JPH0756126A - ソフトコンタクトレンズ - Google Patents

ソフトコンタクトレンズ

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Publication number
JPH0756126A
JPH0756126A JP20639293A JP20639293A JPH0756126A JP H0756126 A JPH0756126 A JP H0756126A JP 20639293 A JP20639293 A JP 20639293A JP 20639293 A JP20639293 A JP 20639293A JP H0756126 A JPH0756126 A JP H0756126A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
meth
acrylate
contact lens
soft contact
Prior art date
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Pending
Application number
JP20639293A
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English (en)
Inventor
Kanji Katagiri
寛司 片桐
Yoichi Ushiyama
洋一 牛山
Tadao Kojima
忠雄 児島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP20639293A priority Critical patent/JPH0756126A/ja
Publication of JPH0756126A publication Critical patent/JPH0756126A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明によるソフトコンタクトレンズは、親
水性モノマーとシリコン含有(メタ)アクリレート、フ
ルオロアルキル(メタ)アクリレート、さらにメタクリ
ル酸または2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重
合して得られる組成物である。 【効果】 酸素透過性に優れ、洗浄等のレンズの取り扱
いで容易に破損することのない十分な機械的強度と優れ
た耐久性を有している。また、装用中に涙液成分等によ
り汚染されにくく、細菌の繁殖が抑えられるため、角膜
への影響が少なく安全なコンタクトレンズを提供するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素透過性に優れてい
るだけでなく、機械的強度が大きいためにレンズを取り
扱う上での破損の少ないソフトコンタクトレンズおよび
その組成物に関するものである。さらには、フルオロア
ルキル(メタ)アクリレート(以下、アクリレートおよ
びメタクリレートを併せて(メタ)アクリレートと略
す)を含有するため、装用中に涙液成分等により汚染さ
れ難く、耐久性に優れたソフトコンタクトレンズに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ソフトコンタクトレンズは、その装用感
の良さから、従来のハードコンタクトレンズを装用でき
なかった人々に広く使用されてきたが、最近のクリーナ
ーや滅菌システムの進歩によって、さらにソフトコンタ
クトレンズ装用者が増加し、ハードコンタクトレンズの
シェアに迫る勢いで普及してきている。現在、普及して
いるソフトコンタクトレンズの材料としては、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートを主成分とするもの、およ
びN−ビニル−2−ピロリドンを主成分とするものが大
部分を占めている。
【0003】一般に、ソフトコンタクトレンズの問題点
は、レンズケアが煩雑なことやレンズを取り扱う上で破
損し易い点であると指摘されている。さらには、酸素透
過性が含水率によって左右されるため、ハードコンタク
トレンズに比べて不十分であること、ソフトコンタクト
レンズが柔軟で装用感は良いが、柔軟であるが故に装用
時に角膜上で形状が変化し易く、期待どおりの光学性能
が得られないという問題点も有している。
【0004】機械的強度の向上に関しては、比較的剛性
が高い素材として、2,3−ジヒドロキシプロピルメタ
クリレートとメチルメタクリレートを主成分とするソフ
トコンタクトレンズが提案され(特公昭62−3245
6号公報)、市販されている。一方、レンズケアの簡便
化に関して、耐汚染性の改良についていくつか提案され
ており、例えば、特公昭62−62323号公報には、
アルキレングリコールのモノメタクリレートと特定のフ
ッ素含有モノマーを主成分とするソフトコンタクトレン
ズが提案されている。
【0005】また、特開昭63−295611号公報に
は、酸素透過性を向上させる目的でシリコン含有(メ
タ)アクリレートを含有するソフトコンタクトレンズが
開示されている。また、特開昭63−293520号公
報には、ジメチルアクリルアミドとフルオロアルキル
(メタ)アクリレートを主成分とする、機械的強度と耐
汚染性に優れ、酸素透過性を高めたコンタクトレンズが
開示されている。
【0006】さらに、酸素透過性が高い非含水材料とし
て、ポリオルガノシロキサンからなるシリコンラバーを
