JPH09100896A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JPH09100896A
JPH09100896A JP25895495A JP25895495A JPH09100896A JP H09100896 A JPH09100896 A JP H09100896A JP 25895495 A JP25895495 A JP 25895495A JP 25895495 A JP25895495 A JP 25895495A JP H09100896 A JPH09100896 A JP H09100896A
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JP
Japan
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side gears
differential
gear
gears
wave plate
Prior art date
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Application number
JP25895495A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Yamazaki
禎之 山崎
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Publication date
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Priority to JP25895495A priority Critical patent/JPH09100896A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定したイニシャルトルクを得る。 【解決手段】 エンジンの駆動力により回転駆動される
デフケース3と、デフケース3の内部に配置された出力
側のサイドギヤ13、15と、ギヤ13、15を連結す
るピニオンギヤとからなる差動ギヤ機構と、ギヤ13、
15の間に配置されてギヤ13、15に回転摩擦抵抗を
与えるリング状の与圧部材37と、その両側に配置され
たスラストワッシャ33、35と備え、この与圧部材3
7は周方向交互に凹凸をなすように成形されたばね部材
であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両に用いられ
るデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特表平7−501380号公報に図8の
ようなデファレンシャル装置201が記載されている。
【0003】このデファレンシャル装置201は、エン
ジンに回転駆動されるデフケース203、デフケース2
03の内部に配置された出力側のサイドギヤ205、2
07(ウォームホイール)、互いに噛み合うと共にサイ
ドギヤ205、207と各別に噛み合ったピニオンギヤ
209、211(ウォーム)からなる複数組のピニオン
ギヤ組、差動制限力調整機構213などを備えている。
【0004】このように構成されているデファレンシャ
ル装置201は、各ギヤ間のトルク伝達ロス(摩擦抵
抗)によってトルク感応型の差動制限機能を得ている。
【0005】また、差動制限力調整機構213は、デフ
ケース203の円錐部215と円錐ワッシャ217との
間に形成された摩擦クラッチ219と、皿ばね221な
どを備えている。摩擦クラッチ219はサイドギヤ20
5の噛み合いスラスト力によって締結され、上記のトル
ク感応型差動制限力に加えて、差動制限力を強化する。
【0006】皿ばね221はサイドギヤ205の噛み合
いスラスト力に抗して円錐ワッシャ217を押し返し、
摩擦クラッチ219が締結されるタイミングを調整する
と共に、この間その付勢力によって生じる摩擦抵抗によ
り一定の差動制限トルク(イニシャルトルク)を与えて
いる。
【0007】トルク感応型の差動制限機能は、悪路など
で一輪が空転し駆動トルクが低下すると差動制限力が大
