JP2001075060A - コンタクトレンズおよびその製造方法 - Google Patents

コンタクトレンズおよびその製造方法

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JP2001075060A
JP2001075060A JP25060399A JP25060399A JP2001075060A JP 2001075060 A JP2001075060 A JP 2001075060A JP 25060399 A JP25060399 A JP 25060399A JP 25060399 A JP25060399 A JP 25060399A JP 2001075060 A JP2001075060 A JP 2001075060A
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Japan
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contact lens
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meth
acrylate
lens
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JP25060399A
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Teruyuki Mizumoto
照之 水本
Tadao Kojima
忠雄 児島
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の水濡れ性を恒久的に維持し、さらに耐
汚染性に優れることで、装用感が良好なコンタクトレン
ズを、安定的に提供する。 【解決手段】 シリコンあるいはフッ素を含有する化合
物を組成成分として作製されたコンタクトレンズ基材表
面に薄膜形成する際に、その膜厚を0.05ミクロン〜
5ミクロンの範囲で形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンタクトレンズに
関し、特に表面の水濡れ性を恒久的に維持し、さらに耐
汚染性に優れることで、装用感が良好なコンタクトレン
ズおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズは、その材質の硬さに
よって、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレ
ンズに分類される。さらに、ソフトコンタクトレンズ
は、水分を含有するか否かによって、含水ソフトコンタ
クトレンズと非含水ソフトコンタクトレンズに分類でき
る。
【0003】コンタクトレンズ表面の濡れ性を向上する
手段としては、種々の方法が提案されてきており、例え
ば、(1)特公昭58−43015号公報、(2)特公
平1−60052号公報、(3)特開平3−15816
号公報にはコンタクトレンズ表面に放電処理を行う方法
が開示されている。
【0004】さらに、(4)特公昭62−37370号
公報、(5)特公平4−41179号公報、(6)特開
平2−278224号公報、(7)特開平3−2888
17号公報には表面に薄膜を形成する方法が開示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術にあっ
て、(1)、(2)、(3)の公報に記載のコンタクト
レンズあるいはその製造方法は、コンタクトレンズ表面
を、空気、酸素、アルゴン、窒素等のガス雰囲気中にて
放電処理を行う方法であり、具体的には、コンタクトレ
ンズ表面に活性な化学種を衝突させることで、表面近傍
の結合を切断し、そこに親水性の官能基を導入する反応
であると考えられている。
【0006】しかしながら、これらの方法によって得ら
れるコンタクトレンズは、空気に接触させた状態で長時
間放置するとレンズ表面の濡れ性が低下するという欠点
を有していた。また、コンタクトレンズのケアとして一
般的に行われている擦り洗浄等によっても、濡れ性が低
下するという問題点を有し、表面の水濡れ性を恒久的に
維持するという点から満足のいくものは得られていな
い。
【0007】また、前記(4)、(5)の公報に記載の
コンタクトレンズは、その表面に親水性薄膜を形成する
ことでレンズ表面の濡れ性を向上させる方法であって、
時間経過に伴う濡れ性の悪化は少ないものの、装用時、
コンタクトレンズ表面への汚れ付着が見られ、良好な装
用感を得るという点からは不十分であった。そこで、前
記(6)、(7)の公報においては、プラズマ処理した
後に、重合性モノマーと接触させることで、レンズ表面
にグラフト重合膜を形成したコンタクトレンズを得てい
る。この技術によると、表面の水濡れ性を恒久的に維持
し、さらにレンズ使用時の耐汚染性に優れることで、良
好な装用感を得ることが可能になった。しかしながら前
記(6)、(7)記載のコンタクトレンズはレンズによ
り、当初の装用感の改善効果が不十分なものが見られ
た。この点に関し鋭意検討の結果、重合膜の薄いものが
水濡れ性が十分でないものが多く、また重合膜が厚いも
のが装用感が逆に悪化するものがあることにより、全体
として改善効果が不十分になっていることを見いだし
た。
【0008】そこで本発明は、以上の表面処理されたコ
ンタクトレンズの抱える問題点を解決するもので、その
目的とするところは、表面の水濡れ性を恒久的に維持
し、さらに耐汚染性に優れることで、装用感が良好なコ
ンタクトレンズを、重合膜の膜厚を制御することで安定
的に提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のコンタクトレンズは、シリコン含有(メタ)
アクリレート、フッ素含有(メタ)アクリレート、及び
フッ素含有フマレートのうち、少なくとも1つの化合物
を組成成分として含有する重合体から作製されたコンタ
クトレンズ表面上に薄膜を有するコンタクトレンズにお
いて、該薄膜の膜厚が0.05ミクロン〜5ミクロンの
範囲で形成されていることを特徴とする。
【0010】さらに本発明は、前記薄膜の膜厚がFT−
IR分析により膜成分含有官能基ピーク高さ/エステル
化合物ピーク高さの比が0.2〜2の範囲で形成されて
いることを特徴とする。