材料とするソフトコンタクトレンズが開発され市販され
ている。これら以外に、酸素透過性を向上するものとし
て、例えば、特開昭54−29660号公報には、ヒド
ロキシル基やスルホニル基等のような親水性基を含むメ
タクリレート化合物と長鎖のフルオロアルキル基を有す
るメタクリレート化合物が、また、特公昭60−257
66号公報には、フルオロアルキルアクリレートとアル
キルメタクリレートと若干の架橋剤及び湿潤性モノマー
とからなる組成物が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ソフトコンタクトレン
ズの問題点としては、強度が弱く破損し易いこと、酸素
透過性が不十分で角膜に負担がかかること、汚れが付着
し易く細菌および真菌が繁殖し易いこと、取り扱いが煩
雑なこと、装用時に角膜上で形状が変化し易く期待どお
りの光学性能が得られないこと等が挙げられる。これら
の問題点を有するため、ソフトコンタクトレンズは、良
好な装用感にもかかわらずハードコンタクトレンズに比
べて普及率が低く、また、安全性に対していくつかの疑
問が提唱される由縁でもある。
【0008】これらの問題点に着目し、比較的剛性が強
く、光学性能の優れた材料として特公昭62−3245
6号公報には2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレ
ートとメチルメタクリレートの共重合によって製造した
ソフトコンタクトレンズが開示されている。従来技術の
うち、現在普及している2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートを主成分とした共重合体からなるコンタクトレン
ズは、非常に柔軟で装用感が良い。しかし、柔軟である
が故に装用の際、眼球が動く時やまばたきの時に光学的
表面が絶えず変化するため、期待どおりの光学性能が得
られない。眼球上でレンズ形状が変化すると、強度の角
膜乱視の矯正が不可能であり、適当で確実な視力を得ら
れないことがある。この点に関して、2,3−ジヒドロ
キシプロピルメタクリレートとメチルメタクリレートの
共重合によって製造したソフトコンタクトレンズは、比
較的剛性が強いために光学的表面の変化が小さく優れた
光学性能を有しているだけでなく、ソフトコンタクトレ
ンズによる角膜乱視の矯正がある程度可能になった。し
かし、このコンタクトレンズは、剛性が強くある意味で
は機械的強度に優れているといえるが、一方では、材料
の靱性が小さく脆さがあるために伸びにくい特性があ
り、レンズ取り扱いの際に破損をし易いという指摘もあ
る。
【0009】また、コンタクトレンズに要求される重要
な要素として酸素透過性が挙げられる。酸素透過性が乏
しいと角膜に必要な酸素が欠乏し、長時間装用すると充
血したり、さらには角膜代謝機能障害を引き起こしたり
もする。この酸素透過性に関して、特開昭63−295
611号公報に記載されたシリコン含有(メタ)アクリ
レートを含有するソフトコンタクトレンズは、酸素透過
性は向上するものの、強度は不十分である。
【0010】続いて、ソフトコンタクトレンズの問題と
して汚れのつき易さがあり、汚れのつきにくい材料とし
て前述の様な技術が開示されているが、未だに充分とは
言えない。即ち、特公昭62−62323号公報に開示
された組成物は、従来から公知の2−ヒドロキシエチル
メタクリレートに対し、フッ素含有モノマーを添加する
ものであり、混合比率により、後者の添加量が10重量
パーセントを越えると汚染性は改善できるが、その時の
フッ素含有モノマーの添加量では、素材の強度の低下を
招き、破れの発生の心配がある。
【0011】また、その他の例として、特開昭54−2
9660号、同60−25766号公報には、ヒドロキ
シル基含有あるいはスルホニル基含有の親水性メタクリ
レート化合物またはアルキルメタクリレートとフッ素含
有モノマー、更にこれに若干の架橋剤および湿潤性モノ
マーを含む組成物が提案されているが、これらの場合に
も強度が不十分なため、実用上問題である。特に、ソフ
トコンタクトレンズの場合、ハードコンタクトレンズと
違って、眼の角膜形状に沿って変形し固着する故に、酸
素透過性と耐汚染性は重要であり、これについては改善
がなされてきた。しかし、酸素透過性と耐汚染性が向上
している一方で、機械的強度についてはまだ実用上十分
であるとはいえない。
【0012】以上、現状のソフトコンタクトレンズのも
つ長所と問題点について述べてきたが、本発明は、機械
的強度の優れたソフトコンタクトレンズを得ることを主
眼におき、十分な酸素透過性を有し、かつ耐汚染性に優
れ、しかも十分な光学性能を有した含水ソフトコンタク
トレンズを作ることを課題としたものである。すなわ
ち、ソフトコンタクトレンズ装用において、十分な視力
矯正力が得られ、角膜への影響が少なく、洗浄等のレン
ズの取り扱いにおいて、容易に破損することのない安全
なコンタクトレンズの組成物を得ることを目的とするも
のである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のソフ
トコンタクトレンズは、下記A、B、CおよびD A:親水性モノマー B:シリコン含有(メタ)アクリレート C:フルオロアルキル(メタ)アクリレート D:メタクリル酸 を必須成分とするものであり、また、下記A、B、Cお
よびE A:親水性モノマー B:シリコン含有(メタ)アクリレート C:フルオロアルキル(メタ)アクリレート E:2−ヒドロキシエチルメタクリレート を必須成分とすることを特徴とするものである。
