル基中に水酸基を有する化合物や、シロキ
サニル基の両末端に(メタ)アクリル基を含有する化合
物も有用である。
【0055】シリコン含有(メタ)アクリレートの例と
しては、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレー
ト、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリ
レート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルメチ
ル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルメチル(メタ)アクリレート、ビス(トリメ
チルシロキシ)(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)
シリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキ
シビス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルメ
チル(メタ)アクリレート、トリス(ペンタメチルジシ
ロキサニルオキシ)シリルメチル(メタ)アクリレー
ト、トリメチルシリルエチル(メタ)アクリレート、ペ
ンタメチルジシロキサニルエチル(メタ)アクリレー
ト、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチル
(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)
シリルエチル(メタ)アクリレート、ビス(トリメチル
シロキシ)(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリ
ルエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシビ
ス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルエチル
(メタ)アクリレート、トリス(ペンタメチルジシロキ
サニルオキシ)シリルエチル(メタ)アクリレート、ト
リメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ペンタ
メチルジシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、
メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メ
タ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリ
ルプロピル(メタ)アクリレート、ビス(トリメチルシ
ロキシ)(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリル
プロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシビ
ス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルプロピ
ル(メタ)アクリレート、トリス(ペンタメチルジシロ
キサニルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、1,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシエチル−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−
ビス(メタ)アクリロイルオキシプロピル−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられ、これ
らの化合物は、単独もしくは2種以上を混合して使用す
ることができる。
【0056】フッ素含有(メタ)アクリレートも、酸素
透過性の向上に極めて有効な成分であり、上記のシリコ
ン含有(メタ)アクリレートと併用することで、酸素透
過性が大幅に向上するため、特に好ましい。フッ素含有
(メタ)アクリレートは、下記一般式(3)で示される
ものを挙げることができる。
【0057】
【化11】
【0058】(式中、R2は水素原子またはメチル基、
−Cij2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含有基
を示し、iは1〜18の整数、jは1〜2iの整数を示
す) iの値が大きくなると、また分岐が多くなるほど酸素透
過性が高くなるが、それに伴って形状安定性が低下する
上に、製造が困難となるため好ましくない。また、jが
大きくなると、すなわちフッ素原子が少なくなると、酸
素透過性が低下し、一方jが0の場合はモノマーの化学
的安定性が悪くなるため、jは1〜2iであることが好
ましい。
【0059】フッ素含有(メタ)アクリレートの例とし
ては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリ
レート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロ
メチルエチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,5−ヘプタフルオロペンチル(メタ)アクリレ
ート、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフル
オロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオ
ロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,1
0,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレ
ート、1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロオク
タデシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テト
ラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,
