JPH06214197A - ソフトコンタクトレンズ - Google Patents

ソフトコンタクトレンズ

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JPH06214197A
JPH06214197A JP597593A JP597593A JPH06214197A JP H06214197 A JPH06214197 A JP H06214197A JP 597593 A JP597593 A JP 597593A JP 597593 A JP597593 A JP 597593A JP H06214197 A JPH06214197 A JP H06214197A
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JP
Japan
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meth
acrylate
contact lens
soft contact
oxygen permeability
Prior art date
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Application number
JP597593A
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English (en)
Inventor
Kanji Katagiri
寛司 片桐
Tadao Kojima
忠雄 児島
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Publication of JPH06214197A publication Critical patent/JPH06214197A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明によるコンタクトレンズは、親水成分と
してN−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、疎水
成分としてシリコン含有(メタ)アクリレートおよび/
またはフルオロアルキル(メタ)アクリレートを必須成
分として共重合させて得られる組成物である。 【効果】酸素透過性に優れ、洗浄等のレンズの取り扱い
で容易に破損することのない十分な機械的強度を有する
他、角膜乱視の矯正が可能な十分な光学性能を有してい
る。また、汚れが付き難く、細菌の繁殖が抑えられるた
め、角膜への影響が少なく安全なコンタクトレンズを提
供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素透過性に優れ十分
な機械的強度を有するソフトコンタクトレンズおよびそ
の組成物に関するものである。さらには、耐汚染性が優
れているため連続装用を行っても角膜への悪影響がない
だけではなく、光学性能に優れたソフトコンタクトレン
ズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ソフトコンタクトレンズは、その
装用感の良さから、従来のハードコンタクトレンズを装
用できなかった人々に広く使用されている。また、ソフ
トコンタクトレンズのケア用品の改良、充実によりケア
が簡便になったため、コンタクトレンズ市場に占めるソ
フトのシェアが急速に伸びてきている。さらに、ディス
ポーザブルコンタクトレンズが上市され、これもソフト
コンタクトレンズ市場に影響を与えつつある。一般に、
ソフトコンタクトレンズは柔軟で装用感は良いが、柔軟
であるが故に装用時に角膜上で形状が変化し易く、期待
どおりの光学性能が得られないという問題点を有する。
角膜上でレンズ形状が変化すると、強度の角膜乱視の矯
正が不可能となり、必要とされる度数も得られないこと
がある。また、ソフトコンタクトレンズの欠点として、
レンズを取り扱う上での破損のし易さが問題となってい
る。さらに、近年連続装用可能なコンタクトレンズが主
流になりつつあるが、ソフトコンタクトレンズの酸素透
過性が不十分であるといった問題点も指摘されている。
【0003】現在、普及しているソフトコンタクトレン
ズとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主
成分とするもの、およびN−ビニル−2−ピロリドンを
主成分とするものが大部分である。2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートを主成分としたコンタクトレンズは中
低含水ソフトコンタクトレンズの代表的なものである
が、十分な酸素透過性が得られず、連続装用を可能にす
るためには非常に薄型のレンズにする必要がある。しか
し、レンズを薄型にすることで強度が低下し破損し易い
ものになってしまうだけでなく、十分な光学性能も得ら
れない原因となっている。一方、N−ビニル−2−ピロ
リドンを主成分としたコンタクトレンズは高含水ソフト
コンタクトレンズの代表的なものであり、高含水にした
ことによる酸素透過性の良さから連続装用への利用や、
手術後の角膜保護のためのメディカルユースとして用い
られている。しかし、レンズが70%以上の水を含水す
ることによって機械的強度が大幅に低下するという欠点
を抱えている。また、高含水ソフトコンタクトレンズは
