JP4677690B2 - 杭の摩擦力増大方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭の摩擦力増大方法に係り、さらに詳しくは、地中に埋設された杭の近傍にケーシングを貫入して杭周囲の地盤を圧縮し、杭の周面摩擦力や水平抵抗力を増大するようにした杭の摩擦力増大方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
場所打ち杭やソイルセメント系の杭、あるいは杭体に突条を設けた杭などは、中掘り杭に比べて大きな周面摩擦力を発揮することができる。しかし、地盤が軟弱であれば大きな周面摩擦力を得ることができず、また、負の周面摩擦力が生じるおそれがある地盤ではそれに対する処置をする必要がある。
【0003】
杭の周面摩擦力を増加させる杭として、特開平9−279574号公報に記載された発明がある。この発明に係る摩擦力増大杭は、掘削孔の口径を一定とせず小径部と大径部とを設け、ソイルセメント柱を地盤中に形成し、このソイルセメント柱の内部に鋼管又は形鋼などの補強材を挿入して固定し、かつ、ソイルセメント柱の表面を凹凸状に形成して地盤との周面摩擦力を増大させるようにしたものである(従来技術1)。
【0004】
また、特開平10−72825号公報に記載された基礎杭の施工方法は、杭外周部に節状の突起を形成した節杭と鋼管杭とを接合し、鋼管杭の内部より節杭の頭部を打撃することにより杭を打設し、杭の周囲に砂、砂利、砕石等の充填材を充填して、周面摩擦力を確保したものである(従来技術2)。
【0005】
さらに、特許第3031247号公報に記載された翼付きねじ込み鋼管杭は、翼により鋼管杭を強固な地層までねじ込んで埋設することができ、また、翼により大きな先端支持力が得られ、翼から伝達される曲げモーメントにより鋼管に過大な曲げ応力が生ずることがないようにしたものであって、鋼管杭の周辺の地盤は施工時に鋼管杭の側方に押し出され、圧縮されて密度の高い土砂になるため、大きな周面摩擦力を得ることができる(従来技術3)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1は、ソイルセメント柱を造成するために多量のソイルセメントが地上に排出され、産業廃棄物として処理しなければならないため、処理が面倒であるばかりでなく大きなコストアップとなる。
従来技術2も施工時に掘削残土が発生するため、従来技術1の場合と同様の問題がある。
また、従来技術3は、鋼管杭を回転圧入するため無排土で施工できるが、大きな翼で周辺地盤を乱すため、鋼管杭で土を周辺に押し出しても、従来の打ち込み杭程度までしか周面摩擦力の向上が期待できない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、以下のような杭の摩擦力増大方法を提供することを目的としたものである。
(1)施工されたあらゆる杭を対象として、それらの周面摩擦力を増大させる。
(2)ケーシングを地盤に無排土で貫入することができ、現場内で発生する建設残土等を処理できる。
(3)施工にあたっては、低騒音、低振動である。
(4)ケーシングは使い回しが可能で、何回でも使用できる。
(5)建設残土等を他の場所へ運搬して処理する必要がないため、経済的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係る杭の摩擦力増大方法は、地中に埋設された杭の近傍の地盤に、先端開口部を開閉する開閉手段を備え、該開閉手段により前記先端開口部が閉塞された中空のケーシングを貫入し、該ケーシング内に建設現場で発生した土砂、ソイルセメント、泥水、コンクリートがら又は木片のいずれか1種以上を投入したのち、前記開閉手段により前記先端開口部を開放し、前記ケーシングを地盤から引き抜いて前記杭の周面摩擦力を増大させるようにしたものである。
【0009】
(2)上記(1)の杭の摩擦力増大方法において、ケーシングの先端部又はその近傍に推進翼を設けた。