9,9−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,9,9,10,10,11,11−エイコ
サフルオロウンデシル(メタ)アクリレート等が挙げら
れ、これらの化合物は、単独もしくは2種以上を混合し
て使用することができる。
【0060】フッ素含有フマレートについても上述の成
分と同様、酸素透過性を向上するためには有効な成分で
ある。しかも、本成分を組成成分の一つとして含有する
重合体から作製したコンタクトレンズの、強度が向上す
るとの知見が得られている。フッ素含有フマレートは、
下記一般式(4)で示されるものを挙げることができ
る。
【0061】
【化12】
【0062】(式中、R3およびR4は同一または異なる
基であって、 R3およびR4の少なくとも一方の基が−
mn2m+1-nで示される直鎖状または分岐状のフッ素
含有基を示し、mは1〜18の整数、nは1〜2mの整
数を表し、また一方のみが−C mn2m+1-nの場合、他
方は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のア
ルケニル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基
を示す) mの値が大きくなると、また分岐が多くなるほど酸素透
過性が高く、耐汚染性が向上するが、それに伴って形状
安定性が低下する上に、製造が困難となるため好ましく
ない。また、nが大きくなると、すなわちフッ素原子が
少なくなると、酸素透過性が低下し、一方nが0の場合
はモノマーの化学的安定性が悪くなるため、nは1〜2
mであることが好ましい。また、一方のみが−Cmn
2m+1-nの場合、他方のアルキル基、アルケニル基、また
はシクロアルキル基の炭素数が13以上である場合には
製造が困難となるため好ましくない。
【0063】フッ素含有フマレートの例としては、メチ
ル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレート、メチ
ル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチ
ルエチルフマレート、メチル−3,3,4,4,5,
5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルフマレート、ア
リル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレート、ア
リル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメ
チルエチルフマレート、アリル−3,3,4,4,5,
5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルフマレート、イ
ソプロピル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレー
ト、イソプロピル−2,2,2−トリフルオロ−1−ト
リフルオロメチルエチルフマレート、イソプロピル−
3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチルフマレー
ト、イソプロピル−3,3,4,4,5,5,6,6,
6−ノナフルオロヘキシルフマレート、イソプロピル−
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8
−トリデカフルオロオクチルフマレート、イソプロピル
−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,
9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル
フマレート、イソプロピル−2,2,3,3−テトラフ
ルオロプロピルフマレート、イソプロピル−2,2,
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルフマ
レート、t−ブチル−2,2,2−トリフルオロエチル
フマレート、t−ブチル−2,2,2−トリフルオロ−
1−トリフルオロメチルエチルフマレート、t−ブチル
−3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチルフマレー
ト、t−ブチル−3,3,4,4,5,5,6,6,6
−ノナフルオロヘキシルフマレート、t−ブチル−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ト
リデカフルオロオクチルフマレート、t−ブチル−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,
9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルフマ
レート、t−ブチル−2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピルフマレート、t−ブチル−2,2,3,3,
4,4,5,5−オクタフルオロペンチルフマレート、
2−エチルヘキシル−2’,2’,2’−トリフルオロ
エチルフマレート、2−エチルヘキシル−2’,2’,
2’−トリフルオロ−1’−トリフルオロメチルエチル
フマレート、2−エチルヘキシル−3’,3’,4’,
4’,4’−ペンタフルオロブチルフマレート、2−エ
チルヘキシル−3’,3’,4’,4’,5’,5’,
6’,6’,6’−ノナフルオロヘキシルフマレート、
2−エチルヘキシル−3’,3’,4’,4’,5’,
5’,6’,6’,7’,7’,8’,8’,8’−ト
リデカフルオロオクチルフマレート、2−エチルヘキシ
ル−3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,
6’,7’,7’,8’,8’,9’,9’,10’,
10’,10’−ヘプタデカフルオロデシルフマレー
ト、2−エチルヘキシル−2’,2’,3’,3’−テ
トラフルオロプロピルフマレート、2−エチルヘキシル
−2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’−
オクタフルオロペンチルフマレート、シクロヘキシル−