装用中に涙液等により汚染され易いという報告もある。
【0004】以上のソフトコンタクトレンズの欠点を解
決すべく様々な素材が開発されてきており、特許等で開
示されている。例えば、機械的強度の向上に関して、比
較的剛性が高い素材として、2,3−ジヒドロキシプロ
ピルメタクリレートとメチルメタクリレートを主成分と
するソフトコンタクトレンズが提案され(特公昭62−
32456号公報)、市販されている。一方、耐汚染性
の改良についてもいくつか提案されており、例えば、特
公昭62−62323号公報には、アルキレングリコー
ルのモノメタクリレートと特定のフッ素含有モノマーを
主成分とするソフトコンタクトレンズが提案されてい
る。
【0005】特開昭63−295611号公報には、酸
素透過性を向上させる目的でシリコン含有(メタ)アク
リレートを含有するソフトコンタクトレンズが開示され
ている。また、特開昭63−293520号公報には、
ジメチルアクリルアミドとフルオロアルキル(メタ)ア
クリレートを主成分とする、機械的強度と耐汚染性に優
れ、酸素透過性を高めたコンタクトレンズが開示されて
いる。
【0006】さらに、酸素透過性が高い非含水材料とし
て、ポリオルガノシロキサンからなるシリコンラバーを
材料とするソフトコンタクトレンズが開発され市販され
ている。これら以外に、酸素透過性を向上するものとし
て、例えば、特開昭54−29660号公報には、ヒド
ロキシル基やスルホニル基等のような親水性基を含むメ
タクリレート化合物と長鎖のフルオロアルキル基を有す
るメタクリレート化合物が、また、特公昭60−257
66号公報には、フルオロアルキルアクリレートとアル
キルメタクリレートと若干の架橋剤及び湿潤性モノマー
とからなる組成物が提案されている。
【0007】一方、高含水ソフトコンタクトレンズの材
料としてN−ビニル−2−ピロリドンの機械的強度を改
善する目的で、特公平4−65847号公報、特公平1
−15847号公報にはα−メチレン−N−アルキルラ
クタムを使用し、これと補強成分としてアルキル(メ
タ)アクリレート等の重合性モノマーと共重合させたソ
フトコンタクトレンズが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ソフトコンタクトレン
ズの問題点としては、装用時に角膜上で形状が変化し易
く、期待どおりの光学性能が得られないこと、汚れが付
着し易く細菌および真菌が繁殖し易いこと、取り扱いが
煩雑なこと、強度が弱く破損し易いこと等が挙げられ
る。これらの問題点を有するため、ソフトコンタクトレ
ンズは、良好な装用感にもかかわらず十分普及せず、ま
た、安全性に対し、いくつかの疑問が提唱される由縁で
もある。
【0009】これらの問題点に着目し、比較的剛性が強
く、光学性能の優れた材料として特公昭62−3245
6号公報には2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレ
ートとメチルメタクリレートの共重合によって製造した
ソフトコンタクトレンズが開示されている。従来技術の
うち、現在普及している2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートを主成分とした共重合体からなるコンタクトレン
ズは、非常に柔軟で装用感が良い。しかし、柔軟である
が故に装用の際、眼球が動く時やまばたきの時に光学的
表面が絶えず変化するため、期待どおりの光学性能が得
られない。眼球上でレンズ形状が変化すると、強度の角
膜乱視の矯正が不可能であり、適当で確実な視力を得ら
れないことがある。この点に関して、2,3−ジヒドロ
キシプロピルメタクリレートとメチルメタクリレートの
共重合によって製造したソフトコンタクトレンズは、比
較的剛性が強いために光学的表面の変化が小さく優れた
光学性能を有しているだけでなく、ソフトコンタクトレ
ンズによる角膜乱視の矯正がある程度可能になった。し
かし、このコンタクトレンズは、剛性が強い反面、材料
の靱性が小さく脆さがあるために、レンズ取り扱いの際
に破損のし易さが問題となっている。
【0010】続いて、ソフトコンタクトレンズの問題と
して汚れのつき易さがあり、汚れのつきにくい材料とし
て前述の様な技術が開示されているが、未だに充分とは
言えない。即ち、特公昭62−62323号公報に開示
された組成物は、従来から公知の2−ヒドロキシエチル
メタクリレートに対し、フッ素含有モノマーを添加する
ものであり、混合比率により、後者の添加量が10重量
パーセントを越えると汚染性は改善できるが、その時の
フッ素含有モノマーの添加量では、素材の強度の低下を
招き、破れの発生の心配がある。
【0011】さらに、コンタクトレンズに要求される重
要な要素として酸素透過性が挙げられる。酸素透過性が
乏しいと角膜に必要な酸素が欠乏し、長時間装用すると
充血したり、さらには角膜代謝機能障害を引き起こした
りもする。この酸素透過性に関して、特開昭63−29
5611号公報に記載されたシリコン含有(メタ)アク
リレートを含有するソフトコンタクトレンズは、酸素透
過性は向上するものの、強度は不十分である。
【0012】特開昭63−293520号公報のジメチ
ルアクリルアミドとフルオロアルキル(メタ)アクリレ
ートを主成分とするコンタクトレンズは、高含水率のN
−ビニル−2−ピロリドンを主成分とするコンタクトレ