【0011】上記構成によれば、装用時の水濡れ性、及
び膜の膨潤性、保水性が均一化されることによりコンタ
クトレンズの性能面での個体差が解消され、また、涙液
の量、汚れにつながる涙液成分の蛋白質・脂質分の種類
及び量といった、装用者側の個体差の影響を受けにく
く、良好な装用感が得られる。
【0012】また本発明のコンタクトレンズは、前記シ
リコン含有(メタ)アクリレートが、下記一般式(1)
で表される化合物であることを特徴とする。
【0013】
【化5】
【0014】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
示し、XおよびYは炭素数1〜5のアルキル基、フェニ
ル基またはZ基からなる群より選ばれる有機基であり、
aは1〜3の整数を示す) ここでZは、下記一般式(2)で表される基を示すもの
とする。
【0015】
【化6】
【0016】(式中、Aは炭素数1〜5のアルキル基ま
たはフェニル基を示し、bは0〜5の整数を示す) 上記構成によれば、コンタクトレンズ内部にシロキサン
基が存在することで、酸素透過性が向上し、装用時の角
膜への負担が低減される。また本発明のコンタクトレン
ズは、前記フッ素含有(メタ)アクリレートが、下記一
般式(3)で表される化合物であることを特徴とする。
【化7】 (式中、R2は水素原子またはメチル基、−Cij
2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含有基を示し、i
は1〜18の整数、jは1〜2iの整数を示す) 上記構成によれば、コンタクトレンズの内部にフルオロ
アルキル基が存在することで、酸素透過性が向上し、装
用時の角膜への負担が低減される。
【0017】また本発明のコンタクトレンズは、前記フ
ッ素含有フマレートが、下記一般式(4)で表される化
合物であることを特徴とする。
【0018】
【化8】
【0019】(式中、R3およびR4は同一または異なる
基であって、R3およびR4の少なくとも一方の基が−C
mn2m+1-nで示される直鎖状または分岐状のフッ素含
有基を示し、mは1〜18の整数、nは1〜2mの整数
を表し、また一方のみが−Cmn2m+1-nの場合、他方
は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアル
ケニル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を
示す) 上記構成によれば、コンタクトレンズの内部にフルオロ
アルキル基が存在することで、酸素透過性が向上し、装
用時の角膜への負担が低減されるとともに、強度が向上
し、装用中もしくはハンドリングの際に破損することが
ないため、安全に使用できる。
【0020】本発明のコンタクトレンズの製造方法は、
前記本発明のコンタクトレンズを製造する過程におい
て、(a)コンタクトレンズ基材表面を常圧あるいは減
圧下で放電処理する工程と、(b)コンタクトレンズ基
材を親水性モノマーを含有する溶液に浸漬しこのコンタ
クトレンズ基材表面に親水性モノマーをグラフト重合す
るグラフト重合工程と、をこの順序で有することを特徴
とする。
【0021】上記構成によれば、表面の水濡れ性を恒久
的に維持し、さらにレンズ使用時の耐汚染性に優れ、良
好な装用感が得られるコンタクトレンズが可能となる。
【0022】また、本発明のコンタクトレンズの製造方
法は、前記放電処理の処理圧力が、0.01Torrか
ら5Torrの範囲であることを特徴とする。上記構成
によれば、コンタクトレンズ基材表面にダメージを与え
ることなく、効率的な処理が可能となる。
【0023】また、本発明のコンタクトレンズの製造方
法は、前記放電処理に、電力密度が0.01W/cm2
から1W/cm2の高周波電源を使用することを特徴と
する。上記構成によれば、コンタクトレンズ基材表面に
ダメージを与えることなく、効率的な処理が可能とな
る。
【0024】また、本発明のコンタクトレンズの製造方
法は、前記グラフト重合工程において、重合温度が30
℃〜60℃であることを特徴とする。上記構成によれ
ば、コンタクトレンズ基材にダメージを与えることな
く、効率的な処理が可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態のコン
タクトレンズ及びその製造方法を図面を参照して説明す
る。
【0026】本発明のコンタクトレンズは視力矯正能力
を有するレンズ基材3と、表面の水濡れ性を恒久的に維
持する親水性薄膜2とから構成される。(図1)薄膜部の
厚みはコンタクトレンズ断面を透過型電子顕微鏡H−8
00(日立製、以下TEMと表記する。)により観察
し、そのコントラストの差から算出した値を使用した。
【0027】また、FT−IR−ATR(型式GL−3
020、ニューリー・インスツルメンツ製)によりIR
チャートを得、薄膜部に特徴的な官能基ピーク高さ/エ
ステル化合物ピーク高さの比を計算し、膜厚の代用値と
した。IRから得られた膜厚の代用値とTEMから得ら
れた物理的な膜厚は今回検討している範囲内では強い一
次の相関があり対応していると言えた。表面の親水性薄
膜形成に使用する化合物は、(メタ)アクリルアミド、
N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)
アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルア
ミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アク
リルアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸、N−ビニ
ルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピロリドンな
どのN−ビニルラクラム類、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールモノアクリレートなどのエーテル基含有アルキル
(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール等が挙げ
られ、これらの化合物は、単独もしくは2種以上を混合
して使用することができる。