(3)また、上記(1)の杭の摩擦力増大方法において、ケーシングの外周に螺旋状のリブを設けた。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの杭の摩擦力の増大方法において、開閉手段を、ケーシングの先端部に設けられ該ケーシングの貫入時には先端開口部を閉塞し、該ケーシングの引き抜き時には該先端開口部を開放する蓋体によって構成した。
【0011】
(5)上記(1)〜(3)のいずれかの杭の摩擦力の増大方法において、開閉手段を、ケーシングの先端開口部より小径又は大径の蓋体と、該蓋体に設けられた前記ケーシングとほぼ等しい長さの保持軸とによって構成し、ケーシングの貫入時には前記蓋体により先端開口部を閉塞し、前記保持軸による蓋体の引上げによって該先端開口部を開放するように構成した。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、従来技術のように、杭の周囲に突起を設けたり、セメント系固化材を用いて周面摩擦力を増加させるのではなく、杭施工後に周囲の地盤を押し固めることにより、周面摩擦力を増大させるようにしたものであって、どのような杭にも適用することができる。以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る杭の摩擦力増大方法の説明図、図2はその平面説明図である。
図において、30は地中に埋設された杭である。1は杭30の近傍において地盤に貫入されたケーシングで、図1には2本の杭30の間にケーシング1を貫入した場合が示してある。ケーシング1の一例を図3に示す。
【0014】
図3において、1は断面円形で中空の鋼管2からなるケーシングで、先端部には推進翼3が設けられている。この推進翼3は、図にはケーシング1の先端部外周に2枚の翼を交差して取付けた場合を示してあるが、これに限定するものではなく、周知の翼付きねじ込み式鋼管杭の場合と同様に、ケーシング1の先端部に取付け、あるいは軸方向に複数段設けてもよい。また、その形状も、平板状、螺旋状、多角形状、さらにはこれらを分割したものなど、適宜選択することができる。なお、この推進翼3は、ケーシング1の推進力を得るために用いられるものであるから、翼付きねじ込み式鋼管杭の翼のように支持力を得るために板厚を厚くする必要はない。また、支持層や中間層などに貫入する必要がない場合には、さらに板厚を薄くすることができる。
【0015】
また、ケーシング1の先端開口部には、ケーシング1を地盤に貫入する際に、ケーシング1内に土砂が侵入しないように、かつ、ケーシング1を引上げる際に、ケーシング1内に投入した土砂を地中に残すために、先端開口部を開閉する開閉手段10が設けられている。この開閉手段10は、例えばケーシング1の内径より若干小径で円板状の鋼板からなる蓋体11と、その上面中心部に取付けられた保持軸12とからなり、保持軸12の上端部近傍はケーシング1の上端部に着脱可能に取付けられている。
【0016】
次に、図4、図5により本発明の施工手順の一例について説明する。なお、両図において、25は地上に設置された杭打ち機、26は杭打ち機に設けられたケーシング1の駆動モータである。
(1)図4(a)に示すように、地中に埋設された杭30の近傍において、ケーシング1の上端部を杭打ち機25のモータ26に連結し、駆動モータ26によりケーシング1を回転させて、推進翼3の木ねじ作用により先端開口部が蓋体11で閉塞されたケーシング1を地中に貫入する。
このとき、ケーシング1の周囲及び先端部の土砂はケーシング1の周囲に圧縮され、ケーシング1内には侵入しないため、杭30の周面摩擦力や水平抵抗力が上昇する。なお、ケーシング1の貫入にあたっては、駆動モータ26をケーシング1の胴部に装着するようにしてもよく、また、保持軸17をケーシング1に固定しないでフリーにしておき、ケーシング1と共に駆動モータ26に連結してもよい。
【0017】
(2)ケーシング1が、その先端部が地表Gの近傍に達するまで貫入されたときは(必要に応じて継杭をしてもよい)、駆動モータ26をケーシング1から取外し、保持軸12のみを駆動モータ26に取付けた状態で、図4(b)に示すように、駆動モータ26を上昇させて蓋体11をケーシング1から引き抜く。
【0018】
(3)ついで、図4(c)に示すように、ケーシング1内に残土等4を投入する。ここで、残土等とは、土砂だけでなく、ソイルセメント、泥水、コンクリートら、木片等(以下、これらを一括して残土等という)、地中に残置可能な物を対象とする。また、別の場所から砂などを持ってきてもよい。