きく低下するから、悪路などで車両の脱出性や走破性が
不充分になるが、このイニシャルトルクによって差動制
限力が補強されて、脱出性や走破性が向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、イニシャルト
ルクを与える皿ばね221は、外周と内周の各エッジ部
で相手部材を押圧するから、かじりや異常摩耗が生じ易
く、イニシャルトルクが不安定に変動する。
【0009】そこで、この発明は、安定したイニシャル
トルクが得られるデファレンシャル装置の提供を目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1のデファレンシ
ャル装置は、エンジンの駆動力により回転駆動されるデ
フケースと、デフケースの内部で回転自在に支承された
一対の出力側サイドギヤ及びこれらサイドギヤを連結す
るピニオンギヤからなる差動ギヤ機構と、両サイドギヤ
の間と各サイドギヤとデフケースとの間の少なくともい
ずれかに配置されてサイドギヤに回転摩擦抵抗を与える
リング状の与圧部材とを備え、この与圧部材は周方向交
互に凹凸をなすように成形されたばね部材であることを
特徴とする。
【0011】デフケースを回転させるエンジンの駆動力
は、ピニオンギヤとサイドギヤから出力軸を介して各車
輪に分配されると共に、悪路などを走行中、車輪間に駆
動抵抗差が生じるとピニオンギヤの自転によってエンジ
ンの駆動力は各車輪側に差動分配される。
【0012】また、両サイドギヤの間と各サイドギヤと
デフケースとの間の一方または両方に与圧部材を配置し
たことにより、この付勢力を受けてサイドギヤに回転摩
擦抵抗が与えられ、一定の差動制限トルクであるイニシ
ャルトルクが得られる。
【0013】従って、悪路などで一方の車輪が空転して
もこのイニシャルトルクによって他方の車輪に駆動トル
クが送られるから、車両の脱出性と走破性とが高く保た
れる。
【0014】与圧部材は、例えばウェーブリングのよう
に、周方向に凹凸状に成形されたばね部材である。従っ
て、鋭いエッジ部でかじりなどを発生させる従来例の皿
ばねと異なって、接触部が丸く滑らかであると共に、多
数の接触部が周方向に均等に配置されているから、かじ
りや異常摩耗が発生せず、イニシャルトルクが安定す
る。
【0015】また多数の接触部が周方向に均等に配置さ
れるので、サイドギヤに与える付勢力が均等になりサイ
ドギヤの倒れが防止される。よって、サイドギヤとピニ
オンギヤとの噛み合い部において歯面のピッチング、焼
きつき等が発生せず耐久性が向上する。
【0016】また、例えば、与圧部材の凹凸の箇所数を
増やすか板厚を厚くすれば、イニシャルトルクを強化す
ることが可能であり、こうしてイニシャルトルクを強化
しても、与圧部材の接触部が丸く滑らかであるから、か
じりや異常摩耗は発生しない。
【0017】更に、ピニオンギヤより大径のサイドギヤ
に回転摩擦抵抗を与えているから、それだけ大きなイニ
シャルトルクが得られる。
【0018】請求項2のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置において、与圧部材の両側
に、これと接してスラストワッシャを配置したものであ
り、請求項1のデファレンシャル装置と同様に、接触部
が丸く滑らかな与圧部材によって、かじりや異常摩耗を
発生させずに、安定したイニシャルトルクが得られる。
【0019】これに加えて、与圧部材の両側にスラスト
ワッシャを配置したことによって、サイドギヤやデフケ
ースは、与圧部材と直接に接触することが避けられ、与
圧部材の押圧力を面で受けることができる。従って、部
分的な摩耗や焼き付きが防止され、イニシャルトルクを
更に安定させる。
【0020】また、スラストワッシャの厚さを変えれ
ば、与圧部材の撓み量(予圧力)を変えて、イニシャル
トルクを調整することができる。
【0021】請求項3のデファレンシャル装置は、請求
項1または2のデファレンシャル装置において、差動ギ
ヤ機構を、一対の出力側サイドギヤと、これらサイドギ
ヤの径方向外側に配置されサイドギヤと各別に噛み合う
第1ギヤ部及び互いに噛み合う第2ギヤ部を有する少な
くとも一対のピニオンギヤと、デフケースに形成され各