【0014】またさらには、前記必須成分以外に5重量
%未満の架橋剤を含むことを特徴とするものである。
【0015】更に詳細に説明する。ここで、A成分の親
水性モノマーについて説明する。本成分は、ソフトコン
タクトレンズを親水性にするための基本骨格であり、本
ソフトコンタクトレンズの必須成分であるD成分のメタ
クリル酸およびE成分の2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートを除いた親水性モノマーである。本ソフトコンタ
クトレンズはシリコン含有(メタ)アクリレートやフル
オロアルキル(メタ)アクリレートといった疎水性の大
きい成分との共重合体であるので、比較的親水性の大き
いモノマーが適している。具体的には、N−ビニル−2
−ピロリドン、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリ
ドン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)ピロリ
ドン、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2,
3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート等が好まし
く、特に、N,N−ジメチルアクリルアミドは、ソフト
コンタクトレンズ材料として一般的用いられている2−
ヒドロキシエチルメタクリレートよりも親水性が大き
く、比較的少量の添加で必要とする含水率を得ることが
可能であるため好適である。また、N,N−ジメチルア
クリルアミドの共重合体は、柔軟で靱性が大きく、これ
を含有することによってレンズの伸びが大きくなり、破
損しにくくなる。本成分の使用量が相対的に多い場合に
は、得られる共重合体の含水率が上昇し酸素透過性が向
上するが、機械的強度および耐汚染性が低下し、さらに
光学性能も低下する恐れがある。一方、使用量が少ない
場合には、伸びが小さくなり装用感が悪くなるため好ま
しくない。具体的な使用量としては、20〜80重量部
が好ましく、さらに好ましくは40〜70重量部であ
る。
【0016】次に、B成分のシリコン含有(メタ)アク
リレートについて述べる。この成分は本発明の目的の一
つである高酸素透過性を発現するために重要な成分の一
つである。例記すれば、下記一般式1で示されるものを
挙げることができる。
【0017】
【化1】
【0018】(但し式中R1は水素原子またはメチル基
であり、XおよびYは炭素数1〜5のアルキル基、フェ
ニル基あるいはZ基からなる群より選ばれる有機基であ
り、aは1〜3の整数である。ここでZは下記一般式2
で表される基を示すものとする。)
【0019】
【化2】
【0020】(式中Aは炭素数1〜5のアルキル基、フ
ェニル基を示し、bは1〜5の整数を示す。)また、ア
ルキル基中に水酸基を有する化合物や、シロキサニル基
の両末端に(メタ)アクリル基を含有する化合物も有用
である。
【0021】前記一般式で示されるシリコン含有(メ
タ)アクリレートとしては、例えばトリメチルシリルメ
チル(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニ
ルメチル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチ
ルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、トリ
ス(トリメチルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリ
レート、ビス(トリメチルシロキシ)(ペンタメチルジ
シロキサニルオキシ)シリルメチル(メタ)アクリレー
ト、トリメチルシロキシビス(ペンタメチルジシロキサ
ニルオキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、トリ
ス(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルメチル
(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチル(メ
タ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルエチル
(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキ
シ)シリルエチル(メタ)アクリレート、トリス(トリ
メチルシロキシ)シリルエチル(メタ)アクリレート、
ビス(トリメチルシロキシ)(ペンタメチルジシロキサ
ニルオキシ)シリルエチル(メタ)アクリレート、トリ
メチルシロキシビス(ペンタメチルジシロキサニルオキ
シ)シリルエチル(メタ)アクリレート、トリス(ペン
タメチルジシロキサニルオキシ)シリルエチル(メタ)
アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アク
リレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピル(メ
タ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)
シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメ
チルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、