【0019】
(4)ケーシング1内に残土等4が一杯になったときは、図5(a)に示すように、ケーシング1の上端部に再びモータ26を装着し、ケーシング1を反対方向に回転させて、地中から引き抜く。このとき、必要に応じて残土等4を投入しながらケーシング1を引き抜いてもよく、また、ケーシング1内に投入した残土等4に対して下方に押し込み力を加えて、残土等4をケーシング1から吐き出し易いようにしてもよい。
【0020】
(5)これにより、図5(b)に示すように、地盤に形成された残土等投入穴5内には投入された残土等4だけが残置され、地盤と同化する。なお、ケーシング1内に残土等を投入しただけでは緩い状態になっている場合もあるので、ハンマー等で締め固めを行って密度を高くし、さらに多くの残土等4を投入するようにしてもよい。
【0021】
【実施例】
図2に示すように、地中に埋設された多数の杭30のうち、隣接する複数の杭30の中央部に、外径500mm、板厚14mm、長さ13mの鋼管2の先端部外周に外径1000mm、板厚15mmの螺旋状の推進翼3を取付けたケーシング1内に、外径460mm、板厚25mmの蓋体11に保持軸12を取付けた開閉手段10を挿入し、保持軸12の上端部をケーシング1に固定した。そして、ケーシング1の上端部を杭打ち機25のモータ26に装着してケーシング1を回転し、推進翼3を利用してケーシング1を地表面から12mの深さまで無排土、低振動、低騒音で貫入した。
【0022】
そして、ケーシング1から蓋体11を引抜いたのちケーシング1内に残土等を投入し、ついで、ケーシング1を反対方向に回転して引き上げ、残土等投入穴5内の残土等をハンマーで締め固めてさらに残土を投入した。
これにより、ケーシング1の貫入時の周辺の地盤の圧縮、ケーシング1の引き上げ後の残土投入穴5内の残土の締め固めにより、ケーシング1によって形成された残土等投入穴5の周辺の杭30の周面摩擦力及び水平抵抗力が大幅に高められたことを確認した。
【0023】
上記のように構成した本実施の形態においては、ケーシング1の貫入による周辺地盤の横方向への圧縮、及び必要に応じて残土投入穴5内の残土の締め固めにより、ケーシング1によって形成された残土投入穴5の周辺の杭30の周面摩擦力及び水平抵抗力を大幅に高めることができる。特に、杭30に負の摩擦力が作用するような地盤においては、杭周囲地盤を圧縮することにより負の摩擦力の現象を軽減することができるので、きわめて有効である。
また、本実施の形態によれば、建設現場等で発生した残土等の少なくとも一部をケーシング1内及び残土投入穴5内に投入して処理することができるので、従来きわめて面倒とされていた残土処理の問題を軽減することができる。
【0024】
[実施の形態2]
図6は実施の形態2に係る杭の摩擦力増大方法に使用するケーシングの説明図である。
実施の形態1においては、ケーシング1の下部に推進翼3を設け、その木ねじ作用によりケーシング1を地中に貫入する場合を示したが、本実施の形態においては、ケーシングを貫入する地盤が比較的軟弱で、推進翼を設けるほどの推進力を必要とせず、小さい推進力又は押込み力で施工できる場合には、ケーシングをリブ付き鋼管で構成し、推進翼を省略したものである。
【0025】
図において、1aはリブ付き鋼管2aからなるリブ付きケーシングで、例えば、圧延によって表面にリブが設けられた鋼板を曲げ加工して、外周面に螺旋状のリブ6を形成したものである。なお、10は蓋体11と保持軸12とからなり、リブ付きケーシング1aの先端開口部を開閉する開閉手段である。
【0026】
上記のように構成した本実施の形態に係るリブ付きケーシング1aは、その上端部を実施の形態1の場合と同様に、杭打ち機25に設けた駆動モータ26に装着し、駆動モータ26によって小さいトルクで回転することにより、リブ6の推進力により地盤に貫入される。以下の手順は実施の形態1の場合と同様である。
【0027】
上記の説明では、リブ付き鋼板を曲げ加工して螺旋状のリブ6を有するリブ付き鋼管2aによりリブ付きケーシング1aを形成した場合を示したが、例えば、リブのない通常の鋼管の外周面に、鉄筋等の突条を溶接により螺旋状に接合してリブ付きケーシング1aを構成してもよく、さらに、リブ6を不連続にしてもよい。