ンズに比べて、酸素透過性が劣っている。しかし、また
一方では、コンタクトレンズを高含水にすることで酸素
透過性は大幅に向上するが、機械的強度は含水率の上昇
にともなって低下する傾向がみられる。特にN−ビニル
−2−ピロリドンを主成分とするコンタクトレンズは、
強度を向上させるために添加される他の重合性モノマー
との共重合性が悪く、これも強度が十分に得られない原
因の一つとなっている。
【0013】また、その他の例として、特開昭54−2
9660号、同60−25766号公報には、ヒドロキ
シル基含有あるいはスルホニル基含有の親水性メタクリ
レート化合物またはアルキルメタクリレートとフッ素含
有モノマー、更にこれに若干の架橋剤および湿潤性モノ
マーを含む組成物が提案されているが、これらの場合に
も強度が不十分なため、実用上問題である。特に、ソフ
トコンタクトレンズの場合、ハードコンタクトレンズと
違って、眼の角膜形状に沿って変形しピッタリ付着する
故に、酸素透過性と耐汚染性は重要であり、これらにつ
いては改善がなされてきた。しかし、酸素透過性と耐汚
染性が向上している一方で、機械的強度についてはまだ
実用上十分であるとはいえない。
【0014】一方、特公平4−65847号公報、特公
平1−15847号公報記載のソフトコンタクトレンズ
は、N−ビニル−2−ピロリドン主成分のコンタクトレ
ンズの機械的強度を改善する目的でα−メチレン−N−
アルキルラクタムを使用し、これと補強成分としてアル
キル(メタ)アクリレート等の重合性モノマーと共重合
させているが、この場合強度は改善されるものの酸素透
過性が十分とはいえない。このように、機械的強度の改
善と酸素透過性の向上とは相反する要素があり、これら
のバランスのとれたコンタクトレンズはいまだ開発され
ていないのが現状である。
【0015】以上、現状のソフトコンタクトレンズのも
つ長所と問題点について述べてきたが、本発明は、酸素
透過性を向上させてもなお十分な機械的強度を有するソ
フトコンタクトレンズを得ることを主眼におき、かつ耐
汚染性に優れ、しかも光学性能の優れた含水ソフトコン
タクトレンズを作ることを課題としたものである。すな
わち、ソフトコンタクトレンズ装用において、十分な酸
素透過性を有し、角膜への影響が少なく、洗浄等のレン
ズの取り扱いにおいて、容易に破損することのない安全
なコンタクトレンズの組成物を得ることを目的とするも
のである。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のソフ
トコンタクトレンズは、親水成分としてN−メチル−3
−メチレン−2−ピロリドン、疎水成分としてシリコン
含有(メタ)アクリレートおよび/またはフルオロアル
キル(メタ)アクリレートを必須成分とすることを特徴
とするものである。
【0017】また、5重量%未満の架橋剤を必須成分以
外に含むことを特徴とし、さらには使用する架橋剤がア
リル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレー
ト、ビニルベンジル(メタ)アクリレートであることを
特徴とするものである。
【0018】更に詳細に説明する。ここで、A成分のN
−メチル−3−メチレン−2−ピロリドンについて述べ
る。N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドンは本ソ
フトコンタクトレンズを親水性にするための基本骨格で
あり、その構造は化学式1で表すことができる。
【0019】
【化1】
【0020】従来用いられてきたN−ビニル−2−ピロ
リドンは、コンタクトレンズの原料として一般に用いら
れている(メタ)アクリル酸エステルに代表される種々
の重合性モノマーとの共重合性が良くなかった。これに
対して本成分のN−メチル−3−メチレン−2−ピロリ
ドンを使用すると種々の重合性モノマーとの共重合性が
大幅に向上し、得られる共重合体の強度が向上するだけ
でなく、使用可能な共重合性モノマーの選択の自由度が
増す。
【0021】本成分は、非常に親水性が大きく本成分の
みではコンタクトレンズとしての形状を保持することが
できない。そこで、形状保持性と機械的強度を付与する
ために他の共重合性モノマーを加える必要がある。さら
には、酸素透過性ハードコンタクトレンズの材料として
用いられている共重合性モノマーを使用することで、レ
ンズの機械的強度を招く高含水率化をすることなく酸素
透過性を大幅に向上させることが可能である。それに好
適な共重合性モノマーとしては、シリコン含有(メタ)
アクリレートやフルオロアルキル(メタ)アクリレー
ト、さらにはアルキル(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。
【0022】シリコン含有(メタ)アクリレートやフル
オロアルキル(メタ)アクリレート等と共重合してコン
タクトレンズ組成物を得る場合に、本成分であるN−メ
チル−3−メチレン−2−ピロリドンの使用量は30〜
80重量部であることが好ましい。本成分の使用量が相
対的に多い場合には、得られる共重合体の含水率が上昇
し酸素透過性が向上するが、機械的強度および耐汚染性
は低下する。一方、使用量が少ない場合には、含水率が
低下して弾力性がなくなりソフトコンタクトレンズ本来
の優れた装用感が得られなくなるため好ましくない。
【0023】続いて、B成分の疎水性モノマーとして用
