JPH09100532A - 支持杭及び支持杭用先端部材 - Google Patents

支持杭及び支持杭用先端部材

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JPH09100532A
JPH09100532A JP20022196A JP20022196A JPH09100532A JP H09100532 A JPH09100532 A JP H09100532A JP 20022196 A JP20022196 A JP 20022196A JP 20022196 A JP20022196 A JP 20022196A JP H09100532 A JPH09100532 A JP H09100532A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストや工期さらには作業の容易性という条
件を全て満足させつつ、実質的に無振動、無騒音で埋設
することができ、かつ大きな支承力が得られるようにし
た支持杭を提供する。 【解決手段】 支持杭Aには、切刃1、螺旋板2、開口
4が備えられている。切刃1は、支持杭A下端に1つあ
るいは複数の山形形状とされた刃先を有すると共に支持
杭Aの径方向に伸びる板状とされ、支持杭Aの下端部に
対して溶接されている。螺旋板2は、支持杭Aの下端部
外周に溶接されている。開口4は、切刃1の周囲に形成
され、支持杭A内に連なっている。そして、支持杭1の
使用に際しては、支持杭1を下方へ押圧しつつ回転させ
て、支持杭1を地盤にねじ込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤中に埋設され
て、ビル等の構造物を支承するための支持杭及び支持杭
用先端部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】地盤の不
等沈下による建築構造物の歪み、傾き等を防止するた
め、地盤中に埋設した支持杭によってこの建築構造物を
支承することが行なわれている。このような支持杭を地
中に埋設するのは、従来一般に、支持杭に打撃力を与え
る打込みによって行なわれる。そして、この打込まれる
支持杭としては、コンクリ−トパイルと呼ばれるコンク
リ−トを中実棒状に固化したものが用いられる。しかし
ながら、このコンクリ−トパイルを打込むには極めて大
きな打撃力を要し、この打込みによる振動あるいは騒音
が大きな問題となっている。このため最近では、支持杭
として、鋼管製のものを用いることが注目され始めてい
る。すなわち、管状であるため打込み時における地盤か
らの抵抗が小さく、必要な打撃力は、コンクリ−トパイ
ルの場合に比して10分の1程度と極めて小さくするこ
とができる。この結果、発生する振動や騒音の面で有利
となり、この振動や騒音が大きな問題となる住宅街や密
集地で多く使用されるようになっている。
【0003】しかしながら、鋼管製の支持杭は、打込み
時の打撃力が小さくてすむ反面、支承力すなわち耐え得
る建築構造物からの荷重がかなり小さいものとならざる
を得ない。したがって、現状では、この鋼管製支持杭を
使用するのは小さなビルあるいは一般住宅用としてであ
り、この点において限界を有することになっていた。勿
論、打撃を行なう関係上、かなり小さなものとはいえ振
動や騒音を伴なう一方、この振動や騒音に対する現場周
辺の住民からの苦情が強くなる傾向にあり、この面から
の限界もきたすようになっている。
【0004】ところで、地盤中に埋設された支持杭を得
る他の方法として、実質的に無振動、無騒音でありかつ
支承力の大きなものが得られるようにしたものもある。
すなわち、オ−ガと呼ばれ一種のドリルにより地盤に深
い下孔を形成して、この下孔にセメントミルを流しこん
でこれを固化させる、というようなものもある。しかし
ながら、この場合は、作業行程が複雑で、工期も極めて
長く、さらにはコスト的に前記打込み式の場合に比して
極めて高くなるという他、下孔形成に伴なって発生する
残土や汚水の後処理が必要になる、という問題がある。
【0005】本発明は以上のような事情を勘案してなさ
れたもので、その目的とするところは、コストや工期さ
らには作業の容易性という条件を全て満足させつつ、実
質的に無振動、無騒音で埋設することができ、かつ大き
な支承力が得られるようにした支持杭及び支持杭用先端
部材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明における支持杭に