【0028】また、架橋剤として、1,2−エチレング
リコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、並
びに1,3−及び1,4−ブタン、1,5−ペンタン及
び1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート類及びジ
メタクリレート類;ジエチレン−、トリエチレン−及び
テトラエチレングリコール、並びにネオペンチルグリコ
ール、ジ(2−ヒドロキシエチル)スルホン及びチオジ
エチレングリコールのジアクリレート類及びジメタクリ
レート類;トリメチロールプロパントリアクリレート及
びトリメタクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテ
トラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリ
レート及びテトラメタクリレート、ジ−ペンタエリトリ
トールモノヒドロキシペンタアクリレート;ビスフェノ
ール−A−及びエトキシル化ビスフェノール−A−ジメタ
クリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レートトリアクリレート;アリルアクリレート及びメタ
クリレート;ジアリルフタレート、トリアリルメラミ
ン;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、またはN,
N’−メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスメ
タクリルアミド、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルスルホン、ジビニルエーテル、ブタンジオ
ールジビニルエーテル;等が挙げられ、これらの化合物
は、単独もしくは2種以上を混合して使用することがで
きる。ここで、薄膜形成の形態について説明する。
【0029】まず、放電処理について説明する。本発明
に使用する装置の一例を図2に示す。本装置は、処理を
行うプラズマチャンバー4、プラズマチャンバー内の気
体を排気するための真空ポンプ5、放電させるための電
源装置6、から構成されている。さらに、プラズマチャ
ンバー4には、プラズマチャンバー内にガスを導入する
ためのガス導入部8が接続されており、バルブ14を介
してチャンバーに接続されている。真空ポンプ5は、メ
インバルブ10を間にはさんで、排気管11によってプ
ラズマチャンバー4と接続されている。排気管11はま
た、リークバルブ15を介してリークポート9へ接続さ
れている。プラズマチャンバー内に設置された電極12
は、電源装置6と接続しており、金属製のプラズマチャ
ンバーは、アース13に接続されている。同じくプラズ
マチャンバー内に設置された試料台7はプラズマチャン
バーとは電気的に絶縁されている。
【0030】シリコン含有化合物あるいはフッ素含有化
合物のうち、少なくとも一つの化合物をその組成成分と
し、常法により作製されたコンタクトレンズを、試料台
7上に置く。試料台上への置き方は、どのような形態で
もかまわないが、例えば、コンタクトレンズを凸面(以
下、FC面と称す)を上にして処理した後、反転して凹
面(以下、BC面と称す)を上にして処理する方法、コ
ンタクトレンズ表面を覆う面積を最小限にした固定治具
を使用し、それにコンタクトレンズを固定する方法、等
がある。特に、後者の方法は、コンタクトレンズの両面
を同時に処理できる点で有利である。この方法でコンタ
クトレンズを固定する場合、レンズを垂直方向に立てた
形態で処理するが、レンズを任意の角度に傾けて処理し
てもよい。こうすることで、レンズの形状による影響、
つまり、FC面とBC面で処理レベルが異なる現象を、
レンズの傾斜角を最適化することによって、キャンセル
できることがわかっている。
【0031】つぎに、リークバルブ15を閉じメインバ
ルブ10を開いてプラズマチャンバー内の気体を十分排
気した後、バルブ14を開いて、ガス導入管より酸素を
導入する。
【0032】導入ガスの流量あるいは排気量を調整して
プラズマチャンバー内を所望の圧力とし、圧力が安定し
たところで、電圧を印可して放電処理を行う。
【0033】放電処理の処理圧力は限定されるものでは
ないが、0.01Torrから5Torrの範囲で行う
ことが好ましい。処理圧力が0.01Torrより小さ
くなると、コンタクトレンズ表面へのダメージが大きく
なり、面アレや着色、場合によっては強度の低下を招く
ため好ましくない。一方、処理圧力が5Torrより大
きくなると、安定した放電状態の維持が困難となるため
好ましくない。
【0034】放電処理に使用する電源は、直流でも交流
でも可能であるが、安定した放電状態を維持するために
は、例えば13.56MHzの高周波電源を用いること
が適している。放電時の電力密度としては、0.01W
/cm2から1W/cm2の範囲で行うのが好ましく、
0.01W/cm2より低いと、処理されにくくなり、
反対に1W/cm2より高いとコンタクトレンズ表面へ
のダメージが大きくなるため好ましくない。
【0035】その他、処理レベルに関係するパラメータ
ーとしては、処理時間、電極基板間距離、ガス流量等が
挙げられるが、それらは、コンタクトレンズ材質、要求
性能等に応じて最適条件に設定する。
【0036】本発明の処理において、処理する前のコン
タクトレンズの表面状態が、成膜に与える影響を小さく
するために、レンズの表面状態を均一にする処理を行う
ことが好ましい。その方法としては、洗浄、研磨、アル
カリ処理、放電処理等が挙げられる。
【0037】次に、グラフト重合処理について説明す
る。まず重合用原料として水溶性モノマーを所定の割合
で溶解する。水溶性モノマーは、単独もしくは2種以上
を混合して使用することができる。またこの際、2官能
性モノマーを1種又は2種以上加えることができる。ま
た低温で重合を行うために必要に応じ硫酸第一鉄アンモ
ニウム(モール塩)等の還元剤を所定量加え、溶解して
使用することができる。重合反応を行う容器はどの様な
形状でも構わないが、例えば試験管状、ビーカー状のも
のが使用できる。該モノマー溶液を重合容器に所定量注
入し、放電処理されたコンタクトレンズを溶液中に浸漬
し、系内を十分脱気する。系内の温度は放電処理の方