ピニオンギヤを摺動回転自在に収納する収納孔とで構成
したものであり、請求項1または2のデファレンシャル
装置と同様に、かじりや異常摩耗が発生せず、安定した
イニシャルトルクが得られる。
【0022】これに加えて、このような差動ギヤ機構で
は、各ギヤに与えられる回転摩擦抵抗によってトルク感
応型の差動制限機能が得られる。また、一輪空転時に差
動制限力が低下するこのトルク感応型差動制限機能が、
イニシャルトルクによって補強されるから、悪路などで
の車両の脱出性と走破性が高く保たれる。
【0023】特にこのようなトルク感応型の差動制限機
能を有する差動ギヤ機構においては、周方向に均等な付
勢力をサイドギヤに与えるのでサイドギヤの倒れが防止
され、歯面のピッチング、焼き付き等が発生せず差動制
限力が安定し、かつ耐久性が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】図1ないし3により本発明の第1
実施形態を説明する。図1はこの実施形態のデファレン
シャル装置1を示している。なお、左右の方向は図1で
の左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示
されていない。
【0025】デファレンシャル装置1は、車両の前輪側
または後輪側、前後輪間の車軸(出力軸)上に配置され
る。
【0026】図1のように、デファレンシャル装置1の
デフケース3は、ケーシング本体5にカバー7をボルト
で固定して構成されている。デフケース3にはリングギ
ヤがボルトで固定されており、このリングギヤはエンジ
ンの駆動力を伝達する動力伝達系の出力ギヤと噛み合っ
ている。こうして、デフケース3はエンジンの駆動力に
より回転駆動される。
【0027】デファレンシャル装置1はデフキャリヤの
内部に配置されており、デフケース3のボス部9、11
はベアリングを介してデフキャリヤに支承されている。
デフキャリヤにはオイル溜りが設けられており、デファ
レンシャル装置1は、静止状態では下部がこのオイル溜
りに浸されており、回転するとオイル溜りからオイルを
撥ね上げる。
【0028】デフケース3の内部には、それぞれヘリカ
ルギヤで構成された出力側のサイドギヤ13、15が配
置されている。
【0029】各サイドギヤ13、15の中空のボス部1
7、19はデフケース3の支承部21、23によって回
転自在に支承されている。ボス部17、19に形成され
た大径部25、27には、これらの内周に跨がってスラ
ストブロック29が配置され、サイドギヤ13、15の
各自由端を支承しセンターリングしている。
【0030】サイドギヤ13のボス部17は左の車軸に
スプライン連結され、サイドギヤ15のボス部19は右
の車軸にスプライン連結されている。これらの車軸はス
ラストブロック29を介して互いに付き当てられてい
る。
【0031】サイドギヤ13、15とデフケース3との
間にはそれぞれスラストワッシャ31が配置されてい
る。また、サイドギヤ13、15の間(スラストブロッ
ク29の外周側)にはスラストワッシャ33、35と、
これらに挟まれたリング状のウェーブプレート37(与
圧部材)が配置されている。左のスラストワッシャ33
とウェーブプレート37はサイドギヤ13のボス部17
に形成されたハウジング部39のなかに配置され、右の
スラストワッシャ35は外周部をサイドギヤ13、15
の間に挟まれている。
【0032】図2のように、ウェーブプレート37は凹
部41と凸部43とが周方向交互に形成されたばね部材
であり、図3のように、これらの凹部41と凸部43は
螺旋状に形成されている。ウェーブプレート37は、デ
ファレンシャル装置1が組付けられると、撓められて予
圧力が与えられる。ウェーブプレート37はこの予圧力
により、凸部43(接触部)でスラストワッシャ33、
35を介しサイドギヤ13、15を押圧し、スラストワ
ッシャ31を介してサイドギヤ13、15をデフケース
3に押しつけている。
【0033】デフケース3には長い収納孔45と短い収
納孔とが周方向に複数組形成されており、長い収納孔4
5には長いヘリカルピニオンギヤ47が摺動回転自在に
収納され、短い収納孔には短いヘリカルピニオンギヤが
摺動回転自在に収納されている。