あっては、次のような構成としてある。すなわち、構造
物を支承するための鋼管製の支持杭であって、下端に1
つあるいは複数の山形形状とされた刃先を有すると共に
前記支持杭の径方向に伸びる板状とされ、前記支持杭の
下端部に対して溶接された切刃と、前記支持杭の下端部
外周に溶接された螺旋板と、を備え、前記切刃の周囲
に、前記支持杭内に連なる開口が形成されている、よう
な構成としてある。
【0007】本発明における支持杭用先端部材にあって
は、次のような構成としてある。すなわち、長尺の鋼管
製支持杭本体の下端に対して溶接して使用される支持杭
用先端部材であって、短尺鋼管部材と、下端に1つある
いは複数の山形形状とされた刃先を有すると共に前記短
尺鋼管部材の径方向に伸びる板状とされ、前記短尺鋼管
部材の下端部に対して溶接された切刃と、前記短尺鋼管
部材の外周に溶接された螺旋板と、を備え、前記切刃の
周囲に、前記短尺鋼管部材内に連なる開口が形成されて
いる、ような構成としてある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を添付した
図面に基づいて説明する。図1〜図3において、支持杭
Aは、その先端に切刃1を有すると共に、先端部外周に
螺旋板2を有する。そして、図示のものにあっては、支
持杭Aは、長尺の支持杭本体A1に対して、上記切刃1
および螺旋板2を有する先端部材A2を溶接することに
より構成されている。
【0009】上記支持杭本体A1は、7〜8m程度に長
尺とされた鋼管からなり、従来打込み用として供されて
いたものがそのまま利用されている。上記先端部材A2
は、図4〜図8にも示すように、30cm〜1m程度の
短尺の鋼管からなる本体3を有し、その外径および肉厚
は、支持杭本体A1と同一とされている。この本体3の
一端には、前記切刃1が溶接されている(この溶接部分
を符号M1で示す)。この切刃1は、鉄系金属板好まし
くは鋼板によって板状とされて、実施形態では略3角形
状、より具体的には下方に向けて凸となるような山形形
状に形成されている。このような切刃1は、本体3の径
方向に伸ばした状態でかつその内周に嵌合された状態
で、当該本体3に対して溶接されて、その鋭角とされた
先端つまり切刃が、本体3の一端から突出されている。
そして、管状の本体3は、切刃1部分を除いてそのまま
開口されたものとされ、この開口部分を符号4で示して
ある。
【0010】前記螺旋板2は、本体3の一端側より、当
該本体1をほぼ1周するように換言すればほぼ1ピッチ
分だけ形成され、そのピッチは10〜20cm好ましく
は15cm程度とされている。この螺旋板2も鉄系金属
板好ましくは鋼板からなり、本体3に対して溶接されて
いる(この溶接部分を符号M2で示す)。
【0011】上述のような先端部材A2は、後述する所
定の工程で、その本体3の他端すなわち切刃1とは反対
側端において、支持杭本体A1の一端に溶接され(この
溶接部分を符号M3で示す)、これにより前述した支持
杭Aが得られることになる。
【0012】さて次に、支持杭Aを埋設するときに用い
るねじ込み装置Dの一例について、図1を参照しつつ説
明する。このねじ込み装置Dは、車両10を利用した自
走式とされ、その荷台部分において、スイベル11を利
用して水平方向所望の回動位置で固定し得るようにされ
たテ−ブル12を有する。このテ−ブル12には、ブラ
ケット13、油圧式のシリンダ装置14、ウインチ15
の他、図示は略すがこれ等の作動を行なわせるための操
作レバ−等が装備されている。
【0013】上記ブラケット13に対しては、支点16
を中心にして揺動自在に支柱17が取付けられている。
この支柱17は、シリンダ装置14を利用して、図1に
示すようにその起立位置において固定し得るようになっ
ている。この支柱17には、オ−ガ減速機18が、上下
方向に摺動自在に保持されている。このオ−ガ減速機1
8は、支持杭Aに対する回転駆動源かつ下方への押圧源
となるもので、その下端にチャック19を有すると共に
モ−タおよび減速機を内蔵している。これにより、モ−
タにより、減速機を介してチャック19が回転駆動され
る。そして、オ−ガ減速機18そのものは、ワイヤ20
を介してウインチ15と連係され、ウインチ15の正逆
回転に応じて昇降される。図1中21は振止め、22は
ジャッキである。
【0014】なお、上述したねじ込み装置Dは、オ−ガ
減速機18を備えた従来からのものをそのまま利用する