法、重合性モノマーの種類・量によって異なるが、30
℃〜60℃の範囲で行うことが望ましい。温度は30℃
より低くなると生産性が悪化するばかりでなく、水濡れ
性の悪いレンズも見受けられるようになり、また60℃
より高くなると、コンタクトレンズ基材へのダメージが
現れ、表面もポップコーン状の重合ムラが発生してくる
ようになるため好ましくない。
【0038】重合時間は他の処理条件に応じて最適に設
定されるが、安定性及び生産性を考慮して10分から1
0時間の範囲で行うことが望ましい。また重合中は必要
に応じ容器内を撹拌することもできる。
【0039】重合が終了したレンズは系外に取り出し、
続いてレンズ表面に残留している未反応物を超音波洗
浄、温水等を用いて十分洗浄・除去し、これにより所望
の、表面に膜形成されたコンタクトレンズを得ることが
できる。
【0040】続いて、コンタクトレンズ基材を構成する
成分について詳細に説明する。現在上市されているコン
タクトレンズの多くは、(メタ)アクリル酸エステルを
主成分としており、それらの単独、もしくは複数のモノ
マーを、共重合することによって得られる。(メタ)ア
クリル酸エステルの種類は非常に多く、その中からコン
タクトレンズとしての性能を十分発揮できるモノマーを
選択し、さらにその組成比を最適化することで、性能向
上を図ってきた。
【0041】その中で、主に酸素透過性を向上する目的
で使用されるのがシリコン含有(メタ)アクリレートで
ある。シリコン含有(メタ)アクリレートは、下記一般
式(1)で示されるものを挙げることができる。
【0042】
【化9】
【0043】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
示し、XおよびYは炭素数1〜5のアルキル基、フェニ
ル基またはZ基からなる群より選ばれる有機基であり、
aは1〜3の整数を示す) ここでZは、下記一般式(2)で表される基を示すもの
とする。
【0044】
【化10】
【0045】(式中、Aは炭素数1〜5のアルキル基ま
たはフェニル基を示し、bは0〜5の整数を示す) また、アルキル基中に水酸基を有する化合物や、シロキ
サニル基の両末端に(メタ)アクリル基を含有する化合
物も有用である。
【0046】シリコン含有(メタ)アクリレートの例と
しては、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレー
ト、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリ
レート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルメチ
ル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルメチル(メタ)アクリレート、ビス(トリメ
チルシロキシ)(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)
シリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキ
シビス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルメ
チル(メタ)アクリレート、トリス(ペンタメチルジシ
ロキサニルオキシ)シリルメチル(メタ)アクリレー
ト、トリメチルシリルエチル(メタ)アクリレート、ペ
ンタメチルジシロキサニルエチル(メタ)アクリレー
ト、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチル
(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)
シリルエチル(メタ)アクリレート、ビス(トリメチル
シロキシ)(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリ
ルエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシビ
ス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルエチル
(メタ)アクリレート、トリス(ペンタメチルジシロキ
サニルオキシ)シリルエチル(メタ)アクリレート、ト
リメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ペンタ
メチルジシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、
メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メ
タ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリ
ルプロピル(メタ)アクリレート、ビス(トリメチルシ
ロキシ)(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリル
プロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシビ
ス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルプロピ
ル(メタ)アクリレート、トリス(ペンタメチルジシロ
キサニルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、1,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシエチル−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−
ビス(メタ)アクリロイルオキシプロピル−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられ、これ
らの化合物は、単独もしくは2種以上を混合して使用す
ることができる。
【0047】フッ素含有(メタ)アクリレートも、酸素
透過性の向上に極めて有効な成分であり、上記のシリコ
ン含有(メタ)アクリレートと併用することで、酸素透
過性が大幅に向上するため、特に好ましい。フッ素含有
(メタ)アクリレートは、下記一般式(3)で示される
ものを挙げることができる。
【0048】