【0034】長いピニオンギヤ47は、第1と第2のギ
ヤ部49、51と、これらを連結する小径の軸部53と
からなり、第1ギヤ部49はサイドギヤ15と噛み合っ
ている。また、短いピニオンギヤは、互いの間に軸部を
持たない第1と第2のギヤ部からなり、第1ギヤ部はサ
イドギヤ13と噛み合い、第2ギヤ部はサイドギヤ1
3、15の左側でピニオンギヤ47の第2ギヤ部51と
噛み合っている。
【0035】デフケース3を回転させるエンジンの駆動
力は、各ピニオンギヤとサイドギヤ13、15から車軸
を介して各車輪に分配され、悪路などを走行中に車輪間
に駆動抵抗差が生じると、各ピニオンギヤの自転によっ
てエンジンの駆動力は各車輪側に差動分配される。
【0036】トルクの伝達中、各ピニオンギヤの歯先は
サイドギヤ13、15との噛み合い反力によりそれぞれ
の収納孔の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。
また、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力により、各ピ
ニオンギヤの端面とデフケース3との間で摩擦抵抗が発
生すると共に、スラストワッシャ31を介してサイドギ
ヤ13、15とデフケース3との間で、また、スラスト
ワッシャ35を介してサイドギヤ13、15の間でそれ
ぞれ摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗により、ト
ルク感応型の差動制限機能が得られる。
【0037】これに加えて、上記のようなウェーブプレ
ート37の付勢力により、サイドギヤ13、15の間及
び各サイドギヤ13、15とデフケース3との間で発生
する摩擦抵抗により、イニシャルトルクが得られる。こ
のイニシャルトルクは一側車輪が空転すると差動制限力
が低下する性質を持ったトルク感応型差動制限機能を補
って、常に一定の差動制限力を与える。
【0038】デフケース3には、開口55、57が形成
されており、各ボス部9、11の内周には螺旋状のオイ
ル溝59、61が形成されている。
【0039】デファレンシャル装置1の回転時と静止時
とを問わず、デフキャリヤのオイル溜りからオイルがこ
れらの開口55、57とオイル溝59、61を介してデ
フケース3に流出入する。流入したオイルは、各ギヤの
噛み合い部、各収納孔、トルク感応型の差動制限力を発
生する摺動部、各スラストワッシャ31、31、33、
35、ウェーブプレート37の摺動面などに供給され、
これらの潤滑箇所を潤滑する。
【0040】特に、オイル溝59、61では、デファレ
ンシャル装置1の回転に伴う螺旋の歩みによってデフケ
ース3に流出入するオイルの流れが促進され、各潤滑箇
所の潤滑効率を向上させる。こうして、デファレンシャ
ル装置1が構成されている。
【0041】デファレンシャル装置1を搭載した車両
は、そのトルク感応型の差動制限機能によって、発進時
や加速時のように大きなトルクが掛かった時の車体の挙
動が向上する。また、悪路などで一側車輪が空転しトル
ク感応型の差動制限力が低下しても、上記のイニシャル
トルクによって差動制限力が強化され、他側車輪に大き
な駆動力が送られて、優れた脱出性と走破性とが保たれ
る。
【0042】これに加えて、上記のように構成されたこ
とにより、デファレンシャル装置1は下記のような利点
を持っている。
【0043】(1) ウェーブプレート37は、上記の
ように、丸く滑らかな多数の接触部(凸部43)を持っ
たばね部材であるから、鋭いエッジ部でかじりなどを発
生させる従来例の皿ばねと異なって、かじりや異常摩耗
を発生させずに、安定したイニシャルトルクを与える。
【0044】(2) 例えば、ウェーブプレート37の
凹凸箇所を増やすか、板厚を厚くすれば、イニシャルト
ルクを強化することが可能である。イニシャルトルクを
このように強化しても、ウェーブプレート37の接触部
が丸く滑らかであるから、かじりや異常摩耗は発生しな
い。
【0045】(3) ウェーブプレート37の両側にス
ラストワッシャ33、35を配置したことによって、サ
イドギヤ13、15は、ウェーブプレート37と接触せ
ずに、その押圧力をスラストワッシャ33、35を介し