2,2,2−トリフルオロエチルフマレート、シクロヘ
キシル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロ
メチルエチルフマレート、シクロヘキシル−3,3,
4,4,4−ペンタフルオロブチルフマレート、シクロ
ヘキシル−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナ
フルオロヘキシルフマレート、シクロヘキシル−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ト
リデカフルオロオクチルフマレート、シクロヘキシル−
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,
9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル
フマレート、シクロヘキシル−2,2,3,3−テトラ
フルオロプロピルフマレート、シクロヘキシル−2,
2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル
フマレート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)
フマレート、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−ト
リフルオロメチルエチル)フマレート、ビス(3,4,
4,4−ペンタフルオロブチル)フマレート、ビス
(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ
ヘキシル)フマレート、ビス(3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオ
クチル)フマレート、ビス(3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−
ヘプタデカフルオロデシル)フマレート、ビス(2,
2,3,3−テトラフルオロプロピル)フマレート、ビ
ス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ
ペンチル)フマレート等が挙げられ、これらの化合物
は、単独もしくは2種以上を混合して使用することがで
きる。
【0064】以下、本発明の実施の形態の具体例を説明
するが、本発明は、下記の実施の形態の具体的条件に限
定されるものではない。
【0065】(実施例1)トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルプロピルメタクリレート48重量%、2,
2,2−トリフルオロエチルメタクリレート22重量
%、メチルメタクリレート20重量%、メタクリル酸2
重量%、テトラエチレングリコールジメタクリレート7
重量%、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)1重量%をよく混合し、脱気、窒素置換を繰
り返した後、ガラス製重合管に注入した。この重合管を
温水重合槽に投入し、30℃から70℃まで12時間か
けて昇温して重合した後、大気炉中にて100℃、2時
間のアニールを行い、円筒状のバー材を得た。このバー
材からレースカット法によってコンタクトレンズを作製
した。
【0066】こうして得られたコンタクトレンズは両面
が研磨された後直ちに、レンズ支持ツールからはずし、
レンズを超音波洗浄機等に浸漬し、所定時間洗浄した。
本実施例では使用した超音波洗浄条件を表1のように設
定し、洗浄機出力:100W、洗浄槽温度:40℃中で
処理した。処理後純水中で十分にすすぎを行い、乾燥さ
せた。
【0067】表面均一化工程を通過したコンタクトレン
ズは、図2に示したプラズマチャンバー内の試料台7上
に、固定治具を使用して、水平方向から45°の角度に
設定して固定した。本実施例に使用したプラズマチャン
バーは、容量:45L、電極表面積:400cm2、電
極基板間距離:15cmであり、電源は、13.56M
Hzの高周波電源を使用した。プラズマチャンバー内の
圧力が1×10-3Torr以下になるまで排気した後、
酸素をガス導入部5より導入し、1Torrに安定させ
た。その後、電圧を印可して、電力密度が1.5×10
-1W/cm2となるように設定し、この状態で30分間
放電処理を行った。処理が完了したコンタクトレンズを
プラズマチャンバーから取り出し、超音波洗浄を行っ
た。次に上記レンズを以下の手順で浸漬・反応させた。
【0068】アクリルアミド7gとN、N’−メチレンビ
スアクリルアミド1gを水12gに溶解し、モノマー水溶
液とした。モノマー水溶液を2.5mL試験管に分取し
て、硫酸第一鉄アンモニウム(モール塩)を0.036
1g加えて撹拌し、溶解した。そこへ放電処理したレン
ズを入れ、窒素ガス置換後、減圧封管した。試験管を3
5℃の恒温槽中に60分間攪拌しながら浸漬し、レンズ
表面にモノマーをグラフト重合した。続いて表面クリー
ニング工程においてレンズ表面に残留している未反応物
を超音波洗浄機、温水攪拌槽により洗浄・除去した。本
実施例に使用した超音波洗浄機は、周波数:40kH
z、出力:100Wであり界面活性剤1%溶液40℃中で
10分処理した。その後レンズをすすぎ、50℃温水攪
拌槽を用いて十分洗浄し、これにより所望の、表面に膜
形成されたコンタクトレンズを得た。
【0069】
【表1】
【0070】こうして得られたコンタクトレンズについ
て、以下の評価を行った。
【0071】(1)真空乾燥後の静的接触角評価 コンタクトレンズ表面の水濡れ性の評価として液滴式の
静的接触角を測定した。本評価では、水濡れ性の維持を
ポイントに評価するため、製造後及びコンタクトレンズ
を真空乾燥器中にて、60℃、100時間の乾燥処理を
行った後とで測定した。
【0072】(2)作製レンズの装用感評価 コンタクトレンズ装用経験のある10名のモニターに、
従来の表面処理されていないレンズと、上記作製したコ
ンタクトレンズとを別々に左右眼に装着し、自覚・他覚
所見を観察し、下記の基準にて評価を行った。 ○:自覚・他覚とも問題なし。 △:未処理のレンズと比べ、やや違和感があるが装用上
問題なし。 ×:未処理のレンズと比べ、違和感があり、装用をやめ