本実施の形態による効果も実施の形態1の場合とほぼ同様であるが、特に、比較的軟弱な地盤に施工する場合に有効である。
【0028】
[実施の形態3]
図7は実施の形態3に係る杭の摩擦力増大方法に使用するケーシングの説明図である。
実施の形態2では比較的軟弱な地盤に施工する推進翼を省略したリブ付きケーシング1aについて説明したが、本実施の形態は、さらに軟弱な地盤に施工して有効なケーシングに関するものである。
【0029】
すなわち、図7に示すように、通常の鋼管2によってケーシング1を形成したもので、推進翼は省略されている。なお、10は蓋体11と保持軸12とからなり、ケーシング1の先端開口部を開閉する開閉手段である。
本実施の形態におけるケーシング1の施工方法も実施の形態1の場合と同様であるが、施工にあたっては、ケーシング1を駆動モータ26で回転させながら押込み力により圧入すればよい。
【0030】
[実施の形態4]
図8は実施の形態4に係る杭の摩擦力増大方法に使用するケーシングの説明図で、通常の鋼管2の先端部に比較的長いテーパー管7を接合してケーシング1を構成したものである。なお、テーパー管7の先端開口部は、例えば後述の開閉手段(図12)によって開閉される。
本実施の形態による効果も実施の形態1の場合とほぼ同様であるが、先端部が長いテーパー管7で形成されているため、地盤に錐の要領で貫入することができ、このため軟弱な地盤に施工する場合に有効である。
【0031】
[実施の形態5]
本実施の形態は、上述の各実施の形態におけるケーシングの先端開口部を開閉する開閉手段の他の実施の形態に関するものである。
図9(a)は、推進翼3をケーシング1の先端部に設けると共に、この推進翼3をケーシング1の内径に沿った大きさに切断して推進翼3の一部からなる蓋体1を構成し、その中心部に保持軸12を取付けて開閉手段10を形成したものである。
【0032】
施工にあたっては、蓋体11を推進翼3の切除部内に収容して地盤中に貫入する。これにより、ケーシング1の貫入時には蓋体11は、図9(a)に示すように、推進翼3の一部を構成して推進に寄与し、ケーシング1が所定の深さ位置まで貫入されたときは、図9(b)に示すように、杭打ち機25により蓋体11を引上げるようにしたものである。
本例によれば、ケーシング1の貫入時に蓋体11が推進に寄与するため、地盤の抵抗を軽減し、より小さいトルクで施工することができる。
【0033】
図10(a)は、保持軸12の先端部に、鋼管2の内径より小径の鋼材からなる基台13を取付けると共に、鋼管2の外径より大径のドーナツ状の鋼板を複数に分割した蓋体11を構成する蓋体片14の内縁側上部を、ヒンジ等15により基台13の下面に回動可能に取付けて開閉手段10を構成したものである。
【0034】
上記のように構成した本例においては、ケーシング1の貫入時は、図10(a)に示すように、保持軸12がケーシング1又は駆動モータ26に固定されており、基台13がケーシング1の先端開口部の近傍に位置しているため、各蓋体片14は地盤の抵抗により、その外周縁側の上面がケーシング1の先端部に押し付けられてほぼ水平に保持され、ケーシング1の先端開口部を閉塞する。
また、開閉手段10を引き上げる場合は、図10(b)に示すように、上方に引き上げれば、蓋体片14はヒンジ15を軸に下方(内側)に回動するため、支障なく引き上げることができる。
【0035】
図11(a)は、鋼管2の内径とほぼ等しい外径で比較的厚い円形鋼板を複数に分割して蓋体11を構成する蓋体片16を形成し、この蓋体片16の外周縁の下面側を、ヒンジ等15によりケーシング1の先端部内壁にそれぞれ回動可能に取付けて、開閉手段10を構成したものである。
このように構成した本例においては、ケーシング1の貫入時は地盤の抵抗により蓋体片16は実線で示すように、ヒンジ等15を軸に内側に回動してその外周壁がケーシング1の内壁に当接し、ほぼ水平に保持されてケーシング1の先端開口部を閉塞する。
また、開閉手段10の引き上げ時は、ケーシング1内に投入された残土等4の抵抗により、蓋体片16は破線で示すように、ヒンジ等15を軸に外方に回動して下方に押し広げられ、ケーシング1の先端開口部を開放する。