ビス(トリメチルシロキシ)(ペンタメチルジシロキサ
ニルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、ト
リメチルシロキシビス(ペンタメチルジシロキサニルオ
キシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス
(ペンタメチルジシロキサニルオキシ)シリルプロピル
(メタ)アクリレート、1,3−ビス(メタ)アクリロ
イルオキシエチル−1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサン、1,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等
があり、これらのうち、1種または2種以上選択して用
いることができる。
【0022】本成分の使用量が相対的に多い場合には、
得られる共重合体の構造が粗になり、強度が低下するた
め破損し易いものとなってしまう。一方、使用量が少な
い場合には十分な酸素透過性が得られなくなるため好ま
しくない。具体的な使用量としては、3〜50重量部が
好ましく、さらに好ましくは5〜30重量部である。
【0023】続いて、C成分のフルオロアルキル(メ
タ)アクリレートについて述べる。この成分は、本発明
の目的の高酸素透過性および耐汚染性を発現するために
重要な成分の一つである。例記すれば、下記一般式3で
示されるものを挙げることができる。
【0024】
【化3】
【0025】(但し式中、R2は水素原子またはメチル
基、−Cij2i+1-jは直鎖状または分岐状のフッ素含
有基を示し、iは1〜18の整数、jは1〜2iの整数
を示す)ここで、iの値が大きいほど、また分岐が多い
ほど耐汚染性が優れ、また酸素透過性が高くなる。だが
逆に、iが大きくなると形状安定性が低下する上に、製
造が困難となるので好ましくない。また、jが大きい、
すなわちフッ素原子が少なくなると酸素透過性が低下
し、逆にjが0の場合はモノマーの化学的安定性が悪く
なるため、jは1〜2iであることが好ましい。
【0026】前記一般式で示されるフルオロアルキル
(メタ)アクリレートとしては、例えば2,2,2−ト
リフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−
トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)
アクリレート、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフ
ルオロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル(メ
タ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メ
タ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデ
カフルオロデシル(メタ)アクリレート、1,1,2,
2−テトラヒドロパーフルオロオクタデシル(メタ)ア
クリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフル
オロノニル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,1
0,10,11,11−エイコサフルオロウンデシル
(メタ)アクリレート等があり、これらのうち、1種ま
たは2種以上選択して用いることができる。
【0027】本成分の使用量が相対的に多い場合には、
得られる共重合体が白濁してしまうことがあり、また破
損し易いものとなってしまう。一方、使用量が少ない場
合には十分な酸素透過性が得られず、また耐汚染性も低
下してしまうため好ましくない。具体的な使用量として
は、5〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは15
〜40重量部である。
【0028】続いて、D成分のメタクリル酸、E成分の
2−ヒドロキシエチルメタクリレートについて述べる。
本ソフトコンタクトレンズの主要構成成分は上述のA:
親水性モノマー、B:シリコン含有(メタ)アクリレー
ト、C:フルオロアルキル(メタ)アクリレートの3成
分であるが、これらの成分を共重合したとき、各成分の
重合性の違い、つまり反応性比の違いによって相分離を
引き起こし、共重合体が白濁する現象が見られる。この
現象は、上述の3成分に架橋成分を添加したときに特に
顕著にみられ、光学材料としてのソフトコンタクトレン
ズではこれが大きな問題となる。D成分のメタクリル
酸、E成分の2−ヒドロキシエチルメタクリレートは従
来から親水性のソフトコンタクトレンズ材料として知ら
れているが、本成分を上述の3成分に添加することによ
って共重合性が改善され、均一で光学材料として十分な
透明性を有したソフトコンタクトレンズ組成物が得られ
ることを見いだした。
【0029】本成分の使用量は比較的少量でも十分効果
があることがわかっているが、本成分の使用量が相対的
に多い場合には、得られる共重合体の含水率が上昇し酸
素透過性が向上するが、機械的強度および耐汚染性が低
下し、さらに光学性能も低下する恐れがある。特に、D
成分のメタクリル酸の使用量が多い場合は、含水率が著
しく上昇し、形状の安定性がなくなるため好ましくな
い。一方、使用量が少ない場合には、上述の効果が小さ
くなるため好ましくない。具体的な使用量としては、
0.1〜30重量部が好ましく、さらに好ましくは0.