ようにしてあるので、これ以上詳細な説明は省略する。
【0015】次に、以上のような構成の作用について説
明する。先ず、先端部材A2が溶接されていない支持杭
本体A1のみを、上下方向に伸ばして、その上端をオ−
ガ減速機18のチャック19に保持させると共に、その
下端部を振止め21に対して回転自在かつ摺動自在に保
持させる。
【0016】次いで、支持杭本体A1の下端に対して、
前述した先端部材A2を溶接して、埋設されるべき支持
杭Aを構成する。
【0017】この後、オ−ガ減速機18を駆動すること
により、支持杭Aを、螺旋板2のピッチを勘案してゆっ
くりと回転させつつ、当該オ−ガ減速機18の自重を利
用した下方への押圧力を加えて、地盤B中にねじ込んで
いく(図2参照)。このねじ込みの際、切刃1により地
盤B中にある異物は破砕され、また螺旋板2による一種
のタップねじの機能によって、支持杭Aはスム−ズにね
じ込まれていく。このとき、土砂は、切刃1の周囲の開
口4を通し支持杭A内に進入可能なので、より一層ねじ
込みがスム−ズなものとなる。そして、所望の深さにま
でねじ込むことにより、支持杭Aの埋設が完了する(図
3参照)。
【0018】そして、ねじ込みより開口4を通して支持
杭A内に進入される地盤の土は、ねじ込みの開始から終
了するまでの間、オ−ガ等によって積極的に支持杭Aの
上方から排出させることなく、そのまま支持杭A内に貯
留される。なお、支持杭Aとして例えば15m等極めて
長いものが要求されるときは、途中で支持杭本体A1に
相当するものを溶接して(継ぎたし)、上述したねじ込
みを行なっていけばよい。
【0019】上述のようにして埋設された支持杭Aは、
螺旋板2による支承作用によって、極めて大きな支承力
が確保されることになる。すなわち、従来打込みによっ
て埋設された鋼管製支持杭のものに比して、螺旋板2の
面積分だけ支承能力が大きくなる。
【0020】以上の説明では、支持杭Aを、切刃1およ
び螺旋板2を有する短尺の先端部材A2を利用して構成
した場合を説明したが、先端部材A1を別途用いること
なく、長尺の鋼管製支持杭に対して直接切刃1および螺
旋板2を溶接するようにしてもよい。
【0021】切刃1は、適宜の形状、例えば図9、図1
0に示すように、鋭角とされた先端部分つまり刃先を複
数有するいわゆるマルチポイントタイプのものとしても
よい。また、実施形態のように、切刃1によって、支持
杭Aの先端部分を径方向から連結するようにすれば、こ
の支持杭Aの先端部分のねじり剛性を飛躍的に大きくす
ることができる。このような観点からまた切刃1そのも
のの剛性向上をも兼ねて、切刃1は、例えば、それぞれ
支持杭Aの軸心を中心として放射状に延びる多数の板状
部分を有する一体物として、各板状部分をそれぞれ支持
杭Aに溶接するようにしてもよい。
【0022】螺旋板2のピッチ数は、2ピッチ等適宜の
ものとすることができる。この場合、ピッチ数が多いほ
ど支持杭Aの支承力が大きくなるが、その反面ねじ込み
力が大きくなるので、必要な支承力を勘案して極力小さ
なピッチ数とするのが好ましい。また、螺旋板2の幅
(図7、図8においてlで示す)は、大きいほど支持杭
Aの支承力が大きくなるが、その反面ねじ込み力も大き
くなる。したがって、この幅の大きさは上記ピッチ数で
述べたのと同様な観点から決定すればよいが、5〜10
cm程度で十分な支承力が得られる。
【0023】ここで、本発明の支持杭Aの支承力を調べ
るため、次のような条件で試験を行なった。なお、この
試験は、図1〜図8に示すように、先端部材A2を別途
用いた場合としてある。 支持杭本体A1(鋼管製) 外径:139.8mm 内径:135.3mm 長さ:8m 先端部材A2(鋼管製) 内外径は支持杭本体A1と同じ 長さ:30mm 切刃1 形状:図4〜図8に示す通り 厚さ:4.5mm 材質:鋼板製 螺旋板2 厚さ:4.5mm 幅:70mm ピッチ数:1 材質:鋼板製 埋設深さ 地表から8m 地盤Bにおける土の硬さ スウェ−デン式サウンディング試験におけるN値で示し
た場合0〜4mはN値3〜4 4〜6mはN値2〜3 6〜7mはN値2〜7 7〜8mはN値35 支持杭Aのねじ込み条件 下方への押圧力:900kg 回転力:300kgm 回転数:30rpm 支承力の検査方法 支持杭Aの埋設後、打込み式支持杭の場合において用い
られているのと同様に、埋設後に所定の打撃力で支持杭
Aを打撃してそのときの沈下量に基づいて決定する。
【0024】以上のような試験結果、得られた支承力は