【0036】
図11(b)は、鋼管2の内径とほぼ等しい外径で比較的厚い円形鋼板からなる蓋体11を有し、この蓋体11の外周縁の一端の下面側を、ヒンジ等15によりケーシンング1の先端部内壁に回動可能に取付けて、開閉手段10を構成したもので、その作用は、図11(a)の開閉手段10の場合とほぼ同様である。
【0037】
上述の図11(a),(b)に示した開閉手段10は、保持軸を必要とせず、複数個の蓋体片16からなる蓋体11又は1個の蓋体11を、直接ケーシング1の先端部に取付けて、地盤又は残土等4の抵抗によりケーシング1の先端開口部を自動的に開閉するようにしたので、構造がきわめて簡単であるばかりでなく、施工にあたっては、ケーシング1内への開閉手段10の挿入及び引上げ工程を省略することができる。
【0038】
図12は鋼管2の外径より大きい外径の円形鋼板を複数に分割して蓋体11を構成する蓋体片17を形成し、この蓋体片17の外周縁の一端をケーシング1の先端部にヒンジ等15によりそれぞれ回動可能に取付けて開閉手段10を構成したものである。
【0039】
このように構成した開閉手段10は、ケーシング1の地盤への貫入にあたっては、地盤の抵抗により蓋体片17が内側に押圧されて、図12(a)に示すように、先端部どうしが当接して円錐状になる。このため、地盤の抵抗が少なく、貫入し易い。また、ケーシング1を引上げる場合は、ケーシング1内に投入された残上等4の重量及び押し下げ力により、図12(b)に示すように、蓋体片17はヒンジ15を軸に外方に押し広げられ、ケーシング1の先端開口部を開放する。
本例においても、図11の例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0040】
以上、ケーシングの先端開口部を開閉する開閉手段の実施の形態について説明したが、本発明に用いるケーシングの開閉手段はこれに限定するものではなく、他の手段を用いてもよい。例えば、ケーシングの先端部を切り欠いて傾きを持たせて開閉手段を取り付けてもよく、この場合は、ケーシングの外径より若干大きい張り出しのある開閉手段を設ければ推進に寄与し、推進翼を省略することもできる。
また、上記の各実施の形態においては、ケーシングの貫入時には開閉手段により先端開口部全体を閉塞する場合を示したが、発明者らが行った施工試験によれば、部分的開放部(例えば、先端開口部の面積の30%程度の開放部)があっても土砂等の侵入はほとんどみられなかったので、先端開口部全体を閉塞せず部分的開放部があっても施工に支障がない。
【0041】
上記の各実施の形態においては、ケーシングに断面円形で中空の鋼管を用いた場合を示したが、施工にあたって無排土で地盤を周囲に圧縮できるものであれば、断面楕円形、多角形等の中空の鋼管を用いてもよい。
また、ケーシング内に現場で発生した残土等を投入する場合について説明したが、他所から運搬した残土等を投入して処理してもよい。
【0042】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は、地中に埋設された杭の近傍の地盤に、先端開口部を開閉する開閉手段を備え、該開閉手段により前記先端開口部が閉塞された中空のケーシングを貫入し、該ケーシング内に建設現場で発生した土砂、ソイルセメント、泥水、コンクリートがら又は木片のいずれか1種以上を投入したのち、前記開閉手段により前記先端開口部を開放し、前記ケーシングを地盤から引き抜くようにしたので、杭の周面摩擦力を増大することができる。また、現場内で発生する残土等をケーシング内に投入して処理することができ、さらに、ケーシングは繰返し使用できるので経済的である。
【0043】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、ケーシングの先端部又はその近傍に推進翼を設けたので、硬い地盤の場合でも貫入が容易である。
また、請求項3に係る発明は、請求項1の発明において、ケーシングの外周にリブを設けたので、比較的軟弱な地盤の場合、小さいトルクで貫入することができる。