【化11】
【0049】(式中、R2は水素原子またはメチル基、
−Cij2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含有基
を示し、iは1〜18の整数、jは1〜2iの整数を示
す) iの値が大きくなると、また分岐が多くなるほど酸素透
過性が高くなるが、それに伴って形状安定性が低下する
上に、製造が困難となるため好ましくない。また、jが
大きくなると、すなわちフッ素原子が少なくなると、酸
素透過性が低下し、一方jが0の場合はモノマーの化学
的安定性が悪くなるため、jは1〜2iであることが好
ましい。
【0050】フッ素含有(メタ)アクリレートの例とし
ては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリ
レート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロ
メチルエチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,5−ヘプタフルオロペンチル(メタ)アクリレ
ート、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフル
オロヘキシル(メタ)アクリレート、3、3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオ
ロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,1
0,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレ
ート、1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロオク
タデシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テト
ラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,
9,9−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,9,9,10,10,11,11−エイコ
サフルオロウンデシル(メタ)アクリレート等が挙げら
れ、これらの化合物は、単独もしくは2種以上を混合し
て使用することができる。
【0051】フッ素含有フマレートについても上述の成
分と同様、酸素透過性を向上するためには有効な成分で
ある。しかも、本成分を組成成分の一つとして含有する
重合体から作製したコンタクトレンズの、強度が向上す
るとの知見が得られている。フッ素含有フマレートは、
下記一般式(4)で示されるものを挙げることができ
る。
【0052】
【化12】
【0053】(式中、R3およびR4は同一または異なる
基であって、 R3およびR4の少なくとも一方の基が−
mn2m+1-nで示される直鎖状または分岐状のフッ素
含有基を示し、mは1〜18の整数、nは1〜2mの整
数を表し、また一方のみが−C mn2m+1-nの場合、他
方は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のア
ルケニル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基
を示す) mの値が大きくなると、また分岐が多くなるほど酸素透
過性が高く、耐汚染性が向上するが、それに伴って形状
安定性が低下する上に、製造が困難となるため好ましく
ない。また、nが大きくなると、すなわちフッ素原子が
少なくなると、酸素透過性が低下し、一方nが0の場合
はモノマーの化学的安定性が悪くなるため、nは1〜2
mであることが好ましい。また、一方のみが−Cmn
2m+1-nの場合、他方のアルキル基、アルケニル基、また
はシクロアルキル基の炭素数が13以上である場合には
製造が困難となるため好ましくない。
【0054】フッ素含有フマレートの例としては、メチ
ル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレート、メチ
ル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチ
ルエチルフマレート、メチル−3,3,4,4,5,
5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルフマレート、ア
リル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレート、ア
リル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメ
チルエチルフマレート、アリル−3,3,4,4,5,
5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルフマレート、イ
ソプロピル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレー
ト、イソプロピル−2,2,2−トリフルオロ−1−ト
リフルオロメチルエチルフマレート、イソプロピル−
3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチルフマレー
ト、イソプロピル−3,3,4,4,5,5,6,6,
6−ノナフルオロヘキシルフマレート、イソプロピル−
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8
−トリデカフルオロオクチルフマレート、イソプロピル
−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,
9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル
フマレート、イソプロピル−2,2,3,3−テトラフ
ルオロプロピルフマレート、イソプロピル−2,2,
3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルフマレー
ト、t−ブチル−2,2,2−トリフルオロエチルフマ
レート、t−ブチル−2,2,2−トリフルオロ−1−
トリフルオロメチルエチルフマレート、t−ブチル−