21.5tonであった。比較のため、支持杭本体A1
と同一使用の鋼管製支持杭を従来の打込み式によって埋
設した場合は、得られた支承力は5.3tonであり、
本発明方法による場合の約1/4にしか過ぎなかった。
なお、所望の支承力が得られたか否かは、ねじ込み力の
大きさ特に回転力をみることによって知ることも可能で
ある。
【0025】
【発明の効果】本発明による支持杭を用いることによっ
て、次のような種々の効果を奏する。 実質的に無騒音、無振動で支持杭を埋設することがで
きる。 埋設後は、螺旋板による支承作用によって、大きな支
承力を得ることができる。 コスト的にも殆ど打込み式と変わらない程度で済み、
工期や安全性の点でも優れたものとなる。特に、支持杭
を下方へ押圧しつつ回転させて所定長さだけねじ込んだ
段階で支持杭の埋設が完了ということになるので、地表
側での作業を軽減させる点で好ましいものとなる。 山形形状の刃先を有する切刃による破砕作用と、螺旋
板によるねじ機能とを利用して、支持杭そのものを一種
のタップねじとして構成してあるので、小さな力および
回転力でもってスム−ズに地盤中に埋設することができ
る。 支持杭のねじ込みに際して、切刃を板状とすることに
より当該切刃周囲に形成される大きな開口を通して地盤
中の土を支持杭内に逃がすので、ねじ込みがよりスム−
ズに行なわれる。また、山形形状の刃先を有する切刃に
よる破砕作用によって、異物を含む地盤中の土を支持杭
内へ逃がす作用が効果的に行われることになる。 山形形状の刃先を有する切刃による破砕作用を受けた
地盤中の土を、切刃周囲に形成される大きな開口を通し
て支持杭内に積極的に送り込み、支持杭内を、その下方
側から上方側に順次、充填状態とすることができること
になり、この充填状態の土を地表に排出しないことによ
って、残土の処理を不要とすることができると共に、支
持杭の内外の圧力差を極めて小さくして、コンクリ−ト
等を支持杭内に充填しなくても、簡単に、土圧に対する
支持杭の耐土圧性を向上させることができることにな
る。 板状の切刃が支持杭の径方向に伸びる状態で当該支持
杭の下端部に溶接されているので、支持杭下端部の強度
特にねじり強度も十分高いものとなる。さらに、本発明
による支持杭用先端部材によれば、既存の長尺の鋼管製
支持杭に溶接するだけで容易に、本発明による支持杭を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の支持杭の埋設作業を行なうときに用い
るねじ込み装置の一例を支持杭と共に示す図。
【図2】支持杭を地盤中へねじ込んでいる様子を示す
図。
【図3】支持杭の埋設が完了したときの状態を示す図。
【図4】先端部材を示す正面図。
【図5】図4の右側面図。
【図6】図4のVI−VI線断面図。
【図7】図4の底面図。
【図8】図4の上面図。
【図9】切刃部分の変形例を示すもので図6に対応した
部分の断面図。
【図10】切刃部分の変形例を示すもので図6に対応し
た部分の断面図。
【符号の説明】
A 支持杭 A1 支持杭本体 A2 支持杭用先端部材 B 地盤 D ねじ込み装置 1 切刃 2 螺旋板 3 本体(短尺鋼管部材) 4 開口 19 チャック M1 溶接部分 M2 溶接部分 M3 溶接部分

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物を支承するための鋼管製の支持杭
    であって、 下端に1つあるいは複数の山形形状とされた刃先を有す
    ると共に前記支持杭の径方向に伸びる板状とされ、前記
    支持杭の下端部に対して溶接された切刃と、 前記支持杭の下端部外周に溶接された螺旋板と、を備
    え、前記切刃の周囲に、前記支持杭内に連なる開口が形
    成されている、ことを特徴とする支持杭。
  2. 【請求項2】 長尺の鋼管製支持杭本体の下端に対して
    溶接して使用される支持杭用先端部材であって、 短尺鋼管部材と、 下端に1つあるいは複数の山形形状とされた刃先を有す
    ると共に前記短尺鋼管部材の径方向に伸びる板状とさ
    れ、前記短尺鋼管部材の下端部に対して溶接された切刃
    と、 前記短尺鋼管部材の外周に溶接された螺旋板と、を備
    え、前記切刃の周囲に、前記短尺鋼管部材内に連なる開
    口が形成されている、ことを特徴とする支持杭用先端部
    材。
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