て面で受けることができる。従って、部分的な摩耗や焼
き付きが防止され、イニシャルトルクが更に安定する。
【0046】(4) スラストワッシャ33、35の厚
さを変えることによってウェーブプレート37の撓み量
(予圧力)が変わるから、イニシャルトルクの調整が可
能である。
【0047】(5) スラストワッシャ33とウェーブ
プレート37とを、サイドギヤ13のハウジング部39
に収納して位置決めし、更に、これらの外周をこのハウ
ジング部39の内周でガイドし、内周をスラストブロッ
ク29の外周でガイドしているから、組付け作業が容易
であると共に、これらが斜めに組付けられることによる
引っ掛かりなどの動作不良が防止され、イニシャルトル
クが安定する。
【0048】(6) 各ピニオンギヤより大径のサイド
ギヤ13、15に回転摩擦抵抗を与えているから、それ
だけ大きなイニシャルトルクが得られる。
【0049】(7) 多数の凸部43が周方向に均等に
配置されるので、サイドギヤ13、15に与える付勢力
が均等になりサイドギヤ13、15の倒れが防止され
る。よって、サイドギヤ13、15とピニオンギヤとの
噛み合い部において、断面のピッチング、焼きつき等が
発生せず差動制限力が安定し、耐久性が向上する。
【0050】次に、図4、5、6、7により本発明の第
2実施形態を説明する。図4はこの実施形態のデファレ
ンシャル装置63を示している。なお、左右の方向は図
4での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は
図示されていない。
【0051】なお、以下のデファレンシャル装置63の
説明と図4において、デファレンシャル装置1の部材と
同機能の部材には同一の符号を与えると共に、重複を避
けるためにこれら同機能部材の説明は省いている。
【0052】デファレンシャル装置63は、車両の前輪
側または後輪側の車軸(出力軸)上に配置される。
【0053】図4のように、デファレンシャル装置63
のデフケース65はケーシング本体67にカバー69を
ボルトで固定して構成されている。デフケース65に
は、エンジンの駆動力を伝達する動力伝達系の出力ギヤ
と噛み合ったリングギヤがボルトで固定されており、こ
うして、デフケース65はエンジンの駆動力によって回
転駆動される。
【0054】デファレンシャル装置63は内部にオイル
溜りが設けられたデフキャリヤに収納されており、デフ
ケース65のボス部71、73はベアリングを介してデ
フキャリヤに支承されている。デファレンシャル装置6
3は、静止状態では下部がこのオイル溜りに浸されてお
り、回転するとオイル溜りからオイルを撥ね上げる。
【0055】デフケース65の内部には、出力側のサイ
ドギヤ13、15が配置され、これらのボス部17、1
9はデフケース65の支承部75、77によって回転自
在に支承されている。スラストブロック29はサイドギ
ヤ13、15の各自由端を支承しセンターリングしてい
る。
【0056】サイドギヤ13、15の間(スラストブロ
ック29の外周側)にはスラストワッシャ79が配置さ
れている。また、サイドギヤ13、15とデフケース6
5との間には、図5のような、スラストワッシャ81、
83と、これらに挟まれたリング状のウェーブプレート
85(与圧部材)とがそれぞれ配置されている。軸方向
外側のスラストワッシャ81とウェーブプレート85は
デフケース65に形成されたハウジング部87のなかに
配置されている。
【0057】図6のように、ウェーブプレート85は凹
部89と凸部91とが周方向交互に形成されたばね部材
であり、図7のように、これらの凹部89と凸部91は
放射状に形成されている。ウェーブプレート85は、デ
ファレンシャル装置63が組付けられると、撓められて
予圧力が与えられる。ウェーブプレート85はこの予圧
力により、凸部91(接触部)でスラストワッシャ8
1、83を介しサイドギヤ13、15とデフケース65
とを押圧すると共に、スラストワッシャ79を介してサ
イドギヤ13、15を互いに押しつけている。
【0058】デフケース65に形成された長い収納孔9
3には長いヘリカルピニオンギヤ47が摺動回転自在に
収納され、短い収納孔には短いヘリカルピニオンギヤが
摺動回転自在に収納されている。これらのピニオンギヤ