【0044】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、開閉手段を、ケーシングの先端部に設けられ該ケーシングの貫入時には先端開口部を閉塞し、該ケーシングの引き抜き時には該先端開口部を開放する蓋体によって構成したので、ケーシングの貫入時にはケーシング内に土砂が侵入せず、ケーシングの引き抜き時にはケーシング内に投入した残土等を地中に残置した状態で、ケーシングを容易に引き上げることができる。
【0045】
請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、開閉手段を、ケーシングの先端開口部より小径又は大径の蓋体と、該蓋体に設けられた前記ケーシングとほぼ等しい長さの保持軸とによって構成し、ケーシングの貫入時には前記蓋体により先端開口部を閉塞し、前記保持軸による蓋体の引上げによって該先端開口部を開放するように構成したので、簡単な構造で請求項4の発明の場合と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る杭の摩擦力増大方法の説明図である。
【図2】図1の平面説明図である。
【図3】図1のケーシングの説明図である。
【図4】実施の形態1の施工手順を示す説明図である。
【図5】実施の形態1の施工手順を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るケーシングの説明図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るケーシングの説明図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係るケーシングの説明図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係る開閉手段の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る開閉手段の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る開閉手段の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態5に係る開閉手段の説明図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
1a リブ付きケーシング
2 鋼管
3 推進翼
4 残土等
6 リブ
10 開閉手段
11 蓋体
12 保持軸
25 杭打ち機
26 駆動モータ
30 杭

Claims (5)

  1. 地中に埋設された杭の近傍の地盤に、先端開口部を開閉する開閉手段を備え、該開閉手段により前記先端開口部が閉塞された中空のケーシングを貫入し、該ケーシング内に建設現場で発生した土砂、ソイルセメント、泥水、コンクリートがら又は木片のいずれか1種以上を投入したのち、前記開閉手段により前記先端開口部を開放し、前記ケーシングを地盤から引き抜いて前記杭の周面摩擦力を増大させることを特徴とする杭の摩擦力増大方法。
  2. ケーシングの先端部又はその近傍に推進翼を設けたことを特徴とする請求項1記載の杭の摩擦力増大方法。
  3. ケーシングの外周に螺旋状のリブを設けたことを特徴とする請求項1記載の杭の摩擦力増大方法。
  4. 開閉手段を、ケーシングの先端部に設けられ該ケーシングの貫入時には先端開口部を閉塞し、該ケーシングの引き抜き時には該先端開口部を開放する蓋体によって構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の杭の摩擦力増大方法。
  5. 開閉手段を、ケーシングの先端開口部より小径又は大径の蓋体と、該蓋体に設けられた前記ケーシングとほぼ等しい長さの保持軸とによって構成し、ケーシングの貫入時には前記蓋体により先端開口部を閉塞し、前記保持軸による蓋体の引上げによって該先端開口部を開放するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の杭の摩擦力増大方法。
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