たい。 レンズの外観評価 コンタクトレンズの表面修飾後の外観を蛍光灯下の暗箱
で観察し、ムラ、キズ等の不具合を限度サンプルとの比
較で評価した。以上の評価結果を下記に記す。
【0073】
【表2】
【0074】その結果、今回の製造方法で流動したレン
ズは外観上均一であり、また水濡れ性に優れ、装用感も
良好であった。
【0075】(実施例2)実施例1の表面均一化工程に
おいて、両面研磨されたレンズをレンズ支持ツールから
はずし、石油系の溶剤を使用して超音波洗浄し、その後
界面活性剤で再度超音波洗浄して表面を均一化した以外
は実施例1と同様の方法で処理した。洗浄の条件を表3
に記す。得られたコンタクトレンズを実施例1と同様に
評価したところ、膜の均一性が確認され、またそのレン
ズは水濡れ性に優れ、装用感も良好であった。
【0076】
【表3】
【0077】(実施例3)実施例1の表面クリーニング
工程において、超音波洗浄条件、温水槽洗浄条件を表4
に設定した以外は実施例1と同様の方法で処理した。得
られたコンタクトレンズを実施例1と同様に評価したと
ころ、膜の均一性が確認され、またそのレンズは水濡れ
性に優れ、装用感も良好であった。
【0078】
【表4】
【0079】(実施例4)実施例1と同様な手順で放電
処理されたレンズを用意し、以下の手順で浸漬・反応さ
せた。アクリルアミド70gとN、N’−メチレンビスア
クリルアミド10gを水120gに溶解し、モノマー水溶
液とした。該モノマー水溶液を容量500ccのビーカー
状重合容器に注入し、硫酸第一鉄アンモニウム(モール
塩)を2.75g加えて撹拌し、溶解した。そこへ放電処
理したレンズを入れ、該重合容器を35℃の恒温槽中に
置き、ガス供給部から窒素ガスを重合容器中に導入し、
60分間脱気を行いながら同時に重合処理し、レンズ表
面にモノマーをグラフト重合した。重合終了後容器から
レンズを取り出し、レンズ表面に残留している未反応物
を十分洗浄・除去し、所望の、表面に膜形成されたコン
タクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズを実施
例1と同様に評価したところ、今回のレンズは水濡れ性
に優れ、装用感も良好であった。
【0080】(実施例5)トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルプロピルメタクリレート40重量%、イソプ
ロピル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロ
メチルエチルフマレート40重量%、メチルメタクリレ
ート14重量%、テトラエチレングリコールジメタクリ
レート5重量%、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)1重量%をよく混合し、脱気、窒素
置換を繰り返した後、ガラス製重合管に注入した。この
重合管を温水重合槽に投入し、30℃から70℃まで1
2時間かけて昇温して重合した後、大気炉中にて100
℃、2時間のアニールを行い、円筒状のバー材を得た。
このバー材からレースカット法によってコンタクトレン
ズを作製した。
【0081】本実施例には、実施例1と同様のプラズマ
チャンバーおよび電源を用いた。得られたコンタクトレ
ンズを、図2に示したプラズマチャンバー内の試料台4
上に、固定治具を使用して、水平方向からの角度を45
°に設定して固定した。プラズマチャンバー内の圧力が
1×10-3Torr以下になるまで排気した後、酸素を
ガス導入部5より導入し、1Torrに安定させた。そ
の後、電圧を印可して、電力密度が0.1W/cm2
なるように設定し、この状態で20分間処理を行った。
処理が完了したコンタクトレンズをプラズマチャンバー
から取り出し、超音波洗浄を行った。
【0082】次に上記レンズを実施例4と同様な方法で
浸漬・反応させ、所望の表面に膜形成されたコンタクト
レンズを得た。得られたコンタクトレンズを実施例1と
同様に評価したところ、今回の基材を用いて上記の方法
で得られたレンズも外観が均一で、水濡れ性に優れ、装
用感も良好であった。
【0083】(比較例1)実施例1と同様な手順で薄膜
形成されたコンタクトレンズを作製した。この際、レン
ズ加工終了後、レンズを支持ツールから剥がした後の表
面均一化工程を省略し流動した。
【0084】得られたコンタクトレンズを実施例1と同
様に評価したところ、水濡れ性は問題ないものの、膜の
濃淡やムラ等、外観上均一性が十分でなく、また装用試
験時にくもり感や異物感を訴える症例が見受けられた。
【0085】(比較例2)実施例1と同様な手順で薄膜
形成されたコンタクトレンズを作製した。この際、表面
を親水化膜で修飾後、室温の純水槽中で十分にレンズ表
面の未反応物を除去した以外は特に表面のクリーニング
工程を行わなかった。
【0086】得られたコンタクトレンズを実施例1と同
様に評価したところ、水濡れ性は問題ないものの、レン
ズ表面にポツムラが観察され、外観上十分な品質が得ら
れなかった。
【0087】
【発明の効果】本発明のコンタクトレンズの製造方法に
よれば、表面を親水性の高分子膜で修飾する前にレンズ
表面両面の状態を均一にし、さらに表面修飾後直ちに表
面の未反応物を除去することで、外観上均一に形成され
た重合膜を有するコンタクトレンズを安定的に得ること
が可能となった。
【0088】これにより表面の水濡れ性を恒久的に維持
し、さらに耐汚染性に優れ、装用感の良好なコンタクト
レンズを確実に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面に薄膜形成されたコンタクト
レンズの構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のコンタクトレンズ製造に用いる装置の