は、互いに噛み合いながらサイドギヤ13、15を連結
している。
【0059】デフケース65を回転させるエンジンの駆
動力は、各ピニオンギヤとサイドギヤ13、15から車
軸を介して各車輪に分配され、悪路などを走行中に車輪
間に駆動抵抗差が生じると、各ピニオンギヤの自転によ
ってエンジンの駆動力は各車輪側に差動分配される。
【0060】トルクの伝達中、噛み合い反力により各ピ
ニオンギヤの歯先と収納孔の壁面との間で摩擦抵抗が発
生する。また、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力によ
り、各ピニオンギヤの端面とデフケース65との間で摩
擦抵抗が発生すると共に、スラストワッシャ79を介し
てサイドギヤ13、15の間で、また、スラストワッシ
ャ83、ウェーブプレート85、スラストワッシャ81
を介してサイドギヤ13、15とデフケース65との間
でそれぞれ摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗によ
り、トルク感応型の差動制限機能が得られる。
【0061】これに加えて、ウェーブプレート85の付
勢力によって、サイドギヤ13、15の間及び各サイド
ギヤ13、15とデフケース65との間で発生する摩擦
抵抗により、イニシャルトルクが発生し、常に一定の差
動制限力が得られる。
【0062】図4のように、デフケース65には、開口
95、97が形成されており、各ボス部71、73の内
周には螺旋状のオイル溝99、101が形成されてい
る。また、ケーシング本体67にはオイル溝101とハ
ウジング部87とを連通する遠心溝103と、ハウジン
グ部87と各ピニオンギヤの収納孔とを連通する遠心溝
105が設けられている。カバー69にも、このように
オイル溝99とハウジング部87と収納孔とを連通する
遠心溝が設けられている。
【0063】デファレンシャル装置63の回転時と静止
時とを問わず、デフキャリヤのオイル溜りからオイルが
これらの開口95、97とオイル溝99、101を介し
てデフケース65に流出入する。流入したオイルは、各
ギヤの噛み合い部、各ピニオンギヤの収納孔、トルク感
応型の差動制限力を発生する摺動部、各スラストワッシ
ャ79、81、83、ウェーブプレート85の摺動面な
どに供給され、これらの潤滑箇所を潤滑する。
【0064】特に、オイル溝99、101では、デファ
レンシャル装置63の回転に伴う螺旋の歩みによってデ
フケース65に流出入するオイルの流れが促進され、各
潤滑箇所の潤滑効率を向上させる。
【0065】更に、オイル溝101から流入したオイル
は、遠心力によって遠心溝103からハウジング部87
に供給され、更に、遠心溝105から収納孔に供給さ
れ、これらを充分に潤滑する。また、オイル溝99から
流入したオイルも、これと同様に、遠心力によってそれ
ぞれ遠心溝を介してハウジング部87から収納孔に供給
され、潤滑効率を向上させる。こうして、デファレンシ
ャル装置63が構成されている。
【0066】デファレンシャル装置63を搭載した車両
は、そのトルク感応型の差動制限機能によって、発進時
や加速時のように大きなトルクが掛かった時の車体の挙
動が向上する。また、悪路などで一側車輪が空転しトル
ク感応型の差動制限力が低下しても、上記のイニシャル
トルクによって差動制限力が強化され、他側車輪に大き
な駆動力が送られるから、優れた脱出性と走破性とが保
たれる。
【0067】これに加えて、上記のように構成されたデ
ファレンシャル装置63は、下記のような利点を持って
いる。
【0068】(1) ウェーブプレート85は、上記の
ように、丸く滑らかな多数の接触部(凸部91)を持っ
たばね部材であるから、鋭いエッジ部でかじりなどを発
生させる従来例の皿ばねと異なって、かじりや異常摩耗
を発生させずに、安定したイニシャルトルクを与える。
【0069】(2) 例えば、ウェーブプレート85の
凹凸箇所数を増やすか、板厚を厚くすれば、かじりや異
常摩耗を発生させずにイニシャルトルクを強化すること
が可能である。
【0070】(3) ウェーブプレート85の両側にス
ラストワッシャ81、83を配置したことによって、サ