5〜20重量部である。
【0030】基本的な成分は以上であるが、コンタクト
レンズとしての形状の保持特性や、強度アップのために
各種架橋剤を0.1〜5重量パーセントの範囲で用いる
ことが望ましい。架橋剤の目的は、共重合体の熱特性を
改善し形状安定性を向上すること、適度な硬さと弾力性
を与えコンタクトレンズとしての良好な視力矯正力を得
る等の効果を与えることである。
【0031】架橋剤としては、多官能アルコールのジあ
るいはトリ(メタ)アクリレート類等が挙げられ、具体
的には例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テト
ラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ
(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、
また、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール
等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との多価エス
テル等が挙げられる。さらに好ましくはエチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレート、テトラエチレングリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、N,N’−メチレンビスアク
リルアミドが本ソフトコンタクトレンズの架橋成分とし
て適している。この架橋剤の使用量は、重合性モノマー
中、0.1〜5重量パーセントが適当である。0.1重
量パーセント未満では、含水率のコントロールが難しく
なるため好ましくない。また、5重量パーセントを越え
ると、含水率の低下に伴い酸素透過率も低下し、さらに
ソフトコンタクトレンズとしての柔軟性が低下するため
好ましくない。
【0032】またこれら以外に、染色剤、着色剤、紫外
線防止剤等の添加剤や、反応性モノマーを加えることが
できるものである。
【0033】次にこれらの、コモノマーの重合について
述べる。重合は、通常の重合開始剤の存在下、加熱ある
いは紫外線などの活性エネルギー線の照射によって行わ
れる。具体的な重合開始剤としては、ラジカル重合開始
剤が望ましく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ
イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパー
オキシピバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレ
ート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
等が用いられる。また、活性エネルギー線の照射の場合
には、ベンゾインエーテル等の光重合開始剤や必要に応
じて増感剤を用いる。これらの開始剤の使用量は、使用
するモノマーに対し、0.001〜2重量パーセントが
好ましい。
【0034】本発明のコンタクトレンズは、これらのモ
ノマーをガラス管あるいはポリプロピレン製やポリテト
ラフルオロエチレン製の管あるいはシート状の空隙中に
注入し、加熱を行い熱重合をさせるか、あるいは、紫外
線を照射し、光重合をさせることが適している。また、
この後、重合収縮、重合熱によりポリマー中に歪が生じ
た場合、これを解消するために、加熱アニールすること
が望ましい。またこのようにしてできたコンタクトレン
ズは、生理食塩水等に浸すことにより適度に膨潤させて
用いる。
【0035】
【作用】本発明によるソフトコンタクトレンズは、親水
性モノマーとシリコン含有(メタ)アクリレート、フル
オロアルキル(メタ)アクリレート、さらにメタクリル
酸または2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合
して得られるため、酸素透過性に優れ、洗浄等のレンズ
の取り扱いで容易に破損することのない十分な機械的強
度を有する。また、フルオロアルキル(メタ)アクリレ
ートを含有することによって、優れた耐久性と装用中に
涙液成分等により汚染されにくい特性を付与することが
できる。本発明では、これらの持つ長所を発揮する組成
を見いだしたものである。
【0036】
【実施例】以下実施例により、更に詳しく説明するが、
本発明は、これらに限定されるものではない。
【0037】(実施例1)N,N−ジメチルアクリルア
ミド55重量部、トリス(トリメチルシロキシ)シリル
プロピルメタクリレート16重量部、2,2,2−トリ
フルオロエチルメタクリレート25重量部、メタクリル
酸3重量部、エチレングリコールジメタクリレート1重
量部、アゾビス(2,4ージメチルバレロニトリル)