いるシリコン含有(メタ)アクリレートについて述べ
る。この成分は本発明の目的の一つである高酸素透過性
を発現するために重要な成分の一つである。例記すれ
ば、下記一般式2で示されるものを挙げることができ
る。
【0024】
【化2】
【0025】(但し式中R1は水素原子またはメチル基
であり、XおよびYは炭素数1〜5のアルキル基、フェ
ニル基あるいはZ基からなる群より選ばれる有機基であ
り、aは1〜3の整数である。ここでZは下記一般式3
で表される基を示すものとする。)
【0026】
【化3】
【0027】(式中Aは炭素数1〜5のアルキル基、フ
ェニル基を示し、bは1〜5の整数を示す。)また、ア
ルキル基中に水酸基を有する化合物や、シロキサニル基
の両末端に(メタ)アクリル基を含有する化合物も有用
である。
【0028】前記一般式で示されるシリコン含有(メ
タ)アクリレートとしては、例えばトリメチルシリルメ
チル(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニ
ルメチル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチ
ルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、トリ
ス(トリメチルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリ
レート、ビス(トリメチルシロキシ)(ペンタメチルジ
シロキサニルオキシ)シリルメチル(メタ)アクリレー
ト、トリメチルシロキシビス(ペンタメチルジシロキサ
ニルオキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、トリ
ス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルメチル
(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチル(メ
タ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルエチル
(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキ
シ)シリルエチル(メタ)アクリレート、トリス(トリ
メチルシロキシ)シリルエチル(メタ)アクリレート、
ビス(トリメチルシロキシ)(ペンタメチルジシロキサ
ニルオキシ)シリルエチル(メタ)アクリレート、トリ
メチルシロキシビス(ペンタメチルジシロキサニルオキ
シ)シリルエチル(メタ)アクリレート、トリス(ペン
タメチルジシロキサニルオキシ)シリルエチル(メタ)
アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アク
リレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピル(メ
タ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)
シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメ
チルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、
ビス(トリメチルシロキシ)(ペンタメチルジシロキサ
ニルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、ト
リメチルシロキシビス(ペンタメチルジシロキサニルオ
キシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス
(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルプロピル
(メタ)アクリレート、1,3−ビス(メタ)アクリロ
イルオキシエチル−1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等
があり、これらのうち、1種または2種以上選択して用
いることができる。
【0029】本成分の使用量が相対的に多い場合には、
得られる共重合体の強度が低下し破損し易いものとなっ
てしまう。一方、使用量が少ない場合には十分な酸素透
過性が得られなくなるため好ましくない。
【0030】続いて、B成分もう一つの疎水性モノマー
として用いるフルオロアルキル(メタ)アクリレートに
ついて述べる。この成分は本発明の目的の高酸素透過性
および耐汚染性を発現するために重要な成分の一つであ
る。例記すれば、下記一般式4で示されるものを挙げる
ことができる。
【0031】
【化4】
【0032】(但し式中、R2は水素原子またはメチル
基、−Cij2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含
有基を示し、iは1〜18の整数、jは1〜2iの整数
を示す)ここで、iの値が大きいほど、また分岐が多い
ほど耐汚染性が優れ、また酸素透過性が高くなる。だが
逆に、iが大きくなると形状安定性が低下する上に、製
造が困難となるので好ましくない。また、jが大きい、
すなわちフッ素原子が少なくなると酸素透過性が低下
し、逆にjが0の場合はモノマーの化学的安定性が悪く
なるため、jは1〜2iであることが好ましい。