イドギヤ13、15とデフケース65は、ウェーブプレ
ート85と接触せずに、その押圧力をスラストワッシャ
81、83を介して面で受けることができる。従って、
部分的な摩耗や焼き付きが防止され、イニシャルトルク
が更に安定する。
【0071】(4) スラストワッシャ81、83の厚
さを調整することによりウェーブプレート85の撓み量
(予圧力)を変え、イニシャルトルクを調整することが
可能である。
【0072】(5) スラストワッシャ81とウェーブ
プレート85とを、デフケース65のハウジング部87
に収納して位置決めし、更に、これらの外周をこのハウ
ジング部87の内周でガイドし、内周をサイドギヤ1
3、15のボス部17、19外周でガイドしているか
ら、組付け作業が容易であると共に、これらが斜めに組
付けられることによる引っ掛かりなどの動作不良が防止
され、イニシャルトルクが安定する。
【0073】(6) 各ギヤをヘリカルギヤで構成する
と、サイドギヤ13、15の噛み合いスラスト力がトル
クの伝達方向(車両の走行方向)によって変化するか
ら、この噛み合いスラスト力の方向でウェーブプレート
85の撓み量を変えることができる。従って、この撓み
量の変化によって、例えば、車両の前進走行時に差動制
限力を強くし、後進走行時には差動制限力を弱めること
ができる。
【0074】(7) 各ピニオンギヤより大径のサイド
ギヤ13、15に回転摩擦抵抗を与えているから、それ
だけ大きなイニシャルトルクが得られる。
【0075】(8) 多数の凸部91が周方向に均等に
配置されるので、サイドギヤ13、15に与える付勢力
が均等になりサイドギヤ13、15の倒れが防止され
る。よって、サイドギヤ13、15とピニオンギヤとの
噛み合い部において、歯面のピッチング、焼きつき等が
発生せず差動制限力が安定し、耐久性が向上する。
【0076】なお、各実施形態は、請求項3に記載の差
動ギヤ機構において、一対のピニオンギヤをサイドギヤ
の軸方向片側で噛み合わせた例を示しているが、一対の
ピニオンギヤはサイドギヤの軸方向両側で噛み合わせて
も、また、サイドギヤの間で噛み合わせてもよい。
【0077】また、この差動ギヤ機構において、ピニオ
ンギヤとサイドギヤはヘリカルギヤでなくスパーギヤで
構成してもよい。
【0078】更に、本発明において、差動ギヤ機構は、
請求項3に記載した差動ギヤ機構の他に、例えば、ウォ
ームギヤ式の差動ギヤ機構や、ベベルギヤ式の差動ギヤ
機構でもよい。
【0079】本発明のデファレンシャル装置は、フロン
トデフ(前輪側の車軸上に配置されたデファレンシャル
装置)、リヤデフ(後輪側の車軸上に配置されたデファ
レンシャル装置)、センターデフ(エンジンの駆動力を
前輪側と後輪側に分配するデファレンシャル装置)のい
ずれにも用いることができる。
【0080】
【発明の効果】請求項1のデファレンシャル装置は、両
サイドギヤの間と各サイドギヤとデフケースとの間の一
方または両方に与圧部材を配置してサイドギヤに回転摩
擦抵抗を与え、イニシャルトルクを得ている。
【0081】従って、一方の車輪が空転してもこのイニ
シャルトルクによって他方の車輪に駆動トルクが送られ
るから、悪路などでの車両の脱出性と走破性とが高く保
たれる。
【0082】与圧部材は、ウェーブリングのように周方
向交互に凹凸状をなすように成形されたばね部材であ
り、従って、鋭いエッジ部でかじりなどを発生させる従
来例の皿ばねと異なって、接触部が丸く滑らかであると
共に、多数の接触部が周方向に均等に配置されているか
ら、かじりや異常摩耗が発生せず、イニシャルトルクが
安定する。
【0083】また、多数の接触部が周方向に均等に配置
されるので、サイドギヤに与える付勢力が均等になりサ
イドギヤの倒れが防止される。よって、サイドギヤとピ
ニオンギヤとの噛み合い部において、歯面のピッチン
グ、焼きつき等が発生せず、差動制限力が安定し、耐久
性が向上する。
【0084】また、例えば、与圧部材の凹凸の箇所数を
増やすか板厚を厚くすれば、イニシャルトルクを強化す
ることが可能であり、こうしてイニシャルトルクを強化
しても、接触部が丸く滑らかであるから、かじりや異常
摩耗は発生しない。
【0085】更に、ピニオンギヤより大径のサイドギヤ