0.1重量部をよく混合し、この混合物をガラス管に入
れ、内部を窒素置換、脱気を繰り返し、真空下溶封し
た。この封管を、温水中30℃で10時間、40℃で5
時間、50℃で5時間、60℃で3時間、70℃で3時
間加熱し、更に大気炉中100℃で2時間加熱して重合
を行ない、丸棒を得た。得られた棒を切削加工し、コン
タクトレンズを得た。このレンズを純水中で膨潤させ、
洗浄した後、生理食塩水に浸漬して、所定量の吸水をさ
せると同時に、溶出物の溶出を完結させた。このように
して得られたコンタクトレンズは、含水率が52パーセ
ントで装用感がよく、優れた光学性能を有しており、さ
らに破断強度261g、伸び22mmで機械的強度に優
れたものであった。また、汚れ性の評価の結果、従来の
ソフトコンタクトレンズに較べ、タンパク質の付着はき
わめて少ないことがわかった。また、酸素透過性は26
×10-11ml・cm/cm2・sec・mmHgであっ
た。
【0038】なお、評価方法は、以下の基準で実施し
た。
【0039】<評価基準> (1) 酸素透過係数(Dk値) 理化精機(株)製製科研式フィルム酸素透過率計を用
い、35℃で、0.9重量パーセントの生理食塩水中に
て、直径12.7mmの厚みを変えたサンプルについて
その厚みと電流値(i∞)を測定した。得られた厚みを
x軸にとり、n・F・A・Pi∞をy軸にとって、最小自
乗法にて回帰直線y=ax+bを求め、この勾配の逆数
(1/a)をもって[Dk値]とした。ただしここで、
nは電極反応に関与する電子数、Fはファラデー定数、
Aは白金電極の面積、Pは大気圧である。
【0040】(2) 含水率 先に述べたように、純水で洗浄したのち、生理食塩水で
置換して得られたレンズを数枚準備し、その合計重量
(a)を測定した後、再び純水で置換後、真空乾燥器に
て、72時間乾燥し、乾燥レンズの合計重量(b)を求
め、次式により含水率を算出した。
【0041】含水率=(a−b)÷a×100 (3) 強度 生理食塩水による含水状態で、厚さ0.1mm、幅8m
mとなる板状成形物を作成し、試験片とした。この試験
片を、生理食塩水中で、10mm間隔で上下端を挟み、
引き延ばして行き、破断した時の荷重(破断強度)とそ
の時の支点間の距離(伸び)を測定した。
【0042】(4) 耐汚染性 卵白リゾチーム0.5重量パーセントの生理食塩水溶液
中に、コンタクトレンズを入れ、60℃で2時間放置
後、生理食塩水で充分洗浄した後、280nmの波長の
紫外線吸光度を測定し、得られた卵白リゾチームの付着
量を求めた。
【0043】(実施例2〜10)実施例2〜10を表1
に示す。表1の組成により、実施例1と同様の方法によ
って重合および試験を行った。
【0044】
【表1】
【0045】なお、表中におけるモノマーの略称は以下
の通りである。
【0046】DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド NVP:N−ビニル−2−ピロリドン S2MA:ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリ
レート S4MA:トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピ
ルメタクリレート F3MA:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレ
ート F6MA:2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオ
ロメチルエチルメタクリレート MA:メタクリル酸 HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート (比較例1)実施例1において、トリス(トリメチルシ
ロキシ)シリルプロピルメタクリレートを全く含有せ
ず、その代わりにメチルメタクリレートを16重量部用
いること以外は、実施例1と同様に行い、コンタクトレ
ンズを得た。実施例1と同様にして、生理食塩水に浸漬
を行い、充分に吸水させると同時に、溶出物の溶出を完
結させた。このようにして得られたコンタクトレンズ
は、含水率が50パーセントで、機械的強度に優れ装用
感のよいものであったが、弾性がやや劣り酸素透過性が
不十分であった。
【0047】(比較例2)実施例1において、2,2,
2−トリフルオロエチルメタクリレートを全く含有せ
ず、その代わりにメチルメタクリレートを25重量部用
いること以外は、実施例1と同様に行い、コンタクトレ
ンズを得た。実施例1と同様にして、生理食塩水に浸漬
を行い、充分に吸水させると同時に、溶出物の溶出を完
結させた。このようにして得られたコンタクトレンズ
は、含水率が49パーセントで、装用感のよいものであ
ったが、酸素透過性が不十分であった。また、耐汚染性
の結果、タンパク質の付着がやや見られた。
【0048】(比較例3)実施例1において、メタクリ