【0033】前記一般式で示されるフルオロアルキル
(メタ)アクリレートとしては、例えば2,2,2−ト
リフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−
トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)
アクリレート、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフ
ルオロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル(メ
タ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メ
タ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデ
カフルオロデシル(メタ)アクリレート、1,1,2,
2−テトラヒドロパーフルオロオクタデシル(メタ)ア
クリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフル
オロノニル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,1
0,10,11,11−エイコサフルオロウンデシル
(メタ)アクリレート等があり、これらのうち、1種ま
たは2種以上選択して用いることができる。
【0034】本成分の使用量が相対的に多い場合には、
他モノマーとの相溶性の関係で、得られる共重合体が白
濁してしまうことがあり、また破損し易いものとなって
しまう。一方、使用量が少ない場合には十分な酸素透過
性が得られず、また耐汚染性も低下してしまうため好ま
しくない。
【0035】また、上記疎水成分の他に機械的強度を付
与するためにアルキル(メタ)アクリレートを添加する
ことができる。アルキル(メタ)アクリレートの重合体
は、その化学構造上、十分な機械的強度を有し、弾性に
富んだ物質である。アルキル(メタ)アクリレートは例
記すれば、下記一般式5で示されるものを挙げることが
できる。
【0036】
【化5】
【0037】(但し式中、R3は水素原子またはメチル
基、R4は炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキ
ル基を示す)ここで、R4の炭素数が多すぎると、共重
合体が白濁したり、引っ張り等の力に対して脆いものと
なってしまうため好ましくない。
【0038】前記一般式で示されるアルキル(メタ)ア
クリレートとしてはメチルアクリレート、エチルアクリ
レート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピ
ルメタクリレート、ブチルメタクリレート等があり、こ
れらのうち、1種または2種以上選択して用いることが
できる。
【0039】本発明のソフトコンタクトレンズには、以
上の成分以外に親水性モノマーを添加することができ、
含水率や強度をコントロールする場合に用いる。親水性
モノマーの例としては、2,3−ジヒドロキシプロピル
メタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、メ
タクリル酸等が挙げられる。この中で2,3−ジヒドロ
キシプロピルメタクリレートを用いると、材料に剛性が
加わり優れた光学性能を引き出すのに非常に有効であ
る。これは、グリシジルメタクリレートを加水分解して
得られたものが好適である。
【0040】基本的な成分は以上であるが、コンタクト
レンズとしての形状の保持特性や、強度アップのために
各種架橋剤を0.1〜5重量パーセントの範囲で用いる
ことが望ましい。架橋剤の目的は、共重合体の熱特性を
改善し形状安定性を向上すること、適度な硬さと弾力性
を与え、コンタクトレンズとしての良好な視力矯正力を
得る等の効果を与えることである。さらには、反応速度
の異なったモノマー同志の共重合性を向上させる効果も
ある。これについては、官能基としてビニル基と(メ
タ)アクリル基を併せ持った化合物が好適であり、例え
ばアリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリ
レート、ビニルベンジル(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。
【0041】その他の架橋剤としては、多官能アルコー
ルのジあるいはトリ(メタ)アクリレート類等が挙げら
れ、具体的には例えば、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブ
タンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールジ(メタ)アクリレート、等のジ(メタ)アクリ
レート類や、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との多
価エステル等が挙げられる。
【0042】この架橋剤の使用量は、重合性モノマー
中、0.1〜5重量パーセントが適当である。0.1重
量パーセント未満では、含水率のコントロールが難しく
なるため好ましくない。また、5重量パーセントを越え
ると、含水率の低下に伴い酸素透過率も低下し、さらに
ソフトコンタクトレンズとしての柔軟性が低下するため
好ましくない。