3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチルフマレー
ト、t−ブチル−3,3,4,4,5,5,6,6,6
−ノナフルオロヘキシルフマレート、t−ブチル−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ト
リデカフルオロオクチルフマレート、t−ブチル−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,
9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルフマ
レート、t−ブチル−2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピルフマレート、t−ブチル−2,2,3,4,
4,5,5−オクタフルオロペンチルフマレート、2−
エチルヘキシル−2’,2’,2’−トリフルオロエチ
ルフマレート、2−エチルヘキシル−2’,2’,2’
−トリフルオロ−1’−トリフルオロメチルエチルフマ
レート、2−エチルヘキシル−3’,3’,4’,
4’,4’−ペンタフルオロブチルフマレート、2−エ
チルヘキシル−3’,3’,4’,4’,5’,5’,
6’,6’,6’−ノナフルオロヘキシルフマレート、
2−エチルヘキシル−3’,3’,4’,4’,5’,
5’,6’,6’,7’,7’,8’,8’,8’−ト
リデカフルオロオクチルフマレート、2−エチルヘキシ
ル−3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,
6’,7’,7’,8’,8’,9’,9’,10’,
10’,10’−ヘプタデカフルオロデシルフマレー
ト、2−エチルヘキシル−2’,2’,3’,3’−テ
トラフルオロプロピルフマレート、2−エチルヘキシル
−2’,2’,3’,4’,4’,5’,5’−オクタ
フルオロペンチルフマレート、シクロヘキシル−2,
2,2−トリフルオロエチルフマレート、シクロヘキシ
ル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチ
ルエチルフマレート、シクロヘキシル−3,3,4,
4,4−ペンタフルオロブチルフマレート、シクロヘキ
シル−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフル
オロヘキシルフマレート、シクロヘキシル−3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデ
カフルオロオクチルフマレート、シクロヘキシル−3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,
9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルフマ
レート、シクロヘキシル−2,2,3,3−テトラフル
オロプロピルフマレート、シクロヘキシル−2,2,
3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルフマレー
ト、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)フマレー
ト、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオ
ロメチルエチル)フマレート、ビス(3,4,4,4−
ペンタフルオロブチル)フマレート、ビス(3,3,
4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)
フマレート、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)フマ
レート、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフ
ルオロデシル)フマレート、ビス(2,2,3,3−テ
トラフルオロプロピル)フマレート、ビス(2,2,
3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)フマレ
ート等が挙げられ、これらの化合物は、単独もしくは2
種以上を混合して使用することができる。
【0055】以下、本発明の実施の形態の具体例を説明
するが、本発明は、下記の実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0056】(実施例1)トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルプロピルメタクリレート48重量%、2,
2,2−トリフルオロエチルメタクリレート22重量
%、メチルメタクリレート20重量%、メタクリル酸2
重量%、テトラエチレングリコールジメタクリレート7
重量%、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)1重量%をよく混合し、脱気、窒素置換を繰
り返した後、ガラス製重合管に注入した。この重合管を
温水重合槽に投入し、30℃から70℃まで12時間か
けて昇温して重合した後、大気炉中にて100℃、2時
間のアニールを行い、円筒状のバー材を得た。このバー
材からレースカット法によってコンタクトレンズを作製
した。
【0057】こうして得られたコンタクトレンズを、図
2に示したプラズマチャンバー内の試料台7上に、固定
治具を使用して、垂直に立てた状態で固定した。本実施
例に使用したプラズマチャンバーは、容量:45L、電
極表面積:400cm2、電極−試料(コンタクトレン
ズ)間距離:15cmであり、電源は、13.56MH
zの高周波電源を使用した。プラズマチャンバー内の圧
力が1×10-3Torr以下になるまで排気した後、酸
素をガス導入部8より導入し、所定の処理圧力に安定さ
せた。その後、電圧を印可して、電力密度が1.5×1
-1W/cm2となるように設定し、この状態で30分
間放電処理を行った。処理が完了したコンタクトレンズ
をプラズマチャンバーから取り出し、超音波洗浄を行っ
た。次に上記レンズを以下の手順で浸漬・反応させた。
【0058】アクリルアミド7gとN、 N’−メチレンビ
スアクリルアミド1 gを水12gに溶解し、モノマー水