ル酸を全く含有せず、その代わりにN,N−ジメチルア
クリルアミド58重量部用いること以外は、実施例1と
同様に行い、コンタクトレンズを得た。実施例1と同様
にして、生理食塩水に浸漬を行い、充分に吸水させると
同時に、溶出物の溶出を完結させた。このようにして得
られたコンタクトレンズは、相分離によるものと思われ
る白濁が生じ、十分な光学性能が得られなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明によるソフトコンタクトレンズ
は、親水性モノマーとシリコン含有(メタ)アクリレー
ト、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、さらにメ
タクリル酸または2−ヒドロキシエチルメタクリレート
を共重合して得られるため、酸素透過性に優れ、洗浄等
のレンズの取り扱いで容易に破損することのない十分な
機械的強度と優れた耐久性を有している。また、装用中
に涙液成分等により汚染されにくく、細菌の繁殖が抑え
られるため、安全性が高いことが期待できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記A、B、CおよびDを必須成分とする
    ことを特徴とするソフトコンタクトレンズ。 A:親水性モノマー B:シリコン含有(メタ)アクリレート C:フルオロアルキル(メタ)アクリレート D:メタクリル酸
  2. 【請求項2】下記A、B、CおよびEを必須成分とする
    ことを特徴とするソフトコンタクトレンズ。 A:親水性モノマー B:シリコン含有(メタ)アクリレート C:フルオロアルキル(メタ)アクリレート E:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
  3. 【請求項3】前記必須成分以外に5重量%未満の架橋剤
    を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    ソフトコンタクトレンズ。
  4. 【請求項4】前記A、B、CおよびDの各成分が、A成
    分は40〜70重量部、B成分は5〜30重量部、C成
    分は15〜40重量部、D成分は0.5〜20重量部で
    あることを特徴とする請求項1記載のソフトコンタクト
    レンズ。
  5. 【請求項5】前記A、B、CおよびEの各成分が、A成
    分は40〜70重量部、B成分は5〜30重量部、C成
    分は15〜40重量部、E成分は0.5〜30重量部で
    あることを特徴とする請求項2記載のソフトコンタクト
    レンズ。
  6. 【請求項6】親水性モノマーがN,N−ジメチルアクリ
    ルアミドであることを特徴とする請求項1または請求項
    2記載のソフトコンタクトレンズ。
  7. 【請求項7】架橋剤がエチレングリコールジメタクリレ
    ート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラ
    エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレン
    グリコールジアクリレート、トリメチロールプロパント
    リメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレ
    ート、N,N’−メチレンビスアクリルアミドの中から
    選ばれる1種または2種以上の架橋性モノマーであるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載のソフトコ
    ンタクトレンズ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009001987A1 (en) * 2007-06-25 2008-12-31 Bescon.Co., Ltd. Silicone-hydrogel compound for soft contact lens and soft contact lens produced using the compound
JP2015503633A (ja) * 2011-12-23 2015-02-02 ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッドJohnson & Johnson Vision Care, Inc. イオン性シリコーンヒドロゲル
RU2671866C2 (ru) * 2014-03-31 2018-11-07 Джонсон Энд Джонсон Вижн Кэа, Инк. Силиконовый акриламидный сополимер

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