【0043】またこれら以外に、染色剤、着色剤、紫外
線防止剤等の添加剤や、反応性モノマーを加えることが
できるものである。
【0044】次にこれらの、コモノマーの重合について
述べる。重合は、通常の重合開始剤の存在下、加熱ある
いは紫外線などの活性エネルギー線の照射によって行わ
れる。具体的な重合開始剤としては、ラジカル重合開始
剤が望ましく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ
イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパー
オキシピバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレ
ート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
等が用いられる。また、活性エネルギー線の照射の場合
には、ベンゾインエーテル等の光重合開始剤や必要に応
じて増感剤を用いる。これらの開始剤の使用量は、使用
するモノマーに対し、0.001〜2重量パーセントが
望ましい。
【0045】本発明のコンタクトレンズは、これらのモ
ノマーをガラス管あるいはポリプロピレン製やポリテト
ラフルオロエチレン製の管あるいはシート状の空隙中に
注入し、加熱を行い熱重合をさせるか、あるいは、紫外
線を照射し、光重合をさせることが適している。また、
この後、重合収縮、重合熱によりポリマー中に歪が生じ
た場合、これを解消するために、加熱アニールすること
が望ましい。またこのようにしてできたコンタクトレン
ズは、生理食塩水等に浸すことにより適度に膨潤させて
用いる。
【0046】
【作用】本発明によるコンタクトレンズは、親水成分と
してN−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、疎水
成分としてシリコン含有(メタ)アクリレートおよび/
またはフルオロアルキル(メタ)アクリレートを必須成
分として共重合させて得られるため、酸素透過性に優
れ、洗浄等のレンズの取り扱いで容易に破損することの
ない十分な機械的強度を有する。また、フルオロアルキ
ル(メタ)アクリレートを含有すことによって、形状安
定性がよく汚染されにくい特性を付与することができ
る。本発明では、これらの持つ長所を発揮する組成を見
いだしたものである。
【0047】
【実施例】以下実施例により、更に詳しく説明するが、
本発明は、これらに限定されるものではない。なお、実
施例中、部は重量部を表す。
【0048】(実施例1)N−メチル−3−メチレン−
2−ピロリドン55重量部、トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルプロピルメタクリレート20重量部、2,
2,2−トリフルオロエチルメタクリレート24重量
部、トリメチロールプロパントリメタクリレート1重量
部、アゾビス(2,4ージメチルバレロニトリル)0.
1重量部をよく混合し、この混合物をガラス製封管に入
れ、内部を窒素置換、脱気を繰り返し、真空下溶封し
た。この封管を、温水中30℃で10時間、40℃で5
時間、50℃で5時間、60℃で3時間、70℃で3時
間加熱し、更に大気炉中100℃で2時間加熱して重合
を行ない、丸棒を得た。得られた棒を切削加工し、コン
タクトレンズを得た。このレンズを純水中で膨潤させ、
洗浄した後、生理食塩水に浸漬して、所定量の吸水をさ
せると同時に、溶出物の溶出を完結させた。このように
して得られたコンタクトレンズは、含水率が38パーセ
ントで装用感がよく、優れた光学性能を有しており、さ
らに破断強度196g、伸び17mmで機械的強度に優
れたものであった。また、汚れ性の評価の結果、従来の
ソフトコンタクトレンズに較べ、タンパク質の付着はき
わめて少ないことがわかった。また、酸素透過性は32
×10-11ml・cm/cm2・sec・mmHgであっ
た。
【0049】なお、評価方法は、以下の基準で実施し
た。 <評価基準> (1) 酸素透過係数(Dk値) 理化精機(株)製製科研式フィルム酸素透過率計を用
い、35℃で、0.9重量パーセントの生理食塩水中に
て、直径12.7mmの厚みを変えたサンプルについて
その厚みと電流値(i∞)を測定した。得られた厚みを
x軸にとり、n・F・A・Pi∞をy軸にとって、最小自
乗法にて回帰直線y=ax+bを求め、この勾配の逆数
(1/a)をもって[Dk値]とした。ただしここで、
nは電極反応に関与する電子数、Fはファラデー定数、
Aは白金電極の面積、Pは大気圧である。
【0050】(2) 含水率 先に述べたように、純水で洗浄したのち、生理食塩水で
置換して得られたレンズを数枚準備し、その合計重量
(a)を測定した後、再び純水で置換後、真空乾燥器に
て、72時間乾燥し、乾燥レンズの合計重量(b)を求
め、次式により含水率を算出した。 含水率=(a−b)÷a×100 (3) 強度 生理食塩水による含水状態で、厚さ0.1mm、幅8m
mとなる板状成形物を作成し、試験片とした。この試験
片を、生理食塩水中で、10mm間隔で上下端を挟み、
引き延ばして行き、破断した時の応力(破断強度)とそ
の時の支点間の距離(伸び)を測定した。
【0051】(4) 耐汚染性 卵白リゾチーム0.5重量パーセントの生理食塩水溶液
中に、コンタクトレンズを入れ、60℃で2時間放置