一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1…薄膜を有するコンタクトレンズ 2…高分子薄膜 3…レンズ基材 4…プラズマチャンバー 5…真空ポンプ 6…電源装置 7…試料台(基板) 8…ガス導入部 9…リークポート 10…メインバルブ 11…排気管 12…電極 13…アース 14…バルブ 15…バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 267/06 C08F 267/06 4J100 C08J 7/00 302 C08J 7/00 302 303 303 7/02 7/02 A 7/04 CEY 7/04 CEYT 7/16 7/16 C11D 7/50 C11D 7/50 // C08L 33:04 C08L 33:04 Fターム(参考) 2H006 BB06 BB10 BC05 BC07 DA08 4F006 AA22 AA58 AB24 BA10 CA05 EA03 4F073 AA01 AA08 AA10 AA25 AA28 BA18 BA34 BB02 CA01 CA21 CA53 CA62 CA63 CA65 EA03 EA11 EA13 4H003 DA16 DC04 ED04 4J026 AA47 AA48 AA55 AC25 AC31 AC36 BA13 BA25 BA29 BA30 BA32 BA40 BB09 CA08 CA09 4J100 AL02R AL03R AL08P AL08Q AL39P AL39Q BA71P BA72P BA81P BB17P BB17Q BB18P BB18Q CA01 CA04 CA05 FA03 JA34

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン含有(メタ)アクリレート、フッ
    素含有(メタ)アクリレート、及びフッ素含有フマレー
    トのうち、少なくとも1つの化合物を組成成分として含
    有する重合体から作製されたコンタクトレンズにおい
    て、少なくとも(a)コンタクトレンズ形状に加工する
    レンズ加工工程と、(b)加工されたコンタクトレンズ
    表面両面の状態を均一にする表面均一化工程と、(c)
    コンタクトレンズ基材表面の活性化処理を行うコンタク
    トレンズ基材表面活性化工程と、(d)コンタクトレン
    ズ基材を親水性モノマーを含有する溶液に浸漬しこのコ
    ンタクトレンズ基材表面に親水性モノマーをグラフト重
    合するグラフト重合工程と、(e)コンタクトレンズ基
    材表面の残留物を洗浄・除去する表面クリーニング工程
    と、をこの順序で有することを特徴とするコンタクトレ
    ンズの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のコンタクトレンズの製造方
    法において、前記(b)表面均一化工程が少なくとも水
    を含むウェット工程から成ることを特徴とするコンタク
    トレンズの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のコンタクトレンズの製造方
    法において、前記(b)表面均一化工程が少なくとも溶
    剤を用いる超音波洗浄を行う工程から成ることを特徴と
    するコンタクトレンズの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載のコンタクトレンズの製造方
    法において、 前記(c)コンタクトレンズ基材表面活性化工程を、常
    圧又は減圧下でコンタクトレンズ基材表面を放電処理す
    ることによって行うことを特徴とするコンタクトレンズ
    の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載のコンタクトレンズの製造方
    法において、前記(e)表面クリーニング工程が少なく
    とも水を含むウェット工程から成ることを特徴とするコ
    ンタクトレンズの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載のコンタクトレンズの製造方
    法において、前記(e)表面クリーニング工程が少なく
    とも溶剤を用いる超音波洗浄を行う工程から成ることを
    特徴とするコンタクトレンズの製造方法。
  7. 【請求項7】前記シリコン含有(メタ)アクリレート
    が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特
    徴とする、請求項1記載のコンタクトレンズの製造方
    法。 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、Xおよ
    びYは炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基またはZ
    基からなる群より選ばれる有機基であり、aは1〜3の
    整数を示す) ここでZは、下記一般式(2)で表される基を示すもの
    とする。 【化2】 (式中、Aは炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル
    基を示し、bは0〜5の整数を示す)
  8. 【請求項8】前記フッ素含有(メタ)アクリレートが、
    下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴と
    する、請求項1記載のコンタクトレンズの製造方法。 【化3】 (式中、R2は水素原子またはメチル基、−Cij
    2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含有基を示し、i
    は1〜18の整数、jは1〜2iの整数を示す)
  9. 【請求項9】前記フッ素含有フマレートが、下記一般式
    (4)で表される化合物であることを特徴とする、請求
    項1記載のコンタクトレンズの製造方法。 【化4】 (式中、R3およびR4は同一または異なる基であって、
    3およびR4の少なくとも一方の基が−Cmn
    2m+1-nで示される直鎖状または分岐状のフッ素含有基を
    示し、mは1〜18の整数、nは1〜2mの整数を表
    し、また一方のみが−C mn2m+1-nの場合、他方は炭
    素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニ
    ル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示
    す)
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