溶液とした。モノマー水溶液を2.5mL試験管に分取し
て.硫酸第一鉄アンモニウム(モール塩)を0.036
1g加えて撹拌し、溶解した。そこへ放電処理したレン
ズを入れ、窒素ガス置換後、減圧封管した。試験管を4
0℃の恒温槽中に60分間置き、レンズ表面にモノマー
をグラフト重合した。続いてレンズ表面に残留している
未反応物を十分洗浄・除去し、所望の、表面に膜形成さ
れたコンタクトレンズを得た。同様にして、放電の処理
圧力を以下のように変えた6個の試料(試料No.1〜6)
を作成した。
【0059】
【表1】
【0060】こうして得られたコンタクトレンズについ
て、以下の評価を行った。
【0061】(1)レンズの膜厚評価 作製したレンズの膜厚をFT−IRおよび断面TEMか
ら測定した。
【0062】(2)真空乾燥後の静的接触角評価 コンタクトレンズ表面の水濡れ性を評価として静的接触
角を測定した。本評価では、水濡れ性の維持をポイント
に評価するため、製造後及びコンタクトレンズを真空乾
燥器中にて、60℃、100時間の乾燥処理を行った後
とで測定した。
【0063】(3)作製レンズの装用感評価 コンタクトレンズ装用経験のある10名のモニターに、
従来の表面処理されていないレンズと、上記作製したコ
ンタクトレンズとを別々に左右眼に装着し、自覚・他覚
所見を観察し、下記の基準にて評価を行った。 ○:自覚・他覚とも問題なし。 △:未処理のレンズと比べ、やや違和感があるが装用上
問題なし。 ×:未処理のレンズと比べ、違和感があり、装用をやめ
たい。 以上の評価結果を下記に記す。
【0064】
【表2】
【0065】その結果、今回の膜厚のレンズは水濡れ性
に優れ、装用感も良好であった。
【0066】(実施例2)実施例1においてプラズマの
処理圧力を0.5Torrとし、放電時の電力密度を以
下の様に設定した以外は同様の方法で処理した。得られ
たコンタクトレンズを実施例1と同様に評価したとこ
ろ、今回の膜厚のレンズは水濡れ性に優れ、装用感も良
好であった。
【0067】
【表3】
【0068】(実施例3)実施例1においてプラズマの
処理圧力を0.5Torrとし、重合温度を以下の様に
設定した以外は同様の方法で処理した。得られたコンタ
クトレンズを実施例1と同様に評価したところ、今回の
膜厚のレンズは水濡れ性に優れ、装用感も良好であっ
た。
【0069】
【表4】
【0070】(実施例4)トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルプロピルメタクリレート40重量%、イソプ
ロピル−2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロ
メチルエチルフマレート40重量%、メチルメタクリレ
ート14重量%、テトラエチレングリコールジメタクリ
レート5重量%、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)1重量%をよく混合し、脱気、窒素
置換を繰り返した後、ガラス製重合管に注入した。この
重合管を温水重合槽に投入し、30℃から70℃まで1
2時間かけて昇温して重合した後、大気炉中にて100
℃、2時間のアニールを行い、円筒状のバー材を得た。
このバー材からレースカット法によってコンタクトレン
ズを作製した。
【0071】本実施例には、実施例1と同様のプラズマ
チャンバーおよび電源を用いた。得られたコンタクトレ
ンズを、図2に示したプラズマチャンバー内の試料台7
上に、固定治具を使用して、水平方向からの角度を所定
の角度に設定して固定した。プラズマチャンバー内の圧
力が1×10-3Torr以下になるまで排気した後、酸
素をガス導入部8より導入し、1Torrに安定させ
た。その後、電圧を印可して、電力密度が0.1W/c
2となるように設定し、この状態で20分間処理を行
った。処理が完了したコンタクトレンズをプラズマチャ
ンバーから取り出し、超音波洗浄を行った。次に上記レ
ンズを実施例1と同様な方法で浸漬・反応させた。
【0072】アクリルアミド7gとN、 N’−メチレンビ
スアクリルアミド1 gを水12gに溶解し、モノマー水
溶液とした。モノマー水溶液を2.5mL試験管に分取し
て.硫酸第一鉄アンモニウム(モール塩)を0.036
1g加えて撹拌し、溶解した。そこへ放電処理したレン
ズを入れ、窒素ガス置換後.減圧封管した。試験管を3
5℃の恒温槽中に60分間置き、レンズ表面にモノマー
をグラフト重合した。同様にして、放電時のレンズ固定
角度を以下のように変えた試料(試料No.1〜6)を
作成した。
【0073】
【表5】
【0074】今回の基材を用いた場合でも得られたレン
ズは水濡れ性に優れ、装用感も良好であった。
【0075】(実施例5)実施例1で作製したコンタク
トレンズ基材を用い、放電時にレンズを固定治具を使用
して、水平方向から30°に立てた状態で固定し、処理
圧力1Torr、電力密度1.5×10-2W/cm2に設
定して実施例1と同様に放電処理した。次に表面処理に
供するモノマー溶液を下表のように調製した。下表モノ
マー水溶液を2.5mL試験管に分取して、硫酸第一鉄ア
ンモニウム(モール塩)を0.0361g加えて撹拌
し、溶解した。そこへ放電処理したレンズを入れ、窒素
ガス置換後、減圧封管した。試験管を40℃の恒温槽中
に60分間置き、レンズ表面にモノマーをグラフト重合
した。続いてレンズ表面に残留している未反応物を十分
洗浄・除去し、所望の、表面に膜形成されたコンタクト
レンズを得た。
【0076】
【表6】
【0077】得られたコンタクトレンズを実施例1と同
様に評価した結果を下表に示す。
【0078】
【表7】
【0079】その結果、今回のモノマーの種類を変えた
ものについても、膜厚が所定の範囲内のレンズは水濡れ
性に優れ、装用感も良好であった。
【0080】(比較例1)実施例1と同様な手順で、放
電工程及び重合工程の装置パラメータを調整して、下表
の膜厚のレンズを得た。
【0081】
【表8】
【0082】こうして得られたコンタクトレンズのう
ち、21は水濡れ性が十分でなく、装用試験時にくもり
感や乾燥感を訴える症例が見受けられ、また他覚的にも
一部汚れの付着が観察された。また、22〜24につい
ては異物感、乾燥感等で所見が逆に悪化し、装用感が不
満足となった。
【0083】
【発明の効果】本発明のコンタクトレンズによれば、表