後、生理食塩水で充分洗浄した後、280nmの波長の
紫外線吸光度を測定し、得られた卵白リゾチームの付着
量を求めた。
【0052】(実施例2〜10)実施例2〜10を表1
に示す。表1の組成により、実施例1と同様の方法によ
って重合および試験を行った。
【0053】
【表1】
【0054】なお、表中におけるモノマーの略称は以下
の通りである。 NMMP:N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン S2MA:ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリ
レート S4MA:トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピ
ルメタクリレート F3MA:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレ
ート F6MA:2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオ
ロメチルエチルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート GMA:2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート AMA:アリルメタクリレート VBMA:ビニルベンジルメタクリレート (比較例1)実施例1において、N−メチル−3−メチ
レン−2−ピロリドンを全く含有せず、その代わりに、
N−ビニル−2−ピロリドンを55重量部用いること以
外は、実施例1と同様に行い、コンタクトレンズを得
た。実施例1と同様にして、生理食塩水に浸漬を行い、
充分に吸水させると同時に、溶出物の溶出を完結させ
た。このようにして得られたコンタクトレンズは、含水
率が42ーセントで、装用感のよいものであったが、機
械的強度が不十分であった。また、耐汚染性の評価の結
果、タンパク質の付着がやや見られた。 (比較例2)実施例1において、2,2,2−トリフル
オロエチルメタクリレートを全く含有せず、その代わり
に、メチルメタクリレートを24重量部用いること以外
は、実施例1と同様に行い、コンタクトレンズを得た。
実施例1と同様にして、生理食塩水に浸漬を行い、充分
に吸水させると同時に、溶出物の溶出を完結させた。こ
のようにして得られたコンタクトレンズは、含水率が3
9パーセントで、装用感のよいものであったが、酸素透
過性が不十分であった。また、耐汚染性の評価の結果、
タンパク質の付着がやや見られた。
【0055】
【発明の効果】本発明によるコンタクトレンズは、親水
成分としてN−メチル−3−メチレン−2−ピロリド
ン、疎水成分としてシリコン含有(メタ)アクリレート
および/またはフルオロアルキル(メタ)アクリレート
を必須成分として共重合させて得られるため、酸素透過
性に優れ、洗浄等のレンズの取り扱いで容易に破損する
ことのない十分な機械的強度を有する他、角膜乱視の矯
正が可能な十分な光学性能を有している。また、汚れが
付き難く、細菌の繁殖が抑えられるため、安全性が高い
ことが期待できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記AおよびBを必須成分とすることを特
    徴とするソフトコンタクトレンズ。 A:N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン B:シリコン含有(メタ)アクリレートおよび/または
    フルオロアルキル(メタ)アクリレート
  2. 【請求項2】前記AおよびBの各成分が、A成分は30
    〜80重量部、B成分は20〜70重量部であることを
    特徴とする請求項1記載のソフトコンタクトレンズ。
  3. 【請求項3】5重量%未満の架橋剤を必須成分以外に含
    むことを特徴とする請求項1記載のソフトコンタクトレ
    ンズ。
  4. 【請求項4】架橋剤がアリル(メタ)アクリレート、ビ
    ニル(メタ)アクリレート、ビニルベンジル(メタ)ア
    クリレートであることを特徴とする請求項3記載のソフ
    トコンタクトレンズ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001220394A (ja) * 2000-02-07 2001-08-14 Toray Ind Inc モノマー、ポリマーおよび眼用レンズ
US8124668B2 (en) * 2003-01-10 2012-02-28 Menicon Co., Ltd. Silicone-containing ocular lens material with high safety and preparing method thereof

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US8124668B2 (en) * 2003-01-10 2012-02-28 Menicon Co., Ltd. Silicone-containing ocular lens material with high safety and preparing method thereof

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