に回転摩擦抵抗を与えているから、それだけ大きなイニ
シャルトルクが得られる。
【0086】請求項2のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置と同様に、接触部が丸く滑
らかな与圧部材によって、かじりや異常摩耗を発生させ
ずに、安定したイニシャルトルクが得られる。
【0087】これに加えて、与圧部材の両側にスラスト
ワッシャを配置したことによって、サイドギヤやデフケ
ースは、与圧部材の押圧力を面で受けることができ、従
って、部分的な摩耗や焼き付きが防止され、イニシャル
トルクは更に安定する。
【0088】また、スラストワッシャの厚さ調整によ
り、与圧部材の撓み量(予圧力)を変えて、イニシャル
トルクを調整することができる。
【0089】請求項3のデファレンシャル装置は、請求
項1または2のデファレンシャル装置と同様に、かじり
や異常摩耗が発生せず、安定したイニシャルトルクが得
られる。
【0090】これに加えて、一輪空転時に差動制限力が
低下するトルク感応型の差動制限機能が、イニシャルト
ルクによって補強されるから、悪路などでの車両の脱出
性と走破性が高く保たれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図3のA−A断面図であり、第1実施形態に用
いられたウェーブプレートを示す。
【図3】第1実施形態に用いられたウェーブプレートの
平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図5】第2実施形態に用いられたスラストワッシャと
ウェーブプレートとを示す斜視図である。
【図6】図7のB−B断面図であり、第2実施形態に用
いられたウェーブプレートを示す。
【図7】第2実施形態に用いられたウェーブプレートの
平面図である。
【図8】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1、63 デファレンシャル装置 3、65 デフケース 13、15 出力側サイドギヤ 33、35、81、83 スラストワッシャ 37 凹凸部が螺旋状のウェーブプレート(与圧部材) 41、89 凹部 43、91 凸部(接触部) 45、93 収納孔 47 ピニオンギヤ 49 第1ギヤ部 51 第2ギヤ部 53 軸部 85 凹凸部が放射状のウェーブプレート(与圧部材)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動力により回転駆動される
    デフケースと、デフケースの内部で回転自在に支承され
    た一対の出力側サイドギヤ及びこれらサイドギヤを連結
    するピニオンギヤからなる差動ギヤ機構と、両サイドギ
    ヤの間と各サイドギヤとデフケースとの間の少なくとも
    いずれかに配置されてサイドギヤに回転摩擦抵抗を与え
    るリング状の与圧部材とを備え、この与圧部材は周方向
    交互に凹凸をなすように成形されたばね部材であること
    を特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 与圧部材の両側に、これと接してスラス
    トワッシャを配置した請求項1のデファレンシャル装
    置。
  3. 【請求項3】 差動ギヤ機構が、一対の出力側サイドギ
    ヤと、これらサイドギヤの径方向外側に配置されサイド
    ギヤと各別に噛み合う第1ギヤ部及び互いに噛み合う第
    2ギヤ部を有する少なくとも一対のピニオンギヤと、デ
    フケースに形成され各ピニオンギヤを摺動回転自在に収
    納する収納孔とからなる請求項1または2のデファレン
    シャル装置。
JP25895495A 1995-10-05 1995-10-05 デファレンシャル装置 Pending JPH09100896A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024057460A1 (ja) * 2022-09-14 2024-03-21 株式会社ジェイテクト 車両用差動装置

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