面の水濡れ性を恒久的に維持し、さらに耐汚染性に優れ
ることで、良好な装用感が期待できる。
【0084】また、本発明のコンタクトレンズの製造方
法によれば、水濡れ性および耐汚染性に優れた、装用感
が良好なコンタクトレンズを安定的に提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面に薄膜形成されたコンタクト
レンズの構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のコンタクトレンズ製造に用いる装置の
一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1…薄膜を有するコンタクトレンズ 2…高分子薄膜 3…レンズ基材 4…プラズマチャンバー 5…真空ポンプ 6…電源装置 7…試料台 8…ガス導入部 9…リークポート 10…メインバルブ 11…排気管 12…電極 13…アース 14…バルブ 15…バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02C 13/00 G02C 13/00 // B29D 11/00 B29D 11/00 Fターム(参考) 2H006 BB03 BB07 BB09 BC05 BC07 4F213 AA21 AA21J AC05 AH74 AM28 WA38 WA53 WA58 WA86 WB01 4J026 AA45 AA55 AC15 AC19 AC25 AC27 BA25 BA32 BA40 BB01 CA09 DA02 DA12 DB02 DB08 DB14 GA08 4J100 AL08P AL08Q AL39R BA72P BA80P BB17Q BB17R BB18Q BB18R CA01 CA04 CA05 CA23 CA31 HA53 HA55 HC29 HC34 HC50 JA34

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン含有(メタ)アクリレート、フッ
    素含有(メタ)アクリレート、及びフッ素含有フマレー
    トのうち、少なくとも1つの化合物を組成成分として含
    有する重合体から作製されたコンタクトレンズ表面上に
    薄膜を有するコンタクトレンズにおいて、該薄膜の膜厚
    が0.05ミクロン〜5ミクロンの範囲で形成されてい
    ることを特徴とするコンタクトレンズ。
  2. 【請求項2】前記薄膜の膜厚がFT−IR分析により膜
    成分含有官能基ピーク高さ/エステル化合物ピーク高さ
    の比が0.2〜2の範囲で形成されていることを特徴と
    するコンタクトレンズ。
  3. 【請求項3】前記シリコン含有(メタ)アクリレート
    が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特
    徴とする、請求項1または請求項2記載のコンタクトレ
    ンズ。 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、Xおよ
    びYは炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基またはZ
    基からなる群より選ばれる有機基であり、aは1〜3の
    整数を示す) ここでZは、下記一般式(2)で表される基を示すもの
    とする。 【化2】 (式中、Aは炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル
    基を示し、bは0〜5の整数を示す)
  4. 【請求項4】前記フッ素含有(メタ)アクリレートが、
    下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴と
    する、請求項1または請求項2記載のコンタクトレン
    ズ。 【化3】 (式中、R2は水素原子またはメチル基、−Cij
    2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含有基を示し、i
    は1〜18の整数、jは1〜2iの整数を示す)
  5. 【請求項5】前記フッ素含有フマレートが、下記一般式
    (4)で表される化合物であることを特徴とする、請求
    項1または請求項2記載のコンタクトレンズ。 【化4】 (式中、R3およびR4は同一または異なる基であって、
    3およびR4の少なくとも一方の基が−Cmn
    2m+1-nで示される直鎖状または分岐状のフッ素含有基を
    示し、mは1〜18の整数、nは1〜2mの整数を表
    し、また一方のみが−C mn2m+1-nの場合、他方は炭
    素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニ
    ル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示
    す)
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれか1項に記載のコ
    ンタクトレンズを製造する過程において、(a)コンタ
    クトレンズ基材表面を常圧あるいは減圧下で放電処理す
    る工程と、(b)コンタクトレンズ基材を親水性モノマ
    ーを含有する溶液に浸漬しこのコンタクトレンズ基材表
    面に親水性モノマーをグラフト重合するグラフト重合工
    程と、をこの順序で有することを特徴とするコンタクト
    レンズの製造方法。
  7. 【請求項7】前記放電処理の処理圧力が、0.01To
    rrから5Torrの範囲であることを特徴とする、請
    求項6に記載のコンタクトレンズの製造方法。
  8. 【請求項8】前記放電処理に、電力密度が0.01W/
    cm2から1W/cm2の高周波電源を使用することを特
    徴とする、請求項6または7に記載のコンタクトレンズ
    の製造方法。
  9. 【請求項9】前記グラフト重合工程において、重合温度
    が30℃〜60℃であることを特徴とする、請求項6に
    記載のコンタクトレンズの製造方法。
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